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[Q] LpX、LpY とは?
[Q] LpX、LpY とは? 胆汁うっ滞時に出現する LDL と同じ比重をもつ異常リポ蛋白です。 主な参考文献 低LDLコレステロールの考え方 杉内博幸(協和メデックス発行) ●解説 胆汁うっ滞があると,総コレステロール(TC)が異常高値で,リン脂質(PL),遊離コレステロール(FC)が増加した異常 リポ蛋白 Lp-X が観察されることがある。特徴としてγ-GTP、ALP が上昇するので両肝機能マーカーを確認すると良 い。Lp-X の出現メカニズムは,胆汁成分の血中への直接的な逆流が主な原因とする説 1) や HDL 由来説 2) などがあ り明確ではない。Lp-X は,寒天ゲル電気泳動で通常のリポ蛋白が陽極側に泳動されるのに対して,Lp-X は陰極側 に移動する特徴をもつことから,容易にその存在が確認できる。Lp-X,Lp-Y これらは正常では全く存在しないリポ蛋白 であり,化学組成も正常 LDL とは大きく異なり,胆汁うっ滞の指標にはなりうるが LDL-C として測定すべきではないと 考えられる。 また,肝不全患者で,トリグリセライド(TG),FC,PL が増加し,LDL 相当の比重(1.006<d<1.063)を持つ異常リポ蛋白 Lp-Y が出現することがある 3)。Lp-Y の出現メカニズムも Lp-X と同様明確ではないが,肝臓の蛋白合成低下や胆汁 成分の血中へ逆流が生じ,更にリポ蛋白代謝系の障害により生成されると推定される 4)。 LDL-C ホモジニアス法では,LpX, LpY に対して反応性が高い試薬と低い試薬が存在する。さらに,超遠心法では, LpX, LpY は LDL 分画に分離されるために LDL として捉えられてしまい,臨床現場に混乱を来している。 1)Manzato E, et. al: Formation of LP-X. its relationship to bile compounds. J Clin Invest 57: 1248. 1976 2)Hamilton RL, et. al: The liver, part A. (ed. By Becker, FF.), New York. Marcial Dekker Inc p53. 1974 3)Kostner GM. et. al: Investigation of the abnormal low-density lipoproteins occurring in patients with obstructive jaundice. Biochemical J 157: 401-407. 1976 4)千葉仁志: LDL-コレステロール直接法測定試薬の基本性能と食後高トリグリセライド血症および特殊検体に対す る信頼性の検討. 生物試料分析 21: 353-360. 1998