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6 材料力学 (1)応力とひずみ
6 材料力学 (1)応力とひずみ 1 材料にかかる荷重 材料にかかる荷重として、引張り荷重とせん断荷重がある。 引張荷重: 断面に対して 垂直の荷重 せん断荷重: 断面に対して 平行の荷重 圧縮荷重はマイナスの引張り荷重 引張応力とひずみ 応力とは単位断面積あたりの荷重 F σ= S 応力の単位は N/m2(=Pa)、kgf/mm2 F ひずみとは単位長さあたりの伸び ⊿L ε= L ⊿L S L ひずみの単位はない(無次元数) 2 フックの法則 応力とひずみは比例する σ=Eε E:縦弾性計数(材料固有の値) 応力 この傾きがE Eが大きい方が変形しにくい 炭素鋼:E=21000kgf/mm2 アルミ:E= 7000kgf/mm2 ひずみ 引張り試験(1) 材料に引張り荷重をかけると伸びて、最後には破断する 引張強さ 応力 耐力 破断 弾性限 弾性変形 塑性変形 応力−ひずみ曲線 3 引張り試験(2) 材料によってはほとんど伸びない(塑性変形しない)材料も ある。 脆性材料 応力 引張強さ 破断 鋳鉄、セラミックス、ガラスなど ひずみ 応力−ひずみ曲線 引張り試験(3) 軟鋼(SS400、S15Cなど)の応力ーひずみ曲線 引張強さ 応力 降伏応力 破断 弾性限 ひずみ 応力−ひずみ曲線 4 強度計算 例題 SS400で作られた直径4mmの針金に何キロの錘を吊り下げ たら、針金は塑性変形するか。 また、何キロの錘を吊り下げたら針金は破断するか。 但し、針金の降伏応力を20kgf/mm2、引張り強さを40kgf/mm2 とする。 断面積 S=12.56mm2 降伏荷重 F=σ・S=20×12.56=・・・ 破断荷重 F=σ・S=40×12.56=・・・ 強度計算 例題 クロムモリブデン鋼で作られた直径4mmの針金に何キロの 錘を吊り下げたら、針金は塑性変形するか。 また、何キロの錘を吊り下げたら針金は破断するか。 但し、クロムモリブデン鋼の降伏応力を90kgf/mm2、引張り 強さを100kgf/mm2とする。 断面積 S=12.56mm2 降伏荷重 F=σ・S=90×12.56=1130kgf 破断荷重 F=σ・S=100×12.56=1256kgf 5 安全率 実際の設計では、強度の限界まで荷重がかからないように設 計する。 設計上の余裕を持たせた応力を許容応力という。 基準の強さ 許容応力= 安全率 基準の強さとして、延性材料のときは降伏応力または耐力 脆性材料のときは引張り強さを使う。 一般的な安全率 静加重 繰返し荷重 衝撃荷重 (軟鋼の場合) 3 5 12 強度計算 例題 SS400で作られた針金に80kgの人がぶら下るときの、針金の 直径を求めなさい。 但し、針金の降伏応力を20kgf/mm2、安全率を3とする。 許容応力 σ=降伏応力/安全率≒7kgf/mm2 断面積 S=F/σ=80/7=11.4mm2 直径 D=2√(11.4/3.14)=3.8mm 6 せん断応力 せん断応力とは、断面に対して平行に働く応力 τ= F S F S 単位は引張り応力と同じ (N/m2(=Pa)、kgf/mm2) 強度計算 例題 S45Cで作られた直径5mm円柱のピンには何kgの錘をぶら下る ことができるか。 但し、S45Cの降伏応力を50kgf/mm2、安全率を3とする。 許容せん断応力は降伏応力の半分とする 許容せん断応力 τ=50/3/2≒8.3kgf/mm2 断面積 S=2.52・π=19.6mm2 せん断力 F=τ・S=8.3×19.6=162.7kgf 錘の質量 m=2F=162.7×2=325.4kg 7 (2)はりのたわみと、軸のねじれ はりに働く力 力を受ける細長い棒をはりという。 はりに作用する力を調べ、はりの強度計算をおこなう。 はりが固定されるタイプ 両端支持はり(両端回転可) 両端固定はり(両端回転不可) 片持ちはり(片端回転不可) 8 はりに働く力 はりに作用する力のタイプ 集中荷重 はりの一点だけに力が作用 等分布荷重 はり全体に力が作用 両端支持はりに働く力 長さLのはりに、l1の位置に 集中荷重Fが働くと、 反力R1、R2が発生する。 R1 F l1 R2 L 力のつりあいより F+R1+R2=0 左点まわりのモーメントのつりあいより Fl1−R2L=0 方程式を解くと l1 L−l1 R1= F 、R2= F L L 9 練習問題 長さ900mmのはりに、500mmの位置に 集中荷重72kgfが作用したときの 反力R1、R2を求めなさい。 R1 72 500 R2 900 力のつりあいより 72−R1ーR2=0 左点まわりのモーメントのつりあいより 72・500−R2 ・900=0 方程式を解くと R1=32kgf 、R2=40kgf 片持はりに働く力 長さLのはりに集中荷重Fが働くと R F M 反力R、反モーメントMが発生する。 L 力のつりあいより F−R=0 R F M 左点まわりのモーメントのつりあいより FL+M=0 L 方程式を解くと R=F 、M=ーFL 10 練習問題 長さ900mmのはりに、500mmの位置に R 集中荷重72kgfが作用したときの M 反力R、反モーメントMを求めなさい。 72 500 900 力のつりあいより 72ーR=0 左点まわりのモーメントのつりあいより 72・500+M=0 方程式を解くと R=72kgf 、M=36000kgf・mm=36kgf・m 曲げ応力 はりに力が作用すると、はりはたわむ。 これは、はりの各部がわずかに回転するためである。 この回転に必要な力を曲げモーメントという。 曲げモーメントによって曲げ応力が発生する。 この曲げ応力が弾性域を超えたときに塑性変形する。 中立軸 11 曲げ応力 曲げ応力は、曲げモーメント、中立軸からの距離、それと断 面の形状で決まる(曲げやすい形状、曲げにくい形状)。 M σ= y M:曲げモーメント I y:中立軸からの距離 I:断面2次モーメント 断面2次モーメント 1 矩形 I= bh3 12 π 円形 I= d4 64 幅:b 厚さ:h 直径:d 最大曲げモーメント 両端支持の曲げモーメント M F a ab Mmax= F L b l L 片持はりの曲げモーメント F L M Mmax=ML l 12 練習問題 長さ900mmのはりに、500mmの位置に 集中荷重72kgfが作用したときの 最大曲げ応力を求めなさい。 但し、はりの幅を100mm、厚さ10mmとする。 72 500 900 断面2次モーメント I=100・103 /12=8333.33mm4 最大曲げモーメントは M=500・400/900×72=16000kgf・mm 最大曲げ応力は σ=My/I=16000・5/8333.33=9.6kgf/mm2 練習問題 長さ400mmのはりの先端に 何Nの集中荷重が作用したときに 塑性変形するのかを求めなさい。 但し、はりの幅を3mm、厚さを1mm、 はりの耐力を1000MPaとする。 F 400 解答はレポートで 13 はりのたわみ はりに荷重をかけるとそのはりはたわみが生じる。 たわみδは以下の式で求められる P P L δ L P δ L δ PL3 PL3 PL3 δ= δ= δ= 3EI 48EI 192EI 練習問題 長さ300mmのはりの先端に 15Nの集中荷重が作用したときの 最大たわみを求めなさい。 但し、はりの幅を40mm、厚さを3mm、 E=7000kgf/mm2 とする。 F 300 解答はレポートで 14