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青年期中期における交友関係が自我発達に及ぼす影響に 関する心理学
学位論文要旨 青年期中期における交友関係が自我発達に及ぼす影響に 関する心理学的研究 ―居場所におけるナナメの関係に着目して― 広島大学大学院教育学研究科 学習開発専攻 枝廣 和憲 目 次 第1章 本研究の背景と目的 第1節 本研究の背景 第2節 本研究の目的 第2章 青年期中期の交友関係における同年の友人関係とナナメの関係 第1節 青年期中期における交友関係の探索的調査(研究1) 第2節 青年期中期における交友関係の質的差異に関する研究(研究2) 第3節 青年期中期の交友関係についての居場所におけるエスノグラフィによる 質的検討(研究3) 第3章 青年期中期における交友関係が自我発達に及ぼす影響 第1節 青年期中期における交友関係が自我発達上の危機状態に及ぼす影響 (研究4) 第2節 青年期中期における交友関係が未来に対する時間的展望に及ぼす影響 (研究5) 第3節 青年期中期における交友関係が自我発達に及ぼす影響の質的検討 (研究6) 第4章 総括 第1節 総合考察 第2節 教育的示唆 第3節 今後の課題 引用文献 業績一覧 i 第1章 本研究の背景と目的 第1節 本研究の背景 第1項 青年期中期の自我発達 H av ig h ur s t ( 1 9 5 3 ) に よ れ ば , 青 年 期 に 起 こ る 第 二 次 性 徴 と い う 急 激 な 身 体 発 達 により,それまで青 年 が 抱 えていた自 己 像 が 大 きく揺 れ,青 年 は「自 分 自 身 がどう いう人 物 なのか」「自 分 らしさとは 何 か」を 求 める と されている 。この 時 期 を 特 に,青 年 期 中 期 は,決 定 的 な 転 換 の 1 つの時 期 であり,衝 動 要 素 と 自 我 機 能 の 漸 進 的 な 段 階 的 配 置 と を 統 合 す る と い う 特 色 を 持 つ と さ れ て い る (B l o s , 1 9 6 2 ) 。 こ の よ う に 青 年 期 中 期 に は ,自 我 発 達 が 重 要 な 課 題 として あり,そ の 過 程 で 葛 藤 が 顕 在 化 しや すい 。 こ のよ う な 状 態 を 長 尾 ( 1 9 8 9 ) は 「 青 年 期 の 自 我 発 達 上 の 危 機 状 態 」 と し た。 自 我 発 達 の危 機 状 態 として,「同 一 性 拡 散 症 状 群 」があり,①同 一 性 意 識 の過 剰 ,②選 択 の回 避 と麻 痺 ,③対 人 的 距 離 の失 調 ,④時 間 的 展 望 の拡 散 ,⑤勤 勉 さの 拡 散 ,⑥ 否 定 的 同 一 性 の 選 択 で あ る ( 小 此 木 , 1974) 。 この 同 一 性 拡 散 の 概 念 に も 含 ま れ て い る が , Er i k s o n( 1 9 6 8 ) も 同 一 性 の 危 機 に 伴 っ て 「 時 間 的 展 望 対 時 間 的 展 望 の 拡 散 」が 顕 在 化 するとしており,自 我 発 達 に おける時 間 的 展 望 の 役 割 を重 視 している。なかでも,自 我 発 達 におい て未 来 に対 する時 間 的 展 望 が重 視 されている 。 都 筑 ・ 白 井 ( 2007)は ,未 来 の 自 分 や 目 標 ・ 出 来 事 を 思 い うかべ ,その 実 現 を 期 待 したり,希 望 することを 通 じて,自 我 同 一 性 を 達 成 するとして いる。 西 平 (1979)は この 未 来 に 対 する 時 間 的 展 望 が 否 定 的 になる と 自 我 同 一 性 の 拡 散 が 生 じ る こと を 示 し , 都 築 ( 1 9 9 4 ) は 同 一 性 拡 散 に あ ると 未 来 を 否 定 的 に 捉 え る こ とを 示 し てい る 。 第2項 青年期中期の交友関係 交 友 関 係 の 質 的 な 側 面 に 着 目 した 研 究 として ,落 合 ・ 佐 藤 (1996)は,青 年 期 の 初 期 では 「広 い範 囲 の 友 達 と浅 く関 わるつき合 い方 」を しているが ,後 期 には 「狭 い 範 囲 の 友 達 と深 く関 わるつき合 い方 」を するようになる。しかし一 方 で,「狭 い範 囲 の 友 達 と深 く関 わるつき 合 い方 」が 増 加 していくという変 化 が 示 されているとはいえ,他 の 関 係 がな くなって しまうわ けでは な く,「 狭 い 範 囲 の 友 達 と 深 く 関 わ るつ き 合 い 方 」 のような友 人 関 係 に依 存 し 密 着 したつき合 い方 をすることが必 ずしも 成 熟 した人 間 関 係 であるとはいえない(落 合 ・ 佐 藤 , 1996; 長 沼 ・ 落 合 ,1998)。つ まり,青 年 期 中 期 には「狭 く深 い」友 人 と,それ以 外 の「広 い浅 い」友 人 と両 方 の 友 人 関 係 を 通 して , 青 年 期 中 期 の 友 人 関 係 は 変 化 し て い く と いえ る 。 友 人 関 係 の 具 体 的 内 容 の 発 達 的 変 化 を 着 目 した 研 究 に ,榎 本 (2003)が ある 。 高 校 生 の友 人 関 係 については次 の点 が示 されている。活 動 的 側 面 は,男 子 は友 人 と遊 ぶ関 係 の「共 有 活 動 」からお互 いを尊 重 する「相 互 理 解 活 動 」へと変 化 し, 女 子 は友 人 との類 似 性 に重 点 をおいた「親 密 確 認 活 動 」から他 者 を入 れない絆 を 持 つ 「 閉 鎖 的 活 動 」 へと 変 化 し,その 後 男 女 と も発 達 的 変 化 の 最 終 段 階 である 「相 互 理 解 活 動 」へ変 化 する。感 情 的 側 面 は,すべての学 校 段 階 において男 子 では 「独 立 」が,女 子 では「信 頼 ・ 安 定 」が一 定 して 高 い。欲 求 的 側 面 は,互 いの相 違 点 を理 解 し互 いに 認 め 合 うことを 望 む「相 互 尊 重 欲 求 」が 学 校 段 階 と ともに 高 くなる欲 求 である と 示 した。さらにこの 「 相 互 尊 重 欲 求 」 は「 相 互 理 解 活 動 」と 強 く関 連 する と した。つまり,青 年 期 において友 人 関 係 の 具 体 的 内 容 は,「相 互 理 解 活 動 」が 増 加 し , 同 時 に 「 相 互 尊 重 欲 求 」 が 強 く な って い く と いえ る 。 ま た , 皆 川 ( 1 9 8 0 ) に よ る と , こ の 時 期 の 交 友 関 係 は 「 重 要 な 他 者 ( s i g n if ic a n t o t he r) 」 の 役 割 を 担 う と さ れ , こ の 重 要 な 他 者 が こ の 時 期 に 親 か ら 友 人 へ と 変 化 す る 。 つまり,親 に代 わる依 存 愛 情 欲 求 ・同 一 化 の相 手 として友 人 と相 互 依 存 の関 係 を 1 形 成 していくとされる (皆 川 ,1980)。 以 上 ,青 年 期 中 期 の 交 友 関 係 は,狭 く深 い 交 友 関 係 を 築 き ,それを 通 して 異 質 性 を 受 け 入 れる こと が でき るよ うにな り,結 果 と し て ,異 質 性 の ある 友 人 を 持 つ よ うに なり , 交 友 関 係 が 拡 大 す る と いえ る 。そ して , 「 重 要 な 他 者 」 と し て の 友 人 が 青 年 の 心 理 に 影 響 を 及 ぼ す の で あ る 。 この 友 人 関 係 に 影 響 を 受 け る 心 理 に 自 我 発 達 が あ り , 次 項 で そ の 関 連 に つ いて 概 観 す る 。 第3項 青年期中期の交友関係と自我発達 自 我 発 達 の 中 核 をな す 自 我 同 一 性 は , E r ik s o n ( 1 9 5 9 ) が “ 自 我 同 一 性 の 感 覚 とは,自 分 の内 的 同 一 性 と連 続 性 を維 持 する個 人 の能 力 が,他 者 にとっての自 分 の意 味 の,同 一 性 と連 続 性 によって,ふさわしいとされて生 じた自 信 ”というように, 他 者 との 関 係 ,特 に 重 要 な 他 者 との 関 わりを 通 じて 形 成 されていく。前 述 したよ うに , 青 年 期 中 期 に は そ の 対 象 が , 親 から 友 人 へ と 移 行 し て い く 。 実 証 的 研 究 と して ,長 尾 (1999) は 「 親 密 性 」 「 心 理 的 距 離 」 な どからな る 交 友 関 係 尺 度 を作 成 し,それと自 我 発 達 上 の危 機 状 態 との関 連 があることを示 している。 さらに,危 機 状 態 を 規 定 する,①自 我 の 強 さの 程 度 ,②ラ イフイベ ント衝 撃 度 ,③現 在 の交 友 関 係 (友 人 関 係 )のあり方 ,④現 在 の家 族 関 係 のあり方 ,⑤前 思 春 期 の チャ ムの 有 無 ,⑥ 幼 児 期 の 親 子 関 係 のあ り方 の6要 因 を 取 り上 げ ,そ の 中 でどれが 最 も自 我 発 達 上 の 危 機 状 態 に 影 響 を 及 ぼして いるかを 検 討 し,そ の 結 果 ,自 我 の 強 さの 程 度 に 次 いで現 在 の 交 友 関 係 (友 人 関 係 )のあり方 が 影 響 を 及 ぼしているこ とを 示 してい る 。また ,宮 下 ・ 渡 辺 (1992)は ,友 人 ・ 父 親 ・ 母 親 ・ 教 師 に 対 す る 対 人 関 係 の う ち , そ の 中 で ど れ が 最 も 青 年 期 の 自 我 同 一 性 に 影 響 を 及 ぼ し て い るか を 検 討 し,女 子 の 場 合 は 友 人 との 対 人 関 係 がもっ と も影 響 を 及 ぼしており,男 子 の 場 合 は 教 師 や 父 親 に 次 い で 友 人 が 影 響 を 及 ぼ す こ とを 示 し て い る 。 時 間 的 展 望 と 友 人 関 係 との 関 連 を 扱 った もの は 数 少 ないが ,柏 尾 (1998) があ り, 友 人 関 係 と時 間 的 展 望 との関 連 を 検 討 し,その結 果 ,未 来 に 対 する時 間 的 展 望 と 友 人 関 係 が現 在 や過 去 に対 する時 間 的 展 望 より関 連 が強 いことを示 している。以 上 から , 自 我 発 達 と 交 友 関 係 と は 密 接 に 関 連 し てい る こと が わか る 。 第 2項 で触 れたが,青 年 期 中 期 の交 友 関 係 は,異 質 性 のある友 人 を持 つように なり,交 友 関 係 が 拡 大 する。 また,重 要 な 他 者 もこの 時 期 に 親 から 友 人 へと移 行 す ると されて い る。これに 関 し, 都 筑 ( 2004) は ,「 このよ うな 人 にな りたい 」と い う人 間 の 存 在 が青 年 の希 望 の形 成 に寄 与 し,そうした他 者 との時 間 の共 有 が青 年 の自 己 形 成 を 促 す と してい る( 都 筑 ,2004) 。 また ,小 山 ・ 中 原 ( 2006) も「 モデル となる 他 者 」 を持 つことが可 能 自 己 の獲 得 に結 び付 くと指 摘 している。 これらのことより,青 年 期 中 期 の 交 友 関 係 には 同 年 輩 の 友 人 だけでなく,年 上 の 存 在 が含 まれていることが 推 察 される 。 同 様 に,重 要 な 他 者 について も,この 時 期 の 対 象 が 親 か ら 友 人 へと移 行 する とされて いる ことから も,この 移 行 に 際 して ,親 と友 人 の 中 間 的 な 人 間 が 存 在 する 可 能 性 が 高 い 。 こ れ に 関 連 し て , 笠 原 ( 1977 ) は , こ の 時 期 の 重 要 な 関 係 性 と し て , 「 斜 め の 関 係 」を挙 げている。笠 原 は「「唯 一 の」治 療 的 通 路 は,上 下 的 タテ軸 的 ,直 系 的 な関 係 か ら 離 れ た 「 中 立 的 関 係 」 と し て の , 「 斜 め の 関 係 」 で あ る 」 と し , その 代 表 と し て 「 叔 父 ―甥 」関 係 を挙 げている。つまり,タテ軸 に位 置 する親 や教 師 といった指 導 的 な 立 場 とヨコ軸 に位 置 する同 輩 友 人 の中 間 に位 置 する,“間 ”の関 係 性 である。豊 嶋 (2004)は 不 登 校 支 援 サポーターの実 践 の視 点 から,大 学 生 と 中 学 生 の 関 わりか ら, 笠 原 の「斜 めの関 係 」を 捉 えなおしており,血 縁 関 係 ではなく,年 齢 差 と地 位 的 標 高 差 によ る 「 斜 め の 関 係 」 が 成 立 す る と してい る 。 豊 嶋 ( 2004) に よる と , " 縦 " と は 組 織 ・集 団 ・関 係 に おける権 利 義 務 文 脈 での 垂 直 的 地 位 差 に 基 づく関 係 性 である。 2 そこでは,上 位 者 と 下 位 者 の 双 方 が,支 配 し・ 服 従 する,指 導 し・ 指 導 される ,リード し・される,保 護 養 育 し ・される 関 係 性 にあ り, "横 "とは 権 利 義 務 文 脈 に おける 地 位 差 がなく,一 過 的 に地 位 差 が生 じたとしても,地 位 差 の平 準 化 が正 当 と双 方 が認 知 す る 関 係 であると している。 本 研 究 において は,年 齢 差 があるが 地 位 的 標 高 差 の 平 準 化 が正 当 と双 方 が認 知 する関 係 ,つまり,異 年 齢 間 (年 上 )の友 人 的 関 係 を 「ナナメの関 係 」とする。そのほか,「ナナメの関 係 」について論 考 したものとして,中 根 ( 1967 ) , 梶 田 ( 1995 ) , 吉 村 ( 1998 ) な どが あ り, そ れぞ れ「 ナ ナ メ の 関 係 」 の 重 要 性 を指 摘 している。 以 上 のことから,青 年 期 中 期 の 交 友 関 係 と自 我 発 達 との関 連 を検 討 するには, 「ナ ナメ の 関 係 」 を 含 め た 検 討 の 必 要 性 が あ る 。 第4項 青年期中期の居場所における交友関係と自我発達 筆 者 は 青 年 期 中 期 , 主 と し て 高 校 生 年 代 の 居 場 所 づ く り に 6 年 間 携 わ っ て きた 。 そこでは,前 述 したような「ナナメの関 係 」を含 む 交 友 関 係 が多 く見 られた。 一 方 ,学 校 にお ける 集 団 は,基 本 的 に 同 年 齢 集 団 が 中 心 であり,また ,異 学 年 に 関 しては, 先 輩 後 輩 と い う 地 位 標 高 差 が あ る 関 係 に な る と 考 え ら れる 。 こ れ に 対 し て , 青 年 期 に ある年 齢 差 のある人 々が出 会 い,地 位 標 高 差 を考 慮 することな く,関 係 を 維 持 する こ とを 意 図 し て 設 置 さ れ て い る 機 関 が 「 居 場 所 」 で ある と 考 え ら れる 。 心 理 学 的 立 場 か ら 居 場 所 の 内 容 を 論 考 した も のと して ,北 山 ( 1992) が あ り,居 場 所 を,「 自 分 」を成 立 するための外 的 要 因 であるとした。都 筑 (1998)は 実 践 現 場 の 報 告 等 を もと に,居 場 所 は 物 理 的 な 場 所 と 安 心 した 心 理 状 態 の 両 方 を 含 ん だ も のであ り,そ こでは 他 者 とのつなが りが 存 在 して いるとして いる。 このように , 居 場 所 に おいて「 関 係 性 」を 重 視 して いる ものが 多 い ( 荻 原 , 1997; 住 田 , 2004 など)。特 に 田 中 ( 2002) は 居 場 所 を 関 係 性 の 中 で 自 分 の 位 置 と 将 来 の 方 向 性 を そ の 時 々 で 確 認 で き る 場 と し てい る 。 居 場 所 と 自 我 発 達 の 関 連 を 論 じた もの と しては 荻 野 ( 2013) や 小 沢 ( 2000) な ど が ある 。 実 証 的 な 研 究 の 数 は 少 な い が ,杉 本 ・ 庄 司 ( 2006) は , 大 学 生 を 対 象 と し て,現 在 の「居 場 所 環 境 」の有 無 による,自 我 発 達 を検 討 している 。その結 果 ,現 在 の「居 場 所 環 境 」については,「自 分 ひとりの 居 場 所 」「家 族 のいる居 場 所 」「友 だ ちの いる 居 場 所 」 の 3 種 類 の 居 場 所 を 同 時 に 持 っ てい る こと が 自 我 同 一 性 の 獲 得 に重 要 である ことを 示 している。また, 吉 川 ・ 粟 村 ( 2013)は,大 学 生 の「 アイデンティ テ ィ 」 の 確 立 に ど の よ う に 居 場 所 が 関 係 し て い る の かを 検 討 し て い る 。 そ の 結 果 , 「 受 容 される 居 場 所 」と「 成 長 できる居 場 所 」といった他 者 との 親 密 な 交 流 のある居 場 所 がアイデンティティの確 立 に 関 係 していることを示 している。しかし,両 者 とも 居 場 所 に お け る 「 関 係 性 」 を 重 要 視 し て い る が , 「 友 だ ち 」 あ るい は 「 他 者 」 と い っ た 具 体 的 に どのような対 象 との 関 わりが 自 我 発 達 に 影 響 を 及 ぼしているか 明 らかにはされていな い。 第2節 本研究の目的 第1項 先行研究の課題 これまで概 観 してきたように ,友 人 関 係 に 関 す る 研 究 はいずれも,「友 人 関 係 がど のよ うな 関 係 であるか 」という関 係 性 を 扱 っ た研 究 であり,「どんな 友 人 と付 き 合 っ て いるか」という友 人 関 係 の 対 象 ,つまり 友 人 を同 性 かつ同 年 輩 に限 定 して扱 ってき ている。友 人 関 係 の 発 達 において 青 年 期 中 期 は異 質 性 を受 け入 れていく段 階 であ り,年 齢 が 異 なろうとも友 人 となりうると推 測 できる。また,友 人 が 同 性 かつ同 年 ( 同 学 年 )であ る 場 合 と,友 人 が 異 性 である 場 合 あ るいは 年 齢 が 異 なる 場 合 との 友 人 関 係 がまったく同 質 であるとは考 えられない。さらに,自 我 発 達 や 時 間 的 展 望 に 及 ぼ 3 す影 響 も同 様 のことが言 える。しかし,これまでの研 究 では,友 人 関 係 の対 象 が同 年 輩 に限 定 されており,異 性 あるいは年 齢 の 異 なる友 人 がどの 程 度 存 在 するのか を 明 らか にする必 要 がある 。さらに,同 年 の友 人 と 年 齢 が異 な る友 人 によ る自 我 発 達 や 時 間 的 展 望 へ の 影 響 の 相 違 も 検 討 を 行 う 必 要 が ある 。 第2項 本研究の目的 本 研 究 では ,以 上 のような 課 題 を 検 討 する ため に,以 下 の 2つの 目 的 を 設 定 した 。 第 一 の目 的 は,青 年 期 中 期 の交 友 関 係 において,同 年 の友 人 関 係 とナナメの関 係 が 交 友 関 係 の な かに ど の 程 度 存 在 す る の か , ま た , 関 係 性 の 質 的 差 異 は ど のよ う な ものな のか を 明 らか にす る こ と であ る 。 そ のた め , 研 究 1 で は , 青 年 期 中 期 の 高 校 生 に 対 して ,質 問 紙 調 査 を 行 い,ナナメの 関 係 を含 めた交 友 関 係 を 明 らかにする。 次 に ,研 究 2では ,友 人 関 係 の 質 に 関 する 質 問 紙 調 査 を 行 い,同 年 の 友 人 関 係 と ナナ メの 関 係 と の 質 的 差 異 の 比 較 検 討 を 行 う 。 続 い て , 研 究 3 に お いて , ナナ メの 関 係 の 多 く み ら れ る 居 場 所 に おい て ,ナ ナメ の 関 係 の 様 態 を 検 討 す る 。 第 二 の目 的 は,青 年 期 中 期 の交 友 関 係 において,年 齢 差 別 にみた,自 我 発 達 に 及 ぼす 影 響 の 差 異 を 明 らかにす ること である 。 そのた め,まず 研 究 4では ,青 年 期 中 期 におけるナナメの関 係 を含 めた 交 友 関 係 が自 我 発 達 上 の危 機 状 態 に及 ぼす 影 響 に つ い て 検 討 す る 。 次 に , 研 究 5 で は , 青 年 期 中 期 に お け る ナ ナメ の 関 係 を 含 めた交 友 関 係 が未 来 に対 する時 間 的 展 望 に及 ぼす影 響 について検 討 を行 う。続 いて,研 究 6では,研 究 4および研 究 5で検 討 した青 年 期 中 期 における ナナメの関 係 の自 我 発 達 への影 響 について,青 年 期 中 期 に居 場 所 においてナナメの関 係 を 経 験 し た 者 に 対 し , イ ン タ ビ ュー 調 査 を 行 い , そ の 内 容 の 詳 細 の 検 討 を 行 う 。 第 2 章 青 年 期 中 期 の 交 友 関 係 に おける 同 年 の 友 人 関 係 とナナメの 関 係 第1節 青年期中期における交友関係の探索的調査(研究1) 目的 研 究 1では ,青 年 期 中 期 にお ける 異 年 齢 間 の 友 人 的 関 係 ,特 に 年 上 の 友 人 と の 関 係 が 一 般 に ど の 程 度 存 在 す る の か を 明 らかに す る こと を 目 的 と し た 。 方 法 調 査 協 力 者 私 立 高 等 学 校 生 270 名 のうち ,回 答 に不 備 のなかっ た 251 名 を分 析 の対 象 とした。251 名 の内 訳 は,男 子 92 名 ,女 子 159 名 ,年 齢 15 ~ 1 8 歳 , 平 均 1 6 . 6 9 歳 ( S D : . 9 6 2 ) で あ っ た 。 調 査 時 期 2 0 0 6 年 1 0 月 ~ 11 月 手 続 き 副 校 長 宛 に 郵 送 し,主 に 担 任 教 諭 がクラスごとに 一 斉 に 実 施 した。回 収 は同 様 にクラスごとに担 任 教 諭 がおこなったのち,郵 送 により筆 者 が 回 収 した。 調 査 材 料 ( 1 )フ ェ イ ス ・ シ ー ト 調 査 協 力 者 の 年 齢 ・ 学 年 ・ 性 別 を 求 め た 。( 2 ) 分 類 ごとの友 人 数 についての調 査 回 答 は ,友 人 の 人 数 の 記 入 を 分 類 ごとに 求 め た。友 人 に ついては ,その 友 人 が 男 性 か 女 性 か,年 齢 差 ,学 内 か 学 外 かを 基 準 に 1 2 カ テ ゴリ ーに 分 類 し た 。 結果と考察 1)分類ごとの友人数 本 研 究 の 結 果 では ,同 年 ( 同 学 年 )の 友 人 を 持 つ 高 校 生 は ,年 上 の 友 人 を 持 つ 者 と 比 較 し て 多 か った 。 さ らに , 「 同 年 」 「 1 ~ 2 歳 年 上 」 「 3 ~ 5 歳 年 上 」 「 6 歳 以 上 年 上 」の 友 人 の順 に,その友 人 を 持 っている高 校 生 が 減 っていく傾 向 にあった。これは これまで「 同 年 輩 の友 人 」を 前 提 に行 わ れてきた研 究 を裏 付 ける ものである。しかし, 6 割 の 高 校 生 が 「 1 ~ 2 歳 年 上 」 の 友 人 を 持 っ てい ると い う 結 果 は , 「 同 年 輩 」 のな か に 1 ~ 2 歳 年 上 が 含 ま れ て い る こ とを 示 し た 。 異 性 の 友 人 に つ い て , 同 年 で は 半 数 近 くの 高 校 生 が 異 性 の 友 人 を 持 っ ていた。さら に 異 性 の 場 合 でももっ とも比 率 の 少 ない 「 6 歳 以 上 」 の 友 人 も 3 割 の 高 校 生 が いる こ とを 示 し た 。 つ ま り , 現 在 の 高 校 生 4 の 友 人 関 係 に は 異 性 の 友 人 も 存 在 し て いる こ と を 示 し た 。 2)分類ごとの友人数に及ぼす,学年・性別の影響 本 研 究 の 結 果 で は , 「 学 外 に お け る 1 ~ 2 歳 年 上 の 友 人 」 に つい て , 異 性 の 友 人 を男 子 より女 子 が 多 く持 っており,逆 に 同 性 の 友 人 を男 子 が女 子 より多 く持 ってい た。異 性 友 人 に対 する感 情 の研 究 で,男 性 から女 性 友 人 に対 して「頼 られたい」や 「尊 敬 されたい」という感 情 がみら れるのに 対 して,女 性 から 男 性 友 人 に 対 して,「甘 え た い 」や 「 頼 り た い 」 と い う 感 情 が み ら れた 結 果 から 性 役 割 観 の 存 在 が 示 さ れ て いる ( 山 本 , 1986) 。この 結 果 も ,両 者 の 「 頼 りた い 対 頼 ら れた い 」 と い う感 情 か ら ,女 性 のほ う が 頼 り が いの ある 年 上 の 異 性 の 友 人 の 数 が 増 加 し た も のと 考 え う る 。 第 2節 青 年 期 中 期 に おけ る 交 友 関 係 の 質 的 差 異 に 関 す る 研 究 ( 研 究 2 ) 目的 研 究 2では ,研 究 1の 知 見 に 基 づき ,青 年 期 中 期 の 交 友 関 係 に おいて , 同 年 輩 の 友 人 関 係 と ナ ナ メの 関 係 の 質 的 差 異 を 検 討 す る こ とを 目 的 と し た 。 方 法 調 査 協 力 者 私 立 高 等 学 校 生 270 名 のうち ,回 答 に不 備 のなかっ た 251 名 を分 析 の対 象 とした。251 名 の内 訳 は,男 子 92 名 ,女 子 159 名 ,年 齢 15 ~ 1 8 歳 , 平 均 1 6 . 6 9 歳 ( S D : . 9 6 2 ) で あ っ た 。 調 査 時 期 2 0 0 6 年 1 0 月 ~ 11 月 手 続 き 副 校 長 宛 に郵 送 し,主 に担 任 教 諭 がクラ スごとに一 斉 に実 施 した。 回 収 は 同 様 に ク ラ ス ご と に 担 任 教 諭 が お こ な っ た のち , 郵 送 に よ り 筆 者 が 回 収 し た 。 調 査 材 料 ( 1 )フ ェ イ ス・シ ー ト 調 査 協 力 者 の 年 齢 ・ 学 年 ・ 性 別 を 求 め た 。 ( 2 )同 年 / 年 上 の 友 人 と の 友 人 関 係 に つ い ての 調 査 同 年 と 年 上 の 2 分 類 で お のお の , 友 人 ( も っ と も 親 し い 友 人 ) と の 友 人 関 係 とそ の 人 の 属 性 を 尋 ね た 。 回 答 は , 性 別 ,年 齢 差 ,職 業 を選 択 肢 から 選 択 した。友 人 関 係 の調 査 には,榎 本 (2003)の 友 人 関 係 の活 動 的 側 面 を捉 える質 問 紙 のうち,発 達 の最 終 段 階 である相 互 理 解 活 動 尺 度 ( 5項 目 )と,欲 求 的 側 面 を 尋 ねる質 問 紙 のうち ,相 互 理 解 活 動 と関 連 の 強 い相 互 尊 重 欲 求 尺 度 (6 項 目 )を用 いた。 結果と考察 1)友人関係の友人属性 本 研 究 の 結 果 で は , 高 校 生 の 同 年 の 友 人 は 9 割 以 上 が 同 性 で あ る こ とが 明 ら か にされた。友 人 との 類 似 性 は 先 行 研 究 でも指 摘 されており,友 人 同 士 の 90%が同 じ性 別 であるとい う結 果 と も一 致 す る(Kupersmidt et al., 1995) 。年 上 の 友 人 も 同 様 に 同 性 が 8 割 の 値 を 示 し て い る 。こ の こ とか ら, 年 上 の 場 合 も 性 別 に 関 し て , 類 似 性 を 重 視 して いる傾 向 が みら れる。また,ほぼすべて の 高 校 生 の 同 年 の 友 人 は , 同 じ高 校 生 であった 。これも類 似 性 を 求 める 影 響 と 考 えられる 。ただ し,同 じ高 校 生 でも環 境 の 異 なる学 外 にいる場 合 が約 4 割 を 占 めており,榎 本 (2003)はこの時 期 に友 人 との関 係 内 容 が同 質 性 から異 質 性 へと変 化 し,この移 行 期 独 特 の関 係 が 存 在 すると しており ,この 移 行 期 に おける 同 質 性 と 異 質 性 が 入 り混 じった ものと 考 え られ た 。 こ れ に 対 し , 年 上 の 友 人 で は 友 人 が 同 じ 高 校 生 で あ る のは 4 割 弱 に し か 満 たず,次 いで大 学 生 であった。現 実 に,学 年 が上 がるごとに年 上 の高 校 生 は 少 な く なるため,年 上 の 友 人 に 関 しては職 業 に ついて の類 似 性 を 重 視 しない傾 向 にあると 考 えられた。 2)友人関係に及ぼす,性別・学年・同年/年上の影響 本 研 究 の 結 果 では ,相 互 理 解 活 動 は ,同 年 の 友 人 に 対 して 有 意 な 性 差 が 認 め られていたが,年 上 の 友 人 に 対 しても,有 意 な 結 果 ではないが 平 均 値 には 同 様 の 傾 向 がみられていた。相 互 尊 重 欲 求 は,同 年 の友 人 に対 しても年 上 の友 人 に対 し て も同 様 に 女 子 の ほ うが 男 子 よ りも 強 く 持 っ て いた 。榎 本 (2003) に お いて も相 互 理 解 活 動 および相 互 尊 重 欲 求 には 同 様 の 性 差 がみられており,同 年 に 対 して も年 上 5 に対 しても,友 人 関 係 の性 差 は存 在 するものと推 察 された 。つまり,女 子 の 特 徴 であ る 共 有 ,協 調 の 関 係 の 中 で,互 いに 求 め るもの が大 きくな ること によると 考 えら れた 。 相 互 理 解 活 動 ,相 互 尊 重 欲 求 ともに,同 年 の友 人 に対 してのほ うが,年 上 の友 人 に対 してよりも高 かった。これは 同 年 の 友 人 との 友 人 関 係 がより上 位 の 発 達 である と 考 えられた 。しかし ,相 互 理 解 活 動 や 相 互 尊 重 欲 求 以 外 の 側 面 での 相 違 点 が 考 え られ,年 上 の 友 人 との年 齢 差 が 1~2 歳 の 場 合 が多 いことを含 めると,同 年 輩 にお いて も 同 年 か 1 ~ 2 歳 年 上 か によ ってそ の 関 係 に 差 があ る こ とが 示 唆 さ れ た 。 第3節 青年期中期における交友関係の居場所における エスノグラフィによる質的検討(研究3) 第 3 章 青 年 期 中 期 における 交 友 関 係 が 自 我 発 達 に 及 ぼす 影 響 第1節 青年期中期における交友関係が自我発達上の危機状態に 及ぼす影響(研究4) 目 的 研 究 1,2および3で得 られた 知 見 に 基 づき,青 年 期 中 期 の 交 友 関 係 のう ち,同 年 輩 の友 人 関 係 とナナメの関 係 の及 ぼ す自 我 発 達 上 の危 機 状 態 に及 ぼす 影 響 を検 討 することを目 的 とした。 方 法 調 査 協 力 者 私 立 高 等 学 校 生 270 名 のうち ,回 答 に不 備 のなかっ た 251 名 を分 析 の対 象 とした。251 名 の内 訳 は,男 子 92 名 ,女 子 159 名 ,年 齢 15 ~ 1 8 歳 , 平 均 1 6 . 6 9 歳 ( S D : . 9 6 2 ) で あ っ た 。 調 査 時 期 2 0 0 6 年 1 0 月 ~ 11 月 手 続 き 副 校 長 宛 に 郵 送 し,主 に 担 任 教 諭 がクラスごとに 一 斉 に 実 施 した。回 収 は同 様 にクラスごとに担 任 教 諭 がおこなったのち,郵 送 により筆 者 が 回 収 した。 調 査 材 料 ( 1) フェイス・シート 調 査 協 力 者 の 年 齢 ・ 学 年 ・ 性 別 を 求 めた 。(2) 分 類 ごとの友 人 数 についての調 査 研 究 1で用 いた質 問 紙 を使 用 した。(3)自 我 発 達 上 の 危 機 状 態 の 調 査 長 尾 (2005) の 「 青 年 期 の 自 我 発 達 上 の 危 機 状 態 尺 度 ( 2 6項 目 )」を用 いた。 結 果 と 考 察 本 研 究 の結 果 では男 子 および女 子 あるいは 1 年 生 ~3 年 生 いず れの 場 合 も 青 年 期 の 自 我 発 達 に 「同 年 の 友 人 」の 人 数 は 影 響 を 与 えて いなかっ た 。 このことは ,従 来 の研 究 では 自 我 発 達 や自 我 同 一 性 に友 人 関 係 の「あり方 」のよ う な 関 係 が 影 響 して お り ( 長 尾 ,1999) ,「 同 年 の 友 人 」 と の 友 人 関 係 に お い ては ,量 的 な も のよ り も , 質 的 な 関 係 が 影 響 を 与 え る こ と が 推 察 さ れ た 。 「 学 外 に いる 1 ~ 2 歳 年 上 」の同 性 友 人 の人 数 が増 えると,ほぼ男 女 とも学 年 の差 なく,青 年 期 特 有 の 葛 藤 がおさまり安 定 していた。松 井 (1990)のいう友 人 関 係 が 青 年 にとって 果 たす 機 能 としての,モデルに 着 目 すると,発 達 的 に 進 ん でいると推 察 される「 1~2 歳 年 上 」の 友 人 を モデ ルとして 学 習 し,あるいは ,重 要 な 他 者 と して 同 一 化 を 行 うこと で自 我 発 達 が 促 進 されている と考 えられた 。さらに,この 重 要 な 他 者 の 対 象 が 親 から 友 人 へと 移 る 時 期 であり,その移 行 期 に際 し,「 年 上 の 友 人 」というその中 間 に 位 置 する 存 在 が 重 要 な 他 者 と し ての 役 割 を 果 た し , 自 我 発 達 に 影 響 を 与 え てい る と 推 察 さ れ た 。 第2節 青年期中期における交友関係が未来に対する時間的展望に 及ぼす影響(研究5) 目 的 研 究 1,2および3で得 られた 知 見 に 基 づき,青 年 期 中 期 の 交 友 関 係 のう ち,同 年 輩 の友 人 関 係 とナナメの関 係 の及 ぼす未 来 に対 する時 間 的 展 望 に及 ぼ す 影 響 を 検 討 す る こ とを 目 的 と し た 。 方 法 調 査 協 力 者 私 立 高 等 学 校 生 270 名 のうち ,回 答 に不 備 のなかっ た 6 251 名 を分 析 の対 象 とした。251 名 の内 訳 は,男 子 92 名 ,女 子 159 名 ,年 齢 15 ~ 1 8 歳 , 平 均 1 6 . 6 9 歳 ( S D : . 9 6 2 ) で あ っ た 。 調 査 時 期 2 0 0 6 年 1 0 月 ~ 11 月 手 続 き 副 校 長 宛 に 郵 送 し,主 に 担 任 教 諭 がクラスごとに 一 斉 に 実 施 した。回 収 は同 様 にクラスごとに担 任 教 諭 がおこなったのち,郵 送 により筆 者 が 回 収 した。 調 査 材 料 ( 1 )フ ェ イ ス・シ ー ト 調 査 協 力 者 の 年 齢 ・ 学 年 ・ 性 別 を 求 め た 。( 2 ) 分 類 ご と の 友 人 数 に つ い て の 調 査 研 究 1で用 いた質 問 紙 を使 用 した。( 3 ) 未 来 に 対 す る 時 間 的 展 望 の 調 査 白 井 (1997)の 時 間 的 展 望 体 験 尺 度 の うち , 未 来 に対 する時 間 的 展 望 体 験 尺 度 (「希 望 」を測 定 する4項 目 と「目 標 指 向 性 」を 測 定 する5項 目 の計 9項 目 )を用 いた。 結果と考察 本 研 究 の 結 果 では,「同 年 」の 友 人 数 は,未 来 に 対 する時 間 的 展 望 との 関 連 がなかった。これは 研 究 4で示 されたとおり,自 我 発 達 との 関 連 と同 様 に,時 間 的 態 度 の関 連 のある「同 年 」の友 人 関 係 について,量 的 な人 数 よりも質 的 な 関 係 が 影 響 し て い る こ とを 示 唆 す る 結 果 と 考 え ら れ た 。 「 学 外 の 1 ~ 2 歳 年 上 ( 同 性 ) 」の 友 人 を 多 く持 つほど,未 来 に 対 する 時 間 的 展 望 が 肯 定 的 であった 。生 涯 発 達 の 観 点 か ら , L e v in ( 1 9 5 1 ) は 児 童 期 か ら 青 年 期 の 未 来 に 対 す る 時 間 的 展 望 の 範 囲 が拡 大 するとしているが,実 証 的 な研 究 に よって未 来 に 対 する時 間 的 展 望 の 広 が りの 範 囲 は 拡 大 するが 青 年 期 に 一 時 的 に 縮 小 することが あり ,さらに 関 心 が 近 い 未 来 に 向 く と 示 さ れ て いる ( 白 井 , 1 9 9 7 ) 。そ の 近 い 将 来 に ある 「 学 外 の 1 ~ 2 歳 年 上 ( 同 性 )」の友 人 を 持 つことで具 体 的 な 将 来 展 望 を 描 きやすくなり,その結 果 として 未 来 に 対 す る 時 間 的 展 望 が 肯 定 的 に なる こ と が 推 察 さ れ た 。 第3節 青年期中期における交友関係が自我発達に及ぼす影響の 質的検討(研究6) 第4章 総括 第1節 総合考察 本 研 究 の目 的 は,青 年 期 中 期 における交 友 関 係 が自 我 発 達 に及 ぼす影 響 に つい て ,ナ ナメ の 関 係 に 着 目 し て 検 討 す る こ と で あっ た 。 この 目 的 を 達 成 するために ,研 究 1では,質 問 紙 調 査 により,青 年 期 中 期 にお け る 交 友 関 係 に 約 6 割 の ナ ナメ の 関 係 を 有 し て い る こと が 明 らか に さ れた 。 特 に 女 子 は , 「1~2 歳 年 上 で学 外 にいる友 人 ( 異 性 )」を多 く有 しており,男 子 は「1~2 歳 年 上 で 学 外 にいる 友 人 ( 同 性 )」を 多 く有 してい ることが 明 らかに された 。研 究 2では,研 究 1 で得 られた 知 見 を もと に,同 年 輩 の 友 人 と の 友 人 関 係 と ,ナナ メの 関 係 と の 質 的 差 異 を検 討 した結 果 ,相 互 理 解 活 動 および相 互 尊 重 欲 求 について同 年 輩 の 友 人 関 係 のほうが 強 く持 っており, 両 者 の 関 係 性 には 質 的 な 差 異 があることが明 らかにされ た。研 究 3では,青 年 期 中 期 における交 友 関 係 を日 常 的 文 脈 から質 的 に検 討 し, 青 年 期 中 期 に お け る 交 友 関 係 に ナナ メの 関 係 があ る こと が 示 唆 さ れ た 。 研 究 4では ,青 年 期 中 期 にお ける 交 友 関 係 が 自 我 発 達 上 の 危 機 状 態 に 及 ぼす 影 響 について検 討 した結 果 ,同 年 輩 の友 人 からの影 響 はなく,ナナメの関 係 が自 我 発 達 上 の 危 機 状 態 を 安 定 化 させる ことが 明 らかにされた 。研 究 5では ,同 様 に 青 年 期 中 期 における交 友 関 係 が未 来 に 対 する時 間 的 展 望 に及 ぼす影 響 について検 討 した 結 果 ,同 年 輩 の 友 人 からの影 響 はなく ,ナナメの関 係 が 未 来 に 対 する 時 間 的 展 望 を 肯 定 的 に させる ことが 明 らか に された 。 研 究 6では ,研 究 5およ び研 究 6で 得 ら れ た 知 見 を も と に , 青 年 期 中 期 に お い て ナ ナ メの 関 係 を 経 験 し た 社 会 人 に 対 し て,質 的 調 査 した結 果 ,ナナメの関 係 を持 つこ とが自 我 発 達 にポジティブな影 響 を 及 ぼ し て いる と 推 察 さ れ た 。 7 ま た , 本 研 究 で は , ナ ナ メの 関 係 が 未 来 に 対 す る 時 間 的 展 望 を 肯 定 的 に す る こ と が推 察 された。しかし,高 校 生 にとって1~ 2 歳 年 上 の存 在 は,必 ずしも大 学 生 とは 限 ら ない 。 1 年 生 に と って 1 ~ 2 歳 年 上 の 存 在 は, 高 校 2 年 生 も し く は 3 年 生 の 上 級 生 である。本 研 究 の 結 果 では,未 来 に 対 する時 間 的 展 望 に 影 響 を 及 ぼしていた のは , 上 級 生 に あ たる 「 学 内 に い る 1 ~ 2 歳 年 上 」 で はな く , 「 学 外 に い る 1~ 2 歳 年 上 」 であった 。つ まり,学 内 の 上 級 生 よ りも,比 較 的 遠 い 存 在 である ,学 外 の 年 上 の 友 人 か ら 影 響 を 得 て い ると い うこと であ る 。この 時 期 の 友 人 は ,異 質 性 を 取 り 入 れる 時 期 であり,学 校 の 違 う友 人 を 持 つことが 発 達 的 な 意 味 を 持 っている可 能 性 が 推 察 される。つまり,居 場 所 のよ うな 異 質 性 と 触 れ 合 う機 会 を 設 けることが,青 年 期 中 期 の自 我 の安 定 や時 間 的 展 望 の肯 定 化 を促 す重 要 な教 育 的 支 援 となると考 え ら れた。 以 上 のよ うに,先 行 研 究 では ,友 人 を 同 年 輩 に 限 定 して 取 り扱 って 検 討 されてき たが,青 年 期 中 期 におけるナナメの関 係 という視 点 から,自 我 発 達 に 及 ぼす影 響 に ついて検 討 し,青 年 期 中 期 においてナナメの関 係 が自 我 発 達 に対 し,正 の影 響 を 及 ぼ す こ とを 明 ら かに で き た 。 第2節 教育的示唆 本研究からは,以下の 2 つの教育的示唆が得られた。1 点目は,異年齢 交流および異校種間交流への応用である。これまで,異年齢交友の文脈か ら , 年 上 が 年 下 に 関 わ る 研 究 は な さ れ て い る が ( 中 出 , 2 0 0 3 な ど ), 年 下 への影響を調査したものは少ない。本研究で得られた「ナナメの関係」が 心的成長の一つである自我発達に適応的な効果をもたらすという結果を踏 まえれば,現在同年代を中心とするピア・サポートプログラムに異年齢交 流 お よ び 異 校 種 間 交 流 な ど の「 ナ ナ メ の 関 係 」と い う 視 点 を 加 え る こ と で , 新 た な ピ ア・サ ポ ー ト へ の 支 援 の 可 能 性 を 探 る こ と が で き る と 考 え ら れ る 。 また, 「 学 内 に い る 1 ~ 2 歳 年 上 」 で あ っ て も ,同 質 性 の 高 い 部 活 動 な ど の 先輩―後輩関係ではない,モデルとして可能自己に近い存在を提供するこ とが学内における「ナナメの関係」の視点を加えたピア・サポートが考え られる。2 点目は,近年大学生のボランティアが高等学校に入る活動は多 く み ら れ て い る ( 例 え ば , 松 田 , 2 0 0 7 ; 下 岡 他 , 2 0 1 0 )。 ま た , 認 定 特 定 非 営 利 活 動 法 人 NPO カ タ リ バ に 代 表 さ れ る よ う に , キ ャ リ ア 支 援 を 目 的 と した活動も行われてきている。そのなかで,本研究で得られた知見は,こ れらの活動の実証的な裏付けをすると同時に,キャリアや進路選択に限ら ず ,自 我 発 達 へ の 肯 定 的 な 影 響 も 及 ぼ す こ と が 示 す こ と が で き た 点 で あ る 。 第3節 今後の課題 本 研 究 では,年 上 との友 人 関 係 があることが確 認 され, 自 我 発 達 に影 響 を及 ぼ す,同 年 との 友 人 関 係 の側 面 と年 上 との 友 人 関 係 の 側 面 が異 なることが 明 らかにさ れた。しかし,どのような友 人 関 係 の 側 面 が 関 連 しているかは明 らかにされなかった。 年 上 の 友 人 の 存 在 が 確 認 され,その 友 人 数 が 自 我 発 達 などの 心 理 的 側 面 と関 連 があ る ことが 認 めら れた 以 上 ,年 上 の 友 人 との 友 人 関 係 が どのよ うな もの である かを 調 査 し,年 上 の 友 人 との 友 人 関 係 を 測 る 尺 度 を作 成 し,そ れを 以 って 心 理 的 側 面 との 関 連 を 検 討 す る 必 要 が あ る 。 8 文献 Bl o s , P ( 1 9 6 2 ) . 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