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社会経済的人口属性からみた大都市圏空間構造の変遷

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社会経済的人口属性からみた大都市圏空間構造の変遷
明治大学人文科学研究所紀 要
第60冊(2007年3月31日>53-76
社 会 経 済的 人 口属 性 か らみ た大 都 市 圏空 間構 造 の変 遷
川
口'太
郎
聰
54
、4δs'アσo'
Changingmetropolitanspatialstructures
fromtheviewpointofsocio-economicdemography
KAWAGUCHITaro
Thepurposeofthisresearchistoclarifysocio-economicpopulationcharacteristicsby
showingvarlousdistributionmapssettingthoseinchronologicalorderandtoexaminethe
changesofthespatialstructureoftheTokyometropolitanareapayingspecialattentiontothe
suburbanregion。Theresultsareasfollows.
Firstly,theremarkablepopulationincreaseoftheTokyometropolitanareaendsinthe
1970sandtheinfluenceofurbanizationhasextendedtotheareaalmost50kmradiusof'T'okyo.
Inthel980s,the.qualitativechangeofpopulationtakesplaceofquant霞ativeexpansionanda
newmovementhasbecomeobviousinthe1990s.
Secondly,popu韮atbnisclassi丘edinto3ge艮erationsfromthcdistributionpatternsbycohort
groups:"thepresuburbangeneration"whichwercbornbeforethel920s,"thelst.suburban
generation"whichwerebornfromthe1930sthrough吃hel950s,and"the2ndsuburban
generation'whichwerebornafterthe1960s.Abovementionedquantitativeexpansionofthe
metropolitanareawascausedbytheresidentialrelocationofthelstsuburbangeneration,while
qualitativechangewascauscdbythatofthe2ndgeneration.Thercf6re,thegenerationshift
fromthelsttothe2ndgenerationexertedlargeinnuencesonthechangeoftheresidence
patternofthemetropolitanarea.
Thirdly,thenuclear(amitywhicllconsis吐softheofficeworkerhouseholderand.full-timc
housewifecharacterizesthesuburbs.However,thenewtendencysuchastheincreaseofthe
.
numberofsinglefamilyandthemarriedcouplewithoutchildren,themarriedwornanwho
continuestoworkareshowninthe2ndgeneration,therefore,theypreferurbanresidenceto
suburban.Thissuggeststhedeclineoftlle"old"suburbsandllieformationofthe"new"
suburbs.
Thesuburbanregion
.oftheTokyometropolitanareahasbeenformedbythelst
generationmentionedaboveinthepostwarJapanespeciallyl960sand豆970s.Butnow,the
generationalternationbringsalargeimpactonthemetropolitanspatialstructureespeciallyit
thesuburbanregbn.Newsuburbanstudyhastobeconductedundertherecognitionthatitis
一
intheturningperiodfrommodern/urbanizingsocietytopost-modern/urbanizedsociety
.
55
《
個人研究第2種 》
社会 経 済 的 人 口属性 か らみ た大都 市 圏空 間構 造 の変 遷
川
1.は
口
太
郎
じめ に
本 研 究の 目的 は,東 京大 都 市 圏 を事 例 と して,大 都 市 圏 の成 長 に と もな う郊 外地 域 の形 成,発 展,
変容 に つい て,住 民 属性 の 分布 パ ター ンの変 遷 か ら考 察す る こ とにあ る。
周 知 の よ うに 日本 の戦 後 の経 済成 長 は社 会 階 層 の全 体 的 な底 上 げ を達 成 し,中 流 階層 が圧 倒的 多数
を占め る 「
一億 総 中流 」の社 会 構 造 を形成 した 。 なか で も,よ り豊 か な居 住環 境 を求 める 中流 階層 の
多 くが 流入 ・滞 留 した大都 市 圏 の 郊外 地 域 は,職 住 の分 離 や 生産 と消 費 の分 離 に よっ て もた らされ た
近代 家 族が 消 費 主 義 的 な生 活 様 式 を展 開 し.独 特 の ラ イ フス タ イ ル を もつ場 所 と して大 き く成 長 し
た 。2000年 の 国 勢 調 査 に よ る と,日 本 の 人 口1億2.693万
人 の う ち48、7%に あ た る6,188万 人 が 京 浜 葉,
中京,京
あ た る4,045万 人,日
阪 神 の 三 大 都 市 圏 に住 み,さ
ら に そ の654%に
本 の 人 口 の31.9%が
大都
市圏の 周辺 市 町 村,す な わ ち郊外 地 域 に居 住 してい る。 もは や大都 市 圏 の 郊外 地域 は大都 市 に付属 し
た"縁 側 的"な 地域 で は な く,日 本 の都 市 的生 活様 式 の ひ とつ の標 準 を提 供 して い る場 所 で あ る と
い っ て も過 言 で は な い 。
しか しなが ら今 日,そ の主役 で あ る 中流 家族 の変 質 ・崩壊 が 見 られ る よ うに な り,ま たそ の資 源消
費型 の 生活 ス タ イル が 問い 直 され.さ らに は高 度成 長 期 に郊 外 を切 り開 い た世 代が 高齢 化 し,郊 外 に
生 まれ育 った 第 二世 代 へ のバ トンタ ッチ が進 ん でい る よ うに,郊 外 社会 は大 きな転 期 を迎 え てい る。
そ して 「中流 崩 壊 」 「階層 分 化 」 と称 され る現 象 が 進展 す るな か で郊 外 地域 の 均質 的 な空 間 特性 は大
幅 な変容 を遂 げ,欧 米 社会 に見 る よ うな社 会 階層 別 の居 住地 セ グ リゲ ー シ ョンの進 展 を予 想 す る こ と
も非現 実 的 な こ とで は な くな って きた。 また,人 口 減少 の 時代 を迎 え て ,過 大化 した大都 市 圏 の郊外
地域の なか に は住 宅 地 の継 承 が う ま くいか ず,住 宅 地 の選 別 や淘 汰 が現 実 の ものに な りつ つ あ る。
以 上の よ うな 認 識 の もとづ き,本 研究 では,大 都 市 圏住民 の社 会経 済 的 属性 か ら見 た空 間パ ター ン
の変遷 を20世 紀 後半 の 約50年 間 に わた り把 握 し,郊 外 とい う空 間 の変 遷 を跡 付 けてい くこ とにす る。
2.関 東 地 方 の 人 ロ 分 布
♂
戦後 の経 済 成 長 の なか で と りわ け東 京 の成 長 は著 し く,全 国 か ら多 くの人 的 資源 を吸 収す る と とも
56
に,そ の 居 住 地域 も空 間 的 に拡 大 させ て きた。 そ の 結 果,東 京 は世 界 有 数の 拡 が りを持 つ 大都 市 圏 を
形 成 したの み な らず, 交 通 の い っそ うの 発 達 に よ り,そ の 広 域 化 は と どま る と ころ を知 らな い と も さ
1950年 か ら2㎜ 年 に わ た る戦 後50年 間 の 関東 地 方 の 人 口 分 布 の 変 遷 を
れ る 。 そ こ で 本 章 で は ま ず,
概 観 す る こ とに よ り, 東 京 の 都 市 化 の 影 響 が 及 ん だ 空 間 的 範 囲 を明 らか に し,以 下 に続 く分 析 の 対 象
とす る地 域 を 設定 す る こ と にす る。
(1) 同心円距離帯別の人口動向
第1図
は, 市 区 町村 の 位 置 を役 場 所 在 地 で代 表 させ,者 阯 ・(旧東 京 都 庁:東 京 都 千 代 田 区)か
らの
距 離 とそ の 距 離 帯 に含 まれ る市 区 町村 の 人 口 総 数 の 関 係 を年 次 ご と にみ た もの で あ る。 東 京 特 別 区 部
の 外 周 部 に あ た る10-20km帯
い る が50-60km帯
の 人 口 集 積 が 著 し く,時 代 と と もに そ れ に次 ぐ人 口 集 積 が 外 延 化 して
以 遠 で はそ れ ほ ど大 きな 変 化 が な い こ とが わ か る。 ま た 第2図
は,行 政 面 積 か
ら林野 と湖沼の面積 を除いた可住地面積 に対する人口密度の距離帯別分布の変遷を示 したものであ
る 。都 心 か ら離 れ る・
に した が って 人 口密 度 が 指 数 関 数 的 に減 少 し,50-60km帯
よ り内 側 で は 人 口 密
度 の増 加 が 見 られ る もの の, そ れ以 遠 で は ほ と ん ど変 化 が 見 られ な い 。
さ ら に 第3図
1960-70年
は,距 離 帯 別 の 入 口 増 加 率 分 布 の 変 遷 を 示 し た も の で あ る 。1954-60年
は20-30km帯
か ら30-40km帯
に か け て,1970-80年
は30-40km帯
は10-20km帯,
か ら40-50km帯
に か け
て の 人 口増 加 が 著 し く, 人 口 増 加 率 の ピー ク帯 は1950年 か ら1980年 の 問 に外 延 化 して い っ た 。 ち な
み に 全 国 の 人[増
加 率 は1950-60年
が12.1%
,1960-70年
がll.0%,1970-80年
がll.8%で
あ る か ら,
人 口(千 人〉
10,000
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8,000
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102030405060708090100110120130
都 心 からの 距 離 帯(km)
・
第1図
関東 地 方 の距 離 帯別 人ロ 分布
(資 料:国
勢 調 査)
距 離 は旧 東 京都 庁 (東 京 都 千 代 田 区)か ら 各 区 市 町 役 場 ま で の 直 線 距 離 に も とづ い て お り,
2000年 の 行 政 区 画 に も とづ い て 組 替 え を 行 っ て い る 。
57
社 会経 済 的 人 口属 性 か らみ た大 都 市 圏 空 間構造 の変 遷
数LO%に
も及 ぶ この ピー ク 帯 の 人 口増 加 が い か に著 しい もの で あ っ た かが わか る・ しか し1980年 以
降 に な る と,
全国の人口増加率
(1980-90年
が5.6%,1990-2000年
が2,7%)に
比 べ る と依 然 と して高
水 準 にあ る もの の,そ れ ほ ど突 出 した 人 口増 加 の ピ ー ク帯 は見 られ な くな り,平 準 化 ・沈 静 化 す る よ
うにな った 。
可住地人 ロ密度
く
人/F㎡)
20ρ00
冨 一
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一
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一
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+1960年
一
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一 一1980年
一
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→ 一2000年
一
一
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14,000
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12,000
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一1950年
一
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10-20-30-40-50-60-70-80-90-100-t10-120-130一
10'203040506070809010011C12C130
都 心 からの 距 離 帯(km)
第2図
関東 地方 の距 離帯 別 人 口密 度分 布
(資 料:国
勢 調 査)
人 口密 度 は行 政 面積 か ら林 野 と湖 沼 の面積 を除い た可住 地面 積 に もとづ い てい る。
人口増 加率
iOO%一
」一 一
一
・
一
80%
一
+1950-60年
冨
一
+1960-7C年
・
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60%
一
40%
一
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10-20-30-40-50-60-70-80-90-100-110-120-130一
10
203040506070809010011012C130
都心 からの 距 離 帯(km)
第3図
関東 地方 の距 離帯別 人口増加 率 分布
(資 料:国
勢 調査 〉
・・
、.、 み..
グ
」
58
以 上 か ら,著
しい 人 口 増 加 を経 験 した の は1970年 代 ま で で あ り,そ の 波 及 は50-60km帯
た もの と考 え られ,都
で止 ま っ
市 化 は 主 と して こ の 範 囲 で 生 じた もの と判 断 され る。 以 下 で は ,そ の こ と を空
間 的 な 分 布 に よ っ て 確 認 して み る こ と に す る 。
(2}人 口の空間的分布の変遷
第4図 は,10年 ごとの人口増加率 を分布図に して並べた ものであ る。著 しい人 口増加率 を示 す地区
が1950年 代 か ら1970年 代 に か け て リ ン グ状 に 拡 が っ て 行 く様 子 が 認 め ら れ ,1970年
代 に は幹 線 交 通
路 に 沿 っ て 北 関 東 の 主 要 都 市 ま で 人 口 増 加 帯 が つ な が る よ う に な っ た 。 しか し1980年 代 に な る と ,
人 口 増 加 の 地 域 的 パ タ ー ン は 踏 襲 す る もの の ,増 加 率 の 水 準 は 低 下 し,さ
ら に1990年 代 に な る と,
人 口急 増地帯は断片的 に散見 されるのみ になった。新 たなニ ュータウンや住宅団地が開発 さ礼
それ
が個 々の市町村 の人 口増加 を もた らす ことはあ って も,面 的な広が りを持 った人口増加帯はみ られ な
くなった。 したが って著 しい人口増加 が帯状 に広が り,大 都市圏の面的拡大が顕著 に見 られたの は
1970年 代 ま で で あ り,ま た そ れ が50km圏
第5図
は,そ
内 に 止 ま っ た こ と が 確 認 され る 。
れ ぞ れ の 市 区 町 村 が,1950年
以 降 の ど の 時 代 に も っ と も著 しい 人[増
加 を 経 験 した
か を示 した ものであ る。東 京特別 区部や京浜 臨海部 の既 成市街 地は1950年 代 に,そ の周辺 および東
:京都 か ら神奈川県 にかけての南西方 面 は1960年 代 に,埼 玉 県か ら千葉県 にかけての北 東内陸方面 は
197年
代 に 人 口 増 加 の ピ ー ク を迎 え て お り,先 述 し た よ う に1970年 代 まで が 都 市 化 の 時 代 で あ っ た
こ と を裏 づ け る 。 そ の こ と は 同 時 に ,人 口 の 郊 外 分 散 と と も に都 心 部 の 人 口が 減 少 す る 人 口 の ドー ナ
ツ化 を意味するが
と は,昨
このなかで都心 部の千代 田区で戦後の人口増加 の ピーークを1990年 代 に迎 えた こ
今 の 都 心 回 帰 の 動 き に つ な が る も の と し て ,今 後 の 動 向 が 注 目 さ れ る 。
第6図 は,東 京特別 区部への通勤率分布 の変遷 を示 した ものであ る。通勤圏の広域化 に ともな う遠
距離通勤の増加 とい うこ とを しば しば耳 にす るが,常 住就業者に対する特別 区部通勤者の割合が1096
以 上 の 地 域 に 限 定 す る と,そ の 分 布 は ほ ぼ50km圏
内 に 限 ら れ、 ま た 時 代 を経 て もそ れ ほ ど大 き く変
化 していない。 確か に交通 の発達 によ り飛 び地的に住宅地が開発 され,長 距 離の通勤 を強い られ る人
が い て,そ
の 数 も増 加 して い るの で あ ろ うが,そ
れ は 局 地 的 な 現 象 に 止 ま り,地 域 的 な 広 が り を 持 つ
に 至 っ て は い な い とい う こ と に な る 。
結 局,東
東 京 都,埼
とにす る。
9
京 大 都 市 圏 の 実 質 的 範 囲 は50km内
外 の 広 が り と考 え て よ く,以 下 で は,こ
玉 県,・千葉 県,神
に 茨 城 県 の 南 部 を加 え た 範 囲 を 「東 京 圏 」 と称 す る こ
奈 川 県 の1都3県
の範 囲 を含 む
59
社 会経 済的 人 口属 性 か らみ た大都 市 圏空間構 造 の変 遷
舟
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人 口 増 加 率(1960・1970年)
人 口 増 加 率(1950-196C年)
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人 口 増 加 率(198C・199C年)
人 口 増 加 率(1970-1980年)
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第4図
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関東地方 の人口増加率 分布
(資料:国
勢 調 査)
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図中 の 円 は東京 都 千 代田 区を 中心
と し た 半 径50kmの
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人 口 増 加 率(1990・2000年
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第5図
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代
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1970年 代
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恒 常的 に人 口減 少
関 東地方 市区 町村 の 人口増加 率 ピー ク年代
8
(資 料:国
勢 調 査)
竃
図中の 円 は東 京都 千代 田 区を中心 とし た半 径50kmの
同心 円 。
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東 京 特 別 区 部 通 勤 率(1975年1
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東 京 特 別 区 部 通 勤 率{1975年}
第6図
東 京 特 別 区 部 通 勤 率 【1995年}
東京 特別 区部 への通勤 率分布
(資 料:国
雛)
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東 京 特 別 区 部 通 勤 率{1965年}
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毒
勢 調 査)
通 勤 率 は15歳 以 上 の常住 就業 者 に対 す る東 京特 別区部 へ の通 勤 着の
割 合 。 図 中の 円は東京 都千代 田区 を中 心 と した 半 径50kmの
同心 円。
61
社 会 経済 的 人 口属性 か らみ た大都 市 圏空 間構 造 の 変遷
3.人 ロ学的観点 からみ た東京圏の空間構造
人び との 一 生 には幼 児 期,青 年 期,中 年期,老 年 期 な どの よ うに年齢 に よ っ て区 切 られ た 人 生 の段
階(ラ イ フス テ ー ジ)が あ り,そ れ ぞ れ に進学 ・就 職
独 立,結 婚
引退 な どの 固 有 の 出 来事(ラ イ
フ イベ ン ト)が あ る。 と くに人 口 の移 動 を考 え る際 に は,そ れ は大 きな生 活 の 転 換 を もた らす もの で
あ る か ら,ラ
イ フ イ ベ ン トで 示 さ れ る よ う な 人 生 の 節 目 が 重 要 に な っ て く る 。 しか しラ イ フ イ ベ ン ト
の時期 は.例 え ば昨今 の 晩 婚 化 に よって 結婚 年 齢 が 上 昇 した りす る よ うに ,時 代 に よっ て変 化 す る。
また,そ れ ぞ れ の 時期 に どの よ うな行 動 を とるの が 望 ま しいか とい う規 範 も,例 え ば結 婚 す る よ りも
単 身生 活 を選 択 す る 人が 増 え て きた よ うに,時 代 に よっ て変化 す る。 した が っ て通 時 的 に変 化 を追 う
際 には,生 物 学 的 な年 齢 で機 械 的 に区分 す るだ け で は不 十 分 で あ り,あ る特 定 の 時 代 を共有 す る こ と
で獲得 され た共 通の 価 値 観 や行 動 様 式 に注 目す る必 要 が あ る。 つ ま り,同 じ20歳 の若 者 とい っ て も,
1960年 の若 者 と2000年 の 若 者 で は,そ れ までの 生 活 体験 や 価 値観 が ま った く異 な り,ま た お か れ た
時 代背 景 も異 な るの であ るか ら,同 列 に は論 じられ ない とい うこ とで あ る。
そ こで 本章 で は,出 生 コー ホ ー トの概 念 を導 入 して,住 民の 人 口学 的属 性 分布 の変 遷 をた どっ て い
くこ と に す る 。 出 生 コ ー ホ 一 下 と は,あ
る 時 期 に 出 生 した 人 を ひ と つ の 集 団 と し て と ら え た も の で あ
り,同 時 出 生 集 団 と もい う。 出 生 年 で 区 分 し た 「世 代 」 と 同 じ と 考 え て も よ い だ ろ う 。
{η 出 生 コー ホ ー ト別 東 京 大都 市 圏 居住 者 割 合 の 推移
第7図
は,1916-20年
生 ま れ か ら1971-75年
生 ま れ ま で5年
各年齢 時点 に お け る東京 大 都 市 圏(1都3県)居
トは,ま
ず 出 生 時(0-4歳
時)の
ご と に12の 出 生 コ ー ホ ー トに 分 類 し,
住者 割 合 の推 移 を示 した もの で あ る。12の コー ホ ー
東 京 大 都 市 圏 居 住 者 割 合 が 低 い1956-60年
と,出 生 の 時 点 で す で に 同 割 合 が 一一定 の 水 準 に 達 し て い る1961-65年
す る こ とが で き る 。 さ ら に1956-60年
割 合 が そ れ ほ ど 高 く な い1926-30年
まれ 以 降 の コ ー ホ ー トに 二 分 で き る 。 つ ま り,東
代 以 前 の 生 ま れ,1930僧50年
生 まれ 以 降 の コ ー ホ ー トに 二 分
生 まれ 以 前 の コ ー ホ ー トは ,30歳
生 ま れ 以 前 の コ ー ホ ー ト と,同
代 生 ま れ ,1960年
生 まれ 以 前 の コ ー ホ ー ト
代 以 降 の東 京 大 都 市 圏居 住 者
割 合 が 高 止 ま りす る1931-35年
生
京 大 都 市 圏 へ の 流 入 や 滞 留 の パ タ ー ン は ,1920年
代 以 降 の 生 まれ の3つ
の コ ー ホ ー トに 区 分 す る こ と
が で き る。
1920年 代生 まれ 以 前 の世 代 は,10歳 代 後半 か ら20歳 代 前 半の 青 年期 に東 京 大都 市 圏 流 入 が 緩慢 で,
中年期 以降 の 圏 内 居 住者 割 合 もそ れ ほ ど高 くな い。 戦 中戦 後の 混乱 の 時 期 に青 年期 を迎 え ,戦 後 の 向
都離村 の大 きな流 れが 起 きだ こ ろ には 安定 した生 活 を営 んで い た世 代 で あ る』1930∼50年
代 生 まれ
の世 代は,青 年期 の東 京 大 都 市 圏流 入 が激 し く,そ の 後 も東 京 大都 市 圏 に留 まる割 合 が 高 い。 人 口移
動 が もっ と も活 発 化 す る の は就 職 や 進 学 を控 え た青 年 期 で あ り,そ の 時期 が経 済 成 長 著 しい1950年
代 か ら1970年 代 に 重 な っ た た め ,こ
の 世 代 は 農 村 か ら 都 市 へ,地
方 か ら中 央 へ と,ま
さ に 「民 族 大
移動 」 とも呼 ば れ る移 動 を行 った 。 そ して,そ の 後結 婚 や子育 て を期 に東 京 の 周辺 部 に新 た な住 まい
62
出生 コーホート
括弧 内 は40-4繊 に達 した年度
あるい122000#時 点での 年齢
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出 生 コ ー ホ ー トご と に み た各 年 齢 時 点 で の 東 京 大 都 市 圏 居 住 者 割 合 とそ の 実 数
第7図
(中 澤 高 志 「郊外居 住 の地 理的 実在 」関 東 都 市 学 会 年 報7,pp2-14,2005年
所 収 図1よ
り)
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を 求 め て 転 出 して い っ た 。 団 塊 の 世 代(1947一
・49年 生 ま れ)も
こ の 世 代 に 属 す る た め,ひ
と きわ ボ
リ ュ ー ム 感 が あ る 。 1960年 代 生 まれ 以 降 の世 代 は,出 生 時 か ら東 京大 都 市 圏 内居 住者 が 多 く,前 記
1930∼50年
{2)
代 世 代 の 子 ど も世 代(第2世
代)
に相 当す る。
出 生 コ ー ホ ー .ト別 構 成 比 の 空 間 分 布
こ の よ う に,
出 生 コ ー ホ ー トす な わ ち世 代 に よ っ て 人 口 移 動 の パ タ ー ン が 太 き く異 な る こ と を 先 の
図 は示 して い る が
そ れ が 人 口分 布 に どの よ う に 反 映 さ れ.ま
タ ー ン に 影 響 し て い るの か を,人
出 生 コー ホ ー
に 示 した 人 口 増 加 の 地 域 的 パ
口 の 世 代 別構 成 比 を 地 図 化 す る こ と で 確 認 して み よ う。 第8図
は,
トご と にそ れ ぞ れ の市 区町村 に お い て 当該 コー ホー トが 占め る割 合 を示 した もの で あ
る 。横 方 向 にみ て いけ ば
いけば
た,先
そ れぞ れ の時 代 にお い て世代 に よ って分 布 が異 な る様 子 が
縦方 向 にみ て
そ れぞ れ の世代 の分 布 が 時 間 の経過 と と もに 変 化 す る様 子 を示 し て い る 。
例 え ば1980年 の分布 図 を横 方 向 に 見 てい くと,そ れ ぞ れ の コ ーーポ ー ト割 合 が 相 対 的 に 高 い 地 帯 は ,
代 コ ー ホ ー ト(1980年
1970年
時 点 で10歳 未 満 〉 や1960年 代 コ ー ホ ー ト(10代)
は東 京 圏の 周辺 部,
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1950年
歳 代)は
代 コ ー ホ ー ト (20歳 代)は
周 辺 部,
さ ら に1920年
中 心 部,1940年
代 コ ー ホ ー ト(30歳
代 コ ー ホ ー ト (50歳 代)は
代)や1930年
代 コ ー ホ ーート(40
縁 辺 部 に あ る 。 つ ま り世 代(す な わ ち年
齢 層)に よ っ て分布 の 集 中 域 が 明 瞭 に異 な り, 10歳 代 以下 の年 少 者 の 分 布 が 分 散的 で,20歳 代 に な
る と レ}ちど 集 中 し, そ の 後30歳 代 以 降,再
び分 散 的 に な る と い うパ タ ー ン が 読 み 取 れ る 。
こ の こ と は分 布 図 を 縦 方 向 にみ て ,同 一 コー ホ ー トにつ い て 時 代(す
な わ ち 年 齢) の推 移 と と もに
分 布 の 変 遷 を た ど る こ と で さ ら に 明 瞭 に な る 。 例 え ば1950年 代 コ ー ホ ー トの 分 布 図 を縦 方 向 に 見 て
い く と,1960年
歳 代)に
い る。
(10歳 未 満)や1970年GO歳
な る と 中 心 部 に 集 ま り,1990年(30歳
代) の 時 点 で は 周 辺 部 に 分 布 が 偏 っ て い る が ,1980年(20
代),2QOO年(40歳
代)に
な る と再 び 分 魂 が 拡 散 し て
63
社 会 経済 的 人 口属 性 か らみた大 都市 圏 空 間構 造 の変遷
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社 会 経 済 的人 口属 性 か らみ た大都 市 圏空 間構 造 の変 遷
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以上 の よ う な分 布 域 の 変 遷 か ら,東 京 圏 の 周 辺 部 も し くは地 方 圏 で 生 まれ 育 ち,20歳 代 に就 職 や
進学 で 東 京 圏 の 中心 部 に流 入 し,さ ら に結 婚 や 育 児 を機 に郊 外 に転 出 す る とい う.典 型 的 な 移 動 パ
ター ン を見 る こ とが で きる。
た だ し世 代 に よ っ て 異 な る の は,1950年
代 コ ーーポ ー トは 出 生 時(10歳
未 満)の
分 布 が 東 京 圏の 縁
辺部 に集 中 してい る(こ の 図 の 範 囲外 に な るた め示 され て い な いが,東 京 圏 外 には もっ と集 積 して い
る)の に対 し,1960年 代 以 降 の コー ホ ー トに な る と,出 生 時 か ら東 京 圏 周 辺 部 の分 布 密 度 が す で に
高 い こ と で あ る 。 こ れ は, 1970年 時 点 で30歳 代 の1930年
トの 分 布 が 酷 似 し,同
様 に1980年
で は1940年
代 コ ー ホ ー トと10歳 未 満 の1960年
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代 コ ー ホ ー ト と1970年 代 コ ー ホ ー トが.1990年
では
1950年 代 コ ー ホ ー トと1980年 代 コ ーーボ ー トの 分 布 が 酷 似 し て い る こ と に示 され る よ う に1960∼80
年 代 コ ー ホ ー トは1930∼50年
代 コ ーーポ ー トの 子 世 代 に あ た り,親 世 代 の 分 布 に 規 定 さ れ た 結 果 で あ
る と想 定 され る 。
こ う し た 観 点 か ら,1960年
る1950年
の 時 点 で 親 世 代 に 相 当 す る1920年
代 コ ー ホ ー トの 分 布 を 比 較 す る と,そ
代 コ ー ホ ー トと そ の 子 世 代 に 相 当 す
れ は 明 ら か に異 な り,上 述 した よ う な1960年 代 以 降
の 世 代 と は ま っ た く異 な るC こ こ に 「前 郊 外 世 代 」(1920年 代 以 前 の 生 ま れ)と
∼50年
代 生 ま れ)の
断 絶 を 認 め る こ と が で き よ う 。 ま た ,同
様 に2000年
1990年 代 コ … ボ ー トの 分 布 を 比 較 して も 違 い が 認 め られ.「 郊 外 第2世
に続 く第3世
{3}20歳
代 は,さ
代,30歳
「郊 外 第1・世代 」(1930
の1960年
代 コ 一一ポ ー ト と
代 」(1960∼80年
代 生 ま れ)
ら に 新 しい 居 住 パ タ ー ン を 示 す の で は な い か と注 置 さ れ る ・
代 の空 間分 布
第9図 は,生 涯 の 人 口 移 動 で 最 も動 きが 激 しい時 期 で あ る20歳 代 と30歳 代の 分 布 パ ター ン を・ 世
代(つ ま り年 代)を 追 って 比 較 した もの で あ る。
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(資 料:国
代 時 点 の分布
勢 調 査)
図 中の 円 は東 京 都千 代 田区 を中 心 と した 半 径50kmの1司
心 円 。 階 級 区 分 は 平 均 ±標 準 偏 差 に よ る。
67
社 会経済 的人口属性 か らみた大都市圏空間構造の変 遷
20歳 代 は 進 学 や就 職 を 機 に 新 た な 機 会 を 求 め て 大 都 市 に流 入 す る こ と が 多 く,ま た,ま だ単 身 で
身軽 な た め,利 便 性 や刺 激 を求 め て 大 都 市 圏 の 中心 部 に 集 中 す るの が 一 般 的 な 傾 向 であ る 。 そ の様 子
は1930年
代 コ ー ホ ーート(1960年)か
しか し,1960年
ら1950年
代 コ ー ホ ー ト(1980年)に
か け て 典 型 的 に見 られ る ・
代 コ ー ホ ー トが 当 該 年 齢 に 達 した1990年 以 降,し だ い に20歳 代 の 分 布 域 は 西 南 方 向
に移 動 す る と と も に,周 辺 部 の郊 外 地 域 に もそ の 分 布 が 拡 散 す る よ う にな っ た。 これ は,ひ とつ に は
1980年 代 以 降,工 場 や 大 学 な ど若 者 を引 きつ け る施 設 の 郊 外 移 転 に と もな っ て若 者 人 口 も郊 外 化 し
た こ と,ふ た つ に は郊 外 生 まれ の 第2世 代 が 多 くな り,結 婚 す る まで 郊 外 の実 家 に住 み 続 け る若 者 が
多 くな っ た こ とが,そ の 理 由 で あ る と考 え られ る。
30歳 代 は 結 婚 して 子 ど もが 生 ま れ,家 族 が 増 え る と と もに,持 家 の 取 得 を 目指 す 時期 で あ る。 そ
の た め 良好 な住 環 境 と取 得 可 能 な物 件 を求 め て郊 外 へ分 散 してい くのが 一 般 的 な傾 向 に な る。 それ は
1920年 代 コ ーーボ ー ト(1960年)か
ら1950年
代 コ ー ホ ー ト(1990年)ま
で に 典 型 的 に 見 ら れ,そ
の分
布 の 集 中 域 が 次 第 に外 延 化 して い る こ と も読 み 取 れ る。 と くにバ ブ ル期 に 当 該 年 齢 に 達 した1950年
代 コー ホ ー トは50km圏
を越 え る場 所 に 多 く分 布 してお り,地 価 高騰 の 影 響 を如 実 にみ る こ とがで き
る。 しか し1960年 代 コ ー ホ ー ト(2000年)は
一 転 して 郊 外 の な か で も都 心 寄 りの 地 区 に分 布 域 が 集
中 して い る。 これ は,都 心 回帰 とい わ れ て い る よ うに,遠 隔 化 した 郊 外住 宅 よ りも都 心 に 近 い 集 合住
宅 を指 向 す る よ うに な っ た こ とが そ の 主要 な 理 由 と して 考 え られ るが
晩 婚 化 に よ り増 加 しつ つ あ る
30歳 代 の 未 婚 者 が 実 家 に そ の ま ま住 み 続 け て い る場 合 や,東 京 圏 の 出 身者 同士 が 結 婚 して 夫 方 も し く
は妻 方 の 実 家 に 同居 す る場 合 が 増 え た こ と も考 え られ る。
以 上 を総 括 す る と,郊 外 第2世 代 が 主 流 を 占 め る よ う に な っ た1960年 代 以 降 の コー ホ ー トは,そ
れ ま で の 第1世
代 で あ る1930∼50年
代 コ ー ホ ー トと は 大 い に 異 な る居 住 パ タ ー ン を示 す よ う に な
り,青 年期の大都市流入とその後の郊外流出とい う居住地移動が大都市圏の空間構造 を形成 した時代
の 転 換 を示 唆 して い る 。
(41コ ー ホ ー ト(年 齢)構 成 に よ る 地 域 区分
2000年 の 市 区 町 村 ご との コ ー ホ ー ト(す な わ ち年 齢)構 成 を も とに,市 区 町 村 間 の 類 似性 を標 準
ユ … ク リ ッ ド距 離 で 表 し,ク ラ ス タ ー分 析(ワ ー ド法)に よ って5つ の 類 型 に 区 分 す る とq青 報 損 失
量40%),明
瞭 な 同心 円状 の 地 域 区 分 を得 る こ とが で き る(第la図)。
合 の 平 均 値 を も と に 解 釈 す る と,類
コ ー ホ ー ト(20歳 代)が
型1は1940年
各 類 型 の コー ホー ト(年 齢)割
代 コ ー ホ ー ト(2000年
時 点 で50歳 代)と1970年
代
多 く,東 京 圏 の 中心 部 を取 り囲 む よ う に分 布 して い る。50歳 代 を 中心 とす
る 中高 年 の 親 世 代 と20歳 代 を 中 心 とす る 子 世 代 が 同居 す る核 家 族 世帯 を想 定 す る こ とが で き,典 型 的
な 「第1世 代 の 郊 外 」 に あ た る 。 また 類 型1の 外 側 に拡 が る類 型4は,類
そ の子 世 代 が 多 い が,類 型1よ
型1と 同様 に 中高 年 世 代 と
りは 世 代の ピー クが10年 ほ ど若 い。 こ の 世 代 はバ ブ ル期 の 地 価 高 騰 時
に 住 宅 を取 得 せ ざ る を得 な か っ た 世 代 で あ り,「 出 遅 れ た 第1世 代 の 遠 い 郊 外 」 を思 い 浮 か べ る こ と
が で きる 。
68
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代 の 郊 外)
類 型2(大 都 市 の 既 成 市 街 地)
類 型3(第2世 代 の 新 しい郊 外)
類 型4(出 遅 れ た 第1世 代 の遠 い郊 外)
類 型5(周 辺 農 村 部)
コー ホ ー ト{年 齢)割
コー ホ ー ト
(2000年 時 点 の 年 齢)
類 型1類
型2類
型3類
合 の 平 均 値(%)
型4類
東 京圏
1920年
代(70歳
代)
5.67.44.77,211.7
6.7
1934年
代(60歳
代)
lLlIL88.610.413.6
11.1
1940年
代(50歳
代)
17,214,913,215,715.2
1950年
代(40歳
代)
12,912,513,114,913
.6
13.1
1960年
代(30歳
代}
14.Cl5。718.7]2.310
.5
14.8
1970年
代(20歳
代)
16,217,217,713,610.3
16.0
1980年
代(10歳
代)
1].09.110.412.81LO
10.5
1990年
代(10歳
未 満)
第10図
is.5
9.27.61L39.5&2
9.0
コ ー ホ ー ト構 成 に も とつ く地 域 区 分{2000年)
図 中 の 円 は東 京 都 千 代 田 区 を 中 心 と した 半 径50kmの
類 型2と
型5
類 型3は1960年
卓越 す る点 で 共 通 す る粧
代 コ ー ホ ー ト(30歳
代)とX970年
同心 円。
代 コ ー ホ ー ト(20歳
類型2は 高 齢 者 も相 対 的 に多 い の に対 し,類 型3は10歳
代)の
若 い世 代 が
未 満 の子 ど もの割
合が 相 対 的 に 多 い 。 また,類 型2'は 東 京 圏の 中 心 部 を 占め るの に対 し,類 型3は つ くば市 や成 田τ1エ
千 葉 市 緑 区 な ど の ニ ュ ー タ ウ ン都 市,
お よ び埼 玉 県 の 朝 霞 市 ・和 光 市 ・
・戸 田市 や 千 葉 県 浦 安市,川 崎
市 や横 浜 市 の 東 急 田 園 都 市 線 沿 線 な ど
り,
類 型2は20-3C歳
東 京 圏 の 既 成 市 街 地 に 隣接 した地 域 に分 布 して い る。 つ ま
代の 単 身者 や高 齢 者 が 多 い 「
大 都 市 の 既 成 市 街 地 」 で あ るの に対 し,類 型3は
69
社 会経 済 的 人 口属 性 か らみ た大 都 市 圏空 間構 造 の 変 遷
20-30歳 代 の若 い 家族 が 多 い 「第2世 代 の 新 しい郊 外 」 を思 い 浮 か べ る こ とが で きる・ 残 りの 第5類
型 は高 齢者 化 の進 展 が 著 しい 「
周 辺 農村 部」 とい え る 。
類 型3で 示 され る 「第2世 代 の 新 しい 郊 外 」 が
まだ定 住 を意 識(覚 悟)す る に は若 い 彼 らに とっ
て一時 的 な居 住 地 に と どま るの か,あ るい は こ れ を 「郊外 」 と呼 ぶ には 地理 的解 釈 と して は 強 引 で あ
り,既 成 市 街地 の拡 大 と して都 心 回 帰 の 枠組 み の なか で捉 え た ほ うが よい の か,判 断 を下 す に は今 し
ば ら くの 時 間が 必 要 で あ る が,少 な く と もこ う した若 い 家 族の 集 住 地 区 が 明瞭 に抽 出 され る こ とは,
新 しい動 き と して大 い に注 目 され る 。
4.社 会経済的観点からみた東京圏の空間構造
ω 郊外家族の様相
大 都 市 圏 の郊 外 地 域 は,ホ ワ イ トカ ラーサ ラ リーマ ンの 世帯 主 と専 業 主 婦 か らな る核 家族 が卓 越 す
る場所 と して特徴 付 け られ る こ とが 多 い 。 そ して,そ れ が 産業 活 動 の分 業 化
空 間の 機 能 分 化,男 女
の役 割 分担 な と㍉ 近代 化 に よ る さ ま ざ まな分業 体制 の確 立 と軌 を一 に展 開 した象徴 的場 所 と して,ま
た,そ う した家 族 に よ る家族 主義 的 ・消 費主 義 的 ライ フス タイ ル や,世 代 や階 層 の等 質性 が 郊 外社 会
の特 質 と して語 られ る こ とが 多 い。 そ こ で本 章 で は,家 族 や 職 業,女 性 の就 業 な どの指 標 を も とに,
東京 圏の 住 民 や家 族 の 分 布 パ タ… ン を明 らか に し,こ れ らの 言 説 を生 み 出 した郊 外 家 族 の特 徴 を確 認
す るこ と にす る 。
1)家 族類 型 か ら み た世 帯 構 成
単 独 世 帯,核 家 族 世帯(世 帯 主 とそ の 配 偶 者,あ る い は そ れ に子 供 を加 え た世 帯).そ の 他 の 親 族
世帯(配 偶 者 や子 供 以外 の 親 族 が 同居 す る世 帯 であ り,父 母 や孫 が 同居 す る三世 代 世帯 の場 合 が 多 い)
の3つ
の 家 族 類 型 に つ い て,世
帯 数 に 占 め る 割 合 の 変 遷 を み た の が 第11図 で あ る 。1980年,1990年,
2000年 の いつ れ に して も,そ の 分布 の 特徴 は,東 京 圏 の 中心 部 に単独 世帯,そ の周 りに核 家 族 世帯,
縁 辺部 の 農村 地帯 にそ の他 の 親族 世 帯 とい う三 層 の 同心 円構 造 で あ り,郊 外 が核 家族 の住 処 で あ る と
い う言 説 が 確 認 さ れ る 。 また,2㎜
ら,多
年 の 国 勢 調 査 に よ る と,全
くの 郊 外 地 域 で 核 家 族 の 割 合 が7096を
国 の 核 家 族 世 帯 比 率 は58,496で あ る か
超 え て い る と い う こ と は,そ
の 等 質 性 も物 語 っ て い る ・
た だ し,こ の20年 間 に,中 心 部 に お け る単 独 世 帯 比 率 の 上 昇 が顕 著 に な る と と もに
郊 外 に 集塊
状 に見 られ た核 家 族世 帯 の 集 積 が 次 第 に 疎 らに な って きた 。1980年 は,郊 外 第1世 代(1930∼50年
代生 まれ)が20歳
代 ∼50歳 代 の 年 齢 層 にあ り,ま さに 子 育 て の 最 中 で あ っ た時 期 にあ た る。 しか し
その後,新 しい 世 代 の子 育 て世 帯 の 分 布 は よ り外 側 の地域 に拡 散 して い くと と もに
早 くに開 発 され
た地域 で は,子 ど もた ちが独 立 して老 夫 婦 だけ とな り,あ るい は配 偶 者 に も先 立 た れ て独 居 を余 儀 な
くされ る よ うに な っ た世 帯 が増 え,家 族類 型 の 多 様 化が 進 展 して い っ た もの と考 え られ る。 しか しそ
の一方 で,中 心 部 で は単 独 世帯 の集 中 が 著 しい。 単 独世 帯 の増 加 は全 国 的 な傾 向 で あ り・ また従 来 か
ら利 便性 の よい 中 心部 に は若 年単 身者 を中心 とす る単 独 世帯 が 集 中す る 傾向 が あ っ た もの の・ 親 族 世
帯 が衰 退 ・退 出 す る こ とに よ り,次 第 に中心 部 は単 独世 帯 しか 住 め な い場 所 に な りつ つ あ る・
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家族 類 型 か らみ た世 帯 構成
(資料:国 勢 調 査)
図 中の 円 は東 京都 千f℃田 区 を 中 心 と した半 径50kmあ
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単 独 世 帯 の 割 合(1990年)
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社会経済的人口属性 か らみた大都市 圏空 間構造の変遷
2)職 業 分 類 か らみ た人 口構 成
15歳 以上 の 就 業 者 の 職 業 を 「農 林 漁 業 関 係 職 業 」,「生 産 ・運 輸 関係 職業 」(運 輸 ・通 信 従事 者,技
能工,採 掘 ・製 造 ・建 設 作 業 者 及 び労 務 作 業 者),「 販 売 ・サ ー ビス関 係 職 業 」(販 売 従 事 者,サ ー ビ
ス職 業 従事 者,保 安 職 業 従 事者),「 事 務 ・技 術 ・管 理 関係 職 業 」(専 門 的 ・技術 的 職 業 従 事 者,管 理
的職業 従事 者,事 務 従事 者)の4つ
1960年 と1970年
の 時 点 で は,東
に 区分 し,後3者
京50km圏
の 割 合 の 変 遷 をみ たのが 第12図 で あ る。
内 に も 生 産 ・運 輸 関 係 職 業(ブ
ル ー カ ラ ー)比
率の高い
地 区が 存 在 し,東 京 の 城 東 ・城 南 や京 浜 の 工 業 地 帯 の分 布 に重 な っ てい た。 しか し1980年 以 降 に な
る と,50km圏
内 か ら ブ ル ー カ ラ ー一比 率 の 高 い 地 区 は 後 退 し て 外 縁 部 に 残 存 す る の み と な り,そ
は対 照 的 に,事 務 ・技 術 ・管 理 関 係 職 業(ホ
た。 す な わ ち,1970年
代 以 降,1920年
中心 に な る と と も に,郊
ワイ トカ ラー)が 東 京50km圏
れと
内 で は主流 の 職 業 とな っ
代 以 前 生 ま れ の 前 郊 外 世 代 に代 わ っ て郊 外 第1世 代 が 就 業 の
外 居 住 者 の 多 く が ホ ワ イ トカ ラ ー サ ラ リー マ ン に な っ て い っ た の で あ る 。
そ の なか で,東 京 の 「山 の 手 」 と称 され る 特 別 区 部 の 西 側 で は,ホ ワ イ トカ ラー 比 率 が す で に
1960年 の 時 点 で40%以
ら(2㎜
上 の 水 準 に 達 して い た 。 当 時 の 全 国 の ホ ワ イ ト カ ラ ー 比 率 は17.4%で
年 は35.5%),山
あるか
の 手 の 中産 階級 を郊 外 家 族 の 先 駆 的 範 型 と して 捉 え る見 方 に根 拠 を与 えて
お り,ま た.そ の 分 布 が 台 地 や 丘 陵 が 卓 越 す る南 西 方 向 に まず 拡 が って い っ た とい うの も,山 の手 二
郊外先 駆 説 を補 強 す る もの の よう に思 わ れ る。 一 方,城 東 か ら埼 玉 県 東 部 にか けて,ブ ル … カ ラー比
率が相 対 的 に 高 く,そ の 反 対 に ホ ワ イ トカ ラ ー比 率 が 低 い一 帯 が懊 を打 ち込 ん だ よ うに み られ る。 こ
れ を東 京 の 「下 町 」 の 発 展 形 と して捉 え る な らば,先 の 「11」
の 手」 の 発 展 とあ わせ て,今 日の 東京 大
都市 圏の 空 間 構 造 に江 戸 の都 市 構 造 の 反 映 が み られ る例 と して興 味 深 い。
3)女 性 の 労働 力 状 態
郊外 家 族 を特 徴 づ け る もの と して専 業 主 婦 の存 在 が あ る 。M字 型 カー ブ と して 知 られ て い る よ う
に,女 性 の 労 働 力 入 口 率 は30歳 代 の 出 産 ・育 児 期 に 大 き く落 ち込 み,子 育 て が一 段 落 す る40歳 代 に
再 び上昇 す る 。 そ こで2000年 の 資 料 を も と に,30歳 代 女 性 と40歳 代 女性 の労 働 力状 態 の 割 合 を分 布
図 に した(第13図)。
「主 に 仕 事 」 と は フ ル タ イ ム の 正 規 職 に,「 家 事 の ほ か 仕 事 」 と は パ ー トタ ー ム
な どの 非正 規 職 に 従事 して い る こ と とほ ぼ 同 義 で あ り,ま た 「家事 」 とは専 業 主婦 の こ とで あ る・
30歳 代 の フ ル タイ ム職 の 割 合 が高 い の は東 京 圏 の 中心 部 と外 縁 部 で あ る。 中 心 部 に は 未 婚 者 や 夫
婦 共働 きの既 婚 者 が 多 く,そ れ まで の 職 業 キ ャ リ ア を継 続 してい る もの と考 え られ る・ 一方,外 縁 部
の農漁 村 地帯 で は 家 内 労 働 に従 事 して い る層 が 就 業 率 を押 し上 げて お り,ま た,こ う した地 域 で は三
世代 世帯 の割 合 が 高 い た め,育 児 を両 親 に委 ね る こ とが で き るの も労 働 力 率 を高 め る一 因 に な って い
る。 一方,核 家 族 が 卓 越 す る郊 外 地 域 で は,職 業 生 活 を中 断 ・断 念 して 家庭 に入 る女 性 が 多 い こ とが
専業 主婦 率 の 高 さか らわ か る。
40歳 代 に な る と,専 業 主 婦 の 割 合 が 低 下 し,そ れ を補 っ て パ ー トタ イ ムの 仕事 に就 く女性 の 割 合
の上 昇が 見 られ る。そ の 意 味 で は女性 就 業 のM字
30歳 代 の専 業 主 婦 率 が40∼5096で
型 カー ブ を裏 づ け る もの で あ るが,郊 外 地域 で は・
あ っ た の がせ いぜ い10ポ イ ン ト程 度 下 が った だ け で,専 業 主婦 の
割 合 は相 変 わ らず 高 い 。 男 女 雇用 機 会 均 等 法 の施 行 以 来,女 性 も職 業 生 活 を継 続 す るこ とが 当然 視 さ
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販売・サービス関係 職業比率(1980年)
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サービス関係職 業比 率(2000年)
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管理 関係職 業比率 〔20QO年,
職業類 型 か らみ た人 口構成
(資料 : 国勢 調査)
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図 中の円 は東 京都千 代田 区 を中心 と した 半 径50kmの
同心 円。
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社 会経 済 的 人 口属性 か らみ た大 都 市 圏空 間構造 の 変 遷
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30歳 代 と40歳 代 の 女 性 の 労 働 力 状 態(2000年)
(資 料:国
勢 調 査)
図 中 の円 は東京都 千代 田 区 を中心 と した 半 径50kmの
同 心 円。
れ る よ うに な り,ま た昨 今 の 雇 用情 勢 の な か で は家 計 の 維 持 の ため には 夫婦 共 働 きを 余 儀 な く され て
いる と もい われ て い るが,い まだ郊 外 は専 業 主婦 の存 在 が 主流 の社 会 で あ る し,そ う した ラ イフ ス タ
イル を選 好す る世 帯 が 郊 外 を選 択 してい る ともい え よ う。
(2) 所得からみた東京圏の地域格差
昨 今, 経 済 の グ ロ ーバ ル化 や規 制 緩和 に よる競 争 の激 化 と,そ れ に と もな う成果 主 義 の 導 入 や 非正
規雇 用の 増 加 な どの 雇 用情 勢 の変 化 の結 果 と して,社 会 にお け る階層 間格 差 の 増大 を指 摘 す る論 調 が
注 目され る よ う に な った 。 また 治安 や 安 全
教 育,福 祉 な どの水 準 に よっ て地 域 を格 付 けす る よ うな
試み も話 題 を集 め,地 域 の 選 別 や 階層 間 の 住 み分 け とい っ た現 象が 日本 で も顕 在 化 しつ つあ る よ うに
も思 われ る。 こ う した問 題 の 要 因 や帰 結. ある い は是 非 につ い て論 じる こ とは本 研究 の範 囲 を超 え て
いるが
こ こで は,そ う した議 論 の素 材 を提 供 す る ため に
東 京 圏 にお け る所 得 の市 町村 間格 差 に つ
い て 資料 を示 し て お く。
布 町村 単 位 の 所 得 水 準 につ い て は, 市町村の住民税課税対象所得の総額が公表されているので(総
務 省 自治 税 務 局 『
市 町村 税 課 税 状 況 の 調』),そ れ を納 税 義 務者 数(市 町村 税 所 得 割 の 納 税 義 務 者 数 〉
で割 れ ば
世帯 あ た りあ 所得 の 平均 値 を把 握 す る こ とが で きる。 た だ し.こ の 値 は・ 事 業所 得 に比 べ
74
て給 与所 得 の捕 捉 率 が 高 いた め,給 与 所 得者 の 多 寡 に過 分 に影響 され る よ うに思 わ れ る。 また,人 口
が 多 く多様 な属 性 の 人 が住 む地 区ほ ど,所 得 の ば らつ きを考 慮 しない で納 税 義 務 者 の合 計 で割 っ て し
まうため,値 が 低 くな る可 能性 が あ り,逆 に住 民 が均 質 な地 区 ほ ど平均 値 が高 くで る可 能 性が あ る。
と くに横 浜市 や 川 崎市,千 葉 市 な どの 政 令市 で は 区 ご との デ ー タが 得 られ ない た め,細 か な変動 が わ
か らない。
そ う した デ ー タ の 限 界 を 考 慮 しつ つ,そ
の 分 布 を み る と(第14図),東
京50km圏
を境 と して 内 外
で所 得 に格 差 が み られ る。 上 述 した よ うに,そ の格 差が 金 銭 価値 に換 算 した生 活水 準 をその まま反 映
した もの とは 必 ず しもい え な いが,郊 外 のホ ワイ トカラー が卓 越 す る地 域 と縁 辺部 の ブル ー カラ ーあ
るい は農業 が 卓 越 す る地 域 の 区分 と符 合 す るの は興 味深 い 。 また,東 京 城 東 地 区 か ら埼 玉 県 東部 にか
け て値 が低 い の も,前 述 した ような職 業 構 成 の違 い に還 元 で きるか も しれ ない。
圏 内 を詳細 に見 る と,特 別 区部 め 山 の 手 と郊 外 の40-50km圏
に高 所 得 地 区 が 点在 して お り,郊 外
中 産階級 の存 在 を想 定 す る こ とが で きる。 しか しなが ら,郊 外 には ホ ワ イ トカ ラ ーサ ラ リー マ ンが 多
く住 み,彼 らの 給 与 が 年 功 序 列 体系 を反 映 して い る とす る な らば,し か るべ き年 齢 の と きに所 得 は
ピ ー ク に な る か ら,年
齢 の 構 成 に 応 じ て 高 所 得 地 区 は 変 動 して も お か し く'ない もの の ,図
の 地 域 的 パ タ ー ン は か な り安 定 して い る 。 こ の こ と は,豊
に 見 る所 得
か な 町 と そ う で は な い 町 と い う 固 定 化 した
観念 が 人び との なか にあ り,そ う した イ メー ジ に も とづ い て居 住地 の 選 択 が行 わ れ て い る こ とを想 起
させ る。
昨今,社 会 の なか で の 階層格 差が広 が りつ つあ る とい わ れ てい るが
上述 した よ うに所 得分 布 の空
間 的 パ ター ン は か な り安 定 的 で あ る と もみ え る 。 そ こ で ジ ニ 係 数 を 算 出 す る こ と で,市
町村 ご との所
得 格差 は拡大 してい る のか 否 か を検証 して み た。 ジニ係 数 は固体(標 本)間 の 平準 度 を示 す測 度 であ
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り詳 細 な 変 動 が 不 明 で あ る こ と に注 意 す る必 要 が あ る 。
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社会 経 済 的 人 口属 性 か らみ た大 都 市圏 空 間構造 の変 遷
ジ ニ 係 数 の 推 移 を 示 した 第15図 に よ る と,1980年
ら0.12の
か ら2000年 に か け て の20年 間 に ジ ニ 係 数 は0.08か
全般 的 に は平 準 度 が 相 当高 い こ とにな る 。つ ま り一 部 の 市 町村 に富 が 偏在 し
問 の 値 を と り,
てい る わ けで は な い こ とに な る が,こ の こ とは所 得 に高低 が あ るこ と を否定 す る もの で はな く,先 に
見 た よ うに高 所 得 か ら低 所 得 まで の 市 町村 の順 位 は か な り固定 され てい る。 また,1988年
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ク に 達 し た あ と 漸 減 し, 1990年 代 お い て 市 区 町村 間の 所 得 格 差 は解 消 す る 方 向 に向 か っ て お り,世
帯や個 人 間の 所 得 格 差 が 広 が って い る とい う昨 今 の 主 張 とは相 容 れ ない ・個 々の世 帯 や,似 た よ うな
世帯 が集 まっ てい る と考 え られ る細 か な 地 区単 位 で は格差 が 広 が っ てい る と して も,市 町 村 レベ ルで
は平 準 化 され, 好 況期 に飛 びぬ け て活 況 を呈 した地 区が み られ な くな った た め に,格 差 が 縮 ま った も
の と思 わ れ る 。 つ ま り, 所 得 の格 差 は市 町 村 よ り も小 さな街 区 や地 区 レベ ル を単 位 と して検 証 すべ き
で あ る こ と を示 唆 して い る 。
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第15図
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ー ケ テ ィ ン グ教 育 セ ン ター 『個 人所 得 指 標 』)
わ りに
本 研 究 で は, 東 京 大都 市 圏 を事 例 に して,さ ま ざ ま な属 性 か ら見た 住 民 構城 の分 布 パ ター ンを時系
列 に沿 っ て提 示 す る こ と に よ り,大 都 市 圏 の 空 間 構 造 の変 遷 を検討 して きた 。 そ して,そ の なか で も
と くに郊 外 地 域 に 焦点 をあ て,そ の変 化 の動 向 に注 目 して きた。 その 結 果 と して,以 下 の よ うな点 を
結 論 と して 得 る こ とが で き た 。
第1に,東 京 大 都 市 圏 が 著 しい 人 口増 加 を経 験 した の は1970年 代 まで で あ り,そ の 影 響 が及 んだ の
はおお む ね50km圏
目 され,と
第2に,出
の 内外 に止 ま っ た。 そ して1980年 以降 は 人 口 の量 的 な抜 大 よ り も質 的 な変 容 が注
りわ け1990年
代 以 降 に 新 た な 動 きが 顕 著 に な っ て きた 。
生 コ ー ホ ー トご と の 分 布 パ タ ー ン の 変 遷 か ら,1920年
代 以 前 の 生 ま れ の 「前 郊 外 世 代 」・
76
1930∼50年
代 生 ま れ の 「郊 外 第1世
代 」,そ して1960年 代 以 降 の 生 まれ の 「郊 外 第2世
代 」 の3つ
の世代 に分けることがで き,上 述の量的拡大が第1世 代の,質 的変容が第2世 代の居住地選好 と密接
にかかわっている。 したが って第1世 代か ら第2世 代への世代交代が大都市圏の居住パ ターンの変化
に大 きな 影響 を 及 ぼ した とい え る 。
第3に,郊
外 地 域 を特 徴 づ け て い る の は ホ ワ イ トカ ラ ー サ ラ リー マ ン と専 業 主 婦 か らな る核 家 族 世
帯であ り,そ うした郊外家族像は依 然 として根 強い ものがあ るが
上述 の第2世 代 においては変化の
兆 しもみ られる。 とりわけ単独 世帯 や夫婦のみ世帯の増加,既 婚女性の就業継続な どの動 きは,郊 外
よ り も都 心 や そ の 周 辺 部 を志 向 す る動 機付 け を 持 ち,こ の こ とは 新 しい 「郊 外 」 の 形 成 と と も に ,古
い 「郊 外 」 の 衰 退 を示 唆 して い る 。
以 上 の よ う に,戦 後 の ひ と つ の 時 代 と世 代 に よ っ て 形 づ く られ て き た 大 都 市 圏 の 郊 外 地 域 は,21
世 紀 を迎 え て 時 代 の 背 景 が 変 わ り.世 代 の 交 代 を経 る こ とに よ っ て 大 き く変 わ ろ う と して い る 。 そ の
内実 を語ることは別稿 に委ね ざるを得 ないが,少 な くとも郊外地域がそ う した転換期にある という認
識をもとに新たな郊外研究 を進めてい く必要があることを本研究 は提起 しておきたい。
1
(か わ ぐ ち ・た ろ う
文 学 部 教 授)
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