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ネットスーパー、スーパーの新しいビジネスモデル(No.3、2009年12月)

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ネットスーパー、スーパーの新しいビジネスモデル(No.3、2009年12月)
No.3
ネットスーパー、スーパーの新しいビジネスモデル
主幹研究員 藤井 和則
◆スーパー業界が注目する新サービス
スーパー業界では、ネットを使って注文を受け、その日のうちに配達する「ネットスーパー」事
業に力を入れる事業者が増えている。このネットスーパー事業は、顧客がホームページ等の画
面を通して注文した情報に基づき既存店舗等が品揃えを行い、指定場所に配達するというスー
パー業界にとっては、新しいビジネスモデルである。
扱う商品、価格は実店舗とほぼ同じで、注文後最短2~3時間で配達する。利用可能な地域
は限られているが、24 時間注文可能なため、買い物に出にくい人や重い荷物を持てない人等に
便利なサービスとして、今後の展開が注目されている。
◆新サービスに注目する理由は業界の危機感の高まり
スーパー業界がネットスーパーに注目する理由は、①他業態との競合によって業界の市場規
模が縮小していること、②少子高齢化の影響に対する危機感が高まっていることなどである。①
既婚女性の社会進出や高齢化の進展による宅配需要の高まり、②IT 関連のインフラ整備による
利用環境の充実、③実用的な購入チャネルとしてのネット利用の浸透などの社会的な背景も利
用が進む一因となっている。
利用者の中心は子育て中の 30~40 代の主婦層、購入頻度の高い品目は青果、お菓子・デ
ザート、牛乳・乳製品、たまご、肉類となっている。
◆顧客を囲い込み、顧客一人当たりの収益を最大化するサービス
ネットスーパーをマーケティング面から見た場合、優良な顧客を囲い込み、顧客一人一人から
得られる収益を最大化しようとするサービスである。この囲い込みのための有力な手段が即日
配達であり、収益を最大化するための手段がデータの活用である。ネットスーパーを利用するに
は会員登録が必要である。この会員登録によって把握した顧客の属性と購買実績から顧客一人
一人のニーズに応じた商品、サービスを用意し、メール等の手段を使って顧客にアピールする。
この活動によって顧客の購買意欲を刺激し、顧客が自店から商品やサービスを購入する頻度を
高めることが可能になる。
◆今後の課題は利便性の向上、業務平準化によるコストダウンの追求
ネットスーパーが今後、発展していくには、利便性の向上、業務平準化によるコストダウンの
追求が必要である。具体的には、①注文したい商品をより簡単に速く検索可能にすること、②携
帯などのモバイルサイトへの対応を拡充すること、③天候による業務の繁閑への対応を考えるこ
となどが必要である。さらに、今後、予想される異業種の参入等による競争激化に備えて、非価
格面での差別化を図り、顧客を維持する方策の検討も必要になってくる。
以上の課題を事業者の創意で克服していくことができれば、ネットスーパーは地域に密着した
利便性を活かして今後も成長していくことができるだろう。
(2009.12.16)
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