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平成20年度 埼玉県建築物衛生管理研修会

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平成20年度 埼玉県建築物衛生管理研修会
平成20年度
埼玉県建築物衛生管理研修会
日
場
時:平成21年2月13日(金)
所:埼玉会館 小ホール
彩の国 埼玉県
保健医療部生活衛生課
埼玉県のマスコット コバトン
【目
1.次
次】
第 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
2.特定建築物立入検査結果等について(平成19年度分)・・・・・・・・・・
2
3.より良いIPMの実践に向けて ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4
4.参考資料
(1)法令関係事項 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
(2)建築物環境衛生管理基準等と衛生管理の方法 ・・・・・・・・・・・・・12
(3)建築物環境衛生維持管理要領(第6
ねずみ等の防除)・・・・・・・・・13
(4)建築物における維持管理マニュアル(第6章
ねずみ等の防除)・・・・・15
(5)簡易専用水道のしおり ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30
(6)ホームページのご案内 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36
平成20年度埼玉県建築物衛生管理研修会
次
第
日
時:平成21年2月13日(金)
14時から
場
1
開
2
あいさつ
研
小ホール
会
埼玉県保健医療部生活衛生課長
3
所:埼玉会館
大澤
喜一郎
修
(1)『平成19年度特定建築物立入検査等の結果及び建築物環境衛生維持管理要領
について』
埼玉県保健医療部生活衛生課環境衛生・ビル監視担当
主任
(2)『PCO側から見たIPMの課題について』
埼玉県ペストコントロール協会
4
閉
会
1
理事
村田
光
先生
脇田
一亮
特定建築物立入検査結果等について(平成19年度分)
1 立入検査等実施数
興行場
百貨店
店 舗
事務所
学 校
旅 館
その他
計
特定建築物数
40
156
119
167
94
34
97
707
立入検査等数
32
34
8
98
73
5
61
311
2 立入検査等における指摘項目
項
目
帳簿書類書類の備え付け
不適率
(%)
参考:全国
不適率
(%)
(H18度)
14.0
空気環境の測定
1.4
4.7
浮遊粉じんの量
3.6
2.3
一酸化炭素の含有率
1.4
0.4
二酸化炭素の含有率
32.6
15.3
温度
53.4
相対湿度
目
不適率
(%)
参考:全国
不適率
(%)
(H18度)
飲料水水質検査
2.6
7.8
飲料水水質基準の遵守
2.3
0.2
73.1
32.7
0
0.8
貯水槽の清掃
0.3
1.9
14.2
貯湯槽の清掃
23.1
19.1
74.2
42.5
雑用水の残留塩素含有率検査
27.4
13.6
気流
5.0
1.4
雑用水の残留塩素含有率の遵守
4.7
9.0
冷却塔への供給水
2.7
3.0
雑用水の水槽の点検
13.2
8.2
加湿装置への供給水
0
1.3
雑用水の水質検査
26.4
18.3
冷却塔の汚れの点検
30.2
10.3
pH値の遵守
2.8
4.4
4.4
9.4
臭気
0.9
4.9
28.5
17.2
外観
0.9
4.9
加湿装置の清掃
1.0
14.4
大腸菌
2.8
4.3
排水受けの点検
1.4
16.3
濁度
0
3.2
残留塩素の含有率検査
3.9
4.0
排水設備の清掃
4.6
13.2
残留塩素含有率の遵守
1.9
2.0
定期清掃
5.7
10.5
61.5
21.8
ねずみ等の防除
9.7
8.7
3.8
6.1
加湿装置の汚れの点検
給水管理
給湯水の残塩含有率検査
給湯水の残塩含有率の遵守
雑 用 水 の 管 理
冷却塔の清掃
給 水 管 理
空 気 環 境 の 調 整
0
項
2
給湯水水質検査
給湯水水質基準の遵守
3 主な指摘事項
・年間管理計画・帳簿書類
・空調管理・設備
・給排水管理・設備
・ねずみ等の防除
4 冷却塔水等におけるレジオネラ属菌の検査(平成20年8月実施)
平成20年度は、例年行っている冷却塔水のレジオネラ属菌検査に加え、中央式給湯設備
の給湯水及び雑用水についても、レジオネラ属菌検査を実施した。
レジオネラ属菌の菌数(CFU/100mL)
冷却塔水(施設)
100個未満
2
(給湯水、雑用水にあっては10個未満)
100∼1000個
0
(給湯水、雑用水にあっては10∼1000個)
給湯水(施設)
雑用水(施設)
3
2
1
0
1,000∼10万個
4
0
0
10万個以上
0
0
0
検査施設合計
6
4
2
5 化学物質(ホルムアルデヒド)の測定結果(平成20年8月実施)
実施施設数 : 2施設(百貨店1、ホテル1)
測定結果 : 0.03∼0.06ppm(簡易測定法)
3
平成 20 年度 埼玉県建築物衛生管理研修会
埼玉県ペストコントロール協会
理事 村 田
光
<より良いIPMの実践に向けて>
1.IPM方式による害虫防除の意義
IPM(Integrated Pest Management=総合的有害生物管理)は、元々農業
分野で発達した有害生物防除システムであり、収穫高と有害生物の防除コスト
を損益分岐点からきちんと見極め、より多くの収穫高をより少ない防除コスト
で達成することが主題となっています。
具体的には、調査により被害状況や防除対象とすべき生物種や生息密度を明
らかにし、生態や習性に合致した防除対策をタイムリーに実施するというもの
で、防除対策には土壌改良や作付時期・作付種の変更、天敵導入などの様々な
手法が験される一方、薬剤のより効果的な施用も農業IPMの重要なアイテム
として捉えられています。
これは、農業分野では生産者ならだれでも単純に把握できる収穫高という金
額ベースが判断基準となり得ることから、他の防除方法と比べた場合、防除薬
剤の存在価値は比較的低コストで実施できるという特長から、かなりのウェイ
トを有する帰結と思われます。
これに対し、建築物のIPMでは、とりあえず使用薬剤を減らすことが目的
に成りがちですが、建築物という範疇では、殆どの場合、防除効率の物差しと
なる損益分岐点と呼べるようなボーダーラインを見出すことが難しく、発注者
側にもここまでの防除効果ならこのコストまでは認めますという価値基準も一
般には存在しません。
このことが「建築物のIPM=減薬剤」という単純なイメ−ジに繋がる要因
の一つといえるでしょう。
無論、化学物質の減量化は防除業界にとっても環境配慮の観点から重要では
ありますが、単になるべく使わないというのではIPMシステムとはいえず、
IPMを採用する本来の目的は、より良い防除効果と、より高度な環境配慮の
両立という、本来たいへん難しい問題の克服にあるのです。
2.物件ごとに異なるIPMの姿
建築物におけるIPMの推進は建築物衛生法の施行により、近年、PCOに
とって最も重要な取組み課題となっており、本部協会が行った最近のアンケー
ト調査でも回答過半数以上の会員が既に何等かのIPMプログラムを有してい
4
ると答えていますが、IPMというのはいわば理念であり、個別の防除手法を
細かく表すものでは無いことから、各社それぞれに、顧客や建物ごとに異なる
具体的状況に併せたIPMに取組んでいる状況と理解します。
この中、昨年 1 月 25 日、厚労省から建築物環境衛生維持管理要領並びに維持
管理マニュアルが発表されました。
これらは、建築物衛生法の実践手法をより詳しく示すもので、この通達では
(財)日本環境衛生センター田中生男先生が既に提起された幾つかの建築物IP
Mの考えがほぼそのまま投影された内容となっており、特に重要な事柄として
は、調査結果から防除対策の必要性を三段階に分け、それぞれの段階ごとに、
また対象生物ごとに何をしなければならないかを初めて国が示したことであり、
今後は、この発表内容に記された防除手法を参照し、より正確なIPM方式に
よる防除法を策定することができるようになりました。
これで建築物IPMはまた新たな一歩を踏み出すことになりましたが、この
通達でも詳しくなったとはいえ、調査や防除を行う基準等が例示されているに
過ぎず、物件それぞれの事情を斟酌して現実的な対応を行うに当たっては、詳
しい参考書という位置付けに終わるでしょう。
では、具体的にどのような調査を行い、調査結果の状況から判断してどのよ
うな防除を行う事が適切なIPMとなるのか。
前述の通り、発注者にその判断基準やポリシーが無い場合、PCOしかその
決定機関になり得ないのかも知れませんが、オフィスビルや飲食店舗といった
大雑把な区分で考えても、顧客それぞれの害虫に対する問題意識の高低や、か
けられる防除コストも様々であり、どのような物件にも一律に当てはまるよう
なIPM手法というものはどこにも存在せず、IPMは現場の数だけ、或いは
取組む業者の数だけ答えが違うという認識が正しいといえましょう。
そしてこのため、建築物IPMにおいては、より的確な防除システムの構築
に、私たちPCO個々の力量が大きく問われる時代になったともいえます。
3.IPM方式採用のポイント
IPM方式を採用するに当り、外すことのできないいくつかのポイントがあ
ります。
①
対象生物を絞り込む
建築物衛生法による「衛生害虫」とは、人に疾病をもたらす可能性のある生
物としてネズミ、ゴキブリ、蚊、ハエ、シラミ、南京虫、ノミ、イエダニ、屋
内塵性ダニの9種類が指定されていますが、これら全てを盛り込むことは必ず
しも適当ではなく、建物ごとに、使用目的や構造の違い、過去の発生例などの
違いに合わせ、対象種を絞り込んでおきます。
5
これは、対象となる生物ごとに調査法や防除法が異なるため、全てを盛り込
んでしまうと相当なコストが必要となり、実情に応じた対象種に絞っておかな
いと計画倒れになる可能性が高まるからです。
②
対象生物ごとの調査法を定める
最近、単に「防除の事前に生息状況を確認すること」とだけ書かれている仕
様書を目にすることが多いのですが、調査法の指定が無ければ後で述べる防除
作業の実施基準と客観的に照らし合わせることができず、防除の要・不要の判
断がしにくくなってしまいます。
また、当然、調査のポイント数によりコストも異なりますから、調査法と同
時に、調査の範囲やポイント数も定めておくと良いでしょう。
③
防除作業の実施基準を対象生物ごとに、部屋の種類ごとに定める
厚労省通達では対象生物ごとの調査結果を許容・警戒・措置水準の3段階に
分けた基準値が例示されていますが、この内IPMの理念で重要となるのが「許
容水準」の位置付けで、これを超えた場合にのみ防除を実施するわけですが、
これを定めなければ、結局、生物の全滅まで防除を行い続けることになってし
まいます。
また、どこまでを許容水準とするかは、同じ建物内でも部屋の使用目的によ
って異なることもありますから、本来は対象生物ごとに、また、部屋の種類ご
とに基準値を定めておく必要があります。
なお、万一適当な基準値が見い出せない場合、最初は厚労省通達の水準例を
そのまま一律に採用し、次年度以降、実際の被害状況とかかった防除コストの
バランスなどを考慮し、それぞれ独自の基準値を定め直すと良いでしょう。
④
調査結果に応じた具体的防除方法を明記する
厚労省通達で示されている防除方法は以下となっています。
許容水準・・・・防除は不要
警戒水準・・・・環境整備や毒餌配置などによる防除
措置水準・・・・環境整備と同時に薬剤や器具などによる防除
この内、特に取り決めておくべき事柄は毒餌、薬剤、器具など、PCO側が
行う作業の方法についてです。
どの状況でどの方法を行うかはその場の主観的な判断にまかせず、予め細か
く決めておいたほうが混乱や間違いが無く安全です。
4.IPMにおけるPCOの役割
建築物IPMの防除手法を端的にいえば、
「調査により防除の必要性を判定し、
防除では薬剤以外の方法も用い、防除後にはその効果も判定する」となるでし
6
ょう。
この中でPCOが一般に不得手なのは「薬剤以外の方法も用い」という箇所
で、例えば清掃や整理整頓などの発生しやすい状況の環境改善などは、主に施
主側が留意すべきことであり、侵入を防ぐための設備・構造改善も、防鼠工事
などの一部事例を除けば、これもほぼ施主側が実施主体となります。
そもそも、IPMは単に防除薬剤の使用量を減らすことを目的に取組むべき
ものでは決してありませんが、建築物内についていえば、これらの環境的・物
理的改善が精度良く実施されたならば、害虫の生息密度はかなり低く抑えられ、
結果としてPCOによる薬剤処理の出番は僅少となってくるはずです。
従来、PCOは防除対策の主役であると同時に、防除後の結果責任まで請け
負わざるを得ない立場であったものが、IPMでは防除対策の実施主体として、
その主役は建物所有者または管理者側であり、PCOは状況の正確な調査に努
め、その結果から具体的改善対策を立案して施主に提言することが重要な任務
となり、定形の薬剤処理作業を請け負う業者から、環境改善に関する診断、助
言、指導などのコンサルティングも出来る業者へと変わる必要があります。
この時、従来ありがちだった「調査は無料・施工は有料」というパターンで
はIPMで必要とされる正確な生息調査の実施は不可能となりますから、PC
O・施主の別を問わず、先ずは、調査には必ずコストがかかるという共通認識
を持たなければ、IPMの実践は一歩も進まないでしょう。
5.調査報告書の表し方
施主側に有料調査を認めていただくには、科学的に正確な調査の重要性を理
解してもらう必要があり、それには調査結果の表し方もコストの理解増進に力
が発揮されるでしょう。
余談ですが、以前、埼玉県が防除薬剤に関するある種の使用制限を発表され
た際、具体的手法について記すマニュアル作成のお手伝いをさせていただきま
したが、多くのビル管理者の方にきちんと内容が伝わる表記を重視することと
なり、この中で、例えば捕獲指数という言葉は難解だから捕獲数が良いだとか、
薬剤名は商品名でないと判らないだとか、PCOにとってはごく初歩的な部分
から工夫しないと管理者の方は理解しにくいということを県の担当者氏から伺
い、そんなものかと妙に納得させられたことがありました。
コストの理解には調査報告書の枚数が勝負という話を聞くこともありますが、
PCOの顧客業種は多岐にわたり、このスタイルは品質管理部門を有する顧客
以外には通用せず、
「PCO言語」は通じないという認識を先ず持って、だれに
でもわかりやすい調査報告書を作ることの方がより重要と考えます。
更にいえば、人間の定期健康診断同様、施主は調査そのものを行って欲しい
わけでは決して無く、その結果を知りたいから調査を許すという類のもので、
7
健康診断後の結果表を見ても、細かな検査数値の脇に基準となる標準範囲が示
されており、全体の結果を表す総評も別枠の見やすい位置に記載されている例
が多いと思います。
わかりやすい調査報告書の一例として、捕獲調査の場合では、
①
捕獲種を徘徊・両用・飛翔の別に分ける
②
主たる発生場所を屋外・両用・屋内の別に分ける
③
トラップ配置場所の見取り図を作成する
これらは、PCOの昆虫同定は一般に「科」までを区分けして記載し、これ
自体が悪いわけでは決して無いのですが、顧客の多くは○○科と言われてもい
っこうに判らず、虫の発生源や捕獲場所がどこで、なぜ発生・侵入したのかが
より重要な情報となるため、捕獲状況の報告では必ずトラップ配置図を作成し、
捕獲種の表記は「科」の列記に①や②の区分を併記すると良いでしょう。
④
調査報告書には毎回、維持管理基準表を添付(または記載)する
防除対策の要・不要はIPMであれば事前に防除を実施する場合の条件とな
る管理基準値を定めているはずですが、施主は一般に契約時以外にその基準を
見ることは少ないことから、くどいようですが、毎回、基準値を示すことで現
状との照らし合わせを容易にし、当初計画した科学的調査の意義を意識し続け
てもらうようにします。
⑤
薬剤による防除が必要と判定された区域がある場合、なぜ薬剤処理が選択
されたのかを明示しておく
これは、防除施工報告書の中に記す場合もありますが、防除の事前に調査報
告書を提出する場合には予め記しておくと良いでしょう。
一般論として、薬剤はその他の方法では効果が期待できない場合、発生や被
害の状況が著しい場合、素早い防除効果が必要とされる場合などに用い、それ
以外の場合には、環境改善対策、または、捕獲などの物理的な対策などが望ま
しいとされていますが、その状況判断の決定権はPCOが持つ場合が多いはず
です。
防除を疾病治療に例えれば、近年、医師は治療を患者の理解の上で行うこと
が必要とされているようですが、PCOもこの例に倣い、なぜ薬剤処理を選択
したのかを先方に説明する責任があると思います。
基準値を超える発生が確認された都度、その対策手法を顧客と協議すること
は困難で、予め仕様書の段階で薬剤使用条件を細かく決めておくことが前提と
なりますが、調査報告書の中でも、今回、この場所ではこれこれの条件に相当
するため、薬剤処理を選択するということを明示しておくべきでしょう。
8
また、発生予防の観点から限定的な場所への薬剤処理(揮発性の低い薬剤が
望ましい)を行う場合、予防の観点から行う旨もきちんと明示しておくと良い
でしょう。
⑥
改善提案は先方の事情も把握し、できるだけ具体的な手法を示す
例えば、シャッター開放中の侵入生物がある場合、単にシャッターはなるべ
く閉めておいて下さいと書いてしまいがちですが、シャッターを閉められない
事情があるのかも知れず、先方事情も把握した上、紋切り型でない文章で改善
を促すことを心がけるべきでしょう。
⑦
調査写真を添付する
PCOは施工状況の写真を撮る機会は多く、従来は単に施工の完成度を確認
するツールとして先方が要求してくる場合が殆どだったと思いますが、それを
調査報告書の中で、調査の意義をアピールする材料としても是非活用すべきで、
トラップの捕獲状況、改善提案で示した部位など、今更ながら写真の持つ説得
力はテキスト文書より数段大きいはずです。
6.IPMにおける施主側の役割
先に、IPMでは防除対策の実施主体として、その主役は建物所有者または
管理者側であると述べましたが、IPM採用に当たっては、PCOが姿勢を転
換する必要性以上に、実際には所有者または管理者の方々こそ、姿勢の大転換
が求められているように思えます。
繰り返しますが、IPMは様々な防除法を組み合わせて良い防除効果を生み
出す手法ですから、緊急で甚大な被害発生時を除けば、薬剤による対策は防除
法の単なる一部であり、多くの場合、防除法の主役は環境改善となるはずです。
環境改善とは具体的にいえば、整理・整頓の励行や清掃の徹底、構造や設備
の改善や補修、更には温湿度の管理や建物使用者の行動改善などまで、その手
段はひじょうに多岐に亘ります。
これらの的確な実践には多くの障害も予想されますが、先ずは心構えの問題
として、害虫防除の分野に限らず、あらゆる分野で環境配慮の問題は避けては
通れない重要な事柄であるという認識と、環境配慮の問題では、単に従来行っ
ていた事を止めるだけでは無く、従来行っていなかった事を始めなければなら
ない場合がある、という二つの認識を強く持っていただく必要があるようです。
IPMの採用で、PCOは効果的で具体的な環境改善策を施主に提案する任
務を新たに持ちましたが、特定建築物の所有者、管理者の方々は、それを実践
または指導しなければならない時代を向かえているのです。
以上
9
参
考
法律関係事項
○建築物における衛生的な環境の確保等に関する法律
(昭和45年4月14日法律第20号)
(建築物環境衛生維持管理基準)
第4条 特定建築物の所有者、占有者その他の者で当該特定建築物の維持管理について
権原を有するものは、政令で定める基準(以下「建築物環境衛生維持管理基準」とい
う。)に従って当該特定建築物の維持管理をしなければならない。
2 建築物環境衛生維持管理基準は、空気環境の調整、給水及び排水の管理、清掃、ね
ずみ、昆虫等の防除その他の環境衛生上良好な状態を維持するのに必要な措置につい
て定めるものとする。
3 特定建築物以外の建築物で多数の者が使用し、又は利用するものの所有者、占有者
その他の者で当該建築物の維持管理について権原を有するものは、建築物環境衛生維
持管理基準に従って当該建築物の維持管理をするように努めなければならない。
○建築物における衛生的な環境の確保等に関する法律施行令
(昭和45年4月14日法律第20号)
(建築物環境衛生維持管理基準)
第2条 法第4条第1項の政令で定める基準は次のとおりとする。
一 空気環境の調整は、次に掲げるところによること。
(略)
二 給水及び排水の管理は、次に掲げるところによること。
(略)
三 清掃及びねずみその他の厚生労働省令で定める動物(ロにおいて「ねずみ等」と
いう。)の防除は、次に掲げるところによること。
イ (略)
ロ 厚生労働省令で定めるところにより、ねずみ等の発生及び侵入の防止並びに駆
除を行うこと。
○建築物における衛生的な環境の確保等に関する法律施行規則
(昭和45年4月14日法律第20号)
(防除を行う動物)
第4条の4 令第2条第3号の厚生労働省令政令で定める動物は、ねずみ、昆虫その他
人の健康を損なう事態を生じさせる恐れのある動物(以下「ねずみ等」という。)とする。
(清掃等及びねずみ等の防除)
第4条の5
1
(略)
2 令第2条第3号ロに規定するねずみ等の発生及び侵入の防止並びに駆除は、次の
各号の定めるところによる。
一 ねずみ等の発生場所、生息場所及び侵入経路並びにねずみ等による被害の状況
いついて、6月以内ごとに1回、定期に、統一的に調査を実施し、当該調査の結
果に基づき、ねずみ等の発生を防止するため必要な措置を講ずること。
二 ねずみ等の防除のため殺そ剤又は殺虫剤を使用する場合は、薬事法第14条又
は第19条の2の規定による承認を受けた医薬品又は医薬部外品を用いること。
3 令第2条第3号イ及びロのに規定により、掃除、廃棄物の処理、ねずみ等の発生
10
及び侵入の防止並びに駆除を行う場合は、厚生労働大臣が別に定める技術上の基準
に従い、清掃及びねずみ等の防除並びに掃除用機器等及び廃棄物処理設備の維持管
理に努めなければならない。
○空気調和設備等の維持管理及び清掃等に係る技術上の基準
(平成15年3月15日厚生労働省告示第119号)
(防除を行う動物)
第一∼第五
(略)
第六 ねずみ等の防除は、次に定める基準に従い行うものとする。
一 ねずみ等の発生場所、生息場所及び侵入経路並びにこれらによる被害の状況を調
査し、当該調査の結果に基づき、建築物全体について効果的な作業計画を策定し、
適切な方法により防除作業を行うこと。
二 食料を取扱う区域並びに排水槽、阻集器及び廃棄物の保管設備の周辺等特にねず
み等が発生しやすい箇所について、二月以内ごとに一回、その生息状況等を調査し、
必要に応じ、発生を防止するための措置を講ずること。
三 防そ防虫網その他の防虫設備の機能を点検し、必要に応じ、補修等を行うほか、
ねずみ等の侵入防止するための措置を講ずること。
四 殺そ剤又は殺虫剤を用いる場合は、使用及び管理を適切に行い、これらによる作
業者並びに建築物の使用者及び利用者の事故防止に努めること。
五 ねずみ等の防除作業終了後は、必要に応じ、強制換気や清掃等を行うこと。
○建築物環境衛生維持管理要領(詳細略)
(平成20年1月25日健発第 0125001 号
第6
1
2
3
厚生労働省健康局長通知)
ねずみ等の防除
総合的有害生物管理に基づく防除
総合的有害生物管理の実施にあたっての留意点
帳簿書類の記載
別添
○建築物における維持管理マニュアル(詳細略)
平成20年1月 建築物環境衛生維持管理要領等検討委員会
(平成20年1月25日健衛発第 0125001 号厚生労働省健康局生活衛生課長通知)
第6章
ねずみ等の防除
−IPM(総合的有害生物管理)の施工方法−
〈基本的な考え方〉
〈維持管理方法〉
1 IPMの実施にあたって
2 標準的な目標水準
3 IPM実施モデル
4 作業上の留意点
別添
HPアドレス
埼玉県保健医療部生活衛生課 建築物衛生のページ
(http://www.pref.saitama.lg.jp/A04/BB00/seieihomepage/kankyou/ipm.html)
11
建築物環境衛生管理基準等と衛生管理の方法
管
建築物環境衛生管理基準等
1. 空気環境測定
(1)
浮遊粉じん
(2)
一酸化炭素
(3)
二酸化炭素
(4)
温
度
空
気
環
:
:
:
:
(冷房時は、外気との温度差を著しくしない)
の
管
理
1. 水質基準
飲
料
水
給 等
の
管
等 理
の
方 法
厚生省令事項
維持管理要領など
(1)2月以内ごとに1
回、定期的に測定
(2)各階ごとに実施
(3) 7 は、建築、大
規模の修繕等の後の
使用開始後の直近の
6/1~9/30 の 間 に 測 定
(1) 外気取入口の位置
(2) 空気調和設備等の管理
(3) 冷却塔の管理
(4) 冷却塔及び加湿装置に供給する
水は、原則として水道水とする。
(5) 測定器の較正は、登録較正機関
で1年以内ごとに1回
(5) 相 対 湿 度 : 40 ∼ 70 %
(6)
気
流 : 0.5 m/s 以下
(7) ホルムアルデヒドの量:0.1mg/m 3以下
2. 浮遊粉じん測定器の較正
3. 冷却塔・加湿装置・空調排水受けの点検等 使用開始時、使用開
始後1月以内に1回
点検し、必要に応じ
て清掃等を実施
4. 冷却塔・冷却水管・加湿装置の清掃
1年以内ごとに1回
境
水
0.15mg/m 3以下
10 ppm 〃
1,000 ppm 〃
17 ∼ 28 ℃
理 の
(1)水道水のみ使用
(1)15・10 項目
15・10 項目、消毒副生物
6月以内ごとに1
回、定期に実施
(2)地下水など使用
(2)消毒副生物
15・10 項目、消毒副生物、 年1回 (6 月 1 日~
全項目、有機化学物質、 9 月 30 日の間)
フェノール類
(3)全項目
竣工後、使用開始
前に1回実施
(4)有機化学物質等
3年以内ごとに1
回、定期に実施
(1)
(2)
(3)
(4)
給水系統ごとに実施
受水槽・ 高架水槽等の衛生管理
貯湯槽の衛生管理
防錆剤の管理
2月以内ごとに1回、防錆剤の
濃度を定期に検査
(注)
・10項目(一般細菌、大腸菌、硝
酸態窒素及び亜硝酸態窒素、塩化
物イオン、有機物、 pH 値、味、
臭気、色度、濁度)
・15項目(10項目+重金属4項
2. 給水栓末端の残 ①平常時:0.1ppm 以上
7日以内ごとに1回、 目・蒸発残留物1項目)
留塩素
②緊急時:0.2ppm 以上
定期に実施
・消毒副生物(総トリハロメタン等
12項目)
3. 貯水(湯)槽の清 貯水(湯)槽の点検・清掃 清掃は、1年以内ご ・全項目(水道法に基づく水質基準
掃等
とに1回定期に実施
51項目)
4. 防錆剤の濃度
(1) 水質基準
管 雑
用
理
水
の
①散水、修景、清掃用の水 (1) pH、臭気、外観 (注)水道水を雑用水に用いている
p H 値:5.8 ∼ 8.6
については、7日
場合は、規制の対象外となる。
臭気:異常でないこと
以内ごとに1回定
外観:ほとんど無色透明
期に実施
大腸菌:不検出
(2) 大腸菌、濁度に
濁度:2度以下
ついては、2月以
②水洗便所用の水
内ごとに1回定期
①基準の濁度を除く項目
に実施
管 (2) 給水栓末端
①平常時:0.1ppm 以上
7日以内ごとに1回、
の残留塩素
②緊急時:0.2ppm 以上
定期に実施
理
(3)雑用水槽の清掃 容量、材質、水源に応じ 定期的に実施
等
適正な方法により実施
排管
水理
排水槽等の清掃等
清掃
清
掃
・ (日常・定期清掃)
廃棄
物処
理
廃棄物処理
設備の補修、清掃等
清掃は 6月以内ごと (1) 排水槽の衛生管理
に1回、定期に実施 (2) 排水配管系統の衛生管理
適切な方法で行う
日常清掃のほか、 廃棄物処理施設の衛生管理
6月以内ごとに1回、
定期に実施
衛生的かつ効果的な方法
で処理する
ねずみ等の防除
防
除
そ
の
他
ねずみ等の発生・侵入防
6月以内ごとに1 (1) 食品取扱施設、廃棄物処理施設
止並びに駆除
回定期的、統一的に
等は2月以内ごとに1回実施
生息調査等を実施し、(2) IPMによる防除
調査結果に基づき必
要な措置を実施
冷却塔などの使
レジオネラ属菌の定期的な検査の実
用水の管理
施(冷却塔水・給湯水・雑用水など)
~新版レジオネラ症防止指針~
12
【建築物環境衛生維持管理要領】
平成20年1月25日健発第 0125001 号 厚生労働省健康局長通知
「建築物における衛生的環境の維持管理について」(抜粋)
URL:http:/www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei09/index.html
13∼14
【建築物における維持管理マニュアル】
平成20年1月25日健衛発第 0125001 号 厚生労働省健康局生活衛生課長通知
「建築物における維持管理マニュアルについて」(抜粋)
URL:http:/www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei09/index.html
15∼29
簡易専用水道のしおり
― きれいな水、安心して飲める水を! ! ―
ビル、マンション、学 校 等 に設 けられた受 水 槽 (タンク)などの
給水施設は、「簡易専用水道」として水道法の適用を受けています。
その設置者の方は、常に安全で衛生的な飲み水を確保するために
正 しい管 理 を行 って、定 期 的 に検 査 を受 けなければなりません。
埼玉県保健医療部生活衛生課
簡易専用水道とは
●市町村や水道企業団などの水道事業から
受ける水のみを水源とし、
●その水を一たん受水槽に溜めた後、建物
に飲み水として供給する施設で、
●受水槽の有効容量の合計が10m3を超える
ものをいいます。
① 受水槽から先の部分が簡易専用水道
受水槽の有効容量が 10m3を超えても、
●まったく飲み水として使用しない場合
(工業用水、消防用水など)
●地下水(井戸水)をくんで受水槽に溜めて
いる場合は、
簡易専用水道ではありません。
※ ただし、地下水をくんで受水槽に溜め、飲料水として人に給水しているような施設は、「専用水道」、「自家用水
道」として別の規制を受ける場合があります。
② 有 効 容 量 と は
受水槽の有効容量とは、受水槽の有効に使
用できる部分の容量をいいます。高置水槽の
容量は有効容量に含みません。
管理の方法
簡易専用水道の設置者の方は、次の事項の管理を行ってください。設置者自らが管理を行わ
ない場合には、実際に管理を担当する人を決め、適切な管理を行ってください。
① 水槽(受水槽・高置水槽)の掃除
..
・1年以内ごとに1回、必ず行なわなければなりません。
・掃除は、専門的な知識、技能を有する者に行わせるのが望ましいとされています。
●水槽の掃除
1年以内ごとに1回行う水槽の掃除は、水槽壁面の掃除
や内部の消毒などを行うものですが、掃除の際には、「建築物
における衛生的環境の確保に関する法律」(通称:建築物衛
生法)に基づいて知事(政令市長、保健所設置市長)の登録
を受けた建築物飲料水貯水槽清掃業者を活用することが望
ましいとされています。
建築物飲料水貯水槽清掃業者については、最寄りの保
健所におたねください。
1年以内ごとに1回の清掃
② 水 質 確 認
・ 給水栓(蛇口)における水の色、濁り、臭い、味を
確認してください。
・ 異常があった時には、保健所や水質検査機関に
に依頼して、必要な項目の検査を行ってください。
●水 質 検 査
無色透明なガラス製のコップに給水栓から水を取り、
肉眼で次の項目を検査してください。
1 色
2 濁 り
3 臭 い
4 味
に異常はありませんか。
* 異常があった場合、その原因としては次のようなことなどが考えられます。
1 色のついた水が出る。
◆赤い水
鉄製の水槽や鉄管の腐食。
◆青い水
銅製の水槽や銅管の腐食。
◆白い水
空気(気泡)の混入、亜鉛メッキ銅管の腐食。
2 濁 りがある
水槽が汚れている。
3 臭いがある
水槽が汚れている、水槽内に汚染物質が混入している。
4 味 がある
水槽が汚れている、給水管等の腐食。
③ 水槽(受水槽・高置水槽)の点検
・水槽の点検を行って、有害物、汚水等によって水が汚染されるのを防止するための措置を
講じてください。
●点検のポイント
1 水槽の周辺は清潔ですか。
2 水槽にヒビ割れや水漏れはありませんか。
3 周囲に汚染の原因となるものは置いてあ
りませんか。
4 水槽内に沈積物や浮遊物はありませんか。
5 マンホールのふたは防水密閉型できちん
と鍵がかかっていますか。
6 オーバーフロー管や通気管の防虫網はつ
いていますか。
7 オーバーフロー管や通気管の防虫網はい
たんでいませんか。
④ 給水停止、利用者への周知
給水する水が人の健康を害するおそれが
あるとわかったときは、
・ただちに給水を停止し
・その水を飲まないよう、利用者に知らせ
なければなりません。
⑤ 書 類 の 整 理
次のような書類を整備し、保管管理してください。
・設備の配置、系統を明らかにした図面
・受水槽の周囲の構造物の配置を明らかにした図面
・水槽の掃除の記録、水質検査の記録等の帳簿類
・簡易専用水道の検査結果書
水道法で定められた定期的な検査
設置者の方は、1年以内ごとに1回、厚生労働大臣の登録を受けた簡易専用水道検査機関に
..
依頼して、簡易専用水道の管理について必ず検査を受けなければなりません。
検査を怠った設置者の方は、保健所(権限を移譲された市町村の担当部署)の指導を受ける
ばかりでなく、罰則が適用されることもありますので、注意してください。
また、簡易専用水道検査機関から衛生上問題のある旨の指摘を受けた場合は、保健所(権限を
移譲された市町村の担当部署)に届け出てください。
① 検 査 の 内 容
●一般の施設
厚生労働大臣登録検査機関の検査員が、次のことがらについて検査します。
1
施設の外観検査
受水槽、高置水槽及びその周辺の状況等を検査します。
2
水 質 検 査
給水栓の水について、臭気、味、色、色度、濁度及び残留塩素の有無を検査します。
3
書 類 検 査
水槽の掃除の記録等の有無を検査します。
●建築物衛生法の適応される施設
昭和62年4月1日から「提出書類検査」を受けることができるようになりました。
「提出書類検査」を受ける場合、設置者の方は、「建築物衛生法の適応がある簡易専用水道用調
査表」に管理の状況を記入し、登録検査機関に提出してください。
調査表は、登録検査機関に請求してください。
② 登 録 検 査 機 関
埼玉県内で検査を実施することができる厚生労働大臣登録検査機関は、次の7機関です。い
ずれかの機関で検査を受けてください。
(平成20年6月13日現在)
番号
名
称
1
(社)埼玉県環境検査研究協会
2
(財)東京顕微鏡院
検査を行う事業所の所在地
さいたま市大宮区上小町1450−11
東京都千代田区九段南四丁目8−32、
連絡先電話番号
048-649-5115
042-525-3186
中央区日本橋箱崎町44−1及び立川市
高松町一丁目100−38
3
平成理研(株)
栃木県宇都宮市石井町2856−3
028-660-1700
4
(社)群馬県薬剤師会
群馬県前橋市西片貝町五丁目18−36
027-223-6355
5
(株)総合水研究所
大阪府堺市堺区神南辺町一丁目4−6
072-224-3532
及び東京都中央区日本橋浜町三丁目
45−3浜町野島ビル三階
6
日本理化サービス(株)
愛知県名古屋市千種区千種三丁目20
052-733-3561
−20
7
(株)江東微生物研究所
東京都江戸川区西小岩五丁目18−6
簡易専用水道検査機関の登録(埼玉県関係)を受けた順に記載しています。
お問い合わせは
埼玉県保健医療部生活衛生課水道担当
さいたま市浦和区高砂三丁目15−1
電話 048−830−3616(直通)
03-3671-5941
【ホームページのご案内】
1.埼玉県保健医療部生活衛生課
建築物衛生のページ
http://www.pref.saitama.lg.jp/A04/BB00/seieihomepage/kankyou/biru_eisei.html
埼玉県 建築物衛生
2.社団法人全国ビルメンテナンス協会
http://www.j-bma.or.jp/
3.社団法人埼玉県ビルメンテナンス協会
4.社団法人日本ペストコントロール協会
検 索
http://www.saitama-bma.or.jp/
http://www.pestcontrol.or.jp/
36
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