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閻職 - 日本森林技術協会デジタル図書館
昭和26年9月4日第三種郵便物認可平成4年8月10日発行(毎月1回10日発行)通巻605号 ISSNO388-8606 鍵 、 閻 職 り%.'ty U羽1 ヨ 1。 タ 竜.鐵職 齢 露 亀=些置_厳 、ツ 盛F﹃凪降 = '三三= ‐ │ 歪 ∼ 一 一 ー ■1992/NO 605 8 UTSU 一 全円1自盛 5分目蓋0-bac帰零方式 12倍反転可能 13009 一二 レベルトラコン、舞訓 度度鏡量 LS-25 函密遠 高水望重 僻 (牛方式双視実体鐘) コンドルT=22 、 操作性に優れたコンピュータ内蔵座標計算式面積線長測定器 直線部分は3点をポイントするだけ、C型の場合 は円弧部分も3点のポイントだけで線上をトレー スする必要がありません。微小図形から長大図面 まで、大型偏心トレースレンズで座ったままのラ クな姿勢で測定できます。C型はあらゆる測定デ ータを記録するバッファ付ミニブリンタを装備し、 しかも外部のコンピュータやプリンタとつなぐ為 のインターフェイスを内蔵しています。 〉 ■直線図形は1頁点をポイントするだけで迅速測定 ■曲線図形も正罐に計れる ■面債のほか、線長を同時測定 ■縮尺単位を反映して自動計篁 ■線分解能:0.05m,の高性能 ■コードレス、コンパクト設計 ■偏心トレースレンズとダイヤモンドローラー採用 X-PLANeeOC ■座標、面積、辺長、半径、弧長を測定 ■3点ポイントによる円弧処理 ■見積計算にもべんりな電卓機能 ■既知点による座標軸設定 ■プリンタバッファ、データのナンバリング機能、等 ア一 エクスフラン X-PLAN360d/360C −4 76 セ詞 2㈹ 鳥Ⅲ 千川 区鋤 田汚 大⑬ 83 者0 蓉甦 ︹一三 商 方 牛 血 繍業潅鋳 目 次 B。1992Nq60S <論壇>“環境と開発” 地球サミットとは何だったのか −極私的“ブラジル会議”論 本田雅和…2 パイプ流の話 太田猛彦…7 渓間における森林の土石流かん止機能と それに立脚した防災対策について・・… 竹下敬司…11 雲仙・普賢岳の土石流災害地における スーパースチールダムの施工について ’ 後藤充明・・・15 中国四大保安林の造成と地球環境保全 王長富…19 風土と薬用植物 17.夏の風物詩朝顔そして貧乏性の悩み 奥山徹…22 山の古道を行く−木曽路5 義仲の故郷日義一薮原 小山和…24 表紙写真 あの山はどうなった−16 第39回森林・林業 写真コンクール 席 「キャンプ場」 (静岡県田貫湖) 京都・清水山国有林の復旧 一室戸台風被害から約60年 松浦安剛…26 森へのいざない−親林活動をサポートする 28.写真を教材として生かそう/一風と木と(2)…石井賞…29 <会員の広場> 静岡県富士市 遠藤忠利 J ペンタックス SFX,28∼80 ミリレンズ, ’ F16,オート 豚 飛騨山地における有用広葉樹林の育成 一林型区分と混生林の間伐効果 農林時事解説・……… 38 戸田清佐…34 こだま..…・…・・ 41 統計にみる日本の林業・ 38 JournalofJournaIs……・・ 42 林政拾遺抄………・・ 39 技術情報………..… 44 杉浦孝蔵の5時からゼミ 40 林業関係行事一覧(8.9月) 45 本の紹介・・…・…. 4 ( ) 1992.8 平成4年度r空中写真セミナー』開催のご案内 46 2 一洲 壇 "環境と開発” 地球サミットとは何だったのか −極私的“ブラジル会議”論 ほ ん だ ま さ か ず 本田雅和* │ l l l Ⅲ Ⅲ 1 l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l 1 1 l l l l l l l l l l 1 1 1 1 l Ⅲ Ⅲ l l l Ⅲ Ⅲ l l l l l l l l l 川 l l l l l l 川 Ⅲ l Ⅲ Ⅲ l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l i l l l l l Ⅲ Ⅲ l l l l l l l l l l l l l l l l l l l Ⅲ Ⅲ Ⅲ l l l l l l l l l l l l l l 1 1 1 l l l l l l l l l Ⅲ Ⅲ Ⅲ ' ' ' ' ' ' ' ' 1 1 1 1 Ⅲ ' ' 1 1 1 1 Ⅲ l l l l l l l l l l l l l l l NGO会場の金網 rきれいごとを言うのは簡単です。でも,あまりにも多くの人々が,あまりにも 貧しく危機的状況にあるとき,それらを放置してエコロジーだとか,森林を救お うなどというのは偽善ではないでしょうか」−世界から集まった非政府組織 (NGO)が,さまざまな催しのパビリオンやブースを並べたリオデジャネイロのフ ラメンゴ公園。地球サミッ1、(環境と開発に関する国連会議)の関連行事“'92グ ローバル.フォーラム”の会場だ。その片隅で,ルイーザ・ブラッツ(26)は, 子供たちと一緒に作ったカードや壁掛けなどを売りなカ蛍ら,そう訴えていた。 リオ中心部の売春街“ヴィラ・ミモザ”の女性たちが組織した“リオ州売春婦 さげす 協会"の事務局長。社会から蔑まれ,差別されてきた彼女らは,警察と“買春客” の双方からの暴力にさらされながら,エイズなどの病気から身を守ること,路上 ではなく安全に“仕事”ができる場所の確保などを求めて,5年前に“協会”を 設立した。全員が黒人女性だ。 金網のフェンスで囲まれた会場から一歩外へ出ると,10歳になるかならないか のストリート・チルドレンが,カネの無心に集まってくる。金網にしがみつきな がら「水はいらないか,ジュースはいらないか」と声を張り上げる少年たち。彼 らには会場内で商売することが許されていない。それどころかブラジル政府は, 海外からたくさんの客人を迎えるにあたって「見苦しくないように」,サミットの 開催直前にストリート・チルドレン狩りをして,施設に収容している。ルイーザ は,その施設で強姦され,売春の道に入った。 金網にしがみつく子供たちは,政府のそうした“浮浪児狩り”の“魔の手”か ら逃れられた幸運なグループにすぎない。森林地帯から都市のスラムに流れ込ん できた“環境難民”の子供たちも少なくない。 民衆レベルからの 抗議 貧困,飢え,売春,社会的差別・…・・ここから40km以上も離れた,クーラー の利いた本会議場で,政治家や官僚たちが,軍隊と警察に厳重に守られながら, 条文の細かな字句の修正に長い時間を費やしていたとき,世界から集まった,と りわけ先進工業国の環境保護活動家たちは,このサミットが置き忘れてきたさま ざまな現実を目の前に突き付けられ,考え込まされていた。すなわち,地球環境 問題とは,珍しい動物や美しい森林を保護する運動のことではなく,富の不平等 *朝日新聞社会部 の問題であり,民主主義そのものの問題であるということを,身を持って学ばさ 林業技術No.6051992.8 ' 1 , I i l 3 れていた。 「サミットは北の先進国主導。開発の権利の保障を」とするマレーシアなど,“南 の国家”からの異議申し立てとは違う次元の民衆レベルからの抗議は,今回の本 会議に先立ち,さまざまな形でなされていた。中南米のインディオたちは今年3 月,最終準備会合の開かれていたニューヨークの国連ピルにデモで押しかけ,「森 林についての世界的ルールをつくる場に,なぜ,自分たち“森の民”の代表が参 加していないのか」と訴えた。 アジア,アフリカ,中南米の先住民族でつくる“熱帯林の先住民地球同盟”は 国連本部前のチャーチ・センターピルにモーリス・ストロング地球サミット事務 局長を呼び,“森の民の固有の権利の尊重"を同サミットの方針に盛り込むよう要 請,『熱帯林の先住民憲章』を手渡した。 同憲章は,2月15日,マレーシアのペナンに集まった世界各地域の先住民23団 体の代表が署名採択した,“森の民の権利章典”のようなもので,全部で48条か ら成り,「森林破壊をもたらしてきた植民地主義」への批判,r世界の熱帯林を守 ってきた先住民の文化と土地所有権」の尊重,などをうたっている。 代表の1人で,“抵抗の500年一先住民委員会"(ブラジル)のマルコス・テ レナ事務局長らは,「サミットは森林保護の原則をつくるというのに,森と共存し てきた我々先住民の視点や意見を取り入れていない。これまでの過程には失望す る。国家の行動計画であるアジェンダ21には,ぜひ,我々の声を反映し,その権 利を尊重するようにしてほしい」と求めた。 これに対しストロング事務局長は,「森は我らにとって経済的資源以上の生命そ のものであり,共同社会にとっての精神的,統合的価値である」との条項を特に 読み上げて支持を表明7「あらゆる機会をとらえてこの精神が生かされるように全 力を挙げていく」と約束した(はずだった)。 熱帯林の保護問題については当時,米国,カナダなどの先進諸国を中心に,拘 束力のある“条約”の締結を目指していたが,ブラジルやマレーシアなどが「自 国資源の開発への固有の権利」を主張するとともに,守るべき森林を熱帯林に特 定することに反発して条約化に反対。結局,『憲章』からもさらに後退した,骨抜 きの「森林の原則声明」に落ち着いていった。 そして,サミット本会議。最終日未明までもつれ込んででき上がった,「将来の 条約化」を盛り込もうとした“条文”の中身は,「国際的に合意された取り組みの 必要性と可能性を追求する」という訳のわからないものになってしまっていた。 そこで合意された成果が“世界の緑化”である。生物多様性条約の署名拒否で 世界的非難を浴びていた米国のブッシュ大統領は,失点を取り戻すべく,本会議 二酸化炭素問題の 視点 の開催直前にr国際的森林保護援助資金の倍増構想」をぶち挙げ,12日の劃幽演 説では,「環境分野の政府開発援助(ODA)額を90年レベルより66%増やす」な どと宣伝した。 が,環境保護運動が地球規模の隆盛の中で大きく成長していた世界のNGOは, もはやこうした小手先の"援助の増額"でだまされはしなかった。「緑の化粧をし 林業技術No.6051992.8 4 たブッシュ政権のポーズにすぎない」と逆に批判が広がった。「米国は第三世界に 残された熱帯林を,自分たちが排出する二酸化炭素(CO2)の吸収装置としか見て いない」とインドの“信用と団結の消費者協会”のプラディープ。S・メハタ事 務局長。「森林保護の資金を倍増するといっても,それはCO2を大量排出する自分 たちの生活形態を変えないという前提のもの。彼らがまじめに地球全体のことを 考えているとは思えない」という。 「有害廃棄物の第三世界への輸出を放置し,資源浪費の自然破壊型の消費形態, 産業形態を変えようとしない米国のブッシュ政権は,地球サミット成功の主要な 障害」と批判してきたグリーンピースも,「現在の森林破壊をストップさせ,森に 住む先住民族を救うという,最優先課題についてブッシュ政権は何もやろうとし ていない」(C・カーチス条約担当)と批判した。 「決してライフスタイルを変えようとはしない」欧米先進国の,「既存の概念の 経済成長にこだわり続ける」多国籍企業などを中心とした産業界・経済界は,今 や挙げて「緑化,緑化」「植林,植林」の大合唱である。そんな中で地球の友・イ ンターナショナルは,「植林は森林破壊の正当化にならないばかりか,本来の生態 系を破壊していることも多い」と警告する報告書を提出した。 米国を中心とした北側が,南に大規模植林の資金提供を提示する"政治的解決” で,CO2削減への圧力を相殺する動きは,サミット直前から顕在化。これまで熱帯 林の乱伐で国際的批判を浴びてきた日本の商社なども,こうした流れの中で,途 上国での植林プロジェクトに力を入れてきている。 が,地球の友の『報告書』の試算では,人間活動が生み出しているCO2を森林に 吸収させるためには,大西洋からウラルに至るヨーロッパ全域に近い毎年10億 haの植林が必要で,社会的,環境コストから考えて不可能に近く,「植林をCO2排 出の正当化に使うことは許されない」と批判。r現在の森林破壊をやめることが先 決だ」と説く。 さらに,大規模な植林は本来の野生生物に被害を与えて生物多様性を減らし, 土壌を侵食させ,農民の森林内への入植を促進させる−と主張。植林が将来の 伐採を前提に行われる以上,伐採によって再びCO2排出を促すのだから,「結局, CO2削減にもならない」とも指摘している。タイやパプアニューギニア,ブラジル などで,ユーカリなどの単一樹種一斉植林がいかに生態系を破壊し,新たな“環 境難民”を発生させているかについては,最近さまざまな報告がなされている。 熱帯林は再生でき るのか? そうした批判も踏まえたうえで,今度は在来種の混植による“熱帯林の再生プ ロジェクト”が,三菱商事と横浜国大グループなどにより,東南アジアやアマゾ ンなどで手がけられている。彼らはr熱帯林は再生できる」と自信を持って言う。 が,いったん破壊された熱帯林がそう簡単に再生できるのだろうか。 そもそも高度に複雑に発達した熱帯林の生態系など,学問的にもほとんど解明 されていないと言っていい。いったいどれだけの種類の生物が生息しているのか さえ……。温帯林や鎮守の杜とは違うのだ。「森がなくなった所に木を植える− それだけで果たしてよいのだろうか」−『熱帯雨林を考える』の著者,荻野和 林業技術No.6051992.8 F D 彦愛媛大学教授は,根本的な疑問を投げかけている。 必要なのは,単なる“緑の被覆”を増やすことではなく,生態系の回復である。 生物システムとしての生態系のメカニズムがまだ十分にわかっていないのに,植 林だけで生態系の回復ができると考えるのは人間のおごりではないか。r生態系は 生物が駆動力となって維持される自然システムであるばかりではなく,人間社会 の働きに対して,ダイナミックに反応するシステムー社会生態系として機能し ている。森林の回復を生態系の回復にどうつなげていくか,そこが課題」と荻野 教授は,サミッI、直後の東京での"森林づくりシンポジウム”(森林文化協会等主 催)で,説いている。 サミットに先立ちアマゾンを回った。種からホワイト・チョコレートの原料を 取るクプアスー,アイスクリームにすればおいしいカジャ,アマゾン柿と呼ばれ アマゾンのフルー ツ文化 るサポチーリャ,パッション・フルーツの名で親しまれるマラクジャ,その実で リキュールを作り,紫色の樹液はインディオの顔を化粧する絵の具になるジェニ パツポー……。アマゾンの熱帯林には人間が食ったり飲んだり,利用できる果実 が100種類以上とも,200種類以上ともいわれる。 密林の中の,ブラジル最大の日系人開拓農村,トメヤスーの外れにある坂口陞 さん(59)方の庭で,アマゾンの豊かな“フルーツ文化”の話を聞いていると, 時がたつのを忘れた。庭といっても約300ha,うち140haは手つかずの原生林 だ 。 東京農大を卒業した林学の専門家でもある坂口さんは,1957年3月,トメアス 写真。lアマゾンの熱帯雨林(カラジヤス近郊で) 林業技術No.6051992.8 6 −に入植。森林の生態系を生かし,樹木作物を混交して植え,その果実を収穫す る,木を伐らない熱帯農業−いわゆるアグロフォレストリーを長年実践してき た人だ。 かつてはピメンタ(こしよう)の大生産地として栄えた│、メアスーだが,全農 家がもうかるからと一斉にピメンタ栽培に走ったときも,こうした商品作物に頼 らず,ピメンタと一緒にさまざまな樹種を植えた森をつくり,「当時は変人扱いさ れた」とも言う。 が,その後,単一作物の連作による病害やピメンタの国際価格暴落で,、トメア スーが大打撃を受けた今,坂口家の“持続可能な森林農業”は1つのモデルとし て見直されつつある。 いったんは事実上の倒産に近かったトメアスー農協は今,ピメンタに代わる商 品として豊かな自然の恵みを生かしたトロピカル・フルーツ・ジュースを開発。 昨年6月に落成した冷凍施設のある新工場で,とりあえずマラクジャ,アセロラ, クプアスの3種頓のジュース生産に乗り出している。 その坂口さんが言う。「熱帯林を再生するだって?そりや500∼600年かけれ ばできるさ。やり方?人間が手を加えずに何もしないことさ」−「それより もね,声を大にして絶対やめさせたいのが,牧場づくりだよ。このアマゾンで牛 を飼おうなんて発想自体気違いじみている。樹上の葉を食えるキリンのように首 の長い牛でもいて,そういう牛を飼う森林牧場なら別だけど,この太陽と雨の下 で,土地を裸にするということが,いかに危険で間違ったことかを早く悟るべき だ」と。 カネをかけるべき は? その後,アマゾン中流の拠点都市,マナウスにある国立アマゾン研究所に,著 名なエコロジスl、でもあるフイリップ'・ファーンサイド教授を訪ねた。「アマゾン の森林破壊のほとんどが持続不可能な牧場化によるものだ。ここでの牧場は10年 もたたないうちに,立ち行かなくなる。つまり牧場化は目的なのではなく,より 高い値で転売するという土地投機が牧場化をもたらしている。こうした自己の土 地所有の主張だけのための森林破壊,牧場化は,それ自体の非生産性に加えて, 生物多様性の宝庫である森林の潜在的な利用可能性をも破壊している」と教授は 説く。 そのファーンサイド教授も,いったん破壊されてしまった熱帯林の再生の困難 さを強調する。「かつて私の師でもあるダニエル・ジョンソン教授(ペンシルベニ ア大学)が,コスタリカ北部で熱帯乾燥林の再生に取り組んだ。それはアマゾン の熱帯雨林と比べると,樹種も少なくきわめてシンプルな森林だが,それでも数 百haの森林再生に5000万ドルという莫大なカネがかかった」というのだ。 rそんなことにカネをかけるぐらいなら,熱帯林を守ることにこそカネをかける べきだ。しかも,日本はアマゾンに重要な影響力を発揮できるのだから..…」。ア マゾンの深い深い森から戻ってきたばかりの私の目には,熱帯林再生の試みなど, 生命への畏敬を失った科学者の試験管ベビーづくりにも見えてくるのだが・・….。 <完> 林業技術No.6051992.8 △ 7 パイプ流の話 太田猛彦 1.パイプ流とは れている)の流れに対して発見された法則であっ 昔から,山崩れの直後の山腹には,水が勢いよ たが,透水係数の概念が不飽和の流れにまで拡張 く吹き出している大穴がいくつか見つかることは され,また,それが測定可能となって,不飽和浸 よく知られている。また,トンネルの工事では, 透流にも適用されるようになった。すなわち,上 断層・破砕帯にぶつかって大量の湧水が発生する に述べた砂層中の流れはこのような流れであり, 例がときどき報告される。このように山体の内部 したがって,森林土壌中の流れも通常は不飽和浸 では,水はどこでも一様に流れているのではなく, 透流である(森林水文学における最近の著しい進 いわゆる“みずみち”があって,地下水は主にそ 歩は,山腹斜面での降雨流出現象の解明において, 不飽和浸透理論を適用した解析が,ある程度成果 こを通って流動していることが想像できる。 一方,森林水文学の分野では,山腹斜面の表層 を覆う森林土壌はきわめて透水性がよいといわれ, それを証明するため“浸透能試験”が盛んに行わ れてきた。そして,『森林土壌は1時間に200111111以 上の降雨を浸透させることができ,地表流はめっ たに発生しない」などといわれてきた。このよう な森林土壌中を通過する水の流れは“浸透流”と を収めたことに負うところが大きい)。 ところで,森林土壌のもう一つの重要な特徴は, その構造がきわめて不均質なことである。よく注 意して見れば,土壌中には至る所に大小さまざま の不規則な穴があいている。普段はあまり気にな らないが,大雨の後などに水のしみ出ている崖や 最初に述べた崩壊跡地では,はっきりと穴が確認 呼ばれ,箱に細かい砂を詰めて上からジョウロで 水をまいたときの砂の中の水の流れと同様の物理 できる。土壌の不均質性の主な原因であるこのよ 法則に従うものと考えられている。 部のものも含めて“地中パイプ”と呼ばれ,各地 あとの話に関連するのでもう少し詳しく話すと, うな土層中の大小の穴は,最初に紹介した山体内 の山地斜面での調査によれば,その存在はかなり 地下水流のような,土層(多孔質体=ポーラス・ 普遍的なものであることがわかってきた。そして, メディア)中を通過する流れは流速が遅く,“ダル シーの法則”と呼ばれる抵抗法則に従うことが早 地中パイプを通る集中的な水の流れを"パイプ流,, と呼び,砂層のような一様な多孔質体を通る浸透 くから知られていた。すなわち,その単位断面積 流(マトリックス流と呼ばれる)と区別して取り 当たりの流量(フラックスともいわれ,速度の次 扱われるようになった。 元を持つ)は,水を流そうとする力(ポテンシャ ル勾配)と透水係数の積に比例する,というもの 2地中パイプの実態 地中パイプの問題を最初に本格的に取り上げた である。ここで,透水係数は土の種類によって大 のはイギリス人ジョーンズである')。地表面と同 きな差があり,砂は10-3Cm/SeC以上,粘土は10-6 粘土の1,000倍以上透水性がよいことになる。こ 様に地中においても土粒子は流水の溶解,剥離・ 運搬作用により侵食される。この地下侵食により, 地-ドに連続した空洞が形成されるとき,彼はそれ の法則は,最初,飽和(孔隙がすべて水で満たさ をトンネルまたはパイプと呼んだ。そして,世界 cII1/sec以下などといわれている。すなわち,砂は 林業技術No6()51992.8 ● 8 A n 層 表層土 川一一一一 C 40 下層土 のパイプ 銅根 巧礫 難透水層 0 ‘│ | ’ 0 40cnl 図・1凹斜面下部の土層断面に見られるパイプの分布例(太田ら(1982)を修正) (難透水暦直上に明瞭なパイプが並んでいる) の各地で行われた地中パイプの研究成果を取りま る場合が多い。 とめたが,研究成果の多くは乾燥.半乾燥地での パイプの形態に関するものであった。 近年における日本での地中パイプの研究は,崩 ⑦パイプ流の流速は01∼数Cm/sec程度である。 ⑧斜面下部での断面からの流出に占めるパイプ 流出の割合は,ほとんど70∼80%以上である。 ⑨パイプからの流出は,飽和水面が上昇するに 壊地や地すべり地での断片的な研究を除けば,多 摩丘陵(東京農工大学波丘地試験地)の斜面での 詳細な観察から始まったといえる2)o多くの研究 者が斜面上部,谷頭凹斜面部,谷底堆積地等で, 地表近くに存在するさまざまなパイプの観察を行 った。筆者もその一人である。その結果,地表に 近いパイプの分布形態とその密度,谷底緩斜面で のパイプ流の流速,パイプ流ハイドログラフの性 つれて順次上部のものから流出する。 なお,塚本は多摩丘陵での研究成果を中心に, 湿潤地域での地中パイプの形成・発達を論じてい る 3 ) 。 3.地中パイプの形成と発達 ①林地斜面土層中のパイプは直径数Cnlのものが 地中パイプが形成されるきっかけとしては,乾 燥クラック,地震・重力による土粒子等のズレな どの物理的要因,樹木や草の根の腐朽,地中に生 息する小動物の通路などの生物的要因,さらに, 飽和地中流の集中しやすい透水性の不連続面の存 在(粘土層,崖錐堆積物と地山の境界面,基盤岩 多く,深い位置のパイプほどパイプ壁面の土が固 とその風化部の境界面などで,細粒土の洗脱が起 結している。 こりやすい)などが考えられている。しかし,パ 質等が明らかにされた。 他の地域で観察された結果も含めて地中パイプ の実像を示すと,次のようになる。 ②浅い位置のパイプは大小さまざまであるが, 壊れやすそうで,水流力§通過しているかどうかわ からない。 ③谷底堆積地運積土中には直径数十cmの大形の パイプが見られる。 ④基盤岩や粘土層などの難透水層の直上にはパ イプが多く,常に流水が存在することが多い。 ⑤パイプの密度は1ITf当たり数個∼10個前後 であるが,難透水層までの土層厚が小さいほど密 度は大きい。 ⑥深い位置のパイプは分岐合流を繰り返してい 林業技術No.6051992.8 イプが水文学的に意味を持つためには,形成され たパイプが発達し,維持される機織のほうが重要 で,通常,流水の作用(溶解,土粒子の剥離・運 搬,ボイリング,水圧等)や小動物の通行が繰り 返されることが必要とされている。実際,筆者が 観察したパイプの中にも,常に水が流れているも のや,カニの住みかとなっているものが多数見受 けられた。さらに,パイプが壊されないためには, パイプを維持するだけの土の強度も必要である。 ところで,湿潤気候下の日本の山地斜面での降 雨流出過程を説明するためには,斜面の土層構造 9 を表層土,下層土,基盤岩の3層に 刀 分けて考える必要がある4)。表層土 はほぼ森林土壌のA層とB層に当た る。下層土は森林土壌学で母材と呼 ばれるC層に相当し,基岩の強風化 層のほか崖錐堆積物や火山噴出物 (関東ローム層など)の場合もある (森林土壌学では,樹木の生育の観点 から有機物に富むA層やB層が重視 されるが,水文学的には下層土の性 質や厚さが表層土にもまして重要で あることが最近わかってきた)。斜 面土層中のパイプはこれらと関連づ けて考えると理解しやすい。 写真・1地中パイプの形状 (パイプにセッコウを流し込んで固め,取り出したもの。北原曜氏提供) 降雨は通常,表層土中を鉛直に浸透し, 降雨は通常,表層土中を鉛直に浸透し,下層土 の下部に飽和側方流を発生させる。したがって, の機能を重視している3)。 4.最近の研究 流水の存在する機会が多く,土層の強度も大きい 以上のように,パイプ流が斜面での水の移動過 下層土中のパイプは,いったん形成されると維 程に果たす役割の重要性は,当初考えられていた 持・発達が容易であり,明瞭である。山腹斜面で 以上に大きいことがわかってきた。そこで’パイ 最初に注目されたのはこの種のパイプで,難透水 プ流の水理特性が北原によって詳しく調べられ 層となっている粘土層の上部や基盤岩の表面に多 た5)。彼はパイプを含む土体を切り出して透水試 数発見された(図・1)。そして,そのような場所で 験を行い,マトリックス流がダルシーの法則に従 は地中流の大部分はパイプ流として移動している う流れ(層流と呼ばれる)であるのに対して,パ ことがわかった。なお,下層土中のパイプの発生 イプ流は,地表を流れる水と同様に,マニングの 要因としては,透水性の不連続面の存在と樹根の 法則に従う流れ(乱流と呼ばれる)であることを 腐朽の場合が多いとされている。 確認した(写真・'。ちなみに,マニングの粗度係 一方,表層土では植物の根量,小動物の生息数 数の値として0.4を得ている)。今まで,豪雨中な が非常に多く,それらの活動が盛んであるため, どに森林斜面で発生する比較的速い地中流の発生 パイプは比較的容易に形成される。しかし,土の 機構について,押し出し流説をはじめとする多く 密度が小さく,パイプを維持するほどの強度がな の説が唱えられてきたが,多くの場合,それがパ い場合が多く,パイプの形成と破壊は頻繁に繰り イプ流によって説明できる可能性が一段と大きく 返される。また,一般に表層土中に飽和地中流が なってきたのである。 発生する機会は多くはないので,水流によるパイ 一方,これまでパイプ流の研究は主に斜面方向 プの発達は難しい。このため,明瞭なパイプが確 のパイプ(横パイプ)について行われてきたが, 認されにくくあまり注目されていなかった。しか 鉛直方向の流れについてもパイプ(縦パイプ)の し,表層土の高い透水性の一因はこれらのパイプ 果たす役割が大きいことが王らによって確認され (巨大孔隙ともいわれる)の存在に負うところが大 た6)。彼らは,斜面上部の下層土中に発達した縦パ きく,森林土壌の不均質性を代表する現象ともい イプを克明に追跡するとともに,下層土内に飽和 える。塚本はこの種のパイプを潜在パイプと呼ん 面が形成される機構を縦パイプモデルを用いて説 で下層土中のパイプ(顕在パイプ)と区別し,そ 明した(図.2)。これは,マトリックス部の透水係 林業技術N0.6051992.8 10 斜面上方 数が土層が深くなるにつれて漸減するのに,パイ プを含む土層全体の平均的透水係数(大型採土円 か '00 筒で測定されるもの)は下層土中でもあまり減少 0 0 0 1 ︹U叩 ll 霧 Z しないという事実を説明するものでもある。 5.おわりに 30 このように,林地斜面表層近くでの土中水の移 動において,パイプ流の占める役割は相当大きい A 50 も,地中での水移動の大部分がこのようなパイプ 1 f 流の形式を取る可能性がある。したがって,今後 I B 90 、 : } 明は,早晩書き直されるかもしれない。 120 00011月從別肋認岬 111 i c 』│ りのほか,地下侵食,地中での物質移動,渓流水 ↑rが動 1111 160 詮 パイプ流はまた,最初に述べた崩壊とのかかわ の水質形成機構などとも密接に関係する。この意 G グ パイプ流の研究が進めば,飽和不飽和浸透流理論 を中心とした林地斜面における降雨流出機構の説 I 『 I D 合, Q 111 E ことがわかる。谷底緩斜面や地すべり地において 味でパイプ流研究の重要性はますます増加するで あろう。 (おおたたけひこ・東京大学農学部林学科) H '90 〆 A1:・・.$=: b p p6 ■① ●eq 〆 = 参考文献 > 、 . 、 . ・ ・ ・ ---F 1)Jones,J.A.A.:Thenatureofsoilpiping,areview 旬■●〆 220 / ( c m ) 図・2斜面上部下層土中に見られる縦パイプの 構造(王ら,1992) 7本の縦パイプ(総延長8m)は,立体的ネットワーク を形成している。すなわち,縦パイプは表層土から下層土 へ移行する遷移層付近から明瞭になり,屈曲しながらもほ ぼ鉛直方向に連続する。パイプの直径は深くなるほど大き く,最大20mmほどである。下層土底部で,パイプはすべて 横方向に向きを変え,パイプ同士の合流も見られる。 ofresearch.BGRGResearchMonograph3,1982 2)太田猛彦ほか:小流域の林地における水の動態に関す る研究(Ⅳ)降雨・流出過程におけるパイプフローの特 性,日本林学会論文集93,1982 3)塚本良則ほか:斜面表層中に発達する地中パイプ,波 丘地研究6,1988 4)塚本良則編:森林水文学,文永堂出版,1992 5)北原曜:森林土壌におけるパイプ流の特性,水文・ 水資源学会誌5(1),1992 6)王棟ほか:縦パイプの役割と山腹斜面の飽和面形成 の特徴,日本林学会誌(投稿中) 森林航測星瀦蕊鐸言鶴,’4頁,定価57,円‘税"円刷 第167号(今年度第1号)刊行のお知らせ 幼齢人工林における被害の実態把握………・…………・…・…・・・……・寺岡行雄・増谷利博.今田盛生 航空写真判読による天然林内の大径木分布の推定…・・……………・・増谷利博・太田和樹・今田盛生 デジタル魚眼レンズ・イメージから天空率を算定する方法について……・…………..……・・中川清隆 く連戦随錐>フランス短信(1)宇宙・航空のメッカ,トゥールーズ…・……………・……・中北理 平成4年度森林測量事業予算の概要………………..………………・…・……..……………・…久慈好夫 ステレオプロッターAP190による解析写真測量一材積推定の可能性について...…長谷川尚史 ◎お求めは,日林協事業部(事業部直通丑03-3261-6969,FAXO3-3261-3044)まで 林業技術No,6051992.8 11 渓間における森林の士石流かん止機能と それに刻却した防災対策について 竹下敬司 1.まえがき ときは塊状体として衝突し,その経路にある森林 我々は山に行って,40.を超す急斜面や,20.に近 をなぎ倒している。過去の調査事例によると20° い急な渓床が,厚い土砂層に覆われており,そこ 以上で土石流堆積を見ることはまれで,平成2年 には森林が成立していることを見ることができる。 の阿蘇災害でも17.以上での堆積は見いだされて 最初に土砂層が堆積して,その後に森林が入った いない。しかも土石流堆積層が渓床全面を覆うよ のであろうと想像する人々も多いようであるが, うになる本格的な堆積は13.以下であり,7∼8° この間の機構を調べてみると,植物の影響が大き 程度のものが多い。13∼20。の間の堆積は,小規模 いことが見いだされる。植物がなくても土砂層が なものを除くと縁辺部でしか発現していない。 堆積しているのは,斜面の崩積層で38.以下,渓間 速度を低下させた土石流は,分流が容易に行わ の土石流堆積層で13.以下であり,これよりも急 れるようになり,一部の林木を倒しながらも林分 な角度での安息堆積が見いだされるのは,何らか 内へかなり深く流入し,堆積している。かつて天 の抵抗増がないと説明されない。この抵抗増の役 草災害の折に,土石流堆積層が木造家屋を押し倒 割を,森林,植物が果たしているわけである。森 すことなく取り囲み,座敷内にも岩石塊をいつぱ 林,植物は本来,自らの生活場の拡大のために, いに堆積させていることが観察されたが,停止に 無機的な安息条件以上に土砂を停止させ,これを 近づいた土石流は,極端な破壊を伴わず,器用に 維持しており,この堆積場の拡大が水源かん養機 流下・堆積を行うことを物語っている。これに対 能等の環境保全にも役立っている。しかしながら, して勢いの強い土石流は,分流化しにくいためか, 最近は流木災害が顕著になってきたところから, 林木をなぎ倒すか,その抵抗によって停止するか 土石流の通過経路に当たる谷間の森林の存在に対 の両極端な選択をするようである。堆積する場合 しては,そのプラスの堆砂機能よりも災害源とし も,林木が立ったままの森林内に土石流が深く流 てのマイナスの評価が強く与えられている。一方, 入し,堆積するような形は取らないのが普通であ 森林内でどのような状態で土石流が停止している る。堆積の形は図・1に示すように,倒伏木の根や かについては,・その実態が意外なほどわかってお らず,このようなマイナス評価に対してプラスの 反論を具体的に述べることができないでいるの力弐 現状である。そこで,林木の土石流かん止機能に へログ 洲 】 ついて実態を検討し,さらにプラスの機能があれ ば,その機能を活用しうるような対策をも考える ことにしたい。 2.森林内での土砂堆積の実態 土石流は流体ではあるが,高速で流下している 図・1森林と倒伏木による土石流堆積状況 林業技術No.6051992.8 12 の頂部)にあった幅20m程度のスギ林分(30年生 程度)にせき止められ,いったんは2∼3mの厚 さの堆積を行ったのであるが,その後の流入堆積 鐘の増大に抗しきれずに決壊し,被害をもたらし ている。もっと林分幅が大きく,あるいは,もっ と強い不倒木で構成されていたならば,被害には 至らなかったのではないかと惜しまれる事態であ った。 図・2森林と倒伏木による土石流堆積状況平面図 平成2年に阿蘇外輪山から発生した土石流の例 では,山麓に厚さ400∼500m内外の森林帯を有 している箇所とそうでない箇所とが見いだされた が,前者では林帯内で土石流が停止しているのに 対して,後者の場合には明らかに大きな到達距離 を示して被害を及ぼしている。 3.植生による急角度堆積面の形成 図・3は,崩落によって急峻な斜面が後退しなが ら,その基部に堆積面を形成している経時変化の 状況を模式的に示したものである。無機的な条件 図・3土砂堆積と植生との関係(左図:無植生) 下では,一定の安息角を維持しながら平行的に堆 林木に引っ掛かった流木がダムの形を取り,その 積層が形成されていくが,この場合,全堆積層を 上流側に堆積面を形成させている。 支える基盤の面積が十分に広くなければ堆積面の 図・2は土石流堆積の平面図を模式的に示した 成長は望めず,また時間とともに堆積面の表面積 ものであるが,土石流の速度が大きい比較的急な が大きくなるため,堆積層厚の成長速度はしだい 傾斜面部では,その中でも相対的に速度が小さい に小さくなることが示されている。これに対して, 土石流縁辺部で帯状に堆積が行われ,傾斜が緩く 堆積面上に植生が生育,特に草本が密生すると, なった下流部では全面的な停止が行われている。 それらの抵抗によって土砂の移動が堆積面の上部 縁辺部の堆積(17.以下)は,流路の側方に成立す で抑止され,その結果,狭い支持基盤であっても る林木に倒木や流木が引っ掛かって,水制工のよ 堆積層は,安息角以上の角度で急速に上方へ成長 うな形となり,堆積を促しているものである。下 することになる。山地の斜面が広く1∼2mの厚 流部の全面的な堆積(13.以下)は,倒木・流木が さの土砂層(飼行土)で覆われていることはよく 流路進行方向にある林木に引っ掛かって,ダム様 知られている事実であるが,このような植生の土 の堆積を示すものである。図・2では,いったんは 砂捕捉∼維持効果によるものと想定される。つま 土石流を停止させた倒木ダムが後続流に押されて り,植生が存在すると,堆積が無機的な物理条件 破壊され,さらに下流に堆積面を形成している状 を超えて高角度でしかも厚く行われていることに 況をも示している。 なる。 ここで,森林帯の規模が小さくて,本流部に堅 固な倒木ダムの構成ができないような場合には, 文頭で述べたように,通常の土石流の堆積角度 は5∼13・程度であるが,長く災害を受けていない 土石流は流木もろとも下流に押し出して,被害を ような渓床では20.に達する堆積面を見ることが もたらすことになる。昭和55年に福岡市の油山山 ある。土石流に対しては,専ら樹木の効果による 麓で発生した土石流は,谷の出口(土石流扇状地 ものと考えられるが,その場合生木だけではなく, 林業技術No.6051992.8 13 倒伏木,流木の存在が大きい。これらが渓床周辺 れらを扇状地よりも上流の谷間で受け止めるとな の林木や渓間の岩塊に引っ掛かって木製のダムを ると,普通の立木よりも強大な柱状構造が必要で 形成し,その強度に応じて大小の土石流を堆積さ ある。現在,流木止めを意図した構造物として, せてきた結果と想定される。 従来のダムよりも深く,幅広い放水路を設定し, 土石流災害の跡地には,幅数mから10mを超 そこに鋼柱を立てた様式のものが構築されている すような大きな侵食溝が形成されているが,災害 が,やや構造に疑問が感じられる点がある。構想 前には,堆積面が広がり,幅が狭い小流路であっ としては,鋼柱に流木が引っ掛かってダム構造を たといわれている例が多い。このような谷幅いつ とると,その背後や上部にも,引き続き流木が係 ぱいに堆積面が広がっていた状況は,過去の森林 留されることを期待したものと思われるが,この と倒木,流木ダムの影響が大きかったはずである。 木製ダムの背後に堆積する主成分は土砂礫であり, 災害後に施工される治山ダム,砂防ダムや水路工 比重の軽い流木は主として上面にあって,堆積が では,渓床に残る自然の堆積面を不安定土砂と考 いつぱいになると,袖部分,柱頭(放水路)部分 え,それらが再び侵食され移動することを防止す からオーバーフローする可能性が高いと想定され ることに強い関心が持たれている。すなわち,災 る。自然の谷間の形状から見ると,放水路部分に 害時に形成された大きな流路断面を維持し,その 加えて袖の部分にも柱を立てて,強い立ち木の代 後に発生した土石流による拡大侵食を防ぐことに 行機能を期待することのほうが重要と考えられる。 力点が置かれて,流路内を速やかに通過させるよ うな構成になっている。人為的なダムによって5 現在,放水路の断面積や荒廃渓床内の流路断面 積は,洪水時に備えて十分に大きくしてある。こ ∼10°程度の堆積面が形成される以外は,渓床内な のような構造は先に述べたように,再度,同等規 いしは渓床周辺には堆積を許さない形になってい 模以上の土石流が発生しても,流下過程での渓岸 るともいえよう。自然の条件下では,流木,倒木 侵食による土砂の拡大生産を抑止することを目的 ダムによって,20.に近い急な渓床にも堆積が行わ としたものである。他方,もしダムカ§満砂状態に れていたのであるが,このせっかくの堆砂機能を なった場合には,上流で発生した土石流がそこを 無視するような形の工事が行われているものとも 速やかに通過する構成になっている。つまり下流 いえよう。 への流下を助け,下流での氾濫を助長する構成に はんらん 4.流木,倒木のダム機能を利用した対策 なっているわけである。もし,下流への土砂礫流 れき 流木,倒木による土砂礫の係留が山間部で行わ 下を抑止することが必要なのであれば,ダム堆砂 れればプラスと評価され,下流の集落,農地等で 後も,その周辺,特に上流部の渓床で堆積を助長 行われればマイナスと評価される。したがって, する対策が必要である。すでに述べたように,安 流木や倒木を山地内で係留する対策が取られれば, 息角以上の傾斜地に土砂を堆積させるためには, 下流への流木災害を防ぐことはもちろんのこと, 森林,特に倒木,流木の係留が必要であり,倒・ さらに土石流をも抑止できることを意味している。 流木の係留のためには倒れない丈夫な柱状構造物 往時には,山麓扇状地に十分な森林帯があり, が必要である。自然の機構に準じてこれを考える そこで大部分の流木や土石流は停止し,拡散し, と,急斜面地帯では水制工に相当するような鋼柱 堆積していたはずである。しかしながら現在,扇 構造の配置(図・4)が,緩傾斜地では鋼柱ダムの 状地の多くは高度な土地利用地帯に変わっており, ような横工の配置が望まれることになる(図・5)。 ここでの拡散,堆積は許されない。そもそも扇状 この場合,上流では積極的に真っ正面で土石流を 地は土石流にブレーキがかかる堆積面であるので, 堆積させる構造よりも,流木を主眼に係留堆積さ 流木や土石流を受け止めるための森林強度はそれ せて,副次的に土砂礫をも停止させるような構造 ほど大きくなくともよいはずである。しかし,こ (柱の間隔を大にする)を考え,下流部で,大量な 林業技術No.6051992.8 14 1 図・4谷間の水制工的な低い鋼柱ダム 土砂礫堆積を図ることが肝要である。 図・5鋼柱ダムの形状模式図 森林地帯では,林木強度の補強さえ十分であれば ダムサイト以外の渓床での堆積増をもたらすた その必要はないことになる。従来,相対的に下流 めには,土石流の拡散を助けて堆積面を広げ,堆 で施工されている砂防工法と,森林帯で実施され 積勾配をも大にしなければならないが,このため ている治山工法との間に明確な差異が感じられな には放水路や水路断面をそれほど大きなものにす かったが,森林の堆積機能を補強する立場に立つ る必要はなく,また,渓床には森林を成立させた ことによって,治山工事の特色が現れるようにも ほうがよいことになる。つまり,渓床内に深いガ 感じられる。 リーを残すのではなく,災害前にあったような, 土石流に対して山地内で森林の停止機能がよく 人が飛び越せる程度の小川が流れる堆積床の形に 発揮されるのは,扇状地や谷幅が広い渓間部等で 復元することが望まれることになる。この場合, あり,いずれも土石流を拡散させ,流速を低下さ 弱い森林では復元が困難であり,再度の破壊が心 せやすい条件を有している地形箇所である。流木 配されるので,倒れないような立木構造の配置, 係留用の鋼柱ダムの建設適地と考えられる。ダム あるいは転倒しても係留機能を持つ構造物の配置, 堤体は低いが幅が広く,図・5に示すように袖の部 代替物としての鋼柱の配置等が必要となる。具体 分が段丘面上,あるいは斜面の中腹に達するもの 的には,林木強度の補強と過剰流木の処理とが問 (特に流路屈曲部の攻撃斜面)が望まれる。なお, 題になるが,中流部で土石流の拡散が可能な地形 ダムが段丘面上に及ぶとき,土石流が隣接流域に 箇所を選び,強い林木の代替物としての鋼柱群 溢流しないように袖の部分を上流側に曲げておく (帯),鋼柱ダムの構築による対応が考えられる。 ことが必要であろう。 いつりゆう 土砂礫の森林内への拡散は,森林にとっては災害 であるが,森林が加害者扱いをされ,また経済的 に高い,価値の土地利用を優先視する社会風潮下で は,このような措置も必要と考えられる。土地利 用の進んだ下流部では,その土地を守るため十分 な放水路断面を用意する必要があるが,上流部の 林業技術NO.6051992.8 ※第103回の林学会において発表した内容を骨子とし て,加筆,取りまとめを行ったものである。 (たけしたけいじ・九州大学農学部教授) 15 雲仙・普寶岳の土石流災害地における スーパースチールダムの施工について 後藤充明 1.はじめに 平成2年11月17日,198年ぶりに噴火した雲 仙・普賢岳は,平成3年6月3日の大火砕流で, 上流は起伏のある急峻な地形であるが,下流の 民有林は火山性扇状地を形成し,7%程度の緩や かな渓床勾配となっている。 死者・行方不明者43名を出す大惨事を引き起こし 当渓流は,火砕流の影響は受けていないものの, たのをはじめ,これまでの火砕流,土石流により 降灰による浸透能の低下と豪雨が重なり,昨年6 建物837棟が全半壊するなど甚大な被害をもたら 月30日に大規模土石流が発生し,橋の流失3基, している。 建物の全半壊20棟などの被害をもたらした。 森林でも,火砕流,火山ガス等により約2,100 渓床には,このときの流出土砂が不安定なまま haが被災しており,治山関係の被害も4月末で国 堆積しており,豪雨により再び土石流となって下 有林268億円,民有林132億円に達しているが, 流に被害を及ぼすおそれがあるため,早急な対策 火山活動は,現在も1日30万nfの溶岩を噴出し, が望まれていた。 火砕流を頻発させるなど活発な活動を続けている ため,被害はさらに拡大するものと思われる。 また,火口周辺の森林は,多量の火山灰の堆積 このため,国有林と民有林が一体となった復旧 対策が検討され,国有林37基,民有林5基の治山 ダムを基本とする全体計画が作成された。 3スーパースチールダム採用の経緯 により浸透能が低下しており,火山地域特有の, 小さな雨量での土石流発生が見られる。 そこで,林野庁および長崎県では,工事が施工 復旧計画にあたり,土石流による被害状況を見 ると,流木が橋を閉塞したことが被害を大きくし できる地区から順次対策を講じることとし,平成 ているため,全体計画の5基のダムのうち2基(2 3年度緊急治山事業として,24億円の事業費で治 号,5号ダム)は,流木対策を目的にスリットダ 山ダム10基を建設することになった。その後,警 ムとした。また,着工が11月と遅くなった3号, 戒区域となり工事を中止せざるをえない箇所も出 4号ダムについては, てきたが,3月末には,西川1基,湯江川4基の 治山ダムを完成させることができた。 ①大規模土石流が懸念される次の梅雨期まで に完成させる必要がある 湯江川の4基のダムのうち2基については,工 ②渓流内の不安定土砂は約30万nfと推定され 期短縮の必要性等から,鋼矢板治山ダム(スーパ るため,規模の大きなダムが必要である(工期が ースチールダム)工法を採用し施工したので,こ 長い) ③施工地では3∼4mの土砂が堆積しており, こに紹介する。 2.施工地の状況 湯江川は,普賢岳(1,359m)の北斜面に源流を 持つ総延長131mの渓流である。流域内の森林820 haのうち約40%が民有林で,標高230m付近か ら上流はほとんどが国有林となっている。 基礎地盤の支持力があまり期待できない ④水無川での度重なる土石流による土砂の除 去のため,土捨場の確保が困難になっている 以上の点を考慮し検討した結果,コンクリート ダムと比較すると,経済的にはやや高くなるが, 林業技術No.6051992.8 16 ¥ 一 、苫二口 爵 鯛 .、 L 凸 《 癖& 楓耐 勘蕊 幸 G で + 一 や 単 蝋 d‐ 写真.l第3号ダム施工状況 写真・3第4号ダム完成状況 ダ鱗= 蝉濯 岸 舩耐ヨO=−6皇2−−__ ’一 「 aCO l I 〃 写真・2最下段組立状況 図.l第3号治山ダム(えん堤)工断面図 G 勢至 1ZO駒C 戸フ ] 8 , . 4 0 −40011α〕 ザ ゴ ー 鐸 48.,7.201“ 3OBO 二 二 コ ≦ 13−20 240320160 γ 『ー 鰹8016−40応d4“ 図・2第3号治山ダム(えん堤)工構造図 次の利点を持つスーパースチールダムエ法を採用ある するに至った。 ②土石流の衝撃力に十分耐える ①組立作業が簡略化され,工期の短縮が可能で③コンクリートダムに比べ躯体重量が軽い 林業技術No.6051992.8 −1 ト 0 17 ④鋼製構造物としてのフレキシビリティに富4.設計方針 み,地下変形に対する追従性が高いスーパースチールダムは,上下流面の壁面材(鋼 ⑤現地発生材を中詰材として使用できるため,矢板)と中詰土砂が一体となって外力に抵抗する 床掘土砂および渓床の堆積土砂が利用できる構造物である。したがって,いかなる場合も壁面 材や中詰土砂は健全な状態を維持してお 事 前 工 事 く必要があり,巨礫の衝繋力に対しても, 「河 蕊司 |職灘澱鰯織驚’↓←│仮排水路の設侭| その大きさおよび特性から,壁面材の安 | ↓ 全性に十分な配慮が必要とされる。 「 堀胃 祠 |蕊繍蕊一『鋪葹王, 設計にあたり,100年確率の雨量強度 L一.…… 二三二二三x二重二菫二;………. ‐ 据付位置心確認 で計算した当渓流の土石流諸元は表・1 のとおりである。この値を基に衝撃力を │議篭蕊灘蕊瀧灘’ 「土石流対策指針(案)」(建設省砂防部) 瀧議難蕊灘鍵蕊I 等により推定したところ,土石流の衝撃 堤体工事 力は最高でも200t程度,また,土石流の │蕊灘艤蕊議鍵灘蕊 最大幅は約40mと推定された。 そこで,ダムの構造を検討した結果, │中詰材の投入,転圧’ ↓ 鋼矢板壁面材の断面は,土石流が直撃す 購溌蕊蕊蕊醗蕊一; ると想定される上流側の中央部40mに ついては1311Mnを,上流袖部および下流側 |間詰の施工 口c 想定幅40m間には隔壁材を8m間隔 一 一一一 灘二 一 I |夫端処理 亭 由 = 己 の については8nlnlとした。また,土石流の で設置することにした。 ダムの法は,通常のコンクリートダム 騨鍵磯議鱗瀧蕊議 に近い勾配とし,上流5分,下流2分と して天端厚等を決定した。 騨蕊認は鋼材組立てに関連する項目 中詰材の転圧は,中央部分はローラー 図・3フローチャート により,壁面材から1m範囲はタンパに 表・1土石流の諸元よる転圧とし,1層の転圧は,巻き出し厚30cI11の 土石流ピーク流量 1817nf/sec 5.0m/sec 土石流の流速 2.6m 土石流水深 1.5m 設計最大礫径 = ハ 衣・星 仕上がり厚25clllとした。 5施工上の問題点と検討課題 施工は図・3のフローチャートにより実施され スーパースチールダムとコンクIノートダムとの比較表 3号ダム (H=13.5mL=120.4m) 区 分 4号ダム (H=13.0mL=158.8m) スー弓パースチール|コンクリート(参考)|スーノ岸スチール|コンクリート(参考) 天 端 厚 6.3m 3.0m 6.3m 法 勾 配 鋼 材 上流5分下流2分 上流4分,下流2分 上流5分,下流2分 コンクリート 615.4t 1.050ITr 中 詰 土 ll,989両 工 事 費 271.663千円 工 期 178日間 3.0m 上流4分下流2分 7855t 8.072吋 232,695千円 1.534nf 15,150m' 9 , 7 3 5 I V f 355,207千円 297,860千円 1工区178日間 ?T灰148日間 林業技術No.6051992.8 18 たが,次のような問題が生じた。 ①上流法を5分としたため,壁面材の自重で内 側にたわみ,通りの修正に時間を要した ②中詰材には現地発生材を使用し,最大径はタ ④壁面材と通し材,壁面材と袖コンクリート, 腹起こし材の継手等,ほかの部材との接点は,溶 接し固定したほうが,施工および通りを保つため に良い イ材の間隔に合わせて60cmとしていたが,転圧の 6.おわりに 1層仕上がり厚が25cmであり,それ以上の礫が混 本工法は長崎県では初めての工法であり,発注 入した場合,作業が困難となるため,中詰材の選 者および受注者とも工事経験がないため,施工上 別が必要となった のロスがあり,期待したほどの工期短縮にはなら ③腹起こし材下部の中詰材の充填および転圧 に時間を要した なかったが,早く着工した同規模のコンクリート ダムや,同時に発注した半分規模のコンクリート ④含水性の高い中詰材や雨天時に施工した箇 ダムが,同じ時期に完成したのを見ると,工期の 所は,転圧がきかず,砂質土やセメント等を混合 短縮が図られたと考えられ,また,堆積土砂を中 し固化を図る必要が生じた 詰材に使用したことで渓床の整理もでき,本工法 ⑤基礎部は階段状に施工するため,横断傾斜が 急な場合階段力贈え,基礎・間詰コンクリート等 の施工に時間を要した 採用の効果はあったものと考えられる。 雲仙・普賢岳の火山活動終息後は,土石流対策 のため直ちに復旧工事に着手し,短期間に完成さ 以上のように,通りの修正,転圧等に時間を多 せる必要がある。また,火砕流堆積地での施工等 く費やしたが,組立作業は比較的簡単で施工性も を考えると,スーパースチールダムも有効な工法 良いため,今後は次のような点に注意し実施すれ であり,施工方法,歩掛等をさらに検討し,次回 ば,さらに工期の短縮が図られるものと考える。 施工の指針となるよう取りまとめ中である。 ①ダムの法はできるだけ直とするか,勾配をつ ける場合も2分程度までとする ②中詰材の最大径は,転圧の1層仕上がり厚と する 最後に,今なお避難生活を余儀なくされている 1,691世帯6,746人(6月30日現在)の方々の生 活を思うとき,1日も早く火山活動が終息し,平 穏な日がくることを願うものである。 ③基礎の階段をできるだけ少なくするか,斜め (ごとうみつあき・長崎県島原振興局林務課) でも施工できるよう施工方法を検討する 日本緑化センター発行 樹木医の手引き B5判,450頁,定価5,000円,7月20日発行 樹木医を目指す人々はもちろん,樹木の仕事にたずさわる緑化関係者の参考書。樹木の生理・ 生態から病害虫の診断と防除,松くい虫や獣害,気象害,大気汚染害の診断と防除,幹や根の外 科手術など,幅広く論述。ふるさとのシンボルである老樹,名木,巨樹,巨木林の治療,樹勢回 復に取り組む技術者の必携の書。 〔第1章樹木治療学概論/第2章病害の診断と防除/第3章虫害の診断と防除/第4章 松くい虫の診断と防除/第5意獣害の診断と防除/第6章気象害の診断と対策/第7章大 気汚染害の診断と対策/第8章土壌障害の診断と対策/第9章幹の外科手術/第10章根の 外科手術/第11章後継樹の保護・育成〕 申込先:財団法人日本緑化センター悪0【 林業技術No.6051992,8 東京都港区赤坂1−9−13三会堂ビル 03-3585-3561FAXO3-3582-7714 19 中国四大保安林の造成と地球環境保全 王長富 1.はじめに 孫の幸福,砂漠との闘争のため,などのスローガ “かけがえのない地球”をテーマとして1972年 ンの下で立派な造林地が拡大しつつあり,良好な 6月,国連人間会議がストックホルムで開かれま 成績を上げております。中国もそのような努力を した。会議を通じて‘‘人間環境宣言”が採択され 傾注している一員でありますが,造成実績からい てから,すでに20年になります。この間,各国政 うならば,前出の諸国よりも一歩先んじていると 府機関,国際機関および非政府機関等がいろいろ いえましょう。 な角度から地球環境保全対策を検討する会議を催 以下,中国の造林の実績を紹介いたします。 3.中国の四大保安林 し,科学者や政治家,一般国民も協力して,地球 の危機を救う態勢をつくらなければならないとい う理解は深まりました。しかし薮がら,地球環境 はますます悪化しつつあります。 2.深刻化する地球環境問題 四大保安林とは,“三北"防護林,海防林,長江 水源かん養林,黄河護岸林を指します(図・1)。 (1)“三北”防護林 “三北”防護林に関しては,『林業技術』1982年 今や環境は一国や一地区の問題ではなく,地球 8月号(No.485)に「中国の緑の万里の長城一 規模の問題です。いわば各国共通の課題であると "三北”防護林体系建設について」として紹介しま いえます。しかも,環境問題の大部分はみな森林 したので,ここでは第一期事業開始後の状況を記 と密接な関係を有しています。砂漠の問題にしろ, 述するにとどめます。 土砂流失の問題にしろ,野生動物の絶滅の問題に 1978年に始まった第一期事業は,1985年末まで しろ,みな森林の有無にかかわっています。ここ に9000万畝(15畝=1ha,約600万ha)余りの で注意しなければならないのは,各国が種々の対 造林を完了しました。国連総会において,この8 策,特に植樹・造林事業に力を入れてきましたが, 年間の努力が地球環境保護に貢献したと認められ, 成績は芳しくなく,FAOの推定によれば,熱帯 "国連環境保護賞"を授与されました。第二期事業 ムー 地域における毎年の造林面績は,減少する熱帯林 は1986年から始まり,10年間に9000万畝の新規 面積の約1/10でしかないということです。この局 造林と2000万畝の“封山育林(入山禁止林)"の 面をいかに打開するか/森林を回復させる努力 合計1億10()0万畝の計画を決定しました。完成の の中止は,あたかも人間が自ら墓穴を掘るのに等 暁には,森林面積は全地域面積の7.7%ぐらいに しいといわなければなりません。 なります。 我々林業関係者の立場からは,造林,育林,現 1981年2月の報道によれば,「三北防護林の第 存林の合理的経営以外に状況改善の手だてはない 一期工程で造成された森林は幾多の社会的,生態 と考えます。事実,もともと森林の少ない開発途 的,経済的効果をもたらし,これがために国土総 上国においても,最近は森林に対する関心が高ま 面積の41%の三北防護林地区に生気がよみがえ ってきています。例えばスーダン,セネガル,オ った」といわれています。計画が完了すると,約 マーン,アラブ首長国連邦等では,国土緑化,子 2億畝,すなわち約1350万haの,世界最大の保 林業技術NO.6051992.8 20 鴨緑江 溌聯 | ● >W 誹薑 北論河 戸更豊 図.l付置図 安林となるに違いありません。 中心とする平原地区,③岩石海岸を中心とする山 (2)海防林 地・丘陵地区に分類しています。各地区の状況に 最近,中国政府は“三北”防護林の造成方針を よって造林の目的も違います。例えば①は防風, 模範にして,中国沿岸に緑の万里の長城を築く雄 防砂,土砂流出防止,②は農地防風と潮害防除に 大な緑化計画を決定しました。 よるアルカリ地区の改良,③は土砂流出防止と水 これは,北は遼寧省の鴨緑江河口から南は広西 自治区の北論河河口まで海岸沿いに遼寧,天津, 源かん養が主な目的です。 第一期の荒野の造林は約2749万畝で,同期造林 河北,山東,江蘇,上海,漸江,福建,広東,広 面積の736%を占めています。農地防風林の造林 西といった省,市,自治区と195の県,市,区を は469万畝で125%を占め,各種の林帯の造林は 連ねた総延長18,000km,総面積3億7651万畝の 519万畝で13.9%を占めています。現在,森林面 地域にまたがる計画で,造林面績は5337万畝,第 積は対象地域総面積の24.9%で,第一期事業完了 一期は総事業量の70%,3737万畝の造林が予定 時には34.8%に達するよう計画しています。 されています。第一期は1988年から2000年まで, (3)長江水源かん養林 第二期は2001年以後となります。 “黄金水道"といわれる長江について,私は1978 計画地区内では従来,林業的関心があまり高く 年12月の『人民日報Iに“長江正在変成第二黄河 なかったので,林業用地はわずか1365万畝で (長江は第二の黄河に変わりつつある)”というテ 36.35%しかなく,大面積の荒野が残っています。 ーマで諭稿を発表しましたが,これは国の内外に そのため沿海防護林の造成は緊要な課題なのです。 大きな反響がありました。日本の朝日新聞社が派 防護林用地は海岸の地形・地質類型によって, 遣した記者のインタビューに答えたこともありま ①砂質海岸を中心とする丘陵地区,②泥質海岸を すが,日本の方が長江に関心を寄せているのを知 林業技術No.6()51992.8 21 って,実にうれしかったものです。 黄河,一筋は鉄道と道路です。簡単に"一河両線” 中国政府は国民経済発展“七五”計画で,長江 ともいい,具体的には黄河両岸に護岸林を,鉄道 中・上流に水源かん養林と土砂流出防止林の造林 と道路の両側に護路林(防護林)を造成するとい を決定しました。長江は中国第一の大河川で,全 うことです。 長は3,600k111もあります。流域は18省,市・自治 護岸林の計画地域は寧夏自治区の中衛県から始 区755県にわたり,面積は180万k㎡,国土総面積 まり山東省の東営市まで,寧夏,内蒙古,映西, の18.8%に当たります。ただし,本計画の対象区 山西,河南,山東等の6省,自治区を含んでいま 域は,江西省の湖口から始まり,12省,自治区645 す。全長3,()00km,幅10kn'(両側5kmずつ)の緑 県にまたがる162万k㎡であり,全流域面積の90% の林帯を造ります。この計画は1986年に始まり, に及びます。長江中・上流生態系の破壊は深刻で, すでに1990年に完成しました。これと同時にいま 土砂流出面積は1950年代の36万knfから80年代 だ緑化していない1万kmの鉄道の両側および30 には56万k『に達し,流域面積では20%から31.1 万k111(ともに1986年当時の数字)の道路の両側に %に上昇しました。毎年の土壌侵食量は22.4億t 緑の長廊になるよう造林します。万里鉄道に万里 で,このまま放置すれば長江中・上流域にある2 林を,あらゆる道路に緑豊かな並木をと,快適な 億畝あまりの農地は,40∼50年以内に半分以上が 交通環境を形成する計画です。 その農用価値を失うことになるでしょう。これは, 4.おわりに 中国はご承知のとおり発展途上の国です。国力 実に重大な問題です。 本計画は,三期に分けて実行されることになっ はいまだ貧弱ですが,このように大規模な保安林 ており,第一期は,まず森林の少ない,土砂流出 造成を連続的に実行しています。一国でのこのよ が深刻な144県を集中的に実行します。その総面 うな大規模緑化事業は,歴史_上例がないと思いま 積は1億1100万畝で,1988年から始まって今世 す。その推進要因はおおむね3つ挙げられると思 紀末までに完了する予定です。 います。第一に,生態環境の保護の重要性に対し, 専門家の推測によると,完成の暁には森林蓄積 中国政府は比較的高度の理解と認識を持っている げん は何億nfか増加し,百数十億元の価値を生み,森 こと,第二に,優れた社会体制の存在です。さも 林の総貯水量は何十億㎡にも達するということで なければ,民衆の力を結集することは難しいでし す。また,自然災害が少なくなることによって, ょう。民衆の力がなければ,こういう大規模な造 食糧の増産鐘は10億kg単位で見込まれています。 林はできないと思います。もちろん,友好国の援 特に,自然環境に対する影響は顕著であろうと期 助もあります。第三に,地球環境保護問題は人類 待されます。 共通の責任であり,中国人民は当然この大事業の “三北"防謹林の経験と各自の努力が,必ずこの 計画を完成に導くに違いないと思います。 第一線に立たなければならないという自覚を持っ ている,ということです。この事業は中国人民自 (4)黄河の護岸林 身の安寧のために必要であることはいうまでもな 黄河はご承知のとおり中国第二の河川です。た いことですが,このような重大な意義を持つ事業 だし,その含砂量は世界一です。“三北"防護林も 黄河に対し大きな影響を与えるのはもちろんです は,幾世代にもわたって続けなければならない遠 大な事業です。今後の経営にも幾多の技術問題が が,そのうえに適当な措置,すなわち,重点区域 出来するに違いありません。日本の林業技術者皆 に対しては特段の方法を取るべきであるという考 様のご援助を念願してやまない次第です。 えに立ち,中国共青団中央委員会,林業部,水利 (わんつあんふう・ 部,鉄道部,交通部等の共同で“両条線工程(二 中華人民共和国在住/林業経済研究所) 節工程)”というスローガンを掲げました。一筋は 林業技術No.6051992.8 22 今月のポイント 、夏の訪れを告げる、下町入谷の朝顔 市 花冠の紅色素は主としてペラルゴニン、青色素 るが、消費量は激減している。 ぺたにつけたりして遊ぶ。 咲く。子供らは、野に出て昼顔の花を摘み、ほっ ヒルガオは糖尿病に有効といわれているので、 る。アメフリパナ︵花が咲くころにはよく雨が降 ヒルガオは次のような別名でも親しまれてい 当研究室でも、その裏付けを取るべく実験中。 るために栽培するが、若い実は食用にする。夏の 顔﹂。長楕円形∼球形の大きな実を結ぶ。干瓢を作 る︶、花の形からチョコ︵猪口︶バナ、ツボッッラ 一方、早朝に咲く朝顔に対して、夕方に咲く﹁夕 はパエオニンである。 暑さで食欲が減退したとき、あのさっぱりした〃ユ ングサ︵根を焼くと膨れて柔らかくなり、カタク ︵壷っ面︶、また白い地下茎からの連想で、ソーメ 蝋くや夕顔落ちし夜半の音正岡子規 ウガオのカタクリあえ″は最高︵山形名産?︶。 リのようにおいしい︶。 には社会問題にもなってきている。 のような症状や病気が急速に増加しており、とき 花粉症、アレルギー症、アトピー症、最近はこ 夕顔の実の垂れくらし庭の奥五木幽風 一方、昼開いて夕方にしぼむ顔に﹁昼顔﹂があ る。夏が来ると、朝顔に似た淡紅色の小さい花が ところで、筆者は〃貧乏性″と宣告されて久し い。 貧乏性にかかっていると診断・判断・宣告され いつも問題にしている人ノ.それは女房。日曜日 たわけだが、自分にとってはなんら問題はない。 であっても朝早くに目を覚まし、静かに寝てはお れない。昨日のアサガオのつぼみはもうそろそろ チャに蜂が来て受粉をしてくれただろうか、もう 咲き出すのでは、今年初めて雌花をつけたカボ と、突然、貧乏性また始まったとドャサレル。 寝てなどおれない。そっと寝床を離れようとする オのつぼみ。膨らみ切って咲き出すボンとい 朝露にぬれている中で大きく膨らんだアサガ 抜け出す。 う音。あの一瞬が忘れられず、今口もそっと 林業技術No.6()51992.8 ダ アサガ刻 ! 粋なハッピ姿のオネエさん アサガオのつぼみ 1 : ノ 1 ・朝顔が貧乏症にした 藍か 座 23 風土と薬謂恒物.毒蕊 零 。 § 。 。 § 17夏の風物詩朝顔そして貧乏性の悩み 。 § 。 。 § ・ * 。 § 。 。 § 。 。 § 。 。 § 。 。 § 。 。 § 。 。 § 。 ( 明 治 薬 科 大 学 ・ 教 授 ) 奥山徹 入谷の朝顔市 わいを盛り返した新しい朝顔市は、今年でもう四 勝てず、下町名物は姿を消した。そして戦後、賑 まざまでも、夏になると恋しくなる。朝顔は、い 朝の喜びという意味を持つこの花は、好みはさ 英語でモーニング・グロリー。 十四回目。 東京は下町に夏の訪れを告げる 東京の夏の風物詩は、入谷鬼子母神の朝顔市で 白、赤、青、赤紫など色鮮やかなアサガオの鉢が、 始まる。鬼子母神を祭る真源寺の境内や通りには よしず張りの露天に並んだ。今年は、初日の七月 朝顔を結ひしこよりの濡れて咲く中村汀女 あなみづみづし一輪一輪木下利玄 朝涼しみ朝顔の花のいろよさの な清涼剤といえそうだ。 つの時代でも、私たち日本人にとって暑中の風雅 ふれた入谷。露天は約百二十五店。八日までの三 六日に足を運んでみた。相変わらず活気に満ちあ 日間で約十三万鉢が並び、約四十万人が集まった ﹁らっしやい/・﹂威勢のいい兄さんたちの掛 人間にも﹁あさがほ﹂という言葉がある。実に 朝顔に寝みだれ髪の櫛落ちぬ高橋淡路女 という。 け声、ハッピにねじり鉢巻姿の女性の呼び込みが 殿おはしませば、ねくたれのあさがほも 人間味を感じさせられる。 飛び交う。梅雨空の下、早朝から散歩に訪れたお アサガオを組み合わせた二千円前後の﹁あんどん 年寄りや浴衣姿の女性が品定め。色違いの四株の 一年草。中国から渡来し園芸植物として広まった。 朝顔は熱帯アジア原産、ヒルガオ科のつる性の 時ならずや御覧ぜんと引きいらる枕草子 これは、江戸時代から続いている伝統行事のよ 明け方に漏斗状の花を開くが午前中にしぼんでし 仕立﹂に人気があった。 ていたのを、地元の人たちが三十五年ぶりに復興 うに思われがちだが、終戦直後、それまで途絶え まう。朝咲くところからこの名があり、﹁東雲草﹂ 種子は﹁牽牛子﹂︵けんごし︶と称し、日本薬局 そのため﹁牽牛花﹂の別名がある。 ともいう。昔は陰暦七月七夕のころの花とされ、 させた催しとのこと。 朝顔栽培が最初に流行したのは、文化文政のこ 方にも記載されている生薬。粘液物質ファルビチ ろで、嘉永安政時代には朝顔の黄金時代を迎え、 までが変り花.変り葉を競い、熱中するようになっ それこそ百花線乱。大名、旗本から、そして庶民 ンを含むので、緩下薬として、通例粉末を配合剤 現市場品の大部分は中国からの輸入品となってい 回。また、分量を増やして峻下薬として用いる。 として用いる。一日分量○・一グラム、一日一∼三 治後期には十数軒の植木屋が並び、一軒五∼六百 入谷は朝顔作りに適した土壊だったようで、明 たという。 坪の土地を有していた。しかし、都市化の波には 林業技術No、6051992.8 24 村の物産も売っているのが楽しい。 だから遺品はないが、資料を集めて展示している。 完成して可能な限り’といっても敗死した人 なくてよかったと思っている。歯が無事だったか さんに遠慮して、やめた。今考えると、噛みつか たが、小さな材をいとおしそうになでている青柳 用いると響かれているのは間違っている、と彼は 念のためにいえば、完成段階で磨くのにトクサを 私は青柳さんの名人芸を見るだけで満足した。 どうかわからない。斧折樺だから..⋮・・ ども、街道時代からお六櫛を名産とした。木曽川 貝殻と鹿の角を見せた。櫛の平は貝殻で磨く。背は 薮原宿はもう宿場の面影を残していないけれ はここまで:.⋮という言い方はおかしいl笹 鹿の骨で磨く。江戸時代の、長年木とかかわってい しい響きの行政単位が多く残るからかもしれな と呼ぶ。私が木曽谷を愛するのは﹃村という懐か ギ派結成の端緒になった、という点で忘れがたい。 こじんまりとして美しいが、私はこの寺がアララ JR線薮原駅裏の極楽寺は、遠州流の池泉庭が た職人の、木を知り尽くした見事な工夫であった。 ひら となる。木曽川の源頭と称してよい。今、木祖村 川、味曽川、塩沢などがここで落ち合って木曽川 い。木曽には、全国的に消えつつある﹁ムラ﹂が、 島木赤彦、伊藤左千夫、斎藤茂吉らが当寺に来泊 みた鯰 下流から山口、大桑、王滝、三岳、開田、日義、 の小石が透けて見えるほど澄みきっていて水が清 切かは、川を見ればわかる。この辺りの川は、底 く峠路﹂としては、馬籠峠とともに最も美しく自 は魔所といわれたそうだ。今、木曽路に残る可歩 薮原から、古街道は鳥居峠を越える。この峠道 歌人の墨蹟を多く残しているのである。 したのが、文芸結社アララギ結成の機縁となった。 木祖、楢川、lなんと八つもある。 薮原は木祖村の中心だ。このムラは、木の村で おぽそ ある。冒頭の歌の麻衣も名産とした。笹川の谷を い。水が清いだけでは生活できないけれども、古 然が深い。残念ながら、私も二度しか越えていな 今も小木曽と呼ぶ。繁茂する山の木がどれほど大 くから木とかかわってきた木祖村は、木を大切に いが、春、秋は山麓から峠へ、一日で季節が変わ るのを見る。関東から参詣する御嶽講の人々は、 この峠で初めて御嶽山を見た。遥拝所の石仏群が し、大切な木を使って名産を作りあげた。それが 全国一のシェアを誇る織癖だ。 江戸時代からのお六櫛も作り続ける。名人とい 昔を語る。約六キロ、三時間l越えれば奈良井 木立の深い、美しい峠であった。 え叫ぶ。魔所と呼ばれた由縁であろう。まことに の宿である。この峠に風が吹くとすごい。山が肌 薩 われる青柳和邦さんを訪ねたとき、よく乾燥した 材料のオノオレカンバを見せてもらい、打ち合わ せると金属的な音がした。篭が折れるほど堅いと いう。どれほど堅いか噛んでみたい誘惑にかられ 林業技術No.6051992_8 街道名産お六櫛を作る青柳氏 鳥居峠御嶽遥拝所石仏 25 lAjの古道を詩く−木曽路5 薮原 義仲の故郷日義 可 小山和 (旅行作家) 士を多く出した中原氏が京都にある。明経博士は あきぎぬ 風越の峰よりおるる賎の男がきその麻衣まくり 律令制の大学で最高位の教官、定員一名だ。子孫 しずお 手にしてl袋草紙の一首が、木曽の庶民の風俗 は家学の明経道を守り、明治に至って貴族に列し かぜごえ をよく活写している。私は江戸以前の古道も難所 仕えて幕府高官となった人が幾人かいる。 たが、一族からは鎌倉幕府の創業を援け、頼朝に 馬越と呼ぶ。下流を御道開渡という。そこは朝日 兼遠の妻が駒王丸の乳母となった事情もわかりや 荘へ下り、土着して豪族武士化したと考えれば、 皇室の寺・仁和寺の下司︵荘官︶となって小岐蘇 脈寸 岐藤進、京都仁和寺領となった。中原家の一族が 一方、木曽には平安時代前期に荘園が成立し︵小 たず 盛山系かもしれない。 鳥居峠を越えたと思うが、あるいはもっと北の鉢 あんぷ なぜかというと、鉢盛と烏帽子岳の鞍部︵峠︶を おん 越えた向こう側、難健沢を下った最初の集落を御 村だが、伝説は木曽に挙兵した木曽義仲が鉢盛の おみちかいと 鞍部を越えて当地へ入ったので御馬越。ここで兵 密だったのである。 すい。源氏と中原家は右のように在京中から、親 まご ら御道開渡と呼ぶのだ、と。何ともすさまじい山 を鍛錬し、新道を切り開いて筑摩へ進んだ。だか 日義村に、徳音寺という禅寺がある。もと柏原 ある。木曽川の清流を右岸へ渡った、清楚な寺だ 寺と呼んだ。この辺りの地名が、柏原だったので ないが、朝日村側にそんな伝説がある。 越えで、武装した騎馬軍団が踏破できたとも思え ともあれ、木曽川の上流、木曽福島の北から鳥 が、木曽殿菩提寺という。本堂左手に、美しい入 居峠の南麓、薮原へかけては、高度が増しながら 谷は浅く、細長い河岸段丘に田園が広がるという 母屋造り桧皮葺きの古雅な義仲霊屋があった。 木曽街道は徳音寺の前で右へ折れ、そのまま木 ひわ穂ぷ 不思議な地形だ。この山深い田園に、木曽義仲が は、やや上流の巴渕で途切れて、細い旧道が渕を 曽川右岸の崖伝いに薮原宿へ達した。今その古道 みなもとのよしともよしかた 育ったことは間違いない。 義仲は源氏の総帥源義朝の弟・義賢の子とし 全に消滅していた。巴渕には義仲とともに戦った 渡り、国道へ合流する。巴渕から上流の古道は完 ともえ て生まれたが、二歳のとき、父が兄の勢力と衝突 し、武蔵の大蔵館で殺された。駒王丸と呼ばれた 勇婦・巴御前の館があった。その西の小山を山吹 掴さし この子が、一緒に殺されなかったのは、情けを知 山と呼び、巴とともに義仲軍の女戦士として平家 やがた る武将斎藤別当実盛らの計らいであったという。 物語に登場する山吹の館があった:⋮・土人のそん さねもり 駒王丸は母︵あるいは乳母︶の懐に抱かれ、木曽 な言い伝えを木曽路図絵は記している。日義村は ものひと の中三権守中原兼遠を頼った。駒王丸の乳母が、 義仲一色だ。今年の五月、徳音寺入口に義仲館を 跡ゆうきんどんのかみ 兼遠の妻であった、という伝は諸書一致する。兼 みようざよう 遠がどういう家系の人かわからないが、明経博 林業技術No。6051.9928 26 … / … ゥ 廻 墾 ノ ” … も/壺唾/”。⑨。e“垂 1.はじめに 千年の古都・京都を訪れる観光客の多くは,東 山の名刹清水寺に足を運ぶ。清水寺の背後には, ヒノキコシイ等の森林がうっそうと茂り9r清水の 舞台」として有名な本堂の姿を引き立てている。 現在の森林は,昭和9年の室戸台風のためほと んどの立木が倒伏した被害跡地に,大阪営林局が 多大な経費を投じて植栽したヒノキ,アカマツ, シイ等が成林したものである。被害直後は,風致 面から復旧が大きな問題となった。 今,一年中緑に覆われた姿に回復した清水山は, 静かなたたずまいを見せている。被害の状況や風 写真.l室戸台風で壊滅的な被害を受けた清水山 (昭和9年10月撮影) 致に配慮した復旧事業,そして復旧を担当した当 時の技術者が目指した姿とはどのようなものだっ 昭和9年9月21日朝,近畿地方を襲った室戸台 たのだろうか。本稿では,当時の資料に基づきそ 風は,京都市での最大瞬間風速が42.1m,総雨量 の経緯や工夫等について紹介する(注:清水山国 22.1111111という非常に強い典型的な風台風で,平均 有林は,現在名称を「高台寺山」に統合されてい 時速約751(111で駆け抜けた。そして,京都東山一帯 る ) 。 に大きな傷跡を残した。 2.清水山の概要と台風前の森林 林地には風倒木が高く折り重なり,足を踏み入 標高242.5mの清水山は,京都市東山区に所在 れる余地もないという状態であったが,2日後の する高台寺山国有林(約76ha)の一部で,いわゆ 23日から被害状況の調査が行われた。それによる る東山三十六峰の1つの峰にあたり,境内に接し と,清水山(国有林部分)での被害面積は11ha, た部分以外はすべて国有林である。清水寺の東側 被害木は6,100本,3.400㎡に上り,また,山麓の に位置し,京都市街地からの景観には欠かせない 清水寺境内林の被害も4ha,1,000nfに達してい 存在で,音羽山とも呼ばれ古くから人々に親しま た 。 被害の形態は,アカマツには折損が,ヒノキ, れている。 台風被害以前の清水山の森林は,樹齢80∼350 年のヒノキ人工林にアカマツ,シイが混交したも シイには根倒れが多く見られた。ヒノキ等は樹冠 がアカマツ等に比べ発達しているため,風圧を強 のが中心であった。シイは成長が旺盛なうえ,標 く受けることと,その割に直根の伸張が少ないこ 高200m以下の区域ではヒノキよりシイの稚樹 とが関係しているものと考えられる。 のほうが多く見られたため,やがてはヒノキ林か 台風直後の10月に撮影された写真を見ると,そ らシイ林に移り変わっていくと考えられていた。 の惨状がよく理解されよう(写真・1)。左側のヒノ 3.室戸台風の被害状況 キ林はあまり被害を受けていないが,これは風の 林業技術No.60519926 27 通り道からわずかにそれていたためである。 当時の営林局広報は,「緑の布団をはぎ取られ た」と表現しており,それまでの落ち着いた古都 るのにふさわしい林をつくる (3)今回の台風の被害にかんがみ,できるだけ 複層林を造成する の景観が一瞬にして壊滅状態になったことが推察 (4)丈夫な森林を育成する される。 (5)社寺の森厳を保つことに深甚の注意を払う 大阪営林局は,京都東山の中でも清水山の被害 5.造林と保育 地の処置が,風致上および民家への危険防止上最 この計画に基づき,3月1日から植栽を開始。 も重要であると判断し,京都営林署管内でも最初 山麓にはシイ,カシを,また中腹以上にはアカマ に復旧作業に着手した(10月6日)。 ツ,ヒノキを主体に,ヘクタール当たり 被害箇所が風致上重要な位置にあるうえ,寺院 6,000∼7,000本を植栽し,さらに風致樹種のカエ や民家に近く,参詣者や観光客が絶えないことか デ,サクラも加えた。舞台正面に近い部分は,堂 ら,伐木造材および運材は困難をきわめたという。 宇の森厳を保持し付近との調和を保つため,樹齢 伐採は,林地を傷めないよう根株の処置まで細 8年で長さ1.5mもの大苗1,000本を植栽。その 心の注意を払った。萌芽する広葉樹は地上の高さ 苗木は,6km余り離れた京都山科の最奥部の安祥 で伐り,稚幼樹は極力残すなど,被害前の植生を 寺山国有林から鉢を付けて掘り取り,大八車で運 できるだけ残す方法がとられた。 搬した。清水山における総植栽本数は51,790本に こうして,清水寺舞台の正面部分の整理は昭和 1()年1月下旬に完了した。 4.復旧造林計画 大阪営林局は昭和10年1月,清水山の復旧造林 計画を策定。被害前の森厳な環境に復旧するため, 多少のアカマツやシイカ苫交じったヒノキ林を仕立 てることを目標とし,各種の方法を採用した。 その主な内容は,植栽樹種はヒノキ,アカマツ, 上った。 さらに,11年度には,京都市街地からの景観に 配慮するため,市内数カ所から植栽の必要な箇所 を探し,手旗信号により指示するという方法を採 用し,万全を期した。 この復旧事業遂行のため,時の大阪営林局長三 宅發士郎氏は,住居を京都市に移し,陣頭指揮に あたった。 スギ,モミ,シイとし,風害前の榊目が再現でき 昭和14年度検訂の京都事業区施業案説明書は るよう,樹種選定および植付けを行う。植付けに 復旧状況について,「遠方から見ると目立たなくな あたり,舞台正面に近い部分には植付け本数を多 っているが,旧態に回復するには前途遼遠である」 くし,舞台に近くなるほどヒノキの割合を高める, と述べているほか,同施業案の森林調査簿の林況 などであった。 柵には,「昭和9年風害地,スギ,ヒノキ,アカマ この復旧造林計画を京都市民等に理解してもら ツ,モミ,シイ,ヤマモモ植栽,生育良好,著し うため昭和10年1月30日,大阪営林局は京都市 く林相回復せり」とあり,同じく,将来施業要略 役所を会場とし,京都府知事,京都市助役,八坂 欄には,「清水寺の風致上関係最も大なるものに付 神社宮司,清水寺管長,京大教授等の関係者43名 ヒノキ及びシイを混交せる旧榊目に復旧せしむる の出席を得て,東山風致復旧計画座談会を開催し 様施業するを要す」と記載されており,順調に復 た。座談会では,まず被害報告を行い,その後, 旧が進み,取り扱いも風致的な面に考慮している 風致計画方針について協議した。その結果,次の ことがわかる。 方針で復旧にあたるとの結論に達した。 (1)森林の分布および組成状態を被害前の程度 に維持する (2)市街地からの遠望とともに,林内を散策す 6.現況と今後の取り扱い 現在の清水山は,全般にややシイの多いヒノキ 林という印象を受けるものの,林冠が発達した落 ち着きのある林相となっている。写真・2は,平成 林業技術No.60519928 28 境内等で行ったアンケート結果によると,清水山 の森林から受ける感じ(複数選択回答)は,①清 水寺の古い建物と調和して美しい,②緑がたくさ んあり心地良い,③背後の森林によって清水寺の 奥深さが感じられる,の3点がいずれも過半数を 占めるなど,高い評価を得ていることがわかった。 この森林には,土砂流出防備・風致保安林,歴 史的風土特別保存地区,都市計画風致地区等の規 制がある。変化を求める声もあるが,施業にあた ってはこれらの規制のクリアが必要で,実際には 写真・2約60年を経て見事によみがえった清水山 (平成4年1月撮影) 景観を大きく改変することは難しいというのが現 状である。 現在の清水山はヒノキの生立本数が多く,形状 4年1月に当時の被害写真と同位置から撮影した 比の高い部分が見られるので,弱度の間伐を実施 ものである。 し,諸被害に強い健全な林分にする必要がある。 昨年行った林相調査では,ヒノキは全域で平均 また,清水山の林内歩道を利用して,頂上部, 的に生育しているが,シイは中腹以下に多く,山 将軍塚あるいは円山公園方面へと散策する人たち 麓に近い所のシイは,ヒノキの樹高を3∼4m上 が見られることから,歩道を整備したり林内をも 回る17∼18mに達するものがあった。 っと明るくするなど,林内での快適性をさらに確 プロット調査ではヒノキのほうがシイより3割 保することが望ましいと考えられる。 程度多いが,1本当たりの胸高断面積合計はヒノ 7.おわりに キ330cm;,シイ500cnfであった。また,本数と胸 清水山などに大被害をもたらした室戸台風の襲 高断面積合計を比べると,ヒノキで斜面上下の違 来から,約60年が経過しつつある。跡地整理,造 いはあまりなかったが,シイは標高200m前後と 林と,復旧には多大な労苦があったことが当時の 山麓付近で,本数の割に大きな胸高断面積を示し 記録からうかがわれ,その成果である現在の姿は, ていた。 被害後の速やかで適切な復旧が,森林をよみがえ 清水山は,シイのよく拡張した枝が,ヒノキに 覆いかぶさっていたり,斜面上部のヒノキを隠し らせ風致景観の再椛築を可能とすることを示して いる。 ているため,林内から見た林相とは異なって見え 復旧にあたられた諸先輩に対し,あらためて敬 る。明るさや色調によって感じ方は微妙に異なる 意を表するとともに,一昨年,昨年と台風の被害 ものであるが,舞台から見る清水山は,シイの占 を受けた各地の森林が,着実に復旧されるよう願 める割合がかなり高く,森林に深みが感じられる。 うものである。 清水寺法務・庶務部長の森孝忍氏は,「被害以前 (まつうらやすたけ・大阪営林局計画課) はヒノキ,スギ,マツなどの大木力:相当あり,深 山幽谷という表現がふさわしい景観を呈していた そうです。台風でその姿が失われたのは,非常に 残念です。営林局署の尽力により,現在の立派な 森林が復元され,うれしく思っています。清水寺 は,森林があってのものです」と話している。 また,清水山の印象や望む姿について,清水寺 林業技術No.6051992。8 参考文献 大阪営林局編:東山国有林風致計画,昭和11年9月 29 露へ@回ざ趣園一親林活動をサポートする EB。写真を教材として生かそう/- 風と木と(巳) 石井實 前回は自然の作り出す櫛│夢をご覧いただいた。 る。家を囲む樹木がどの側にあるかによって,当 今回は風と暮らしということを考えてみたい。あ 然のことながら風向を知ることができる。防風林 る季節に一定方向からの強い風を受ける所では, は強風を受ける地域の人々が作り出した家屋の着 風を防ぐための防風林(屋敷森)の発達が見られ 物かもしれない。 写真・’畑を囲む林。北海道 上川郡清水町(1991.08.27) − − − 写真・2那須山蝿 の屋敷森,背後の 那須連峰はまだ冬 の姿である。栃木 県那須町広谷地付 近 (1975.0406) 林業技術No.6051992.8 30 写真・3強い風は乾燥しきった畑の土を飛ばす。東京都練馬区石神井(1979.03.11) 『 一 口 一 ' 写真・5五日市街道を挟み込 むように続くケヤキ並木。私 の好きな武蔵野らしい風景で ある。東京都国分寺市並木町 (1988.06.1()) 一 一 碁 , 誰 ‘ 墨矧 、 ー の ‘.=識 ー ‐ 写真・4写真・3のように強い風による飛砂防止のために,東西方向に植えられた茶樹の 列。これはかつては自家用に製茶していた。風上側は飛ばされた土で盛り上がるという。 写真上の森(樹種はケヤキが主)の中に農家がある。東京都小平市小川(199205.06) 林業技術NO.6051992.8 3 ] 写真・7谷から吹き上げる谷風を防ぐため,谷側に樹木を育てる。長野県遠山郷(1987.07.13) 林業技術No.60519928 32 写真・8冬の風は冷たく強い。そのため風上側に植樹する。古い家ほど大きな屋敷森を持つ。森のようすから家の新旧もわか る 。 富 山 県 黒 部 町 ( 1 9 8 7 . 0 4 . 3 0 ) r一一一.→ ‐一一‐. .。. 一一 .ママ一七.‐ ヰーーマーーョ |砺波や出雲でも屋敷森は姿 |を変えてきている。サッシの’ I普及により,家屋への風の吹| Iき付けを人々が昔ほど気にし |なくなったせいだろうか。ま’ }た,ぐるりと屋敷を取り巻いI :た森は,内部を暗くするため’ 1か減少してきたようだ。出雲 Iではマツクイ虫の被害も見ら1 1れるという。 i砺波の屋敷森の樹種は,ス| iギ・アカマツ。アスナロ・ケI iヤキ.ウラジロガシ.ネズ.| :タケなど多種類である。 L_←.__‐_‐‐‐‐--..---.--_‐‐‐‐_‐‐_‐_‐‐_-−−− 写真・9写真・8と同様に屋敷全体を取り囲むように屋敷森が見える。これは冬の 風と立山から吹き ドリるフェーンを防ぐためといわれる。フェーンは高温の風を もたらし,しばしば火災を起こすことから散村力溌達したともいわれている。この 写真は四方から錨膠したもののうち,南側からのものである。富山県砺波市高儀新 (1979.10.10) 林業技術No.6051992.8 33 … 写真・10砺波の散村とともに日本を代表する出雲平野の散村。両端がやや盛り上がった築地松(ツイジマツ)が美 しい。後方の山地は島根半島。昨秋(1991)もう一度このような写真を撮りたいと思って出かけたがだめだった。 写真を撮ることは1回勝負かもしれない。島根県斐川町の国道9号線から(1968.10.05) 写真・11奄美大鳥の南 東で集落全体が森の中 にあった。この村の位 置も名称もわからなく なってしまった ( 1 9 5 4 . 0 8 ) 写真・12沖縄の古い集落のフク ギの屋敷囲い。琉球大学の島袋 伸三教授のご教示によると,フ クギは一般にr福木」の字を当 て,防火上も有効であり,近年は 街路樹としても利用されている とのことである。那刷の南東の 汀間(ていま)集落(1983.10.10) r‐ 表一一一‐‐‐‐‐---←---←-←-−←−‐. ‐− ’風については,愛知大 ’学の吉野正敏教授の『風 |の博物誌』(1991,丸善) |の美しい写真と文をご覧 Iいただきたい。 L‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐_‐_‐‐‐-‐‐‐‐‐.‐‘ー (いしいみのる.日本文化大学法学部) 林業技術No.6051992.8 34 会員の広 場 ある不成績造林地の反省に立って, 赤井')の合自然的森林施業に真剣 に取り組む必要があろう。 岐阜県寒冷地林業試験場では, 地元木材業界からの強い要請もあ って,早くから有用広葉樹林の育 成に取り組んできた。それらの成 噛 果については,戸田ら2)をはじめ, 山口ら3)や中垣ら4》野中ら5)によっ て,すでに報告されている。 飛騨山地における有用広葉樹林の育成 一林型区分と混生林の間伐効果 とだせいすけ 戸田清佐 筆者は「民有林の広葉樹賦存状 況調査資料』を基に,飛騨地域に おける林型区分を行った。また, 16年を経過した間伐試験地につ いて,施業効果の大きいことを再 確認したので併せて報告する。 1.はじめに 飛騨山地は,岐阜県の北部に位 飛騨地域には,現在約170千ha 岐阜県は,県下各地に広葉樹施 の広葉樹林が成立しているが,そ 業モデル林を設定して普及に努め 置する総面積333千haの山岳地 の多くが二次林となっているため, てきたので,現在有用広葉樹林を 帯で,東西を北アルプスと白山連 小径で利用価値の低い,いわゆる 対象とした育成天然林施業地は, 峰によって挟まれ,その中央に丘 低質林となっている所が多い。 すでに約5千haに達している。 陵地形の高山盆地がある。 高山市には,飛騨地域の豊富な 一方,人工林は拡大造林により 2.樹種構成による林型区分 93千haに達しているが,度重な (1)調査方法と解析の考え方 広葉樹資源を背景に早くから木材 る豪雪によって大きな被害を受け, 岐阜県は地域森林計画の策定に 産業が発達し,今日では全国有数 成林の危ぶまれる所も少なくない。 利用するために,1981∼85年に民 の木工家具産地としてその地位を 適地の選定に誤りのあったことも 有林の広葉樹賦存状況調査を行っ 確立している。しかし,ブナやミ 事実であるが,多雪地帯における た。調査林分数は全県で1,103林 ズナラを主とする広葉樹林は,戦 大面職の一斉造林に基本的な問題 分に達しているが,この中から飛 後急激に伐採が進み,現在では原 のあることを認めないわけにはい 騨地域の1市2郡(15市町村)に 材料の大半を東北地方や海外に依 かない。公団・公社等の機関造林 は,多雪地帯において拡大しつつ 対象として使用した。 存する状況になっている。 おいて調査した302林分を解析の 飛騨地域の広葉樹林は,すべて 冷温帯落葉広葉樹林であり,植生 類型の上から見ると,いわゆるミ ズナラ,ブナクラスの中に分布し ている。そしてこれらは,さらに ブナ・チシマザサ群落とミズナラ 林に分けられることから,それぞ れについて,上層木の樹種構成と 立地環境の関係を検討し,特徴を 明らかにしようと考えた。飛騨地 域の主要植物群落6)を図。lに示し 写真.l育成天然林施業地(不用木除去),荘川村 林業技術No.6051992.8 たが,ブナ・チシマザサ群落は西 35 会員の広場 れらを参考にし,分布の最も多い 混生林を対象にして間伐施業を実 施した。 凡 例 伐期における平均胸高直径を ミズナ ラ林「ヨ アカマ 35cm,30cm,25cmに設定した ツ林Immm ときの立木密度を,300本/ha,400 ブナ・チシマ ザサ群落F壽可 本/ha,500本/haにそれぞれ想定 ダ ケ カ ン パ群落E三三ヨ シラピソ・ト した。間伐は弱度に繰り返すのが ウヒ群団■■■ 理想であるが,省力化するため一 度に強度な間伐を行った。 試験地は荘川村一色の標高 1,000m,方位NW,傾斜20。,土 壌型BJD,A層の厚さ25cm,積雪 図。l飛騨地域の主要植物群落(岐阜県の現存植生図) 深200cmの薪炭林跡地の再生林 である。 北部の豪雪地帯に広がり,ミズナ の一部の樹種に限られている。ま ラ林は中南部に主として発達して た,上層木の中にはその他広葉樹 いる。 主要な樹種は,クリ,ホオノキ, ヤマザクラ,ミズキなどで全樹種 の占める割合がほとんどゼロとい は14種に及んでいる。間伐にあた (2)林型区分と立地環境 う特徴があり,南向き斜面によく っては,有用樹種の中で形質の良 飛騨地域の広葉樹林は,上層木 発達する。 好なものを残し,そのほかは下層 の樹種構成から,次の4つのタイ プに区分して取り扱うのが適当で ミズナラ林は,コナラ林に次い 木まで伐倒した。間伐は1974年 で純度が高いが,平均値で70%を 10月に実施したもので,1試験区 ある。つまり,上層木の中でコナ 占めている。全体では12%の分布 の大きさは0.1ha(20×50m)と ラが50%以上の本数を占める林 しかないが,コナラ林よりもその した。 分をコナラ林に,ミズナラが50% 他広葉樹の混生する割合が高い傾 以上を占める林分をミズナラ林に, 向がある。 同様にしてブナ林にそれぞれ区分 ブナ林は高齢林にしか純林が見 調査は数年おきに継続して実施 しているが,樹高,胸高直径のほ かに樹幹の太さを地際から1m した。そのほかに多数の樹種が混 られないが,全体の9%の分布が 間隔に6mまで測定して,全幹材 生した林分を混生林とした。 認められた。ブナとよく混生する 積と区分材積(0.3∼6.3m)を求 のはミズナラ,カエデなどで,こ めた。 混生林は4タイプ中では最も多 (2)間伐後の成長量 である。この中で有用樹種のミズ れ以外の有用樹種は少ない。また, ブナ林の出現する方位は,いずれ の群落においても東向き斜面に多 ナラ,クリ,サクラ,カエデなど い傾向力認められた。そのほかシ る。試験区別の平均胸高直径につ の占める割合は約60%で,その他 ラカンバ等の純林が5%程度成立 いて比較してみると,間伐区はす 広葉樹(リョウブ,シデ類,ソヨ している。 べて20cmを超えているのに対 く,全体の40%を占めており,上 層木の平均成立本数は約1,500本 ゴ等)が約20%も占めている。ま た,混生林は標高1,000m以下に しか分布しない特徴を有している。 コナラ林は全体の34%を占め 3混生林の間伐効果 間伐前後と16年経過後の調査 結果を示すと表.lのとおりであ し,無間伐区の上層木は17cmに (1)試験地の概要と調査方法 も達していない。300本区では平 広葉樹二次林の本数管理につい 均胸高直径の増加鐘が10.0cm, て,基準を示したものとしては, 500本区でも8.8cmであるのに, 無間伐区では4.8cmしかない。 ており,混生林に次いで多い。な 柳沢7)の示したReinekeの回帰線 かでも純林に近いものが多く,混 や菊沢8)のミズナラ林の収穫予想 ヘクタール当たりの材積成長量 生する樹種もクリやミズナラなど 表があるにすぎない。そこで,こ について見ると,間伐区では間伐 林業技術No.6051992.8 36 会員の広場 表・1間伐後の成長量 間伐直後 間伐前 材積 平均鰯高 300本区 1.910 400本区 1 . 7 ㈹ 500本区 無間伐区 2.010 伽馴愉伯 1 11 試 験 区 本数/ha ( I T f / h a ) 直径(qII) 本数/ha 2,300 ロ 16年経過後 材潰 均胸高 直径(師) (nf/ha) 賢 ( 鵬 ) 平均閲高 径(師) 顎 濡 、 成長率 ( % ) 『 10.2 270 25.7 14.3 87.6 24.3 3.9 7.9 10.4 370 37.4 143 1 1 3 . 1 23.5 4.5 6 . 7 1 0 . 4 510 41.4 13.0 1228 21.8 50 6.8 9.7 2,300 113.0 ( 1 1 . 8 ) 1552 ( 1 6 . 6 ) 2.6 2.0 ()内は上層木の値。成長率はライプニッツ式を利用 本数/ha 1 0 2 10 本数〆''ha │ 0 3 '0 I O 2 10 ' 0 3 j 材積/嫡耐 く 間伐 前 '0 300本区 ’ 400本区 90 1974 j 材積/鮨げ く 0 0 ’ 5 0 0 本 区 無 間 伐 区 注ら曲線上の数字は胸高直径を示す(単位Scm) 図・2Y-N曲線に見る間伐効果 によって一時的に材積が大きく減 (3)Y-N曲線に見る間伐効果 が20cm以上の本数と材積は,無 少したが,16年後には300本区を 除いて間伐前の材積に回復してい 間伐の効果について検討する場 間伐区が200本/ha,50nfである 合,間伐前後の林分のYN曲線 のに対し,300本区は240本/ha, る。年平均の成長堂は,300本区で を書けば,林分構成まで明らかに 90nf,400本区は280本,110nf, 3.9nf/ha,500本区は5.0nf/ha することができる。直径階の大き 500本区は310本,120㎡,と読み に達しており,無間伐区よりかな いものから本数と材積をそれぞれ 取ることができる。また,無間伐 り大きい。 積算して,全対数グラフに落とし 区の最大径級は26cmであるの たものがY-N曲線であり,荘川 対し,間伐区では32∼34cmに達 また,単木当たりの材積成長率 について見ると,300本区は7.9 試験地の結果を示したものが図・2 していることなどから,間伐施業 %に達しており,無間伐区の約4 である。 の効果が広葉樹の場合でもかなり 倍に上昇している。 林業技術No.6()51992.8 この試験地において,胸高直径 大きいと認められる。 37 会員の広場 表・2二番玉までの採材本数と末口径・材積 元 玉 ラ林等についてもほぼ同程度の効 果が期待できるのではないかと考 二 番 玉 試験区 本数/ha 末口径 ( 伽 ) 材穫 300本区 200 25.0 20.8 400本区 500本区 2 2 0 24.2 21.4 240 23.7 22.7 無間伐区 90 21.5 7.0 0 05 00 7 16 114 (m'/ha) 本数/ha 未口径 ( q n ) 材積 (m'/ha) 23.2 1 5 . 3 230 2 3 . 1 14.2 21.0 29 えているが,試験地を調査して次 の機会に報告したい。 (│伎阜県寒冷地林業試験場場長) 13.5 参考文献 注:元玉(0.3∼2.4m),二番玉(2.4∼4.5m) (4臓幹区分材積からの採材本数 の推定 ) 2 戸田清佐ほか:有用広葉樹の育 成技術に関する研究(1),岐阜寒 林試研報Nu5,1982 山口清ほか:万波山林におけ るブナ天然更新に関する試験, 岐阜寒林試研報N06,1983 中垣勇三ほか:育成天然林施業 の間伐効果と施業技術に関する N0597,1991 区分材積を求めて,二番玉まで 林でも間伐すれば肥大成長が著し の採材可能本数を算出して示した く促進されるので,利用伐期を大 のが表・2である。ブナやミズナ 幅に短縮することができる。また, ラ,ミズメなどの家具用材は,30 有用樹種とその幹の形質が良好な CIn以上の径級になると高価格で ものを保存することから,林分の 取引されるが,クリやホオノキ, 質的向上が大きい。 ) 3 l ) 研究,岐阜寒林試研報恥9, 1986 ただ,300本/haというような 利用できる。そこで,末口20cm 強度間伐を一度に行うと,クリや 以上の2.1m材を採材した場合 コナラ,ミズナラなどは後生枝を の本数と材積ならびに平均未口径 発生させ,幹の形質を著しく損う を,元玉と二番玉別に試算した。 場合がある。したがって,この試 これによると,間伐区間には差 赤井龍男:林業技術の再椛築 一転換期を迎えた内外の林業 生産技術から,林業技術 4.おわりに 以上の結果から,広葉樹の混生 ミズキなどは20cm以上で十分 ) 1 験地の結果から総合的に判断する は見られないが,無間伐区との差 と,30年生前後の広葉樹混生二次 は本数,材積とも約3倍に達して 林の間伐は,500本/ha程度が適 いる。 当といえる。また,ブナやミズナ ) 5 ) 6 ) 7 ) 8 野中一男ほか:16年生コナラ原 木材の施業と原木生産,岐阜寒 林試研報Nn10,1988 岐阜県現存植生図,岐阜県,1977 柳沢聡雄:広葉樹林とその施業, 地球社,1981 菊沢喜八郎:広葉樹二次林の林 分織造と生長堂(1),北海道林試 報17号,1979 『森林官」等の愛称の決定について 林野庁では,「国有林野事業の改善に関する計画」に即して,国有林野の管理および森林施業を 一体的かつ効率的に進める観点から,平成4年4月に国有林野事業第一線の組織である担当区事 務所を「森林事務所」に,また担当区主任を「森林官」に,それぞれ改めました。 これを機に,国民共通の財産である国有林が国民の皆様により親しまれるよう「国有林の顔」 として森林事務所で活躍する「森林官」,「所員」の愛称を広く募集を行いました。 その結果,全国より4歳から89歳までの皆様から3,453点の作品の応募があり,親近感のあ る,明るいイメージの愛称について,林野庁内で選考の結果,下記のとおり決定しました。 この愛称については,7月1日より使用を開始し,国民の皆様 に親しんでいただけるようポスターの掲示等を行い,使用定着を 図っていくこととしております。 記 ○愛称:フォレスター ○応募者:岩田昌人氏ほか153名 PR.用カード 林野庁業務部経営企画課経営改善班 林業技術No.6051992.8 38 農材篭 むかし,むかしの報い であってみれば,超低価格を嘆く のも当然の話であり,それがまた 低賃金となって山の働き手が山か ら逃げ出し,新卒者は目もくれな い結果となって,労働力不足にい っそうの拍車がかかる。また,山 村の過疎化も必死の村起こし策を わが国林業界の人手不足は,年 を追うごとにその深刻さを増して おり,そう遠くない将来に林業が 壊滅せざるをえないところまで追 い込まれている。総務庁のr国勢 調査」によると,平成2年の林業 就業者数は11万1000人,昭和50 年の17万9000人に比べ6万 8000人も減っており,加えて年齢 椛成では50歳以上が昭和50年の 36%に対し,平成2年では69% と急激に高齢化が進む。こうした 事態を補うはずの新牽者の林業へ の就職は,文部省調べで昭和50年 の474人に対し平成2年ではわず か229人と半減している。その要 因を愛媛大学のアンケート調査で 見ると,1位が重労働,2位が低 賃金,3位力麺年就労困難の順と なっており,こうした就労条件の 劣悪さが克服されないかぎり,今 後林業の担い手を確保することは 困難を通り越して不可能であろう ことは,林業当事者自身が骨身に しみて承知していることではある。 林業関係者はこうした事態の要 因として,長期にわたる材価の低 迷と山村の過疎化を挙げる。たし かに,国産材価格は昭和55年をピ ークに,その後の建築需要の大I隔 な減退や円高の急速な進行などか ら急激に下落し,特に米材とモロ に競合するスギ材の価格は40% を下降,昭和55年には40,000 円/㎡のスギ中丸太が63年には 24,000円まで下落,その後回復す る兆しも見られたが,現在に至る も25,000円程度での足踏み状態 さまざま識じているにもかかわら ず,いっこうに歯止めがかからず, 人口の減少と高齢化は今日も続い ているのである。でもその遠因や 下地は林業当事者にあったのでは ないだろうか。少々昔話をしてみ たい。 戦後の昭和20年代から30年代 の林業界は,戦争の復興資材とし てきわめておう盛な木材需要に対 応しての木材生産活動と,これに 伴う拡大造林は多くの労働需要も 創出し,若く有能な人々を吸収し て活気に満ちあふれた山村は,若 者の談笑が山野にこだましていた, いわば林業の黄金時代でもあった。 こうした時代の林業経営サイドの 労働雇用に対する考え方や労働条 件はどうだったろうか。国内の多 ー 織識憾識潟祷蕊鴬瀧裟’ 森林と魚 緑化面積と魚介類水揚げ高の推移 t │,800 1 , 7 1 6 t j 1 , 6 0 0 1,400 1,200 800 600 400 200 0 恥一m一m|理 1,000 ル、/ /v 魚憧ノ .←_/,92ha −−ス7Tj草本緑化面積 /八八/、/vV-ノ翌堅 八 ハ 緑化面積 4隻諄き崇手F託Y -2830354045505560元年 注)緑化面積は累年施工面積 林業技術No.6051992.8 森林と魚というと,一見何の関 係もなさそうに思えるが,実はた いへん深いかかわりがある。昔か ら日本では海岸の森林を伐採する と魚が捕れなくなり,逆に森林を 育てると漁獲が増えるといわれて いた。 北海道襟裳岬は,かつては豊か な緑に覆われ,魚やコンブの豊富 な地域であったが,開拓による森 林の過剰な伐採等のため土地は著 しく荒廃し,一時は「えりも砂漠」 とまで呼ばれていた。北海道営林 局浦河営林署は昭和28年,当地の 緑化事業に着手し,40年の歳月を かけ森林の再生に成功した。 左図は,その襟裳岬の国有林緑 化事業の緑化面積と魚介類水揚げ 39 :息pnpEgH■g日日■日日■■ロヨ晨薑 冒昌置自■H■HFHBZ僖冒冒晉蔦9日萄巳、 川、 Ⅷ叩叩四噸■国■輯■■■率■■率・顕麺画匝顛噸■■m画嘩、輝幽噂■蝉■南■■画動画ぬゆ■■■■配幽画幽剛画面画、、■■■■■口■辱■■空車幽剛馴脚Ⅷ卿鰄細卿画幽■■■■■率埠■■画鍾輌函鯛剛伽剛馴剛幽函幽蜘■寧窪■■■■■■■■画画蜘幽郷 剛剛画幽口車■画幽■画■■ぬ車輌軍坤埠幸■■画圃叩蜘剛剛鰄畑口■画嘩車輯嘩■車庫輯画画噸画” 第3号丸木舟︵見本︶ 鰐認健邪淫 如褒, 菖 昌 目 5 9 日 目 H 8 H 9 H 8 9 喜一 いだろうか。 暹一 高の推移であるが,木本緑化面積 の拡大につれて水揚げ高が増加し ていることがわかる。 この理由として,魚に及ぼす森 林の次のような効用が考えられて いる。森林は,その体(葉や枝や 実)についた虫たちをえさとして 魚に与え,その体をもって日光を 遮り魚の住みかや産卵場にほどよ い日陰を作り出す。また,洪水を 緩和し,海水の汚濁を防ぐととも に,水温を安定させ,魚の生息に 適した環境を生み出している。 どうやら森林と魚は,水という 媒介を通して非常に深く結び付い ているようである。 都会にサケを呼び戻すには,海 岸や河川沿いへ森林を造成するこ とも一つの有効な方法なのではな H を受ける屈辱感には耐えられな い」と。林業当事者はこうした 人間としての心の機微に,どこ まで思いやったのだろう。昔の ツケを今払うことになった。因 果応報と書くのは酷だろうか。 薙唖祠ぬい嘩由碗即幽蝉晦庫幽蝉■■■■嘩車”画函緬岬 くの産業は戦争のため壊滅状態 であったため,巷に職を求める 人があふれて労働市場は一方的 な買手市場という社会的背景も あってか,林業の雇用もいわば 勝手気ままにふるまったといえ ないだろうか。小間切れ雇用, 重労働,低賃金,労働災害の多 発といった苛酷な労働条件の改 善に意を用いることにきわめて 消極的に対処した結果,他産業 の復活と高度経済成長の訪れと ともに有能な若者が潮が引くよ うに山から去って行った。当時 の若者の1人の言葉が今でも忘 れられない。「林業が好きだ。村 も好きだ。賃金もなんとか我慢 する。だが,小間切れ雇用され て職業安定所で失業保険の施し 林政拾遺抄烏浜貝塚 I W 叩 福井県三方郡三方町の鳥浜付 近から縄文時代の遺物が大量に 出土したのは,1962年であった 大木を石斧で伐り倒し,2つに§ 割り,その断面を石斧でくりぬ§ が,その後,何回となく発掘が 行われてきた。最近では平成2 年3月,ユリ遺跡から丸木舟が 出土したのがピックニュースで 削るという手間暇をかけた難作冒 業の末にでき上がった舟だった; のであろう。舟底に残っているM あった。ここでは1981,82年の 発掘でも丸木舟遺物が出土して いるが,いずれも欠損部分が多 く完全な形態で出土したのは, この第3番目の丸木舟で,当時 の新聞は,「町の宝が増えた」(朝 日),「4000年の眼りを覚ます」 (中日)と大騒ぎしている。それ らの出土品が郷土資料館に陳列 されていた(ただし,ここで載 せた写真は本物ではなく,許可 を得て撮った展示用の見本であ ばせている。この細身の浅い構冒 ■■ くとき火で焼き焦がし,それを旨 1■ 1 1 州 焦げ跡は,その苦労の跡をしの』 』■ 造の舟で三方五湖にこぎ出し,冒 貝を拾い,漁をしたのであろう。冒 当時の湖沼水面はヨシの原が広冒 津 がっており,そこでの操舟を容# 易にするため,舟底をできるだ# I ロ ロ け浅くしたのではないかと,推闇 呂 定されている。呂 当時は照葉樹林が湖の周りを§ ■■ 覆っていた。食料のドングリも目 豊富で,海産物も多彩であった。冒 アフリカ産のヒョウタンやイン昌 ド産の緑豆も出土して,水稲栽騨 培は弥生時代からという学会の冒 加 る ) 。 出土した第3号丸木舟は,水 田面より約55cnl下に埋もれて 鍾 定説も覆りかねない状態さえ生呂 ■■ いたという。長さ5m22cinの舟 が,舟首を東に向け砂の中に横 たわっていた。材質はスギで, 舟首部,舟尾部ともとがり,幅 は前が56cln,後が51cm,深さ は9∼10cII1,舟縁の厚さは3 5clnである。11n近いスギの まれている。縄文時代は人間にヨ とって豊かな時代だったのでは畠 ないかとの説も現在出されてい旨 るが,鳥浜貝塚を訪れて,「さも§ ありなん」との感を深くした次自 爵 第 で あ っ た 。 卿 M1 (筒井迪夫)M Ⅲ81 迩甑E霊”pH叩Q胆鵬ヨ朋晒霊聿臺卵叩皿加叩邪皿竈凰窒冒聖ロ皿加U”叩叩珊ヨロ詣塞聖型 林業技術No.6051992.8、 40 れ,また,地場産業として成立し 杉浦孝蔵の5時からゼミ 山村の経済を支えてきた。しかし, 今日では大方の地域で後継者不足 残そう山村文化を に悩まされ,また,原料不足や労 賃の高騰などで,辛うじて老人ク 筆者は,調査・研究の関係で各 理」,庶民の食生活の糧として生ま ラブや一部の有志で手作り技術が 地の山村を訪れることが多い。仕 れた「山菜料理」や風土を生かし 保存されているのが実情である。 事の合間を見ては高齢者に会って, た「田舎料理」などがある。 山村の高齢者は,長い生活の経 今日までの,その地域の生活文化 植物文化には,アケピ,マタタ 験から地域に存在する林野資源を についてうかがうことを楽しみと ビやヤマブドウなどのつるを原料 よく理解し活用法を熟知している している。その訳は,山村には都 とした花かご,装飾品,民具など が,体力的に林野に入り原料を採 市にない林野資源を原料とした食 手作りの「つる細工」がある。 取することは困難である。これに 文化,植物文化や木の文化など, 木の文化には,「こけし」,「将棋 対し,若者は体力的には素質を備 山村の長い間の生活との深いかか 駒」,「漆器」,「家具」や「玩具」 えてはいるが,趣味・嗜好の相違 わりの中で生まれ,育ち,受け継 などがあって,各地で生産されて や原料採取の経験不足などから資 がれてきたいろいろな山村文化が いる。このほかにも,山村にはい 源の理解に不安があって,原料の あるからである。 ろいろなものがたくさんある。 採取を拒むらしい。したがって, 食文化には,古くは平安時代に これら手作りの産物は,以前は ますます林野資源の活用を理解し, 宮中の正月行事としての「摘草料 山村の生活と密着しながら活用さ 生産する人が減少することになる。 本書の寄贈を受けたとき,「高学 園諏蛎語研 騨葵:撫鬘共著 大都会に造ら れた森 −明治神宮の森に学ぶ り過ぎる神宮の中に見られる深山 年向けの緑の解説書がまた出た 幽谷を思わせる林が,まったくの ナ」という程度の第一印象であっ 人工で,つくられた林であること た。しかしパラパラめくるうち, を知って一驚する。しかもこの工 これは容易ならぬ本であることに 事が明治天皇を追慕する国民感情 気付いた。寝転がって眺めている をくんで,全国から集まった献木 うち,いつの間にか居ずまいを正 を生かし,運搬・土木技術まだし して読みふけっていた,というよ の大正時代に完成されたことは, うな力を持っている。 奇跡的ですらある。本書に収めら 明治神宮の森が各地の献木で造 成されたことは聞いていたが,こ れが先輩林学者の科学的知見に基 れた工事現場写真から当時の苦労 をしのぶことができる。 このように,人工から出発した もり づく周到な計画の下に「永遠の杜」 発行:第一プランニングセンター 〒107東京都港区赤坂7-6-52 ハイツ赤坂103 (冠03-3588-0998) 1992年4月11日発行 B5判,144頁 定価2.300円俸体2.233円,税67円) 材錐技術No.6051992.8 林を,訪問者の多い都心にあって を意図してつくられたものである 自然林型を維持するための努力は, ことは,本書で初めて知った。永 並々ならぬものがある。自然災害 遠の杜とは,自然林に近い状態が 時の処置は,大木が多いだけに難 天然更新によって永続する森林を 事業であるし,人工緬凹をしない 想定している。この状態を目指し 代わりに,参道で掃き集められた て3段階にわたる目標林相を描き, 落葉は毎日林内に戻すなど,きめ 細かな「人工」が施されている。 100年前後で天然林相になるとい う壮大な計画がつくられた。 また本書の中では,当初意図され 現在この計画はなおも実験途上 た天然更新が一部では困難になっ にあるといえるが,なにげなく通 ている状況や,都市化に伴う植生 l ] 仙三瘡吾川 森林。林業のPRと国有林の役割 近年,地球的規模での環境問 題に人々の関心が高まる中で, とりわけ森林については,熱帯 林の急速な減少,酸性雨被害発 生,砂漠化の進行が国際的課題 として登場し,先ごろリオデジ ャネイロにおいて国連環境開発 会議(UNCED)が開かれ,これ らの問題力論議されたところで ある。 変化などの悩みも率直に述べられ ている。 はくらく 本書は松井光璃氏という名伯楽 の下,内田方彬(明治ネII1宮林苑管 理に47年間従事),谷本丈夫,北 村昌美という最適の執筆者を得て, 明治神宮の自然と人が織り成す叙 事詩を残すことに成功した。内田 氏は実務家の立場で神宮林の造成 の経緯と林苑の維持管理を,谷本 氏は科学者の目で神宮林の森林植 生の特徴から,ツリーウォッチン グの楽しみ方を,北村氏は諸外国 の都市との比較を,それぞれ神宮 の森への愛情を込めて述べている。 本書を手にすると,30ページに 及ぶ美しいカラー写真,バランス よいレイアウト,ていねいな装頓, どれを取っても神経が行き届き, 本づくりに対する情熱を感じさせ る。内容・体裁とも江湖に推奨で きる一本である。 このような中で,わが鬮にお いても,環境問題として,森林 保溌の気運をはじめ,森林・林 業についての関心が従前にも増 して高まりつつある。 この意味で,わが国の天然林 の多くを占め,多種多様な森林 を有する国有林は,特に国民に 開かれた森林として期待されて いるといっても過言ではない。 折しも,昨年は森林法および 国有林野事業改善特別措置法が 改正され,国有林は,民有林と の連携を進める流域管理システ ムの活用による流域林業の活性 化や,新たな改善計画の下で, 自己収入の確保,ボ聯機榊の簡 素化・合理化,累積債務処理等 経営改善に取り組んでおり,こ の新たな改善計画を踏まえ,本 年4月に国有林の技術開発目標 が9年ぶりに改定された。 国有林における技術開発は, 国有林野事業を効率的に運営す るため,この「目標」に沿って 具体的な技術開発課題を選定し 実施している。 近年は,労働力不足,生産性 の向上を目的とした高性能林業 のほか,溌重な天然林資源の保 護に対する国民的要請の高まり の中で,森林の多角的機能の確 保を目指した天然林施業および 複層林施業技術の確立,森林生 態系の保存,林木遣伝資源・生 物遺伝資源の保護および利用技 術の確立,森林レクリエーショ ン等森林の多面的利用が重要な 課題となっている。 汚い,きつい,危険,といわ れる林業において,若者にも魅 力ある職場とするには,産業と しての林業の近代化を図り,安 全で快適な職場とする必要があ り,他産業と比べ遅れている機 械化を進めるとともに,環境に 優しい技術開発に取り組まなけ ればならない。 国民の森林・林業に対する関 心と期待は,環境材としての森 林の活用のほか,小中学校の週 5日制等,週休2日制による余 暇の増大に伴い,森林浴等に代 表される森林へのふれあいを求 める森林レクリエーション利用 等,ますます多様化,高度化し ていくと思われる。 これら,国民のニーズにこた えるため,国有林は,国民に開 かれた森林として,レクリエー ションの森等の整備を図ること はもちろん,林業および森林施 業を職極的にPRするため,森 林官等人材の育成とともに,林 業技術の集大成として設定され ている展示林や施業指標林を, 積極的に活用すべきと考える。 ( 枩 ) 機械による作業システムの確立 (この柵は編築委員が担当しています) (小林富士雄・日本林業技術協会顧問) 林業技術No.6051992.8 42 応益分担制度の研究(1)- 群馬県における森林維持費用 応益分担制度の検討(1) 東京大学農学部渡邊定元 一地球環境と木材利用 分離 東京農工大学農学部 大類清和・生原喜久雄・相場芳憲 日本林学会誌74−3 1992年5月p.203∼212 水利科学No.204 1992年4月p.1∼25 森林の水質浄化機能を評価する 林野庁指導部志水一允 森林科学No,5 1992年6月p.11∼24 現在,我々は,豊かさと貧しさ が極端なまでに地域的に遍在して 応益分担制度は,受益を与える うえで,森林生態系における詳細 いる時代,開発途上地域で人口が 者と受ける者の利害関係が明確化 な物質循環のメカニズムを把握す され,かつ,受益者らが明確化され ることが不可欠である。そのため 爆発的に増加している時代,人類 の生存基盤を揺るがすほどに地球 た受益にかかわる費用を負担する ことを受け入れたときに成立する には,渓流からの溶存物質の量的 環境が荒廃しつつある時代に生き な調査とともに各物質の流出特性 ている。このような破滅的な時代 制度である。森林維持費用に│淵す を明らかにする必要がある。渓流 を人類が迎えようとしていること る応益分担の制度化について全国 からの溶存物質の流出特性の解明 については,20年ほど前から盛ん 的に一般化できず具現化できない は,生態系内での水や物質の循環 に瞥告されてきた。ローマクラブ のは,受益を与える者と受ける者 を知る手がかりとなり,また保育 が有限な地球の資源,環境の下に の利害関係が明確化されず,受益 作業や酸性降下物などの人為的作 おけるユ業化社会の「成長の限界」 相当者らが森林維持費用を受益の 用が森林生態系に及ぼす影響を知 について警告を発したのは1972 源泉対象として認めることに購踏 るのによい情報となる。 年のことであった。ストックホル ちゅうちょ わが国の森林のように,急峻な ムで国連の環境会議が開かれ,世 応雛分担制度を確立するために 地形で,しかも温暖多雨な地域で 界規模の環境問題を議論したのも は,多くの解決すべき障壁がある。 は,降雨は渓流への溶存物質の流 この年である。 していることにあるといってよい。 第一・・に森林の水源かん養機能の計 出を引き起こす誘因として大きな 我々はこの時代にどのような戦 錨化である。第二は,下流受益者, 作用力を持つ。特に降雨時におい 略を提案できるのだろうか?持続 すなわち都市住民の理解と支持で ては,平水時と異なった流出経路 可能な林業は可能なのか?生物学 ある。第三は,行政府の対応であ と移動速度を持つ流出成分が加わ 的多様性を保持した林業は可能な る。第四は,政治の展開である。 り,溶存物質の流出形態は平水時 のか?これからは過重な負担力輔 要するに,この四拍子がそろって とは異なったものになる。 林に課せられるはずである。それ 初めて問題の解決の糸口が開かれ るものと考えている。 そこで本研究では,林齢や地形 ぞれの地域の生態系に根ざした森 の異なる2つの集水域において, 林の造成と合理的な木材の利用を 通じて,我々人類は共存していか 本研究は,群馬県での応益分担 降雨前から降雨後にかけての流出 制度確立へ向けての当初の経緯を 水の溶存物質の淡度変化を,条件 なければならないのであって, 中心に,1960年代から1979年ま での動向についての正確な記録と, の異なる4種類の降雨イベントに 我々の資任は重い。 おいて調査した。さらにアルカリ それに基づいた分析を行ったもの 度を用いて流出成分の分離を行い, である。 流出経路と水質変励とのかかわり について検討したものである。 降水イベントの渓流水の溶存 物質の流出特性と流出成分の 林業技術No.6051992。8 生立木染色技術の進展と活用 京都府立大学農学部飯田生穂 山林No.1297 1992年6月p.43∼52 木材利用の現状と今後の展望 小径の針・広葉樹材を対象とし ↓3 里 た加工・利用技術は,大径木のそ よると,きのこの生産額が1億円 ティーやニーブッシュ・ティーが れに比較して少ない。活力ある森 を超えている市町村は,全国で ある。これらも樹木の葉を加工し 林の維持,保続,貴重な森林資源 300市町村以上もあり,さらにき た飲み物,茶である。これら南半球 を有効に利・活用するうえから, のこ類の生産額が5億円を超える の茶は成分のうえでC.s"g7zsiS 今ほど小径木の加工・利用技術が ような大きな産地を形成している teaに符合するものなのだろうか。 強く求められているときはない。 市町村も38町村もある。 大径木に比較して小径氷の有利 な点は少ないので,小径木の有効 個々の林家の経営に占める特用 林産物の割合も同様で,昭和61年 な利用,新しい分野への需要拡大 の林家経済調査によると,保有山 には,限られた有利性を最大限に 林が1∼5haの小規模林家の林 生かして加工を施し,また加工材 業収入のうち,約8割がきのこや 料,製品として格別の特徴を付与 薪炭など特用林産物生産によるも することが必要となる。 のとなっている。木材価格の低迷 本稿は,森林資源開発と保護の 視点も込めて,南半球の茶なるも のを追ってみたものである。 北米の木材需給動向 米国農務省林業局D.ダル カナダ林業局D.ボウルター 世界の農林水産No637 筆者らは,数年来樹木の蒸散作 力職いている現状では,特用林産 1992年6月p、17∼27 用,樹液流を利用して立木を染色 物による収入が林家経営に占める 本報告は,米国林業局とカナダ し,木材の持つ木目を生かしたま 重要性はますます増大するであろ 林業局との共同調査によるもので ま,木材色の範囲を超える色調ま う。本稿では特用林産物の概略に ある。2005年までの北米の木材需 で拡大した染色を試みている。そ ついて述べている。 給を見通したもので,森林資源の の内容は,染色技術に関する基礎 的な検討,染色材によるデザイン 開発,試作品の作製である。 この方法は,生立木を対象とし ているために現場向きの方法であ り,他の方法といくつかの点で異 規模,立地,所有形態,面積,蓄 森林資源としての樹葉く南半 球の飲料になる木々たち> 横を分析している。以下には,木 シオン短期大学川上美智子 に木材需給動向から考慮すべき点 熱帯林業No.24 平成4年5月p.28∼36 材資源の需給動向を説明し,最後 をまとめている。 北米大陸の森林は,重要かつ多 なる。ここでは,立木染色の原理, つぱき科の樹木α加侈"畑s”e"‐ 角的,ダイナミックな資源である。 方法に加えて平成2年度および3 sisから造られる茶・Cha・teaは歴 全森林面積は,約7億4900万ha 年度に国庫補助を受けて京都府が 史が古く,成分が嗜好性(香り,味), で,国土の約40%を占めている。 実施した立木染色技術,染色材に 機能性(生理活性作用)ともに優れ 4億5300万ha(森林面積の60 よる製品試作について紹介している。 特用林産物と林業経営 林野庁特用林産対策室後藤武夫 林経協月報No.369 1992年6月P3∼12 ている点から,世界的常用飲料に %)力輔業用生産林である。生産 発展した。起源が雲南からアッサ 林は米国とカナダに,ほぼ半々に ムの照葉樹林帯,さらに栽培地域 分かれている。カナダは米国より がユーラシアからインド大陸であ 生産の基盤は大きいといわれてい ったので,この茶は専ら北半球の る。しかしカナダは,北方気候で 人々の飲み物として供給されてきた。 成長期間が短く,成長堂も低いた 特用林産物の生産額は,平成2 一方,C.s"zews商を持たない地 め,生産量は少なく,また特に北 年には3800億円強に達し,史上最 域では飲料,特に茶に相当するも のをどのように供給してきたのだ 部地域では,蓄積がはっきりして 高額となった。わが国の木材の粗 いない状況である。 生産額が,約7400億円であるか ろうか。日本でもCs"e"siStea ら,特用林産物は木材の約5割に が供給されにくい山間地域では,笹, 生動植物保護地区,他の保護林, 相当する生産額を上げるほどに伸 桑,山藤,カワラケツメイなどの草 公園といった非商業林として,現 この生産林の一部は,例えば野 びてきたことになり,依然として 木の葉を煎じたものを代用茶とし 在除外されている。将来の木材供 過疎化の進む農山村地域では,ま て利用してきた経緯がある。南半 給地となる北米の生産林,非保護 すます重要な産業となってきてい 球に目を転じてみると,南米には 林の面積は,約4億400万haと る。昭和55年の農林業センサスに マテ茶,南アフリカにはルイポス. なっている。 林業技術NO.6051992,8 “ 成虫の大きさ 土ユ十 術 喧騒 圏価 ※ここに紹介する賓料は市販されてい ないものです。必要な方は発行所へ頒 布方を依頼するか.頒布先でご覧下さ る よ う お 願 い い た し 鑿 す 。 l i i l l l l l l l ! │ │ " i l l l l l l i l 口芦生演習林産樹木の実生形態 ロ徳山試験地における植栽密度を 異にしたヒノキ幼齢林の成長と林 分現存量 ロ和歌山演習林における人工林調査 林業センター報告No.28 平成3年4月 愛知県林業センター ロヌメリスギタケモドキの生育温度 口上賀茂試験地に育てられている 口樹皮の土壌改良材としての利用 外国産マツの生育 ロ木造壁体の実験住宅による断熱 口北海道演習林の気象データの整 ロヒノキとつくり病の防除に関す 防露特性評価 理と利用 ロデジタイザによる標高データ作 る研究 ロ愛知県における林業労務の実態 研究報告第9号 成とその補間法 平成4年3月 と改善策の調査 福井県総合グリーンセンター ロ三河材の材質特性に関する研究 口葉枯らしの材質等に及ぼす影響 口芦生演習林利用者の実態と意識 について ロ組織培難で得た低温野生ヒラタ 調査 ケの特性 香川大学農学部学術報告 口野生きのこの探索 ロプロトプラスト利用によるウス 第44巻第1号 口細胞融合による優良個体の作出 ヒラタケの育種 □きのこ類の品種改良に関する研究 ロオオウズラタケによるシュウ酸 口森林の土壌保水力に関する研究 の酵素的生成とセルロース分解 平成4年3月 香川大学農学部 ロマツノマダラカミキリの嗅覚的 定位行動における日令による差に 研究報告第29号 演習林報告第17号 影響を及ぼす寄生植物テルペン 平成4年3月 平成4年1月 徳島県林業総合技術センター 三重大学生物資源学部 ロ徳島県における採算間伐事業の 口二次元林分遷移の方程式とその 実態調査 応用に関する研究 ロスギの直挿し造林実験 口三重大学附属演習林における量 口組織培養による優良個体の増殖 水観測と流出特性 口主要広葉樹の育成技術に関する 技術の開発 口花崗岩地帯における崩壊・侵食 研究 口スギ葉枯らし材の虫害調査 特性 口有用広葉樹の育成技術 ロスギ丸太の林内乾燥試験 第24号 平成3年12月 福島県林業試験場 口海岸防災林に関する研究 ロ収集シイタケ菌株の試験栽培 一コナラ原木による発生調査 福島県林業試験場研究報告 演習林集報第23号 平成4年3月 京都大学農学部附属演習林 ロ徳島県産スギを用いた枠組壁工 口菌根性食用きのこ栽培技術の開発 ロ阿武隈高冷地における乾シイタ ケの安定生産技術に関する試験 法構造用製材の曲げ試験 口上賀茂試験地の鳥類相の季節変 ロ林地利用による特用林産物の栽 口酸性雨による樹木の衰退調査 化 培試験 口北海道演習林標茶地区における 口桐樹の体質劣化の解明に関する エゾシカ目撃記録 研究 研究報告No.5 平成3年11月 富山県林業技術センター ロクマハギの防除に関する研究 口上賀茂試験地におけるマツノマ 林産試驍場研究報告第82号 口富山県における温箪指数と森林 ダラカミキリの2年1世代虫の羽 分布 化消長について ロケヤキ人工林の植栽後6生育期 口上賀茂試験地および白浜試験地 ロパネルボードの含水率上昇による 間における成長と被害 で発生したマツノマダラカミキリ 釘の引き抜きメカニズムに関する考察 林業技術No.6051992.8 平成4年3月 北海道立林産試験場 15 林業関係行事 一覧 月 8 区 分 全 行 事 名 国 期間 主催団体・会場・行事内容等 第31回全国高等学校林業 8.1∼2 教育研究協議会 ● ● 7 2 ■ ■ ● ● '92環太平洋学生キャンプ ● 第7回会津高原親子自然教 室 888888 ム 第20回JAS製材品普及促 進展示会 010 7 6 1 2 − 一6 一61 一 35 7一 7 皐国央国島国 東全中全福全 森林土木技術者のための森 林生態・森林景観研修 自然に親しむ運動第34回 自然公園大会 森林利用研究会シンポジウ 全国高等学校林業教育研究協議会,秋田県教育委員会,秋田県農業高 等学校長会。鷹巣阿仁広域交流センター(1日目),大滝グランドホテ ル(秋田県大館市)(2日目)。研究協議議題:『いま林業教育に問わ れている課題はなにか」①教育課程・教育内容について,②林業教育 を通しての学力回復をめざす取り組み 側)林業土木コンサルタンツ。林業講習所。③森林生態コース⑤森林 慨観コース 潔境庁。支笏洞爺国立公園支笏湖畔地区(北海道千歳市)。重点目標: 自然教育の推進一話そうよ緑の台地でぼくらの未来 森林利用研究会。東京大学。課題;我が国における造林の機械化の展 駕 全国木材組合連合会,全lj本木材市場連盟,全国木材市売買方組合連 盟 。 ㈹全国木材組合連合会,東武文化コミュニティーセンター。会津アス トリアロッジ(福島県南会津郡) 日本テレビ,環太平洋学生キャンプ実行委員会。長野県国立信州高遠 少年自然の家・東京およびその近郊。参加資格:中学校・高等学校(そ れに相当する)男子生徒で日常生活に必要な英会話ができること。参 加国:オーストラリア,カナダ,香港,インドネシア,日本,大韓民 国,マレーシア,ニュージーランド,フィリピン,シンガポール,タ 阜京 岐束 イ,アメリカ 第24回岐阜林材振興大会 8.21 岐阜グランドホテル 第7回夏休み親子木工教室 8.22∼23 東武百貨店池袋店。製作するものらキットのコース,自由工作のコー ス,簡単な木の工作コーナー 奈良県森林組合連合会,奈良県木材協同組合連合会,奈良県林業研究 グループ連絡協議会,奈良県木材青壮年団体連合会。 1.You遊ウッデイランド:8/22∼23,奈良そごう(奈良市) 2.小径木展示即売会:8/22∼11/17,小径木センター(桜井市),テ ーマr広げよう地球にやさしい木の文化」 3.児斎牛徒木工工作展:9月下旬,木材振興センター(桜井市) 4.奈良県林材大会:10/31,桜井市民会館 側アフリカ協会,関西アフリカ協会,伽大阪国際センター。セネガル 共和国テイエス州ムンブール県。募集人数:30名。参加費:32万円。 目的:砂漠化の進行状況の視察,植林活動への参加等,現地住民との 奈 良 奈良県林材まつり 8.22∼11.17 全 国 GREENSAHEL'92セネ 8.28∼9.8 ガルの砂漠緑化協力r植林 ツアー」 交歓会 月 9 行 事 名 区 分 99﹃●■4 座牡 手 '92全国しいたけ振興大会 ン研究大会 向電︺房″B の″“n〃己 第4回全国レクリエーショ 全国桐材組合連合会,群馬県桐材組合連合会。松の井ホテル(水上温 ■ '92建築磯:合展NAGOYA 日本ドウ・イット・ユアセルフ協会,日本ホームセンター協会。日本 a 第34回全桐連群馬大会 岩手県,岩手県しいたけ産業推進協議会,岩手県市長会,岩手県町村 会,日本椎茸農業協同組合連合会,全国椎茸商業協同組合連合会。岩 手産業文化センター(岩手郡滝沢村)。テーマ:森林(もり)のさち健 康への使者日本のしいたけ C ' 9 2 9-5∼6 6 8 一7 −一 9一 5 5 1 2 9 99 9 国馬知国 全群愛全 JAPANDIYHCSHOW 主催団体・会場・行事内容等 期間 コンベンションセンター(幕張メッセ) 泉 ) 愛知建築士会,中部経済新聞社。名古屋市中小企業振興会館吹上ホー ノ レ レクリエーション協会。仙台市内,松島野外活動センター。テーマ: さんさんいきいきときめくであい 林業技術No.6051992,8 46 平成4年度「空中写真セミナー』開催のご案内 例年どおり本年度「空中写真セミナー」を下記により実施いたします。お早めにお申し込みください。 記 1目的:近年,空中写真は,土地利用計画や都市緑化計画,環境アセスメント等の基礎資料として, また,各種の森林調査や森林計画の作成に広く活用されるようになり,その有効な利用技術の指 導・普及に対する要請が急速に高まっております。 このセミナーは,これら多方面からの要請にこたえるために,空中写真を現在利用されている 方迩や,今後新たに利用しようとされる方々を対象に,空中写真を効果的に利用するうえで必要 な実技指導や現地演習等,実務中心の研修を行い,空中写真の高度利用による諸施策の効率的な 実施と経済社会の発展に寄与することを目的として,日本林業技術協会が実施するものです。 2期間:平成4年10月26日侭)∼30日燭5日間 3会場:日本林業技術協会(〒102束京都千代田区六番町7) 4.研修人員:25名 5参加費:30,000円(研修徴,教材費,現地演習費等) ※セミナー参加のための交通費,宿泊料は各自負担願います。 6.申込み方法:平成4年10月1日までに所定の申込書(本会にあります)にご記入のうえ,日本林 業技術協会研修室あて送付してください。なお,定員になりしだい締切となります のでご了承ください。 ※本セミナーについての詳細は,本会研修室までお問い合わせください(直通公03-3261-6638,担当:今井)。 主催/日本林業技術協会後援/林野庁・日本製紙連合会 協会のうごき ’ ◎海外林業研究会賞論文に当協会 市川氏特選入賞 海外林業研究会募集の「第5回 海外林業研究会賞」論文に当協会 国際事業部市川澄雄主任調査員の 論文が特選(1点)に入賞した。 テーマ:「心」と「情熱」を込 めた海外林業協力を−タイ国 有林管理計画における施業計画調 査の事例から ◎番町クラブ 7月29日,当協会会議室におい て元東京大学教授山口啓二氏によ る「信長の時代と人物」の講演を 行った。 ◎海外出張 7月20日∼8月5日,小路口国 際事業部次長,久道課長を大規模 森林回復調査のためインドネシア へ派遣した。 ◎調査研究部関係業務 7月31日,熱帯林管理情報シス テム整備事業第1回委員会を当協 会にて開催した。 ◎熱帯林管理情報センター関係業 務 7月29日,次期森林資源調査シ ステム開発第1回委員会を当協会 にて開催した。 r一一一一一一や今. 。。■・中■一宇守与一・■.一一I■与与早早己eゆ÷Ⅱ■■・一一一一一一q :7月号訂正:p、27下の段,前から21 │行目[山道を聞いた→山道を開い: 'た]:同最後の行騨量寺院領一’無斌: ' 寿 院 領 ] L‐_ --. ..-,-..‐‘...‐..‐‐.‐‐‐_.._..‐‐‐‐‐‐‐.‐‐‐‐‐._.__I 平成4年8月10日発行 林 業 技 術 第605号 日本林業技術協会各事務所所在地等 編集発行人鈴木郁雄 印刷所株式会社太平社 ロ北海道事務所:〒060札幌市中央区北4条西5-1北海道林業会館2階 代表窓011251-4151(内線20),直通恋011-231-5943, 社団法人│:│本林業技術・協会 FAX011-231-4192 口東北事務所:〒020盛岡市菜園1-3-6農林会館9階 公0196-26-7616 口宮城事務所:〒980仙台市青葉区上杉2-4-46宮城県森林組合会館 棚宮城県民の山造成会内念022-223-9263 口前橋事務所:〒371前橋市岩神町4-16-25前橘営林局別館3階 a0272-35-0404,FAXO272-35-0400 ロ九州事務所:〒860熊本市京町本丁8-17 発行所 (〒102)東京都汗代田区六番町7 電話03(3261)5281(f@ FAXO3(3261)5393 (振替東京3−60448爵) RINGYOGIJUTSU publishedby JAPANFORESTTECHNICAL ASSOCIATION TOKYOJAPAN a096-326-5381,FAXO96-356-6132 〔普通会費3‘500円・終身会費(個人)30.000円〕 林業技術No.6051992.8 森林研究会編 親子で読む む ら 識ま 冊の?/どうして熱帯林は減少するの? かで/いうこと?/森林には﹁神さま﹂がいる ら1森を知る森は生きているってどう と ?/木の板には表と裳があるって本当? 5木を知る木には﹁寿命﹄があるの ログハウスに住んでみたいな /木を植えて育ててみたいな/林間学校 やキャンプのできるところをおしえて/ 2森の働き﹁緑のダム﹂ってなに? はいつからなの?/世界ではどれくらい 6木を使う人が木を使いはじめたの ったり狂ったりするんじゃないの? 木が鉄よりも強いって本当?/木はくさ 関と問す.3森を育て、森を守る森林はどうゃ 木環なりないでほうっておいても大丈夫?/酸性 と球近か雨が降ると森林はどうなるの? ?/木材にも関税をかけているの? いで、外国から買えばいいんじゃないの 、 ヅ Ⅳ国際協力に望むこと l言一ラ麻を中心として鞠わりに1日泰の人賓に考えでもらいたいこ‘こ 糾訓抑、私達の噸,組み 1現地で見て、考えたことl課題と方向 の卵AⅡ蔵ぜ蕊、林破壊が進むのかⅧ私達の目指すアグロヲォレストリ− 進行する熱帯林破壊をくい止めるためには、地元住民のニーズに応えた国際協 カが欠かせないlフィリピンの熱帯雨林地帯から熱帯林再生の道筋を示す/、 熱帯林再生の内発 発求展 挑的 道を めの て 田鎖浩著A5判七四頁八○○円︵〒型 へ戦 森地身わ4森と親しむ﹁森林浴﹂ってなに? 木を切っているの?/日本の木は切らな に境疑やって育てるの?/天然林は人の手を加え 蝿州噴偕辨辨諦伽細掘張唾鋤癖幟轤罐馳耐幅の?/ 澱肋献雌郡/森林のなかはどうして静かなの?/森 知り1 も 芥目 言炎 室 今云 〒162東京都新宿区市谷本村町3−26ホワイトビル内 B6判一九○頁一、七○○円︵〒川︶ の 森と木とくらしのなんで 子 と ’ 電話(03)3269-3911振替(東京)6-98120番FAX(03)3268-5261 本林業調査 |日本 高性能林業機械作業システムのタイプ別に路網 蕊備の方向を解説./〈林野庁騰修> 林内路網研究会編3,800円(〒310) 造変化を遂げてきた木材市場についての、30年 余にわ.たる実証的な調査研究の成果.ノ 安藤嘉友箸3,000円(〒310) 林業機械化と 新たな路網整備 木材市場論 親 −戦後日本における 木 材 問 題 の 展 開 一 ’高性能林業機械作業システム に適した路網整備のあり方 戦後日本資本主義と国際化の進展とともに、構 壷IO7東京都港区赤坂4-3-5/霊口座東京2-195298番 蕊地球社蝉燕 ’ 0●■ 念03-3585-0087㈹/FAXO3-3589-2902 国有林野事業膳必携 国有林野問題研究会編●B6判/396頁/定価3,090円(税込)/〒260 国有林野は,国民共通の財産であるが,それを預かるIfl有林野事業は極めて厳しし、 経営状況にある。このため,林政審議会答I:l・'及び'玉l有林野事業経営改善大綱を踏ま え,第120回国会において改正された国有林野事業改禅特別措磁法に基づき,新た を国有林野事業の改善に関する計画を策定し,国禰林野事業の健全な経営の確立に jgl),今後ともその重要な使命を-I-全に果たして↓、〈ため一層の経営改善を推進す ることとなったところである。この間の法改正,計'111変更等の資料を取りまとめて おくことは,実務の遂行に便利なばかりで、なく,広く国民の理解を得るためにも役 国有林野事業 改善必携 雌蝋 国有林野問題研究会縄 立つとの考えのドに本書が出版されたものである。 新版 森林計画の実務 “ 判 / 5 蕊 鰯 頬 祷 蕊 ) ノ 〒 3 1 , 卿 ② 」 L , ' ず 平成3年4月に森林法の-制敏正が行われ,国都遡隊蝋市III耐を 通ずる撚林計画制度の改善等がなきれたところてあり、今後は流域を 基本4地として,民有林・国有林力窪体となった森林の淵誠管理シス テムを確立していくこととしてL、る。また.その播世に当たっては, 都遡繊↓,祁附等の林業関係行政機関,鴬林局署,森林j癖『蒜森 林糺倫民11W林業事業体等の林調對係者が.体となって.地域の繊休・ 材諜活I淵上に取組むことが菰要と底って↓、る。操fは「{]i賄林の地域 別の調補│画「市町村森休整綜1画」恥定森林施業制蜘など新た な制度の6鞠兇を加え、最新の内容のもと(二改肖刑版したものである。 総合森林学 上飯坂實編著 A5判/釦8頁/定価3,090円(税込)/〒260 必畢堺■■ (、まや稀林に対-リーる期待と要諦はj"螺境の保全力'ら文化・教育機能 や,さらにはアメニテイ織憧の;騨癖従来から認熱されてきた諸機能 に加えて日噛Lに満まりと広がりを見せて↓、る。このよう底時にあっ て従来の林学や休業技術がより高い次尤に向かって両櫛築される必要 があると痛感するところである滅正に4籍は新たな時代に向かって の出発点と方向をボすものと言える。すなわちI総合銅シI学』とは. 批々の希望と期絆を込めた言葉に外ならな〔・のである。本関:は,熊林 i111題にI對心を待たれる方々と森林・林業の分野を卿│11とされる方々の 双方にとって座右の害となる。 図書のお知らせ 日本の森林土壌 B5判・706頁 本体15,000円 付・日本の森林土壌分布図(200万分の1.多色刷),林野庁監修/「日本の森林土壌」 編集委員会編集 今を去るⅡ郷''22年,’測イi林野I壌調術'l礫が開姑され、II"I129fl"'らは,趾fi林 の'蟻調査(適地適木調査]'礫)も開姑ぎれた。以来.金'卿数T息名の技術者により. Iノリ、f・阯紀余にわたり実施され.その調在傾城は,わが│;lil森林iW職の7刺に及ぶ朧業 の達成となった。本書は.これまでの両調査の成果を総撫し,わが卿森林_l壌の雌 ,罐1達域をしるす謝:として編さんされたものである。 ; ; 鯉 ■■−−−.号一 日本林学会第100回大会記念 都市と森林森林と人間との共存の道を求めて… B6判・111頁・定価865円(〒別)企画・編集日本林学会 第一部記念講演人・森林.そして文化〔木村尚三郎〕/脱都市化と森林〔下河辺淳〕 第二部パネルディスカッションレクリエーション活動とみどりの開発〔原重一〕/帯広の森とまちづく り〔田本惣吾〕/都市における河川環境〔高橋裕〕/河川水を絆に支え合うべき都市と森林〔中野 秀章〕/都市工学から見た森林〔伊藤滋〕/森林配置の見直しを−地方からの発想〔北村昌美〕/ 質問と討論/出席者略歴/日本林学会第100回大会記念行事の企画と実行経過 発行日本林業技術協会 閃因耽ル−盆3喝回、唖伽卵加伽叩垂 r功046 ■nW︽凹凸■4争凸 ●・■■cc恥。■■・■q■■▲■、●虹宇も■や口 ④︽﹄︻﹄n﹄公︾◆号今P﹀P﹄︽﹄ 口■合●●・伽哩的■凸■●●凸。。 一兆旬 争 ・’0。・23.40や恥血戎 一勺I凸。●回司0●。B●■G 寺 ◆▲■■■6もb■6口P5■ぬ■■Qも06■8 一 ℃ 犯 嘘 飛 轤 唾 棡 桐 轆 ︾ 0 .■吟凸 . §U4 7?7 ①参 bB ●4。90竿“辛包凸 ◆氾蔀鯛。・虹凸 ■860鼎 争 宙 色 色 ■ 4 口 。cc ● a﹄ 。■ ■△○B8Gも■08906 口 G︽﹄︻寺鈩﹄︽﹄〆画づ岳 ■ ■ 与旬 B e● e● ●■ ■ 勺●口 己■ ● 。 ■00日600㎡6■86● ■F 唱但 ろ。 。● ■● 60 ご屯甲ロ■今,凸■。●句●■●■ぬf 07 11 c■■■■■ ■a ll eGjd骨■ ■勺f pU7 66b0。。。0 7 。▲D0BD0B0■■0台6●Fやぶ﹄■ eUJ曲■●、心●与りの〆画 oc6cじc守 早■GB■&句 包り●■も● 弔f早 争 ”凸q“■もPG■色画の 唱喧 q③。 ● 勺己 今▲弓や。4 ■用字⑧■丹凹凸■aク● ②●■各各■①▲■■ぜ。・凸 色■99.各○ 函出■凹 ︾火小冑 句 e■■○凸 eEccEc●800 ■ 凸 ℃“JaU4■亨りり”0□ ■■●︲︲44 ■1・○16 ■p ●0 00 0q 0 巴 ● ●2 →。 ! ● つ 巳● ︾92 5を 5 口幸 7勺006 , 昼且 hP ■ 寺8 00 06 0 ■g 12 1 ■ 幸︾ 29 ■日 毎 J2 fJ ●p−JJJ ■ ■幸 字7 57 87 9 。▲HqB6Q5BQ0甘●吾︸■●Q■ F■の ■﹃■ 46■今 B口。● MuPE宇r .4 39 、76800︽●わ●7 痔 4 配。。■c や ●函● 年 つp の 。9 。︻一旬︽﹄ 目砿 恥畢M”郡和訓︾晶晶帷 岫。 u■ 卸 ●● Fロ80868口 刷時閃″︵私・・・・・畑牢印加諏詑擁批卑沁 時跡7人一ルoOooo柵唾、一隅蝿出喝旭︾岬 の聞昨yタイ川別酬MH⑰唾別一M卯加恥扣一他 句口 疲 迂 竃 一 ン ァ E E E 鷲 E 刀 軸 6 ﹄ 0 0 0 0 0 .ら日 皿僻耐予fプMMMM脚人me﹄淘灯ね”毎千。 あ1.06666争I F8色ObO00on 釦、︾wwwWw−H し作袈出力 コンビコ戸夕で解析 各種 測定データを長期無人観測 収集す蘓異的な堅牢│蛇 誇る野外データロガー登場 KADEE−uIll〃デーツトノスト &●■α■●■■■C○eGC●■■■●●●●●屯●。●●■●a■ らW“/19812艶110 0W”/01078”868 3“6 00叫同 44 坐一一 ト,1⑪、面・I噸叩.I 伊グラフ出力 雨、雪、結露、低温(-25℃)、 高温(80。C)に耐え、30,720 │ │ │ │ │ │ │ I │ │ │ 柵# | 瀞 I W W I I p ノ + h 塁r データの大記憶容量を持ち 擦桝禅 = ー = 二 N 測を可能にし、抜群のコスト 16『4 一 ー f冷ロぽ6 ■旧■■■。■﹄■g4q■■﹁■■■ 細唖醐舗級唖、晒硬耐祁御圃幽 瞬帷肥晦卿胞圃瀝釦弱め睦価駆 卿睡働心埠w噸玲酔圃唾灼舟鋤 ︾︾︾︾︾︾一睡蝿︾︾細細蕊 ■■qq可■fqd■■q●■旧早口Ⅱ “■g■甲口与●自白■■ぬ■ ■■己ら告○や己やもち■句 細郷蛎卿紬鯉麺応憾郡軸地軸砥 い■』01 掘毎』、 麺缶0側 緬■q滴 圃泊M幅鵡瀝鴎”露的め轡的拠 糊口1m 岨■8, 掴■U、 配■ゥ、 掴■、負 函獅卿切、四m耐W叩陥叩岫鵬 鞠■Mn 刀瞳侭姶耳J胴∼雍lW啄月【] 一︾︾︾一睡︾︾妙趣︾︾︾函 “SiR 団●q殉 鋤■in 煙り、 砺師斬師庶師翫諒師師画面寂載 0両雨噌蘭噌噌弓宿署晒切砲舗勺毎 既好の各センサを無難にすることがなく、また焚 期無人観測が可能なため、抜群のコストパフォー 葬 E" 狗曽鷹噌国劇砿町贋扇晒呵蝋晒偲 齢峰癖唾厩唾唖睡容奉写翻再認認 性を証明していま魂 ’ pbD 7305878執夙 21 31 4 11 80 KADEC 使用できる小型の高性能テータロガ−てする 南極の昭和基地からアフリカの砂漠地器まで の厳しい使用環境への納入実績がその信頼 少データの検索 全天候型データ記録装避KADEC-Uシリー ズは、過酷な環境下でもそのまま野外に鯉いて 読 ル 唾]次ページ唾EI癖更 グラフ出力 パフォーマンスを実現。 # 価刷剛 AC電源不要の長期無人観 マンスで先進の観測システムを実現しま宝 岨壷ノリノツ出クリ ■KADEC-Uシリーズの用途 も合⑥■仁一、gヰェトヴ。e令e叩cc■昂■U、訂●Q●‘L噛 水文計測:水位、水質(PH計)、流速流量、潮位波高 土木計測:沈降沈下、水分(蒸発最計)、ひずみ、 伸請傾斜 鵠 濡謡別滞朏慨冊 ゲーゎA向馳$糎 g夕? 邦上“申● ゲーワアリfG風79曲Fe●98宙何句 ●fご●●町 ロ ロ ■ ◆ ● 0 ウ ◆ ■ ■ 由 ■ 。 。 G ・ 刀 湧 g あ あ 画 ゆ ゆ − 画熱 ■r 沌甸 94 寸白 ﹄ケ廻畠序埋ロ同和輔 気象観測温度、湿度露点、風向、風速、日照・日射、 積雪、雨量、気圧高度、白金測温抵抗体 写り砥U,ep■0■8で心呵BG砲勺甫0屯0。■㈲は■CQ●pQ色●弓8 64●,ゥ09も$。且岬ぶりgPg咽p2や、■49■3Q9車』69 f9 ●q 9,■己q ■■■写中0巾令 令剣可魁巳軋 08908 Bり?日 中 。b申Q 8日0写・89、貢●GOqqO”●q且■0oウリ、■■■,ロ●9 8℃3hAやオも』。 一斗 KADEDU《7冊鐘且】Gブノ●"コト01のR準…、−−8曲 修一用量グラフ 7つの気象を観測し、パソコン で正確に、簡単に解析する超 低価格な気象観測システム。 匝一∼今凸画=丘4酬壱傍一石 =と■口と 給苧=“=ユー・畢0.4=、一言一二,“、. 且 “−==。◆= 士 一 ● ■ 一 一 一 一 一 − 画 ■ 凸 & ▲ A e h ① b 寺 呈 。 p ー 凸 ● 一 . 凸 出 , ■ 凸 白 』 申 出 − − 4 ● = a レウインドウローズ 圧湿 11 気函 度輿 一一一 凰風風 くくく 000 g34 NNN −言一 SSS WWW モーーニーと宙 のRAD垣901■ぬ“'0r"“ *f fr yPP曲曲 ■ 、 O = や ぬ い B 冨熟、鮒鯲麓..' 聖 印哩宛印配列 的■h血知U画Iけい 画四、“−,日『『T,u 屯碑U』由シ‘画『日.戟 画咽E品、 、04廓 8101$蟻0壷−10次 唱胤;留篭君I鵠 ー 操 I 1官牟BQm一”rrp’ ■タマヤの測定機器:気象システム/測風経隷朧、データロカーKADECシリーズタz,測定システ ム/ノーマルプラムライン装識、外部測11t機材・測水/梢密音襟測深機、デジタル流速計測1,t/光 波測距儀用気象観測セット、小型l"I光器、1111照器、水準測逓用芯,;i、水覗測最川プリンタ、測賊川 ■、商、■61G用卯19重.p釣り 一 一 ' 一 六分機、マイクロメータ、三杯分度雌デジタル面積測定器/PLANIXシリー式エリアラインメータ 航海計器/航海用,‘《分雌、デジタル航法計算機 国 タマヤ計測昌ノコテム繍式言社 〒104束京都中央区銀座4-4-4アートピルTEL,03-3561-8711FAX.O3-35618719 殉 問蒋・も.。{ 、門番モ ふか−.J 、軋錨 h ●(社)日本林業技術協会編集 ●森林総合研究所所員82名による執筆 銅木の働きはどんな仕組みによるものなのか,1本1本の 木や草は,そこでどんな役割を果たしているのか。いま,いろ いろな角度から科学の光力ざ当てられ,意外な事実の潜んでい ることがわかってきた。 続・森林の100不思議 』 ●(社)日本林業技術協会編集 ●森林総合研究所,熱帯農業研究センター, 森林を榊成するさまざまな樹草や生き物たちの果たす役瞥11, また,森林が生み出す産物の不思織を,『森林の100不思鎚 土の100不思議 t に続き,高度な内容を平易な記述によって,しかも,より多 彩な内容について解説, 林業技術 大学91名による執筆 昭和二十六年九月四日第三爵便物熱毒月e回十日発丘 森林の100不思議 膳 平成四年八月十日発一丁 鐘 胴⑨不恩寵シリーズー。 可 第六e五号 ●(社)日本林業技術協会編集 ●森林総合研究所,農業環境技術研究所, 農業研究センターほか85名による執筆 “母なる大地鍼というように,私たちの暮らしのほとんどは 土に依存している。土とは何か,土の不思議な働きと土をめ ぐるさまざまな事象を知ることは,1u鰯環境を考えるうえで も重要である。 ●(社)日本林業技術協会編集 ●森林総合研究所,都道府県林業研究機関,農業環境 技術研究所,大学ほか73名による執筆 四/<熱、 臥 1 ノ < − ジ 定 価 , 2 W l ( ホ 聯 1 , 1 6 5 柳 虫の存在や行勤は,自然界でどんな愈味を持っているのか, 人間とどのようにかかわっているのか。100不忠識シリーズの 鋪3郷として,調氷という郷台の穂脇役・名襲方たちの知ら れざる生態に迫る。 。 一 − F 1 a(0 3)3 94 2-4 111 /F AX( 03) 39 4241, 19 発行東京書籍株式会社〒''3東蒙都文京 区 本 郷 駒 込 6 1 4 - 定価四四三円︵本体四三○円︶送料六一円 森の虫の100不思議