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加美町協働教育プラットフォーム事業だより
平成 28 年 3 月 15 日
加美町教育委員会発行
1. 加美町の取り組み
地域の伝統文化・伝統芸能を継承して貴重な文化財を次代に残させると共に、
地域に誇りと愛着をもたらし、子どもたちが地域に果たす役割を考えさせるこ
とを目的として、平成 26 年度から本事業に取り組み始めました。
平成 26 年度は賀美石小学校を対象に、学区内に伝わる獅子舞と大黒舞の継
承活動を支援するため、本事業を実施しました。
平成 27 年度は鳴瀬小学校を対象に本事業を実施することにしました。鳴瀬
小学校では、3 年生の総合学習の時間に「わたしたちのまち・発見」という単
元を設け、その中で「四日市場甚句」の歌や踊りの練習を行うことになってい
図 1 江戸時代の四日市場の様子
ます。その練習に、四日市場甚句保存会の方々が学校に出向き、指導してくだ
さっています。今回は、本事業を活用し、これらの活動を積極的に支援するこ
とにしました。
この事業を進めるにあたり、学校・地域との連絡調整役(コーディネーター)
を、四日市場宿行政区長で四日市場甚句保存会長の角田憲太郎さんと、鳴瀬小
学校PTA顧問の早坂早苗さんにお願いしました。
図 2 高瀬舟
2. 活動報告
※図面提供 鹿島神社
(宮司千葉文雄氏が古老の話を元に描いた想像図)
◎練習会
9 月 14 日 ( 月 )、角田コーディネーターによる四日市場甚句の由来や加美町指定史跡の「河岸端」についての説
明から、プラットフォーム事業がスタートしました。
9 月 24 日 ( 木 ) から、歌を西村眞由美さん、踊りを西村祝子さんと四日市場甚句保存会の皆さんが指導しました。
真剣に学習中です
「しなやかに」がポイント
「ここは四日市場∼♪」と歌の練習
1
踊りの練習
保存会の皆さんの舞をお手本に!
◎学習発表会
10 月 31 日 ( 土 ) に、3・4年生 32 名が「日本の和」をテーマに、保存会の皆さんに鳴瀬の伝統芸能「四日
市場甚句」を教えていただき発表しました。教えていただいたポイントを意識しながら、しなやかに踊ることが
でき、地域の方、保護者の皆さんから大きな拍手をいただきました。
練習の成果を披露
祭りだ∼!祭りだ∼!
締めのポーズ
◎加美町子どもフェスティバル
11 月 7 日 ( 土 ) に、中新田バッハホールを会場に
開催されました。大きな会場での発表に子どもたちの
表情は緊張ぎみでしたが、何度も練習した「四日市場
甚句」の歌に合わせて、船頭さんになりきったり、当
時の様子を思い描いたりしながら、自信をもって踊る
ことができました。フェスティバルを盛り上げた発表
に、会場の皆さんから盛大な拍手をいただきました。
前日リハーサル
発表の最後は元気に「花笠踊り」です
船頭さんになりきって!
◎ 「鳴瀬のじまんをしよう」 発表会
2 月 19 日 ( 金 ) に、3年生がこれまでご指
導くださったコーディネーターのお二人と、四
日市場甚句保存会の皆さん、そして2年生を招
待し、総合的な学習に学んできたことの発表会
をしました。
素晴らしい舞を披露
自分たちが調べたことをじまん中!
本番直前!緊張∼
2
じまんを聞く皆さん
3. みんなの感想
3年 小林 眞子さん
3年 田中 大翔くん
昔は毎月 4 のつく日に市場が開かれていたので、
最初は、角田区長さんに四日市
四日市場という名前がついたというお話を区長さん
場甚句の由来を教えてもらいまし
から聞きました。そして、昔は鳴瀬川から舟で塩や
た。昔、四日市場に船着き場があっ
お米を運んでいたこと、その時、船頭さんは舟をこ
て、船頭さんが四日市場から野び
ぐのに大変苦労したことも聞きました。昔、4 の日
るに行って海産物を四日市場に運
はとってもにぎやかだったのだろうなあ、船頭さん
んできて、四日市場のお米と交か
は風が強い日や天気が悪い日などは、大変だったろ
んしたということが分かりました。
うなと思いました。
次に、四日市場甚句保存会の方々におどりを教えて
おどりの先生から、船頭さんが、舟をこいでいる
もらいました。はじめはどういうおどりか分かりませ
時、
「今日もいい天気だなあ。」と思いながらこいだ
んでしたが、おどりの先生たちに教えてもらっておど
ことや歌を歌いながらこいだというお話を聞いて、
れるようになりました。練習をたくさんして、上手に
その気持ちを考えながら踊ったら、上手におどるよ
おどれるようになりました。さいごの練習のときに、
うになりました。
おどりの先生方に「上手になったね。」と言われてう
わたしは、今まで知らなかった四日市場の昔のお
れしかったです。これから、下学年のみんなに教えて
話を聞くことができて良かった
いきたいです。
です。そして、四日市場地区に
は四日市場じんくという歌とお
どりがあることがうらやましい
3年 伊藤 蒼乃さん
と思いました。これからも大切
わたしは四日市場じんくのことで分かったことが2
に伝えていきたいと思います。
つあります。1 つ目は、じんくの由来です。区長さん
に由来について教えていただき、とてもうれしかった
です。舟に関する歌でした。2 つ目は、おどりです。
3年 鈴木 遥士くん
初めておどりを教えてもらったときは、上手におどれ
ぼくは 3 年生になって初めて四日市場じんくという
なくてくやしかったです。でも教えてくださった先生
おどりがあることを知りました。四日市場じんくの由
方のおかげで、どんどん上手になれたのでうれしかっ
来について、たくさんのことが分かりました。
たです。
おどりは、保存会の先生方がゆっくりていねいに教
学習発表会と子どもフェスティバルで四日市場じん
えてくださったので、おぼえることができました。で
くをおどりました。学習発表会では、上手におどるこ
きたときは「やったぁ!」という気持ちになりました。
とができました。子どもフェスティバルではもっと上
僕の生まれた鳴瀬のおどりなので、大切にしたいな
手におどることができたので、成長できたのかなと思
と思いました。
いました。
歌の指導 西村 眞由美さん 今年度、私の母校である鳴瀬小学校の子供たちに、「四日市場甚句」を教える機会をいただき
ました。これまで、民謡に触れた経験のない子供たち。四日市場甚句を伝承するにあたり、子
供たちに伝えたことがありました。それは、「情景を頭に浮かべて唄うこと」です。四日市場甚
句の歌詞が映し出す情景や思いを子供たちと共有することで、気持ちを込めて豊かに表現する
ことができました。大きく口を開けて元気いっぱいに唄う姿、目を輝かせて一生懸命に習う姿
勢は、今でも強く心に残っています。
今回、未来あるこの子供たちとふれ合い、「四日市場甚句」という伝統文化の伝承に関わるこ
とができたことに心から感謝いたします。地域住民である私だからこそできることとして、四
日市場甚句を今後も伝承し続けていきたいと考えています。
3
舞踊指導 西村 祝子さん
「感動∼」美しくそして快活に舞う四日市場甚句。心の中でアンコールが鳴り止まぬ思
いでした。まとめの発表会での息の合った 3 年生の踊り。手踊りでの高瀬舟の船頭さんの
振り、広々とした四日市場の景色の表現、市の賑わいの表現等々を素踊りで表現する事は
決して簡単ではありません。学校行事、地域イベントでの発表の評判は、この時確実なも
のになりました。
初めて 3 年生の皆さんに指導させていただいた日、一生懸命に振りを憶えようと努力す
る姿勢に感心、あっという間に時限が終了。心地良いこの感覚は先生方の温かいご指導が
あるからこそと思いました。2回目のときは、4年生の皆さんも一緒に練習。すでに経験
している 4 年生も堂々と踊っていて感心しました。3・4 年生が踊る甚句は迫力があり素晴らしい。
地域の歴史を学び、踊りを通して伝承していってほしいと願わずにはいられません。ありがとうございました。
コーディネーター
角田 憲太郎さん
コーディネーター 早坂 早苗さん
千葉功前校長先生からの依頼で、プラットフォーム
事業のコーディネーターとして、宿区長の角田さん、
今回、伝統芸能継承活動の一
四日市場甚句保存会の皆さんとともに、3年生の子供
環として四日市場甚句について
たちと学ぶことができ、大変貴重な経験をさせていた
指導の機会をいただきました。
だきました。地元に住んでいながら四日市場甚句の事
四日市場甚句は、鳴瀬川水運
について何も分からなかった私自身も、この事業に携
の船着き場として栄えた当地
わり「四日市場甚句」とはいかなるものか知りました。
区で唄われてきた甚句で、昭和
まず、角田区長さんから甚句の由来や歴史を教わり
53 年に町指定無形民俗文化財
ました。どの子も真剣に話を聞き、分からないことが
に指定されました。
あれば積極的に質問する姿が、とても印象的でした。
かつてこの地は交通の要所であり、特に米は珍重さ
また、最初は見よう見まねで踊っていた子供たちでし
れ江戸時代には伊達家の御蔵場として多くの建物があ
たが、細かい手の動きや首のかしげ具合等、練習を重
りました。鳴瀬川の舟運でも栄え、様々な物資や人の
ねるごとに上達していく様子には、大変驚きました。
往来が盛んでした。毎月4のつく日に河岸端で市場が
学習発表会や地域でのお祭りでは、観客を魅了する
開かれたことが地名の由来となっています。この市場
素晴らしい「四日市場甚句」を披露しました。練習時
の賑わいや、年貢を積み出す様子などが歌詞に織り込
間や日数も限られた中で、こんなにも習得するチカラ
まれています。
のある子供たち、そして、お忙しい中、指導してくださっ
子供たちは、みんな一生懸命に取り組み、発表会は
た地域の皆さん、練習時間や場所を調整していただい
大変素晴らしいものでした。上級生から下級生に指導
た先生方、様々な想いやお力添え、そして熱意があっ
する場面があり、感銘を受けました。生まれ育った郷
てこそ『伝統』というものが受け継がれていくのだと
土の歴史に触れ、体験を通して理解を深められたこと
実感しました。
と思います。今後も伝統文化の継承と共に、地域全体
この事業に携われたことに感謝しております。あり
で子供を育てる環境づくりのお役に立てればと思って
がとうございました。
おります。
4. おわりに
鳴瀬小学校を対象とした宮城県委託事業は平成 27 年度
限りで終了しますが、学校と保存会の方々が連携した伝統
芸能伝承活動は今後も継続していくことになりました。
地域全体で子どもを育てる環境づくりが図られるよう、
今後とも地域の皆様のご協力をお願い申し上げます。
4
問い合わせ 生涯学習課 ☎ 69-5113
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