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特殊な用法・用量 (投与量の漸増・漸減 )が 守られていない処方
用法及び用量 用法及び用量 ■ 特殊な用法・用量 (投与量の漸増・漸減)が守られていない処方 特殊な用法・用量 (投与量の漸増・漸減) が 守られていない処方 表 1 ●投与量の漸増や漸減が指定されている一部医薬品のリスト商品名〈一般名〉 効能・効果 投与量の漸増や漸減など、不規則な投与ス ●メ ルカゾール 〈チアマゾール〉 ケジュールが規定されている薬剤が少なから 甲状腺機能亢進症には、初期量 1 日 30mg ず存在する。これらの大半は、パーキンソン を3〜4回に分割経口投与。症状が重症のと 病治療薬、免疫抑制剤などである。 きは、1 日 40 〜 60mg を使用。機能亢進症 以下に、ペルゴリドメシル酸塩とチアマゾ 状がほぼ消失したなら、1 〜 4 週間ごとに漸 ールの用法・用量を示す。 減し、維持量 1 日 5 〜 10mg を 1 〜 2 回に分 割経口投与。 ●ペ ルマックス 〈ペルゴリドメシル酸塩〉 パーキンソン病治療において、1日1 回 多くの場合、こうした特殊な用法・用量が 50 μg を夕食直後 2 日間投与する。以後、2 規定されている薬剤は、専門医によって処方 ないし 3 日ごと、1日用量として 50 μg ずつ されることから、不適正な使用法となってい 増量し、第1週末には1日用量として150μg るケースは少ないと予測される。しかし、う を 投 与 す る。 第 2 週 目 は 1日 用 量 と し て っかりミスや処方オーダリングミスなどが起 300 μg より開始し、2 ないし 3 日ごと1日用 こる可能性もあるので、薬剤師による処方チ 量として150μg ずつ増量する。第 2 週末に ェックと不備な場合の問い合わせは必須であ は 1日用量として 600 μg を投与する。第 3 る。特殊な用法・用量が規定されている代表 週目は 1日用量 750 μg より開始し、以後有 的な薬剤を表 1 に示した。 ドパール 錠 200 、細粒 99 . 5% 〈レボドパ〉 量 (標準1日750〜1250μg)を定める(図1) 。 エフピー 錠 2 . 5 、 エフピー OD 錠 2 . 5 〈セレギリン塩酸塩〉 パーキンソン病(過去のレボドパ 含有製剤治療において、十分 1日1 回 2.5mgを朝食後服用から始め、2 週ごとに1日量として な効果が得られていないもの: 2.5mgずつ増量し、最適投与量を定めて、維持量 (標準維持量 1 Yahr 重症度ステージI~I V)に 日7.5mg) を定める。 対するレボドパ含有製剤との併 用療法 パーロデル 錠 2 . 5 mg 〈ブロモクリプチンメシル酸塩〉 パーキンソン症候群 ペルマックス 錠50μg /錠250μg パーキンソン病 〈ペルゴリドメシル酸塩〉 ドミン 錠 0 . 4〈タリペキソール塩 パーキンソン病 酸塩〉 1日1回0.2mgまたは0.4mgを夕食後に経口投与から始め、経過 を観察しながら1週間毎に1日量として0.4mgずつ漸増し、維持量 (標準 1日1.2mg ~ 3.6mg) を定める。 〈プラミペキソール塩酸塩水和物〉 750 アーテン 錠(2 mg )/ 散 1% 〈トリヘキシフェニジル塩酸塩〉 特発性パーキンソニズムおよび 第 1日目1mg、第 2日目2mg、以後 1日につき2mgずつ増量し、 その他のパーキンソニズム(脳 1日量 6 ~ 10mgを維持量として3 ~ 4 回に分割経口投与。 炎後、動脈硬化性) 100 パーキン 散 10% 、糖衣錠(10 )/ 50 1 2 朝 3 4 5 6 7 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 昼 夕 ○ ○ ○ ○ 230「処方せんチェック」虎の巻 改訂版[上] 8 9 10 11 ○○ ○○ ○○ ○○ ○ ○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○ ○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○ ○ 12 13 14 ○○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○○ 15 … ● ● ● 1日量 0.25mgから始め、2 週目に1日量を0.5mgとし、以後経 過を観察しながら、1 週間毎に1日量として0.5mgずつ増量し、維 持量 (標準 1日量 1.5 ~ 4.5mg) を定める。 アキネトン 錠 1 mg / 細粒 1% 〈ビペリデン塩酸塩〉 450 150 パーキンソン病 特発性パーキンソニズム、その 他のパーキンソニズム( 脳炎後、 1 回 1mg( 細粒は0.1g、錠は1 錠 )1日2 回より始め、その後漸増 動脈硬化性、中毒性)、向精神 し、1日3 ~ 6mg( 細粒は0.3 ~ 0.6g、錠は3 ~ 6 錠 )を分割経 薬投与によるパーキンソニズム・ 口投与。 ジスキネジア( 遅発性を除く)・ア カシジア 600 300 1日1 回 50μgを夕食直後 2日間投与する。以後、2ないし3日ご と、1日用量として50μgずつ増量し、第 1 週末には1日用量とし て150μgを投与する。第 2 週目は1日用量として300μgより開 始し、2ないし3日ごと1日用量として150μgずつ増量する。第 2 週末には1日用量として600μgを投与する。第3週目は1日用量 750μgより開始し、以後有効性および安全性を考慮しつつ増量 し、維持量 (標準 1日750 ~ 1250μg) を定める。 1日量 0.25mgから始め、2 週目には1日量を0.5mgとし、以後経 過を観察しながら、1 週間毎に1日量として0.5mgずつ増量し、維 持量を定める。 錠 0 . 5 mg μg / 日 1日1 回 1.25mgまたは2.5mgを朝食直後に経口投与から始め、 1または2 週毎に1日量として2.5mgずつ増量し、維持量(標準 1 日15.0 ~ 22.5mg) を定める。 パーキンソン病 ビ・シフロール 錠 0 . 125 mg / 図 1 ペルマックスの投与法の一例 ○:ペルマックス錠 50μg ●:ペルマックス錠 250μg 初回量 1日1 ~ 3 錠 (レボドパとして0.2 ~ 0.6g) を1 ~ 3 回に分 寡動 ~ 無動、筋強剛、振戦、 けて食後に経口投与し、 2 ~ 3日毎に1日量 1 ~ 2 錠 (レボドパとし 日常生活動作障害、仮面様顔 て0.2 ~ 0.4g) を漸増して、2 ~ 4 週間後に維持量として1日量 貌、歩行障害、言語障害、姿 10 ~ 18 錠 (レボドパとして2.0 ~ 3.6g) を経口投与。 勢 異 常、突 進 現 象、膏 様 顔、 書字障害、精神症状、唾液分 泌過剰 ドプス カプセル 100 mg /カプセル パーキンソン病(Yahr 重症度ス 1日量 100mg、1日1 回の経口投与より始め、隔日に100mgず 200 mg / 細粒 20% テージIII)におけるすくみ足、た つ増量、最適投与量を定め維持量とする (標準維持量は1日 〈ドロキシドパ〉 ちくらみの改善 600mg、1日3 回分割投与) 。 カバサール 錠 0 . 25 mg / 錠 1 . 0 mg〈カベルゴリン〉 効性及び安全性を考慮しつつ増量し、維持 日 用法・用量 パーキンソン病、パーキンソン症 候群にともなう下記の諸症状の 治療および予防 糖衣錠(50 ) 〈プロフェナミン〉 最初 1 回 0.1g(散として0.1g、プロフェナミン塩酸塩としては 10mg) 宛 1日4 回の経口投与より始め、 2 ~ 3日毎に1 回投与量 向精神薬投与によるパーキンソ を0.1g(プロフェナミン塩酸塩として10mg) 宛増量し、2 週目の終 ン症候群 わりには1 回 0.5g (プロフェナミン塩酸塩として50mg) 宛 1日4 回 経口投与する。 プログラフ カプセル 0 . 5 mg /カプ セ ル 1 mg 、カ プ セ ル 5 mg 、顆 粒 腎移植 0 . 2 mg / 顆粒 1 mg〈タクロリムス 水和物〉 移植 2日前よりタクロリムスとして1 回 0.15mg/kgを1日2 回経口 投与する。術後初期にはタクロリムスとして1 回 0.15mg/kgを1 日2 回 経 口 投 与し、以 後、徐 々に減 量する。 維 持 量は 1 回 0.06mg/kg。 「処方せんチェック」虎の巻 改訂版[上] 231 用法及び用量 ■ 特殊な用法・用量 (投与量の漸増・漸減)が守られていない処方 表 1 ●投与量の漸増や漸減が指定されている一部医薬品のリスト商品名〈一般名〉 ネオーラル 内用液 / 10 mg カプセル/ 25 mg カプセル/ 50 mg カプセル〈シクロスポリン〉 テルネリン 錠 1 mg / 顆粒 0 . 2 % 〈チザニジン塩酸塩〉 トレドミン 錠 12.5mg /錠 15 /錠 25 / 錠 50 mg 〈ミルナシプラン塩酸塩〉 表 1 ●投与量の漸増や漸減が指定されている一部医薬品のリスト商品名〈一般名〉 つづき 効能・効果 用法・用量 効能・効果 用法・用量 腎移植の場合 移植 1日前からシクロスポリンとして1日量 9 ~ 12mg/kgを1日2 回に分けて経口投与し、以後1日2mg/kgずつ減量する。維持量 は1日量 4 ~ 6mg/kgを標準とする。 肝移植の場合 移植 1日前からシクロスポリンとして1日量 14 ~ 16mg/kgを1日 2回に分けて経口投与する。以後徐々に減量し、維持量は1日量 5 ~ 10mg/kgを標準とする。 トピナ 錠 50 mg / 錠 100 mg 〈トピラマート〉 他の抗てんかん薬で十分な効 果が認められないてんかん患者 の部分発作(二次性全般化発 作を含む)に対する抗てんかん 薬との併用療法 1回量50mgを1日1回または1日2回の経口投与で開始。以後、 1 週間以上の間隔をあけて漸増し、維持量として1日量 200 ~ 400mgを2 回に分割経口投与。なお、症状により適宜増減する が、1日最高投与量は600mgまでとする。 ピレスパ 錠 200 mg 〈ピルフェニドン〉 特発性肺線維症 初期用量 1 回 200mgを1日3 回(1日600mg)食後に経口投 与し、患者の状態を観察しながら1 回量を200mgずつ漸増し、1 回 600mg(1日1800mg)まで増量する。なお、症状により適 宜増減。 移植 1日前からシクロスポリンとして1日量 10 ~ 15mg/kgを1日 心移植、肺移植、膵移植の場 2回に分けて経口投与する。以後徐々に減量し、維持量は1日量 合 2 ~ 6mg/kgを標準とする。 骨髄移植の場合 エクセグラン 錠 100 mg / ド〉 散 20%〈ゾニサミ つづき 移植 1日前からシクロスポリンとして1日量 6 ~ 12mg/kgを1日2 回に分けて経口投与し、3 ~ 6ヵ月間継続し、その後徐々に減量 し中止。 成人において最初 1日100 ~ 200mgを1 ~ 3 回に分割経口投 与する。以後1~ 2週ごとに増量して通常1日量200~ 400mg 部分てんかんおよび全般てんか まで漸増し、1 ~ 3 回に分割経口投与する。小児に対しては、通 んの各種発作型 常、最初 1日2 ~ 4mg / kgを1 ~ 3 回に分割経口投与する. 以 後 1 ~ 2 週ごとに増量して通常 1日量 4 ~ 8mg / kgまで漸増。 痙性麻痺の場合 1日3mg (錠剤の場合3錠、顆粒剤の場合1.5g)より投与を始め、 効果をみながら1日6 ~ 9mg (錠剤の場合 6 ~ 9 錠、顆粒剤の場 合 3 ~ 4.5g) まで漸増し、1日3 回に分けて食後に経口投与。 うつ病・うつ状態 1日25mgを初期用量とし、1日100mgまで漸増し、1日2 ~ 3 回に分けて食後に経口投与。 ジェイゾロフト錠25mg /錠50mg うつ病・うつ状態、パニック障害 〈塩酸セルトラリン〉 1日25mgを初期用量とし、1日100mgまで漸増し、1日1 回経 口投与。 リーマス 錠 100 / 錠 200 〈炭酸リチウム〉 1日400 ~ 600mgより開始し、1日2 ~ 3 回に分割経口投与。 以後 3日ないし1 週間毎に、1日通常 1200mgまでの治療量に漸 増する。改善がみられたならば症状を観察しながら、維持量 1日通 常 200 ~ 800mgの1 ~ 3 回分割経口投与に漸減。 躁病および躁うつ病の躁状態 1日1 回 3mgから開始し、1 ~ 2 週間後に5mgに増量。高度の アリセプト 錠 3 mg / 錠 5 mg / アルツハイマー型認知症患者には、5mgで4 週間以上経過後、 アルツハイマー型認知症におけ 錠 10 mg / 細粒 0 . 5% 、 10mg に増量。 3mg /日投与は有効用量ではなく、消化器系 アリセプト D 錠 3 mg / 錠 5 mg / る認知症症状の進行抑制 副作用の発現を抑える目的なので、1 ~ 2 週間を超えて使用しな 錠 10 mg〈ドネペジル塩酸塩〉 いこと。 ブイフェンド錠 50mg /錠 200mg 〈ボリコナゾール〉 メルカゾール 錠 5 mg 〈チアマゾール〉 重症または難治性真菌感染症 成人(体重 40kg 以上)には初日に1 回 300mgを1日2 回、2日 目以降は1回150mgまたは1回200mgを1日2回食間投与。な お、症状に応じてまたは効果不十分の場合には、増量できるが、 初日投与量の上限は1 回 400mg1日2 回、2日目以降投与量の 上限は1回300mg1日2回まで。体重40kg未満の患者には、ボ リコナゾールとして初日は1 回 150mgを1日2 回、2日目以降は1 回 100mgを1日2 回食間投与。 甲状腺機能亢進症 初期量 1日30mgを3 ~ 4 回に分割経口投与。症状が重症のと きは、1日40 ~ 60mgを使用。機能亢進症状がほぼ消失したな ら、1 ~ 4 週間ごとに漸減し、維持量 1日5 ~ 10mgを1 ~ 2 回 に分割経口投与。小児に対しては初期量 5 歳以上 ~ 10 歳未満 では1日10 ~ 20mg、10 歳以上 ~ 15 歳未満では1日20 ~ 30mgを2 ~ 4 回に分割経口投与。機能亢進症状がほぼ消失し たなら、1 ~ 4 週間ごとに漸減し、維持量 1日5 ~ 10mgを1 ~ 2 回に分割経口投与する。妊婦に対しては初期量1日15~ 30mg を3 ~ 4 回に分割経口投与。機能亢進症状がほぼ消失したなら、 1 ~ 4 週間ごとに漸減し、維持量 1日5 ~ 10mgを1 ~ 2 回に分 割経口投与。 正常妊娠時の甲状腺機能検査値を低下しないよ う、2 週間ごとに検査し、必要最低限量を投与する。なお、年齢、 症状により適宜増減する。 232「処方せんチェック」虎の巻 改訂版[上] 「処方せんチェック」虎の巻 改訂版[上] 233 用法及び用量 ■ 特殊な用法・用量 (投与量の漸増・漸減)が守られていない処方 疑 義 照 会 実 践 例 処 方 前回の処方せん アリセプト D 錠 (3mg) 1 錠 1 日 1 回 朝食後 14 日分 今回の処方せん アリセプト D 錠 (3mg) 1 錠 1 日 1 回 朝食後 14 日分 る。実際、国内の臨床試験では次のよう 化器系症状の発現率も、5mg 群(最初の 1 な結果が報告されている。まず、臨床第 週間は 3mg)で 14.7%(20/136 例) 、プラ Ⅱ相試験において、同剤を 3mg/ 日投与し セボ群で 8.4%(11/131 例)となり、消化器 た群とプラセボ群とでは差が認めらず、 症状の発現頻度は約 1.8 倍に抑えられた 3mg/ 日は有効用量ではないことが判明し (なお、この第Ⅲ相試験において消化器系 た。しかし、最初から同剤を5mg投与した 症状の発現頻度が高くなった理由は、介 場合、消化器系症状の発現率(因果関係な 護日誌を使用して詳細に有害事象を収集 しを含む)は 12.5% (8/64 例)で、プラセボ したことによるとされている) 。 群の 1.7%(1/59 例)に比較して、約 7.4 倍 これらの結果を踏まえ、同剤の用法・用 高かった。そのため、続く第Ⅲ相試験で 量は、添付文書上、1 日 1 回 3mg から開始 は、3mg を 1 週間投与した後に 5mg に増量 し、1 〜 2 週間後に有効用量である 5mg に 患者背景 するという投与方法が採られた。その結 増量することとされている。 ▶ 92 歳の男性。処方オーダリング。病院の神経内科。 果、5mg/ 日の効果が証明され、また、消 ▶ アルツハイマー 型痴呆症であると診断されており、前回からアリセプトによる治療が開 始されていた。今回は 2 回目の診察であった。 疑義照会のポイント 処 方 ▶ アリセプト D 錠〈ドネペジル塩酸塩〉の用法・用量は、1 日 1 回 3mg から開始し、1 〜 2 週 間後に 5mg に増量することになっている。 ビ・シフロール錠 (0.5mg) 2 錠 1 日 2 回 朝夕食後 14 日分 ▶ この患者は前回よりアリセプト D による治療が開始され、本日、2 回目の診察を受けたも 患者背景 のの、用量は変わっていない。 ▶ 53 歳の女性。手書き。神経内科。 疑義照会の結果 ▶ ビ・シフロール錠服用開始から 3 週目であった。 3mg 錠ではなく、5mg 錠が処方されることになった。 疑義照会のポイント ▶ビ ・シフロールは服用開始から 2 週目以降は、1 日量が 1.5 〜 4.5mg になるまで、1 週間 解 説 毎に 1 日量として 0.5mg ずつ漸増することとなっている。 ▶今 回は 1 日 1mg で更に 2 週間処方となっている。 前回より処方されているドネペジル塩 高いため、末梢のアセチルコリンエステ 酸塩は、現在のところ、わが国でアルツハ ラーゼへの影響が少なく、副作用が比較 イマー 病に適応を持つ唯一の薬剤である。 的少ないと考えられている。ただし、特 疑義照会の結果 同剤は、アセチルコリンを分解する酵素で に投与開始初期は、アセチルコリンの増加 3 週目は 1 日量 1.5mg(1 日 3 回) 、4 週目は 1 日量 2.0mg(1 日 3 回)と漸増することとした。 あるアセチルコリンエステラーゼを阻害 による副交感神経の亢進により、下痢、胃 することで、脳内のアセチルコリンを増 酸分泌増加による胃潰瘍などの消化器症 解 説 加させ、アルツハイマー型痴呆の初期症状 状の出現頻度が高い。 ビ・シフロール錠 0.125mg / 錠 0.5mg〈プラ り 8 例中 1 例に起立性低血圧に基づく可能 を改善する。 こうした消化器症状は、漸増投与によ ミペキソール塩酸塩水和物〉の第 I 相試験 性が否定できない中等度症状(悪心、冷 ドネペジル塩酸塩は脳内への移行性が りある程度抑えられることが知られてい (単回投与試験)では、0.3mg 単回投与によ 汗、めまい、顔面蒼白)が認められた。血 234「処方せんチェック」虎の巻 改訂版[上] 「処方せんチェック」虎の巻 改訂版[上] 235 圧、脈拍数、体温、心電図および臨床検査 まで漸増し、固定用量での用量反応性を 所見に臨床上問題となる異常は認められ 検討した試験が実施されているが、6.0mg/ なかった。Cmax および AUC は用量依存的 日投与群での有害事象発現頻度が高く、 に増加し、線形性がみられた。またtmax は 高度の有害事象が多く発現することが認 1 〜 2 時間で、半減期は約 7 時間であり、こ められている。 れら薬物動態パラメータはドイツにおい 以上の結果より、ビ・シフロールの用 て実施された第 I 相試験での成績と類似し 法・用量は以下のように設定されている。 ていた。以上の結果から、0.2mg までの安 通常、成人にはプラミペキソール塩酸 全性には特に問題ないと考えられた。こ 塩水和物として 1 日量 0.25mg から始め、2 の試験を基に初回投与量を 1 回 0.125mg、 週目に 1 日量を 0.5mg とし、以後経過を観 1 日 2 回として実施された第Ⅲ相比較試験 察しながら、1 週間毎に 1 日量として 0.5mg の結果、本剤の安全性に問題は認められ ず つ 増 量 し、維 持 量( 標 準 1 日 量 1.5 〜 なかったため、 1 日量 0.25mg として初回投 4.5mg)を定める。 1 日量がプラミペキソ 与量を設定した。漸増期の用法・用量は、 ール塩酸塩水和物として1.5mg未満の場合 欧米での投与法を参考にして、日本で実 は 2 回に分割して朝夕食後に、1.5mg 以上 施 さ れ た 臨 床 試 験 に 基 づ き、週 単 位 で の場合は 3 回に分割して毎食後経口投与す 0.5mg ずつ増量を行う漸増法が採用され る。なお、年齢、症状により適宜増減がで た。維持量に関しては、日本の第Ⅲ相比 きるが、1 日量は 4.5mg を超えないこと。 較試験および長期投与試験において、1.5 従 って、処方 1 は添付文書に規定された 〜 4.5mg/ 日までの用量範囲で有効性およ 用法・用量通りに漸増されていないことに び安全性が確認された。なお、欧米にお なるため、疑義照会の対象となる。 いて目標維持量 1.5、3.0、4.5、6.0mg/ 日 236「処方せんチェック」虎の巻 改訂版[上]