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マウスの海馬タンパク質の検討

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マウスの海馬タンパク質の検討
Application note – Stabilizer T1 (2011. Jan)
Stabilizer T1固定マウスの海馬タンパク質の電気泳動
T1固定マウスの海馬タンパク質の電気泳動
永井 隆之先生 (北里大学北里生命科学研究所)
北里大学北里生命科学研究所) ご提供データ
概要
マウス脳の海馬のタンパク質について、アガロース二次元電気泳
動法を用いたプロテオーム解析による検討を行った。
2. 方法
1) 海馬の処理及び二次元電気泳動
ddY系マウス(7週齢、雄性)をプロテアーゼ阻害剤含有PBSで灌
流後、脳を取り出し、プロテアーゼ阻害剤含有PBS溶液中に回収
した。回収した脳をカセットに入れ、スタビライザー処理を行い、ピ
ンセットを用いて海馬を分離・採取した。採取した海馬にイモビライ
ン用抽出液を加えて、ソニケーションを行い、タンパク質の抽出を
行った(20倍抽出)。遠心分離した上清を二次元電気泳動用サン
プルとした。
二次元電気泳動は、一次元目はアガロースゲルを用いた等電点
電気泳動により分離し、二次元目はSDS-PAGEによる分離を行
い、スタビライザー処理による泳動パターンの変化の検討を行っ
た。
1.
pH 10
結果
脳の処理
・スタビライザーのカセットから空気を抜く際に脳の形が潰れてし
まった。
・スタビライザー未処理の場合は脳が溶けてしまうため、氷上で急
いで海馬の分離・採取作業を行ったが、スタビライザー処理により
脳が崩れにくくなり、常温で急がずに作業ができるようになった。
・脳が溶けないため海馬の組織の区別が容易になり、組織を取り
出すのが容易になった。
・未処理の場合とソニケーションを行う時間を揃えてタンパク質の
抽出を行ったが、抽出液に溶解しにくくなった。
2) 二次元電気泳動泳動(図1、図2)
・クーマシー染色では、スタビライザー未処理の場合と比べて、泳
動パターンには大きな違いはみられなかった。
・未処理の場合と同じ抽出条件でタンパク質を抽出したにも関わ
らず、タンパク量が多く(スポットの大きさが大きく濃く)なった。
・未処理の泳動パターンよりも縦のラインが多くみられた。これは
一次元目のゲルに乗せたタンパク質量が多くなったため、タンパ
ク質がゲルに詰まったことによると考えられる。
4. 考察
二次元電気泳動において、スタビライザー処理によりクーマシー
染色では泳動パターンに大きな変化は認められなかったが、海馬
の分離・採取作業が容易になった。
同じ条件で海馬からのタンパク質の抽出を行ったが、スタビライ
ザーで処理した方が、多くのタンパク質が抽出された。
3.
1)
pH 10
pH 3
pH 3
200.00 kDa
200.00 kDa
116.25 kDa
97.40 kDa
116.25 kDa
97.40 kDa
66.20 kDa
66.20 kDa
45.00 kDa
45.00 kDa
31.00 kDa
31.00 kDa
21.50 kDa
21.50 kDa
図1. スタビライザー処理を行ったマウス脳の
海馬タンパク質の二次元電気泳動パターン
図2. スタビライザー処理を行っていないマウス脳の
海馬タンパク質の二次元電気泳動パターン
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