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2.2 諸言

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2.2 諸言
メトロニダゾールゲル 0.75%
2.2 諸言
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2010 年に日本緩和医療学会及び日本緩和医療薬学会から、 厚生労働省 により設置された「医療
*
上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」に対して、がん性悪臭の軽減を目的とした 1 日
1 回又は 1 日 2 回投与するメトロニダゾール外用剤(0.75%~0.8%ゲル又は 1%軟膏)に関する要
望が提出された。2010 年 12 月には、厚生労働省より、がん性悪臭の軽減においてメトロニダゾ
ール外用剤の開発をガルデルマ社は正式に要請された。
日本での本剤の開発にあたり、がん性皮膚潰瘍に伴う悪臭を有する被験者を対象とした国内第 3
相試験(RDT.07.SRE.27013 試験)の試験計画の妥当性について、
相試験開始前相談(受付日・番号:平成
年
月
日・#
年
月
日に医薬品第 I
)を実施し、そこで得られた
助言を踏まえて開発計画を策定した。
ロゼックス
®
ゲル 0.75%(以下、本剤)は、無色~微黄色で異物を含まない単一相、粘稠で均一
なゲル剤であるり、1 g 中にメトロニダゾール 7.5 mg(0.75%)を含有する。1991 年に欧州で承
認されて以降、酒さに対する 1 日 2 回局所投与製剤としてガルデルマ社により世界各国で販売さ
れている。
類似した製剤である Metrogel
「Metrogel
®
®
0.75%(Bioglan Laboratories Ltd[Bioglan 社]が開発、以下、
[Bioglan]」)は、本剤と同様にメトロニダゾールを 0.75%含有しており、酒さの急
性炎症悪化の治療薬としてアイルランド及び英国で承認され(1989 年)、その後、1994 年に英
国でがん性悪臭の軽減に対する追加適応の承認を取得した。
社に移管された。Metrogel
®
年にその販売権がガルデルマ
[Bioglan]は、がん性悪臭の軽減を適応として取得している世界で数
少ない製剤である。
現在、日本ではメトロニダゾールを 250 mg 含有する経口製剤が、トリコモナス症、嫌気性菌感
染症、感染性腸炎、細菌性膣症、ヘリコバクター・ピロリ感染症、アメーバ赤痢、及びランブル
鞭毛虫感染症を適応症として承認され、販売されている(塩野義製薬株式会社:フラジール®内
服錠 250 mg、富士製薬工業株式会社:アスゾール錠 250 mg)。また、メトロニダゾールの膣剤
が、トリコモナス膣炎及び細菌性膣症を適応症として承認され、販売されている
(富士製薬工業株
*
®
式会社 :フラジール 膣錠 250 mg)。
しかし、日本ではがん性悪臭の軽減を適応症とする医薬品が承認されていないため、メトロニダ
ゾールの市販薬である内服用の錠剤を用いて院内調製した外用剤が適応外で使用されているのが
現状である。
本承認申請では、がん性悪臭の軽減に対する本剤の使用を裏付けるデータを提示する。
本剤の添加物は、エデト酸ナトリウム水和物、カルボキシビニルポリマー、プロピレングリコー
ル、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、水酸化ナトリウムであり、いず
れも日本の公定書に収載されている。本剤と異なり、Metrogel
®
[Bioglan]には本邦で新規添加剤
扱いとなる成分を含んでいる。そのため、申請者は、同様に親水性処方であっても使用実績のあ
る添加剤から成る本剤を申請製剤とすることとし、本剤を用いて第 3 相臨床試験として本邦にお
ける当該適応症患者による有効性及び安全性の検証を行った。
*新薬承認情報提供時に置き換え
1
メトロニダゾールゲル 0.75%
2.2 諸言
メトロニダゾールは嫌気性あるいは微好気性の原虫及び細菌に対して高い抗微生物活性を示す。
メトロニダゾールはトリコモナス症及びヘリコバクター・ピロリ H. pylori 感染症等に対する治療
薬として内服錠、腟錠、及び注射液として既に 50 年以上にわたり広範に臨床使用されてきた周
知の医薬品であることから、日本で既承認の適応症及び投与経路における有効性及び安全性は既
に確立されていると考えられる。
ガルデルマ社は、酒さへの適用(海外で既承認)を裏付けるためのメトロニダゾール外用剤の経
皮投与による安全性及び忍容性を検討する非臨床試験を実施してきた。そのうち、いくつかの試
験はがん性悪臭の軽減を効能・効果とする本剤の安全性を裏付けるデータとして有用と考えた。
本邦においては既に内服錠と腟錠が承認、販売されていることより、申請区分は、医療用医薬品
(3) 新投与経路医薬品、(4) 新効能医薬品、及び(6) 新用量医薬品(平成 17 年 3 月 31 日
薬食発第 0331015 号「医薬品の承認申請について」及び平成 21 年 3 月 4 日薬食発第 0304004 号
「バイオ後続品の承認申請について」)に該当する。本剤の非臨床データパッケージでは、がん
性皮膚潰瘍に伴う悪臭を有する患者への適用を裏付けるための経皮投与並びに経口投与による非
臨床試験データ並びに利用可能であった適切な科学的公表文献を提出することとした。
臨床データパッケージでは、国内第 3 相試験を評価資料、及び海外第 3 相試験を参考資料として
用い、がん性悪臭の軽減に対する本剤の有効性及び安全性を検討した。また、日本人の健康被験
者を対象として実施した国内第 1 相試験、並びに海外で実施した薬物動態試験 1 試験及び海外で
実施した臨床薬理試験 2 試験を参考資料とした。
日本人を対象とした国内第 3 相試験では、95.2%の被験者で悪臭が軽減され、高い改善率が認め
られた。本剤の有効性は、日本人被験者を対象とした試験だけではなく、海外第 3 相試験でも同
様に一貫した有効性が示された。
国内第 3 相試験及び海外で実施した薬物動態試験(1.CG.03.SUM.0443 試験)で得られた結果か
ら、1.CG.03.SUM.0443 試験でメトロニダゾール 250 mg 錠を単回経口投与したときの Cmax の平均
値は 7248 ng/mL であり、国内第 3 相試験で 1 日 30 g までの本剤を投与したときに得られた Cmax
の平均値(852 ng/mL)と比較して 8.5 倍高く、国内第 3 相試験で最も曝露量が高かった被験者の
Cmax(2872 ng/mL)よりも 2.5 倍高かった。
国内第 3 相試験では、4~140 cm2 の大きさの悪臭を伴うがん性皮膚潰瘍を有する被験者を組み入
れた。140 cm2 よりも大きい皮膚潰瘍を有する患者の場合には、1 日に 30 g を超える本剤を使用
する可能性が考えられるが、この場合でも、予想される局所投与による全身曝露量は、市販され
ているメトロニダゾールの経口製剤での 1 日最大投与量である 2250 mg(750 mg × 3)を投与し
たときの全身曝露量を超えることはないと考えられる。
更に、悪臭の主な原因は、腫瘍病変での嫌気性菌の増殖によるものと考えられており、国内第 3
相試験では乳がん患者のみが組み入れられたが、国内第 3 相試験で認められた有効性は乳がん患
者に限定されるものではないと考えられる。海外第 3 相試験では、乳がん患者だけでなく、他の
がんを有する患者においてもがん性悪臭に対する効果が認められた。したがって、嫌気性菌の感
染が原因と考えられる悪臭を有するがん患者に対しては、がんの種類を問わず、本剤の効果が期
待できるものと考えられる。
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メトロニダゾールゲル 0.75%
2.2 諸言
本剤はがん性悪臭の治療に有効であり、許容できる安全性プロファイルを有する。更に、本剤の
ベネフィットはリスクを上回り、日本において医療上の高い有用性が期待できるものと考えられ
る。
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