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Twinkle:Tokyo Women`s Medical University

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Twinkle:Tokyo Women`s Medical University
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Author(s)
Journal
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マウス膣の多糖類の組織化学
重松, 明子
東京女子医科大学雑誌, 37(12):761-799, 1967
http://hdl.handle.net/10470/14959
Twinkle:Tokyo Women's Medical University - Information & Knowledge Database.
http://ir.twmu.ac.jp/dspace/
9
(甕権善99第編4二二
マ.ウス膣の多糖類の組織化学.
東京女子医科大学産婦人科学教室(主任
川上 博教授)
東京子女医科大学第二解剖学教室(指導
飯沼守夫教授)
大学院学生
重 松 明
子*
シゲ
コ
マツ 、. アキ
(受付 昭和42年9月L3日)
Histochemical Studies on the Polysaccharides of Mouse Vagina
Akiko SHIGEMATSU
Department of Obstetrics arid Gynecology (Chief Prof. Hiroshi KAWAKAMI)
Department of Anatomy (Chief Prof. Morio IHNUMA)
Tokyo Women’s Medical College
Changes of polysaccharides in mouse.vagina through normal sexual cycle were studied histo−
chemically by means of period,:c acid Schifl.7 reacti;en, collAvidal irGn sta’;n, i4tlci a’x’i bitu’e stai’n, and vari’ous
enzymatic digestion tests.
SialQmucins and neutral polysaccharides existed in the superficial layer of the vaginal epithelium
in diestrus and proestrus. These sialomucins were secreted in the vaginal lumen.
Granules of polysaccharides were scattered in the cells o’f middle and basal layers of the epithelium
throughout the whole sexual cycle. lt seems that the most part of the components, of these granules is
glycogen. Hardly any acid rnucopolysaccharide is found in these granules.
It is likely that the mucification begins promptly after desquamation of cornified and precornified
cells and of some cells in the middle layer.
1.緒
ると考えられる.最近原7)はマウス膣上皮のタン
言
マウスの膣上皮は性周期に伴なって,あるいは
パク質ならびに脂:質の性周期に伴なう変化につい
性ホルモンの投与により著明な変化を示す.性
て研究した.性周期のある時期に,あるいはホル
周期に伴なう膣上皮の形態的な変化については,
モン処理により,げつし類の膣上皮細胞が粘液化
Allen1)が系統的な研究を1922年に発表している.
することはMeyerとAllen14), RobsonとWiesner23)
ま.たラットについてはLangと Evansi2),モル
らの研究がある.多糖類あるいはタンパク質と結
モットについてはSelleが研究した.腔上皮の
合した多糖類に関してはBiggers3), Warrenと
形態的な変化は細胞の分化により惹起されるが,
Spicer26)らの研究がある.しかしこれらの研究
その問題について放射性同位元素を含むアミノ酸
は粘液化の著しい発情前期や妊娠期に重点がおか
を用いてBarkerとWalker2).が研究を行なって
れているので,著者は正常な性周期の全期にわた
いる.形態的な変化があれぽ当然物質の変化があ
り,多糖類がいかなる変化を示すか,多糖類と粘
*現在,東京女子医大産婦人科学教室助手
一761一
10
液化,角化との関係について検討しようとして本
て水までにもってくる.
0.5%過ヨウ素酸水溶液で室温で5分間酸化.
2)
研究を行なった.
1L 研究材料と研究方法
市販のdd系マウスを実験材料として使用した,購入
直後の動物は多くは幼若であり,また栄養状態の悪いも
のがかなり見られるので,約23℃に保つた恒温箱中で,
オリエンタル固形飼料,野菜および水を与えて2週間以
3)
溜水で洗う.
4)
pH 2∼3のSchiffの試薬に15分間入れる.
5)
10分間流水にて洗う.
6)
必要に応じてHansenのヘマトキシリンで軽く核
の染色をする.
7)アルコールで脱水し,キシロールで透明にしてバ
上飼育してから研究に使用した.すべてのマウスは継続
的に北川8)の性周期決定法すなわちガラスのスポイトの
ルサムで封入。
いかなる多糖類が二つたのかを知るために酵素による
先を細く滑らかに加工したものに,1∼2滴のO.85%の
消化試験を行なった.
生理的食塩水を入れておき,スポイトをマウスの門内に
ジアスターゼ処理(L圭llie and Greco9))
静かに挿入し,同時に中の食塩水を圏内に注入し,スポ
1)切片の脱パラバィンを行ないアルコールを通して
イトをぬきながら膣内容を含んだ液を吸引し,その食塩
水までもってくる.
水をスライドグラス上に塗抹し,そのまま鏡検したり,
また充分に乾燥させてからエタノールで固定し,メチレ
2)中性燐酸緩衝液に1%の割合にタカヂアスターゼ
ンブルー染色,あるいはヘマトキシリン・エオジン染色
を溶かした液を37℃にして,この中に切片を1時間ない
を行なって,性周期の検査を行なった.
し24時間浸漬する.
3)充分に水洗する.
性周期は連続的な変化を示すもので,その一断面が膣
4)過ヨウ素酸Schiff染色を行なう.
弾唄の形態的変化としてとられるものである.前述の膣
ピアルpニダーゼ処理(Pearse20))
果断の所見より性周期を発情期,発情後期,発情間期と
1)切片の脱パラフィン後アルコールを通して水まで.
便宜上区分して考察する事にした.実験に使用したマウ
ス中セこは照照膏の所見からすると常に発情間期の像を呈
もってくる.
2) ビアルロニダーゼ(持田製薬の200Uスプラー.
する個体があったが,これらは実験より除外し,ほぼ正
ゼ)を生理的食塩水にとかした液を切片の上にのせて3.
常な性周期的変化が膣早舞に見られるマウス約100匹を
時問37QCに置く.
使用して研究を行なった.同一のマウスで性周期を追い
3)充分に水洗する.
ながら膣材料を採る事は不可能であるので,必要な性周
4)過ヨウ素酸Schiff染色を行なう.
期にあると思われるマウスをエーテル麻酔のもとに開腹
ペクチナーゼ処理(McManus and Sandersi6))
し,膣をそのまわりの組織とともに取出し,膣壁を切り
1)切片を脱パラフィンしアルコールを通して水まで
開くことなくそのまま室温で純エチルアルコールで24時
もってくる.
間固定を行ない,さらにエチルアルコールで脱水し,キ
2) 0.89のペクチナーゼ(東京化成工業株式会社製)
シロールで透明にしてパラフィンに包埋した.パラフィ
ンブロックを回転ミクロトームで5日半ロンの厚さの連
を100mlのpH 4.2の酢酸塩酸緩衝液に溶かした液中に37
℃で48時間浸漬する.
続切片に切り,卵白グリセリンを薄く塗った清浄なスラ
3)流水で充分に洗う.
イドグラスに加温してはりつけて,染色するまではカビ
4)過ヨウ素酸Schiff染色を行なう..
などの被害を受けないように乾燥二丁に保存した.
なおペクチナーゼを含まない単純な酢酸塩緩衡液に同
染色法
じ時間浸漬した切片を,同様に染めて緩衝液の作用を検
「般的な組織学的検索のためにはHansenのヘマトキ
討した.
シリンとエオジンとの重染色を行ない,組織化学的標本
インフルエンザワクチン処理
の所見と対比した.
Spicerによればイン:7ルエンザワクチンはシアリダ
多糖類の検出のためには次のごとき各種の染色を行な
ーゼ作用を有するので,純粋なシアリダーゼを入手する
った.
ことの不可能な現在,シアリダーゼの代用として使用し
過ヨウ素酸Schiff染色(McManusi5))
た.
1)切片の脱パラフィンを行ない,アルコールを通し
1)切片を脱パラフィンしアルコールを通して水まで
一 762 一
11.
3)洗わないで次の溶液にて2時間染める.
もってくる.
アルシアンブルー8GS
2)インフルエンザワクチンを切片の上にかけて37℃
19
溜水
97ml
3)溜水にして洗う.
酢酸
3ml
4)過ヨゥ素酸Schiff染色を行なう.
4)水でちよつと洗い,3%酢酸に3∼5分入れる.
に保って24時間作用させる.
5)水洗し,アルコールで脱水し,キシロールで透闘
過ヨウ素酸Schi圧染色にて染つたものが,1,2一
グリコール基によるものであることを証明するために,
にしてバルサムで封入する.
なお一部の切片には中性多糖類と酸性多糖類を染めわ
アセチル化処理後ケン化を行なった.
アセチル化処理(Lillie1。))
けるために,本染色を行なってから過ヨウ素酸Schiff染
1)切片を脱パラフィンし,アルコールを通して水ま
色を行なった.
以上のごとき染色を行なった標本は,顕微鏡で肉眼観
でもってくる.
2)16m1の無水酢酸と24m1の乾燥ピリシソとの混合
察し,また顕微鏡写真を撮影して比較検討を行なった.
顕微鏡写真の撮影には,千代田光学工業株式会社製の
液に室温で24時間浸漬する.
3)充分に水洗する.
L型鏡基に千代田のアクロマート20倍とオリンパス光学:
4)過ヨウ素酸Schiff染色を行なう.
工業株式会社製のフルオリートの40倍および100倍の対
アセチル化後ケン化処理(Lillie10))
物鏡,千代田光学工業株式会社製のMP写真鏡筒にM10
アセチル化の3)までの処理をしてから
倍の接眼鏡をつけたものを用いた.写真機は6×9c皿版
1) 0.IN. KOHに室温で45分間浸漬する.
の一眼レフ“リトレック”で,フィルムはコダックのパ
2)充分に水洗する.
ンアトミックXのブvニー版を使用した.顕微鏡の光源
3)過ヨウ素酸Schiff染色を行なう.
は千代田の40F光源燈に断熱フィルターをかけ,さらに
必要に応じて濃い青,赤,緑のブイルターを使用して撮
粘液多糖類を染めるためにコロイド鉄法およびアルシ
アンブルー染色を行なった.
影した.引伸機はフジB型にフジナーF10.5cmレンズを
コロイド鉄法(Mowry17))
付けたものを用い,サロンオートタイマーで露光を行な
い月光印画紙に引伸し,20℃のコニトーンで1分30秒の
1)切片を脱パラフィンし,アルコールを通して水ま
でもってくる.
現像を行なった.
2)水36ml
111・自家所見
酢酸 24mI
成熟雌マウスの性周期を発情期,発意後期,発
コロイド鉄液10mlの混合液に室温で24時間浸漬する.
情間期,発情前期とを大きく分けることができ,
3)30%酢酸で10分聞あて3回液をかえて洗う.
またそれに伴なう腔上皮の組織学的変化は極めて
4)流水で5分水洗し,次に溜水でちょっと洗う.
著明で,上皮を構成する細胞の質と細胞の量との
5) 2%NaClと2%黄血塩との等量混合液に20分
差が見られる.すなわち発情期では角化した重層
間浸漬.
扁平上皮を有し,その表層は極めて扁平な細胞よ
6)流水で5分間洗い,次に溜水でちよつと洗う.
り成る角化層,次はやや扁平な細胞と立方形の細
7)アルコールで脱水し,キシロールで透明にしてバ
ルサムで封入.
胞とにより成る中間層,最下は立方形ないしは,
コロイド点出ヨウ素酸Schiff染色(Ritter and Ole−
円柱形の細胞より成る基底層の3層に分けられる
(図1,6,14).
Son22))
コロイド鉄法の6)まで行なった次に過ヨウ素ge Schiff
発情後期には前の発情期の角化層と中間層の一
染色を行なう.この重染色により中性多糖類と酸性多糖
部とが次第にはがれ去る.(図22).
類とを染めわけられる.
発唐間期には特殊な分化をした中間層と基底層
アルシアンブルー一染色(Mowry⊥8))
とが見られる(図27,28).
1)切片を脱パラフィンし,アルコールを通して水ま
でもってくる.
発情前期になると上皮は最も厚くなり,分泌細
胞よりなる被蓋層,その次の角化層,中間層,最
2) 3%酢酸に3分間入れる.
下の基底層の四層に分けることができる(図33).
一 763 一
ユ2
発情期
試みると,赤く攣るがわずかに青味が帯びるよう
過ヨウ素酸Schiff法による染色性は極めて弱
である(図19,20,21).濃青色ブイルターを通し
かった(図2,図15).角化層は全く染らない.中
て見ると,顯粒ははっきり見え(図20),濃赤色フ
間層下部ならびに基底層の細胞の核に接して不定
aルターを通して見ると穎粒は前者の場合より弱
の形を示す過ヨウ素酸Schifl’染色陽性穎粒が散
々しているように見える(図21).
在している(図2,7,15).時にこれらの陽性穎粒
発情後期
はあたかも核内にある如く見えるが,おそらく核
発情期の膣上皮は角化層,中間層,基底層より
なるが,発情期が過ぎると角化層がはがれ,さら
膜に接して核外に存在するものと思われる.
にその下のケラトピアリンを有する細胞がはがれ
アセチル化を行なってから過ヨウ素酸Schiff染
色すると,前述の顯粒は反応陰性である.(図12).
る.この時期を発情後期とした.発情後期には,
アセチル化後ケソ化をして過ヨウ素酸Schiff染
上皮細胞間に多くの白血球様細胞が存在する.発
色をすると,これらの二二の反応は陽性となる
情期の角化層と未角化の層とがはがれるが,この
発情後期にその下の層の細胞が不完全な角化をす
(図13).
る場合もあるようである(図22).この不完全な角
各種酵素による消化試験の成績は次の通りであ
化層に過ヨウ素酸Schiff反応陽性物質が見られた
る.
(図23).形は線状あるいは穎粒状である.
ピアルロニダーゼ消化は,過ヨウ素酸Schiff染
色に対して影響が認められなかった(図4,8,
ピアルnニダーゼで消化後,過ヨウ素酸Schiff
16).またジアスターゼで処理してもほとんどその
染色をしても,この消化処理をしなかったもの
過ヨウ素酸Schiff染色性に変化は認められない
と較べて差異はないが,ジアスターゼ処理後払ヨ
場合(図9)と,少しく消化される場合(図17)
ウ素酸Schifl’染色を行なうと,処理しない場合
とがあった.
と較べて多くは同じ所見であるが,時に多少消化
ペクチナーゼ処理は,過ヨウ素酸Schiff染色
される場合もある(図25).ペクチナーゼ処理によ
に対してかなりの変化を与える.すなわち核に
りこれらの過ヨウ素酸SchiH’反応は認められな
接して存在する穎粒は消化後に過ヨウ素酸Schiff
くなる(図26).
上皮内に浸潤して来ている白血球様の細胞のあ
染色を行なってもその存在を認めない(図5,
10,18).ペクチナーゼ処理によって角化層はわず
るものはかなり過ヨウ素酸Schif「反応が陽性で
かに過ヨウ素酸Schiff染色性をもつようになり
ある。
(図10,!8),また角化層の直下にはヘマトキシリ
角化層の下は4∼5層の細胞層より成るが,こ
ソで染るケラトピアリン二藍が細胞内に見られる
この細胞には発情期に見られたと同様の核に接し
が,このケラトピアリン顯粒がペクチナーゼ処理
た過ヨウ素酸Schiff反応陽性穎粒が認められ,
により,ヘマトキシリンに対する染色性が増し,
その性状も発情期におけると同様である.コロイ
また過ヨウ素酸Schiff法に対する染色性をわずか
ド鉄染色あるいはアルシアンブルー染色を行なう
にもつようになる (図10).ペクチナーゼ処理の
と,角化層に過ヨウ素酸Schiff反応陽性の構造
時使用する酢酸塩緩衝液に浸漬してから過ヨウ素
と一致して睡るのが認められる(図24).その他の
酸Schiff染色を行なった場合,行なわないで過
ヨウ素酸Schiff染色をした場合と染色性に差異
は認められなかった(図11).
部分にはほとんど染色性を認めることがでぎなか
った,
発1外間期
コロイド鉄染色を行なうと,過ヨウ素酸Schiff
染色陽性穎粒はわずかに染る.角化層は全く染ら
発情後期にはがれはじめた角化層は完全になく
ず,またケラトピアリン穎粒は写染する.コロイ
なり,角化層の下の角化の中途まで進んだ細胞も
ド鉄染色と過ヨウ素酸Schiff染色との重染色を
脱落し,さらに発情期の中間層の細胞がほとんど
一764一
13
無くなった状態になる.3∼5層ぐらいの細胞層
分泌細胞の下の細胞は次の発情前期に角化すべぎ
より成る時期が発情間期である.この時期には全
細胞であるが,これらの細胞には発情前期に近づ
く角化層は存在しない.白血球様の細胞はやはり
くと,過ヨウ素酸Schifl’反応陽性頼粒がかなり
上皮細胞の間にかなり見られる.最:表層の細胞
認められるようになる.これらの二品はジアスタ
は,はじめ立方形で(図27)発情前期に近づくに
ーゼで多少消化されるようである.またペクチナ
従って円柱形に変る(図28).最:表層の細胞カミ円柱
ーゼではほとんど消化される.
形になる時期では基底層の細胞の増殖が著明にな
発情前期
り,最表層の細胞の高さが増すのとあいまって上
各性周期を通じて最も上皮の厚くなる時期で,
皮全体の厚さがまた増加する(図28).
また上皮を構成する細胞の種類も最も多くなる時
過ヨウ素酸Schiff染色標本を見ると,この時
期である.表面より被蓋層,角化層,中間層,基
期のはじめは最表層にはかなりの陽性物質をもつ
底層の4層が区別でき,それぞれ特徴のある細胞
より構成されている.発情前期のうちで,発情期
細胞と,ほとんどもたない細胞とが混在し,過
ヨウ素酸Schiff反応陽性物質の多い細胞のほう
の直前が上皮が最も厚く,発情間期のものと較べ
が高さが大である(図27).基底層の細胞にも少数
るとこれが同じ動物の同じ器官であろうかと疑い
の過ヨウ素酸Schiff反応陽性の頼粒を認めるこ
たくなる程の差異が認められる(図33).被蓋層の
とができる.最表層の細胞が円柱形になると,杯
細胞は発情間期の表層にある細胞が発育し変態し
たもので,2層より成り,発情前期のはじめには
細胞の如き外観を呈し(図29,30),時に内容を分
ような分泌像は発情間;期のはじめに最:表層に見ら
立方形であるが,次第に上皮の細胞数の増加する
のに伴なって,最表面の細胞は円柱形に変る.円
れる立方形の細胞では認められなかった.これら
柱形の細胞は分泌を盛んに行なうが(図52),時期
の細胞は細胞形質が一様に赤く揺るのではなく,
が来るとはがれて発情期に移行する.腔腔内には
明るい小胞がびっしりつまっていて,それらの小
遊離した細胞を伴なう分泌像が見られ,それはコ
胞の間に過ヨウ素酸Schiff反応強陽性物質が存
ロイド鉄染色ならびに過ヨウ素酸Schiff染色に
在する(図29).
陽性である(図38,48).この膣腔内の分泌物は充
泌しているように見える場合がある(図29).この
分に発達した被蓋層の細胞より分泌されたもので
コロイド鉄染色によりこれらの細胞は強く青嘉
ある.
し,またアルシアンブルーでも同様である.これ
らの染色と過ヨウ素酸Schiff染色との重染色を
被蓋層の下の角化層は発情間期の基底層のすぐ
行なうと,青染が極めて強いため,過ヨウ素酸
上の細胞が分化してできるものである.はじめ細
Schiff染色による赤色は一部に認められるのみと
胞内にケラトピアリン穎粒が生じ,それより次第
なる.両法による染色性を比べるのは困難である
に細胞が扁平化して角化し,細胞層の厚みも増
が,過ヨウ素酸Schiff染色の方が幾分弱い感
がある.単独にSchiff染色を行なった場合は全
す.この角化は膣のどの場所でも同じように進行
く染らない.ジアスターゼで消化後,またピアル
化した所と,まだ不完全の所とが混在している.
ロニダーゼで処理後面ヨウ素酸Schiff染色を行
過ヨウ素酸Schif−染色で被蓋層の細胞はどれ
するものでなく,1つの横断面を見てもかなり角
なった場合と,単に過ヨウ素酸Schiff染色を行
もが同じ強さに染まる事はなく,濃染する細胞,
なった場合と比べて見てもその間に染色性の差異
ほとんど染まらない細胞が混在している(図34).
がほとんど認められないものが多いが(図31),時
しかし染色性は発情期に近づく程増加する (図
にジアスターゼでかなり消化される個体が認めら
52).角化層の下の細胞や,角化層のまだできてい
れた.ペクチナーゼ処理後過ヨウ素酸Schiff染
ない個体の膣上皮の角化の準備状態にある細胞に
色の所見は,処理しないものと変らない場合と,
多少消化されるものとがあった(図32).最表層の
過ヨウ素酸Schiff染色陽性の穎粒が認められる
(図34,40,42,52,53).
一 765 一
14
アセチル化をした切片の過ヨウ素酸Schiff反
を行なった場合,角化層のよく形成されている場
応は陰性であり(図35),アセチル化後ケソ化をし
合はこの部分の染色性がわずかに増強する場合が
てからの操作をしてからの過ヨウ素酸Schiff染
多い.被蓋層の分泌細胞中の過ヨウ素酸Schiff
色の所見は,アセチル化後ケソ化の操作を行なわ
染色陽性物質は,ペクチナーゼ処理に対して抵抗
ない単純な過ヨウ素酸Schiff染色の所見とくら
性を示すが,角化をしかけている細胞申の過ヨウ
べて,認むべき差は無かった(図36).また過ヨ
素酸Schiff反応陽性穎粒の多くは染色性が処理
ウ素酸による酸化を行なわずにに,Schiffの試薬
により消失した(図47,61).ペクチナーゼ処理に
に浸漬しても赤話するものは見当らなかった(図
使用する酢酸塩緩衝液だけに同じ時間浸漬してか
ら過ヨウ素酸Schiff染色を行なっても,その染
37).
.中間層の過ヨウ素酸Schiff反応陽性穎粒は,
色性は無処置の場合と異ならなかった(図48).
発情問期の場合と同様にコロイド鉄,あるいはア
弱いシアリダーゼを有するインフルエンザワク
ルシアンブルーで,ほんのわずかしか染まらない
チン処理してからの多糖類の反応を見ると,アル
(図38).これに反して被蓋層の細胞は極めて良く
シアンブルーと過ヨウ素酸Schiff法との重染色
染まる場合が多い.しかしほとんど全く染まらな
を行なった場合,被蓋層のアルシアンブルー染色
い細胞も認められる(図38)。過ヨウ素酸Schiff
染色では良く染まる細胞と染まりの悪い細胞とに
性がわずかに低下するようである.しかしなが
ら,中間層以下の細胞の罪過ヨウ素酸Schiff染
分れるのであるが,後者の染まりの悪い細胞はコ
色陽性穎粒はインフルエンザワクチン処理の影響
ロイド鉄あるいはアルシアンブルーで,ほとんど
染まらない細胞と一致すると考えられる.
を受けない(図42,49,50,51).
rv・考 按
エストロジェンがマウス腔上皮の角化を促進
アルシアンブルーと過ヨウ素酸Schiff染色と
の重染色を見ると,被蓋層の細胞はかなり強く青
し,プロジエステロンが粘液化の効果を有するこ
染されて,過ヨウ素酸Schiff染色の赤色がお
とは,Biggers3), Green6), Peckhamら21)によって
おい隠されてしまうように見えるが,良く見ると
明らかにされたところである.Barkerら2)は卵巣
被蓋層の細胞中に過ヨウ素酸Schiff反応陽性で
を摘出したマウスにこれらのホルモンの注射とと
アルシアンブルー染色陰性の顯粒が認められる
もにthymidine−H3を注射して上皮の分化を追求
(図42,43,44,54,55,56).この事実はまだ分
した.すなわち基底層の細胞が有糸分裂して発情
泌機能が充分でなく,過ヨウ素酸Schiff反応の
期の扁平上皮細胞になり,また発情前期の粘液細
あまり強くない細胞において著明である(図42,
胞になる.つまり適当量の2種のホルモン作用に
43,44).コロイド鉄と過ヨウ素酸Schiffとの重
より基底層の細胞は2方向に分化する能力を有す
染色を行なった場合でも,染色性は上記の場合と
ると考えている.著者は多糖類の細胞内における
ほぼ同様であった(図39,40,41,54,55,56).
存在様式と生成との点より細胞分化の問題を検討
ジアスターゼで消化四過ヨウ素酸Schiff染色
して見たく思う.発情期には,それまで存在して
を行なうと,消化を行なわない場合との差の認め
いた粘液化した被蓋層がすべてはがれて,角化層
られないもの,多少染色性の増強する場合,ある
いは中間層の細胞中の穎粒がいくぶん消化される
が裸出する.その時期には角化細胞の下の角化を
しかけた細胞中に多糖類の穎粒が認められ,また
個体が認められた(図45,60).
この層の下の基底層の細胞中にも少量の同様の穎
ピアルロ=ダーゼにて処理後,過ヨウ素酸
粒が認められる.しかしながら基底層の細胞が被
Schi仔染色を行なった場合,被蓋層の染色性も,
蓋層の粘液細胞になるであろう兆しは認められな
中間層の穎粒の染色性もともに処理を行なわな:い
い.発情後期になると角化層とその下のまだ角化
していない細胞が剥離して二二膏となり,基底層
場合と比べて差を認め得なかった(図46)。
ペクチナーゼ処理後,過ヨウ素酸Schiff染色
の数層の細胞の最表面に中性多糖類と酸性多糖類
一 766 一
15
とが現われる.大量の多糖類を有する細胞とほと
細胞分化とのエネルギー源として貯えられている
んど認められない細胞とが混在しているが,多糖
ものであろう.
類の含有量の少ない細胞のみから成る膣上皮は発
情間期には認められなかった.発情間期では,す
発情間期ならびに発情前期の被蓋層は,それを
構成する細胞の大部分が過ヨウ素酸Schiff反応
べての個体がかなりの多糖類をもつている.この
陽性であり,またコロイド鉄とアルシアンブルー
事実はBarkerらの言うごとく基底層の細胞が2
で染められる.過ヨウ素酸Schif「染色された
方向に分化する能力を有すると考えるならぽ,そ
標本を細かく見ると,Cooperら5)の電子顕微鏡写
の1つの方向である粘液化は極めて短い間,すな
真に示されている粘液滴(CooperらのFig・24)
わち発情後期で角化層とその下の層が剥離した直
のまわりの部分が濃赤染していて,粘液滴そのも
後に急速に行なわれるものであって,粘液化は細
のはあまり三っていない.アルシアンブルー染
胞が腔二面に裸出することが1っの条件のように
色あるいはコPイド鉄反応を見ると,粘液滴が
思える.そして裸出しない細胞が角化すると考え
淡青色に染まっているのが分る,C・・perらの電
られる.この粘液化は最表層の細胞のみならず2
子顕微鏡所見によれば電子密度小な1∼3ミクロ
層目の細胞にまで及び,発情前期になると2層目
ンぐらいの粘液滴の問に電子密度大な細胞形質が
の細胞はその生産した粘液の出口を最表層の細胞
存在している.これと著者の所見とを較べると,
の間に求める(図29,52).最表層から3番目以下
電子密度大な細胞形質は多糖類の反応強く,電子
密度小な粘液滴は反応が弱い。つまり分泌される
の細胞は順次分化をして角化する.
状態になると,おそらく多糖類が多少形を変え,
本研究において過ヨウ素酸Schiff染色陽性物
水の含有量が増し,濃度が下がるのであろう.
質で細胞内に存在するものは,アセチル化により
Warrenら26)はマウス膣にはN−acetylneuraminic
染色性を失い,アセチル化後のケソ化により染色
性を回復するので,この検定法に疑問なしとしな
acidとN−91ycolylneuraminic acidとが存在し,
いが(Lisonii)),本研究材料で反応陽性の物質は
加えて中性多糖類が認められると述べている.著
多糖類ないしは複合多糖類と考えてよいであろ
者は純粋なシアリダーゼを入手することができな
かったので,国産のインフルエンザワクチンをそ
う.
全性周期間を通じて中間層と基底層とに少量の
の代わりに使用して消化試験を行なった.Spicer
過ヨウ素酸Schiff反応陽性頼粒が存在し,コロ
らの言っているように,インフルエンザワクチン
イド鉄あるいはアルシアンブルー染色でほとんど
のシアリダーゼは極めて弱いようで,Warrenら
の示しているような明瞭な消化試験成績(Warren
染らない.通常のジアスターゼ処理を行なった場
合,消化されないことが多いが,時に消化される
らのF圭9.1と2)を得ることはできなかったが,
こともある.ピアロニダーゼに対しては全く抵抗
インフルエンザワクチン処理により粘液滴のアル
性を示し,ペクチナーゼ処理により過ヨウ素酸
Schifl’
色に干しなくなる.これらの事実より考
シアンブルーやコロイド鉄による染色性が失なわ
れる(図50,51)ので,著者の成績よりしてもシ
えて,この頼粒は酸性粘液多糖類をほとんど含ま
アP粘液が存在しているのがわかる.
ないと思われる.そしてグリコーゲンがその構成
硫酸基を含むあるいは含まない酸性多糖類の存
要素として重要な役目をしているが,酵素による
在については,著者の酵素消化試験の成績より断
消化試験成績より考えれば,ガラクトーゲソが存
定はできないが,もし存在しているとしてもわず
在しているのではないかとの疑問をいだかせる.
かなものであろう.
中間層の細胞のあるものは将来粘液化することよ
原は粘液の少ない細胞が,充分に粘液化した細
り考えて,その準備のためガラクトーゲンが存在
胞よりもアミノ酸の含量の多い事を示している.
してもよさそうである.存在しているグリコーゲ
著者の成績とあわせて考えれば,多糖類は単独に
ンはMercer13)の皮膚の場合と同様に細胞分裂と
存在するのではなく,タンパク質と結合した形で
一 767 一
16
存在するもので,その大きな部分を占めるのは
発情間期と発情前;期との上皮の最上層にはシア
シアロ粘液であろう.本研究材料で過ヨウ素酸
Schiff染色で染まるものには,大きく分けて2種
ロ粘液と中性多糖類とが存在し,前者は膣腔内へ
分泌される,
ある.1つはシアロ粘液で,他の1つは中性多糖
全性周期を通じて上皮の中間層と基底層との細
類である.前者はコロイド鉄,アルシアンブルー
胞中に多糖類の西面が散在するが,その成分は大
で染まり,後者は染まらない.また後者はジアス
部分がグリコーゲンで,酸性多糖類はほとんど含
ターゼ,ビアルロニダーゼ,ペクチナーゼで処理
まれない.
しても過ヨウ素酸Schifl’法による染色性にはほ
表層の細胞の粘液化は,細胞が膣腔に裸出する
とんど影響がなく,ある種の糖タンパクであると
と極めて急速に行なわれるようである.
考えられる.
被蓋層の細胞の粘液化は極めて短い間に行なわ
れるもので,生成される多糖類の面から細胞の変
本研究を行なうにあたり,次の多くのかたがたのお世
話になりました.心から感謝いたします.
化を追求することができなかったが,おそらく細
本研究を計画し指導して頂いた解剖学教室飯沼教授,
胞の粘液化がはじまると血液から原料がどんどん
本研究を行なう機会を与えられ終始御糊達して下さった
供給されて細胞内で活発に粘液多糖類が合成され
川上教授,大内助教授,研究のためいろいろ便宜を与え
るのであろう.
て下さいました産科婦人科学教室の先生がた,標本作製
発情間期より発情前期にかけて被蓋層の細胞よ
のお手伝いをして下さった第二解剖学教室の石田さん.
り粘液が分泌されるが,膣腔の清浄化に役立つと
思おれる.その時期には上皮内に多数の白血球様
(本論文要旨は第4回日本組織化学会総会において発
表した.)
の細胞が認められる.この細胞はNellerら19)に
文
よれば多くは形質細胞である.形質細胞は糖タン
献
1) AJIen, E.: Amer J Anat 30 297.一371
(1922)
パクを有するが過ヨウ素酸Schiff反応は陽性の
2) Barker, T.E. and B.E. Walke: Anat Rec
ときと陰性のときとが一般にあるが,本材料では
154 149−160 (1966)
陽性のものが多いようであった.
3) Biggers, J.D.: J Anat 87 327一一336 (1953)
ペクチナーゼ処理後過ヨウ素酸Schiff染色を
4) Biggers, J.D. and P.J. Claringbold: J
Anat 89 124t一一131 (1955)
行なうと,染色性が増強することがある.特に角
化層で著明である.これは市販のペクチナーゼが
純粋の酵素のみでなく,かなりの不純物を含んで
5) Cooper, R. A” R.D. Cardiff and S. R.
Wellings: Z Zellforsch 77 377tv403 (1967)
6) Green, J. A.: Anat Rec 135 247.v260
(1959)
おり,不純物中には多糖類も存在し,その多糖類
が切片の論る場所に吸着されて過ヨウ素酸Schiff
7)原 君代:東女医大誌 3517∼37(!965)
8)北川重夫:目婦会誌 221439∼1498(ユ927)
染色が増強されるものである.したがってペクチ
9) LMie, R.D. and J. Greco: Stain Tech 22
ナーゼ処理で染色性が低下した場合は意味がある
が,染色性が増強することは切片に本来存在する
67 (1947)
10)Li皿ie, R..D.: Histopathologic Technic and
Practical Histochemistry. 2nd ed. Blakiston,
New York (1954)
物質を検出したことにはならない.これと同様な
現象がジアスターゼ処理で見られることがある.
V・総
括
マウスの正常性周期に伴なう腔の多糖類の変化
11) Lison, L.: Histochimie et cytochimie ani−
males 26d., Gauthier−Villars, Paris (1953)
12) Long, J.A. and H. MeLean Evans: Me−
moirs of the University of California. 6 ltv
148 (1922)
を過ヨウ素酸Schiff反応,コロイド鉄法,アル
13) Mercer, E.H.: Keratin and Keratinization.
シアンブルー染色,酵素消化試験を用いて組織化
Pergamon Press (1961)
14) Meyer, R.K. and W.M. Allen: Anat Rec
学的に研究した.
56 321一 344 (1933)
一768一
17
Cell
Kiehhofer and J. Ladinsky: Exp
15) McManus, J・F・A,: Stain Tech 23 99 (1948)
Res 30 339t−343 (1963)
16) McManus, J. F. A. and J. C. Saunders:
Amer J
22) Ritter, B.A. and J.J. Oleson:
Science 111 204・v205 (1950)
17) Mowry, R. W.: Lab lnvest 7 566N576
Path 26 639 (1950)
23)Robson, J.砿. and B.P・Wiesn鉗3
(ユ950)
Quart
J Exp Physiol 21 217一一225 (1932)
18) Mowry, R.W.: J Histochem cytochem 4
24) Selle, R.M.: Amer J Anat 30
407 (ユ956)
19) Neller, J.E. and J.E. Brown: Anat Rec
429・v450
(1922)
25)Sp董cer, S.S.即d L War怠en3
155 591一一602 (!966)
J Histochem
Cytochem 8 135tv137 (1960)
20)・Pearse, A. G. E.: J Clin Path 2 81t一一90
26) Warren, L. and S.S. Spicer:
(!949)
2!) Peckham, B., H. Barash, J. Emlen, W.
Cytochem 9 400・v408 (196/)
一 769 一
J Histochem
18
付 図 説 明
(特記した写真以外はすべて光源に濃緑色フィルターをかけて撮影した).
図1−4,発情期
図1.ヘマトキシリン・エオジン染色.明瞭な角化層,中間層,基底層を区別しうる.300倍.
図2.過ヨウ素酸Schi£f染色.核を薄くヘマトキシリンで染めてある.中間層下部より基底層に
反応陽性穎粒を認める.600倍.
図3.過ヨウ素酸Schiff法とコロイド鉄法との重染色、結合組織線維の染まっている以外は図2
と同じ. 600倍.
図4.ピアルロニダーゼ処理後過ヨウ素酸Schiff染色,薄くヘマトキシリンで核染色.所見は図
2と同じである.600倍.
y 770 一
重松論文付図1
レ
㌦薯1浅
#
’
メや躍, 幽鴎,
各
禽
酷 ず
20
付 図 説 明
図5.図1−4と同じ個体,発情期,ペクチナーービ処理後過ヨウ素酸Schiff染色,薄くヘマトキ
シリンで核染色.図2に見られた反応陽性穎粒は認められない.角化層は反応強くなるが,これは人
工産物,600倍.
図6、ヘマトキシリン,エオジン染色.図1より進んだ発情期,角化層がかなり剥離している
300倍.
図7,図6の個体の過ヨウ素酸Schiff染色.ヘマトキシリンで薄く核染色,中間層に核に接して
反応陽性頴粒を認める.1500倍.
図8.図6の個体のピアルロニダーゼ処理後過ヨウ素酸Schiff染色,ヘマトキシリンで薄く核染
色図7との問に所見の差を認めない.1500倍.
一 772 一
重松論文付図II
欝澗欝灘:無聡.。
謎斗
臨
・㌢べ 弩
蹴も母糊き心遡
22
付 図 説 明
図9.図6とおなじ個体のジアスターゼ処理後過ヨウ素酸Schiff染色.ヘマトキシリンで薄く核
染色.反応陽性穎粒が相変らず認められる.1500倍,
図10.図6と同じ個体のペクチナーゼ処理後過ヨウ素酸Schiff染色,ヘマトキシリンで薄く核染
色.反応陽性穎粒は認められない,角化層の染まりが強くなっているがこれは人工産物.600倍.
図11.図6とおなじ個体の酢酸塩緩衝液に浸漬してから過ヨウ素酸Schi仔染色.ヘマトキシリン
で薄く核染色.図7と所見は変らない.600倍.
図12.図6とおなじ個体のアセチル化後過ヨウ素酸Schiff染色.ヘマトキシリンで薄く核染色.
反応陽性物は認められない.1500倍.
一774一
23
重松論文付図III
欝灘
櫻mu
古轍
轟
織皿
鷺繋轡
凱撫
掘
鍮麟
XP晒
灘轍
灘麟轟1
灘
撃麟
i蝦
魁町磯
襲鐸.
灘轟
講閣
欝欝
1灘
”蕪識履。覇
篇窪溜
L・t啄虚
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騰驚
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欝
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認・
灘
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饗欝
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謙鹸鱗螺
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熱’
24
付 図 説 明
図13.図6と同じ個体のアセチル化後ケン化をして過ヨウ素酸Schiff染色.ヘマトキシリンで薄
く核染色.反応陽性頼粒は図7と同じように認められる.1500倍.
図14.ヘマトキシリン・エオジン染色.図6よりさらに進んだ発情期,角化層はほとんど剥離して
しまいそうになっている.300倍.
図15.図14と同じ個体の過ヨウ素酸Schiff染色.ヘマトキシリソで薄く.核染色.中間層より基底
層にかけて反応陽性頼粒を認める.600倍.
図16.図14と同じ個体のピアルPニダーゼ処理後過ヨウ素酸Schiff染色.ヘマトキシリンで薄く
核染色.所見は図15と同様である.600倍,
一 776 一
25
重松論文付図IV
導
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灘,
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26
付 図 説 明
図17より2ユまでは図14と同じ個体.
図17.ジアスターゼ処理後過ヨウ素酸Schiff染色.ヘマトキ・シリで薄く核染色.図15に較べれば
陽性顯粒が少なくなっている.600倍.
図18.ペクチナーゼ処理後過ヨウ素酸Schiff染色.ヘマトキシリンで薄く核染色.図15の陽性顯
粒は全く染らない。600倍.
図19.20.21.はコロイド鉄と過ヨウ素酸Schiffとの重染色した標本のおなじ場所を,光源のフ
ィルターを代えて撮影した写真.600倍.図19は濃緑色フィルター,図20は濃青色フィルター,図21
は濃赤色フィルター.図20では赤染が強調され,図21では青染が強調される.図19の陽性穎粒は図20
と21を較べることにより赤染していることが分る.
一 778 一
27
重松論文付図V
”ユ、ザ
e
鐵d
l蝿
罐
競聾馳
諏懸
謡
X瀦
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縦藁徽
P’.ag. /..?
舜轟学
藩1
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撫齢麟廟撫ゆ
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雛
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灘
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鑑醗誕熱
mW
VesI
kitg
28
付 図 説 明
図22から25までは発情後期の同一個体.倍率はすべて600倍.
図22.ヘマトキシリン・エオジン染色.上皮は厚みを減じ,不完全角化層がはがれかかっている.
図23.過ヨウ素酸Schiff染色.ヘマトキシリンで薄く核染色.不完全角化層に少しく,また中問
層,基底層にわずかの陽性顯粒が認められる.
図24.コロイド鉄染色.図23の不完全角化層の過ヨウ素酸Schiff反応陽性物質は本法でも染る.
中間層以下には染るものなし.
図25.ジアスターゼ処理後過ヨウ素酸Schiff染色.ヘマトキシリンで薄く核染色.ほとんど図23
と同じ所見.
一 780 一
29
重松論文付図VI
30
付 図 説 明
図26.図22と同じ個体.ペクチナーゼ処理後過ヨウ素酸Schiff染色.陽性物質はほとんど認めら
れなくなる.600倍.
図27.発情問期.過ヨウ素酸Schiff染色.ヘマトキシリンで薄く核染色.不完全角化層がはがれ
て粘液化のはじまった時期.上皮は極めてうすく,表層は立方形の細胞よりなり,反応陽性のものと
陰性のものとが混在する.600倍.
図28.発情間期で,図27のものより進んだ個体.ヘマトキシリン・エオジン染色.300倍.
図29.図28と同じ個体.過ヨウ素酸SchiH’染色.ヘマトキシリンで弱く核染色.上皮の最表面は
粘液化し,粘液の分泌像が認められる.粘液細胞は2層であるが,その下層の細胞も分泌を行なうよ
うである.工500倍.
一 782 一
重松論文付図VII
潔懲熟
無轍鍛興趣鵜轡轍
やひ
臨魂鰯蒙ド潅匂轡 ・
轟
・暫螺.
製憲」…舞
繍
一
舜醗継無壽蕊
1
・ 孟
一騎擁夢
趨篭1閣議
27
32
付 図 説 明
図の30から32までは図28と同じ個体.倍率はすべて1500倍.
図30.過ヨウ素酸Schiff ve色.ヘマトキシリンで薄く核染色.粘液滴はその間の細胞形質より染
りが弱い.
図31.ジアスターゼ処理後過ヨウ素酸SchiE染色.所見は図30とかわらない.
図32.ペクチナーゼ処理後過ヨウ素酸Sch旺染色.ヘマトキシリンで薄く核染色。所見は図30と
ほとんどかわらない.
図33.発情前期,ヘマトキシリン・エオジン染色.粘液化した層の下に角化層がでぎかけている.
300倍.
一 784 一一
33
重松論文付図VIII
瀞
_灘麟無撫驚
・海
,ボ鐵_
・淋1!ご騰飽誌
螺
蹴
蝦
炉。曝
^欝襲
繊
糞
嚢
飯響
響曝
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謄鑑…懸診・
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ご蒲
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ドぐ
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…灘熟灘…餅驚臨=
尋デ藷粥
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T.n: nsu f!anL,
溌毎ご編
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・黙蓋謄無難蕊
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響
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一躍
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ge.wwvth.
.謎鶏
饗
羅
騨
藪
犠
獅
嫌型
犠
34
付 図 説 明
図34より37までは図33と同じ個体.倍率はすべて600倍.
図34,過ヨウ素酸Schiff染色.ヘマトキシリンで薄く核染色.被蓋層には粘液化した細胞とあま
りしていない細胞とが認められる.中間層,基底層に反応陽性頼粒が認められる,
図35.アセチル化後過ヨウ素酸Schiff染色.ヘマトキシリンで薄く核染色.反応は陰性.
図36.アセチル化後ケン化して過ヨウ素酸Schiff染色.ヘマトキシリンで薄く核染色.反応は図
34と同じ.
図37.Schiff試薬のみに入れ,ヘマトキシリンで薄く核染色,反応陰性,つまり遊離のアルデヒド
は認められない.
一 786 一
ト隠
重松論文付図IX
メ
一
らど
警護罐陰嚢聾鱒∴毎縣
。
卿。灘糠野
擁
’
磯
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誤霊亀ラ 霞
あ
・姐。鰯餐
.
み
鼓
懸
盛
ね
醜 ド
認
り
妻
麟叢鞭簿篶;饗膳欝綴織
1騒騒1議難欝藩築轟轟38
な
、,
ペ
へ く ヘ
メ、
・
曝欽嘱
触
’a
竃
噸
@襲}
為轡f
藩・
罐
“’ sl l
〟f 一
36
付 図 説 明
図38から図41までは図33と同じ個体.倍率はすべて600倍.
図38.コPイド鉄染色.被蓋層は濃染する細胞が多く,中聞層以下には染るものが認められない.
分泌物は濃染.
図39,40.41はコロイド鉄と過ヨウ素酸Schiffとの重染色をした同じ標本のおなじ場所を光源の
フィルターを代えて撮影.
図39は濃染色フィルター,図40は濃青色フィルター,図41は濃赤色フィルター,図40では赤の染り
が強調され,図41では青の染りが強調される.図40では被蓋層と分泌物が図41より弱く,中間層以下
の頼粒層が強い.つまり前者は青染の度合いが強く,後者は赤染していることを示す.
一 788 一
37
重松論文付図X
38
付 図 説 明
図42から図45までは図33と同じ個体.倍率はすべて600倍.
図42,43,44はアルシアンブルーと過ヨウ素酸Schiffとの重染色をした同じ標本の同じ場所を光
源のフィルターを代えて撮影したもの,図42は濃緑色ブイルター,図43は濃青色フィルター,図44は
濃赤色フィルター.その所見は図39から41までのコロイド鉄,過ヨウ素酸Schi旺染色の場合と同様
である.
図45.ジアスターゼ処理後過ヨウ素酸Schiff染色.ヘマトキシリンで薄く核染色.染色性は図34
とかわらない.
一790由.
39
重松論文付図XI
40
付 図 説 明
図46から図49までは図33と同じ個体.倍率はすべて600倍.
図46.ピアルロニダーゼ処理後過ヨウ素酸Schiff染色.ヘマトキシリンで薄く核染色.処理しな
い場合とくらべて染色性に変化はない.
図47。ペクチナーゼ処理後過ヨウ素酸Schiff染色.ヘマトキシリンで薄く核染色.中間層以下の
反応陽性穎粒が認められない.
図48.酢酸塩緩衝液につけてから過ヨウ素酸Schiff染色.処理しない場合と同様の所見.
図49.インフルエンザワクチン処理後アルシアンブルーと過ヨウ素酸Schiffとの重染色.ヘマト
キシリンで薄く染核色,処理しない時とくらべて多少染まりが弱い.
一792一
41
重松論文付図XII
42
付 図 説 明
図50と51は図49と同じ標本のおなじ場所を光源のフィルターを代えて撮影.600倍.
図50は濃青フィルター,図51は濃赤フィルター.青染がわずかに弱くなる.しかし中間層以下の反
応陽性物質には変化が認められない.すなわち被蓋層には中性多糖類とシアロ粘液が存在しているこ
とを示す.
図52.発情前期、図の33より進んだ時期の個体.過ヨウ素酸Schiff染色.ヘマトキシリンで薄く
核染色.粘液の分泌像が認められ,粘液滴はまわりより染りが悪い.中間層以下に反応陽性顯粒.
600倍.
図53.図52の一部の拡大.角化しかけた細胞中に反応陽性顎粒が認められる.1500倍.
一794:一
43
重松論文付図XIII
44
付 図 説 明
図54から57までは図52と同じ個体.600倍.
図54.’55;56はpロイド鉄と過ヨウ素酸Sch三ffとの重染色.同じ標本の同じ場所を光源フィルタ
ーを代えて撮影.図55は濃青色フィルター,図56は濃赤色フィルター.この2図をくらべることによ
り中間層以下の穎粒は赤染し,被蓋層は青染が強いことが分る.
図57.アルシアンブルーと過ヨウ素酸Schiff染色との重染色.図54にくらべて染色が弱く感じら
れるが,同じ個体でも膣の場所により粘液化に差があることを示す.
一796一
45
重松論文付図XIV
46
付 図 説 明
図58から61までは図52と同じ個体.600倍.
図58と59は図57と同じ標本の同じ場所を,図58は濃青色フィルターで,図59は濃赤色フィルターで
撮影.その所見は図54から56までと同様である.
図60.ジアスターゼ処理後過ヨウ素酸Schiff染色.ヘマトキシリンで薄く核染色.処理しない場
合とくらべて染色性はかわらない.
図61.ペクチナーゼ処理後過ヨウ素酸Schiff’染色.ヘマトキシリンで薄く核染色.中間層以下に
は反応陽性物質が認められなくなる.
一 798 一
重松論文付図XV
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