...

「義勇艦隊」とウラジオストックを中心に‐(PDF:138KB)

by user

on
Category: Documents
29

views

Report

Comments

Transcript

「義勇艦隊」とウラジオストックを中心に‐(PDF:138KB)
平成23年度
新潟大学長
新潟大学プロジェクト推進経費研究経過報告書(中間まとめ)
殿
申
請 者
所 属
人文社会・教育科学系
代表者氏名 麓 慎一
本年度、交付を受けたプロジェクト推進経費について、現時点までの研究の進行状況等を報告し
ます。
プロジェクトの種目:発芽研究
プロジェクトの課題:帝政ロシアによるに航路形成と新潟地域‐「義勇艦隊」とウラジオストックを中心に‐
プロジェクトの代表者:所属 人文社会教育科学系 職名 准教授 氏名 麓 慎一 分担者0名
プロジェクトの成果:
本研究の目的は、帝政ロシアによる航路形成と新潟地域の問題を特に、ウラジオストックを経
営するために航行させていたロシアの「義勇艦隊」との関連から分析し、新潟地域の歴史像を大き
く変革することであった。
特に、現時点において以下の成果があった。
第一に、ロシア国海軍文書館(在サンクト・ペテルブルグ)においてロシア極東における「義
勇艦隊」の航行に関する基本資料を閲覧し、複写することができた。これまで日本の研究者に
は利用されていない資料群であり、本研究の基盤を形成することができた。
第二に、ロシア国立図書館(在サンクト・ペテルブルグ)において「義勇艦隊」に関する研
究論文を調査し、ビャーキン.B「極東におけるロシアの通商汽船」などの重要な先行研究を入
手することができた。また、同図書館では雑誌「ロシア汽船」を系統的に調査し、関係記事を
入手することができた。本雑誌については、現段階でおよそ三分の二程度の調査を完了した。
今後も継続する予定である。
第三に、新潟県立文書館において「新潟新聞」を閲覧して「義勇艦隊」およびウラジオスト
ック関係の記事を収集した。この調査では、特に新潟商工会議所が企画したウラジオストック
およびサハリン島の商業調査にかかわる資料を中心に収集した。本調査に関する写真帳(新潟
市立文書館所蔵)を閲覧し、撮影する機会に恵もまれた。
(注)報告書は2枚程度とする。別紙による場合も同じ。
-1-
また、この企画が結局、失敗に終わり新潟からロシア極東への商業圏の拡張が成功しなかっ
た原因が、ウラジオストックの自由港制(輸出入税を免除する制度)の改変にあることも新聞
資料から解明することができた。新潟地域が、ロシアの関税制度の改変にどのように影響を受
けたのかを明らかにすることは、本研究にとって最も重要な点である。さらに調査を継続する
予定である。
具体的な研究成果としては、ロシア極東人文大学の国際シンポジウム(2011 年 9 月 23 日および
24 日)において「日露戦後における日本とロシア極東地域」
(ロシア語)として発表するとともに、
本シンポジウムの報告集である『ロシア極東における国際相互関係の諸問題‐歴史と現代‐』
(ロシ
ア国立人文大学)に「Japan and Russian Far East Area in the Japan-Russia Post War Period」
(68-71)と題して論文を掲載した。前者のシンポジウムの報告では、新潟商工会議所のウラジオスト
ックおよびサハリン島の調査の写真帳などを解説しながら、日露戦争前後の新潟のロシア極東への
商業圏の拡張について報告を行った。
「義勇艦隊」は、ロシア極東の研究者たちにとっては周知のこ
とであるが、それが日本にどのような影響を与えていたのかを解明した研究はこれまでなかったの
で、研究発表は概ね好評であった。ロシア側の研究者からは、日露戦争の前後だけでなく、さらに
長期的な分析の必要性があるのではないか、との指摘を受けた。
今後は、
「推進経費申請書」において課題としてあげたウラジオストックとの航路形成における主
要港の対立‐特に新潟と敦賀‐について解明することで、国際関係の変容が国内の主要港の対立に
どのような影響を与えたのかを明らかにしたい。
また、明治 29 年の航海奨励法の設置過程については、既に分析を終えているので、これが実際
に運用されていくことで、どのような問題が発生するのかを明らかにする予定である。この運用の
過程で、日本および「義勇艦隊」の船舶がどのような物資を実際に運搬していたのかなどについて
も解明したいと構想している。特に、日本産の海産物などの動向に注目することで、当該研究課題
が日露関係だけでなく、中国の沿海地域や上海・煙台さらには釜山(韓国)などとも関連している
ことを解明し、環日本海における国際的な展開過程を明らかにする予定である。
プロジェクト成果の発表(論文名,発表者,発表紙等,巻・号,発表年等)
「Japan and Russian Far East Area in the Japan-Russia Post War Period」(68-71 頁)
2011 年 9 月 24 日『ロシア極東における国際相互関係の諸問題‐歴史と現代‐』
(ロシア国立人文大学在ハバロフスク)
-2-
Fly UP