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新たな治療標的としてのHDL-残余リスクの制圧を目指して

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新たな治療標的としてのHDL-残余リスクの制圧を目指して
学会名:第78回日本循環器学会学術集会
会 期:2014年3月21日
(金)
∼23日
(日)
会場名:東京国際フォーラム 他
会 長:自治医科大学 学長・東京大学 名誉教授 永井 良三 先生
第78回日本循環器学会学術集会
ランチョンセミナー53
新たな治療標的としてのHDL
―残余リスクの制圧を目指して
日時
2014年3月23日(日)
12:50∼13:40
会場
学会3日目
第13会場 東京国際フォーラム
ガラス棟6F G610
100-0005 東京都千代田区丸の内3丁目5番1号
座長
佐田 政隆
先生
徳島大学大学院 ヘルスバイオサイエンス研究部
循環器内科学 教授
演者
綾織 誠人
先生
防衛医科大学校 内科学講座
神経・抗加齢血管内科 指定講師
●ランチョンセミナーの参加にはセミナーチケット
(無料)
が必要です。
●第78回学術集会ホームページにて、学術集会プレレジストレーションを2月21日
(金)
17:00まで行います。
学術集会プレレジストレーション完了後に、共催セミナープレレジストレーションが可能です。
共催セミナープレレジストレーションは2月28日
(金)
17:00まで行います。
●開催当日も下記受付にてチケットの発行を行いますが、数に限りがございますのでご了承ください。
●チケットはセミナー開始5分後に無効となりますのでご注意ください。
●ランチョンセミナー当日受付
[場 所]
東京国際フォーラム内
(詳細は学会ホームページにてご確認ください)
[受付時間]
第3日目
(3月23日・日)
7:00∼12:20
共催:第78回日本循環器学会学術集会
あすか製薬株式会社/科研製薬株式会社
第78回
日本循環器学会
学術集会
ランチョンセミナー53
座長のことば
徳島大学大学院 ヘルスバイオサイエンス研究部 循環器内科学
佐田 政隆 先生
教授 近年、
スタチンを中心とした脂質異常症に対する多くの大規模臨床試験の結果、
心血管疾患リス
クを30%前後減少させることが証明されている。
残り70%の残余リスク制圧において、
Beyond LDL、
つまりはLDL以外のリスクに対する介入が求められている。
Beyond LDLとして注目される因子は、
脂質に限ってもHDL、
中性脂肪、
Small dense LDL、
酸化
LDL、
レムナント、
アポ蛋白、
Lipoprotein-associated phospholipase A2
(Lp-PLA2)
、
EPA/AA比
などが挙げられ、
中でもHDLは抗動脈硬化作用を有するリポ蛋白であり、
HDL-Cの低下は冠動脈疾
患の独立した危険因子であることから特に注目を集めている。HDL機能の代表には、
コレステロール
逆転送作用があるが、抗酸化作用、抗炎症作用など多面的機能を有することも明らかになってきて
いる。
本セミナーでは、防衛医科大学校神経・抗加齢血管内科の綾織誠人先生に低HDL-C血症およ
びHDL増加療法の最新知見について基礎・臨床の両面からご講演いただく。
新たな治療標的としてのHDL
―残余リスクの制圧を目指して
防衛医科大学校 内科学講座 神経・抗加齢血管内科
綾織 誠人
指定講師 スタチンによるLDL低下療法のエビデンスは十分確立されたものの、心血管イベントの抑制は約
30%に過ぎない。残余リスクの抑制を目指し、次の治療標的として高比重リポタンパク
(HDL)
が注目
される。HDLによる抗動脈硬化作用の主たる機序として、末梢組織(動脈硬化巣)
から余剰なコレ
ステロールを搬出・運搬し、
肝臓へと戻すコレステロール逆転送作用
(RCT)
が考えられている。
HDL増加/機能増強を介した治療戦略として現在最も期待されるのが、RCTを担う分子の一つ
であるコレステリルエステル転送タンパク
(CETP)阻害薬である。理論的にはCETP阻害により
RCTは抑制されるため、
その臨床効果に疑問を呈する考え方もある。事実、CETP阻害薬を使用し
た2つの大規模臨床試験はこれらの薬剤の冠動脈疾患予防効果を認めなかった。
また、特に欧米
で古くから脂質低下薬として使用されてきたナイアシンはHDLを増加させるにもかかわらず、心血管
疾患予防効果を有さないことが2つの介入研究により明らかにされた。
このようなHDL増加療法の
心血管疾患発症に対する効果に関する最新知見から、低HDLコレステロール
(HDL-C)血症は動
脈硬化の原因ではなくbystanderに過ぎないといった考え方がなされはじめている。
しかし、LDLと
異なりHDL-C濃度の制御はきわめて多彩な因子により行われているため介入点が多く存在する。
し
たがって上述の臨床試験の結果からHDLを標的とした治療戦略の創出を諦めるべきではない。事
実、
フィブラート系薬によるHDL-C増加効果を介し、
一部の患者群で心血管疾患発症を減少させる
可能性が指摘され、
われわれの検討でも患者血清によるマクロファージからのコレステロール搬出能
がフィブラート投与後に改善することが見いだされている。
本セミナーにおいては低HDL-C血症およびHDL増加療法の臨床知見をまとめるとともに、
コレス
テロール逆転送作用を代表とするHDL機能と動脈硬化形成との関連についての多くの基礎的・臨
床的検討から、量だけでなく質の改善に立脚したHDL機能増進療法の可能性について考えてみ
たい。
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