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陸上養殖について(PDF:972KB)

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陸上養殖について(PDF:972KB)
資料3
陸
上
養
殖 に つ い て
平成25年6月
水 産 庁
1
陸上養殖とは
○ 「陸上養殖」は、陸上に人工的に創設した環境下で養殖を行うもので、
「かけ流し式」と「閉鎖循環式」がある
かけ流し式陸上養殖
閉鎖循環式陸上養殖
○ 天然環境から海水等を継続
的に引き込み飼育水として使
用(使用した飼育水は排水)
○ 飼育水を濾過システムを用いて浄化しながら循環利
用(飼育水は基本的に排水しない)
【国内】ヒラメ、トラフグ、ア
ワビ 等
【海外】東南アジアのエビ等
取水ポンプ
【国内】トラフグ、バナメイエビ 等
【海外】ヨーロッパのアフリカナマズ、ヨーロッパウナ
ギ 等
排水系
給水系
殺菌灯
泡
沫
分
離
装
置
P
濾過槽
飼育槽 20㎥
15㎥
脱窒槽
P
P
0.5㎥
かけ流し式養殖概念図
一般的な閉鎖循環式陸上養殖のシステム
1
2
陸上養殖の可能性と意見交換の実施
○ 陸上養殖に適用し得る知見・技術等を集約し、陸上養殖のイノベーションの萌
芽を見いだすべく、平成25年3月以降、様々な専門家と意見交換を実施(主に
「海水魚の閉鎖循環式陸上養殖」の現状と問題点について意見交換)
意見交換の背景
☆ 世界の水産物需要が増大する中、世界の海面漁業生産量は頭打ち。今後の水産物
需要の拡大は養殖業によって支える必要。しかし、養殖適地の制約等から海面養殖の
拡大には限界。
☆ 立地を選ばず、海面・内水面養殖に比べてより高い生産性を実現し得る「陸上養
殖」に対する需要が世界的に高まっていく可能性。
意見交換の参加者
①
②
③
④
⑤
⑥
養殖に関する有識者
陸上養殖事業者
飼料関係者
水産用医薬品関係者
養殖関係事業者
商社・販売関係者
瀬戸内海区水産研究所屋島庁舎の飼育施設
2
3
陸上養殖のメリット・デメリット(海面養殖との比較)
【メリット】
【デメリット】
(1)飼育環境の人為的管理が可能(気候・
気象等の影響がない、生産性の向上、
品質の向上が可能)
(1)施設整備のイニシャルコスト、
電気使用料等のランニングコス
トが高額(最大のネック)
(2)魚種の制約を受けずにブランド化が
可能
(2)複数の機材を使用するため故
障等のリスクが相対的に高い
(3)「養殖=薬漬け」というイメージか
らの脱却(基本的に薬品は使用しない)
(3)ウィルス、魚病等が持ち込ま
れた場合や、停電等のトラブル
が発生した場合大きな被害が発
生する可能性
(4)トレーサビリティーの対応が容易化
(5)外部環境への影響の軽減(排水処理等
の管理が可能、飼育水が少量)
(6)場所の制約が少ない(区画漁業権等
の漁業法の制約がない)
(7)作業量の軽減(漁船・漁具を用いた作
業がない)
3
4
①
閉鎖循環式陸上養殖の事業化に向けた課題と今後の方向性
コスト(イニシャルコスト、ランニングコストを含む)の低減による収益性の確保
○
エネルギーの有効利用が重要
地熱などの地域資源や他施設の廃熱利用、加温用ヒートポンプから発生する冷水の加工への利用、洋上風
力発電などの再生可能なエネルギーの利用など
○ 陸上養殖施設そのものに加え、周辺施設等の最適利用が必要
施設立地の適切な選択、保温、濾過、廃棄物処理等の各要素技術の有機的な連携によるコスト削減など
②
従来種にこだわらない広範な種の活用
○
○
○
○
③
飼育環境の人為的管理が可能であることから、新たな魚種や高価格種への取組が可能
生産性や品質の向上を図り、陸上養殖の優位点をPRし、ブランド化などを進めることが可能
養殖業者の積極的参画を得つつ、市場ニーズや販売ルートも考慮したマーケットインでのアプローチを推進
現在大量に養殖されている魚種ではなく、新たな魚種や価格の高い魚種をターゲットとすることが適当
産官学連携(コンソーシアム)による要素技術の高度化と新たな技術開発の推進
○ 陸上養殖に適した家系の育種、種苗生産技術及び飼料の開発
○ 開発された技術の有機的な連携を実現するための調査・研究の推進
○ 漁業・養殖業界を含めた産学官の連携によるコンソーシアムによる多様な分野の総力の結集が必要。また、
その中で中核となる組織が必要
④
技術開発の程度や地域の実情を踏まえた経営アプローチ
○ アプローチの例
・海外を含む水産物市場一般への参入を念頭に大規模な生産体制を目指すアプローチ
・小量生産でも特定の販売ルートの中で地域に根ざした事業を成立させていく小規模型のアプローチ
⑤
未利用タンパク源による飼料の開発
4
(参
考)
国内の陸上養殖の現状
○ 海産魚介類の陸上養殖の生産量は約6,300トン、約6,600百万円。そのほとんどは、掛け流し方式。
コストを上回る魚価が求められることから高級魚が対象。現状では、次の4種が大宗を占める。
●ヒラメ
生 産 量 :約5,000トン、約3,500百万円
主要産地 :三重、大分、愛媛
施
設 : 宮崎県の一部で閉鎖循環方式、大部分は掛け流し方式
海面養殖 : 約1,000トン
●トラフグ
生 産 量 :約120トン、約160百万円
主要産地 :山口、鹿児島
施
設 :栃木県の一部で閉鎖循環方式、大部分は掛け流し方式
海面養殖 :約2,900トン(ふぐ類)
●クルマエビ
生 産 量 : 約540トン、約2,500百万円
主要産地 :鹿児島、山口
施
設 : 築堤式が中心、掛け流し方式の他、兵庫県、徳島県で閉鎖循環方式
海面養殖 :約85トン
●アワビ類
生 産 量 :約30トン、約300百万円
主要産地 :岩手、愛媛
施
設 :岩手県の一部で閉鎖循環方式、他は掛け流し方式が中心
海面養殖 :約30トン
注)上記数値は、聞き取りによる
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