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ニコチンパッチを使用した禁煙外来患者における 禁煙
144 日呼吸会誌 ●原 43(3) ,2005. 著 ニコチンパッチを使用した禁煙外来患者における 禁煙達成に影響する因子の検討 川井 治之1) 河原 伸3) 柴山 卓夫2) 宗田 良2) 多田 敦彦2) 高橋 清2) 要旨:ニコチンパッチを用いた禁煙外来患者において,禁煙達成にどのような因子が影響するか検討した. 初診時約 30 分のカウンセリングの後,パッチを用いた 2 カ月の禁煙プログラムを行った.対象は受診した 43 名中,経過が観察できた 30 名で,男性 25 名,女性 5 名,年齢は 22∼75 歳であった.電話による追跡 調査を行った.禁煙維持曲線を Kaplan-Meier 法によって計算,Wilcoxon 検定によって比較した.Cox の 比例ハザードモデルを多変量解析に用いた.2 カ月・1 年後の禁煙維持率はそれぞれ 86.3%・56.7% であっ た.単変量解析では,喫煙開始年齢が 18 歳未満,罹患疾患がない,起床してからの喫煙が 5 分以内の受診 者が有意に再喫煙し(p<0.05),多変量解析では,喫煙開始年齢が 18 歳未満,罹患疾患がない受診者が有 意に再喫煙した(p<0.05) .すなわち,喫煙開始年齢が若く,罹患疾患がないと禁煙に失敗しやすいこと が示唆され,禁煙指導に注意を要する. キーワード:禁煙外来,ニコチンパッチ,成功! 失敗因子,カプランマイヤー法,多変量解析 Smoking clinic,Nicotine patch,Success! failure factors,Kaplan-Meier method, Multivariate analysis 緒 言 禁煙指導においては,初診時に,禁煙に失敗しやすい 集団が分かれば,その後の禁煙指導に益することが多い 喫煙が肺癌・喉頭癌・慢性閉塞性肺疾患・虚血性心疾 と思われるが,本邦において,禁煙維持に影響する因子 患・脳卒中・妊娠合併症など多くの病気を引き起こすの に関しての報告は少ない.本研究では,私たちの禁煙外 は医学的にも確立されてきた事実であり1),日本でも年 来 2 年間の経験より,禁煙維持に影響する因子について 間約 10 万人の人がタバコ関連疾患で死亡していると計 単変量及び,多変量解析を行った. 算されている2). 日本呼吸器学会においても,禁煙に関する重要性は他 研究対象,方法 の学会に先がけ認知されており,1997 年には「喫煙に 対象は 2000 年 3 月から 2002 年 6 月までに禁煙外来受 関する勧告」 ,2003 年には「禁煙宣言」 が出された.他の 診した 43 名中,ニコチンパッチ(ニコチネル TTS!30, 学会もそれに触発され,禁煙宣言を出すようになり,そ 20,10:それぞれ 1 枚中にニコチン 52.5 mg,35 mg ま の内容はインターネット上でも見ることができる(禁煙 たは 17.5 mg を含有する)を使用し,経過が観察できた ∼ sokayama! 宣言ホームページ http : ! ! www.hosp.go.jp! 30 名 で,男 性 25 名,女 性 5 名,年 齢 は 22∼75 歳(平 clinic! respi! kinen! kinen0.html). 均 49 歳)であった. ニコチン依存症に対する治療としては,ニコチン置換 禁煙外来は初診時約 30 分のカウンセリングの後,ニ 療法が行われるようになり,本邦でも,ニコチンガムが コチンパッチを用いた 2 カ月の禁煙プログラムを行っ 1994 年 7 月から,ニコチンパッチが 1999 年 5 月から使 た.投与方法は,ニコチン 52.5 mg を含有する製剤を 1 用できるようになり,南岡山医療センターでもパッチの 日 1 枚 4 週間,その後ニコチン 35 mg を含有する製剤 発売を期に,禁煙外来を開始した. を 2 週間,ニコチン 17.5 mg を含有する製剤を 2 週間と 〒700―8511 岡山県岡山市伊福町 1 丁目 17―18 1) 岡山済生会総合病院 2) 独立行政法人国立病院機構南岡山医療センター 3) 河原内科医院 (受付日平成 16 年 10 月 20 日) 漸減し終了する標準的な使用方法に準じた.初診時は, まずアンケートでファガストロームのタバコ依存度テス トを含む質問項目について回答していただき,身長・体 重測定・SpO2 測定を看護師にて行い,さらに尿中ニコ チン・コチニン濃度測定(NicCheck!:Nicotine および ニコチンパッチ使用の禁煙成功因子 145 Table 1 Items and scoring for FTND Questions Answers 1.How soon after you wake up do you smoke your first cigarette 2.Do you find it difficult to refrain from smoking in places where it is forbidden e.g. in church, at the library, in cinema, etc.? 3.Which cigarette would you hate most to give up? 4.How many cigarettes/day do you smoke? 5.Do you smoke more frequently during the first hours after waking than during the rest of the day? 6.Do you smoke if you are so ill that you are in bed most of the day? Fig. 1 Kaplan-Meier survival curves in abstinence rate. Cotinin 定性試験紙)の採尿を行っておき,その後診察 とした.診察では New Micro Smokerlyzer!(英国 Bed- Within 5 minutes 6-30 minutes 31-60 minutes After 60 minutes Yes No The first one in the morning All others 10 or less 11-20 21-30 31 or more Yes No Yes No Points 3 2 1 0 1 0 1 0 0 1 2 3 1 0 1 0 Fig. 2 Kaplan-Meier survival curves showing the difference in abstinence rates between patients scoring high on the Fagerstrom Test for Nicotine Dependence(FTND) (!7)and those scoring low to medium on the FTND. font 社製)による呼気中一酸化炭素濃度測定を行い,ニ コチン置換療法及び,行動療法の説明を行った.外来へ は 2・4・6・8 週目に来院していただき(計 5 回)その て計算,Wilcoxon 検定によって比較した.Cox の比例 時期にあった指導を行った.その後の禁煙維持について ハザードモデルを多変量解析に用いた.統計解析ソフト の確認は,電話による追跡調査を行った(観察期間中央 は StatView!5.0(米国 SAS Institute Inc.)を使用した. 値 184.5 日) . 質問項目は,Fagerstro "m Test for Nicotine Depend- 成 績 ence(FTND) (Table 1)の各項目,禁煙経験の有無, 患者背景:ニコチン依存度の指標となる FTND 指数 喫煙開始年齢,1 日喫煙本数,喫煙年数,病気の罹患の は 6.1±2.3(mean±SD,以下同様) ,年齢は 49.3±15.9 有無,家族の喫煙者の有無,禁煙理由,コーヒー摂取の 歳,喫煙年数 は 29.6±14.9 年,喫 煙 本 数 23.4±9.1 本, 有無,アルコール摂取の有無,禁煙を喜んでくれる人の 初 診 時 呼 気 中 一 酸 化 炭 素 濃 度 21.2±17.9 ppm,Nic- 有無についてで,記名・自記式で行った. Check 2.6±3.2 であった.それまでの禁煙回数は平均 1.5 統計解析は,禁煙維持曲線を Kaplan-Meier 法によっ 回であり,何らかの基礎疾患のある人は 63.0% であっ 146 日呼吸会誌 Fig. 3 Kaplan-Meier survival curves showing the difference in abstinence rates between patients whose first cigarette of the day is within 5 minutes after waking up and patients who first smoke 6 minutes or more after awakening. 43(3) ,2005. Fig. 5 Kaplan-Meier survival curves showing the difference in abstinence rates between patients with normal health and patients with illness. が有意に禁煙失敗しやすかった(P=0.0282) .喫煙開始 年齢が早い者は禁煙に失敗しやすく(P=0.0001) ,罹患 病気がない者は,失敗しやすかった(P=0.0441) .その 他の因子も含めた単変量にての解析のまとめを Table 2―1,2―2,2―3 に示した. 禁煙成功に寄与している因子の検討(多変量解析) : 単変量で有意であった 3 項目を多変量解析に使用した (Table 3)喫煙開始年齢と罹患病気の有無が有意であっ た(P<0.05) . 考 察 喫煙は肺癌や COPD の主たる原因であり,呼吸器を Fig. 4 Kaplan-Meier survival curves showing the difference in abstinence rates between patients who started smoking before age 18 and those who started later. 専門とする医師にとって,その予防業務としての禁煙指 導は,義務とさえ言える.呼吸器学会は,専門医制度に おいて,非喫煙者を資格事項としているなど,先進的な 活動を行っている.我々も,禁煙指導を重要な業務と考 え,禁煙外来を行った. 外来受診時の具体的な指導内容としては,初診時にお た. いては,ニコチンの離脱症状・ニコチンパッチの副作 禁煙成功率:禁煙維持曲線を Kaplan-Meier 法によっ 用・吸いたい気持ちのコントロール方法の指導及び禁煙 て計算した(Fig. 1) .禁煙外来終了時の 2 カ月の禁煙導 誓約書の作成(納得した人のみ)を行い,第 2 週目では, 入成功率は 86.3%,1 年後の禁煙維持率は 56.7% であっ パッチの副作用の check,第 4 週目では,飲み会での注 た. 意・一本でも吸ってはだめなことの確認,第 6 週目では, 各因子の検討(単変量解析) :FTND(Fig. 2) ,起床 痰や咳の減少・味覚の変化に気づかせる・禁煙しようと してから喫煙するまでの時間(Fig. 3) ,喫煙開始年齢 した理由の再確認,第 8 週目では,禁煙持続のためのコ (Fig. 4) ,罹患病気の有無(Fig. 5)において,Kaplan- ツの指導と禁煙したことで良かったことを気づかせる・ Meier 法を使用し,比較した. 一般に使われる FTND の高低では禁煙維持に関して 有意差はなかったが(P=0.1101) ,FTND の項目の一 つである起床後の喫煙までの時間が 5 分以内であること 肥満防止指導・禁煙認定書の授与等を行った.この指導 が良いものかどうかは,さらなる検討は要すると思われ る. 禁煙外来の成績に関しては,本数が減ったものを有効 ニコチンパッチ使用の禁煙成功因子 147 Table 2―1 Comparison of various factors affecting abstinence rates Clinical Feature Sex Age Body mass index Coffee habit Alcohol habit Affected with other disease Male Female ≦ 49 50 ≦ 26.4 ≦ < 26.4 − + − + − + Abstinent rate(%) No. of patients 8 weeks 1 year 25 5 13 17 6 21 13 12 17 13 11 19 87.5 80 76.9 93.3 66.7 90.2 75.6 91.7 82.4 91.7 63 100 43.7 40 53.3 59 NR 67.9 39.8 70.6 75.5 38.9 38.7 67.8 P 0.5229 0.139 0.1197 0.2707 0.646 0.0441 Table 2―2 Comparison of various factors affecting abstinence rates Clinical Feature Number of cigarettes/day Pack-Years Starting age of smoking Carbon monoxide, ppm NicCheck FTND ≦ 20 21 ≦ < 30 30 ≦ < 18 18 ≦ < 20 20 ≦ ≦2 3≦ <6 7≦ Abstinent rate(%) No. of patients 8 weeks 1 year 16 14 11 19 7 23 17 11 14 5 14 15 93.8 77.4 81.8 88.9 57.1 95.2 93.8 71.4 85.7 100 100 72.1 62.8 49.2 49.6 61.6 NR 72.4 56.9 57.1 63.5 53.3 74.2 43.3 P 0.3275 0.3062 0.0001 0.5482 0.615 0.1101 Table 2―3 Comparison of various factors affecting abstinence rates Clinical Feature First cigarette of the day after waking up (minutes) Previous attempts to stop smoking Instrument for smoking cessation Other smokers in household Family with understanding ≦5 6≦ − + Doctor’ s advice Others − + − + Abstinent rate(%) No. of patients 8 weeks 1 year 17 13 13 17 13 17 11 11 6 24 75.3 100 91.3 82.4 76.6 93.9 72.7 100 100 82.6 32.8 82.5 53.3 59.2 40.8 70 40.9 77.1 50 59.4 P 0.0282 0.8429 0.0823 0.0744 0.7185 とする報告もあったが,減煙は体に対する影響が必ずし の度に来院して頂くわけにもいかず,電話による追跡調 も減るわけではなく,断煙のみを禁煙成功と考えた.ま 査とした. た,禁煙状況の判定では,Kenford らは呼気中一酸化炭 統計解析においては,Kaplan-Meier 法は,癌の生存 素濃度で確認をしているが3),follow-up 調査のためにそ 期間などで多用される手法であるが,どの期間で禁煙失 148 日呼吸会誌 43(3) ,2005. Table 3 Multivariate Cox proportional hazards model analyses of various factors affecting abstinence rates Variable Starting age of smoking First cigarette of the day after waking up Affected with other disease < 18 vs 18 ≦ ≦ 5 vs 6 ≦ No vs Yes 敗が起きやすいかが,視覚的に分かる点で,禁煙外来で Hazard Ratio 95%CI P 14.92 3.87 7.81 2.70-83.33 0.789-18.972 1.49-40 0.0019 0.0952 0.0148 質問が最も鋭敏であることが分かった. の follow-up data の解析には優れていると思われた.今 また,禁煙外来でよく使用される呼気中一酸化炭素濃 回の解析では,禁煙開始から 210 日目まで禁煙維持曲線 度測定や尿中ニコチン・コチニン濃度測定は今回の解析 は低下していたが,それ以降は低下せず,禁煙失敗する では禁煙成功の予測因子ではなく,必ずしも測定の必要 人はこのころまでに大体が禁煙失敗することがみてとれ はないと思われた.もちろんそれらの検査は,受診者の る. モチベーションを高める効果を期待して使うのであれば ニコチンパッチによる禁煙導入成功率(パッチ使用後 4) 十分意味はあると考える. 2 カ月時)は,多施設二重盲検試験で 22% との報告が 性別に関しては女性が失敗しやすい印象があるが,今 ある.当院で禁煙導入成功率が 86.3% と高かった理由 回の解析では女性がほとんどいなかったため解析不能で としては,一人の担当医師が一貫した指導を行った単施 あった.海外の報告では,ニコチンパッチとニコチンイ 設のみの少数例であったこと,有病者が多いことにより, ンヘラーを併用した禁煙指導において 12 カ月の禁煙維 禁煙への意欲の高い方が受診するためとも影響している 持率は男性で 23.0% に対して女性で 10.8% と有意に女 と考えられた.実際,喫煙関連疾患を持つ者の第 III 相 性が禁煙失敗しやすいとの報告がある13).性別に関して 二重盲検試験において,禁煙導入成功率は 48.5%5)と高 は,今後の検討課題であろう. くなっており,それを裏付けるものとなっている.本邦 禁煙成功予測因子としての喫煙開始年齢については, における一般的な禁煙外来(ニコチンパッチ+行動療法) 文献検索を行った限り報告を見つけ得なかった.当報告 の禁煙導入成功率・禁煙維持率の報告としては,石井の が初めてと思われるが,喫煙開始年齢が早いと禁煙失敗 2 カ月 83.8%,6 カ月 65.7% というものがあり,当報告 しやすいことは多変量解析でも確認できた.喫煙開始年 6) と同様な成績であった . 齢が早い集団は,ほとんどが起床後 5 分以内に喫煙をし 次に,禁煙指導開始時に禁煙達成に影響する因子が明 らかであれば,禁煙指導はより効果的になされうると考 ており,喫煙開始年齢が早いほどニコチン依存度が高く なるためと考えられる14). えられるが,禁煙外来における禁煙達成に影響する因子 以上より,喫煙開始年齢が若く,罹患疾患がない受診 に関する報告は,本邦において非常に少ない.ニコチン 者は禁煙に失敗しやすいことが示唆され,禁煙指導に注 ガムを用いた禁煙外来においては,ガムへの不快症状が 意を要する.具体的には, 継続的な電話・手紙・電子メー 7) 重回帰分析にて有意であったとの報告 があるが,ニコ ル等でのアドバイスなどの介入が必要となると思われる チンパッチを使用した禁煙外来の報告はごく少数認める が,それには,個人の力では負担が大きく,チームでの !m Tolerの み で あ る .高 橋 ら の 報 告 で は Fagerstro サポートが必要となるであろう. 8) 9) 10) ance Questionnaire(FTQ)指数 が高いことと高齢で あることが禁煙失敗しやすいと述べているが,有意差検 なお,この論文の一部は第 43 回日本呼吸器学会総会にて 示説発表を行った. 定を行っていない8).また,腹巻らは禁煙指導有効群と 引用文献 無効群との比較において有効群において FTQ 値がより 少なく,また呼気 CO 濃度がより低い傾向を認めたが, 9) 有意差を認めなかった . 以上のようにニコチン依存度が禁煙成功の予測因子と なることが推測されるが,今までに提唱された FTQ 指 数・FTND 指数11)の内,後者を使用して解析したが, FTND 指数は有意でなく,その質問項目の一つである 起床してからの喫煙までの時間が有意となった.海外で も FTND 指数12),FTQ 指数3)で有意でなかったとの報 告があり,起床してからの喫煙までの時間という簡便な 1)富永祐民編:新版 喫煙と健康∼喫煙と健康問題に 関する検討会報告書.保健同人社,東京,2002 ; 109― 251. 2)Peto R, Lopez AD, Boreham J, et al : Mortality from smoking worldwide. Br Med Bull 1996 ; 52 : 12―21. 3)Kenford SL, Fiore MC, Jorenby DE, et al : Predicting smoking cessation. Who will quit with and without the nicotine patch? JAMA 1994 ; 271 : 589―594. 4)五島雄一郎,兼本成斌,並木正義:ニコチン依存喫 ニコチンパッチ使用の禁煙成功因子 149 煙者での Ba 37142(Nicotine TTS)の臨床効果 pendence to tobacco smoking with reference to indi- 多施設協同二重盲検比較試験.臨床医薬 1994 ; 10 : vidualization of treatment. Addict Behav 1978 ; 3 : 235―241. 2023―2059. 5)五島雄一郎,兼本成斌,並木正義:喫煙関連疾患を 11)Heatherton TF, Kozlowski LT, Frecker RC, et al : 有する 喫 煙 者 で の 禁 煙 補 助 薬 Ba 37142(Nicotine The Fagerstrom Test for Nicotine Dependence : a TTS)の臨床効果 多施設協同第 3 相二重盲検比較 revision of the Fagerstrom Tolerance Question- 試験.臨床医薬 1994 ; 10 : 1801―1830. naire. Br J Addict 1991 ; 86 : 1119―1127. 6)石井周一:ニコチンパッチ(ニコチネル TTS)に 12)Tonnesen P, Paoletti P, Gustavsson G, et al : Higher よる禁煙導入後の長期成績.診断と治療 2001 ; 89 : dosage nicotine patches increase one-year smoking 1879―1884. cessation rates : results from the European CEASE 7)藤井茂樹,藤田全健,野原博一,他:禁煙外来患者 trial. Collaborative European Anti-Smoking Evalu- における禁煙達成に影響する因子の検討.東京医科 ation. European Respiratory Society. Eur Respir J 大学雑誌 1998 ; 56 : 591―599. 1999 ; 13 : 238―246. 8)高橋浩一,加藤博也,藤本佳史:当院におけるニコ 13)Bohadana A, Nilsson F, Rasmussen T, et al : Gender チンパッチによるニコチン代替療法の 2 年間の成 differences in quit rates following smoking cessation 績.広島医学 2001 ; 54 : 666―668. with combination nicotine therapy : influence of baseline smoking behavior. Nicotine Tob Res 2003 ; 9)腹巻久乃,寺尾洋子,近藤利美,他:ニコチン TTS 5 : 111―116. 製剤(ニコチンパッチ)と呼気 CO 濃度検査を用い 14)McNeill AD : The development of dependence on た当院禁煙外来の現状.日本職業・災害医学会会誌 smoking in children. Br J Addict 1991 ; 86 : 589―592. 2001 ; 49 : 347―350. 10)Fagerstrom KO : Measuring degree of physical de- Abstract Factors affecting the success or failure of smoking cessation using nicotine patches Haruyuki Kawai1), Takuo Shibayama2), Atsuhiko Tada2), Shin Kawahara3), Ryo Soda2)and Kiyoshi Takahashi2) 1) Department of Internal Medicine, Okayama Saiseikai General Hospital Department of Internal Medicine, National Minami-Okayama Medical Center 3) Kawahara Medical Clinic 2) We identified the initial diagnostic factors that influenced the success or failure of patients trying to quit smoking using nicotine patches. In a smoking cessation treatment program at a smoking clinic, each patient received about 30 minutes of counseling in the initial diagnosis, then undertook a 2-month smoking cessation program using the nicotine patch. Between March 2000 and June 2002, 45 patients consulted the clinic. We attempted to monitor 30 patients whose smoking status we were able to observe. The patient group consisted of 5 women and 25 men who ranged in age from 22 to 75 years(mean age, 49 years) . A follow-up survey by telephone was carried out(median follow-up time : 184.5 days) . Actuarial smoking cessation curves were calculated according to the Kaplan-Meier method, and comparisons were made with the generalized Wilcoxon test. The Cox proportional hazards model was used for multivariate analysis. At the end of the two-month period, 86.3% of the patients had not resumed smoking ; at one year after the program began, 56.7% had not resumed smoking. In the univariate analysis, the significant factors in the failure to maintain cessation were : a smoking start age of under 18 years, no affective disease, and smoking the day’ s first cigarette within 5 minutes after waking up(p<0.05).In the multivariate analysis, the independent predictive factors in failure were : a starting smoking age of under 18 years and no affective disease(p<0.05) . Thus, patients who started smoking at a young age or who were free of affective disease were more likely to fail in their attempt to quit smoking. Attention to these factors is necessary as part of the guidance provided for smoking cessation.