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福島県沿岸の流動解析-2 [PDFファイル/1007KB]

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福島県沿岸の流動解析-2 [PDFファイル/1007KB]
福島水試研報第 4号 昭 和 51年 7 月
Bull
.Fukushima P
ref.Fisb.Exp.Slal.&4. Jul. 1976
福 島 県 沿 岸 の 流 動 解 析 -I
I
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冬期大熊沖流況詳細調査による
中 村 義 泊
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Yoshiharu NAKAMURA
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前ぜ)にひき続いて,砕波帯外における流況特性を同海域での詳細調査並びに,大熊より 10陶 ほ
ど北にある浪江の東北電力原子力発電所立地候補地点の流況データを参考にして調べてみた。
風の解析については,タワー上と北防波堤上の 2ケ所のデータを基にして考察し,それらの結果に
ついて第 E報として報告する o
方
法
1.風の解析
前封)では砕波帯外における流況に対して,嵐による流れ(吹送流)が大きな支配要因であろうと
推定した o 今回はそれに基づき,吹送流にとって入力である風を第 1原発の北防波堤先端に 1ケ 所 (
st
. 1)と,前回と同様,タワー上で 1ケ所 (st.2)の計
st
.の風の違いについて考察してみた o (1図参照)干
2ケ所で観測したデ
タを基にして,各
統計解析に使用したデータは昭和 49年 12月 12日 (14:35)から 12月 18日( 9
:40)まで
.1ではコ
で,サンプリング間隔は 5分である o st
シン・パン型風向風速討を使用して,平均海面
上 7mの所に設置した。 st
. 2は平均海面上 86mの高さに既設しである風杯型隔測自記風向風速計
を使用した。
原データより推定される事
-87-
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正
この時期の風はデータからみると典型的な北西季節風であることがわかる。 Z図は 12月 15日の
st 1の風速が小さい理由として,風速の垂直分布によるものと,風向が北西なので st
. 1が
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Fig 2 風 速 曲 線 図
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統計解析より推定される事
3図から st
. 2の風速の自己相関係数は st
. 1とほぼ等しい。各 stのX成分(南北方向)におい
. 1における風速, X成分,Y)成
ても,その傾向がある。図中の記号は, Vl,Xl,Ylはそれぞれ st
分(東西方向)である。 V2,X2,Y2は st
. 2における前記の値である。
4図の相互相関係数のグラフはピ
クを中心に両方に滑らかに減衰している。
VlとV2についての位相特性とコヒーレンシ並びにそれらのスペグトルは 5図
, 6図
, 7図である。
レベルの大きい低周波域においては位相特性が 00から - 360 までに位置しており,この部
パワ
分の周波数帯のコヒ
レンシは高い値を示している。
VlとV2のスベクトルは直流成分から高周波側にいくにつれて,パワーレベルは /-2の割合で減
衰する。 V2の方に 2.5時間と1.5時間の所に小さなピークがみられるが, VlとV2とでは大体相
似形である。前報
1)
の中で提案した方法により,各 stの風向の自己相関係数を計算したのが 8図で
ある。図中の Dl,D2はそれぞれ各 stの風向を意味する。各 stの風を風向からみると,
st
. 2の
方が相関度が高い。
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Fig 3-2 風の X成分の自己相関係数
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Fig.5 タワー上と防波堤上の風速の位相特性
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Fig.6 タワー上と防波堤上の風速のコヒーレンシ
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Fig.8 タワー上と防波堤上の風向の自己相関係数
-92-
2. 風と流れの関係
前報
1)
では,風と流れとの間に有意な関係があると推定したが,ぞの定性的な意味づけについて,
さらに検討を加えてみたが,今回の観測デ
タからは,それに対して肯定的な結果はみいだされなか
った o 今回,吹送流が支配的でないと思われるのは,下記の風と流れとの統計解析からも推定される
に
が,もっと明白な倶拠として,東北電力 (KK)が昭和 49年 12月 11日から昭和 49年 12月 26日
かけて行った流況観測結巣に現われている o 浪江沖の水深 20mの所で海面下 2mと 18m(海底上 2
m)の 2ケ所で約 B週間観測した流速データと,東京電力
(KK)が今回行なった流速データと比べて
みて,意外な事実が判明した o_9図は浪江沖と大熊沖の同じ日の流速曲線 (X成分)である o 同図を
しかも浪江沖の海面下;-18mの流速
みると,大賄沖の流況と浪江沖の流況が大体同じ型をしていて,
が表層流と比べて流速が大きい事は流れの支配要因として吹送流を否定するものである o
後節で議論するスペクトル構造で, SK 曲線(短形波のスベクトル)は吹送流ではなく,大きな空
間スケールをもった海流系のよラな流れであって,今回の観測期間中を通じて卓越していた。そして
SR曲線(不規則波のスベクトル)が吹送流およびその他の局地的な流れに関係していると推定され
る。浪江と大熊との距離は約 10Kmで,両地点についての流速データが同時性を保っていることは非
常に大きなスケールの流れであることを意味している o
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Fig.9 浪江と大熊沖の流速曲線
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160.00
統計解析より推定される事
1)
10図は風速と st
.晶における流速との相互相関係数である。前報
の結果と比べると,かなり不
tにおげる相互相関係数のピーク位置も不定である。
規則であれ本報に図として載せていない他の s
次にコヒーレンジと位相特性について,
11図と 12図をみると,
コヒーレンシは一般的に低い値を
示し,位相特性はランダムである。
3. 流れの解析
砕波帯外における流れの空間スケール,主として X成分を推定する目的で,今回 1図に示されたよ
うに流速計を配列して,風の場合と同期間観測した。使用した流速計はアンデラモデルも型である。
原データより推定される事
13図は 2月 15日の各 stのX成分の流速曲線である。以下の stはすべて流速測定点を意味して、
、
る o (1図参照)
流速曲線の特徴が同図に現われている o 原データの流速曲線はベースの部分にあたる短形波とその
短形波上に存在している不規則波とに分けて考えるととができる。 12月 15日の流況を 13
図よりみ
ると,零時から 14時にかけて定常な北流があり,
15時から 16時の転流時に不連続的になる。そし
17時から 20時にかけて比較的安定した南流状態になれその後叉転流している。
Y成分は各 stにおいて X成分より不規則である。流れの場合は風より陸地境界の影響を慣性効果
て
,
としてうけやすく,陸地にそった南流か北流が卓越することが考えられる。今回の観測においては,
12月 15日のような特徴ある流況はまれでなく全期間中の与令が短形波をベースにした流況であった。
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時点
号
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N-Comp
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各 stを通過するには最低 66s
配
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配
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e
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算の 1ラグタイムは 300s
s!・5
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6は 5ラグタイムの範囲に入るが 15図をみると各 stの相互相関係数のヒークの位置はほぼ零に等し
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各 st の流況が同時性を保って
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るいの結果は後記のスペクトル等においても現われている o st
.2.の流速データを基準として,各
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、零に近い値である o …ト/ル川レ
一一レベルが非常に大きい仇
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、 18
図の流れのスベグトルは各 stともほぼ同一の形
斗一領醐域叩、て若軒子異駄なつ一。そして前ずと同様特定な周波数 μ ークは
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了
、
存在しなかった。
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.
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き
流れのスペクトル関数
前節から問題にしているスペクトルの形について考えてみる。流速曲線 (X成分)が 2つの波形に
SK
' 不規則波のスベクトルを SRとする o S
Sp=SK+SR' このことをモデル化
しているのが 19
図である o Spのうち大部分をしめるのが S
Kであり, Spの基本となっており, S
R は高周波領域での振動部分に現われる o SK のスベクトルは次のように考えるととができる o 振幅
が一定で,ゼロクロスする間隔がランダムな自己相関関数は CK (τ)=E2 .EXP(-f I
r
o
1)となる。ここで, Eは短形波の振幅で 10は単位時間内にこの短形波がゼログロスする回数の平
そデル化され,ベースになる矩形波のスベクトルを
l{
と SRの和として流速曲線のスベクトル Spが定義される。
均値の 2倍である。そのような短形波のスベクトルは次のようになる o (付録参照)
CK (t)=E2 .e-folτ!
fo
ゎ 2
乙ー・
SK(/)=2
(fo)2十 ( 2π f)2
π
流速曲線から計算された C ( r ), Sp(/)および, C K(τ), SK(/)より E および
10
が推定され, E (矩形波の振幅)は約 15cm/secで
, 1
0 (ゼログロスの平均回数の 2倍/DAY)
は約 3
.
8である。この f0は流況の 1Elの転流回数と関係している。 Sp曲線と上式より計算された
SK曲線を
20図に載せる。
に:
L,
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g.19 流 速 ス ペ ク ト ル の 模 型 図
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l r)
Fig・20 スペクトル関数(実線は Sp曲線 (51.2) ,破線は Sk曲線〕
察
考
ー
前報 1)に引続いて,原発前面海域の砕波帯外の流動要因分析を行なった。前報
1)
において,吹送流
系が流動の主要因であろうと想定したが,今回もまずこの点について検討を加えてみた。その結果,
下記の理由により,この時期の流動の主要因が吹送流でないことが明らかになった。
今回の観測期間を通じて風は北西の季節風が卓越していた。吹送流系にとって入力条件となる風に
ついて,そのローカリティを Zつのステーション(防波堤上 (st, l),タワー上 (st, 2))の風の
デ
タ ( 2図)から考察すると,まずタワー上の風は防波堤上にくらべて,風速が 2-3倍大きい。
次に統計的特性の差について考えると, 両 stの風速と X成分(岸に平行な方向)の自己相関係数(
3図)には,ほとんど差は見られないが,
8図の風向の自己相関係数においては大きな違いが見られ
, 1の風向の自己相関係数は st
,2
1
こ比べて,減衰が早く,叉 50ラグタイム以降で振動して
る
。 st
いる。この st, 1における風向の自己相関係数の振動は,渦状の風が相関係数の振動周期で反転して
いるために起きているものと思われる。
両 stの風向の自己相関係数とパワースベクトルの形について考察してみると
-100-
C 1 (τ)=e-a1'
(8t.1の風向の自己相関係数)
C2 (τ)=e-a2τ :
Ek_C08b_
, (8t.2の風向の自己相関係数)
n
n
n
'
-'
で
, knはZk n=1を満たす o
n
P
唱
(ω)=_1_ ( e - a 1 t
' .e一 ι
ω
,z π
~
ニ
=三上.
1
2
π a
1 +ω2
n
(st.1の風向のパワースペクトル)
よ れ -a2r .:Ek _ .C08b τ e - i u d
p (ω)=
“
,
dr
T
2π
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k C08b τ .e- iω rdr
n
n
E}
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n
la22 +(bn+ω)2
( 8t
. 2の風向のパワースベクトル)
-2
(ω)のスベクトル形はスロープが ω の一様減衰であり, P
(ω)はω=b で離散的ピ
n
2
グをもっスペクトル形である。 a の値を 8図より求めると 0.031となるが, an
'k , b 値
P
1
1
については振動部分が単一成分だ付ではなく,求めるのは簡単ではない。
風向に関しては,両
8 tで大きく統計的特性が異なれ防波堤上の風はタワー上の風に比べて持続
性がなく吹送流を考察する場合安定な入力条件とはなりえない。
次に 2図
,
13図より 12月 15日の風と流れのデータを比較すると,流れは風に対して反対であれ
この現象は全期間を通じて見られる。 9図より浪江沖の水深別の流速データをみると,吹送流特有の
皿ほど離れた大熊沖の流速デ
流速分布はみられず,叉同時に 10K
タを参照すると,両データの聞に
大きなタイムラグがなく,流況もよく似ていることから,この時期の流動はラージスケールの流れで
あることがわかる。
11図
, 12図より風と流れとの聞のコヒーレンシは一般的に低く,そして位相特性はランダムであ
る。これまでの考察の結果,吹送流がこの時期の流動主要因でないことは明らかである。
流動特性について,もう少し詳しく調べてみると次のようになる。
流れの特性を 13図からみると,転流状態は鋭く,転流と転流との聞はかなり安定である o 15図の
i
lになる。大熊沖の各
スベクトル模型から,矩形波の自己相関係数 CK(τ)の積分時間スケールは f
St.における 10の値は 3.8/DAYで あ れ 現 象 の 時 間 ス ケ ー ル を 讃 分 時 間 ス ケ
ルの
Z倍を指標
にすると, 12時間半程になる o 次に, 9図を含む数多くの原データから,転流時刻を参考にして浪江
と大熊の両地点のタイムラグを推定すると, 1-1
.5時間程度であった o このことを,長周期波(周期
が数時間以上)が南進し,波動現象として転流が生じていると仮定すると,波動の位相速度は 9-13
-101-
.
km/hourに な れ 流 動 の 空 間 ス ケ
ルを長周期波の波長に代表させると, L(空間スケール )=v(
位相速度)XT(
時間スケール)で表わされ, L の値は 112~162km くらいになる。従って,
各 St.の範囲くらいでは,相互相関係数のピ
1図の
ク位置は零に近くなりぐ 15図),各 St.聞での低周波
領域の位相差もほとんどなく(17図),さらに各 St.のスベクトル形もほぼ同一(18図)である O
各 stで流動が同時性を保っていることは, 1
4
.図の流動の自己相関係数と 15図の相互相関係数の
形状がほぼ向ーである事から確かめられる o
流動のスペクトル構造について,
19図のスベクトル模型を仮定して考察すると, 流動のスペグト
ルは 13図の中に見られる矩形波に相当するスベクトル (SE 曲線)と不規則波に相当するスペクト
ル (S 曲線)から形成され前者が支配的であり,高周波領域での振動現象は SR曲線に関係している。
0
現 象l
こあてはめてみると, SE 曲線は海流系のような短形波に相当し,
sR 曲線は吹送流やその他
のローカル的な流況に関係していると思われる。流動のスベクトル形を上記のように仮定して計算す
ると,海流系の流速は約 15cm/secで
,
いて推定できるのは,
1日当たりの転流回数は 2回弱である。このような諸量につ
19図で提案したスペクトル模型から矩形波スベクトルに基づく解析を実行す
ることによって始めて可能となれこれを 18図の流動スベクトルから考察するだけでは,単にスベ
クトルの中に特意なピークが存在しないという情報しか得られない。つまり,との種のデータ分析に
とって重要なことは,原データ(時間領域)を基礎においたスベクトル解析を行なうことである。一目/
計算されたスベクトルの欠円配は /-2に従っており,乱流の慢性領域におけるスペグトル勾配の/ /3
乗則よりも大きな勾配となっている o (20図 )
士士
巾日
語
原子力発電所・前面海域の流動および風について,流動の主要因,岸に平行な方向
(X成分)の流
動特性および,タワー上と北防波堤上での風のローカリティについて,それぞれ次に示す結果を得た。
1
. 風はタワ
上と防波堤上とでは統計的特性が異なれ特に冬期の季節風が卓越する場合には,
防波堤上の風は,吹送流の解析をする場合,あまりいい入力条件とはなりえない。
2
. 今回の観測においては,風と流れの聞には,あまりはっきりした傾向がつかめなかった。
3
. 今回の観i
l
l
Uにおいては,支配的な流動の要因として吹送流が否定され,海流系のような流れが
考えられる。
4
. 流動は同時性を保っており,乱流理論の中で仮定される,フロ
ズン・パターンは通用できな
v
。
、
5
. 流動の時間スケ
ルを積分時間スケールの 2倍を指標に考えると,約 12時間半くらいになる 0
6・流動の空間スケールを時間スケ
1
ルと位相速度から推定すると, 112~162km くらいになる 0
流動の平均流速は少なくとも 15仰 /s
配 以 上 あ れ 1日当たりの平均転流回数は約 2回である 0
8
. 流動のスベクトル勾配は f合に従っており,乱流の慣性領減における f-"Ygより大きな勾配と
なっている。
流動特性について,前回と今回では支配要因が異なっていたが,この点、については今後の研究課題
としてさらに多くのケースのデータを皇室理して検討していくつもりである。叉流速計を岸から沖合に
配列して観測し,岸からの距離によって流況がどのように変化するかをそのデータを基にして,砕波
帯内外の相互作用を解析するつもりである o さらに今まで採り上げなかった流速の Y成分(岸に垂直
な成分)についても波浪との関係から,定性的な意味づけを考えていく方針である。
- 102-
最後にこの研究をまとめるにあたって,常に有益な助言をしていただいた農林省・農業土木試験場
・水産土木部の木村晴保氏にたいして深謝すると共に, この研究の基礎となった流速および風速のデ
ータを心よく提供し,協力下さった東京電力徳島第 1原子力発電所・土木課並びに東北電力浪江小高
地点原子力準備事務所の諸氏にたいして謝意を表するものである。なお,計算に際しては東京電力(
KK)の全面的な協力を得た。
付
主
宗
今,流動の現象が 2値不規則信号 x ( t ) で あ れ そ の 信 号 が τ時間内に k回ゼロクロスする確率
がポワソン分布に従うと仮定する O ポワソン分布は
P ( k ) = J 入.r )k
・
e一入 τ
k/
ここで λは単位時間内にゼログロスする回数の平均値である o
との信号の自己相関関数とパワ
スベクトルを計算する。
X=x ( t ) .x ( t十 τ )は Zつの値をとり得る確率変数である o 即ち, E2と_E2であり,
E2になりえる場合は τ時間内に現象が偶数回ゼロクロスする時で,一方, -E2に t
t
.りえる場合は
T 時間内に現象が奇数回ゼロクロスする時である。
x(t).x(t十 r ) =
E
fX.P(X)dX
て
訴3
= E2 .
L
:
;P ( k ) - E2 '
L
:
;P(k)
k=even
k=odd
1 D 2/, ,_-2).τ1 2
=--=-E (l+e '"^')一一_E"(1-e
2
2
= E2e-2入τ
T.'
U
ー
ここで, 2入 =f とおけば
o
C(r )三 x(t)'x(t 十 τ )
= E2 e -f uτ
パワ
スベクトルは自己相関関数のフーリエ変換である O
S ( f ) = i f c ( τ )e iωrdτ
2
π
ノ
= 土 7E2.e-foτ .cosw'C'dr
π .10
-1
0
3
E2
π
/。
(J0 )2
+(2π J)2
参 考 文 献
1
) 中村義治:福島県沿岸の流況解析 -1,福島水試研究報告第 8号
, (1975)
2
) 郷川明:ランダム変動の解析,共立出版, PP
. 129-130, (1970)
P
. 99-100, (1971)
3
) 吉村功・石井泰-大岡崇:測定値の統計的処理,電気学会, P
も)寺本俊彦:海洋物理学 1,東京大学出版会, Pp
.)
¥3~ 126, (1¥
)
7
4)
5
) 富永政英:海洋波動,共立出版, Pp
. 471~ 515, (1)
¥76)
-104
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