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揖斐川町
わが町紹介 わが町 紹介 水資源機構の施設が所在する市町村の 観光名所などの紹介をシリーズでお届けし ています。今回は徳山ダムのある岐阜県揖 斐川町をご紹介します。 町の中心部を流れる揖斐川 18 ● 水とともに 水がささえる豊かな社会 打保 角川 石川県 岐阜県 41 156 158 飛騨清見 158 自然と歴史が育む ふれあいと活力のある 健康文化都市 揖斐川町(岐阜県) 富山県 北 福井県 長野県 472 ぎふ大和IC 焼石 417 157 418 美濃関JCT 東海環状 自動車道 ↓ 417 美濃青柳 岐阜羽島 365 258 ←東海道新幹線 古虎渓 愛知県 中央本線↓ 418 ←太多本線 姫 美濃赤坂 横屋 高山本線↓ 21 名神→ 自動車道 下油井 41 美濃 257 256 256 303 361 ←高山本線 高鷲IC 白鳥IC 揖斐川町 滋賀県 156 飛騨一ノ宮 久々野 ← 東海北陸 自動車道 恵那 19 ↓中央道 363 257 自然と歴史が育む ふれあいと活力のある健康文化都市 揖斐川町(岐阜県) ▲ 姥ヶ岳 凡例 高速自動車道 476 福 井 県 ▲ 金草山 ▲ 冠山 ▲ 若丸山 国道 川 県道 県境 JR 市町村境 157 ▲ 赤谷山 ▲ 高屋山 ▲ 岩岳 ▲ 不動山 ▲ 藤谷山 ▲ 三周ヶ岳 ▲ 上谷山 ▲ 烏帽子山 夜叉ヶ池 ● ▲ 上谷山 270 徳山ダム ▲ 三国岳 ●坂内バイクランド ▲ 五蛇池山 417 ● ▲ 涌谷山 ▲ 横山岳 303 ●藤橋歴史民俗資料館 藤橋城 (西美濃プラネタリウム) 遊らんど坂内 ● 夜叉ヶ池の里さかうち 揖斐川町 横山ダム 418 ▲ 権現山 ▲ 魚金山 星のふる里ふじはし 157 いび川温泉 303 いこいの森 ● ●両界山 40 賀 県 滋 ● ふれあいの森 ▲ 貝月山 111 アトリエのの 213 国見岳スキー場 ● ▲ 小谷山 40 ●城山さくらの森 朝鳥公園 ● ▲ 小島山 上ヶ流無農薬茶園 ● いびがわ マラソン ● かすがモリモリ村 リフレッシュ館 谷汲温泉 ● 谷汲ゆり園 健康広場 ● ● 城台山公園 バターゴルフ場 ● ● 春日局公園 ● オート キャンプ場 32 中山観音寺 ● ● 華厳寺 揖斐川町観光プラザ ● ●● ● 昆虫館 観光資料館 40 ● 揖斐峡 ● 長者の里 ● 森の文化博物館 ● 森の染織工房 谷汲山 天皇林公園 夢さんさ谷汲 ● ● 揖斐高原スキー場 ▲ 己高山 緑地公園キャンプ場 横蔵寺 ▲ 飯盛山 久瀬温泉 79 78 いび ←揖斐川 みのほんごう 92 きたいけの きたこうど 53 いけの ▲ 七尾山 とらひめ 信長薬草園 ▲● 伊吹山 長浜IC 37 365 53 ●さざれ石公園 東海道本線↓ 40 251 ←北陸道 たむら ↓東海道新幹線 おうみ ながおか かしわばら 関ヶ原IC 365 名神高速 ↓ ひろこうど 92 ひがしあかさか あらお 21 せきがはら 417 みの あかさか たるい 19 養 老 線 8 きたおおがき むろ にしおおがき おおがき 18 50 258 わが町紹介/揖斐川町(岐阜県) ● 16 19 わが町紹介 揖斐川町のプロフィール 揖斐川町は、岐阜県の最西部に位置し、北側は福井県、南 側は不破郡、揖斐郡池田町、大野町、東側は本巣市、西側は 滋賀県と接しています。 揖斐川町の南西部から北西部にかけては、標高1,100~ 1,300m前後の山々がそびえ、その山間を縫うように、揖斐 川、坂内川、日坂川、根尾川、粕川などが流れています。山間 部を流れる河川は揖斐川に注ぎ、根尾川は大野町南部で揖 斐川に合流しています。また、揖斐川町の南東部は濃尾平野 の最北端に位置する平坦地となっており、市街地及び田園地 帯となっています。 揖斐川町の町域は、東西方向約20km、南北方向約35kmと 南北に長い長方形を形成し、総面積は803.68k㎡、町域の約9 いびがわマラソンのスタート 割を森林が占めています。 揖斐川の源流から中流域に位置する揖斐川町は、緑豊か から集まる多くのランナーがゴールを目指して走ります。 な森林を有し、その多くが揖斐関ヶ原養老国定公園、揖斐及 いびがわマラソンは「日本のボストンマラソン」と言われる び伊吹県立自然公園に指定された地域で、きれいな水、澄ん ほど沿道の応援が賑やかで、この日は町全体が応援一色に染 だ空気、美しい景色を人々に提供しています。 まります。小中学校は登校日となり、子供達は思い思いの応 また、伊吹山の山麓地域は薬草の宝庫で、古くからその活 援幕を作ったり、手作りのメガホンで呼びかけたり、楽器を演 用がなされてきました。さらに、福井県、滋賀県に接している 奏したりと、アイデア一杯の応援を繰り広げます。また、中学 ことから、北陸、関西方面との交流が行われ、多様な伝統文 生は、給水やゴミ回収などを行いボランティアとしても大会を 化が育まれてきました。 支えます。もちろん、多くの町民の方もランナーをおもてなし たにぐみ 平成17年1月31日、旧揖斐川町、谷汲村、春日村、久瀬 の心で迎えます。本大会は、毎年1400人を超えるボランティア 村、藤橋村及び坂内村が合併し「新揖斐川町」が誕生しまし の方々の協力を得て運営されています。 た。合併後の揖斐川町では、町が10年後に目指すべき姿を また、参加した誰もが楽しめるということも、いびがわマラ 「自然と歴史が育む ふれあいと活力のある健康文化都市」 ソンの大きな魅力。マラソンと同日に開催される「いびがわ と定め、様々な取り組みを行っています。本稿ではその幾つ ウォーキング(3km)」では、ランナーの家族や友人など、応 かの取り組みを紹介させていただきます。 援に来た方もコースを歩いて爽やかな汗を流せます。ゴール ではけんちん汁のサービスも。 いびがわマラソン 2008年第22回大会では、エントリーランナーが8000人を いびがわマラソンは、東海三県では初となる日本陸上競技 子さんがランナーとして特別参加し、大会は例年以上に大き 連盟公認のフルマラソンコースを使用した市民マラソンで、毎 く盛り上がりました。 年11月に開催。清流揖斐川と秋の紅葉を背景に、全国各地 20 ● 水とともに 水がささえる豊かな社会 超え、加えて岐阜県出身でオリンピック金メダリストの高橋尚 自然と歴史が育む ふれあいと活力のある健康文化都市 揖斐川町(岐阜県) 谷汲界隈 揖斐川町谷汲は、県下でも有数の観光地。西国巡礼三十三 けごんじ 番満願霊場である「華厳寺」は延暦17年(798年)桓武天 皇により創建されたと言われ、桜・紅葉の時期には美しい景 観が訪れる人を楽しませます。参拝者からは「たにぐみさん」 の愛称で親しまれており、本尊である十一面観音像や不動明 王、毘沙門天など多くの文化財を有しているのも魅力の一つ です。 最近では、若者の関心を呼ぶようになり、新しい客層を意 信仰を集める谷汲山華厳寺 識した新鮮な観光地づくりを進めています。旧谷汲村役場に あった谷汲観光協会の事務局を谷汲山華厳寺の参道沿い新 産店も休日中心の営業から平日も強く意識するようになりま 設し、観光客とより身近に接するようになり、寺の行事ともタ した。 イアップした催事を新たに企画、参道にある約50の飲食、土 かつて年間140万人に上っていた観光客は、名鉄谷汲線 谷汲山華厳寺の仁王門 わが町紹介/揖斐川町(岐阜県) ● 21 わが町紹介 が平成13年9月に廃線となった影響で20万人も減少し、予 であった木炭、繭、茶などが暴落。当時の旧春日村村長は「伊 想以上の打撃でした。谷汲山華厳寺の魅力だけに頼らず、ま 吹薬草組合」を設立し、 「伊吹百草湯」に代表される浴料用 ち並を含めた観光スポットの再構築が必要だという声が上が や煎薬用の薬草の販路拡大に努め、村をあげて良質の薬草 り、平成17年に「谷汲門前街並みづくり委員会」を立ち上げ、 を多量に製造・販売しようと尽力しました。春日の地には、薬 「癒し」、 「もてなし」、 「にぎわい」をテーマに、数多くの手作 草に恵まれた豊かな自然と、先人の英知が築いた独自の薬草 りイベントを企画・運営しています。 文化が今なお残されています。 参拝に訪れるお客様に季節感を味わってもらおうと、夜桜 春日地区には、春日の薬草文化を学び、また体感できる施 を演出する竹灯籠やユリの花、ひな人形やこいのぼりで参道 設があります。 「森の文化博物館」では、薬草仲買人が使った を彩っています。なかでも、華厳寺の「お十七夜」にあわせて 道具や売上帳などが展示されており、春日の薬草を村外に売 開催した「お十七夜コンサート」では、二胡や琴、ピアノや管 り歩いた人々の暮らしぶりが良くわかります。また、昭和初期 楽器が幻想的な音色で多くの来場者を魅了しました。 の「伊吹薬草湯」の販売用袋やポスター、効能書など、独自 谷汲から徳山ダムまで車で約1時間弱。徳山ダムが湛水 の薬草産業を垣間見る資料が展示されています。 し、往路・復路いずれかで谷汲に立ち寄る客も増加していま 同じ敷地内にある「森の染め織り工房アトリエのの」では、 す。 この地域に自生する四季の薬草採集から、煮出しや布染めま で、自然の素材を活かした手作りの工芸を楽しむことができ 薬草の里「春日」 ます。また、 「かすがモリモリ村リフレッシュ館」では、伊吹山 伊吹山の東側、山あいに位置する春日地区では、古くから ができ、館内のレストランでは、地元で採れた薬草や食材を 自生する豊富な薬草を食用や飲用、入浴用などに活用し、独 使った薬膳料理を味わうことができます。 の麓で採れた薬草をふんだんに使った薬草風呂を楽しむこと 自の薬草文化を育んできました。また、採取した薬草は「岩 手峠越え」 「上平寺越え」 「与一堀越え」と呼ばれる厳しい山 越えで里に運ばれ、貴重な収入源にもなっていました。明治 いび茶 中期には年間約7.5トンもの薬草が生産され、滋賀、京都、 揖斐でお茶づくりが始まった時代は明らかではありません 愛知、静岡にまで出荷しており、春日の人々にとって薬草は、 が、江戸時代には大量のお茶が生産されたと伝えられていま 生活文化への関わりのみならず、産業としても重要な資源で す。宝暦9年(1759年)には、江戸幕府御用番茶を申し付けられ あったことがわかります。 『美濃茶』が誕生いたしました。新しい生産方法を採用して 昭和初期、世界経済恐慌のために、この地域の主な収入源 産出し、桑名通いの舟で販路を拡大してきました。 また、開国から明治初頭にかけては、輸出産物として生産 面積、生産量ともに増大し、美濃いび茶の名は広く知られる ことになりました。現在は美濃いび茶のさらなるイメージアッ プとブランド化を推進しています。 ちなみに、サッカー日本代表のオシム前監督の苗字は「イ ビチャ」。たまたま飛騨の古川をキャンプで訪れていたオシム 監督にいび茶をさしいれに行ったところ各メディアの目に留ま り、全国放送のニュースで取り上げられたそうです。 かすがモリモリ村リフレッシュ館 22 ● 水とともに 水がささえる豊かな社会 薬草教室 自然と歴史が育む ふれあいと活力のある健康文化都市 揖斐川町(岐阜県) 「徳山ダム号」運行 ■徳山ダムを新たな観光拠点と位置づけ、 観光開発観光周遊バス「徳山ダム号」の運行開始 徳山ダムへのアクセスは、現在、自動車に限られており、揖 斐川町市街地より国道417号を利用して50分ほどかかりま す。ここに定期的な観光周遊バスを走らせ、徳山ダムを軸とし た町内観光地のPR効果を狙うため、揖斐川の下流圏(名古 屋市を中心とした愛知県北西部)の住民を対象として、主に名 古屋市にて物産展を開催するなどのPR活動を実施していま す。 お茶摘みの体験学習 平成20年4月より運行を開始した周遊バスは、徳山ダムを 目的地として町内の観光地を周遊するもので、町内の一大観 光地である谷汲山華厳寺を経由する周遊コースのほか、季節 に応じた立ち寄り先をコースとして設定しています。 交流事業 ●友好都市提携 北海道芽室町 平成18年5月27日、揖斐川町と北海道芽室町は友好都 市提携を結びました。芽室町には、明治時代に揖斐川町か ら多くの方が移り住んでおり、歴史的なつながりが深い町で す。 友好都市提携が結ばれる数年前から、先人の偉業を称え るための事業や、物産交流、小学生による農業体験などが民 ①4月~5月:岐阜県内一位の出荷量を誇る「いび茶」 の製造・直販所を見学 ②6月~7月:日本5大ゆり園に数えられた「谷汲ゆり 園」を散策 ③8月~9月:星空観測に適した地に選ばれた「西美濃 プラネタリウム」を見学 ④11月:徳山の紅葉と美濃三山の1つ両界山横蔵寺で 紅葉狩り 間をとおして行われてきましたが、この提携により、経済・教 育・文化など幅広い分野における交流が進み、両町の絆を深 め、お互いの地域が発展していくことが期待されます。 また、同年7月には、 「交流」から「協力」へと一歩踏み出 し、防災協定の締結にも至っています。 ●アメリカ ユタ州 セントジョージ市 いびがわマラソンの姉妹マラソンでもあるセントジョージ マラソンが開催されるアメリカ合衆国ユタ州セントジョージ 市とは、成績優秀者をお互いの大会に招待する「マラソン交 流」とともに、中学生を対象とした交流事業が行われます。 徳山ダム号 わが町紹介/揖斐川町(岐阜県) ● 23 わが町紹介 徳山ダム号が運行されるようになって、この間に約65便、 「星の降る家」のオープン、徳山ダムへのアクセス道路である 2000名を超える方が乗車しました。 国道417号沿いにある「道の駅 星のふる里ふじはし」内で この観光周遊バスは、ツアー形式はとらず、観光地を結ぶ の温泉施設のオープンなど、ダム周辺地域での観光開発も活 ための周遊バス(食事、入場料等は個人負担)として運行して 発になってきました。 います。それにもかかわらず、2000名を超える方が乗車さ 徳山ダム号は、徳山ダムと町内観光地を結ぶ周遊バスで れたことは「徳山ダム」への関心の高さが伺えます。 す。今まで「点」でしかなかった町内の観光地を徳山ダム号と このような徳山ダムへの関心の高さを利用して、現在、揖斐 いう「線」で結び、さらに「面」へとつなげて行く。揖斐川町 川町では観光地のPR活動を活性化しています。旧来からの は周遊バスを活用して観光地の連携を図り、さらなる観光客 一大観光地である谷汲山華厳寺の再開発を始め、徳山ダム の増加に取り組んでいます。 周辺の自然環境を利用した体験学習施設「水と森の学習館」 ❶ ● ❷ ● ❸ ● ❹ ● ❶森と水の学習館 ❷温泉施設「藤橋の湯」 ❸道の駅 星のふる里ふじはし ❹“揖斐の防人、濃尾の水瓶” 徳山ダム 徳山ダムの詳しい説明につきましては、ホームページをご覧下さい。 http://www.water.go.jp/chubu/tokuyama/ 今回紹介しました揖斐川町は、山の緑と清流がおりなす自然に恵ま れた、歴史と伝統の町です。また、徳山ダムをはじめ、横山ダム、 取材を終えて 久瀬ダムがあり、水力発電による電力供給と治水の役割を果たすとと もに、下流域の水源でもあります。こうした自然や施設は「人と自然 の共生が求められる貴重な地域空間」を形成しており、是非一度お 立ち寄りいただきたいと思います。最後になりましたが、取材にご協 力いただきました揖斐川町役場の皆様に、改めて御礼申し上げます。 24 ● 水とともに 水がささえる豊かな社会