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世界金融危機の検証
サブプライム・ローン問題 → リーマンショック → そして・・・
日興シティグループ証券株式会社
那珂 通雅
常務執行役員
市場営業本部長
2009年6月25日
Strictly Private and Confidential
Jun-09
May-09
Apr-09
Mar-09
Feb-09
Jan-09
Dec-08
Nov-08
Oct-08
Sep-08
Aug-08
Jul-08
Jun-08
May-08
Apr-08
Mar-08
Feb-08
Jan-08
Dec-07
Nov-07
Oct-07
Sep-07
Aug-07
Jul-07
Jun-07
May-07
Apr-07
Mar-07
8,000
ダウ30種
8,000
米国金融機関 社
10
公的資金返済発表
シティ・ JPM
の好業績発表
オバマ政権の具体的
施策の出遅
オバマ新政権誕生
アイスランド大手 行3、カウ
プシング、ランズバンキ、グ
リトニル銀行 公的管理下
ファニーメイ、フレディー
マック、公的管理下へ
リーマン破綻
、公的管理下へ
AIG
によるベアスターンズ
JPM
の救済買収
英ノーザンロックの
一時国有化
パリバによる複数のファン
ドの運営凍結
が資金調達難
複数の SIV
出所:Bloomberg
Feb-07
Jan-07
株価の推移-日経平均およびダウ平均
サブプライム問題に端を発した過去2年の金融危機も漸く底打ちか?
20,000
20,000
18,000
18,000
16,000
16,000
14,000
14,000
12,000
12,000
10,000
10,000
日経平均
6,000
6,000
4,000
4,000
Too Big to Failの神話崩壊
AIGの国有化、JPモルガンによるBear Stearns の買収、Bank of America による Merrill Lynch の買収など大手金融機関の再編も
出所:ISDA
国有化/破綻企業
業種
国有化発表日/破綻日
国
イベント
Freddie Mac
金融
2008年9月7日
米国
国有化
Fannie Mae
金融
2008年9月7日
米国
国有化
Lehman Brothers
金融
2008年9月15日
米国
破綻
Washington Mutual
金融
2008年9月27日
米国
破綻
Landsbanki
金融
2008年10月7日
アイスランド
国有化
Glitnir
金融
2008年10月7日
アイスランド
国有化
Kaupthing Bank
金融
2008年10月9日
アイスランド
国有化
Tribune Company
新聞・メディア
2008年12月8日
米国
破綻
Republic of Ecuador
国
2008年12月15日
エクアドル
破綻
Chrysler
自動車
2009年4月30日
米国
破綻
General Motors
自動車
2009年6月1日
米国
破綻
証券化市場の隆盛~崩壊
2007年の前半までは右肩上がり、7月以降は急激にスローダウン
y 2003年以降の世界的低金利によるクレジット商品投資の活発化
y 格付依存による利回りの追求
y 複雑な証券化商品のコモディティ化(一般化)
($700bln 約70兆円)
出所:Thomson Reuters
米国における四半期毎の住宅関連ABS、MBS、CDOの発行実績
サブプライム・ローン ①サブプライム・ローンとは?
米国の住宅ローンはいくつかの条件を基に以下のように分類されている
米国における住宅ローン分類
プライム
JUMBO
信用力の高いプライム債務者向けローン
ノンプライム
Alt-A
信用履歴は強いが、必要提出書類や職業条件など
他の基準を満たしていない債務者向けローン
サブプライム
HEL
ホーム・エクイティローン
信用履歴の弱い債務者向けローン
2006年に融資された住宅ローンは約2.5兆ドル(約250兆円)
うち、約1.9兆ドル(76%)はMBS (Mortgaged Backed Securities)として証券化
MBSの約25%はサブプライム・ローンが裏付債権
出所:Citigroup Global Markets Inc.
サブプライム・ローン ②サブプライム・ローンの典型的な借り手
サブプライム・ローンの借り手は必ずしも超低所得層というわけではない
サブプライム・ローンの借り手
年齢
43歳
通貨
月収
US$ 5,780(全米中央値 US$4,600)
物件所有年数
7年
在職期間
8年
現職種に従事した期間
11年
物件タイプ
一戸建て 単世帯住宅
建築年
1960年
床面積
約160㎡
(1,713平方フィート)
ベッドルームの数
3.3
バスルームの数
1.8
物件の価値
US$ 215,000(全米中央値US$ 219,000)
出所:Citigroup Global Markets Inc.
サブプライム・ローン ③サブプライム・ローンの典型的な条件
当初3年は条件が良さそうに見えるローンの条件ではあるが・・・
借入金額
25万ドル(約 2,500万円)
通貨
借入年限
30年
当初3年間支払金額
毎月 625ドル(約 62,000円) 金利のみ返済
以降27年間支払金額
毎月 1,885.70ドル(約 180,000円) 元本+金利の返済
月々の返済金額
$2,000
住宅ローン借入れの前提
$1,800
住宅価格は上昇し続ける
37ヵ月目からいきなり返済金額が3倍!!
$1,600
$1,400
$1,200
$625
$1885.70
返済金額増額直前に現在の住宅を売却
$1,000
売却代金でローンを返済
$800
$600
$400
また当初3年低金利のローンで住宅を購入
$200
$0
出所:Citigroup Global Markets Inc.
37ヵ月後~
債権の発生から証券化までの流れ RMBS、MBS(一次証券化)
抵当権
ローン申込み
購入
銀行 / 住宅融資専門会社
融資
個人
ローン
売却
SPC
(特別目的会社)
住宅ローン①
住宅ローン②
AAA
低リスク低リターン
投資家
元本/金利
証券会社
証券会社
AA
ストラクチャリング
A
BBB
住宅ローンX
エクイティ
投資
RMBS、MBS から再証券化 (ABS CDO)までの流れ(二次証券化)
RMBS①
ABS CDO
SPC
(特別目的会社)
RMBS②
RMBS ①
RMBS ②
投資家
(銀行、生損保、年金、
ヘッジファンド、SIV)
AAA
低リスク低リターン
元本/金利
AA
A
ストラクチャリング
BBB
RMBS③
RMBS X
エクイティ
投資
AAA、AA、A、BBBとは?
何となくAAAが一番良さそうな・・・、でもどのようにしてAAAやBBBといった格付けが付与されるのでしょうか?
国 の格付(自国通貨建て)
AAA
SPC(特別目的会社)
y S&PやMoody’s といった格付機関は独
自の格付手法に基づき国、企業、国債、
社債、証券化商品などに格付けする。
AAA
RMBS ①
AAA
AA
AA+
RMBS ②
AA
A+
A+
A
BBB+
BBB
BBB+
RMBS X
出所:Standard & Poor’s
エクイティ
y 国や企業においては、負債比率などの財
務状況や今後の収益の見通しなどを計
算し、また破産する可能性や債務返済能
力における信用力がどれほどのものかな
どを勘案し格付けを付与する。
y 証券化商品においては担保資産の質や
各証券化商品の構造を勘案し、各格付機
関が想定している諸条件下におけるスト
レステストを課した上で、基準値を満たし
ていれば目標とする格付けを付与してい
る。
負のスパイラル
一旦歯車が狂いだすと修正が効かなくなり、全てが悪循環へと変わり・・・
平常時(当初予定)
現在
サブプライム
ローン
月々の返済の滞りない支払
月々の返済の遅延/破産
RMBS
利金の支払
利金支払不履行/元本毀損
ABS CDO
利金の支払
利金支払不履行/元本毀損
ABS CDO
投資家
利金の受取
利金受取不足/投資元本毀損
負のスパイラル
予定していた利金が支払われなかったり投資元本が毀損し始めた
抵当権
ローン申込み
購入
銀行 / 住宅融資専門会社
融資
個人
ローン
売却
SPC
(特別目的会社)
住宅ローン①
住宅ローン②
RMBS①
住宅ローン①
AAA
住宅ローン②
AAA
ABS CDO
低リスク低リターン
AA
A
証券会社
証券会社
BBB
AA
ストラクチャリング
住宅ローンX
SPC
(特別目的会社)
エクイティ
A
RMBS②
BBB
住宅ローンX
エクイティ
RMBS ①
AAA
住宅ローン①
住宅ローン②
RMBS ②
AAA
投資家
低リスク低リターン
元本/金利
AA
AA
A
BBB
住宅ローンX
エクイティ
A
ストラクチャリング
BBB
RMBS③
RMBS X
住宅ローン①
住宅ローン②
AAA
AA
A
BBB
住宅ローンX
エクイティ
エクイティ
投資
ABS CDO の現状
ほとんどのABS CDOは壊滅状態。AAAの投資家でさえ元本の大半が毀損した、或いは毀損する見込みである
ABS CDO
SPC
(特別目的会社)
RMBS ①
RMBS ②
y
ABS CDOのほとんどはデフォルト状態
y
現在340件、総額3,300億ドル(約33兆円)のABS CDOが
デフォルト
y
AAA
低リスク低リターン
投資家
(銀行、生損保、年金、 y
ヘッジファンド、SIV)
y
AA
BBB
RMBS X
エクイティ
今後、残りの2,185億ドルのRMBSなどが市場で売却され
る見込み
元本/金利
A
うち、1,124億ドル(約11兆円)のABS CDOが清算済み
ABS CDOのAAA債券を保有していた投資家も元本が毀損
し甚大な被害を受けた
y
投資家は、世界中の銀行、生損保、SIV、ヘッジファンドなど
y
銀行、生損保、年金などはSIVやヘッジファンドを通じて
ABS CDO に投資していたために被害を受けた者もいる
サブプライム問題~リーマンショックが市場全体に与えた影響
サブプライム問題から徐々に市場環境は悪化し始め、2008年9月のリーマン破綻を境に、市場は100年に1度の大混乱へ
15,000
300
14,000
250
13,000
12,000
200
11,000
150
10,000
ダウ工業30種
CDX IG
9,000
100
8,000
英国ノーザンロック国有化
50
JPモルガンによるベアスターンズ買収
7,000
サブプライム問題の表面化
リーマンショック
サブプライム
問題
市場価格下落
損失拡大
金融不安
資金調達難
国有化
救済買収
信用不安
リーマン破綻
Too Big to Fail
神話崩壊
公的資金注入拒否
出所:Bloomberg
Jun-09
May-09
Apr-09
Mar-09
Feb-09
Jan-09
Dec-08
Nov-08
Oct-08
Sep-08
Aug-08
Jul-08
Jun-08
May-08
Apr-08
Mar-08
Feb-08
Jan-08
Dec-07
Nov-07
Oct-07
Sep-07
Aug-07
Jul-07
Jun-07
May-07
Apr-07
Mar-07
Feb-07
0
Jan-07
6,000
市場大混乱
金融機能マヒ
公的資金
証券化商品の問題点 - 例:住宅ローンの証券化
原因はひとつではない・・・
y 住宅ローンの借り手(個人)
– 返済能力の低い個人が、ローンを組めるからということで、収入相応以上の価格の住宅を購入していた
y 住宅ローンの貸し手(住宅融資専門会社/銀行)
– 従来の審査基準では到底融資しない個人に対しても、証券会社がローンを買い取ってくれていたため、
融資していた
y 証券会社(RMBS、MBSなど一次証券化や、更なる証券化商品である二次証券化商品の組成)
– 個別のローンや証券化商品のリスクを精査せず、格付けや指数化された値を基に二次証券化商品を組
成していた
y 格付機関(一次証券化商品や、二次証券化商品への格付け付与)
– 格付けを付与する際に案件に課すストレステストの想定条件が甘かった
y 証券化商品の買い手(機関投資家、SIV、ヘッジファンド)
– 案件ごとのリスクを精査せず、格付けに依拠した投資をしていた
– 市場がヘッジファンドに対し、レバレッジを容易に提供していたため、ヘッジファンドが巨額の投資をして
いた
– そのヘッジファンドに対して機関投資家が投資していた
内国歳入庁通達230号に関する開示:シティグループ・インク及びその関係会社は、税務又は法律に関する助言を提供しておりません。本資料に含まれる税務に関する内容は、(i)貴社の追徴課税回避を目的として、若しくはかかる
目的に使用されることを意図して記載されておらず、かつ、貴社において租税回避目的で使用若しくは依拠することが出来るものではなく、また( ii)本資料記載の案件(以下「本案件」という)の「プロモーションおよびマーケ
ティング」の一環として記載されたものであることがあります。従いまして、独立した税務の専門家から、貴社の状況に応じた助言をお受け下さい。
本案件に関する情報及び諸条件は、協議の対象として提示されているにとどまり、本案件に関して別途作成される最終的な契約書類に規定される確定条件に従うものとします。本プレゼンテーション資料は、弊社による本案件への参
画、又は第三者による参画に向けた弊社のアレンジメントの約束、ならびにそのような約束の準備、交渉、若しくは実現に関する合意となるものではありません。弊社は、いかなる場合であっても貴社との信任・委任関係に立つもの
ではありません。貴社は、本プレゼンテーション資料の受領をもって本案件の存在及び諸条件(本案件に関する具体的なプライシング情報及び本案件に関連して弊社又は第三者に支払われる報酬に関する情報を含むがこれに限られな
い。)の機密性を保持することに合意します。本プレゼンテーション資料の他の規定にかかわらず、本案件に関する協議の開始より後、本案件の如何なる参加者も本案件に関する米国税務上の取扱い及び仕組みを開示することを制限
されません。
貴社は本案件の実行に先立ち、弊社又は弊社の関係会社に依拠することなく、本案件の経済的リスクとメリット、ならびに法的・税務上・会計上の特性及び影響を検証し、貴社がかかるリスク等に耐えうるかを独自に判断しなければな
りません。この点、貴社は、本資料の受領をもって以下の点について認識している旨を確認します。(a)弊社が法務・税務・会計に関する助言を与えることをその業務としていないこと(及び貴社がそのような助言を弊社に求めない
こと)、(b)本案件につき、法律・税務・会計上のリスクが存在する可能性があること、(c)貴社が独自に法務・税務・会計に関する適切な助言を別途専門家より受け、且つ、当該助言に依拠すべきこと、及び(d)貴社が貴社の経営
陣に対して、本案件に関する法務・税務・会計に関する助言(及び本案件に関連するあらゆるリスク)、ならびにかかる事項に関して弊社が責任を負わないことを知らせるべきこと。
弊社は、弊社と取引を頂くお客様の本人確認のために情報の取得、照合及び記録を義務付けられています。従いまして、貴社の正式名称、住所、納税者番号を始めとして、確認のために登記簿謄本その他の各種書類又は証明書をご提
出頂くことがあります。
本資料中の価格又はレベルは当初の仮の条件として提示させていただくものであり、買値または売値となるものではありません。 かかる仮条件は、あくまでも貴社の便宜・参考のためにご用意させていただいたものであり、事前に
通知することなく適宜変更され得る性質のものであり、いかなる商品の購入又は販売に関する勧誘をも目的にしたものではないことにご留意下さい。本プレゼンテーション資料に含まれる情報は、その実現が不確定な将来の潜在的な
事由を表象する数量モデルからの分析結果を含む場合があり、商品を代表するすべての重要な事実の完全な分析ではありません。本プレゼンテーション資料に含まれる予想は、現時点での弊社の判断によるものですが、通知なしに変
更される場合があります。弊社や弊社の関係会社では、他の顧客のため及び自己勘定においてこれらの商品のマーケット・メイクを行なう場合があり、従いまして、かかる商品につき適宜ポジションを有することがあります。
本資料には、シティまたは日興シティグループ証券株式会社(以下「NCL」という)のコーポレート・ボンド・リサーチ、債券ストラテジー又は経済・市場調査グループが公表した情報が含まれている場合がありますが、シティ及び
NCLのポリシーでは、(i)従業員が、直接又は間接に、取引又は報酬の対価又は誘引として、肯定的若しくは否定的なリサーチオピニオンを示し、又はオピニオンの変更を申し出ること、及び(ii)リサーチレポートに記載される特
定の推奨又は見解に対してアナリストが報酬を受け取ることを禁じております。かかる利益の相反の可能性を低くするため、または利益の相反と見なされる機会を少なくするため、シティ及びNCLは、特定の状況において投資銀行部
門とリサーチ部門の従業員間のコミュニケーションを制限するポリシーを施行しております。
© 2009 日興シティグループ証券株式会社。金融庁によって監督及び規制を受ける法人。無断複写・転載を禁じます。
2007年1月、シティはアメリカの金融機関としては初めて気候変動に関する見解を表明する声明文を発表しました。シティは、金融業界の継続的発展に関して指導的立場にある者として、気候変動という重要な課題に関して以下のような具体的な方策
を取ることを決定しました。それらの方策とは (a)問題解決に向けて、代替エネルギーやクリーン・テクノロジーの開発、その他二酸化炭素排出削減など、気候変動を抑制する努力に対する投融資額の顕著な引き上げを行うことなどにより、向こう十年
間に渡って500億ドルの支出を目指すこと。(b)2011年までにシティが全世界で保有し又は賃貸している施設から排出される、温室効果の元凶となるガスの全量を10%削減する努力を行うこと。(c)2006年度中に、地球温暖化を促進しない(すなわち
二酸化炭素を排出しない)発電手段による電力を5万2千メガ・ワット・アワー以上調達すること。(d)民間セクターでの資本投資を再使用が可能なエネルギーやクリーン・テクノロジーの開発に向けるべく、持続可能性のある開発のための投資(SDI)を
行うこと。(e)再使用可能なエネルギーの開発・企画を目的とする投融資関連サービスを顧客に提供すること。(f)気候問題に連携した投資調査業務を確立し、投資家にこの問題に関わるリスクと可能性に関わる情報を与えること。そして、(g)幅広い
ステーク・ホルダーと共に、気候変動の問題に関する理解を深め問題解決の糸口を探る一助を担う責任を負うことなどです。
シティは温室効果に深い関わりをもつ業界の顧客らと、気候変動が及ぼすリスクを評価し、可能な範囲においてかかるリスクを軽減する方策を見極めるべく協働します。
効率、再使用可能なエネルギー、エネルギー削減
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