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雑音源「ジッタ」を撲滅 !高分解能 D−A変換ICの性能出し 20技
【レベルアップ・コーナ】 マスタ・クロックを淀みなく供給! 電源とグラウンドをガチッと安定化! ハイレゾ・ オーディオ 製作にも! 雑音源「ジッタ」を撲滅!高分解能 D−A 変換 IC の性能出し 20 技 加東 宗 Takashi Kato ● ディジタル伝送の品質はジッタで決まる 要点① ディジタル伝送のジッタにより,音質や S / N が劣化する ディジタル伝送にジッタが発生すると,D−A 変換 回路でアナログ信号に変換されたときにノイズやひず みとなり信号が劣化します.オーディオであれば,ひ ずみによる音質劣化やS /N の低下が起こります. 電圧[V] ディジタル伝送の品質を決めるパラメータとして, ジッタ ヒストグラム 頻度[%] ヒストグラム窓 時間[s] 正規分布 時間[s] (a)ランダム・ジッタ 確率的に分布するため,立ち上がり波形の中心に多く, 中心から外れるほど少なく分布している 図 1 ジ ッ タ と は時間軸方向の ディジタル波形 のゆらぎのこと 波形の形や幅はそ 10Hz以上のゆらぎ 電圧[V] 基礎知識 ジッタ のままで時間方向 時間[s] に変移している 電圧[V] ΔΣ型オーディオ D−A コンバータや A−D コンバ ータは,ダイナミック・レンジが 100 dB を超えて います.そのためジッタによるわずかな S /N 悪化 も無視できなくなって来ています. ディジタル伝送は,アナログ伝送に比べてノイズ などのケアがおろそかになりがちです.しかし実際 は,ディジタル伝送時のジッタが,D−A 変換され た後のアナログ信号のノイズの原因になっています. 本稿ではオーディオを例にジッタの具体的な弊害 を示し,その後にジッタの量と S /N の悪化の相関 関係を実験で確認します.さらにジッタを防ぐため の対処方法を解説します. とジッタ,アイ ビット誤り率(BER ;Bit Error Ratio) 開口率,搬送波対雑音比 (C /N )があります.ジッタは ディジタル伝送の波形品質を評価する最も重要なパラ メータで,ディジタル機器の性能や信頼性を決めてい ます. ジッタとは,図 1 のようにディジタル信号の時間方 向のゆらぎのことで,10 Hz 以上の変調がかかったも のと定義されています.波形のエッジが時間軸方向に ずれる量なので単位は時間ですが,時間軸方向へのず れがゆっくり動くか速く動くかの違いもあります.そ のためジッタは,変調強度が 1 ns で周波数 100 kHz の 成分で変調されているというような言い方をします. 実際のジッタ周波数はノイズのような広帯域に分布す ることが多いので,単純に周波数で決められません. その場合は帯域で表現します. ジッタの良し悪しの目安は信号の速度に依存するの で,アイ開口率で表現されるのが一般的です.しかし, オーディオ帯域に限定すると,ジッタがそのままノイ ズとなるためS /N に換算します. ヒストグラム 頻度[%] ハイレゾ音源などの再生・録音で使われる最近の ジッタ ヒストグラム窓 時間[s] 分布に偏りがある. 正規分布しない 時間[s] (b)デターミニスティック・ジッタ この例では2本の線がはっきりわかるくらいに 分布に偏りがある 図 2 ジッタは発生理由によって 2 種類に分けられる 2015 年 11 月号 161