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No.M262 GC/MS法薬毒物データベースの有用性
LAAN-A-MS044 M262 No. GC/MS法薬毒物データベースの有用性 GC/MS Forensic Toxicological Database ■はじめに Introduction 近年,覚せい剤や違法ドラッグ(いわゆる脱法ドラッグ) 乱用された化学物質を中心に,標準試料の入手困難な化学 の乱用が後を絶たず,また,向精神薬などの医薬品や農薬 物質や代謝物なども登録されており,法薬毒物分析に最適 を用いた犯罪や中毒事件も増加傾向にあり,社会的な問題 なライブラリです。 となっています。科学捜査研究所や大学の法医学研究室で また,本製品にはカテゴリーごとに化合物情報が登録さ は,ガスクロマトグラフ-質量分析計(GC-MS)を用い,こ れたメソッドファイル類も含まれているため,分析条件検討 れら化学物質の分析が行われています。 や設定などの煩雑な作業を省くことができます。 これらの化学物質の検出には,保持指標とマススペクト 本 ア プリケーションニュースで は, “GC/MS法 薬 毒 物 ルが登録されたライブラリを用いることが有効です。弊社で データベース” の法薬毒物ライブラリの有用性についてご紹 は,向精神薬,睡眠薬,覚せい剤や農薬など1000種類に 介します。 及ぶ化学物質※の保持指標とマススペクトルが登録された ※誘導体化化合物を含む “GC/MS法薬毒物データベース”を開発しました。過去に R. Kitano Y. Sakamoto ■データベース登録内容 Information of Forensic Toxicological Database “GC/MS法 薬毒 物データベース”のライブラリには,マ ススペクトルだけでなく,Table 1に示します条件で分析し たときに得られる保持指標が登録されています。また,化 合物名,CAS登録番号,分子量,分子式,構造式といっ Fig. 1 登録情報 Information of Registered Compounds た情報も登録されています。 Table 1 分析方法 Analytical Conditions Model Workstation Column -GCColumn Temp. Carrier Gas Linear Velocity Injection Method : GCMS-QP2010シリーズ : GCMSsolution Ver.2.5以上 : DB-5ms (30 m × 0.25 mm I.D. df = 0.25 μm) またはRxiⓇ-5Sil MS (30 m × 0.25 mm I.D. df = 0.25 μm) : 60 °C (2 min) -10 °C/min-320 °C (10 min) : He (Constant Linear Velocity Mode) : 45.6 cm/sec : Splitless -MSInterface Temp. : 280 °C Ion Source Temp. : 200 °C : 0.3 sec Scan Interval ■保持指標を用いたライブラリ検索 Effectiveness of Library Search Using Mass Spectra and Retention Indices 通常のライブラリ検索では,マススペクトルのみで検索を ません。GCMSsolutionソフトウェア(Ver. 2.5以上)では, 行うため,異性体や似通ったマススペクトルを示す化合物を マススペクトルのみならず保持指標でのヒット化合物の絞り 区別することが困難です。そのため,ヒットリストの上位に 込みが可能です。 複数の化合物が高い類似度でリストされることが珍しくあり No.M262 ■異性体のライブラリ検索 Library Search for Isomers Fig. 2⒜は,m-メトキシアンフェタミンを分析して得られた 結果をFig. 2⒝に示します。他の異性体が検索されていな データをライブラリ検索した結果です。メトキシアンフェタミ いことが確認できます。このように,ライブラリ検索にマス ンにはo-,m-,p-の異性体が存在するためヒットリストにそ スペクトルと保持指標を併用することによって検索結果の信 れらの異性体が90以上の類似度でヒットしてきます。この 頼性を向上させることができます。 結果に保持指標(許容幅±10) の条件を加えて検索を行った Fig. 2 m-メトキシアンフェタミンのライブラリ検索結果 ⒜マススペクトルのみを用いた検索 ⒝マススペクトルと保持指標を併用した検索 Library Search Result for m-Methoxyamphetamine (a) only using mass spectrum, (b) using mass spectrum and retention index. ■フェネチルアミン類のライブラリ検索 Library Search for Phenethylamines Fig. 3⒜は,メタンフェタミンを分析して得られたデータ 行いますと,Fig. 3⒝のように類似度90以上を示す化合物 をライブラリ検索した結果です。フェネチルアミン類には類 が大幅に減少します。この結果のように,異性体だけでな 似したマススペクトルを示す化合物が多く,異性体の検索 くマススペクトルが酷似している化合物が多数存在している 結果と同様に類似度90以上の化合物が多数検索されます。 場合にも,保持指標を併用したライブラリ検索を行なうこと この結果に保持指標(許容幅±10)の条件を加えて検索を によって信頼性の高い検索結果を得ることができます。 Fig. 3 メタンフェタミンのライブラリ検索結果 ⒜マススペクトルのみを用いた検索 ⒝マススペクトルと保持指標を併用した検索 Library Search Result for Methamphetamine (a) only using mass spectrum, (b) using mass spectrum and retention index. ■まとめ Summary “GC/MS法薬毒物データベース”の保持指標付きのマス す。特に保持指標を用いた同定が可能なため,異性体や類 スペクトルライブラリは薬毒物の同定に有効なライブラリで 似したマススペクトルを示す化合物を区別するのに有効です。 2011年1月 3100-01101-570-IK 2011.1