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自分らしさ かがやいて
第3学年 図画工作科学習指導案 題材名:自分らしさ かがやいて 【基礎的な知識・技能】 【かかわり合い】 【応用・ひろがり】 友達の作品や身近な美術作 品の良さを見つけることがで きる。 造形的な創造活動では,自 分らしさを表現することが大 切であることを理解する。 自分らしい表現で自信を持 って,のびのびと絵を描いた り,作品をつくったりできる。 題材について 本題材は,小学校学習指導要領の第3学年及び第4学年の目標(3) 「身近にある作品などから,よさや面白 さを感じ取るようにする。 」に基づいている。B鑑賞(1)特に「ア 自分たちの作品や身近な美術作品や製 作の過程などを鑑賞して,よさや面白さを感じ取ること。 」 〔共通事項〕 (1) 「イ 形や色などの感じを基に, 自分のイメージをもつこと。 」に重点を置いている。 本題材は,表現において自分らしさが大切であることを理解させるために,印象派の画家の作品,地元作家 の作品,そして地元作家にかかわり合いを持たせた学習である。歴史的にヨーロッパでは,印象派といわれた 人たちが,自分らしさを追求するために活躍し,その地位を確立している。本物の作品に出会い,自分らしさ を追求するために多様な表現となった印象派の作品を鑑賞することは,児童に大きな驚きを与えることができ るであろう。また,呉市の地元作家の作品を鑑賞することは,ゲストティーチャーとして授業への参加をお願 いできるので作家の思いに直接触れることができるよさがある。さらに,実際に作家に出会えることは児童に とって大きな喜びであり,児童の夢を育て,表現への意欲を持たせることができるであろう。その地元作家の 作品を鑑賞したり,鑑賞で学んだことをヒントに児童が自分たちの作品をつくったりする活動を通して,現代 も作家たちが自分らしさを大切に表現していることを理解することができる。そして,児童が自分らしさを表 現した作品によさを見いだし,自分らしい表現で自信を持って,のびのびと絵を描いたり,作品をつくったり できると考える。 指導のポイント 指導にあたっては,先ずひろしま美術館の作品を鑑賞させたい。ひろしま美術館は,印象派の画家の作品が 集められており,本物の作品の鑑賞の楽しさを味わわせることができる。また,自分らしさを追求するための それぞれの画家の表現の工夫に短時間で気付くことができる場である。約150年前印象派の画家たちが自分 らしさを追求するために活躍していたことを知らせ,シャガールを例に,絵の変遷を学芸員さんに紹介してい ただく。また,その中で日本人画家も活躍していたことに気付かせたい。 次に,ひろしま美術館に展示されている絵画のジグソーパズルをさせて,親しみをもたせる。印象派の作家 の中で,児童に親しみやすい作家であるシャガールの作品を鑑賞させる。色や形や表し方の違いに着目させな がら気付いたことや感じたことを話し合わせることを通して,自分のイメージを広げさせたい。また,自他の 考え方や感じ方の違いを認め合うことができるようにさせたい。 現代の作品では,地元作家の作品を鑑賞させる。現在活躍中の地元作家の千田禅先生をお呼びし,身近な材 料で独創的に自分らしさを表現していることを理解させる。呉市在住の画家が自分らしさの実現のために活動 していることに気付かせることで,児童も夢に向かって実現しようとする意欲を持たせたい。 最後に,自分らしい表現を大切にしながら自分たちの作品をつくって鑑賞させたい。先ず,地元作家である 久間先生の作品を鑑賞させる。先生の作品は,自分の思いを身近な材料や様々な技法で自分らしく表現してい る。それらの作品を鑑賞した後,その技法や表現をヒントに自分らしい作品をつくらせたい。そして,出来上 がった作品を鑑賞させ,自分らしさやよさが出ているところを見つけさせたい。 題材の目標及び評価規準 【題材の目標】 ○ 造形的な創造活動では,自分らしさを表現することが大切であることを理解する。 ○ 自分や友人の作品,ひろしま美術館や地元作家の美術作品のよさや面白さを味わうことができる。 【評価規準】 造形への関心・意欲・態度 発想や構想の能力 創造的な技能 ・ ひろしま美術館の美術 ・ 自分らしさを表現す ・ 鑑賞の能力 絵の具を混ぜたり材 ・ ひろしま美術館や地元作 作品のよさや面白さを るために,形や色,組 料を組み合わせたりす 家の美術作品,自分や友人 自分の思いで味わおう 合せなどを考えてい るなど,試しながら表 の作品の形や色,表し方や としている。 る。 し方を工夫している。 材料による感じの違いな どから,よさや面白さを感 じ取ったり,自分らしさが 出ているところを見つけ たりしている。 指導と評価の計画 (全6時間) 次 学習内容 評価の観点 関 発 創 評価規準 鑑 ・ 自分らしさを追求していったひ ◎ 1 (1) (評価方法) ・ ひろしま美術館の美術作品のよさや面白さ ろしま美樹館の印象派の画家たち を自分の思いで味わおうとしている。 の作品を鑑賞する。 1/6 2 (1) 3 (1) ・ シャガールの作品を鑑賞する。 ◎ ・ ひろしま美術館の美術作品の形や色,表し 方による感じの違いなどからよさや面白さ を感じ取っている。 2/6【3年3組授業】 ・ 地元作家である千田禅先生の作 ◎ 品を鑑賞する。 ・ 地元作家の美術作品の形や色,表し方や材 料による感じの違いなどからよさや面白さ 3/6【3年2組授業】 を感じ取っている。 ・ 地元作家である久間祐子先生の ◎ 作品を鑑賞する。 ・ 地元作家の美術作品の形や色,表し方や材 料による感じの違いなどからよさや面白さ を感じ取っている。 ・ 久間祐子先生の作品を基に自分 4 ◎ ・ 自分らしさを表現するために,形や色,組 らしい作品をつくる。 (3) 合せなどを考えている。 ○ ・ 絵の具を混ぜたり材料を組み合わせたりす るなど,試しながら表し方を工夫している。 ・ 自分や友達の作品を鑑賞する。 ◎ ・ 自分や友人の作品の形や色,表し方や材料 の違いなどから,自分らしさが出ているとこ 6/6 【3年1組授業】 ろを見つけることができる。 第3学年3組 1 日 時 平成27年10月30日(金)第1校時(9:30~10:15) 2 学 年 第3学年3組 男子18名 女子19名 計37名 3 場 所 3年3組教室 4 指 導 者 齋藤 佳那 児童の実態について 本学級の児童は,4月に取ったアンケートから,図画工作科が「とてもすき」が70%, 「まあまあすき」が2 7%と,97%の児童が肯定的に答えている。内容については, 「友達の作品のよさを見つけることができる」と いう質問に「とてもあてはまる」と答えた児童は54%, 「まあまああてはまる」と答えた児童が35%と89% の児童が作品のよさを見つけることができると分かった。また好きな内容については, 「絵」が27%, 「工作」 が32%, 「造形遊び」が29%, 「鑑賞」が10%と鑑賞を好きな児童が少ないことが分かった。また, 「クラス の友達に自分の作品を認めてもらっている」と感じている児童が全体の54%だった。これらの結果から,図画 工作科は好きだが,鑑賞の学習に魅力を感じている児童が少ないことが分かった。友達の作品を楽しみながら鑑 賞する活動の時間を確保したり,肯定的な声かけしたりする必要があると考えた。そこで下の授業を実践した。 5月には, 「あれあれちがうよ よく見てごらん」の題材をした。お互いが作った間違いさがしの絵を見合い, 探すことで友達の絵を楽しく鑑賞する時間を増やした。 6月には, 「願いのこもったお面をつくろう」の題材をした。班の友達と一緒に1つのお面を製作した。製作す る中で,協力して作り上げることの楽しさを味わったり,お互いのアイディアを出し合い作ることで自分たちら しい作品ができることに気付いたりする経験をした。 7月に取ったアンケートによると, 図画工作科を肯定的に捉えている児童は4月よりも3%増加した。友達の 作品のよさを見つけることができると感じている児童は8%増加し,鑑賞の時間を増やしたことが結果につなが ったと考える。友達から認められていると感じている児童が53%と4月に引き続き少ない傾向にあることが分 かった。 かかわり合いのポイント 指導にあたっては,ひろしま美術館で鑑賞したいろいろな作家の絵をジグソーパズルにして,名画に親しみを もたせたい。その後,友達とかかわりながら自分のイメージを広げられるように,シャガールの作品についての 気付きや感じたことを話し合わせたい。その際,色や形,表し方による感じの違いに着目させる。最後に,自分 の感じたイメージをもとに絵に題名をつけることで表現させたい。 ひろしま美術館とのかかわり合い ひろしま美術館で展示されていたマルク・シャガールやパブロ・ピカソ,ポール・シニャックなどの絵画をジ グソーパズルにし,各班ごとに違う作家のパズルをさせる。そのことでいろいろな作家の作品に親しませる。次 に印象派の作家の中で思いを色で表現したり,空想上のメルヘンな世界を組み合わせて描いたりと児童に親しみ やすいシャガールの絵画を鑑賞させる。シャガールの色のつけ方や形の面白さ,表し方の違いなどに気付かせた い。 友達とのかかわり合い 絵画の気付きについての話し合いの場面では,友達の気付きや感じたことを聞くことで自分のイメージを広げ させたり,共感させたりしたい。 「やりとり」ルールを取り入れ,児童が学芸員になりきって発表したり, 「さす が!○○学芸員さん。 」と話形を示して自分の考えを友達に認めてもらえるようにしたりしたい。また,自分の感 じたイメージを題名にして発表することで, 同じ作品を見ても感じることは人それぞれ違うことに気付かせたい。 本時の学習 (1)本時の目標 シャガールの作品を見て,形や色,表し方のよさや面白さを感じ取ることができる。 (2)準備物 (教師)絵,ワークシート,ジグソーパズル (3)本時の学習展開 学習活動 1 前時の学習をふり返る。 ◇指導上の留意点 (◆Cと判断される児童に対する手だて) 評価規準 (評価方法) ◇ ひろしま美術館で鑑賞した作品のジグ ソーパズルを班の友達と組み立て,作品 に親しみをもたせる。 2 本時の課題を確認する。 ジャガールの絵を見て,シャガールらしさを見つけよう。 3 シャガールの絵を見る。 ○ 「オルフェウス」 ・ 馬がいるよ。 ・ ハープのような楽器を持っ てるよ。 ・ 女の人がいるね。 ・ 色がきれいだね。 ・ 人がたくさんいる。 ・ 魚がいる。 ・ 川が流れてる。 ・ 鳥がいる。 ・ 色がはみ出ているけどきれ いだね。 4 作品に題名をつける。 ◇ 作品を細かく鑑賞できるように,1人 ・ 感じたことを 1枚シャガールの絵を配布する。 話し合いなが ◇ 形や色,表し方に着目させて鑑賞させ ら,形や色,表し る。 方によるよさや ◆ 班で気付きを話し合い,全員が自分の 面白さを感じ取 意見を言えるようにする。 っている。(発 ◇ 肯定的な評価の話型を使うことで,意 言・ワークシー 見を認め合えるようにする。 ト) ◆ 気付いたことは「やりとり」ルールに 従って発表することで,イメージが湧き にくい児童も参加できるようにする。 ◇ 友達の気付きから感じたことを話し合 い,自分のイメージを広げさせる。 ◇ 1人1人の気付きを認め,肯定的評価 をする。 ◇ その作品を見て強く感じたことを題名 にし,友達の題名と比較させる。 5 本時のまとめをする。 シャガールは,思いを色で表現したり,想像したりしたものを絵で表 現したりしている。 6 本時をふり返り,次時につなげ ◇ 振り返りカードに本時のまとめと感想 る。 を書かせる。 第3学年2組 1 日 時 平成27年10月30日(金)公開授業Ⅰ(9:30~10:15) 2 学 年 第3学年2組 男子18名 女子19名 計37名 3 場 所 3年2組教室 4 指 導 者 佐々木 良子 児童の実態について 本学級の児童は,7月に取ったアンケートによると, 「図画工作科はわくわくする学習だ。 」に対して, 「とても そう思う」が86%「まあまあそう思う」14%と,全員が肯定的に感じている。また, 「自分らしい作品をつく ることができている」については, 「とてもそう思う」が91%「まあまあそう思う」5%と96%の児童が肯定 的に答えている。しかし, 「クラスのみんなは自分の作品を認めてくれている」については, 「とてもそう思う」 が32%「まあまあそう思う」16%と,肯定的に答えている児童が48.6%で, 「あまりそう思わない」が2 9.7%, 「全くそう思わない」が21.6%と,否定的に答えている児童が51.3%であった。また, 「図画工作 科の内容についてどれがすきか」について,絵や工作,造形遊びはそれぞれ約80%の児童がすきと答えている が,鑑賞については,62%であった。 「友達の作品のよさを見つけることができる」については,全員の児童が 肯定的に答えている。 このアンケート結果から,本学級の児童は,図画工作科がすきで,楽しんで作品をつくれていることがわかる。 しかし, 「自分の作品が学級のみんなに認めてもらえている」という点について半数の児童が自信を持っていない ことから,図画工作科はそれぞれの自分らしい表現をお互いに認め合う学習であるという意識を,児童にまだ十 分つくれていなかったことが課題であると思われる。また,鑑賞の授業に楽しさを感じている児童が,絵や工作, 造形遊びに比べ,やや少ない傾向である。友達の作品のよさを見つけることはできているので,さらに鑑賞の授 業の充実を図る必要があると考えられる。 指導のポイント 指導にあたっては,図画工作科は自分らしい作品をつくることや友達の作品の自分らしい表現をお互いに認め 合う学習であることを理解させていくために,本時では,現代の作品を鑑賞させる。児童は,前時にシャガール の作品の鑑賞を通して,約150年前の自分らしさを大切にした作品のよさに気付いている。現代の画家たちも シャガールと同じように自分らしさを大切に表現していることに気付かせたい。また,自分たちも自分らしさを 表現することに自信を持たせたい。 地元作家とのかかわり合い 抽象画では,現在活躍中の地元作家の千田禅先生をお呼びし,身近な材料で独創的に表現している作品を鑑賞 させていく。千田先生は,生活の中の何気ない物の素材や色,形を生かしてコラージュしたり,繰り返される模 様で画面を構成したりして,作品を制作される。今回は和紙、広告の紙や透明なアクリル板をコラージュし,模 様を重ねる工夫をした作品を見せてくださる予定である。その鑑賞を通して,材料による感じ方の違い,コラー ジュによる表現の面白さを感じ取らせたい。そして,千田先生の作品で自分らしさを大切に表現していることに 気付かせたい。 友達とのかかわり合い 鑑賞して意見を交流していく中で,児童が自信を持って自分の意見が言えるように, 「やりとり」ルールを取 り入れていく。児童に「学芸員さんになりきって発表しよう。 」と投げかけ,発表の終わりには「さすが!○○学 芸員さん。 」という話形に従って意見を出させていくことで,友達の意見を認めるような雰囲気をつくりたい。 また,児童は様々な意見を出してくることが予想される。人によって考え方や感じ方が違うのは当たり前で, 児童もそのことを認め合うことができるように,児童の発表の違いを担任が丁寧に認めていくことで,児童にも 認めることができるようにさせたい。 本時の学習 (1)本時の目標 地元作家の美術作品の形や色,表し方や材料による感じの違いなどから,よさや面白さを感じ取ることが できる。 (2)準備物 (教師)地元作家千田禅先生の作品,作品をおおう布,ワークシート,絵画パズル (3)本時の学習展開 学習活動 1 前時の学習をふり返る。 ◇指導上の留意点 (◆Cと判断される児童に対する手だて) 評価規準 (評価方法) ◇ 前時に行ったシャガールの作品の鑑賞 で,シャガールは自分らしさを大切にし た作家であったことを想起させる。 2 本時の課題を確認する。 現代の画家の作品を見て,その画家の自分らしさを見つけよう。 3 地元作家の千田禅先生の作品を 鑑賞し、そのよさを考え発表する。 ○「水の上にも織る錦」 ・ 広告の紙や和紙がキャンバスに 貼ってあるよ。 ・ アクリル板も上にはってある. その上に模様が描いてあるよ。模 様が重なってきれいだよ。 ・ 繰り返される模様が一つの方向 に向いているよ。水の流れに見え るよ。 ・ 六角形は何に見えるかなあ。 ○「甍の波も雲の波」 ・ 目が見えるよ.生き物かな。 ・ うろこに見えるよ。鯉のぼりで はないかな。 ・ まわりは白っぽいよ。雲に見え るよ。 ◇ 鑑賞に対する期待を持たせるために作 ・ 地元作家の美 品を大きな布でおおっておく。 術作品の形や ◇ よさを見つける視点として,形や色だ 色,表し方や材 けでなく,表現の技法のよさについても 料による感じの 取り上げていく。 違いなどからよ ◆ 自信を持って発表しにくい児童も楽し さや面白さを感 く発表できるように「学芸員さん」にな じ取っている。 りきらせ, 「やりとり」ルールに従って発 (ワークシート・ 表させる。 発表) ◇ ワークシートを用意し,気がついたこ とや感じたことを書かせ,先ずグループ の友達と交流させる。 ◇ 作品の形や色から作家の表現の意図や 題名を想像させ,主題に迫らせる。 4 千田先生がどのような考えでこ ◇千田禅先生をゲストティーチャーでお呼 の作品を制作したのかを聞く。 びし,作品の表現のための工夫や思いを 語っていただく。 千 4 本時のまとめをする。 ◇◇ 児童が見つけた色や形、技法の画家のい ろいろな表現の工夫が自分らしさである 現代の画家も自分らしさを大切に ことをまとめる。 表現している。 5 本時をふり返り,次時につなげ ◇ ワークシートに本時のふり返りや感想 る。 を書かせる。 第3学年1組 1 日 時 平成27年10月30日(金)公開授業Ⅱ(10:25~11:10) 2 学 年 第3学年1組 男子16名 女子19名 計35名 3 場 所 3年1組教室 4 指 導 者 宮本 真帆 児童の実態について 本学級の児童は,4月に取ったアンケートによると,図画工作科が「とてもすき」が71%, 「まあまあすき」 が26%と,97%が肯定的に答えている。内容については,造形あそび24%,工作44%,絵25%,鑑賞 については7%の児童が好きと答えている。 「友達が自分の作品を認めてくれている」については,35%の児童 は肯定的にとらえているが,項目の中で一番低かった。 児童の様子においては,自分の作品に自信がもてずに絵を隠したり,友達の作品のよさを見つけられなかった りしてトラブルになる児童がいた。これらのことから,自他の作品のいいところを見つけ,それを認め合う活動 が十分にできていないことが課題であると考える。 5月には「あれあれ,ちがうよ,よく見てごらん」の題材をした。活動の中で友達の表し方の工夫やよさを見 つけることをめあてに,カーボン紙を使って間違いさがしの絵をつくった。友達がつくった絵をしっかりと見比 べて間違いをさがし,工夫やよさを見つけていた。6月には「願いのこもったお面をつくろう」の題材をした。 グループで協力して共同製作を行うことをめあてに取り組んだ。製作していくうちに,児童たちは協力して一つ の作品をつくる楽しさを味わっていた。また,それぞれのアイディアを出し合う中で,デザインにも多様な表現 があることに気付き,どのグループもオリジナル性あふれるお面が完成した。 これらの学習により,友達の作品のよさを見つけたり協力しながら製作活動を行ったりする児童の姿が見られ るようになった。7月のアンケートでは, 「友達が自分の作品を認めてくれている」については,55%が肯定的 にとらえており,4月と比べると20%伸びた。しかし,友達の表現と似せて描いたり自分の作品と比べたりし て,自分らしくのびのびと表現することに不安を感じている児童も少なくないと感じる。 かかわり合いのポイント 指導にあたっては,まず地元作家である久間先生の作品を鑑賞させる。久間先生がどんな思いで絵を描いたの か,どんな技法で描いたかなどを語っていただき,身近な材料や様々な技法で自分らしさを表現していることに 気づかせたい。その後は,児童たちに作品をつくらせる。久間先生の作品をヒントに,身近にある材料の中から 好きなものを選んで形や組合せを考えさせたり技法を選ばせたりするなどして,つくるもののイメージをふくら ませたい。そして,自分らしさを大切にさせることで自分の描く絵や作品に自信をもたせたい。 自分たちの作品とのかかわり合い 出来上がった作品をイーゼルに飾り,友達の作品で自分らしさが出ているところを見つける活動をさせる。教 室をミニ美術館のようにして,自分の作品が美術館に飾られているというイメージをもたせたい。そして,形や 色に注目させながら工夫しているところやよさを見つけさせたい。全体で交流する場では,自分らしさが表れて いるところを発表し合い,自他の考え方の違いも大切にしながら友達の作品を認め合えるようにしていきたい。 交流を活性化させるために,話し手と聞き手の両方が型にそって発言する「やりとり」ルールを使って,楽しく 鑑賞させたい。 地元作家とのかかわり合い 本時の授業の最後に,久間先生を再度ゲストティーチャーとしてお呼びする。そこで,自分たちがつくった作 品のすばらしいところや,自分らしさを表現することの大切さについて語ってもらい,児童の作品をほめて認め ていただきたい。 本時の学習 (1)本時の目標 自分や友人の作品を鑑賞し,自分らしさが出ているところを見つけことができる。 (2)準備物 (教師)ワークシート,イーゼル (児童)児童の作品 (3)本時の学習展開 学習活動 1 前時の学習をふり返る。 ◇指導上の留意点 (◆Cと判断される児童に対する手だて) 評価規準 (評価方法) ◇ 自分らしさをを大切にしながら作品を つくったことを思い出させる。 2 本時の課題を確認する。 友だちの作品で,自分らしさが出ているところを見つけよう。 3 グループの友達の作品,クラス全 ◇ 作品の自分らしさが出ているところを ・ 形や色,表し 体の作品を見て,自分らしさが出て 見つけさせ,ワークシートに書かせる。 方や材料の違い いるところを見つけてワークシー などから,自分 トに書く。 ◇ 交流を活性化させるために,学芸員さ らしさが出てい んになりきって「やりとり」ルールをつ るところを見つ ・ コラージュをつかって表現してい かって楽しく鑑賞させる。 けている。 (ワー るところ。 クシート) ・ のびのびと線を描いていて迫力が ◆ グループトークをさせ,自分の作品が あるところ。 必ず友達に評価されるように配慮する。 ・ ビーズをつかっているところ。 ・ 細い線や太い線を交互に使ってい ◆ 自分らしさが出ているところを見つけ るところ。 られない児童には,友達の絵のすごいと ・ 絵の具を垂らして表現していると 思ったところはどこか,どんな材料を使 ころ。 っているか等問いかけて,児童の意見を 引き出すようにする。 4 友達の作品の自分らしさが出て ◇ 自分らしさが出ていると思ったところ いるところを交流し合う。 を「やりとり」ルールを使って交流させ る。 ◇ 作品をつくった人は,どこを自分らし く表現したのかを発表させる。 5 久間先生の講評を聞く。 ◇ 児童がつくった作品のすばらしいとこ ろや,自分らしさを表現することの大切 さについて語っていただく。 6 本時のまとめをする。 ◇ 自分らしさを大切にすることをまとめ にする。 ◇ 振り返りカードに,本時のまとめと感 想を書かせる。