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四半期報告制度の簡素化 - 新日本有限責任監査法人

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四半期報告制度の簡素化 - 新日本有限責任監査法人
四半期簡素化
四半期報告制度の簡素化
2011.07.14
新日本有限責任監査法人 公認会計士 蟹澤 啓輔
1. 改正の背景
わが国の四半期報告制度が創設されてから約 3 年が経過しました。四半期財務諸表の作成実務
についても、ある程度蓄積されてきましたが、財務諸表作成者の開示書類の作成負担が加重で
ある旨の意見や、平成 22 年 6 月に閣議決定された「新成長戦略」において四半期報告の簡素化
が盛り込まれたことなどを受けて会計基準の見直しが図られ、平成 23 年 3 月 25 日に「四半期財
務諸表に関する会計基準」等が改正され、公表されました。
2. 適用時期等
今回の改正は平成 23 年 4 月 1 日以後開始する連結会計年度及び事業年度の第 1 四半期会計
期間から適用されます。3 月決算会社の場合、平成 23 年 6 月末に四半期決算期末を迎える平成
24 年 3 月期の第 1 四半期から適用を受けることになります。
3. 主な改正点
開示対象の財務諸表についての改正をまとめると以下の表のようになります。
(1)四半期キャッシュ・フロー計算書の開示省略
従来は毎四半期ごとに四半期キャッシュ・フロー計算書を作成し、開示することが求められていま
したが、財務諸表作成者の作成に係る負担が特に大きいなどの意見を受けて、今回の改正で第
1 四半期及び第 3 四半期においては、四半期キャッシュ・フロー計算書の作成を省略することがで
きるようになりました。
ただし、財務諸表利用者の開示情報縮小に対する反対意見にも配慮し、四半期キャッシュ・フロ
ー計算書の作成を省略した場合、期首からの累計期間に係る有形固定資産及びのれんを除く無
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形固定資産の減価償却費及びのれんの償却額(負ののれんの償却額を含む)を注記し、キャッシ
ュ・フローの状況を把握するための情報を代替的に開示することとされました。
なお、年度内における首尾一貫性を確保する観点から、開示を省略する場合は、第 1 四半期より
省略を行い、例えば第 3 四半期から省略することは原則として認められない点に留意が必要とな
ります。
(2)四半期会計期間の「四半期損益計算書及び四半期包括利益計算書 (又は四半期損益及び
包括利益計算書)」の任意開示
改正前は四半期損益計算書及び四半期包括利益計算書は、四半期累計期間と四半期会計期間
の両方の四半期損益計算書及び四半期包括利益計算書を作成し、開示することが求められてい
ましたが、四半期会計期間情報は公表済みの直前四半期財務諸表等を基に推測可能であること
などから、今回の改正により四半期会計期間に係る四半期損益計算書及び四半期包括利益計
算書の開示が不要になりました。
なお、会社が任意で四半期会計期間に係る四半期損益計算書及び四半期包括利益計算書を作
成し、開示することも認められています。ただし、任意で四半期会計期間に係る四半期損益計算
書及び四半期包括利益計算書を作成し、開示する場合は、第 1 四半期より開示を行う必要があり
ます。
また、上記に関わらず前年同一四半期において四半期会計期間に係る四半期損益計算書及び
四半期包括利益計算書の開示を行わなかった場合で、当年度の四半期より開示するときは、前
年同一期間(同上)に係る開示は要しないこととされています。
(3)注記の簡素化
今回の改正では主に財務諸表作成者の作成負担と開示の迅速性及び財務諸表利用者の開示ニ
ーズを勘案して開示項目の簡素化が図られており、開示対象から削除された注記項目や注記の
記載内容が見直された項目があります。
a. 今回の改正で下記の注記項目については開示対象から削除されました。
i)会計基準上の注記事項から削除された項目
①表示方法を変更した場合には、その内容
②簡便的な会計処理
③1 株当たり純資産
④発行済株式総数、自己株式数、新株予約権
⑤ストック・オプション
これらについては、①は過年度遡及会計基準の適用後は過去の財務諸表が組み替えられること、
②は財務諸表利用者の判断を誤らせないものに限り認められていることから記載の意義が乏し
いこと、③は財務諸表利用者が開示情報から計算可能であること、④は四半期報告書の四半期
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財務諸表以外の開示項目において入手可能であること、⑤は財務諸表利用者の開示ニーズが
必ずしも高くないことなどが考慮され、注記事項から削除されました。
ii)企業集団又は企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を適切に判断するた
めに重要なその他の事項の例として示す事項から削除された項目
n
日本公認会計士協会監査委員会報告第 77 号「追加情報の注記について」で記載されてい
る事項
n
「ストック・オプション等に関する会計基準」を適用したことによる四半期財務諸表への影響額
に重要性がある事項
① サービスを取得した場合には、当四半期会計期間において計上した費用の額とその科
目名
② 財貨を取得した場合には、その取引による当初の資産計上額(又は費用計上額)と科目
名称
③ 権利不行使による失効が生じた場合には、利益として計上した額
n
担保に供されている資産に関する事項
n
貸倒引当金以外の減価償却累計額など資産の控除科目として表示されていない科目の記
載
iii)四半期財務諸表に関する会計基準等の改正に伴う各会計基準の改正によって開示対象から
削除された項目
◇前年度末と比較して著しく変動している場合の下記注記
n
資産除去債務に関する注記
n
賃貸等不動産に関する注記
n
リース取引に関する注記
n
開示対象特別目的会社に関する注記
b. 財務諸表作成者の作成負担や開示の迅速性及び財務諸表利用者の開示ニーズなどを考慮
し、下記の項目について記載内容が見直されました。
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4. 非財務情報の簡素化
四半期報告の簡素化のため、四半期報告書の財務情報以外の記載についても一部記載の廃
止・簡素化が行われました。主な改正点は下記のとおりです。
5. 四半期報告制度の簡素化に関連して改正された主な会計基準等
四半期財務諸表に関する会計基準等の改正(企業集団又は企業の財政状態、経営成績及びキ
ャッシュ・フローの状況を適切に判断するために重要なその他の事項の例として掲げられている
項目の見直し)に合わせて、四半期財務諸表における注記事項を掲げている会計基準等につい
ても改正が行われました。また、簡素化の具体的な内容を反映させるため、開示書類を規定する
四半期財務諸表等規則等についても改正されました。改正された主な会計基準等は以下のとお
りです。
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