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事業事前評価表 Ⅰ.対象事業名 国名:チュニジア共和国 案件名

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事業事前評価表 Ⅰ.対象事業名 国名:チュニジア共和国 案件名
事業事前評価表
Ⅰ.対象事業名
国名:チュニジア共和国
案件名:総合植林事業(II)
貸付契約調印日:2008 年 3 月 31 日
承諾金額:3,128 百万円
借入人:チュニジア共和国政府(The Government of the Republic of Tunisia)
Ⅱ.本行が支援することの必要性・妥当性
乾燥・半乾燥地帯に位置するチュニジアの森林面積は、20 世紀初めの 125 万 ha
から、自然乾燥や過度の伐採等により 1950 年代には 40 万 ha にまで減少した。その
後、チュニジア政府が森林拡大に向けた政策を取ったことにより、2006 年には森林
率が 20 世紀初めの水準にまで回復し、サハラ砂漠を除く国土の 12.5%(約 125 万 ha)
を占めるに至ったが、同国の「森林放牧地開発国家戦略」における政策目標としては
2011 年時点で当該比率を 16%にすることが掲げられており、一層の努力が必要とさ
れている。一方、植林後の施業について不十分な地域が多かったことから森林の質に
大きな向上は見られず、現在は、森林面積のうち 40.5%が樹高の低い灌木から構成さ
れる低質な森林である。こうした森林は水土保全機能が低く、山地からの土壌流出や
洪水被害を引き起こす要因にもなっており、深刻な課題となっている。
また近年、世界的な気候変動の影響と見られるチュニジア国内の乾燥が進行してお
り、森林での火災件数が増大傾向にあることから、森林面積減少に加えて森林地域の
生物多様性の喪失が懸念されている。地中海沿岸諸国について共通で設けられている
火災対策基準(1 件の火災による焼失面積は 1ha 未満等)を満たすため、防火帯、林
道、貯水槽等、火災対策インフラの充実が求められている。
なお、森林保全には森林地域住民による森林への負荷軽減が不可欠であるが、チュ
ニジアの森林地域(北西部∼中央部山間地域)には放牧を始めとして、森林資源に頼
って生計を立てている住民が多く居住するため、新規に植樹された地域での放牧禁止
のみならず、既存の森林資源以外で収入源となる活動を奨励し、生活の改善を目指す
住民支援コンポーネントを組み込むことが重要である。
チュニジア政府は「森林放牧地開発国家戦略(2002 年∼2011 年)」を策定して総
合的な森林整備に向けた取り組みを実施している。同戦略においては、森林等植生面
積の拡大、持続的な森林管理、植物相・動物相の保護、森林セクター関連制度改善と
いう 4 つの基本方針が挙げられ、具体的には、森林面積を新たに 19 万ha拡大し、牧
草地と合わせて 2011 年までに森林率を 16%に引き上げることを目標としている。こ
の方針は第 11 次 5 ヵ年計画(2007 年∼2011 年)においても継続され、同計画では、
15 万haの植生被覆面積拡大や、火災対策、森林地域住民の生活環境改善等が目標と
して掲げられている。
本行は海外経済協力業務実施方針(2005∼2007 年度)において、
「地球規模問題・
平和構築への支援」を重点分野に位置づけている。また、チュニジアへの支援方針に
おいても、「水資源の開発・管理」、「環境保全の強化」が掲げられており、本行が本
事業を支援する必要性・妥当性は高い。なお本行は、2000 年に「総合植林事業」を
承諾し、4 県(ベジャ県、ジェンドゥーバ県、カスリン県、ケフ県)において森林地
域住民の生活環境改善コンポーネントを伴う総合的森林整備を支援した。本事業にお
いては、その成功を受けて、同様の手法の面的拡大が図られる。
Ⅲ.事業の目的等
本事業は、チュニジア共和国の 5 県(ベジャ県、ジェンドゥーバ県、ケフ県、シリ
アナ県、ザグアン県)において、植林、森林火災対策、地域住民の生活環境改善等の
包括的な森林保全活動を行うことにより、森林再生やその持続的管理を図り、もって
同地域における自然環境改善に寄与するもの。
Ⅳ.事業の内容
1. 対象地域名
ベジャ県、ジェンドゥーバ県、ケフ県、シリアナ県、ザグアン県
2. 事業概要
上記対象地域において、以下の包括的な森林保全活動を実施するもの。
(1) 森林等整備・生物多様性保全(植林、森林保育、火災対策等)
(2) 地域住民生活環境改善活動(啓発活動家の雇用、住民組織化支援、地域開発計
画実施等)
(3) 制度・組織強化(調査、研究・開発、研修)
(4) コンサルティング・サービス(事業実施支援等)
3. 総事業費
3,696 百万円(うち円借款対象額:3,128 百万円)
4. スケジュール
2008 年 4 月∼2014 年 12 月を予定(計 81 ヶ月)。森林保全活動完了時をもって
事業完成とする。
5. 実施体制
(1) 借入人:チュニジア共和国政府(The Government of the Republic of Tunisia)
(2) 実施機関:農業・水資源省
(Ministère de l’Agriculture et des Ressources Hydrauliques)
(3) 操業・運営/維持・管理体制:(2)に同じ
6. 環境及び社会面の配慮
(1) 環境に対する影響/用地取得・住民移転
① カテゴリ分類:B
② カテゴリ分類の根拠:本事業は、
「環境社会配慮確認のための国際協力銀行
ガイドライン」(2002 年 4 月制定)上、セクター特性、事業特性及び地域
特性に鑑みて、環境への望ましくない影響が重大でないと判断されるため、
カテゴリ B に該当する。
③ 環境許認可:本事業に係る環境影響評価(EIA)報告書は、同国国内法上
作成が義務付けられていない。
④ 汚染対策:基本的に農薬・肥料等の使用は予定されておらず、環境面への
特段の負の影響は予見されない。
⑤ 自然環境面:本事業では生態系に配慮して、主として在来種による植林を
実施することから、自然環境への望ましくない影響は最小限であると想定
される。
⑥ 社会環境面:本事業は、主に国有地を対象に実施されるものであり、用地
取得及び住民移転を伴わない。
⑦ その他・モニタリング:本事業の植林、荒地化防止の土木工事等のモニタ
リングは実施機関等が実施する。
(2) 貧困削減促進:本事業では地域住民を対象に、生計改善活動を含む地域開発
計画の実施が予定されており、貧困層の多い森林地域住民の生活改善に寄与す
ることが期待される。
(3) 社会開発促進(ジェンダーの視点、エイズ等感染症対策、参加型開発、障害
者配慮等):実施機関はコンサルティング・サービス及び啓発活動家(本体コ
ンポーネントで雇用)の支援を受けて、住民の組織化・能力強化支援、参加型
アプローチを用いた地域開発の策定・実施を行い、広く地域住民のニーズに応
えるよう努める。啓発活動家は約 4 割が女性となる見込みであり、薪拾いや水
汲み労働の軽減など女性のニーズに対応した活動を支援する。
7. その他特記事項:特になし。
Ⅴ.事業効果
1. 運用・効果指標
基準値
(2007 年実績値)
目標値(2016 年)
【事業完成 2 年後】
-
14,249
80
80
2. 森林保育実施面積(ha)
-
18,520
3. 国立公園/自然保護区整備対象数
-
4/5
4-1. 住民組織設立数/強化数(受益者数)
-
9(8,452)/1(600)
4-2. 地域開発計画策定数
-
8
指標名
1-1. 植林・植草面積(ha)
1-2. 活着率(%)
2. 受益者数
9,000 人
3. 内部収益率(経済的・財務的内部収益率)
以下の前提に基づき、本事業の経済的内部収益率(EIRR)は 12.4%となる。
費用:事業費(税金を除く)、運営・維持管理費
便益:植林、森林保育、水土保全、火災対策等による林産物の増加分
プロジェクト・ライフ:75 年
Ⅵ.外部要因リスク
特になし。
Ⅶ.過去の類似案件の評価結果と本事業への教訓
既往の森林セクターの事業より、植林後の活着率向上のためには山火事対策が重要
であり、特に牧畜の際の放火に起因する山火事を防止するため、牧畜業者への教育が
必要という教訓が得られている。本事業の対象地域においては、牧畜業者ではなく、
地域住民自身による小規模な放牧が行われているが、住民啓発を目的とした研修を行
うと共に、火災対策のインフラ(消火活動のための林道、貯水槽等)整備を実施し、
植林後の持続性を強化する。
また、広い地域にまたがった多数の小規模コンポーネントからなる事業では、全体
の実施監理が煩雑になることから、実施監理に対するコンサルタントの支援を事業範
囲に含める等、対策の必要性が教訓として得られている。本事業では、実施監理に特
化した事業管理班を先行事業から引き続いて農業水資源省森林総局に設置すること
に加え、コンサルティング・サービス及び啓発活動家による実施機関(中央/地方)
への支援を行うことで、十分な事業実施体制を準備している。
Ⅷ.今後の評価計画
1. 今後の評価に用いる指標
(1)植林・植草面積(ha)
(2)活着率(%)
(3)森林保育実施面積(ha)
(4)国立公園/自然保護区整備対象数
(5)住民組織設立数/強化数(受益者数)
(6)地域開発計画策定数
(7)経済的内部収益率(%)
2. 今後の評価のタイミング:
事業完成 2 年後
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