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特集3
C ○ C ○ 写真1 日本初公開 <フローラ・ダニカ>(写真2、3、4) 写真2 ロ イ ヤ ル ・ コ ペ ン ハ ー ゲ ン 製 カ ッ プ と 紅 茶 で 優 雅 な ひ と と き は ? ︱ オ リ エ ン ト 美 術 館 二 階 喫 茶 ﹁ イ ブ リ ク ﹂ に て 。 会 期 中 限 定 ︱ ▲ブルー・フルーテッド時計 1888年 青花 ロイヤル・コペンハーゲン ▲フローラ・ダニカ アイスクリーム入れ 美術館 1791-1803年 五彩、金彩 デンマーク王室 写真3 17世紀以前のヨーロッパでは、中国製磁器はその美し さと希少性から「白い金 White Gold 」と称賛されてい ました。マイセンで磁器の焼造に成功した1709年以降も、 大変高価な磁器を所蔵することは王室や貴族のステータ スシンボルでした。 磁器のコレクターとしても知られるロシアの女帝、エ カテリーナⅡ世への贈答品として企画されたのが「フロ ーラ・ダニカ」。デンマーク領内に生育する植物を網羅 した植物図譜「フローラ・ダニカ」の図案を磁器にうつ した絵柄は、多色の上絵付けに金彩を施したきわめて豪 華なディナーセットです。複雑な器面に施す精緻な絵付 けには12年の歳月を要し、全点が完成したころには、女 帝は亡くなっていました。 はじめて使用されたのは1803年、国王クリスチャンⅦ 世の誕生日でした。以来、王族の誕生日やご成婚といっ た特別の機会にのみ使用が許された、まさにデンマーク 王室の宝。日本初公開です。 「デンマークのジャポニズム」(写真5) ▲フローラ・ダニカ 蓋付カスタードカップ 1791-1803年 五彩、金彩 デンマーク王室 写真4 ▲フローラ・ダニカ 長円皿 1790-1803年 五彩、金彩 デンマーク王室 19世紀後半、ヨーロッパに紹介された日本の美術工芸 は、ヨーロッパの芸術に大変大きな影響を与えました。 特に1889年に開催されたパリ万国博覧会では、空前の日 本ブーム「ジャポニズム」を巻き起こしたほどです。そ のころ、ロイヤル・コペンハーゲン社のアートディレク ターであったアーノルト・クロー(1856−1931年)は、 伝統的な図柄である「ブルー・フルーテッド」のモチー フを再興、北欧の風土に根差した独特のジャポニズムを 創案、ロイヤル・コペンハーゲンの名声を確固たるもの にしました。 19世紀末、パリで刊行された「芸術の日本」誌の熱心 な読者でもあった彼は、同誌に掲載された日本の美術、 工芸品の挿図を自作のデザインの参考としたり、歌川広 重の作品に着想を得た作品などを残しています。 日本美術の影響と、北欧の感性。知られざるロイヤル ・コペンハーゲンの魅力を再発見できることでしょう。 ▼アメリエンボー宮殿 クリスチャンⅦ世宮殿バラの間 内部 (撮影:四角隆二・オリエント美術館学芸員) 同宮殿はデンマーク女王マルグレーテⅡ世の居城。 ばんさん 「フローラ・ダニカ」は晩餐会の際に使用されるだけでなく、 宮殿内壁の装飾としても使用されています。 特集3 開催 期間 日 時:8月3日 10時∼ 内 容:来賓あいさつ(ベンツ・リンドブラッ ドさん=在日本デンマーク王国大使館 文化担当参事官)、テープカット、音 楽演奏、ギャラリートークなど 8月3日 ∼9月25日 ※月曜休館(ただし、9月12日 は開館。9月20日 は休館) ・19日 開催 時間 9時∼17時(入館は16時30分まで) 場所 オリエント美術館(天神町) 入館 料 一般 800円 65歳以上の人・大学・高校生 600円 小・中学生 400円 ※20人以上の団体は100円割引。 ※障害者手帳をお持ちの人と付き添いの人 (1人)は無料。 写真5 ひ ご 写真6 (各日13時∼同館地下講堂、定員は100人、聴講料は500円) 8月3日 「デンマーク王国と日本の文化交流」(仮題) 講師:ベンツ・リンドブラッドさん(在日本デン マーク王国大使館文化担当参事官) 8月6日 「フローラ・ダニカの謎─西洋陶磁食器史上の植 物図譜の美」 講師:大熊敏之さん(宮内庁三の丸尚蔵館学芸室 主任研究官) 9月3日 「ロイヤル・コペンハーゲンとジャポニズム」 講師:出川哲朗さん(大阪市立東洋陶磁美術館学 芸課長) 1775 1775年、ユリアネ・マリエ皇太后によるデンマーク王室の庇護 年、ユリアネ・マリエ皇太后によるデンマーク王室の庇護のもと、王室御用達の製陶所と のもと、王室御用達の製陶所として設立 して設立 されたのがロイヤル・コペンハーゲンの始まりです。 19 19世紀には、建築家アーノルト・クローがロイヤル・コペン 世紀には、建築家アーノルト・クローがロイヤル・コペンハーゲンの芸術顧問に就任、 ハーゲンの芸術顧問に就任、1889 1889年のパリ 年のパリ 万国博覧会では彼のデザインした陶器がグランプリを受賞するなど高い評価を受け、ロイ 万国博覧会では彼のデザインした陶器がグランプリを受賞 するなど高い評価を受け、ロイヤル・コペンハ ヤル・コペンハ ーゲンの名声を確固たるものにしました。 本展覧会では、国内初公開となる、デンマーク王室所蔵の「フローラ・ダニカ」をはじ 本展覧会では、国内初公開となる、デンマーク王室所蔵 の「フローラ・ダニカ」をはじめ、ロイヤル・ め、ロイヤル・ コペンハーゲンの20 コペンハーゲンの 20世紀初頭までの名品 世紀初頭までの名品約 1 9 0 点、参考資料などを一堂に展示し、その全貌を紹介してい ます。また、ヨーロッパ最古の王室である、デンマーク王室と日本の皇室の交流の一端を ます。また、ヨーロッパ最古の王室である、デンマーク王 室と日本の皇室の交流の一端を物語る、宮内庁 物語る、宮内庁 所蔵の花瓶3点を特別出品しています。 本号では、ほんの一部ですが、展示の見どころを紹介します。 本号では、ほんの一部ですが、展示の見どころを紹介し ます。 ぼう ぎょもう ず か びん ▲漁網図花瓶 1887年 青花 ロイヤル・コペン ハーゲン美術館 はなづなもんはないれ ▲花綵文花入 1785年ごろ 五彩、金彩 ロイヤル・コペンハーゲン美術館 問い合わせ オリエント美術館(1086-232-3636)http://www.city.okayama.okayama.jp/orientmuseum/