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本文は - 化学と生物

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本文は - 化学と生物
【解説】
乳酸発酵と D-アミノ酸生産
牟田口祐太 *1,大森勇門 *2,大島敏久 *2
近 年, 多 く の 生 物 細 胞 に さ ま ざ ま な D- ア ミ ノ 酸 が 遊 離 や 結
合 状 態 で 存 在 し, L- ア ミ ノ 酸 と は 異 な る 生 理 機 能 を 持 つ こ と
が わ か っ て き て い る. 加 え て, 多 く の 食 品 素 材 に も D- ア ミ
ノ酸が見出されており,その食品機能の解明と食品産業への
応 用 展 開 が 注 目 さ れ て い る. 本 稿 で は 食 品 中 D- ア ミ ノ 酸 の
分 析 方 法, 代 表 的 発 酵 食 品 で あ る 食 酢 中 の D- ア ミ ノ 酸 分 析
のタンパク質構成アミノ酸のうち,不斉炭素を分子内に
もたない Gly 以外はすべて L 体および D 体の鏡像異性体
をもち,Glu と同様に L-アミノ酸と D-アミノ酸は異なる
味を呈することが以前から知られている.たとえば D-ア
ラニン(D-Ala),D-フェニルアラニン(D-Phe)
,D-セリ
に よ っ て 明 ら か と な っ た 乳 酸 菌 の D- ア ミ ノ 酸 生 産 へ の 関 与,
ン(D-Ser),D-トリプトファン(D-Trp)
,D-ロイシン(D-
お よ び 乳 酸 菌 か ら 見 出 さ れ た D- ア ミ ノ 酸 代 謝 関 連 酵 素 の 酵
Leu)
,D-バリン(D-Val)などは,それらの L 型アミノ酸
素学的特徴について紹介する.
とは異なり,かなり強い甘味性をもち,D-Ala は砂糖の
3 倍,D-Phe は 5 倍,D-Trp は 35 倍甘く,カニや甘エビの
はじめに
食品に関係するアミノ酸と言えば,昆布の旨味成分で
甘さは D-Ala に由来するという報告もある (3, 4).しかし,
タンパク質を構成するアミノ酸は L 型のアミノ酸のみで
あること,また,たとえ D-アミノ酸が存在したとして
あり化学調味料として広く利用されているグルタミン酸
も,L-アミノ酸と分別定量することが困難であったこと
(Glu, モノナトリウム塩)が一番に挙げられる.この
から,食品に関するアミノ酸研究は長年 L-アミノ酸を対
Glu には鏡像異性体(光学異性体とも言う)である L-Glu
象に行われ,D-アミノ酸はほとんど注目されてこなかっ
と D-Glu が 存 在 す る が, 旨 味 を も つ の は L-Glu で あ り,
た.このことから,栄養学,食品学などにおける基礎お
D-Glu にはほぼ呈味性がない(表 1)
.Glu を含む 20 種類
よび応用研究には膨大な成果の蓄積がある L-アミノ酸と
は対照的に,D-アミノ酸に関する研究は極めて少なく,
Lactic Fermentation and D-Amino Acid Production
Yuta MUTAGUCHI, Taketo OHMORI, Toshihisa OHSHIMA,
*1 秋田県立大学生物資源科学部応用生物科学科,*2 大阪工業大学
工学部生命工学科
18
食品や食材の呈味性,保存性,香気性などに対する D-ア
ミノ酸の役割は最近までほとんど不明であった.しか
し,近年の分析技術の進歩により,試料中の微量な D-ア
化学と生物 Vol. 53, No. 1, 2015
表 1 ■ L-アミノ酸と D-アミノ酸の味の違い
アミノ酸
Ala
Val
Leu
Ile
Ser
Thr
Cys
Met
Phe
Trp
Tyr
Pro
Gln
Asn
Glu・Na
Asp・Na
Lys・HCl
Arg・HCl
His
L 型の味
1
甘味
苦味 or 無味
苦味
苦味
微甘
微甘(後味悪い)
苦味 or 甘味
苦味
微苦
苦味
微苦 or 無味
弱甘
弱旨味
苦味 or 無味
旨味
微苦
弱甘→苦味
微苦(後味良し)
苦味
ル)と比較して,かなり高濃度の L-アミノ酸(数百 μM
D 型の味
強甘
強甘
強甘
甘味
強甘
弱甘
甘味 or 苦味 or 酸味
甘味
甘味
強甘
甘味
微苦
甘味
弱甘
微甘 or 無味
無味
弱甘
弱甘
甘味
甘味を呈するアミノ酸をグレー色で示す.
文献 1, 2 より改変.
から mM レベル)やアミノ酸以外のさまざまな夾雑成
分が存在する.食品や食材中の D-アミノ酸の機能や動態
を解明するためには,まず高濃度存在する L-アミノ酸と
種々の D-アミノ酸を分離し,正確に定量分析することが
必要である.現在 D, L-アミノ酸の分離分析には高速液体
クロマトグラフィー(HPLC)法,ガスクロマトグラ
フィー質量分析(GC-MS)法,キャピラリー電気泳動
(CEP)法,酵素法が主に利用されている.ここでは,
食品などに含まれる D-アミノ酸の分析に好都合な HPLC
法について以下に概説する.
現在,HPLC を用いた D-アミノ酸の分析には原理が異
なる 2 つの分析法が主に利用されている.一つは,試料
に蛍光誘導体化剤 -フタルアルデヒド(OPA)とキラ
ル誘導体化剤 -アシル-L-システインを加えて D および Lアミノ酸をジアステレオマー蛍光誘導化し,これを
ODS カラムによる逆相クロマトグラフィーで分離定量
する方法である (7, 8).われわれは本法を UPLC(超高速
液体クロマトグラフィー)に応用し,分析対象となる D-
ミノ酸を L-アミノ酸と分離して分析することが容易と
アミノ酸の種類に応じて, -アシル-L-システインとして
なったことから,多くの生物細胞や食品素材にさまざま
-アセチル-L-システイン(NAC)と -ブチルオキシカ
な D-アミノ酸が遊離や結合状態で存在することが次第に
ルボニル-L-システイン(NBC)を使い分けることで,
明らかとなり,またそれらの生理機能が注目されてい
食品試料中の 16 種類の D-アミノ酸を μM レベルで定量し
る (5, 6).私たちは D-アミノ酸の栄養素としての機能(第
ている(図 1)
.ただし,D, L-プロリンはこの方法では蛍
一次機能)に加えて,呈味性,保存性,香気性などの機
光誘導化されないため,分析はできない.加えて,D, L-
能(第二次機能)や健康維持・改善,老化防止などの機
リジンおよび D, L-システインは D 型と L 型の分離条件を
能(第三次機能)を向上した新規食品の開発・実用化へ
設定することが困難である.また,実際に食品中の D-ア
の展開を図ることを主な目的として,食品における D-ア
ミノ酸を分析する際には,食品中にアミノ酸以外に蛍光
ミノ酸の研究を行っている.そして,この目的を達成す
誘導体化される物質(第一級アミノ基をもつ物質)が存
るために,さまざまな発酵食品(飲料を含む)と発酵微
在し,溶出時間が標準の D-アミノ酸のそれに類似する偽
生物,発酵食品の素材となる穀類,野菜,果実などにお
ピークを生じることもある.そこで,われわれは市販の
ける D-アミノ酸含量と動態の解析,食品における機能の
ブタ腎臓由来の低基質特異性の D-アミノ酸酸化酵素を試
解析,D-アミノ酸の生合成や分解代謝系の解析,それら
料に加え,基質となる D-アミノ酸のピークを消失させる
に関与する酵素の生化学的機能解析と遺伝子レベルでの
ことにより偽ピークと区別している.
制御機構の解析などに取り組んでいる.その研究過程
もう一方の分析法は,浜瀬らの開発した 2 次元 HPLC
で,乳酸菌が発酵食品中の D-アミノ酸生産に大きく関
法である (9).この方法ではまず,NBD-F(4-fluoro-7-ni-
わっていることを見いだしており,乳酸菌が関与する食
tro-2,1,3-benzoxadiazole)によって蛍光誘導体化したア
品において D-アミノ酸が新規機能をもちうるのかについ
ミノ酸を一次元目の ODS カラムを用いた逆相クロマト
て注目している.本稿では発酵食品と乳酸菌に関連する
グラフィーにて,D 型と L 型で区別せずに種類のみで分
D-アミノ酸についての最近の研究の進展について紹介す
離し,その溶出を検出器でモニターして各アミノ酸を含
る.
む画分を分取する.続いて,二次元目のキラルカラムを
用いた逆相クロマトグラフィーにて,一次元目に分離さ
D-アミノ酸の微量分析法
食品中には,一般に分析対象の D-アミノ酸(μM レベ
化学と生物 Vol. 53, No. 1, 2015
れた特定の NBD-D, L-アミノ酸を分離定量する.また,
NBD 以外にも類似の誘導体試薬を用いる二次元分析法
がほかにも報告されている.この方法は自動化され,食
19
図 1 ■ D, L-アミノ酸のジアステレオマー蛍光誘導体化と UPLC による一斉分析
-フタルアルデヒド(OPA)と(A) -アセチル-L-Cys(NAC),または(B) -ブチルオキシカルボニル-L-Cys(NBC)を利用して D, L-アミ
ノ酸を誘導体化する.(C)OPA-NAC 誘導体化アミノ酸と(D)OPA-NBC 誘導体化アミノ酸を UPLC によって分離した際のクロマトグラ
ム.OPA-NAC を用いて分離した D および L-アミノ酸(緑枠内)と,OPA-NBC を用いて分離した D および L-アミノ酸(黒枠内)の分析結果
を照合し,合計 32 種類の D および L-アミノ酸の分析を行った.
品や生体試料中の 19 種類の D, L-アミノ酸を一度に高精
ともに反応をさせ,340 nm での吸光度の減少から測定
度に分析可能な点で優れている.しかし,OPA と -ア
する方法や (10),われわれが開発したアスパラギン酸ラ
シル-L-システインを用いた方法と比べ,分析にかなり長
セマーゼとアスパラギン酸脱水素酵素の共役反応を利用
時間を要し,二台の HPLC の制御に複雑なコンピュータ
する分光学的分析法 (11) などが挙げられる.酵素法は特
制御を行う必要がある.2 つの HPLC による D-アミノ酸
定の D-アミノ酸であれば簡便,安価に分析できる点で優
分析法のどちらを用いるかは,分析に求められる精度や
れているが,複数の D-アミノ酸の一斉分析には適さない.
感度,時間,分析対象の試料中の D-アミノ酸の種類など
以上のような分析法を駆使し,前述したとおり,われ
を考慮する必要がある.
われは食品,特に微生物が関与するさまざまな発酵食品
また,HPLC や UPLC による分析は,食品中の多くの
中の D-アミノ酸の存在,発酵工程における生産性変化
D-アミノ酸を L-アミノ酸とともに一斉分析するには適し
(動態)や酵素レベルでの生産機構と調節機構などを解
ているが,装置が高価であり,測定も容易ではない.そ
析し,D-アミノ酸の食品における新規機能を明らかにす
こで D-アミノ酸を基質とする酵素反応を利用し,分光学
る取り組みを数年前より開始した.またその成果を基
的に測定可能な生成物に変換することで簡便に定量を行
に,D-アミノ酸による呈味,保存,保健などの食品機能
う酵素法が開発されている.たとえば D-Ser 特異的に作
の改善への応用展開を目指している.そのために,さま
用する D-セリンデヒドラターゼにより,D-Ser をピルビ
ざまな発酵食品を対象に D-アミノ酸の分析を進めてきた
ン酸に変換後,それを乳酸脱水素酵素により NADH と
が,次項では食酢の D-アミノ酸についての解析結果を紹
20
化学と生物 Vol. 53, No. 1, 2015
図 2 ■ 10 種類の食酢中 D-アミノ酸の分析
結果
図 3 ■ 乳酸発酵純トマト酢の製造過程 5 段
階における試料中の D-アミノ酸分析
かった.特に乳酸発酵純トマト酢は純トマト酢よりも D-
介する.
アミノ酸濃度が顕著に高いことから,乳酸発酵が D-アミ
ノ酸の生産に関与することが示唆された.そこで,乳酸
食酢における D-アミノ酸の分析
発酵純トマト酢の生産段階のうち,どの工程において,
醸造酢は,米,麦,コーンなどの穀類,果実,野菜な
D-アミノ酸が生産されるかを分析した(図 3)
.その結
どを原料として酢酸発酵によって製造される.たとえば
果,酵母が関与する酒精発酵と酢酸菌が関与する酢酸発
米酢は,米を材料にまず麹菌によってデンプンを糖化し
酵の工程では,D-アミノ酸の濃度は低いままであった
た後,アルコール発酵(酒精発酵)が行われ,最後に酢
が,乳酸菌が関与する乳酸発酵工程の後に D-アミノ酸濃
酸発酵によりエタノールが酢酸に変換され製造される.
度が顕著に増加し,またその種類も増えることがわかっ
われわれは,原料や製造法の異なる 10 種類の食酢中の
た.これにより,D-アミノ酸の生産に乳酸菌が大きく関
16 種類の D および L-アミノ酸(合計 32 種)の分析を行っ
わることが明確になった (12).そこで,発酵食品などか
た(図 2).その結果,甘熟玄米黒酢
ら分離された代表的な乳酸菌 11 種類における細胞内外
熟成品と乳酸発
酵純トマト酢に,D-アミノ酸が高濃度含まれることがわ
化学と生物 Vol. 53, No. 1, 2015
の D-アミノ酸濃度の分析を行った.その結果,
21
などの乳酸
における D-アミノ酸代謝関連酵素を検索した.その結
菌が,D-Ala, D-Asp, D-Glu といった D-アミノ酸を細胞内
果,アラニンラセマーゼ(AlaR),プロリンラセマーゼ
外に高濃度生産することがわかった.特に,分析したほ
(ProR),グルタミン酸ラセマーゼ(GluR)
,D-アミノ酸
とんどすべての乳酸菌が D-Ala を高濃度生産した.ま
アミノ基転移酵素(D-AAT)に相同性がある遺伝子を
た,菌体内の D-Ala の割合{100×D-Ala 濃度/
(D-Ala 濃
乳酸菌ゲノムに見いだした.そのうち,AlaR と ProR の
度+L-Ala 濃度)}を見ると,
で 92.3%,
遺伝子を常法に従い大腸菌で発現させ,発現酵素タンパ
で 89.6%と非常に高値であり,L-Ala よりも
ク質をニッケルアフィニティクロマトグラフィーで高度
はるかに高濃度の D-Ala が生産されていることが明らか
に精製することに成功し,それらの触媒活性などの酵素
になった.さらに,生産される D-アミノ酸の種類や割合
化学的特徴を解析した.その結果,前者は D-Ala あるい
は乳酸菌ごとにかなり異なることが判明した.いずれに
は L-Ala のラセミ化を,後者は D-Pro あるいは L-Pro のラ
せよ,種類の異なる食酢のアミノ酸分析により,乳酸菌
セミ化をそれぞれ触媒する特異的な AlaR および ProR
が D-アミノ酸の生産に大きく関わるという重要な知見が
であることが明らかになった.次にそれぞれの酵素の特
得られた.乳酸菌は漬物,ヨーグルト,日本酒,熟れず
徴の詳細を示す.
しなど多くの発酵食品の製造や,ヒトの常在細菌として
ま ず, 乳 酸 菌
や
の ProR は 分 子 質 量
健康にも深く関わっている.それゆえに,乳酸菌が生産
150 kDa でホモ四量体構造をとり,これまで唯一構造が
する D-アミノ酸が発酵食品特有の呈味性や保存性,ヒト
知られている原生生物
の健康維持などに関与している可能性が考えられ,種々
と る 二 量 体 構 造(分 子 質 量 80 kDa) と は 異 な っ て い
の食品機能と D-アミノ酸の関係に興味がもたれる.そこ
た (13).また,L-および D-プロリンと L-および D-ヒドロキ
で,われわれは乳酸発酵食品中の D-アミノ酸の動態や食
シプロリンを基質とし,ほかのアミノ酸には全く活性を
品機能との関連を解明するために,乳酸菌の D-アミノ酸
示さず,高い基質特異性を示した.本酵素は 45 C, pH
代謝関連酵素の研究を進めた.
6.0 で最大活性を示し,55 C で 30 分間の加熱処理後も失
由来 ProR が
活しないことから,高い安定性を有している.そして,
乳酸菌における D-アミノ酸代謝関連酵素の機能解析
乳酸菌が D-Ala, D-Asp, D-Glu といった特異的な D-アミ
ノ酸を高生産することが,どのような生理的意義をもっ
由来 ProR と同様に,本酵素も PLP 酵素の特異
的阻害剤であるヒドロキシルアミンで阻害されないこと
から,PLP 非依存性であることが予想された.
次に乳酸菌
および
ているかを知るために,われわれは D-アミノ酸の合成や
由来 AlaR の諸性質について述べる.両酵素の遺伝子の
分解に関与する D-アミノ酸代謝関連酵素の検索と機能解
塩基配列から予想されるアミノ酸配列を比較したとこ
析を進めた.これらの結果から,D-アミノ酸の生理的機
ろ,
能の解明だけでなく,D-アミノ酸の生産調節による食品
由来 AlaR のそれと 33%の低い相同性しか示さなかっ
の機能改善への応用展開が期待できる.
た.両 AlaR 遺伝子を大腸菌で発現後,精製した酵素を
乳酸菌の D-アミノ酸代謝関連酵素として,ラセマー
由来 AlaR のアミノ酸配列は
用いて基質特異性を調べた結果,
,
ゼ,アミノ基転移酵素,脱水素酵素,酸化酵素,脱水酵
由来の両酵素は Ala 以外にも Ser に対して低いラセマー
素などが予想された.そこで,①乳酸菌のゲノム情報
ゼ活性を示した.
(データベースから)と②乳酸菌の菌体抽出液中の酵素
由来 AlaR は活性の至適 pH
が 6.5, 至適温度が 30 C であり,40 C で 30 分間処理した
活性情報(活性の検出)から D-アミノ酸代謝関連酵素の
場合の残存活性は 50%であった.一方,
検索を行った.前者の場合では,推定遺伝子の大腸菌で
来 AlaR は活性の至適 pH が 8.0, 至適温度は 30 C であり,
のクローニングと発現産物の酵素化学的特徴や調節機能
50 C で 30 分間処理した場合でも約 70%の高い残存活性
の解析,後者では検出された酵素活性を指標に,培養細
を保持していたことから,
胞の抽出液から目的酵素の精製を行って機能解明を進め
熱 安 定 性 を 有 す る こ と が 示 さ れ た.
るストラテジーを取った.
AlaR の分子質量は 79.7 kDa,
由
のものよりも高い
由来
由来 AlaR の
それは 72.1 kDa であり,両酵素ともにホモ二量体構造
1. ゲノム情報から見いだした D-アミノ酸代謝関連酵素
の機能解析
既知のゲノム情報を基にデータベースを用いて乳酸菌
22
をとる.反応速度論的解析から,
および
由来 AlaR
由 来 AlaR の L-Ala に 対 す る
は,それぞれ 25.2 mM と 5.33 mM であり,
cat/
m値
m 値は
化学と生物 Vol. 53, No. 1, 2015
それぞれ 8.39×103 M−1・s−1 および 6.50×104 M−1・s−1
α-ケトグルタル酸をアミノ基受容体としたときの D-Ala
と算出された.
由来
のアミノ基供与体としての相対活性を 100%とすると,
由来
D-アロイソロイシン(D-
の
m 値は既知の
AlaR(0.97 mM) や
(14, 15)
AlaR(5.01 mM)
の
m 値を含めて考えても,相対
-Ile)を供与体としたときの
活性は 104%であり,D-Ala よりも高い活性を示した.
的に大きい値と言える.両酵素活性はヒドロキシルアミ
そのほかにも,D-α-アミノ酪酸,D-Met, D-Leu, D-Val を
ンにより顕著な阻害を受けることから,PLP を補酵素と
アミノ基供与体とすることから,本酵素が特徴的なアミ
すると予想できる.さらに,両酵素とも種々の二価金属
ノ基供与体の特異性を示すことが明らかとなった.一
イオン(10 mM)添加によって阻害を受けたが,その
方,アミノ基受容体の特異性では,α-ケトグルタル酸に
阻害効果は
由 来 AlaR に お い て 特 に 顕 著 で
対する相対活性を 100%とすると,α-ケト酪酸に対して
あった.これらの乳酸菌の菌体内の D-Ala の割合{100×
401%,グリオキシル酸に対して 222%,インドール 3-ピ
D-Ala 濃 度/
(D-Ala 濃 度+L-Ala 濃 度)
} は,
ルビン酸に対して 203%の相対活性を示し,α-ケトグル
が 21.3%であるのに対して,
では 89.6%で
タル酸よりも 2∼4 倍高い活性を示した.そのほかにも
あることがわかっており,この D-Ala 生産量の違いと,
α-ケト吉草酸が 103%, 3-メチル-2-ケト酪酸が 102%, 4-ヒ
上に記載した酵素化学的特徴の違いには,どのような関
ドロキシフェニルピルビン酸が 101%の相対活性を示
連があるのかに関しては今のところ全く不明である.
し,既知の酵素と比較して,アミノ基受容体の特異性が
次に乳酸菌のゲノム情報から第 3 の D-アミノ酸代謝酵
素として,既知の
sp. 由来 D-AAT とアミノ酸配
列レベルで 35%の相同性を示す遺伝子を乳酸菌
低いことがわかった.すなわち,乳酸菌由来の本酵素の
属菌由来 D-AAT(17) とかな
基質特異性は既知の
り異なることから,新しい D-ATT であると言える.
に見いだし,この遺伝子産物の機能解析を行っ
た (16). D-AATと推定される遺伝子(UniPlotID: Q1WRM6)
このほかに,老川や吉村の 2 つの研究グループでも,
日本酒発酵の発酵工程から分離された乳酸菌(
(18)
など)
やワインの製造工程から単離された
を常法に従い大腸菌にて発現させ,ニッケルアフィニ
(19)
ティクロマトグラフィーの分離操作のみにより均一に精
乳酸菌
製した後,この精製酵素が高い D-AAT 活性をもつこと
ノ酸ラセマーゼホモログが多数同定され,上記と同様に
を確認した.本酵素の分子質量はゲルろ過クロマトグラ
大腸菌で発現させたタンパク質の機能解析から,AlaR
フィー法で約 56.5 kDa と算出され,サブユニットのそ
や GluR, アスパラギン酸ラセマーゼ,リジンラセマー
れは SDS-PAGE 法で約 31.5 kDa と算出されたことから,
ゼ,ヒスチジンラセマーゼ(HisR)が見いだされてい
この D-AAT は既知の
る.その中で,HisR はゲノム情報におけるアミノ酸配
由来 D-AAT と
などのゲノム情報を基にアミ
同様にホモ二量体構造をとることがわかった.また,
列の相同性からは AlaR と推定された遺伝子であった
PLP 酵素特異的阻害剤のヒドロキシルアミン(70 μM)
が,大腸菌での発現産物の機能解析から,実は AlaR で
やペンシラミン(100 μM)の添加によって酵素活性は
はなく,PLP を補酵素とする新規アミノ酸ラセマーゼ,
完全に失われたこと,スペクトル分析において 420 nm
HisR であることが明らかになった.
付近に現れる PLP 酵素特有のピークが水素化ホウ素ナ
トリウムを用いた還元処理によって消滅したことから,
本酵素も既知の D-AAT と同様に PLP 依存性酵素である
ことがわかった.さらに,定量解析の結果から補酵素
2. 酵素活性を指標とした D-アミノ酸代謝関連酵素の
探索と機能解析
乳酸菌
の細胞内外の D-アミノ
PLP はサブユニット 1 mol 当たりに 0.91 mol 含まれてい
酸分析を行ったところ,この菌が D-Ala, D-Asp, D-Glu に
た.
加え,他の乳酸菌とは異なり D-Leu, D-Val, D-
由来 D-AATは 60 Cで最大活性を示し,
-Ile と
40 C で 30 分間のインキュベートでは失活しないが,45 C
いった D-分岐鎖アミノ酸を顕著に生産することを見いだ
以上の高温では失活が認められた.この D-AAT 反応の
した(図 4A).このような D-分岐鎖アミノ酸の生産とそ
至適 pH は 6.0 で,pH 5.5∼10.0 の広い pH 領域で 80%以
れに関与する酵素についてはこれまで全く知見がなかっ
上 の 残 存 活 性 を 示した. また,反応速度論的 解 析 か
たので,その解明を進めた.まず
ら,
て得た菌体を破砕し,調製した粗抽出液より分岐鎖アミ
D-AAT の 反 応 は 典 型 的 な Ping-Pong
機構で進行することを確認し,D-Ala に対する
1.05 mM, α-ケ ト グ ル タ ル 酸 に 対 す る
m 値は
m は 3.78
mM,
−1
−1
であると算出された.
max は 24.7 units・mg ・min
化学と生物 Vol. 53, No. 1, 2015
を培養し
ノ酸ラセマーゼ(BCAA-R)活性を指標として,硫酸ア
ンモニウム分画,疎水性やイオン交換などの 4 種のカラ
ムクロマトグラフィー,調製用電気泳動を用いた段階的
23
図 4 ■(A)
JCM 15040 お
よび(B)
JCM 1115 の培養
液中 D-分岐鎖アミノ酸濃度の経時変化 (20)
な分離操作により酵素を高度に精製した.組換え体から
をとることが判明した.多くのアミノ酸ラセマーゼが一
の精製ではなかったので,酵素の精製は容易ではなかっ
量体またはホモ二量体構造をとることから,本酵素はラ
たが(精製倍率:4270 倍,収率:1.27%)
,SDS 電気泳
セミ化反応を触媒する酵素としては珍しいサブユニット
動法で確認されるタンパク質バンドが主な 2 本(分子質
構造をとることがわかった.また,PLP 酵素の特異的阻
量 90 kDa および 50 kDa 相当)になるまで精製を行っ
害剤であるヒドロキシルアミン,フェニルヒドラジン,
た.これらの 2 種類のタンパク質バンドを電気泳動後の
アミノオキシ酢酸によって著しく反応が阻害されたこと
ゲルから切り出し,N 末端アミノ酸配列をそれぞれ決定
から,本酵素が PLP を補酵素とすることを確認した.
し た 後,Protein‒Protein-BLAST を 用 い て GeneBank
本酵素は Ile, Leu, Val に加え,2-アミノ酪酸,ノルバリ
データベースから相同性の高いタンパク質を検索した.
ン,ノルロイシンなどの非極性アミノ酸に対して幅広く
その結果,90 kDa タンパク質の N 末端アミノ酸配列は,
ラセマーゼ活性を示すのに対して,Glu などの極性アミ
をはじめとする 2 つの菌株がもつ
ノ酸にはほとんど活性を示さないことから,報告例のな
X-prolyl-dipeptidylaminopeptidase と推定されるタンパ
い新規アミノ酸ラセマーゼであることが推測できた(表
ク 質 の 配 列 と 同 一 で あ る こ と が わ か っ た. 一 方,50
2).特に本酵素反応では,L-Ile と D-
kDa タンパク質の N 末端アミノ酸配列と高い相同性を示
応に対する活性が最も高く,この点から本酵素はイソロ
す も の と し て,
イシン 2-エピメラーゼであると言える.至適 pH は L-Ile
の γ-aminobutyrate amino-
-Ile 間の異性化反
transferase(γ-アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ,
から D-
GABA-AT)と推定されるタンパク質を見いだした.
に認められ,Pro ラセマーゼを例外とした多くのアミノ
-Ile への反応でpH 5.0, 逆反応でpH 6.0と酸性側
の精製された BCAA-R の活性は PLP 依存性を
酸ラセマーゼの最適 pH がアルカリ性側の pH 8.0 付近に
示すので,BCAA-R をコードする遺伝子は,一次構造
認められることを考えると,特徴的であると言える.本
において特徴的な PLP 結合サイトを有する推定 GABA-
酵 素 の L-Ileおよび D-
AT 遺伝子と予想し,PLP 結合サイトを有しない 90 kDa
5.00 mM と 13.2 mM で あ り,
−1
−1
-Ile に 対 す る
−1
cat/
m値はそれぞれ
m 値 は そ れ ぞ れ101
−1
タ ン パ ク 質 の 遺 伝 子 は 除 外 し た. ま た,
s ・mM および 71.4 s ・mM と算出された.一方,
JCM 1115 の増殖に伴う培養液中 D-分岐鎖アミノ酸の経
一般的なラセマーゼ反応の平衡定数(
時的濃度分析を行ったところ,
の式(
の場合と同
cat/
eq)は Holdane
m 値の比)では 1 となり,平衡状態では光
様に,生育とともに D-分岐鎖アミノ酸濃度の顕著な増大
学異性体が同量のラセミ体になるのに対し,イソロイシ
が認められた(図 4B)
.そこで
JCM 1115 の
ン 2-エピメラーゼのそれは
GABA-AT 推 定 遺 伝 子 を 常 法 に 従 っ て 大 腸 菌 BL21
かなり大きく,L-Ile から D-
eq=101/71.4=1.41 と 1 より
-Ile への反応に偏ってい
(DE3)で発現させ,その細胞抽出液から,タグ領域の
る.これらの酵素化学的解析から,本酵素は α-アミノ酸
切断を含む 2 段階のニッケルアフィニティクロマトグラ
の α-炭素における光学異性の相互置換を触媒する異性化
フィーによって均一な精製標品を得た.この酵素の分子
酵素として,多くの特徴的な性質をもつ新規酵素である
質量はゲルろ過クロマトグラフィー法で 200 kDa と算出
ことが判明した (20).改めて,ここで見いだした新規イ
され,サブユニットの分子質量はアミノ酸配列から
ソロイシン 2-エピメラーゼのアミノ酸配列を基にデータ
49,422 Da と算出されたので,本酵素はホモ四量体構造
ベースを用いてホモログ遺伝子を検索すると,
24
化学と生物 Vol. 53, No. 1, 2015
表 2 ■ イソロイシン 2-エピメラーゼの基質特異性 (20)
L→D
1
2
3
D→L
−1
−1
基質(L 型)
比活性(µmol・mg ・min )
相対活性(%)
基質(D 型)
比活性(µmol・mg−1・min−1)
相対活性(%)
Ile
Nva1
Nle2
Val
Abu3
Leu
Phe
Met
-Ile
Ser
Ala
149±4
83.4±3.3
74.1±2.8
71.7±4.1
47.7±2.3
44.2±1.0
35.7±0.4
32.0±0.5
27.8±1.4
9.58±0.47
3.95±0.55
100
56
50
48
32
30
24
21
19
6
3
-Ile
Nva
Val
Nle
Met
Abu
Leu
Ile
Phe
Ser
Ala
221±0
183±4
131±7
116±3
93.7±2.6
66.3±1.9
54.8±2.1
44.5±2.0
13.6±0.5
4.91±0.07
4.43±0.13
100
83
59
52
42
30
25
20
6
2
2
Nva: ノルバリン
Nle: ノルロイシン
Abu: 2- アミノ酪酸
属や
属に GABA-AT と推定されてい
それら 3 種の D-アミノ酸が含まれる日本酒では官能評価
る相同性の高いホモログ遺伝子が多数見いだせるので,
試験において好評価が得られることを明らかにし,日本
これらの乳酸菌にイソロイシン 2-エピメラーゼの類似酵
酒 の 味 に D-ア ミ ノ 酸 が 関 係 し て い る こ と を 示 し て い
素が広く存在することが予想できる.今後,この酵素の
る (21).さらに,この成果を踏まえた新たな動きとして,
生理的機能の解析により,乳酸菌などにおける D-アミノ
生酛から単離したこれらの 3 種の D-アミノ酸を著量生産
酸代謝の特異的な機能の解明が進むことが期待される.
する乳酸菌株を利用して,D-アミノ酸含量を増強したお
酒(商品名「にごりん」
)が菊正宗株式会社から 2012 年
おわりに
に発売されている.キリン協和フーズ株式会社からも,
乳酸発酵を利用した商品ではないが,D-アミノ酸を強化
われわれが行った種々の発酵食品における D-アミノ酸
することで,熟成によって生じる独特の旨味を再現した
分析や,多くの D-アミノ酸代謝酵素の酵素化学的特徴の
食品調味料(こく味調味料)が 2013 年に発売されてい
解析から,乳酸菌が D-アミノ酸生産に強く関与している
る.
ことが見えてきたと言える.しかし,乳酸発酵食品にお
一方,哺乳類における D-Asp と生殖機能の成熟・維持
ける味や保存性などの二次機能と D-アミノ酸の関係が明
の関係や,D-Ser と記憶に関連する精神疾患の関係など,
確になったとはいまだ言い難い状況である.今後,これ
D-アミノ酸の新しい特異的機能が次第に明らかにされお
までに見いだした D-アミノ酸代謝関連酵素の発現量や発
り,私たちが食事を通して摂取する D-アミノ酸がもつ機
現調節機構などの遺伝子レベルでの解析を行い,D-アミ
能についても,近い将来明らかになることが予想され
ノ酸代謝関連酵素の制御による D-アミノ酸の生産調節を
る.このように,D-アミノ酸研究は食品における D-アミ
可能にすることで,乳酸発酵食品における D-アミノ酸の
ノ酸の新規機能の解明や,食品添加物としての実用化と
新たな機能(二,三次機能)の開発に応用できることを
いった新たな段階に入りつつあることが伺える.
期待している.その場合,ここで取り上げた D-アミノ酸
謝辞:本稿にて紹介したわれわれの研究成果は「生研センターイノベー
ション創出事業」の助成を受けて得られたものである.
の合成反応を行うラセマーゼやアミノ基転移酵素だけで
なく,D-アミノ酸を基質とする脱水素酵素,酸化酵素,
脱水酵素などの分解系に主に機能する酵素に関しても,
分子レベルでの機能解析やその代謝産物のメタボロミク
スなどの解析が重要になると考えられる.
近年,老川らのグループは 141 種類の日本酒につい
て,D- および L-アミノ酸の濃度分析を行い,生酛,山
廃,長期熟成といった仕込み方法で醸造された日本酒に
は D-Asp, D-Ala, D-Glu が多く含有されていること,また
化学と生物 Vol. 53, No. 1, 2015
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21) K. Okada, Y. Gogami & T. Oikawa:
, 44, 489
(2013).
プロフィル
牟田口 祐太(Yuta MUTAGUCHI)
<略歴>2008 年岡山大学農学部総合農業
科学科卒業/2012 年日本学術振興会特別
研究員(DC2)/2013 年九州大学大学院生
物資源環境科学府博士後期課程修了/2014
年秋田県立大学生物資源科学部応用生物科
学科助教<研究テーマと抱負>微生物にお
ける D-アミノ酸の新規機能の解明と産業へ
の応用展開,微生物の細胞間相互作用とバ
イオフィルム・菌層変化<趣味>魚釣り
(海,川問わず),読書
26
大森 勇門(Taketo OHMORI)
<略歴>2003 年京都教育大学総合科学課
程自然科学コース卒業/2005 年京都大学
大学院農学研究科応用生命科学専攻修士課
程修了/2008 年同大学大学院農学研究科
応用生命科学専攻博士後期課程指導認定退
学/同年京都大学化学研究所研究員/2009
年九州大学農学研究院学術研究員/2010
年同大学農学研究院特任助教/2012 年大
阪工業大学工学部生命工学科特任講師,現
在に至る<研究テーマと抱負>発酵食品に
含まれる機能性成分の分析とそれに関連す
る微生物や酵素の解析,臨床検査や食品分
析に応用可能な脱水素酵素の探索とその酵
素学的特徴の解明<趣味>カレー屋巡り,
講義の資料作り
大島 敏久(Toshihisa OHSHIMA)
<略歴>1975 年京都大学大学院農学研究
科農芸化学専攻博士課程中途退学/1975∼
1996 年京都教育大学教育学部助手,助教
授, 教 授, 名 誉 教 授/1996∼2006 年 徳 島
大 学 工 学 部 教 授, 名 誉 教 授/2006∼2013
年九州大学大学院農学研究院教授,名誉教
授/2013 年∼現在,大阪工業大学工学部
教授/1979∼1980 年ドイツ連邦共和国フ
ライブルク大学生物学部研究員/1985 年
ドイツ連邦共和国ユーリッヒ原子力研究セ
ンター・バイオテクノロジー研究所客員研
究員/2014 年∼現在,奈良先端科学技術
大学院大学バイオサイエンス研究科客員教
授<研究テーマと抱負>耐熱性酵素の機能
開発,D-アミノ酸の機能解析と応用,藍染
工程の分子生物学的解明,キノコの子実体
形成の分子生物学的解明,バイオセンサー
とバイオ電池の開発など<趣味>家庭菜
園,早朝ドライブ
Copyright © 2015 公益社団法人日本農芸化学会
化学と生物 Vol. 53, No. 1, 2015
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