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67kb - 神戸製鋼所
新 製 品・新 技 術 放熱プレコートアルミニウム材「コーベホーネツ・アルミ(KS750)」 服部伸郎 アルミ・銅カンパニー アルミ板研究部 ノートパソコンに代表される軽さが求められる電子機器や, その周辺機器である液晶,DVD/RW などの筐体類,構造部材 にはアルミニウム板の成形品が使用されている。 この分野では性能向上のため技術が日夜進歩しており,その 結果半導体や電子回路基板などからの発熱量が増加する傾向に ある。これに対し液晶や DVD/RW などのデバイス類は,安定 した動作を保証する温度が規定されており,熱を効率よく外部 へ逃がす課題は年々高まっている。 「コーベホーネツ・アルミ(KS750)」は, “軽量で熱伝導性に 優れる”アルミ素材そのものの特性を活かしつつ,これまであ まり着目してこなかった赤外線を利用した放熱特性を一般のア ルミニウムの約 20 倍に高めたことにより,筐体内温度の上昇を 5℃ 程度抑えることが可能となった(社内の実証データ) 。 写真 2 張出し加工部 特 長 ①赤外線の放熱特性を表す「放射率」は一般のアルミニウムの 0.04 に対しおよそ 20 倍の 0.86 である。これにより赤外線放 射を利用した放熱特性が飛躍的に向上した。 ②アルミニウム自身が持つ「軽さ」や「熱伝導の高さ」などの 特性は,一般のアルミニウムと変わりなくそのまま活かすこ とができる。 ③軟らかくて熱伝導性に優れる純アルミから硬くて強度に優れ る合金系のアルミまで,ほとんどの品種,質別のアルミニウ ム板に処理が施せる。 ④皮膜に導電性を有するため,電子機器などの用途で必要とさ れるアース接続が皮膜の上から容易に確保できる。 ⑤高い潤滑性を保有しており,成形が容易である(写真1∼3) 。 用 途 写真 3 曲げ加工部 液晶・プラズマなどのフラットディスプレイパネル,ノート 冷陰極管 5W パソコン搭載用のデバイス類,カーナビなどの車載 AV 機器, ヒートシンク関連のメーカから数多くの問合わせがあり,これ リアカバー (アルミ) らの分野での実用化が期待される。 放熱効果予測 液晶バックライトユニットを想定し,リアカバーに通常のア ルミを使用した場合とコーベホーネツ・アルミを使用した場合 導光板 (アクリル) の放熱効果シミュレーション結果を示す(図 1,2) 。通常のア ルミよりコーベホーネツ・アルミの方がリアカバーの温度が低 下していることがわかる。 ユニットの半分を シミュレーション 冷陰極管 5W 図 1 液晶バックライトユニットの構造とシミュレーション部位 4.50e+01 4.50e+01 4.25e+01 4.25e+01 4.00e+01 4.00e+01 3.75e+01 3.75e+01 3.50e+01 3.50e+01 3.25e+01 3.25e+01 3.00e+01 3.00e+01 2.75e+01 2.75e+01 2.50e+01 2.50e+01 2.25e+01 2.25e+01 2.00e+01 2.00e+01 通常のアルミ コーベホーネツ・アルミ 図 2 リアカバーの表面温度分布シミュレーション結果 写真 1 成形例(プラズマディスプレイリアカバー) 問合わせ先:アルミ・銅カンパニー アルミ板営業部 和田孝一 TEL: (03)5739−6441 FAX:(03)5739−6947 E-mail:[email protected] 神戸製鋼技報/Vol. 53 No. 2(Sep. 2003) 105