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リハビリテーション風船バレーボール大会の開催が、 維持期・生活期

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リハビリテーション風船バレーボール大会の開催が、 維持期・生活期
リハビリテーション風 船 バレーボール大 会 の開 催 が、
維 持 期 ・生 活 期 リハビリテーションにもたらす影 響 についての考 察
滋賀県作業療法士会
○石 黒 望 (近 江 温 泉 病 院 )
林 華 子 (ヴォーリズ記 念 病 院 )
小 菅 知 子 (介 護 老 人 保 健 施 設 ここちの郷 )
深 津 良 太 (介 護 老 人 保 健 施 設 リハビリセンターあゆみ)
東近江保健所
福 井 美 代 子 (保 健 師 )
加 賀 爪 雅 江 (保 健 師 )
東 近 江 地 域 医 療 連 携 ネットワーク(三 方 よし研 究 会 )世 話 人 代 表
小 鳥 輝 男 (小 串 医 院 )
主旨
平 成 24年 10 月 27 日 、第 二 回 東 近 江 リハビリテーション風 船 バレーボール大 会 を開 催 した。開 催
にあたって、選 手 等 利 用 者 に聞 き取 りを主 体 にしたアンケート調 査 を依 頼 し、現 在 の状 況 において
大 切 に思 うこと、重 要 に思 うこと、目 標 にしていることなどを聞 き取 るとともに、開 催 前 と開 催 後 に、再
び聞 き取 り調 査 を依 頼 しその変 化 から、大 会 の意 義 を確 認 するとともに、さまざまな聞 き取 り内 容 に
ついてカテゴリー分 けを実 施 し、質 的 評 価 を進 めいくつかの大 会 意 義 を確 認 することができた。風 船
バレーボール大 会 への参 加 は、運 動 機 能 の改 善 を期 待 するものではなく、活 動 及 び参 加 に対 し働 き
かけ、この側 面 に対 して一 定 の効 果 を示 すものであることが確 認 できた。また各 参 加 チームの選 手 の
大 会 前 後 様 子 についての、さまざまなコメントについてキーワードを整 理 し、その内 容 をカテゴリー分
けし、リハビリテーション風 船 バレーボール大 会 の開 催 意 義 について検 討 を加 えた結 果 から、運 動 ・
心 身 機 能 的 要 素 は、否 定 的 要 素 に現 れる傾 向 があり、活 動 ・参 加 、特 に参 加 のレベルで、より肯 定
的 側 面 についてのコメントが多 く見 られた。また、個 人 因 子 ととらえられる事 柄 において、表 面 化 され
たコメントが多 く、リハビリテーション風 船 バレーボール大 会 が、個 人 をクローズアップし、施 設 職 員 に
新 たな一 面 を見 せる事 となり、その後 の生 活 に肯 定 的 個 人 因 子 として印 象 付 けることが確 認 された。
これら肯 定 的 要 素 が、コメントとして数 多 く示 されたことは、リハビリテーション風 船 バレーボール大 会
が、参 加 者 にとって意 義 のある活 動 であったことが示 されるものと考 えられた。また、全 体 を振 り返 り考
察 する中 で、「活 動 ・参 加 」という大 会 において強 い意 義 が示 された事 柄 は、一 施 設 事 業 所 の成 熟
のみで達 成 される課 題 ではなく、相 互 依 存 の概 念 のもとで初 めて成 立 するものでもあり地 域 包 括 ケア
システムの円 熟 がこれらの活 動 を後 押 しするものとなることを期 待 する。これもまた「三 方 よしの精 神 」
を引 き継 ぐものである。
【はじめに】
平 成 23 年 10 月 、東 近 江 地 域 医 療 連 携 ネットワーク研 究 会 (以 下 、三 方 よし研 究 会 )主 催 、滋 賀 県
作 業 療 法 士 会 共 催 のもと第 一 回 東 近 江 リハビリテーション風 船 バレーボール大 会 が開 催 された。三
方 よし研 究 会 は、急 性 期 ・回 復 期 ・維 持 期 の医 療 機 関 のほか、かかりつけ医 、歯 科 医 師 、行 政 機 関 、
介 護 事 業 所 、消 防 など幅 広 い分 野 の関 係 者 が参 加 し、「顔 の見 える関 係 作 り」をキーワードに交 流
を深 め、地 域 連 携 システムの構 築 が図 られている。この三 方 よし研 究 会 のネットワークをもとに、維 持
期 ・生 活 期 で頑 張 っておられる障 害 者 ・要 介 護 者 の地 域 リハビリテーションの一 環 として、また社 会
参 加 、交 流 の場 として、運 動 会 のシーズンである 10 月 に東 近 江 リハビリテーション風 船 バレーボール
大 会 を企 画 し開 催 された。「人 は作 業 することで健 康 になれる」・・・この、日 本 作 業 療 法 士 協 会 が掲
げるスローガンの地 域 実 践 活 動 として、滋 賀 県 作 業 療 法 士 会 が三 方 よし研 究 会 とともに、リハビリテ
ーション風 船 バレーボール大 会 の開 催 を企 画 し呼 びかけた結 果 、今 までつながりのなかった人 たち
が、体 育 館 に集 い、風 船 バレーボール大 会 という、誰 もが参 加 し楽 しめる機 会 を通 して、当 日 の活 動
のみならず、当 日 に至 る日 々を含 め生 き生 きとした活 動 の機 会 を楽 しむことができた。そして急 性 期 、
回 復 期 を経 てその後 の長 きにわたり続 く維 持 ・生 活 期 に定 期 的 に開 催 され目 標 となるイベントとなる
ことで維 持 ・生 活 期 における地 域 のリハビリテーションプログラムとして、そしてイベントとしての定 着 を
期 待 されるものであった。そのことは、障 害 者 、要 介 護 者 の地 域 社 会 のイベントへの主 体 的 な参 加 を
促 す一 助 になるのではないかと考 える。第 二 回 の開 催 を迎 えるにあたって、継 続 して参 加 される方 の
意 識 、また新 たに参 加 される方 々の意 識 の変 化 を追 うことで、この企 画 の開 催 の意 義 について、調
査 し検 証 を加 え、地 域 包 括 ケアシステム及 び、地 域 リハビリテーションの在 り方 について考 察 を加 え、
この企 画 を例 とする、各 事 業 所 ・ケアマネージャーと連 携 した、介 護 者 ・障 がい者 アクティビティの必
要 性 そしてその重 要 性 について提 案 出 来 ればと考 え、調 査 研 究 を実 施 した。
【方 法 】(資 料 1~5 参 照 )
① 大 会 の開 催 :平 成 23年 度 に開 催 した第 一 回 東 近 江 リハビリテーション風 船 バレーボール大 会 を、
第 二 回 大 会 として企 画 し、開 催 することとした
②
参 加 チームに対 し大 会 を通 じて、生 活 行 為 向 上 マネジメントの作 業 聞 き取 りツールを使 用 し、当
日 1 カ月 前 ・当 日 1 週 間 前 ・の各 時 期 に、生 活 目 標 の聞 き取 りと、その実 行 度 ・満 足 度 について
の聞 き取 りを依 頼 し、各 施 設 職 員 による聞 き取 りを依 頼 した
1)
。
③ 大 会 終 了 後 1週 間 以 内 に、すでに聞 き取 っていた生 活 目 標 について、その実 行 度 ・満 足 度 につ
いての再 度 、各 施 設 職 員 による聞 き取 りを依 頼 した。
④ データを分 析 し、リハビリテーション風 船 バレーボール大 会 開 催 の意 義 を検 証 し、各 事 業 所 ・ケア
マネージャーと連 携 した、要 介 護 者 ・障 がい者 アクティビティの必 要 性 そしてその重 要 性 について、
KJ法 による質 的 評 価 のもと考 察 を加 えた。
【結 果 】
第 二 回 東 近 江 リハビリテーション風 船 バレーボール大 会 を予 定 通 り企 画 し、開 催 することができた。
大 会 参 加 チームとして、東 近 江 医 療 圏 域 の医 療 療 養 病 床 を抱 える病 院 、介 護 老 人 施 設 、グループ
ホーム・訪 問 リハビリを受 けておられる要 介 護 者 、デイサービスセンター、認 知 デイ施 設 、など8施 設 8
チームが参 加 し、学 生 ボランティアも 50 名 が参 加 し、参 加 チーム関 係 者 並 びにボランティアを含 む運
営 スタッフで述 べ150名 を超 える参 加 者 で開 催 された(資 料 4)。
表 1 重 要 とされた項 目 群 に対 する実 行 度 改 善 度 ・満 足 度 改 善 度
現 在 の思 い・重 要 に思 うこと
実行度改善度
直 接 風 船 バレーへの思 いが語 られた参 加 者
人 との交 流 への思 いが語 られた参 加 者
運 動 全 般 への思 いが語 られた参 加 者
満足度改善度
1.6
3.6
1
1.8
0.5
0.7
参 加 チームに依 頼 した聞 き取 り結 果 として表 1 の事 柄 が明 らかとなった。参 加 チームに依 頼 した、
生 活 向 上 マネジメントの聞 き取 り調 査 において述 べられた「現 在 重 要 に思 うこと」は、「直 接 風 船 バレ
ーへの思 いを語 られた項 目 」「人 との交 流 への思 いが語 られた項 目 」「運 動 全 般 への思 いが語 られた
項 目 」の 3 つの項 目 に整 理 され、それぞれ、大 会 前 後 での変 化 として「直 接 風 船 バレーへの思 いを
語 られた項 目 」に対 しては、実 行 度 5→6.6、満 足 度 4.0→7.6、それぞれ実 行 度 改 善 度 1.6、満
足 度 改 善 度 3.6。人 との交 流 への思 いが語 られた項 目 」に対 しては、実 行 度 6→7、満 足 度 5.8→7.
6、それぞれ実 行 度 改 善 度 1.0、満 足 度 改 善 度 1.8。「運 動 全 般 への思 いが語 られた項 目 」に対 し
ては、実 行 度 4.3→4.8、満 足 度 4.1→4.8、それぞれ実 行 度 改 善 度 0.5、満 足 度 改 善 度 0.7。
という結 果 が得 られた。これらの結 果 からは、風 船 バレーボール大 会 の企 画 が、運 動 機 能 の改 善 を
期 待 するものではなく、活 動 及 び参 加 に対 し働 きかけ、この側 面 に対 して一 定 の効 果 を示 すもので
あることが確 認 できた(表 2)
表2 満足度改善度・実行度改善度調査
(重要とされた項目群に対する)
満足度改善度
全体
実行度改善度
運動全般への思いが語られた参加者
人との交流への思いが語られた参加者
直接風船バレーへの思いが語られた参加者
0
1
2
3
4
また、各 参 加 チームの選 手 の大 会 前 後 様 子 につ いての、さまざまなコメン トについてキーワードを
整 理 し、その内 容 をカテゴリー分 けし、表 3 に示 すことで、リハビリテーション風 船 バレーボール大 会 の
開 催 意 義 について検 討 を加 えた 、各 カテゴリー 分 析 結 果 か ら、運 動 ・ 心 身 機 能 的 要 素 は、否 定 的
要 素 に現 れる傾 向 があり、活 動 ・参 加 、特 に参 加 のレベルで、より肯 定 的 側 面 についてのコメントが
多 く見 られた。また、個 人 因 子 と捉 えられる事 柄 において、表 面 化 されたコメントがおおく、リハビリテ
ーション風 船 バレーボール大 会 が、個 人 をクロー ズアップし、施 設 職 員 に 新 たに一 面 を見 せることと
なり、その後 の生 活 に肯 定 的 個 人 因 子 として印 象 付 けることが確 認 された。これら肯 定 的 要 素 が、コ
メントとして数 多 く示 されたことは、リハビリテーション風 船 バレーボール大 会 が、参 加 者 にとって意 義
のある活 動 であったことが示 されるものと考 える。
表 3:聞 き取 りシート・コメント内 容 のカテゴリー分 析 表
【考 察 】
今 回 の調 査 を通 じて従 来 1施 設 内 だけであったレクリェーションを、様 々な施 設 の、様 々な利 用 者
が集 う、地 域 全 体 で行 うイベントとすることで、利 用 者 の社 会 参 加 としての機 会 を提 案 し、その結 果 と
して参 加 ・活 動 の肯 定 的 要 素 の表 面 化 とともに、個 人 因 子 の肯 定 的 要 素 が表 面 化 し、さまざまな新
しい発 見 を認 識 できた。また各 事 業 所 等 のスタッフが、多 くの同 じ仲 間 が集 うイベントに参 加 すること
で、多 くの肯 定 的 再 発 見 があったことが確 認 された。このこと
は、昨 年 参 加 した施 設 が、そのまま再 度 参 加 し、加 えて新 し
いチームが加 わっていることからも立 証 されている。
表 4 2)
現 在 、地 域 において多 くの事 業 所 が、在 宅 や施 設 で、要
介 護 者 等 の生 活 期 を支 えている。それらの 施 設 は、個 々の
施 設 事 業 所 として、利 用 者 に対 し十 分 な役 割 を遂 行 してい
る。そのように各 施 設 事 業 所 は、成 熟 することで地 域 の状 況
に 左 右 され ず 、地 域 の 状 況 に 変 化 を及 ぼす こ と が で き る 存
在 となっている。しかしながら、地 域 包 括 ケアシステムの遂 行
にあたっては、一 施 設 事 業 所 の成 熟 が 、目 標 で はない 。一
施 設 事 業 所 の 成 熟 だ け で は、相 互 依 存 的 に 考 え た り活 動
したりすることができず、一 施 設 事 業 所 としての業 績 は上 がっても地 域 包 括 システムのチームとして、
成 熟 したメンバーやリーダーとはいえない。地 域 包 括 ケアシステムのメンバーとしては、必 要 不 可 欠 な
相 互 依 存 の考 え方 (表 4)
2) を理 解 することが必 要 である。東 近 江 圏 域 においては、三 方 よし研 究 会
が活 発 な活 動 を実 践 している。この三 方 よし研 究 会 に参 加 する施 設 は、一 施 設 事 業 所 の成 熟 を目
指 すとともに、それのみを願 うのではなく、地 域 住 民 のニーズに応 えるべく、さまざまな資 源 との相 互
依 存 の概 念 の実 践 を意 識 した施 設 事 業 所 と考 える。2回 目 を迎 えた東 近 江 リハビリテーション風 船
バレーボール大 会 は、このような三 方 よし研 究 会 の中 でも、より成 熟 した施 設 事 業 所 が、他 の施 設 事
業 所 と協 力 してより優 れた成 果 を達 成 できるように、地 域 包 括 ケアシステムの模 索 を目 的 としたもので
あるともいえる。
また、施 設 事 業 所 単 位 ではなく、職 種 間 相 互 依 存 の概 念 もまた地 域 包 括 ケアシステムにおいては
重 要 と考 える。東 近 江 における三 方 よし研 究 会 は、医 師 ・歯 科 医 師 ・看 護 師 ・保 健 士 ・薬 剤 師 ・管 理
栄 養 士 ・ 社 会 福 祉 士 ・ 介 護 福 祉 士 ・ 居 宅 介 護 支 援 専 門 員 ・ 作 業 療 法 士 ・理 学 療 法 士 ・ 言 語 聴 覚
士 ・行 政 機 関 職 員 ・消 防 士 ・教 育 関 係 機 関 職 員 ・ 図 書 館 職 員 ほか、さまざまな職 能 団 体 が意 見 交
換 できる場 である。東 近 江 リハビリテーション風 船 バレーボール大 会 では、これら多 職 種 の協 力 をもと
めるイベントを目 指 すことも特 徴 といえる。職 種 間 の相 互 依 存 により優 れたアイディアや思 考 を生 かす
ことができる。会 場 として東 近 江 市 立 布 引 体 育 館 を利 用 させて頂 いたが、ここにおいても、一 般 の公
共 施 設 を多 くの要 介 護 者 等 が、杖 や車 いすで利 用 することで、公 共 施 設 として必 要 な設 備 について、
会 場 関 係 者 と 意 見 交 換 す る 機 会 が しば しば あ っ た こと も 、大 き な意 義 が あ った と 考 え る 。 東 近 江 の
「自 立 した施 設 事 業 所 」そして「自 立 した職 能 団 体 」、そして「自 立 した行 政 機 関 」の相 互 依 存 関 係
は、地 域 包 括 ケアシステムを進 めるうえで最 も重 要 なもと考 え、それらを一 つのかたちとして、今 後 も
東 近 江 リハビリテーション風 船 バレーボール大 会 が、継 続 して開 催 されることを期 待 する。これもまた
「三 方 よしの精 神 」を引 き継 ぐものである。
【結 論 】
リハビリテーション風 船 バレーボール大 会 の開 催 が、維 持 期 ・生 活 期 リハビリテーションにもたらす
影 響 について、大 会 の開 催 とともに、参 加 者 に聞 き取 り調 査 を実 施 しそれらをもとに考 察 を加 えた。
第 二 回 東 近 江 リハビリテーション風 船 バレーボール大 会 を開 催 し、その意 義 について、調 査 し検
証 ・考 察 を加 えた結 果 、生 活 期 ・維 持 期 を支 える 地 域 リハビリテーション活 動 でもある風 船 バレーボ
ール大 会 の企 画 は、運 動 機 能 の改 善 を期 待 するものではなく、活 動 及 び参 加 に対 し働 きかけ、この
側 面 に対 して個 人 因 子 を含 め一 定 の効 果 を示 すことが確 認 された。また、考 察 を加 える中 で本 大 会
が、各 施 設 事 業 所 ・各 職 能 団 体 が連 携 を強 化 し、相 互 依 存 の概 念
2) を成 熟 させ地 域 包 括 システム
の構 築 のための一 つの活 動 として意 義 深 いものとして認 識 することができた。
資 料 1:競 技 規 則
料 2:会 場 レイアウト
資 料 3:対 戦 トーナメント表
資 料 4:大 会 風 景
資 料 5:生 活 行 為 向 上 マネジメント・聞 き取 りシートと、アンケート用 紙
【引 用 参 考 文 献 】
1) 社 団 法 人 日 本 作 業 療 法 士 協 会 監 修 :“作 業 ”の捉 え方 と評 価 ・支 援 技 術 ,医 歯 薬 出 版 ,2011.
2) スティーブン・R・コヴィー:7つの習 慣 ,キングベアー出 版 ,1996.
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