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チュニジア共和国 案件名:国営テレビ放送センター事
事業事前評価表 1.対象事業名 国名:チュニジア共和国 案件名:国営テレビ放送センター事業 貸付契約調印日:2007 年 3 月 12 日 承諾金額:4,075 百万円 借入人:チュニジア共和国政府(The Government of the Republic of Tunisia) 2.本行が支援することの必要性・妥当性 チュニジアのテレビ放送は、チュニジア国営ラジオ・テレビ放送公社(ERTT)が 1966 年に開始し、現在、2 チャンネル(TV7:総合テレビ。Canal21:教育テレビ) により、ニュース番組、教育番組等、商業性が低く公共性の高い放送を実施している。 ERTT の電波カバー率は 99.7%と全土をカバーし、チュニジア国民のテレビ所有率 (世帯当たり)も 90.2%に達しているため、テレビ放送の影響力は大きい。しかし、 首都チュニスにある現在の局舎は ERTT が 1955 年にラジオ放送のために設立して以 来のものであり、手狭なスタジオで老朽化した機材による番組制作を余儀なくされて いる。 チュニジア政府は、国家開発計画において放送セクターを重点戦略分野の一つとし て位置づけ、第 10 次五ヵ年計画(2002 年∼2006 年)では、テレビ放送設備の近代 化による放送内容の充実を目的として「ERTT 新局舎の建設及び設備拡充」を打ち出 した。チュニジア政府が自己資金により建設した新局舎は 2006 年 9 月に完成してお り、本事業は同局舎でのテレビ番組制作等に必要な機材を納入するものである。また、 第 11 次五ヵ年計画(2007 年∼2011 年)においては、テレビ放送チャンネル数の増 加、テレビ番組制作のより一層の充実等が重点項目として盛り込まれることとなって いる。 本事業は、上記の国家開発計画の優先事業として実施されるものであり、近代的な テレビ放送機材の導入によって、高品質の番組制作を可能とし、番組の多様化、放送 時間の増加等、テレビ放送の拡充を図るものである。その結果、より内容の充実した 信頼性の高い公共放送が実現されると共に、国民に対する情報提供機会の増大に寄与 することが期待される。また、本事業を通じて本邦放送局との交流が図られる予定で あり、番組制作及び放送事業運営に係る技術移転が見込まれると共に、番組交換等を 通じ、文化・社会面での両国の交流の拡大が期待できる。なお、チュニジア政府は、 本事業を通じて、本邦の優れたデジタル放送機器の活用を図るため、本邦技術活用条 件(STEP)での円借款支援を要請している。 本行海外経済協力業務実施方針(平成 17 年 4 月)においても、 「持続的成長に向け た基盤整備」の一環として、国内情報格差の是正を支援することを定めており、本事 業はかかる方針に合致していることから、本事業を支援することの必要性・妥当性は 高い。 3.事業の目的等 本事業は、チュニジア国営ラジオ・テレビ放送公社(ERTT)の新テレビ放送セン ターにおいて、放送機材の導入及び技術移転を行うことにより、テレビ放送の拡充を 図り、もって信頼性の高い公共テレビ放送の実現、テレビ放送を通じた国民への情報 提供機会の増大と、日本・チュニジアの相互理解の促進に寄与することを目的とする もの。 4.事業の内容 (1)対象地域名 チュニジア共和国全土 (2)事業概要 ERTT の放送設備(既存 2 チャンネル)の拡充に必要な機材の調達・据付を行う もの。 ① 番組制作機器納入(番組制作設備のインフラネットワーク、スタジオ機材、 サーバーシステム) ② コンサルティング・サービス(施工監理、技術指導・研修、本邦放送局との 交流支援) (3)総事業費 6,520 百万円(うち円借款対象額:4,075 百万円) (4)スケジュール 2006 年 9 月∼2013 年 9 月を予定 (計 85 ヶ月) (5)実施体制 ① 借入人:チュニジア共和国政府 (The Government of the Republic of Tunisia) ② 実施機関:チュニジア国営ラジオ・テレビ放送公社 (Etablissement de la Radiodiffusion Télévision Tunisienne :ERTT) ③ 運営・維持管理体制:②に同じ (6)環境及び社会面の配慮 ①環境に対する影響/用地取得・住民移転 (a) カテゴリ分類:C (b) カテゴリ分類の根拠:本事業は、「環境社会配慮確認のための国際協力銀行 ガイドライン」 (2002 年 4 月制定)に掲げる影響を及ぼしやすいセクター・特性 及び影響を受けやすい地域に該当せず、環境への望ましくない影響は最小限であ ると判断されるため、カテゴリ C に該当する。 ②貧困削減促進:特になし。 ③社会開発促進(ジェンダーの視点等):ERTT は、本事業による番組制作能力 の向上を踏まえ、教育番組及びニュース番組の放送を拡充する方針であり、国民 への情報提供の充実や情報格差是正への貢献が見込まれる。また、女性向けの母 子保健や教養番組等によりジェンダー配慮の促進も期待される。 5.成果の目標 (1) 評価指標(運用・効果指標) 指標名 番組制作本数/年(本) 放送時間合計/年(時間) 基準値(2005 年) 目標値 [2013 年 (事業完成時)] 45(TV7) 55(TV7) 55(Canal21) 60(Canal21) 7,155(TV7) 7,870(TV7) 3,640(Canal21) 5,840(Canal21) (2) 内部収益率 テレビ放送の経済効果を定量的かつ総合的に把握する手法は確立されていな いことから、本事業の内部収益率は算出していない。 6.外部要因リスク 特になし。 7.過去の類似案件の評価結果と本事業への教訓 既往の放送・通信分野における類似事業の事後評価において、人材育成の重要性及 び放送局の維持管理予算の確保につき注意を払う必要性が指摘されている。本事業に おける人材育成については、事業のコンサルティング・サービスにおいて研修計画の 策定支援が予定されている。また、維持管理予算については、チュニジア政府が適切 な予算手当てを行うことを本行アプレイザル時に確認している。 8.今後の評価計画 (1)今後の評価に用いる指標 ①番組制作本数/年(本) ②放送時間合計/年(時間) (2) 今後の評価のタイミング: 事業完成後