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園だより「のぞみ」10月号
の ぞ み 平成27年10月号 №506 「イエスはその一人一人に手を置いていやされた」(ルカによる福音書4章40節) 運動会が終わり、楽しみが一つ終わってしまった寂しさと、プレッシャーから解放された安堵感と・・・ それでも子どもたちの元気パワーは少しも落ちる事はなく、穏やかな秋の陽の中を友だちとの遊びを喜び、 共に過ごす時を満喫する姿に心が和みます。今年度の幼稚園の歩みも、はや半年が過ぎましたが、子ども たちのこころと身体、その両方の成長をしっかりと感じる今は、まさに「実りの秋」でもありますね。そ して、さらに今月はイベント月間です。連日続く行事を、保護者の皆様もどうぞお楽しみください。また その一つ一つにご理解とご協力をよろしくお願いいたします。この美しい季節に、たくさんの行事や秋な らではの保育活動を通じて、こどもたちは多くの体験をすることでしょう。その体験の感動を伝えあい、 子どもたち、保護者の皆様、保育者のみんなで感謝し喜びあえる秋になることを願っています。 過日、わたくしは一人の園児を追いかけて、事務室を出て階段を上り、廊下を経てホールへ・・・・追 い詰めた!もはや逃げ場はない!! ところが俊敏なその園児は、わたくしのスキをついて次はテラスへ。当 然わたくしもテラスへ向かってダッシュ!! ホールから一段低いテラスへ足を踏み出した瞬間、右足ふくら はぎが攣った!!同時に、時折ある攣った感覚だけではない痛みが走りました。まずい・・・結構やばいか も・・・。追いかけるのは必然的に中止、その園児は他の職員に保育室に返され、わたくしはその日一日 を何とかやり過ごして、夕方、近所の整骨院に行きました。 事情を話し、ベッドにうつ伏せになりました。先生は一目で私の患部を見抜き「ここですね。ここ、痛 いですね。これは肉離れです。筋肉の繊維が切れるか、切れてなくてもかなりダメージを受けてしまった んです」と説明されました。生まれて初めての肉離れでした。その後柔道家の先生は、その大きな柔らか な手で、私のふくらはぎ全体を包み込むようにしてマッサージしてくださいました。「ああ、何か癒され る」・・・足だけじゃなくて体全体が癒される感じでした。「先生の手は魔法の手?これぞ正真正銘の『手 当て』です。イエス様の癒しも、この様だったんだろうか。だとすれば、イエス様に手を置いてもらった 人たちは幸せだったろうな。本当に癒されただろうな。それにしても、やっぱ、若くないってことかなぁ ー」・・・こんなことを考えている内に、ウトウト居眠りしてしまいました。もちろん、その後シップ薬 を貼って、包帯をグルグル巻いていただきましたけれど、一番効いたのは、先生の「手当て」だったと思 います。 薬や検査による「治療」も必要ですし有りがたいけれど、わたくしたちは、本当は「手当て」を求めて いるのではないでしょうか。手を当ててもらって「ここ、痛いですよね」と痛みを分かってもらうこと、 そこから癒しが始まるのです。そしてそれは、病気や怪我の場合だけではない。保育においても、親子関 係・人間関係においても同じことだと思います。 どうぞわたくしたちの大切な人が、わが子が、こころが痛いときにはその痛むこころに思いを馳せて言 葉を掛けてあげて、ハグしてあげてほしい。こどもが体のどこかを痛いと言ったなら、まずそこを手で触 れてあげて話を聞いてあげて、それが“お腹が痛い”だったなら、まずその手で優しく まあるく撫でてあ げながら言葉を掛けてあげてほしいし、話を聞いてあげてほしい。 わたくしたちは先を急いだり、心にたくさんの事柄を抱えているかもしれないけれど、泣くことやグズ ルこと、ゼスチャーや表情・・・言葉だけの伝え方ではない、いろいろな方法で子どもたちが伝えようと していることを解ってあげられるお母さまであり、保育者で在りましょう。 園 長 堤 陽 子