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計画の目的と位置づけ
資料2 計画の目的と位置づけ、及び上位・関連計画の動向 1 計画の目的と位置づけ (1) 計画の目的 尼崎市では、平成 13 年 3 月に住宅施策のあり方を示す「尼崎市住宅マスタープラン」 (平成 13 年度∼平成 22 年度)を策定し、住宅・住環境施策を展開してきた。また、同じく平成 13 年 に策定された、 「尼崎市第2次基本計画」においても、 「みんなが安心して暮らせるまちにする」 ため「住まいと生活環境の改善」を推進することが位置づけられており、そのための取り組み を進めているところである。 一方、我が国の住宅政策は、平成 18 年 6 月に施行された「住生活基本法」により、住宅建設 の「量」に視点をおいた計画体系から、国民の豊かな住生活の「質」の向上を目指す計画体系 に大きく転換した。この新しい計画体系では、国、行政の責務に加え、居住者、事業者の責務 が位置づけられ、多様な主体の連携のもと、ストック活用重視、市場重視の施策を推進するこ とが示されている。また、福祉やまちづくりなど関連する施策分野との総合的な連携、地域の 実情を踏まえたきめ細かな対応等も重視されている。 このような流れを踏まえ、これまでの住宅政策を引き継ぎつつ、住まい・まちづくりに係る 今日的課題だけではなく、尼崎市における住生活の目標像を実現するための基本目標の確認や 施策の再構築を図るため、 「尼崎市住宅マスタープラン」の見直しを行い、新たなマスタープラ ンを策定し、効果的な住宅施策の実現を図るものである。 (2)位置づけ 本マスタープランは、市の総合計画を上位計画とし、 「住生活基本法」に基づく新しい流れを 踏まえ、尼崎市における住宅・住環境政策の基本方向を示すものである。 あわせて、市民、行政、民間事業者やNPOなど、尼崎市の住まい・まちづくりに関わる様々 な主体が共有すべきビジョン(指針)として位置づける。 ■住宅マスタープランの位置づけ 住生活基本法 尼崎市総合計画 住生活基本計画 (全国計画) 住宅マスタープラン 兵庫県 住生活基本計画 市営住宅長寿命化計画 関連計画 ・都市計画 マスタープラン ・その他行政計画 (3)計画期間 本マスタープランの計画期間は、平成 23 年度を初年度とし、平成 32 年度を目標年次とした 概ね 10 年間の計画とする。 なお、社会情勢の変化などにより必要が生じた場合には、適宜見直しを行うものとする。 1 2 上位・関連計画の動向 (1)国の住宅政策 ■「住宅建設計画法」から「住生活基本法」への転換 これまで… 住宅建設計画法(S41 施行、H18.6 廃止) 住宅建設五箇年計画(S41(第1期)に始まり、第8期計画(H13∼17)で終了) ※5年ごとの公営・公庫・公団住宅の建設戸数目標を位置づけ ・ 住宅ストック量の充足 「量」から「質」へ ・ 本格的な少子高齢化と人口・世帯減少等 住生活基本法(H18.6 施行) 【基本理念】 住生活の 安定 の 確保及び 向 上の 促進に 関 する施策の推進 ①国民の住生活の基本となる良質な住宅を供給等 ②地域特性に応じた良好な居住環境を形成 ③民間事業者の能力の活用、既存の住宅の有効利用を図りつ つ、住宅購入者等の利益の擁護及び増進 ④低額所得者、高齢者等の居住の安定の確保 【責務】 国 ・ 地方公共団体 事業者 ・施策の策定・実施 ・国民の理解を深め、協力を得る努力(広報・教育等) ・住宅の安全性等の品質・性能の確保、情報提供 等 【関係者相互の連携及び協力等】 ・国、地方公共団体、公営住宅等供給者、住宅関連事業者、地域の福祉サービス事業者、 居住者等は、基本理念にのっとり、相互に連携協力。 【基本的施策】 ・住宅の品質・性能の維持・向上、住宅の管理の合理化・適正化 ・居住環境の維持・向上 ・住宅の取引の適正化、流通の円滑化のための環境整備 ・居住の安定の確保のための住宅供給促進等 (例:公営住宅、災害復興住宅、高齢者向けの賃貸住宅、子育て世帯向けの賃貸住宅等) 【住生活基本計画】 全国計画[閣議決定] ●施策の基本的方針 ●全国的見地からの目標、 目標達成のための基本的施策 ●政策評価の実施 など 都道府県計画[都道府県決定] ●域内の施策の基本的方針 ●地域特性に応じた目標、 目標達成のための基本的な施策 ●公営住宅の供給の目標量 など ◎目標については、「成果指標」を設定。 ◎10 年程度先を見通して目標を定め、おおむね5年ごとに見直しを行う。 2 ■住生活基本計画(全国計画) (H18.9 閣議決定(策定) 、H21.3 閣議決定(変更) ) 住生活基本法に基づき、国民の住生活の安定の確保及び向上の促進を、総合的かつ計画的に 推進するため、平成 18 年 9 月に閣議決定された。平成 18 年度から平成 27 年度の 10 年間を計 画期間としている。 その後、 平成 21 年 3 月に住宅ストックの質の向上に向けた取り組みとして、 長期優良住宅の普及の促進、リフォームの促進を緊急的活重点的に推進することが明記された。 基本的な方針として、住宅の位置づけと住生活安定向上施策の意義や豊かな住生活を実現す るための条件が示されるとともに、以下の4つの施策についての横断的視点が示されている。 横断的視点 ストック 重視 市場重視 福祉、まちづくり等関連 する施策分野との連携 地域の実情を踏まえ たきめ細かな対応 また、目標・成果指標・基本的な施策は以下の通り設定されている。また、目標の前提とし て「住宅性能水準」 「居住環境水準」 「居住面積水準(最低・誘導) 」が設定されている。 目標・成果指標・基本的な施策 目標 良質な住 宅ストッ クの形成 及び将来 世代への 承継 良好な居 住環境の 形成 国民の多 様な居住 ニーズが 適切に実 現される 住宅市場 の環境整 備 住宅の確 保に特に 配慮を要 する者の 居住の安 定の確保 基本的な施策 目標の達成状況を示す成果指標 ・耐震診断・耐震改修等の促進、建築規制の的確な 運用 ・ユニバーサルデザイン化の促進 ・省エネルギー性能など住宅の環境性能の向上 ・長寿命住宅の普及促進、適切な維持管理、リフォ ームの促進 ・マンションの計画的修繕の促進、老朽化したマン ションの再生促進 ・基盤整備と規制緩和の一体的推進による密集市街 地の整備 ・宅地耐震化対策、浸水対策、土砂災害対策等の推 ⑥重点密集市街地の整備率 進 ⑦地震時に危険な大規模盛土造 ・建築協定の活用等による良好な街並み・景観・緑 成地の箇所数 の維持・形成 ・都心居住・街なか居住の促進、ニュータウン再生 の支援 ・住宅性能表示制度の普及・充実、紛争処理の仕組 みの普及・充実既存住宅の合理的な価格査定の促 進など市場環境の整備 ⑧住宅性能表示の実施率(新築) ・長期固定型ローン等が安定的に供給される住宅金 ⑨既存住宅の流通シェア 融市場の整備 ⑩住宅の利活用期間 ・税制上の措置の活用等による無理ない負担での住 ⑪子育て世帯の誘導居住面積水 宅取得の支援 準達成率 ・持家の賃貸化の促進、二地域居住の情報提供、子 育て支援等 ・技術開発等の推進、地域材を活用した木造住宅生 産体制の整備 ・低額所得者等への公平かつ的確な公営住宅の供給 ・各種公的賃貸住宅の一体的運用や柔軟な利活用等 ⑫最低居住面積水準未満率 の推進 ⑬高齢者のいる住宅のバリアフ ・高齢者、障害者等への民間賃貸住宅に関する情報 リー化率 の提供 ・高齢者向け賃貸住宅の供給、公的住宅と福祉施設 の一体的整備 ①新耐震基準適合率 ②共同住宅共用部分のユニバー サルデザイン化率 ③省エネルギー対策率 ④リフォームの実施率 ⑤適正な修繕積立金を設定して いるマンションの割合 3 (参考)住生活基本法制定後の住宅政策に関わる法制度の施行・改正の状況 施行年月・名称 概 要 H19.7 住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促 進に関する法律(住宅セーフティネット法)(公 布・施行) y 民間賃貸住宅への円滑な入居の促進 y 公的賃貸住宅の供給の促進 等 H19.11 改正都市計画法(施行)〈H18.5 公布〉 y 準都市計画区域制度の拡充、都市計画区域等の区 域内における大規模集客施設の立地に係る規制 の見直し、開発許可制度の見直し 等 H20.4: 特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する 法律(住宅瑕疵担保履行法)(施行) 〈H19.5 公布〉 y 住宅瑕疵担保責任保険法人の指定や特別紛争処 理体制の整備 y 歴史的風致維持向上計画の認定制度の創設、都市 H20.11 地域における歴史的風致の維持及び向上に関す 計画における歴史的風致維持向上地区計画制度 る法律(歴史まちづくり法)(施行)〈H20.5 公布〉 の創設 等 H21.1 改正公営住宅法施行令(施行) 〈H19.12 公布〉 y 入居収入基準等の見直し y 家賃制度の見直し 等 H21.4 改正エネルギーの使用の合理化に関する法律(平 成 20 年度改正省エネルギー法)(施行)〈H20.5 公布〉 y 省エネ措置の維持保全状況に係る調査の制度化 H21.6 長期優良住宅の普及の促進に関する法律(施行) 〈H20.12 公布〉 y 長期優良住宅の認定制度及び認定に係る住宅の 性能表示による流通促進制度の創設等 H21.8 改正高齢者の居住の安定の確保に関する法律(高 齢者住まい法)(施行)〈H21.5 公布〉 y 基本方針の策定 y 都道府県が定める高齢者の居住の安定の確保に 関する計画制度の創設 H21.10 y 新築住宅の売主等に対しての瑕疵担保責任を履 特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する 行するための資力確保の義務付け 法律(住宅瑕疵担保履行法)(施行)〈H19.5 公布〉 H22.4 改正エネルギーの使用の合理化に関する法律(平 成 20 年度改正省エネルギー法)(施行) 〈H20.5 公布〉 y 中小規模の建築物の省エネ措置の届け出を義務 づけ H22.5 改正高齢者の居住の安定の確保に関する法律(高 齢者住まい法)(施行) 〈H21.5 公布〉 y 高円賃・高専賃の制度改善(登録基準の設定等) y 高齢者居宅生活支援施設と一体となった高優賃 の供給促進 H23 年度(予定) 改正公営住宅法 y 住宅や施設の整備基準、同居親族要件の廃止、入 居収入基準等について事業主体による条例化を 可能とする 4 (2)兵庫県の関連計画 ■兵庫県住生活基本計画(H19.3) 目標(目指すべき住まい像)として、次の3点をかかげている。 y 安全・安心に暮らせる住まいづくり y 地域で愛着を持って元気に暮らせる住まいづくり y ライフスタイルに合わせて選択できる快適な住まいづくり これらの3つの目標の実現に向けて、今後 5 年間に重点的に推進する 7 つの戦略と、それを 達成するための 10 の重点プログラムが設定されている。 10 の重点プログラム 7 つの戦略(考え方) 1 住まいの信頼度 UP 戦略 y 住まいの信頼度を向上させるため、災害時の被害軽減、高齢者の 在宅生活の質の向上、住宅・住宅地の防犯性の向上などにより、 「災 害時の安全・安心」「高齢期の安全・安心」「犯罪に対する安全・ 安心」を実現 住宅の耐震性能確保向上 プログラム 住宅のバリアフリー化プ ログラム 防犯に配慮した住宅・住宅 地整備促進プログラム 2 多様な住宅困窮者の居住安定戦略 y 多様な住宅困窮者の居住水準の向上と居住安定のため、公的賃貸 住宅のみならず、民間住宅市場全体での取組みやコミュニティ形 成の支援、並びに福祉施策との連携の推進を実現 多様な住宅困窮者の居住 安定プログラム 3 ひょうごの「地場産」住まいづくり戦略 y 兵庫県産品の活用による地域に根ざした住まいづくりとともに、 地域の住宅関連産業の活性化と地域環境の改善を実現 ひょうごの「地場産」を使 った住まいづくりプログ ラム 4 環境にやさしい住まいづくり戦略 y 自然エネルギーの活用など環境にやさしい住まいづくりを進め、 循環型社会を実現 環境共生型住宅促進プロ グラム 5 美しく快適な住まいづくり戦略 y 「快適空間」を創造し、優れた景観形成に資する美しく快適な住 まいづくりを実現 ひょうごの快適空間創造 プログラム 6 今ある住まい元気 UP 戦略(リフォーム促進と中古住宅市場の活性化) y 住宅リフォームによる、住宅品質、居住水準の向上、住環境の維 持 y 「住宅性能」 「世帯構成」 「地域特性」 「ライフスタイル」などの様々 なミスマッチの解消のための住替えの促進を目指し、中古住宅市 場の活性化を実現 7 今ある住まいリフォーム 促進プログラム 今ある住まい流通促進プ ログラム(中古住宅市場活 性化) 地域元気 UP 住まいづくり戦略(各地域の特性や課題に対する住まい づくり施策) y 多様な特性を持つ兵庫県内の各地域における、住宅・住環境に関 する課題に対応する県、市町、事業者及び NPO 等とのパートナ ーシップによる取組みにより、地域全体の活力の向上を実現 5 元気な地域づくりプログ ラム (3)尼崎市の上位・関連計画 ■尼崎市第2次基本計画(H12.2) 総論において、基本計画で重視する6つの視点、計画推進における3つの基本姿勢が示され ている。 <基本計画で重視する6つの視点> ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ <計画推進の3つの基本姿勢> 生活の質的向上をめざす 個性・主体性の重視する 協働・連携のまちづくりを進める 循環型社会の形成と自然との共生をめざす 地域経済の活性化をめざす 地域資源と市民活動に着目し、都市魅力を高める ① 市民・事業者と行政との協働 による推進 ② 時代変化に対応した柔軟な推 進 ③ 効果的・効率的な計画の推進 各論では、6つの取り組み目標が示されており、そのうち「みんなが安心して暮らせるまち にする」ための「住まいと生活環境の改善」に関する基本方針として、以下の6点が示されて いる。 y 経済情勢や住宅市場動向を踏まえ、民間と公共の役割分担のあり方も含めて住宅政策の再構 築に取り組む。 y 中堅ファミリー世帯の動向を踏まえつつ、定住促進策を進める。 y 市営住宅は、既存ストックの有効活用を図り、多様なニーズへの対応に努める y 市民や地域の事業者が主体的なまちづくり、すまいづくりに取り組みやすい条件の整備に努 めるとともに、地域の発意と主体による区画整理などの住環境等の基盤整備は事業の可能性、 効果等を充分に勘案した上で対応する。 y 地域の状況等を踏まえつつ、震災復興事業を推進する。 y 住まいが健康に及ぼす影響を防止するなど、快適で健康的な居住環境の確保に向けた対応に 努める ■尼崎市総合計画審議会中間答申∼尼崎市における総合計画のあり方について∼(H22.5) 尼崎市総合計画審議会が市長の諮問を受け、具体的な計画策定に先立ち、 「尼崎市における総 合計画のあり方」を中間答申としてまとめている。この中で、社会潮流を踏まえた今後のまち づくりにおける課題認識、総合計画策定に当たっての基本的な考え方、新たな総合計計画が備 えるべき要件が示されている。 <社会潮流を踏まえた今後のまちづくりにおける課題認識> y 人口減少、少子高齢社会の進行による市民生活や都市活動への影響 y 社会経済情勢の変動による影響 y 地球環境問題の顕在化による影響 y 情報社会の進展 6 y 地方分権の進展と地域主体のまちづくり y 税財政制度への対応(地方財政の逼迫) y 社会基盤等の維持・更新 <総合計画策定に当たっての基本的な考え方> ①将来像に向けたまちづくりの理念の明確化とそれに基づく施策の重点化を図る ②各主体とビジョンを共有し、ともにまちづくりを進めていくための計画とする ③今後の財政収支見通しを十分考慮し、行財政改革を組み込んだ計画とする <新たな総合計画が備えるべき要件> ①時代の変化へ対応するために、計画の期間と構成を再検討する ②ビジョンを共有し、役割分担ができる計画とする ③計画を推進するマネジメントの仕組みを構築する ④市民に分かりやすく、職員にとって使いやすい計画とする ■尼崎市都市計画マスタープラン(H9.5) 本計画は、尼崎市の都市計画における将来ビジョンや方針を、市民参加のもとに、わかりや すく明らかにすることを目的として、 「都市計画における基本的な方針」を策定している。 まちづくりの理念として、 「市、市民、事業者が一体となり、市民、勤労者、来訪者などの様々 な人びとの営みと活動を支える都市機能を市域全体に適切に配置し、その役割を最大限に発揮 させることによって、安全で快適なゆとりある都市空間を構築していく」ことが示されている。 住宅地に関する土地利用の整備方針は以下のとおりである。 y 専用住宅地は中低層住宅を主とし、良好な住環境を保全する。住環境が阻害 されている老朽住宅密集地区などにおいては、地域特性に配慮しながら、土 専用住宅地 地の高度利用を含めた有効な土地活用に努めるとともに、住環境改善のため の面的整備事業などの推進にあわせ、住環境の向上に寄与する公共施設やオ ープンスペースを整備していく。また、良好なまちなみに寄与できる都市型 住宅の立地を誘導していく。 y 複合住宅地においては、土地の高度利用と住環境の改善を基本とし、住環境 と生産環境・商業環境との共生を図り、住宅が商業施設、事務所、工場など と共存する、職住近接の中高層住宅地として整備する。また、住宅と商業・ 業務施設との複合化や共同化などを進める。 y 古く狭い住宅などが集合して住環境が阻害されている地区については、密集 複合住宅地 住宅市街地整備促進事業や優良建築物整備促進事業、特定優良賃貸住宅促進 事業などの活用による良質な建物への建替を促進しながら、地区計画制度や 総合設計制度などの活用による街区単位でのまちづくりによる共同・協調建 替の取組を推進していくなかで、住環境の向上を図る。 y また、住環境と生産環境が阻害しあっている住工混在地においては、用途の 純化を基本としつつ、工場の環境改善を図り、可能な限り街区単位で住工の 分離を図る。 7 住宅地整備の方針は以下のとおりである。 ○都市基盤施設整備による住環境の改善 住環境が阻害されている地域においては、道路や公園緑地などの整備を進め るとともに、市街地再開発事業や住環境整備事業などの面的整備事業によっ て、都市基盤施設を整備し、住環境の改善を図る。 住環境の改善と保 全 ○老朽住宅密集地域の住環境の改善 老朽住宅などが密集する地域については、密集住宅市街地整備促進事業など によって、都市基盤施設を整備するとともに、良質な住宅への建て替えや共 同・協調化を誘導・支援するなど、総合的な取組を行い、防災環境と住環境の 改善を図る。 ○良好な住環境の保全 良好な住宅地は、市民自らのまちづくりという視点に立ち、地区計画などに よって、宅地の細分化や共同住宅の無秩序な混在を抑制し、良好な住環境の保 全を図る。また、地区計画などによる地区住民の主体的なまちづくりに対して は、専門家を派遣するなど、積極的に支援する ○被災住宅地の整備 兵庫県南部地震によって被災した一団の住宅地においては、被災住民が定住 できるよう、各種市街地整備事業により、都市基盤の整備にあわせて、安全で 安心して暮らせる良質な住宅の供給に努め、災害に強いまちづくりを進める。 良質な住宅の供給 ○良質な民間住宅の建設・誘導 市街地に残っている低・未利用地や宅地化農地の活用を進め、良質住宅の供 給の促進が図れるよう支援しつつ、民間住宅の誘導を図る。 ○多様な居住ニーズに対応した住宅供給 中堅ファミリー層向け住宅や高齢者が暮らしやすい住宅など、多様な居住ニ ーズに対応した住宅を供給するため、良質な民間住宅の建設を誘導するほか、 居住水準の向上および低所得層への住宅供給を行うため、公団・公社住宅の建 設を促進し、公営住宅の更新などを進める。 ■尼崎市内陸部工業地の土地利用誘導指針(H18) 本指針は、工業地域及び準工業地域内における土地利用の誘導方向と方途を示すことにより、 「都市計画に関する基本的な方針」に基づく具体的な都市計画を定める際の基本的な考え方と して策定したものである。 策定に当たって、まず、工業地域・準工業地域の別に、幹線道路や鉄道等で囲まれた一定の 区域に細区分し、各地区における土地利用の状況や動向をもとに、 y 工業保全ゾーン:工場が集積し、今後とも工業地として保全する地区 y 大規模工場立地ゾーン:工業保全ゾーンの中でも広大な敷地を有する工場及びそれらが一 団なった地区 y 工業複合ゾーン:工業地と住宅地等が混在し、今後、共存又は分離を目指す地区 の3つに区分し、その区分ごとに、地区の状況の例示とともに土地利用誘導にあたっての基 本的な考え方(土地利用誘導指針)を示している。 8 <土地利用誘導指針> ゾーン区分 地区の状況の例 土地利用誘導の方向 ○工場の周辺に住宅等が立地している 操業環境の保全を基本とし、地区の が少数であり、土地利用にも変化が見 状況にも留意して、次のような建築規 工業保全ゾーン・ られない地区 制により土地利用の誘導を図る。 大規模工場立地ゾ ○新たな共同住宅等の立地があるもの ○操業環境を阻害する新たな住宅や店 ーン の緩衝緑地帯の設置などにより工場 舗等の建築物を規制 の操業環境との調和が図られている ○既存住宅との調和を図るため、住環 (原則、住宅系土 地区 境阻害を増大させる建築物を規制 地 利 用 比 率 が ○その地区の立地性などからみて、住 20 % 以 下 の 地 宅系土地利用が適切でない地区 ○単独または一団の工業系の建築物に よって構成される地区(大規模工場立 地ゾーン) 区) ○古くからの混在地として、土地利用 にあまり変化が見られない地区 ○工業系土地利用から住宅系など他用 途への土地利用転換が進む地区 工業複合ゾーン 多様な市街地形態を有しているこ とから、既存工業施設の操業環境の保 全を基本としつつ、住環境にも配慮し て、各地区の特性に合った建築規制に より土地利用の誘導を図る。 ○商業・業務系の建築物が混在する地 ○工業系土地利用の比率が高い地域につ 区 いては、新たな住宅等の建築物を規制 (原則、住宅系土 ○住宅系土地利用への転換が進む地区に ついては、建物の高さ等の形態規制や 住環境に影響を及ぼす建築物を規制 地利用比率が 20%を超える地 ○工場と住宅がそれぞれ相当数立地する 地区については、操業環境、住環境の 共存を図るため、建築物の外壁後退や 構造に係る規制 区) ○駅周辺や幹線道路沿道の交通至便な地 区については、商業系の建築物を許容 達成の方途として、次の2点が示されている。 ○ 各地域の土地利用誘導の内容については、この誘導指針の考え方のもとに、関係者の 理解を得ながら、用途地域制度並びに同制度の補完制度である特別用途地区制度や地区 計画制度を活用し、具体化を図る。 ○ 個々の建築行為を誘導する「尼崎市住環境整備条例」や「尼崎市商業立地ガイドライ ン」などの既定の制度との連携手続を検討する。 ■尼崎市都市美形成基本計画(S60) 本計画は、昭和 59 年に公布された尼崎市都市美形成条例に基づき策定されており、都市美形 成を総合的かつ計画的に進めるための基本となる計画である。 「誇りと愛着と活力のある美しい まち」を実現するため、 「顔のあるまち」 「表情ゆたかなまち」 「賑わいのあるまち」の3つの基 9 本目標を掲げている。 (平成 21 年 4 月に中核市に移行し、景観法による景観行政団体となったことから、今後、一 層実効性のある都市美行政を展開するために、これまでの都市美形成基本計画をベースに、景 観法に基づく景観計画として必要な事項を定めた「都市美形成計画」を策定する(平成 24 年 4 月施行予定) 。) ■尼崎市高齢者福祉計画・介護保険事業計画(H21.1) 本計画は、老人福祉法第 20 条の 8 に規定する老人福祉計画、及び介護保険法第 117 条に規定 する介護保険事業計画で構成している。また、地域における公的介護施設等の計画的な整備等 の促進に関する法律に基づく市町村整備計画、及び健康増進法に基づく健康増進事業の内容を 含んでいる。平成 21∼23 年度を計画期間とし、今後の高齢者を取り巻く社会環境の大きな変化 に総合的に対応し、高齢者の保健福祉施策と介護保険事業を円滑に進めていくための取り組み をとりまとめている。 「高齢者が尊厳を持ちながら、安心して多様な暮らし方を選択できる地域社会の構築」を基 本理念に掲げ、6 つの個別目標を設定している。そのうち、 「高齢者が安心して自立した生活を 送ることができる、まちづくりを推進」では、高齢者が安心して自立した生活を送ることがで きるよう、安全性、快適性、利便性等に配慮したまちづくりを推進することや、高齢者が安心 して外出し、社会参加ができるよう、ハード・ソフトの両面にわたりユニバーサルデザイン化 やバリアフリー化を図り、すべての市民にとって快適で住みやすいまちづくりを推進する、と している。 ■尼崎市障害者計画・障害福祉計画(第2期) (H22.3) 本計画は、障害者基本法第 9 条第 3 項に基づく市町村障害者計画と、障害者自立支援法第 88 条第 1 項に基づく市町村障害福祉計画とを一体的に策定したものであり、尼崎市における障害者施策全 般に関する基本的な計画として位置づけられる(計画期間:H21∼26 までの 6 年間) 。障害者自立 支援法に基づき障害者及び障害児が、自立した日常生活または社会生活を営むことができるよ う、必要な障害福祉サービスや地域生活支援事業の必要な量の見込みや必要となる施策等をま とめている。 基本理念として、 「∼誰もが豊かに、自立して暮らせる支え合いの共生社会∼」を掲げ、重点 課題として、①誰もが気軽に相談できる環境づくり、②身近な地域で生活できる環境づくり、 ③生きがいを持って自立して生活できる環境づくり、の 3 点が示されている。 また、9 つの計画の推進項目のうち「生活環境・移動・交通」では、具体的な施策として、① 住宅環境の整備(住宅のバリアフリー化の促進、障害のある人の居住の安定の確保、グループ ホーム等の改修)、②生活環境のユニバーサル化、③移動環境の整備、④防犯・防災体制の充実 が挙げられている。 ■わいわいキッズプランあまがさき(尼崎市次世代育成支援対策推進行動計画【後期計画】 (H22.3) 本計画は、次世代育成支援対策推進法第8 条の規定に基づく市町村行動計画であると同時に、 10 尼崎市子どもの育ち支援条例第12 条の規定に基づく推進計画として位置付けられている。次代 の社会を担う子どもが健やかに生まれ、かつ育成される社会環境の整備を図ることを目的とし、 計画期間(H22∼H26)中に市が進めていく子どもに関する施策の目標や内容、推進方法等を明 らかにしている。 基本理念として、 「子どもの笑顔が輝くまち いる。そのうちのひとつ「目標5 あまがさき」を掲げ、5つの基本目標を定めて 子どもがのびのびと育つ生活環境づくり」では、具体的な 施策として、①良質な住まいと住環境の整備、②子どもにやさしい生活環境づくりの 2 つのテ ーマがあげられている。 ①良質な住まいと住環境の整備では、賃貸住宅に関して、特定優良賃貸住宅への家賃補助や 情報提供などにより、適正な家賃で快適な住生活を確保できるように支援することや、中堅所 得者層の居住水準の向上と市内定住の促進を図るとしている。 また、市外転出者のうちファミリー層の占める割合が比較的高く、住宅取得に伴う負担軽減 支援や立地誘導方策の検討が必要なことから、経済的支援策を実施することなどにより、子育 て世帯を含むファミリー層の居住水準の向上と市内定住の促進を図るとしている。 ■尼崎市耐震改修促進計画(H21.2) 本計画は、耐震改修促進法第5条第7項の規定に基づき、国の基本方針(H18.1 国土交通省告 示「建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るための基本的な方針」)及び「兵庫県耐震改修 促進計画」 (H19.3)を勘案し、「尼崎市地域防災計画」と整合を図り策定している。 尼崎市における住宅・建築物の耐震化を促進するための計画として位置づけられ、市民の自 己予防意識の高揚を図り、所有者自らによる旧耐震基準建築物の耐震化を計画的に促進するた め、市内の住宅・建築物の耐震化率の目標を定めるとともに、耐震診断及び耐震改修への支援 策や、地震ハザードマップの公表等の意識啓発及び知識の普及、関係団体との連携に関する事 項などを盛り込んでいる。 住宅の耐震化率については、現況の83%を平成27 年度に97%に、また、多数の者が利用する 建築物の耐震化率については、現況の61%を平成27年度に90%とすることを目指している。 11