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ゲームでゲームが上手くなる

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ゲームでゲームが上手くなる
Coaching & Playing Volleyball 57 号 (2008 年 8 月号 )
Coaching & Playing Volleyball 57 号 (2008 年 8 月号 )
Special Topics - Gamelike Drills
Special Topics - Gamelike Drills
ゲームでゲームが上手くなる
小川良樹 (おがわよしき) 氏
女子バレーの指導者の多くは、まずレシーブの強化という考えを
下北沢成徳高校女子バレーボール部監督
3-1-2vs3-0-3 プッシュフェイント
ゲーム
3vs3
片方のコートにディフェンスフォーメーションが
3 対 3 だが攻撃は全て一方から行われる。攻撃側は
3-1-2、もう片方は 3-0-3 の 2 チームを作り、強打禁止
レシーバー、セッター、スパイカーの構成、守備側は
のプッシュフェイントゲームを行う。全員がそれぞれ
ブロックなしで 3 枚レシーバーという構成になる。こ
のコートに入るようにす
れも片方だけでなくどちら
る。2 段トスやバックアタ
のコートにも入るようにす
ックは強打可とする。5 点
る。ディフェンス側はコー
もしくは 7 点で中に入って
トの半分、4.5m 付近にラ
いるメンバーを交代する。
インを形成する。攻撃側は
3 本決めることができたら
持っているように思う。しかし、ゲームで必要な能力はやはり、ゲ
ームの中でしか身についていかない。練習ゲームや試合だけの話で
文中図
このドリルの目的は、異
交代である。ディフェンス
なく、日々のゲームライクドリルでもそれは身につける事は可能だ。
○…前衛
なる二つのフォーメーショ
側はなるべく 1 本で相手コ
●…後衛
ンを経験することで、それ
ートへ返すか、つなぎが必
△…コーチ
ぞれのディフェンスフォー
要でもパスによる返球とす
メーションの利点、弱点、フェイントの落としどころ
る。スパイクミスはノルマを 1 本増やす。フェイント
はなし。
ゲームでゲームが
上手くなる
ム勘を身につけて、はじめてバレー
わせている。ゲームで課題を抽出
などを理解することにある。実際の試合で相手は、ど
ボールが上手くなるといえるのでは
し、個人それぞれの課題に対して反
のようなフォーメーションを採用しているか、試合が
ゲームライクドリルは、レシーブ
ないだろうか。下北沢成徳ではゲー
復練習をすることは非常に効率が良
始まるまで分からない。相手が 3-1-2 ならここに落とす。
オフェンス側は一本で確実に決める練習。ディフェ
やスパイクの個人スキルではなく、
ムライクドリルを非常に多く取り入
い。
3-0-3 ならここを狙ってくるという落とし場所の違いを
ンス側はノーブロックのディフェンス練習になる。頼
主にゲーム勘を磨く練習といえる。
れている。女子のチームでこれほど
実感する。
れるスパイカーは自分一人しかいないため、自分が決
ゲームライクドリルをやっていない
取り入れているチームは他に聞いた
プレッシャーをかける
と練習は凄く上手いけれど、ゲーム
ことがない。男子の強豪校の監督に
実際のゲームの中では、この一本
は凄く下手ということが往々にして
も男子みたいな練習をしてるね、と
を決めれば勝てるという場面になる
①センター、ツーは強打あり
ある。私も昔は、そのような失敗を
言われたことがあった。 と選手には必ず力みが出る。そのよ
②センター、ライトは強打あり
①ブロック 1 枚追加
多くしてきた。強度の高い練習を多
チームとしての練習では技術練習
うな場面では往々にして、シャット
ポジションごとに強打 OK ルールを設定する。様々
ブロックを 1 枚付けることによって、スパイカーは
くしているようでもないのに、ゲー
などはほとんど行わない。個人技術
アウトされたり、ミスをしたりして
なパターンをこちらが設定することによって、試合で
1 枚で確実に決める練習。ディフェンスはブロックが 1
ム練習をよくしているチームの方が
は、選手が個人の責任で身につける
しまう。心理的にゲームに近い状況
対戦が考えられる未知の相手に対する対策練習にもな
枚のケースのポジショニングの練習になる。
勝ってしまうというのは良くある話
べきものだと思っているからだ。チ
の練習をして、実際にそういったプ
る。実際の試合でもほとんどトスが上がらないポジシ
だ。
ームとしてどう動くかというのが練
レッシャーを体験しなくてはならな
ョン、上がっても強打がない選手などが存在する。そ
実際のゲームの局面では相手セッ
習の中心となる。正面の強打をあげ
い。こういったプレッシャーは普通
のような選手のマークをあつくする必要はない。そう
ターがこの点数差ではどこにあげて
る練習や、回転、フライングの練習
の技術練習ではかからない。プレッ
いった状況を強打禁止にすることによって作り出す。
くるとか、前衛のどちらのアタッカ
なども行ってはいるが、どちかとい
シャーをかけるためにどのような場
ーの方が調子がよいだろうかとか、
えばそれらはアップ要素である。昨
面を想定しろという説明もする。そ
相手は弱気になっているからフェイ
年、ゴーダン氏の CPV セミナーにお
れでは実際に行っているゲームドリ
ントをしてくるんじゃないだろうか、
邪魔したが、ゴーダン氏も同じよう
ルをいくつか紹介する。
といったゲーム勘がないと試合に勝
な事をおっしゃっていた。
つことはできない。そのようなゲー
反復練習は主に自主練習の中で行
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めるという意識を育てる。
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