Comments
Description
Transcript
1994/No625 - 日本森林技術協会デジタル図書館
昭和26年9月4日第三種郵便物認可平成6年4月10日発行（毎月1回10日発行）通巻625号 ■1994/No625 R I 業 技術 協 会 ISSNO388-8606 4 ￨ U S h i k a t a M f g ' E D " L t d . ●持ち運びに便利 小さく軽い1．Skgｾｵドﾗｲﾄ。 ．､一般のセオドライトにくらべて､iltさ･火ききが､ド分以ドのテオ･100。 山林や農地､t木建築i鵬i蝿どl分飛で充分な作鴬には、 もう趣･商級機は必要ありません｡移鋤に.取扱いに鯉利な蠅III:￨の蝋jikimi機″ 力 作業II的に合わせて選べるように唾りました。 、 グ ﾂ ド デ ザ ｲ ﾝ 中 小 企 業 庁 長 冨 特 別 賞 1分読小型セオドライト<TEO-100> I■■■■ ア オ･詞0口 一 ●本体寸法/124W×I30D×198Hmm●重量18k9(ケースを含まず） ●防滴構造､シフテイング､天頂観測接眼鏡､夜間用照明付 通産省選定 ' 9 3公ﾉ脾 ﾝ賞 受賞 (エクスブラン･シー） ●見やすく､自然な姿勢で測定できる視線角度可変 偏心レンズ(特許)を採用●スイッチONと同時に測定 が始められる帰零スイッチ機能内臓●酷使に耐え、 精度保持にすぐれたｱﾙﾐダイキャスト裂躯体柵造● 牛 方 商 ︵一三 コンピュータとのオンラインに豊富なソフト機能 6 血 東京都大田区千鳥2-12-7 郵便番号I46 TEL.03(3758)lllllib 資料のご請求は下記FAXで〃 ご覧になった諾名．ご希望商品･送付先等を必ず明記<だきL， FAX.03(3756)1045 繍籠蕊鋳 ＜論壇＞生命工学による希少野生動物の保存と 絶滅種の復活一マンモス復活の夢……小野里坦…2 ７ ︽ 川 田 森林の衰退・枯損現象を見る…･…… 靖宏 糞 第40回森林・林業 写真コンクール 佳 作 呵叩︲河削剥⑪助冊刈齢弧ｗ欄秘覗窪翻０祁罷巷 表紙写真 §ゞ罰胸蝿罰同翻爾斌謝弱露調部群溌剛否＆■腰●毎■■■丑亀丑壷娃豚獅畢悪宙翻溌羅騒都露諾函憲鍛露 目 次 4.1994Nqa25 小径木を利用したプレストレス床版橋･…･………･…簿木征三…15 平成6年度森林・林業関係予算(案)の概要．．……･…中山浩次…20 森林環境整備協力金制度の運営について……………清水正義…26 日本人の長寿食1＜新連載＞ 長生きのカギを握る「水」・……･･… ､永山久夫･･･28 i 人生至る所に…1＜新連載＞ ミャンマー見聞録(1)……･……．｡…………………田邊眞次…30 未利用資源の有効利用4 本質舗装材の魅力と特徴･… 殻噸弾購瀧； の台風,9号で被害に避： い ， 慧 返 ， の 火 手 術 種 受 ： 奥裕之…32 ＜会員の広場＞ こんなふうにしたら −松くい虫防除法の一視点……………･……･･村本正博…36 けることに。 た雛:鵠鯉臘熊； にかき取り発泡樹脂剤を 詰め入れる。露出した枝 の切口には防腐剤を塗り可 森へのいざない−親林活動をサポートする 41.1期生を送り出す「山の学校」・……． 編集部…38 込んでti土げていく。§ 斎藤優； ： ￨ 話 鑑 識 W ￨ ‘ 認 I 1994.4 1 林業関係行事一覧（4．5月） ･25 芝正己の5時からセミナー4 農林時事解説．．…………… . 4 0 本の紹介･･･…････････････・ 統計にみる日本の林業･……・ ･40 林政拾遺抄･…･･･…･･……・・ こだま．…………… .41 JournalofJournaIs…………… 平成五年度林業技士養成講習合格者･･･……･････……… 日本林業技術協会第49回通常総会関係行事のお知らせ ２４ ２４ ３４ ４ ４ ； 熊本市田崎§ 39 46 2 ＜論壇＞生命工学による希少野生動物の保存と 絶滅種の復活 −マンモス復活の夢一 お の ざ と ひ ろ し 小野里坦＊ 鵜蕊 蕊誘鶴ぷ奪静"撫蝿識溌蕊驚 はじめに 溌蕊鱗鍵瀧蕊謹ま−謹睦濁鰹蕊蕊蕊繍騨鰕騨瀦醗講騨鰯騨難騨潔露!、…鯛;:…騨灘灘鴬騨識蕊蕊靭誹識騨嵩識 昔，森や平原をわがもの顔で歩き回っていた，あの巨体を持つマンモスは，す でに滅び去って，ときどきシベリアのツンドラ地帯に凍結状態で埋もれているの しの が発見されます。今ではそれを基に，当時を偲ぶしかありません。しかし，筆者 の所で開発している技術を使うと，このマンモスを復活させることができるかも しれません。少なくとも魚類では，絶滅後もその種を復活させることは決して夢 ではなく，現実のものとなりました。 種の保存技術を開 発する必要性 地球環境サミット以来，環境破壊の問題があらためて新聞・テレビで頻繁に取 り上げられ，絶滅種や希少種に多くの人たちの関心が集まっています。何-'一億年 という年月をかけて作り上げられてきた種が，ヒトの営みによってきわめて短時 間に，この地球上から抹消されてしまうことに対して，偲びない気持ちに駆られ ます。大型動物の絶滅は比較的関心を引きやすいものですが，目につかない水生 生物にとっても，水質の悪化，湖沼の埋立てや河川改修等によって生息環境は悪 化するばかりです。特に淡水魚は，生活空間が限られているため，環境破壊の影 響を受けやすいものの1つです。種の絶滅に伴う生物相の単純化は，単に生態系 の破壊や道義的問題だけにとどまりません。私たち水産の立場から見ますと，育 種に不可欠な豊富な遺伝資源を失うという点でも，大きな関心事です。 これら希少種の保存，あるいは個体群の回復には，自然環境を元の姿に戻すこ とが最も望ましいことは言うまでもありません。しかし，今すぐ環境保全策を開 始しても，自然が本当の意味で復元するまでには相当な時間がかかるでしょう。 その間にも多くの種が絶滅してしまいます。したがって，環境を元に戻す努力と 同時に，種を保存するための技術開発も進める必要があります。これまで科学は， 環境破壊に手を貸す面が大きかったのですが，これからは喋境保全に貢献すべき 時に来ていると言えるでしょう。 野放しにしておけば，絶滅を免れない種を保存するために，今，取り得る唯一 の方法は，人為的にその種を飼育・繁殖し続けることです。しかし，天然記念物 の1､キで明らかなように，ある程度個体数を減らすと，悪性遺伝子のホモ化が進 み繁殖が困難になります。また人為的飼育を継続していくことは，施設面でも経 *水産庁・養殖研究 所遺伝育種部長 済的にも大きな負担を強いられ，保存できる種の数はおのずと限られてしまうで しょう。そこで最近の先端技術を応用して，より経済的に，かつ多数の種が保存 林業技術No.625］994.4 3 できる手法を開発する必要が出てきます。願わくば，絶滅後でも，その種が復活 できたらというのはだれしも願うところです。元来，生物は半永久的保存が可能 なものです。1万年前のハスの種が発芽して，花を咲かせた例は有名です。また 何億年も昔，岩塩に閉じ込められた細菌を取り出し培養に成功したというニュー スを読んだ記憶があります。 まず，どのような生命工学的方法力潅の保存法として応用可能かを論じ，次に， 筆者がこれまで行ってきた染色体操作と精子の凍結保存を組み合わせた種の保存 法について論じたいと思います。 応用可能な生命工 学的方法 受精卵の凍結保存技術が確立すれば，魚類は産卵数が多いので大量の個体を卵 の形で保存することが可能となります。しかも，魚類の大半は体外発生をするの で，凍結保存胚を融解して，飼育水に放置するだけで発生を再開してくれるとい うメリットがあります。この技術は，すでにヒトや畜産で確立しています。何年 か前に，オーストラリアの富豪がアメリカ大陸を旅行中に飛行機事故で亡くなり ました。それだけであれば，ありふれたニュースにすぎません。しかし，その夫 婦は，2人の受精卵を病院で凍結保存してあったのだそうです。さて，その受精 卵から借り腹でその夫婦の子を作り，2人の遺産の相続人にすべきか，それとも その受精卵を処分してしまうべきか大きな論議を呼んだそうです。これほど生命 工学が進んでくると，このような問題は今後も十分起こりえます。生きたまま細 胞を凍結保存するうえでの最も大きな問題点は，氷晶の発達によって細胞が破壊 される点にあります。これを防ぐためにいくつかの方法が考案されています。し かし，魚卵は一般に大型であるため，凍結に至るまでの温度をコンI､ロールする ことが難しく，種々の優れた抗凍結剤が開発されているにもかかわらず，魚卵の 凍結保存に成功した例はまだありません。 大量の卵黄を含む卵全体の凍結保存が困難であっても，受精卵が細胞分裂を繰 り返してできてくる小さな細胞，割球であれば可能性が出てきます。胞胚期まで 発生を進めた割球を，近縁種の胚の胞胚腔に移植しそのまま発生させると，起源 の異なる2種の細胞から成る個体ができます。これをキメラと称しています。何 年か前に羊と山羊の細胞を合わせて作ったキメラ個体が，大きく取り上げられた ことがあります。キメラは雑種と違って，羊と山羊の細胞が混在して1つの個体 を作り上げているのです。魚類でも，すでに，キメラ個体の作出に成功していま す。したがって，割球の凍結保存とキメラ作出を組み合わせることによって，種 の保存が実現します。まず，保存割球からキメラ個体を作出し，キメラ同士を交 配します。保存割球由来の配偶子同士が受精したときに，その種が復活すること になります。しかし，この方法は効率の点で問題が残ります。保存割球由来の配 偶子同士が受精する確率を高めるには，胞胚腔へ移植する細胞数をいかに大きく するかがカギとなります。割球の凍結保存技術の開発も今後の課題です。 近縁種の受精卵の核を除去し，そこに保存割球の核を移植して発生させると， 1個の割球から1個体を作出することができます。しかも，核移植によって発生 してきた胚の割球の核も再び移植に使えますから，割球を無限に増やすこともで 休業技術No.6251994.4 4 きるというメリットもあります。ただし，1個の胚から得られた割球は，いかに その数を増やそうとも遺伝的に全く等しいので，その割球から作られる個体はク ローンになってしまうという問題が残ります。 個体を作るだけの遺伝情報すべてが，体細胞1つ1つに含まれています。した がって，理論的には体細胞1個からも個体を作り得るわけです。実際，カエルで はオタマジャクシまで発生させた後，その腸の細胞の核を除核した卵に移植し， ドナーであるオタマジャクシと遺伝的に全く等しい個体を作り出すことに成功し ています。しかし通常，分化した細胞は，どんな組織にでもなり得るという全能 性を失っており，個体まで発生させることはできません。たぶん，その細胞自身 の生存，増殖機能にかかわる遺伝子だけが働ける状態に保たれ，他の遺伝子はな んらかのブロックがかかってしまうものと思われます。今日の科学技術では，こ れらのブロックを外すことはできません。しかし失われた器官が再生するときに， 細胞の幼若化が起こることも知られています。この場合，すべてのブロックとは いわないまでも，ブロックの一部が解除されていることは疑いありません。した がって，ブロックは必ずしも不可逆なものではないはずです。将来このブロック を思うように外すことが可能となれば，核移植によって体細胞から個体を作るこ とが可能になります。となると，体細胞だけでも保存しておくilli値があります。 20年後になるか100年後になるかはわかりませんが，そういう時代が必ずや到来 すると確信しています。 胚由来の培養細胞には，全能性を失わず増殖を続ける例が知られています。こ れを胚性幹細胞（略してES細胞）と呼んでいます。すでにマウスではES細胞 を利用してキメラを作ることに成功しています。ES細胞は試験管内でいくらで も増やせますし，凍結保存も可能です。ES細胞さえ樹立できれば種の保存にも 応用できます。魚類でも，このES細胞を樹立しようと，研究者はしのぎを削っ ています。ES細胞が樹立できたとしても，その細胞を基に作られる個体は，す べてクローンとなってしまうという問題は依然として残ります。 遺伝子レベルまで下げると，その保存はきわめて容易です。保存してある遺伝 子から個体を復元させることはほとんど不可能ですが，その種の情報を数多く引 き出すことはできます。しかも遺伝子は増幅が可能ですので，半永久的に保存で きることになります。純化した遺伝子は，常温でも保存可能ですし，1個体を作 るのに必要な遺伝子の何兆コピー分をも，きわめてわずかなスペースで保存でき ます。したがって，絶滅を免れない生物種については最後の手段として遺伝子だ けでも保存しておくべきです。あらゆる体細胞の核は，それぞれ1個体作るのに 必要な遺伝子すべてを保有していますので，遺伝子の抽出はいかなる細胞からで もよいことになります。 染色体操作と精子 の凍結保存 希少種の保存法として，現在応用が可能な唯一の方法は，筆者が研究している 雄性発生です。卵と精子の合体によって新しい生命が誕生しますが，卵と精子は それぞれ，個体を作るのに必要な染色体を1セットずつ持ち合わせています。し たがって，理論的には卵子または精子だけからでも個体を作出できるはずです。 林業技術No.6251994．4 5 一方の配偶子のみから発生させることを単為発生と呼んでいます。カエルでは， 卵を針先で刺激するだけで発生を開始させられますが，魚類では，物理化学的刺 激によって卵を胚体形成まで発生させた例はありません。単為発生を誘起するた めの唯一の方法は，遺伝的に不活性化した精子を受精させるか，逆に不活性化し た卵に正常な精子を受精させるかしかありません。この場合，発生に際して卵と 精子の受精が基本となりますので単性発生と呼びます。そのうち卵核由来の発生 を雌性発生,精子核由来の発生を雄性発生と呼びます｡筆者はこの研究を20年近 く行っています。そして，雄性発生を希少種保存に応用できないものかと，研究 を進めています。 卵に多量の電離放射線を照射すると，卵核の染色体力鞁壊され遺伝的に不活性 化されます。そこに正常な精子を受精させると，精子由来の染色体だけで発生を 開始します。ただし，卵由来の染色体が発生に加わらないので，染色体数が通常 の個体の半分しかなく，いわゆる半数体となり，うまく育ちません。染色体の数 を倍にする必要があります。倍数化には細胞分裂時の染色体の複製を利用します。 受精後卵は，卵割に入りますが，卵割に先立って染色体が複製されます。その後， 紡錘体が形成され，染色体は紡錘糸に引かれる形で等分に両極に移動して分かれ ます。移動開始前に温度ショック等によって，紡錘糸を破壊すると染色体の移動 が阻まれ，倍数になった染色体がそのまま1つの細胞にとどまります。こうして 染色体の倍数化を起こすことができます。染色体の数を2セットにするだけで胚 体には劇的変化が起きます。半数体の胚は小躯，小眼，小頭，器官形成不全等の 顕著な形態異常が見られますが，2倍体ではこれらの症状は完全に解消し，胚体 は正常となります。こうして作った個体は，生存が十分可能でしかも次世代も採 れることを筆者は確かめています。 精子は凍結保存が比較的容易な細胞の1つです。サケ・マスの精子のように， どちらかというと保存の難しい種でも，精液の量さえ十分あれば，1年後も90% 以上の受精率を維持することができます。ただ，凍結保存のための条件が明らか にされている魚種は，まだまだ限られています。また魚種によっては採精できる 量が極端に少ないものもあります。 精子さえ保存してあれば，その種が，たとえ絶滅してしまった後でも，近縁種 または別系統の卵を借り腹として，雄性発生によって，その種を復活させること ができるはずです。実際，筆者はイワナの卵を借りて，遠縁のサクラマスの精子 から胚を発生させることに成功しました。また，サクラマスの卵を借りて凍結保 存しておいたアマゴの精子から個体を作ること，あるいはその逆も成功していま す。できてきた個体は，まさしく精子由来の種で，決して雑種ではありませんで した｡こうして作った個体には，とても興味深い性質があります。多くの魚の性 は，性染色体の組み合わせで決まります。ヒトと同じく雌はXXで，雄はXYの ものも少なくありません。この場合，精子にはX染色体を持つX精子とY染色体 を持つY精子ができます。X精子から作った子はその染色体を倍にしますから， 性染色体の組み合わはXXで雌になりますが,Y精子からはYYという自然界に は存在しない雄ができます。この雄と通常のXXの雌とを交配すると，子供はす 林業技術No.6251994．‘1 6 べてXYの雄になるはずですが，実際調べてみてもそのとおりになります。した がって精子からでも雄も雌もできることになります。もう1つの興味深い点は， 1セットの染色体を複製によって2セットにしますから，対になった遺伝子が2 つずつ全く同じ完全同系接合体になります。ですから近親交配に見られる近交弱 勢現象が現れます。育種学的に，あるいは学問的にYY雄や完全同系接合体は大 変重要ですが，種の保存には問題です。それを解決するために精子同士の細胞融 合を試みてみました。父親の異なる2尾の精子を融合して，それから子供を作る のです。こうすると，染色体の倍数化も必要ありません。いってみれば雄同士の 交配です。遺伝的には通常の雌と雄の交配と変わらなくなります。実際この方法 によって，数年前にわれわれはアマゴ十数個体を作出しました。 マンモス復活の夢 氷河のクレバスに落ち込んでそのまま凍結されてしまった，きわめて保存状態 のよい雄のマンモスの成獣が発見されました。急きょ，われわれは現地に赴いて， 融解させないよう大量のドライアイスを周りに置いて，慎重に精巣を摘出し，液 体窒素に入れて研究室に持ち帰りました。残念ながら精子には運動能力は失われ ていましたが，精子の頭部はほぼ完全な形で残っていました。私たちは動物園に 電話をして，インド象で妊娠可能な年齢のものを探しました。幸い近くの天王寺 動物園で見つかりました。ウシの体外受精を専門としている獣医さんに多排卵を 起こさせるためのホルモン処理を依頼しました。排卵後，大量のリンゲル液を輸 卵管に流し込んで，多数の成熟卵を回収しました。まず，回収した卵を紫外線ラ ンプに約1分間当てて卵の染色体を破壊しました。マンモスの精子2個をごく細 いガラスのピペットに吸い取り，マニプレーターを使って顕微鏡下でいわゆる顕 微受精を行いました。幸い2個の精子は卵内で前核化し，両者は接着し発生を開 始しました。その後，受精卵を兎の子宮に移し発生を促し，胚盤胞まで発生させ た後回収し，液体窒素中で保存しておきました。世界中の動物園に連絡を取って， 排卵直前の象を探しました。まもなく排卵に入るアフリカ象力罫ロンドンの動物園 で見つかりました。早速，マンモスの雄性発生胚を航空便で送り，現地の獣医さ んにこの胚をこのアフリカ象の子宮に移植してもらいました。見事に着床し1年 数カ月後にマンモスの誕生をみました。というようなことも夢ではないかもしれ ません。 おわりに このように，生命工学を使って種を保存するいくつかの可能性ｶﾖ出てきました が，しかし基本は自然環境を保全することで，種を絶滅の危機に追い込まないよ うにすることでしょう。今述べてきた方法は，絶滅危倶種保存のための緊急かつ 非常手段と考えてください。 ＜完＞ 林業技術N().6251994.4 7 ＝ E … ご …… 宝 了 舜 俸 丘 垂 少 言 … 壷 … 樫 … ＝ 返 亭 … ど … 電 … f 淀 ＝ 申 … … … z Y … X ﾌ 瓦 嘩 ﾕ 宝 呼 室 r … 辱 冊 包 霊 …痙 索 … … … Y 可 ＝ … 壷 垂 … ､ ＝ 短 … … 森林の衰退･枯損現象を見る もりかわやすしたおだひろし 森川靖・垰田宏 坤 嘱 率 b 嘩 X ブ 紙 》 宮 X 講 刊 躯 X 郷 ､ 月 巧 i ” X ｮ W 淫 X …… … …… … … “ 坤 朕 “ 坐 … 認 … 罪 … 塞 魂姪 … 建 坤 E 澤 … 軍 … 郵 郵 … … X … … 森林衰退の諸問題 3．0 1980年代にドイツの山岳地でトウヒやモミの 衰退現象が問題となって，やがてこのような衰退 がヨーロッパ全域で確認されるようになった。さ らに，アメリカ北東部やカナダ南東部でも森林の 2．0 雨によるとする考え方が新聞や雑誌で報道され， ０ 、、９〃ワグ凸 冗矼甲■■Ⅱ８ ０ の社寺林や屋敷林のスギの衰退が問題となって， く 常識化しつつある。また，日本の，特に関東平野 蓄積量姉 衰退が顕在化し，こうした森林衰退の原因が酸性 この衰退原因がヨーロッパや北米と同じように酸 オーストリア 性雨であると思われている。しかし，この常識化 にあってはならない。 衰退を引き起こす犯人はだれか？という犯人捜 しにとって，現在でも状況証拠はあっても決定的 ｜Ｉ した思い込みが自然を対象とする研究者や技術者 0 スイ子−−− 1 I 1 ． I 195019701990 図･1ヨーロッパ各国の蓄濯壷の年変化 な証拠を持っていない。気象害，虫害，病害のよ うな突発的な一時期の被害は原因を特定すること 現在の衰退問題にかかわる環境要因の影響評価 が容易である。しかし，長年にわたってじり貧状 は複雑である。マイナス要因としたものが，調査 態の衰退の場合，原因となる要因には年変動があ 結果ではプラス要因であったりする場合もあり， り，またこれらの要因の蓄積影響が現在目に見え またこのプラス効果の累積がマイナス効果に転ず る衰退とつながっている。したがって，衰退原因 ることもある。例えば，窒素酸化物は酸性降下物 を明らかにするには，考えられる多くの要因の中 の主役であり，衰退要因とされる一方で，窒素源 から1つの要因を特定するのではなく，多くの要 としての施肥効果が脚光を浴び，まだ施肥効果に 因について消去法的な思考を持ち，また，消去法 よる成長促進と生育期間の延長が衰退を引き起こ によって残された要因のそれぞれの寄与度を明ら す東霜害の原因という研究者もいる。 かにする必要がある。 1．先進諸国で何が起こっているのか 森林の衰退問題は，点と面，質と量のそれぞれ （1）衰退，それでも蓄積量は増加？ 科学雑誌サイエンスに載ったKauppiほか (1992)の報告は，ヨーロッパの森林の現存量と炭 の側面から評価する必要がある。点と面の問題で 素収支を扱ったものだが大変興味深い報告である。 は，特定地域問題か，全域問題かであり，質と量 概要は以下のとおりである。 では，衰退要因の種類と影響過程および影響量で ある。 ヨーロッパ各国の森林調査の結果では，近年の 森林蓄積量は年々増加しており，今後も蓄積増加 林業技術No.6251994.4 8 』 周 城 蕊 鍵 I が 算 鼠＝望 礎 咽 LI 鳶 跨 写真･1ヨーロッパミモ（左）とヨーロッパトウヒ（右）の衰退 一一 60 一 トウヒ死亡率︵％︶ □ で，この壁はフィンランドの施肥計画投与量の △ 50∼250倍に相当するから，森林資源に影響を与 40 えるに十分な量である。彼らはまた，ヨーロッパ □△坐 20 0 ‐⑨ 誤 雰 ． Q2 ● ● ！ 大陸の森林および林産業から炭素収支量を8500 万∼1"5000万tの吸収量と推定した｡この量は ●,●● 40080012001600 標高(m) ●;南部， △;北部寒帯，ロ;北部移行帯，○;北部広葉樹林帯 図･2 アメリカ南東部の森林におけるトウヒの 標高別死亡率(JohnsonとSiccamal983) 現在の地球上の炭素収支推定で「ミッシングシン ク」（炭素の収支決算で合わない吸収量)といわれ る量の8∼12％に相当するという。 （2）それでも衰退が問題となっている 広域レベルあるいは大陸レベルでの森林資源問 題で森林衰退は大きな問題ではないが，地域問題 としての森林衰退は，地域林業，地域の公益的機 は変わらない(図・1)。このことは，年間材積成長 能の維持などから重要な問題である。 葱でも同じである。それでは森林衰退による減少 ヨーロッパや北米の森林衰退の特徴（写真･1） はどう見積もられるのだろうか。各国の調査報告 は，山岳部で標高の高い貧栄養の地域に起きてい から，重度の森林衰退面積は旧ソ連で2,0001(IIf, ることである(図・2)。したがって，日本のスギの ポーランド，チェコスロバキア，ドイツでそれぞ 衰退が平野部で特徴的なことと対象的である。こ れ1,0()0knf,残りのヨーロッパでおよそ3,000klf れらヨーロッパや北米の衰退については，堀田ほ で，合計およそ8,000knfであるが，この面積は全 か（1993）を参照されたい。 森林面積のおよそ0．5％にしかならない。すなわ ③衰退の原因は何か ち，大陸レベルの森林資源という観点からすれば， 近年になって，酸性雨の森林への直接的な影響 森林の衰退はわずかである。では，成長量の増加 は少ないという研究者がヨーロッパで増えている。 原因として何を挙げているだろうか。ヨーロッパ 酸性雨としての影響は林外の酸性雨ではなく林内 に付加される窒素降下鐘は年間0.5∼2.5百万t の酸性雨である，という。すなわち，樹冠や林冠 林業技術No.6251994．4 9 表･1環境汚染の呼び方と植物影響 区分 大気汚染・公害 煙害・鉱害 酸性雨I》 時代 昭和30年代まで 昭和30∼40年代 発生源 鉱山・精錬所 工場群・発電所 昭和50年代以降 遠方の発生源 影響範囲 数m以内 数十畑以内 数十畑以上 排出濃度 高濃度 やや低耀度 低濃度（？） 排出総量 多くはない 多い 多い 環境濃度 高濃度 やや低濃度 低濃度（？） 汚染時間 比譲的短い 被害の発現 急性的・顕著 比較的長い 慢性的・不明瞭 慢性的・不明瞭 被害発現部位 主に葉，稔性 樹勢異常落葉 撒勢（？） 被害の主因 有害ガスの吸収 土壌の頚上？ 局所的に酸性化 有害ガスの吸収 酸性化は顕著でない3） 有害物質の蓄積 被害の蓄積 単年度の害に比べて 多少ある 単年度の害より 降雨時〕 土壌の酸性化 蓄積が問題 少なく，局所的 ｊ ｊ３ ｊ ｌ２ 溺生降下物という表現にはガス・媒塵も含まれる 降雨時間は短くても影響は長時間に及ぶ 都市ではアルカリ化と物理性の悪化が顕著 に捕捉された二酸化硫黄をはじめとする乾性の酸 る可能性を指摘している。 性物質が雨水によって洗い落とされ，結果として ヨーロッパや北米で,およそ15年前から森林の の酸性雨（林内雨）が土壌中のマグネシウムイオ 衰退が問題となり，精力的な研究が展開されてい ンを溶脱し，土壌中のこのイオン欠乏が衰退原因 るが，現在でも衰退原因は特定されていない。し となるという（河野吉久氏：電力中央研，1993年 かし，考えられる衰退原因の影響過程は徐々に解 海外調査)。さらに,氏の調査によれば他の衰退要 明されつつある。それは，衰退現象そのものの単 因として，広葉樹林から針葉樹林への植生変化に なるメッシュ調査の解析ではなく，調査衰退地域 よる土壌の貧栄養化，土壌水分の低下によるマグ の気象条件も含めた立地特性，衰退樹木の種特性， ネシウムイオンの吸収阻害，アンモニウムイオン 天然林から人工林への転換などの施業影響評価な 沈着量増加によるマグネシウムイオンの拮抗的な どのきめ細かな解析によっている。そして，重要 吸収阻害，硝化作用による土壌酸性化とマグネシ なことは，衰退地域によって衰退要因の寄与度が ウムイオンの溶脱促進，不適地への造林などが衰 異なっているために一般的な森林衰退要因が特定 退原因として挙げられているという。また，多く できないことである。言い換えれば，先に述べた の短期的な実験結果から，現状のオキシダントや 多くの衰退要因の寄与度が，立地によって，林分 二酸化硫黄あるいは降雨水の酸性度の観測値は樹 によって，構成種によって異なることである。 木に影響を及ぼすレベルではない，とする研究者 個々の衰退地域の衰退要因の究明と問題解決が も多い。しかし，二酸化硫黄濃度はわが国に比べ 重要であり，ヨーロッパの森林衰退，北米の森林 て高く，オキシダント濃度もわが国と同程度であ の衰退を一般化して論じても問題は解決しそうに ること，またマグネシウムイオン欠乏とされる葉 ない。そのことは，わが国の森林衰退についても の黄化現象が樹冠表面の葉に観察されることなど 同様で，それぞれ問題とされている森林の衰退要 から，これら大気汚染物質の複合影響の可能性も 因を多くの視点から究明することが重要で，すで ある，と指摘している。さらに，降水鐘の少ない に述べた常識的な森林の衰退要因を個々の森林に ヨーロッパでは，乾燥ストレス期と森林の衰退時 当てはめることは危険である。 期の一致を指摘する研究者も多く，大気汚染物質 に加えて乾燥ストレスの影響が相乗的に働いてい 2．わが国では何が起こっているか 日本では，関東地方を中心とするいくつかの森 林業技術No.6251994.4 IO となる。温泉地に見られる ｢硫気荒原（通称：地獄)」 では，噴気孔付近の無植生 地帯から，ススキなどの草 地，リョウブ低木林，アカ マツ林へと土壌酸度に対応 した植生が見られる。 阿蘇山（熊本県）では 1979年9月に多最の火山 ガスが噴出し，火口唾から 流れ出たガスが22haにわ たるスギ林に急性被害をも たらした。熊本市で測定さ れている雨水のpHが低 写真･2精錬所の排煙により裸地化した森林 (香川県直島島 ，，1971年） 下傾向にあることから明ら かなように，火山ガスの影 林で衰退が生じており，酸性雨等の環境汚染が原 響は広範囲に及んでいる。1991年に活動を再開し 因でないかとの疑いも持たれている。しかし，欧 米の森林衰退と同様に，環境汚染が急激に悪化し 著なガス被害をもたらしている。 たという事実はなく，さまざまな原因が考えられ （2）近代工業と煙害・鉱害 ている。これらの衰退に共通の原因が存在するの 明治以降，近代化を急いだ日本は各地で精錬所 た雲仙普賢岳（長崎県）も，付近のヒノキ林に顕 か否か，また，より広域化する可能性があるか， の規模を拡大し，多量のイオウ酸化物を排出させ ということは重要な問題である。森林衰退を説明 て周辺地域に被害をもたらした。四国の別子銅山 できる既知の病虫害の特定や，有害物質の検出が の鉱石を処理した新居浜精錬所の煙害は，この時 できていないことを理由に「新しい被害」と呼ぶ 代の煙害の代表例であろう。ここで発生した農林 前に，「環境汚染による古典的な被害｣を振り返っ 作物被害については，農事試験場の鏑木徳二によ てみる必要があろう。わが国で「酸性雨」が初め って研究され，植物被害発生にかかわる基本的な て報道された時代には何があったか，また，足尾 事象についてはほぼ明らかにされている。当時の 銅山に代表される「鉱害」とは，何が異なるのか 対策は高煙突化による拡散と隔離（精錬所を四阪 を検証してみたい（表．l)。 島に移転）が主であって，根本的な排出対策は遅 （1）自然の酸性環境 火山活動による酸性ガスの発生は日本の各地で れた。 足尾銅山（精錬所）の場合は，渡良瀬川の水質 見られる。動植物に対する毒性が強い二酸化硫黄 汚濁による下流域の農業被害が深刻であったため， (SO2,亜硫酸ガス）は高温の火山活動によって発 煙害について語られることは少ない。しかし，排 生し，噴火時に放出される。そのため広い範囲に 出されたガスによってもたらされた煙害と土壌の 拡散され，土壌への蓄積は多くない。穏やかな火 酸性化は，燃料用に伐採された森林の回復を不可 山活動では地中のイオウが硫化水素(HS)の形 能にした。規模に違いはあるが，同様の煙害（写 で排出される。硫化水素ガスの毒性は弱く，植物 真.2）は各地の精錬所周辺に見られた。酸性雨被 への直接影響は少ない。いずれのガスも空気より 害とはこのような煙害荒廃地を再現することであ 重く，地表に降下し酸化され，水に溶ければ硫酸 る。 林業技術N().62519944 1 1 害を及ぼし,(写真･3)リゾー ト地の宣伝文から「オゾンが いっぱい」の語句が消えた。 （4）脱公害，そして酸性雨 1980年代になって欧米で 森林の衰退が顕著となり,｢酸 性雨説」力輸入された。わが 国の雨水のpHが彼地と同 レベルであること，枯損木を 含む林分が存在することが結 び付けられ，因果関係の探索 が不十分なまま，酸性雨害が 報道された。実は，わが国で の酸性雨の発生はかなり古く， 写真･3 光化学スモッグの影響により生じたケヤキの異常落葉 顕在化したのは1973年であ （東京都世田谷区， 田谷区，1972年）る。当時は｢硫酸ミスト｣，『湿 性大気汚染｣，または,単に酸 （3）高度成長と公害の時代 性の雨と呼ばれることが多かった。pHが3を下 1960年代には各地の工業地帯で大気汚染がひ どくなり，「公害｣という言葉が生まれた。汚染の 回るものもあり，多数の人体被害があった。植物 については，アサガオの花弁など「クチクラの薄 種類と発生源が多岐にわたり，「複合汚染｣が問題 い組織」に還元性の脱色斑が発生することが特徴 になったこともこの時代の特徴である。四日市市， とされた。当時,pH4程度の雨水が，スギのよう 川崎市に代表される工場群からの大気汚染は付近 に厚いワックスで保護された葉を侵し，被害をも の樹木や農作物に被害をもたらしたが，高漉度汚 たらす可能性を論じた研究者は皆無であったと記 染地域が都市部や埋立地に当たるため，森林衰退 憶している。もちろん，湖水の酸性化によって魚 というより，公園樹・緑化樹等の被害が主であっ 類の死滅を招いたように，土壌の酸幽上によって た。二酸化硫黄やオゾンによる薫煙実験が行われ， 植物の根系が損傷されることは煙害時代に経験し 野外で観察される症状との比較，強弱の順序付け ている。しかし，スギやケヤキの衰退地図が描か が行われた。スギを除く多くの樹種では実験の結 れた地域では，都市化による土壌のアルカリ化が 果と野外観察の結果が一致し，汚染による衰退が 進行していたため，酸性土壊を好むスギの衰退に 説明できた。 つながるという発想はなかった。 1970年代に入り，イオウ酸化物による大気汚染 3．さまざまな森林衰退 は急激に減少した。法律による規制に加えて，石 原因はともかく，わが国の樹林地や森林に枯損 油ショックによってわが国の産業が省エネを志向 木が目につくようになった。その中には，酸性雨 したことも成功した理由の1つといわれている。 等の環境汚染が誘因または主因となっているもの 一年中青空を見ることがないといわれた川崎の空 も含まれている可能性もある。しかし，それぞれ もよみがえった。皮肉なことに，透明度を回復し の森林ごとに異なるはずの原因を追求することな た都市の大気に降り注いだ紫外線は，光化学スモ く，安易に酸性雨現象と結び付けようとする傾向 ッグ（オキシダント）を発生させ,ケヤキ,ムクノ が見られるのは残念である。私たちが知る範囲の キ等の異常落葉を起こさせるなど植物にも大きな 衰退林分を，推定原因別にまとめれば次のように 林業技術No.6251994.4 12 表･2植物影響から見た大気汚染と酸性雨の違い 区 分 大 気 汚 染 酸 性 雨 衰退の徴候 葉から全体へ（生産力低下） 瀧旱講念解熊としては葉雷 葉量斌少の原因 葉の寿命の短縮 新葉を出す力の低下 衰退の分布 汚染源中心の同心円状 土壌の緩衝力に従う 樹木への侵入 生葉（気孔）から 細根眼毛）から 土壌への負荷 落葉成分が地中へ 雨水から付加される 植物体への蓄積性 多くは葉の寿命まで 影響が蓄演される可當誰あり 林床植物への影響 ほとんどなし あり コケ植物等への影響 大きい 大きい 無機材質への影響 腐食作用が大きい 直接的影響は小さい 人々に認識され，極相林が保護されるようになっ なる。 （1）自然枯死 たことは自然保護運動の成果といえよう。 人為的影響を完全に排除した高齢の自然林（極 シラカンバのように遷移の初期に優占する樹種 相林，原生林）では，寿命による枯死，遷移現象 は，成長が早い代わりに寿命が短く，極相種であ としての樹種交代が経常的に生じている。樹木の るブナやミズナラに席を譲って消えてゆくのが正 枯死には腐朽菌が関与するのが普通であり，病害 常であり，シラカンバ林の存在は人為的影響や災 との区別は難しい。虫害や気象害も森林の更新の 害の証拠となっている。群馬県赤城山のシラカン 引き金になるので，自然枯死に含めることもでき バ林は，混在するミズナラを伐採してシラカンバ る。ブナやスダジイ，タブなど，極相林の林冠を とダケカンバだけを残したため，枯損が顕著とな 構成する樹種の寿命は300年程度と考えられる。 った。付近にある遷移初期の若いシラカンバ林に モミ属の樹木は寿命が短いことで知られており， 衰退は見られない。 モミで150∼200年,シラベやアオモリトドマツで 富士山山中のハリモミ林の衰退は，環境庁の第 は70∼90年である。極相林の枯損（または倒木） 3回自然環境保全調査報告書でも指摘されている。 は集団的であるのが普通で，明るくなった林床に ところが，霧島山（韓国岳）ではハリモミの勢い 次世代の稚樹が一斉に育ち，再び林冠の榊成種と が増しつつあるとの報告があり，遷移初期の植物 なる。上木の一斉枯死と更新はシラベの純林で顕 群落の特性を示している。 し圭 著に観察され，枯損部分が縞状に見えることから （2）気象害 r縞枯れ現象｣として知られている。自然林のすべ 洞爺丸台風，伊勢湾台風の例を出すまでもなく， てが極相林であれば,少なくとも1/100∼1/300の 台風による森林被害は多い。倒木を生じるほどの 面積は上木が枯死していることになる。一般的に， 強風でなく，枝葉や根に損傷を生じた場合に傷口 広葉樹は枯死木の腐朽力穂やかに進行するのに比 から腐朽菌が侵入し，急激な集団枯損が生じるこ べ，針葉樹では幹が「白骨化」して永らく残存す とがある。特に，夏台風の場合には葉の被害が多 るため，枯死の存在が知られやすい。その典型的 く，樹勢が衰えたうえに腐朽の進行が早いため， な例は樹脂に富むヤクスギであろう。 翌年への影響が大きい。 木材資源が重要視されていた時代には，枯損す （3）水ストレス る以前，または直後に伐採・利用され，枯死木が 東京都と周辺地域におけるスギの衰退現象を山 目に触れることは少なかった。森の生き物たちに 家（1973）が報告した当時，この地域は高濃度の とって枯れ木の存在が不可欠であることが多くの 大気汚染環境下にあり，多種の樹木で衰退が観察 林業技術No.6251994.4 13 １１ 明白 毒 されたため，スギの衰退が大気汚染に 員 塁 轌琴 よるものと考える合理性があった。し かし，スギに限って各種の有害ガスを ー → i膨考三． − 用いた暴露試験の結果とは一致せず 雪 (垰田，1974など)，土壌のアルカリ化 異一 説明できるにとどまった。その後，茨 ･込彩？年、 霊 4 - ■ 一 鼻 、 嵩 q 変化として，都市化の拡大，自動車排 『 利 蓋 圧の影響の増加等が，もともとスギの 1這L生 １１ 悪化させたことを示した。また，千葉 −門ⅢＦＬ匿應 ､ 気汚染，地下水位の変動，林地への踏 生育にとって不良な立地条件をさらに ミ a (1981)は，スギの衰退に関与する環境 気ガス，媒塵の増加，工場等からの大 言一 ＝ などの他の要因の存在は衰退の一部を 城県のスギ衰退について調査した横堀 良 圭 一 I 県の山武スギ林業の歴史を研究した青 沼(1993)によると，高齢の造林地で 亙 成長停止や衰退が見られる「後期衰退 日蓉1−1 聴 現象」が雨量の少ない地域に見られる 凸 ＝ 臣 という。 ヨ 鰹 1 二・ 大気汚染が改善された地域では，ス ギを含む多くの樹種で樹勢の回復が認 められた。関東地方のスギだけに衰退 一一 ＝ 鑿 〆 蕊蕊 傾向が残っているとすれば，スギに固 有の理由がなければならない。多数の 樹種について樹体内の通導抵抗を測定 、画 ‐母亟‐戸 齢j郡萄鎚･忍 凸 ■ 琴霧塗 写真･4大台ケ原トウヒ林の枯損（1990年，中静透氏撮影） した結果，スギは特異的に抵抗が大き く，葉の蒸散量が多いことから，樹高が高くなる 気候条件の変動を除外するため，標準化した年輪 と水分吸収に破綻をきたす可能性が大きいことが 指数を用いて発電所の操業開始後の生育悪化と排 明らかになった。衰退が観察された平地のスギ樹 煙脱硫対策による改善，発電所からの距離と生育 群の分布は降水量が少ない地域に一致し，また， 阻害の程度に密接な関係があることを示した。こ 大気乾燥の進行が著しい地域であることも明らか の場合，雨水の酸性化は大気環境の改善にもかか になった（松本ら，1992)。高橋ら（1991）が訓査 わらず進行し，年輪指数との間に相関が認められ した関西・瀬戸内地方でも，暖候期（5∼9月） ないとしている。 神奈川県大山のモミの枯損原因について，鈴木 の降雨量が少ない地域に激害・中害地が多いとし ている（ただし，著者は衰退原因はガス状・浮遊 (1992)は1954年から1985年までの空中写真と年 粒子状二次汚染物質と推定)。 輪の解析を行い,1954年の枯損水準に比べて1964 （4）大気汚染・酸性雨（表・2） 年以後の枯損は3倍も多く，環境変化の影響を受 福井平野では，火力発電所の操業によってスギ けていることを示した。枯損木が多くなった時期， の生育阻害が生じるとされた。加藤ら（1988）は， 年輪幅の減少した時期と,401m離れた臨海工業地 林業技術No.6251994.4 14 帯の高濃度大気汚染の発生時期はほぼ一致する。 な成長減退であろう。被害をもたらす原因が蓄積 イオウ酸化物濃度が急激に減少を始めた1970年 しつつある可能性もあるので，広域的な監視を続 ごろから年輪幅が増加に転じた。 パルプ・製紙工場からの大気汚染の影響を受け けることが最も重要である。さらに，個々の衰退 地域での原因究明には先入観を排し，立地条件， る富士山新1合目（富士宮市）のブナ林で，ブナ 葉にネクロシスが見られた。角張・原野（1991） 種特性，施業歴など考えられるさまざまな要因の は，このような障害が見られない地域のブナ林と の比較を行い，富士山のブナ林では，降雨のpH が低い，陽葉が小さく，光合成能力も劣る，土壌 林野庁は，関東地方の平地林の高齢スギ林に見 られるような衰退現象が他の地域にも見られるか， 拡大の可能性があるかどうかを確め，適切な対策 中・葉中のアルミニウムの含有量が多いことを示 を講じるため，全国の都道府県の協力を得て「酸 した｡富士宮市の雨水は1973年にpH2.5を記録 マツノザイセンチュウ発見当時（1969年）は， 性雨等森林被害モニタリング事業」による調査を 1990年から開始した。この事業では，森林の健全 性と成長量に関する調査のほか，雨水の成分，土 壌の酸性度，重金属汚染，栄養成分等の分析が行 大気汚染が甚だしい地域のマツ林枯損が少なくな われており，それらの経年的変動を把握すること く，二酸化硫黄やフシ化水素を直接の原因とする に重点が置かれている。 し，その後はpH4･∼5で推移している。 （5）虫害・獣害 解析が重要である。 衰退も存在した。現在の汚染水準では，線虫の媒 （熱繁繍訓蕊騨舗蕊長） 介者であるマツノマダラカミキリが存在しなけれ ば集団枯損は生じないと考えられる。ただし，大 気汚染を含む環境ストレスによって衰退した個体 力倣置されていると，マツノマダラカミキリカ權 卵・増殖して激害に結び付く。 樹木を枯死させるほどの害はないといわれてい た穿孔性昆虫カシノナガキクイムシによるカシ， ナラ類の集団枯死が近年になって各地で報告され ており，新しい病原生物力:侵入した可能性も考え られる。ブナ林でも東北地方のブナアオシャチホ コ，丹沢山地のハバチの一種など，食葉性害虫の 異常発生が報告されている。 ニホンジカ，タイワンリス等の繁殖による森林 樹木の被害は各地で報告され重大な問題になりつ つある（写真･4)。 4．まとめ 引用文献 (1)PE.Kauppietal.Biomassandcarbonbudgetof EuI℃peanforests.Science256:70-74,1992 (2)A.H・JohnsonandT.G.Siccama.Aciddeposition andforestdecline・Envil･on.Sci.Techno1.17(7); 294-305,1983 (3)背沼和夫(1993)再考山武林業,pp.151,グリーン企画 (4)堀田庸ほか．森林衰退一酸性雨は問題になるか一・わ かりやすい林業研究解説シリーズNo.100,1-102 pp.1993 (5)角張嘉孝・原野美雄（1991）ブナ林衰退現象の評価と その対策(1)−ブナ葉における可視障害の有無と光合 成速度-,102回日林諭443-445. (6)加藤輝隆ほか（1988）スギの年輪幅に及ぼす大気汚染 の影瀞評価，大気汚染学会誌26:311-319.32()-328. (7)松本陽介･丸山淵･森川端（1992）？スギの水分生理特 性と関東平野における近年の気象変動一森林の衰退現 象に関連して−，森林立地，34：聖13. (8)鈴木清(1992)神奈川県大山のモミ林枯損経緯とその 周辺地域の年輪幅の変化，神奈川県林試研報19: 2 3 − 4 2 ． わが国では，現在，環境汚染を主原因とする大 (9)垰旧宏（1974）環境汚染と指標植物,pp.170,共立出 規模な森林衰退は生じていないようだ。過去に生 0O高橋啓二ほか（1991）関西・瀬戸内地方におけるスギ じたいくつかの事例も，汚染源対策によって回復 衰退とオキシダン1､指数，降雨漿との関係，環境科学 傾向にある。しかし，主要な原因であったイオウ uD山家義人(1973)東京都内における樹木衰退の実態， 林試研報257:101=107. (1ル横堀誠(1981)茨城県内でのスギ樹勢衰退とその要因 酸化物の濃度を再び上昇させる要因は存続してお り，窒素酸化物等の低減は成功していない。今後 起こり得る，あるいは起こっている被害は慢性的 休業技術No.6251994.4 版 会誌4(1)：51-57． に関する研究，茨城県林試研報13：1-32. 15 ! ” 眼 X y 租 砺 X … … … X … 唾 』 鷹 X 〃 ゆ り 麺 諏 瀞 魂 弼 蝉 … … 趣 グ 趣 砕滝X”､旨X託X"AX罰『W"駆日 商 』 且 X 窪 渥 x 斎 嘩 X 索 狂 X 互 郁 鍵 ” 餌 X 認 & 鍬 諏 I 叡 登 鄙 … 錘 … X 起 月 唾 … 4 鞠 ? 蛤 冨 “ 壁 “ 砺 沌 … や 率 X … … 期 ” 1 小径木を利用したプレストレス床版橋 うすきせいぞう 薄木征三 よって一体とし，重いトラック等の荷重に耐える 1．はじめに 構造であった。図･1(a)にその概念図を示す。 土木建設現場においては橋をはじめとして足場 しかし交通量の増加とともに釘が緩みだし，製 などに木材が使用されることは，ここ十数年間ほ とんどと言ってよいほどなかったと言える。これ 材ラミナ（1枚1枚の板）相互の間にスキ間が目 は戦後の国土復興期とそれに続いた高度成長期に 立つようになった。オンタリオ州のシオクスナロ おいて，森林資源がすでに枯渇していたとともに， 強くて長持ちし，大量生産ができて材質が均一で ウ橋(SiouxNalTowsbridge)の例でいうと，こ れら釘打ち積層床版を撤去し，図･1(b)のように幅 あり，かつ安価に手に入る建設材料が要求された 員方向に平行に並べた製材ラミナの幅員端に鋼チ ためである。これらの要求にかなったものが鋼と ャンネルを当て，床版の上下面に沿って配置され コンクリートだったと言え，建設材料の主流とな た鋼棒を緊張することによって製材ラミナ相互を ったのである。 一体とした。これはプレストレス(pre-stress)と しかし近年,特に昭和60年代になってからは戦 言われる工法であり，トラック等荷重が作用する 後に植林した森林の荒廃，農山村の人口の減少な 前に，あらかじめ(Pre)緊張(stress)するとい どを背景として，国産材の需要拡大運動が都道府 う意味である。 このプレストレスエ法は，その後図･1(c)のよう 県レベルで展開されてきたことはご承知のとおり である。一方，高速道路や新幹線，本州四国連絡 に発展した。すなわちプレストレス鋼棒(PS鋼 橋などビッグプロジェクト（巨大開発事業）に代 棒）は床版厚の中心を貫通しており，床版の外側 表される社会基盤の整備が進むにつれて，これま からは見えないようになった。直接風雨にさらさ での機能と経済性重視の傾向から，景 観や快適性が重視される社会へ移りつ − (a) 時代背景の下に木橋も新たに見直され るようになってきたのである。 ’フ寺I／言1、し受未産普扁,I，中 2プレストレス木床版小史 カナダでは今世紀初めにおいて，多 数の木トラス橋，特にハウトラス橋が 架けられ，カナダ西部の開拓に大きな ，糟吾石 側 一＝1■■1■■ 役割を演じた。これらのトラス橋の床 '又両u'埋埋レ' 。ｰ〃しつvノ！‐／ハ'1向vソノ/卜アンカーフ。レート は，製材した板を垂直に立て，これら 板相互に釘を水平に打ち付けることに 1詞 戸 チ ャ 〆 されるようになっており，このような PS鋼棒 ー 一一 のデザインの価値が少なからず大切に 云釘 つある。私ども土木の分野でも構造物 ー 支圧 m 支圧 ■ 可 (c)PS鋼 棒 方 ‘ アンカーフ°し _LL ／ ( b ) (d) 製材ラミナ または集成材ラミナ 図･1 床 版 の 変 遷 林禦技術No_6251994．4 16 れないのでPS鋼棒の腐食対紫も容易となり，外 の林道に昨年10月に完成させた場の沢橋の正面 観_上も好ましく，施工も容易となった。 図を示す。図中でスギ＋カラ松集成材ラミナとは， 図･1(d)は,1980年代中ごろに北米で改良された 外層にカラ松（上下各2層)，内層にスギ（8層） 方式である。つまり長いチャンネルは支圧板（ベ を使用した集成材ラミナを意味している。ナラ集 成材ラミナは外層，内層ともナラから成る集成材 アリングプレー￨､）に置き換えられ，これによっ て鋼重の減少を図り，もってコストダウンを可能 ラミナであり，図･2の北米の例と異なって幅員端 としたのである。しかし製材ラミナを使用するか のみならず，ほぼ等間隔に配置している。これは ぎり，床版の支間（支点と支点との間の距離）に は制約がある。なぜなら丸太の長さに制限がある スギが軟らかいためプレストレスカによって局部 的な潰れを生じることがコンピュータによる計算 からである。そこで図･2のように製材ラミナを集 で予想されたからである。硬いナラはプレストレ つぷ 成材ラミナに置き換える工法が生み出された。こ スカを床版内部に均等に分散させるのに役立つの れはウィスコンシン州の例であり，支圧板からプ である。 レストレスによる支圧力を受ける幅員端は広葉樹 表｡lに計画当初における原木とひき板の必要 集成材ラミナ（オーク）を使用し，そ れ以外は針葉樹（サザーンパイン）の 集成材ラミナとしている。なお図･2の 支間は9.45m,幅員は6.6mの2車 表．l所要丸太数と丸太から作られるラミナの数 樹種｜形態｜長さ×(径または幅）｜数量 スギ 線で，わが国でいうと町道に相当する 道路に架かっている。 カラマツ 3．わが国への適用 丸太 製材 8側O×1"mm 304枚 丸太 製材 2000×180mm 2000×110mm 8000×105mm 285本 715枚 152枚 145 5．5 38 才 本 (スギ8枚十カラマツ4枚)×38本 カラマツ ナラ ( ｲ ) 9 ． 8 2400×220mm 100本 9．1 製材 2400×120mm ラミナ傘 8000×115mm 400枚 96枚 2．6 材ナ 丸太 4.0 12枚×9本 本 傘 申 錘圭 1膳畿墓電』 材ナ 成ミ 集う スギ＋ 29．0 11．0 77 570本 ラミナ＊ ラミナ零 図･3に秋田営林局が秋田県I臘巣II11 材積(ma) 鶏｜：::柵照｜↑澱 2000×110mm 1430枚 2000×180mm 久 一 … 、 :、 口2．3 ．ラミヅーの厚さは30mm,製材は35mm k噸プレーナー加工で￨隔90∼95mm仕上げ …プレーナー加工で幅100￨∼105mm仕上げ 広葉樹ラミナ 図･2北米の例 ")+tj=121msは木床版の材秋にほぼ等しい 100 1001002(X)0 岬 2 0 0 0 3 0 0 − 翔 ＃伸Ｊ０Ｏ ９０１０正 色守鋺 一一一一Ｐｌ ︵二割ここ園 Ｃ坐，。四一一，色唖一一暉色守踊一 ﾖ ／熱灘疑…＝･･’“…… ／'／ﾅﾗ ：蕊蝿ヅーu、 = 芋=ｱｰｰｰ妻ﾗﾆﾗ J PS鋼棒妙19支産篇／ アンカープレート 2 2 ( X 〕 図･3プレストレス集成材床版橋正面図 林業技術N<).6251994．4 蹴位、、 17 写真｡l ス ギ 隅 繍 … 写真･2カラ松 鞠 嘩 沙3 国 ＃ 銀 ー 今 ８． 劃 § 綴 汀＄ 鳥 識3 写真･3ナラ 寸法と数量を示す。表からわかるように，末口径 で180∼220mm,長さ2∼2.4mの丸太を基本と している。これにより大径木は必要とせず，小径 木や間伐材で十分用が足りるのである。図･2の北 米の例ではこのような材は使用せず，市場に流通 している2×4（ツーバイフォー）をひき板とし， これを接着積層して集成材ラミナとしている点に わｶ国との差がある。これは国柄を見事に反映し 写真･4天然乾燥 ていると言えよう。 写真･1にスギ,写真･2にカラ松,写真･3にナラ 茜:I の丸太をそれぞれ示す。これらはいずれも営林局 管内の各営林署から能代市の相澤銘木㈱へ平成5 蕊雲§ 侭 霊 寒酵:わ鞠亨 ﾛ、.堪さ._一呂 年5月末日に搬入されたものである。 4．製作と施工 ◆■ # これらスギ，カラ松およびナラは表．lに示した 鰯了 寸法に製材された後，通常の集成材の製作工程に 到･憲司 従って天然乾燥と人工乾燥，養生が行われた。写 真･4に天然乾燥，写真･5に集成材ラミナを示す。 写真･5スギ＋カラ松集成材ラミナ 写真･5は実橋の集成材ラミナを製作する前に床 版全体の寸法を1/2に縮めた縮小モデル実験を行 うための集成材ラミナである。 林業技術No.6251994.4 18 ' ■ＢＦｄ 虫 近近 蕊 写真･6集成材ラミナの配置作業 写真･7油圧ジャッキによるプレストレス 趣 一 写真･9RCシート敷設作業 写真･8床版のクレーン車による橋台への設置作業 以上のように防腐処理された集成材ラミナ47 本（長さ各8m)はトラックで現場へ輸送され， 組み立てられた。写真･6にPS鋼棒に集成材ラミ ナ1本1本を通す作業を示す。PS鋼棒は妙19 nlnlであり，これが123cm間隔に配置されてい る。PS鋼棒を通す,集成材ラミナに開けられた孔 の径は37mmである。写真で白っぽく見えるの がナラ集成材ラミナである。 写真･7は20t油圧ジャッキによってPS鋼棒 を緊張する作業，つまりプレストレッシング中の 写真･10アスファルト舗装 様子を示している。白っぽく見えるのが亜鉛メッ キされた支圧板である｡プレストレスカは18.5t 実橋のスギ＋カラ松集成材ラミナは，クレオソ であった。 ート加圧注入による防腐処理がなされ，ナラ集成 プレストレスによって一体となった床版はクレ 材ラミナはオイルスティン系の防腐塗料が塗られ ーン車によってつり上げられ，橋台上に静かに設 た。後者は広葉樹の集成材であることから，油性 置される。写真･8にその様子を示す。このときア または水溶性防腐剤の加圧注入による接着層への ンカーボルトとゴムシューはすでに床版端部に取 悪影響が懸念されたからである。 り付けられていることに注意されたい。 休業技術No.6251994.4 19 8020 写真･9は床版上面にリ 10 UOOl−6,1230二7380一F一両 フレクション・クラック防 匪庁 、 一一一 回 て示してある。 一一一一一 図･3にもRCシーl、とし この硯マ 込むのを防ぐ効果がある。 回 が生じ，結果として雨水等 U 総讐 一一一一一一 スファルト表面にクラック ○○言Ｃ一唖斡ロ・唖○四ｍ 二 ー 一弐’ 一 で これは車の通過によってア ー 一畳↑︲一一恥 、 一一一一〃 [． 甑一﹁ 設しているところである。 匙証一三︲︲｜’ 止シート(RCシート）を敷 がそこから床版上面へしみ 10 了 1 0 2 5 ， − 5，1‐ 150二‘ 5750- 1 0 2 5 ‐ 計 ／ 写真･10はアスファルト 舗装作業である。道路舗装 ” 」 20 3)038 千一 用の通常のアスファル1､が 8 6 2 0 ‐ 使用された。 図･4場の沢橋固定支承 5木橋の支承について 一 − 皇主星−1一一一一一==＝ ’一 この6月に側日本住宅・木材技術センター（下 川英雄理事長）から発行予定の「木橋の設計・施 工の手引き（仮称)」によると，「荷重」の中に次 一一 の一項がある。 ＝三＝三二三三 木材の熱膨張は水分による膨張よりはるかに 小さい。繊維方向の線膨張係数は樹種によらず 鋼より一桁程度小さい。また熱伝導率も鋼より 2桁以上小さいため熱膨張は無視してよい。 これに続いて木材の含水率の変化の影響につい 写真･11ゴム固定支承 て次の一項がある。 集成材は含水率15％以下で製作される｡自然 界に曝されると空気中の含水率と平衡を保とう とする性質がある。空気中の含水率は年間でお よそ最小10％から最大20％へと変化する。よ って水溶性の防腐剤によって処理された主構の 場合，含水率の変化による繊維方向の伸縮は考 慮しなければならない。 「構造詳細」の節で｢固定支承」の項では次のよ うになっている。 特に長スパンの橋を除くと可動支承は不用で あり，固定支承とすることができる。 つまりクレオソー￨､加圧注入等油性の防腐剤で 処理された部材は，部材中の含水率の変化はほと んど無視できるので，部材の伸縮も無視でき固定 支承でよいのである。今回のプレストレス木床版 橋の下部構を含む側面図を図・4に示す。両支点 A,Bともにヒンジ支点となっており，したがって コンクリート製ラーメン橋台を含む全構造形は一 次不静定として扱われる。そして床版A−Bがラ ーメン側壁に作用する土圧等によるA−B方向 の軸力に対して座屈しないことが設計条件の一つ となる｡写真･11に支点下部を示す｡アンカーボル トは床版とゴムシューを貫通して橘座に固定され る。（秋田大学鉱山学部土木環境工学科教授） 林業技術No.6251994.4 20 “ 基 “ 悪 … 巧 澤 … … 堂 γ … … 音 … 坤 准 … … X … 諏 壁 唾 壌 X … r 蝿 艮 … … … “ 処 … 酔 殖 r 詮 唖 郵 公 E … “ … … … 昌 一 … 聖 X … … … 趣 … 平成6年度森林･林業関係予算(案)の概要 なかやまこうじ 中山浩次 砕 丞 … X ｡ 御 … … . … 騨 夢 r ＝ r … … … y … … 唾 … ﾜ 垂 鐸 … ＝ … … 一 斉 刊 … … 壷 … … ｜一般会計予算案の概要 林業担い手の育成強化，国産材の低コスト安定供給体 平成6年度政府予算案が本年2月15日に閣議決定 制の整備と木材産業の体質強化の推進，林業金融制度 された。本予算は，一般会計総額73兆817億門，前年 度比1．0％増となっており，その特色は，景気低迷に よる税収の減少を5年ぶりの赤字国臘の発行や建設国 の充実，海外林業協力の推進，さらに，国有林野事業 債の増発等でカバーし，国民生活の向上や景気浮揚に め，以下に述べる各般の施策を積極的に進めることと つながる分野に重点配分を目指す予算となっている。 予算案のうち政策的経費である一般歳出は，2．3％ の経営改善の推進等に重点を置いた予算となっている。 平成6年度においては，これらの課題を達成するた しており，公共事業については，災害を含まない一般 公共計(NTT．Aタイプ112百万円を除く）で， 増の4()兆8,548億円にとどまったが,このうち公共事 業など投資的経費は景気対策等を考慮して4．8％増を 391,950百万円(対前年度比104.1％)，非公共事業に 確保した｡一方,経常部門は1．7％増と昭和63年度以 している。この結果,NTT．Bタイプ償還時補助分 来の低い伸びとなった。 こうした中で一般公共事業については，4．1％増の 8兆8,138億円となっており，従来の生活関連重点化 枠が廃止され，平成2年度以来の公開財源方式（財源 1,000億円）が採用された。 本年度の予算で注目されていた公共事業のシェア見 直しについては，昨年11月に財政制度審識会(蔵相の 諮問機関）が行った報告の3分類に沿って，集中的に 投資するとした生活環境整備型率業はややシェアが上 昇，抑制気味に扱うとした産業基盤卿Wi型は低下する など過去に比べシェアの変動が大きなものとなった。 この結果，建設省の都市公園(6.0％増), ド水道(7.0 ％増)，住宅（6.6％増)，厚生省の環境衛生（11.8％ 増）などが高い伸びを示す一方で，農林水産省の農業 農村整備(1.2％増)，漁港(0.5％増)，運輸省の港湾 (0.7％増)などが低い伸びとなった。林野公共事業に ついては，4．1％増(治山3．3％増，造林7．4％増，林 道4．3％増）となり，平均の伸びは確保したところで ある。 11.平成6年度森林・林業関係予算案の概要 ついては，79,187百万円(対前年度比99.5％)を計上 (108,176百万円）を除き，災害復旧等を加えた林野庁 一般会計総計では，479,336百万円(対前年度比103.3 ％）となっている。 1．多様で質の高い森林の育成 (1)保安林整備の推進 山地災害の未然防止，良質な水の安定的確保等を図 るため，平成6年4月末日をもって期限切れとなる保 安林整備臨時措置法を延長するとともに，治山事業等 を計画的に推進する。 治山事業の新規事業等としては，指定目的に即して 機能していない保安林を緊急に整備するため，保安林 改良，保安林管理道整備等の事業を集中的，総合的に 実施する｢特定保安林整備緊急治山事業｣，取水施設上 流域等の保安林において，水質保全施設の整備等を推 進する｢水質保全環境整備事業｣，環境保全機能の高度 発揮の観点から，保健保安林および風致保安林の整備 を推進するr自然環境保全林整備事業｣，最近の災害の 多発状況に対処し，災害を受けやすい特殊土壌地帯に おいてきめ細かな防災対策を実施する「林地荒廃防止 平成6年度森林・林業関係施策については，多様で 質の高い森林の育成を推進するため，森林整備事業計 事業」の拡充，良好な水質の確保と安定的な水の供給 に資するため，国有林野内において，水質・水土保全 施設の整備等を実施する｢水源地域水質保全対策事業」 画および第八次治山事業五箇年計画に基づき，造林， を実施する。 林道および治山事業の計画的な推進を図るとともに， 林業技術副o.6251994、4 また，山地災害の未然防止，良質な水の安定的確保， 21 表･1平成6年度林野庁関係予算（総括表） 施する「豊かな森林づくり」対策（林道事業 区分’5年度予算額’6年度概算決定額｜対前年度比 ％ 百万円 百万円 100.2 ( 5 3 , 4 3 4 ） ( 5 3 , 5 5 4 ） 一般公共事業 104.1 376,348 391,950 創出するケヤキ，ナラ等の広葉樹林を整備す においても実施)，災害に強く，美しい景観を るため，広葉樹の植栽，天然林等の育成を推 進する｢広葉樹林整備特別対策事業｣，造林事 ( 3 1 , 3 7 0 ） 治山事業 216,508 (31,180) 223,577 造林事業 ( 7 , 3 9 7 ） 52,684 ( 7 , 6 4 8 ） 56,595 994 103.3 103.4 107.4 業の助成対象に，花粉飛散抑制等の森林の質 的高度化を目的とする枝落としおよび森林整 林道事業 災害復旧等事業 公共事業計 非公共事業計 林野庁一般会計総計 ( 1 4 , 6 6 7 ） 107,156 ( 1 4 , 7 2 6 ） 111,778 100.4 104.3 7968 8,199 102.9 ( 5 3 ‘ 4 3 4 ） 384,316 ( 5 3 5 5 4 ） 400,149 100.2 104.1 79,556179187995 ( 5 3 , 4 3 4 ） 463,872 ( 5 3 , 5 5 4 ） 479,336 100.2 1033 注）①（）内はNTT(Bタイプ）分で；内数である。 ②別にNTT(Aタイプ)分として112百万円(5年度143百万円), NTT(Bタイプ)償還時補助分として108､176百万円(5年度3, 574百万円）がある。 ③平成6年度から，従来非公共事業として実施されていた間伐促進強 化対策の一部を公共事業として実施する。 ④計数整理の結果，異動を生じることがある。 備協定の対象森林の機能増進保育（抜き伐り， 枝払い等）等を追加して実施する。 ③林道事業については，1千万haに及ぶ 人工林資源を核とした国際競争力のある低コ スト林業の確立に資するため，林道ネッI､ワ ーク形成の骨格となる基幹林道，大規模林業 圏開発林道のほか，高性能な林業機械の導入 に不可欠な高密路網等の計画的な整備を推進 する。 また，林業地域総合整備事業の一環として， 山村の定住条件の改善に大きな役割を果たす 生活環境施設の整備を積極的に推進する。 新規事業としては，高性能林業機械作業の 円滑な実施，地域の防災安全活動の推進およ び森林レクリエーション活動への弾力的な対 応に資するため，林道開設事業の実施と併せ 環境保全機能の高度発揮，近年の機能の低位な保安林て沿線に各種活動に必要な広場等の整備を推進する の増大等に対応した新たな保安林整備計画を樹立する「林道機能高度化事業｣，生産性の高い林業経営の確立 とともに，これに基づく保安林の計画的整備を推進すに資するため，既設作業道等の林道への改修および連 る。絡線形にするための開設を一体的に進め，林内路網の (2)森林整備の推進ネットワーク化を促進する「林内路網機能強化事業」 ①森林・林業・山村を巡る厳しい状況に対応して，を実施する。 森林整備事業計画（計画期間：平成4年度∼平成8年④水源林造成事業については，引き続き森林開発公 度，総投資規模：3兆9,000億円）に基づき，造林お団が緊急かつ計画的に森林の造成を行う必要のある水 よび林道事業の計画的かつ着実な実施を通じて国民の源地域において，水源林造成事業の推進を図る･ こた 要請に応えた多様で質の高い森林整備を推進する。特に，奥地水源地域において，広葉樹を活用した長 ②このため，造林事業については，森林の有する多伐期施業による水源林特別対策事業の推進を図る° 面的機能の高度発揮等を図るため，更新から保育に至(3)森林の保全管理対策の推進 る体系的な事業の実施，長伐期施業，複層林および育健全な森林を育成し，その有する多面的な機能の発 成天然林の整備を推進する。揮を図るためには計画的な間伐の推進が必要であり， また，森林に対する国民の多様なニーズに対応する間伐実施事業費単価の見直しにより就労条件の改善を ため，広葉樹林の造成・整備等多様な森林の整備，良図り，労働力を確保しつつ間伐の推進を図るとともに， 好な生活環境および国民が自然とふれあえる場として作業道，機械，生産・流通・加工施設の整備等間伐の の森林空間の整備を推進する。条件整備，炭化利用等を総合的に推進する間伐総合対 新規事業等としては，国民が自然に親しみ得る森林策を実施する。 環境の整備を推進するため，快適な森林空間の創出，また，松くい虫被害対策については，松くい虫被害 景観保全，原植生の回復，針広混交林への誘導等を実対策特別措置法等に基づき，「保全する松林｣の防除の 林業技術No.6251994.4 22 (単位：百万円） 表･2平成6年度林野庁関係予算の概要（事項別） 事 項 6年度 5年度 予算額 考 膳 概算決定額 ＊（）内は前年度予算 〈＞書きはNTTプロジェクト(Bタイプ)分で内数 ￨多様で質の高い森林の育成 1保安林整備の推進 < 3 1 , 1 8 0 〉 189,579 <31,370> (1)治山事業 184,010 特定保安林整備緊急治山事業（新規） 水質保全環境整備事業（新規） 0 ②保安林整備管理等 2森林整備の推進 (1)造林事業 1,162 1,316 < 7 , 3 9 7 〉 < 7 , 6 4 8 〉 56,595 52,684 ｢豊かな森林づくり」対策（造林・林道） (新規） V海外林業協力の推進 林内路網機能強化事業（新規） 250 ● 23.783 8,372 I 0 2,500 1 4 , 8 5 1 333 19,257 1,747 5,827 1 5 , 7 5 6 440 18,383 1 , 7 4 4 9,010 816 803 2,150 2,201 1,184 1,291 500億円 500億円 890億円 1,067億円 80億円 震林漁業信用墓令出資金 林業労働環境整備事業（新規） 2 , 5 0 0 ( 0 〕 163 新．美しい森林むらづくり特別対策1,503(609) 林業集落牛活塞盤緊急整備事業（新規)490 木材産業再編整備促進事業（新規） 国産材供給設備リース促進事業（新規） 国産材乾燥合理化モデル事業（新規） ２１ ２８ ３ ４ ２ ２１ IV林業令融制度の充実 1農林漁業金融公庫林業関係資 金（融資枠） 2木材産業等高度化推進資金 （融資枠） 3林業改善資金（貸付枠） 4農林漁業信用墓金出資等 を 700 ｊＩＩｊＩｌ ￨￨￨国産材の供給体制整備と木材産 業の振興 1木材産業の体質強化 2国産材供給体制の整備 3木材需要の拡大 ﾛ ２ ￨￨林業縫曽の体質強化と山村の活'性化 1森林整備活性化資金 2林業担い手育成強化総合対策等 3高性能林業機械の開発 4林業構造改善事業 5特用林産の振興 6住みよいむらづくりの推進 ﾛ < 1 4 , 7 2 6 〉 111,778 2,500 広葉樹林整備特別対策事業（新規） ３４ ０ １ ４８ (2)林道事業 3森林の保全管理対策の推進 (1)間伐総合対策 ②森林病害虫等防除対策 < 1 4 , 6 6 7 〉 107,156 498 1.750 森林整備活性化資金貸付枠25億円 354 80憶円 3,146 895 996 寄託出資 2500(O) VI国有林野事業の経営改善 1一般会計より受入 2借入金 36,347 41,417 288,000 288,000 1 徹底を図り，その周辺において松林の広葉樹林等への 樹種転換による保護樹林帯を造成する等総合的な松林 m 2．林業経営の体質強化と山村の活性化 (1)森林整備活性化資金の創設 保全対策を引き続き実施するとともに，新たに，樹幹 林業経営コストの低減と林業の活性化を図るため， 注入剤による防除，抵抗力の強い松林の造林のための 森林組合等を通じて集団的に高性能林業機械化に対応 木炭の施用等を実施する。 し得るような森林施業規模(500ha程度）の集積を行 松くい虫以外の森林病害虫等防除については，新た う造林事業を実施する場合，既存の造林資金と合わせ に，シカによる造林木の被害を防止するため，防護柵 て貸し付ける無利子資金（森林整備活性化資金）を創 の設置を行う。 設する（実行金利4.25％→3．0％)。この場合，農林 漁業信用基金が国から出資された資金を農林漁業金融 林業技術No.6251994.4 23 公庫等へ寄託するものとし，林業経営の改善を図ろう した景観を保全・形成するための生産・生活基盤の整 とする一定の林業者であって隆林漁業信用基金の推薦 備を行う「新．美しい森林むらづくり特別対策」およ を受けたものに対し，盤林漁業金融公庫等が補助残に び山村地域の生活環境の改善，水源地域の水質環境の 貸し付けるものとする。 保全を図るため，林業集落を対象とした用排水施設の また，都道府県の一定の財政上の支援措置により， 整備を重点的に推進する「林業集落生活基盤緊急整備 さらに森林所有者の負担軽減が図られる° 事業」を新たに実施するとともに，中山間地域におい (2)林業担い手育成強化総合対策等 て，林道の雛備と併せて融雪施設等を整備するととも 林業を巡る厳しい状況に対処し，林業事業体の健全 な経営を維持するとともに，優秀な林業労働力を安定 的に確保するため，林業事業体の体質強化，機械化の に，集落周辺の森林を整備するr中山間地域山村総合 整備対策事業」等を引き続き実施する。 3．国産材の供給体制整備と木材産業の振興 促進，林業労働力の確保等各般の施策を総合的に講ず わが国の木材産業を巡る厳しい経営環境に対処し， ることにより，林業担い手の育成強化を推進する林業 経営体質の強化を図るとともに，年々充実しつつある 担い手育成強化総合対策等を実施する。 国内森林資源を有効に活用していくための条件整備を 新規事業としては，就労条件の整備された林業事業 体を育成するため，地域の就労条件調査，担い手育成 のためのガイドラインの設定，労基法に基づく雇用管 理の改善指導，社会保険の加入促進対策，労働環境の 改善施設の普及等を実施する「林業労働環境整備事 業｣,森林組合等による長期施業受託,不在村所有森林 等の整備管理，森林災害発生の未然防止と発生後の対 図るため，木材産業の体質強化，国産材供給体制の整 備，木材需要の拡大等を推進する必要がある。 このため，輸入木材製品との競合の湖上に直面して いるわが国木材産業の再編強化を早急に実施するため， 高性能加工設備の導入等を促進する「木材産業高度化 促進事業｣，国産材の生産･加工等を担う中小の事業者 に対し，国産材の大鎧安定供給と品質の安定向上に資 応に対する意識啓発等を促進する「ふるさと森林整備 する機械設備のリースによる導入を促進する「国産材 促進事業」等を実施する。 供給設備リース促進事業｣,国産材の新用途への利用を (3)高性能林業機械の開発 モデル的，実証的に行う「木材新用途普及モデル事 業｣,樹木から抽出される生理機能活性物質を効率的に 外材や代替材に対応し得る低コストの国産材供給を 能林業機械を開発するとともに，高性能林業機械のト 分出し，利用する技術の開発等を行い，間伐材等の未 利用森林資源の有効活用を図る「生理機能性物質利用 レーニングシミュレーターを開発する。 技術開発促進事業」等を実施する。 図るため，先端技術を導入した伐出用，育林用の高性 (4)林業構造改善事業の推進 4．林業金融制度の充実 高密路網と高性能機械を組み合わせた生産性の高い 農林漁業金融公庫林業関係資金については,21世紀 林業の確立，国産材を安定的に供給できる主産地形成 型先進林業地総合整備資金制度を創設し，森林施業規 模の集被を促進するための無利子の造林資金の貸付け， のための生産と一体となった加工・流通の拠点づくり， 森林資源の総合的利用によるむらづくり等を促進する。 この中で流域林業サービスセンターに対する高性能林 大I隔な経営コストの低減のための高性能林業機械の導 入，林道の整備等に要する資金の低利融資を行うとと 業機械等の導入を行うなど，流域管理システムの確立 もに，国産材の利用の促進のための流通・加工に要す を推進する。 る資金の低利融資を行う。 (5)特用林産の振興 また，木材産業等高度化推進資金については，国産 材の取扱規棋の大型化と経営の安定を促進するため， 製品流通合理化資金の貸付限度額の特認の拡充（2億 円→4億円）等制度の充実・強化を図る。 特用林産物の産地化を図るための生産から流通に至 る拠点の整備，地域資源を活用した特用林産物の生産 振興等を推進するとともに，新たに間伐材等資源の有 効利用や省力化等，木炭等の喋境改善利用等の新技術 の導入促進，特用林産物の需要拡大を促進する。 (6)住みよいむらづくりの推進 5．海外林業協力の推進 地球環境の保全に重要な熱滞林をはじめ海外の森林 の保全・造成と持続可能な利用の推進に資するため， 伝統的な森林・山村の美しい景観の保全等のための 新たに，熱帯アジアにおける森林施業等に関する調査 基本構想を策定し，これに基づき，地域の環境と調和 およびアマゾンの森林についての環境保全と持続可能 林業技術No.6251994．4 24 表･3国有林野事業特別会計（国有林野事業勘定）の歳入・歳出 帯林管理手法確立調査事業｣,これ までに造林した早生樹種の新たな 事 項 前予 な経営に資する森林管理計画の策 定方法を確立する「潔境配慮型熱 年度 6年度 算顕 概算決定額 億円 2 . 7 0 1 1 , 6 5 1 億円 2 , 4 7 1 1.400 920 (歳入） 用途開発と，そのために必要な森 林施業技術マニュアルの作成を通 事 業 収 入 林産物等収入 じて熱帯林造成を促進する「熱帯 林野等売払代 貸付綱等収入 900 1 5 1 1 5 1 一般会計より受入 事業施設費 363 414 192 216 造林木利用技術開発等調査事業｣， シベリア・極東地域における森林 資源状況等の調査を行い，森林保 全等の観点に立った施業技術等に 一般行政的経費 1 1 1 1 160 る持続可能な森林経営の下での円 債務対策費 治山勘定より受入 借 入 金 153 2,880 187 162 2,880 滑な木材貿易を確保するため，輸 計 6,098 5.927 億円 2,357 967 2,607 167 6,098 億円 2,190 868 よる協力指針を作成する「シベリ ア・極東地域森林・林業協力指針 策定調査事業｣,木材輸出国におけ 備考：（）内は前年度 造林事業 百万円 10,009(8,602) 林道事業 1 0 . 5 3 2 ( 9 , 1 6 1 ） 災害倒日事業 1 , 0 5 1 ( 1 , 4 1 2 ） 保安林等の保全管理 6 3 8 ( 6 3 8 ） 地域別森林計画樹立 3 6 3 ( 3 6 3 ） 保安林指定・解除等 2 5 ( 2 5 ） 107(107) 知識普及・技術指導 出国の木材輸出規制等が持続可能 な経営に与える影響と，わが国の 熱帯木材貿易の動向とを把握し， 輸出国と協議していくために必要 な調査を実施する「木材貿易動向 影響調査事業」を実施する。 (歳出） 人 件 贄 事業的経費 償還金・利子 そ の 他 計 2,709 160 5,927 6．国有林野事業の経営改善 国有林野事業については，国有 参考：別に，国有林野内直轄治山事業（治l.l1勘定に計上)332(322)憶円 林野事業の健全な経営を確立し， かさ 今後ともその使命を十全に果たし 今後ともその使命を十全に果たしていくため，平成3 嵩上げを図る。 年7月に策定した｢国有林野事業の改善に関する計画」 ②一般行政的経費 に即して，国有林野事業の経営改善を推進する。 保安林等の保全管理，地域別森林計画の樹立，保安 林の指定・解除等一般行政的経費について，一般会計 平成6年度の予算については，歳入・歳出ともに， 5,927億円である。 (1)歳入の概要 から繰り入れる。 ③債務対策費 事業収入については，需要動向に応じた機動的な林 退職手当および借換に係る借入金から6年度に発生 産物の生産・販売を行うとともに，分収育林，森林空 する償還金および利子について，一般会計から繰り入 間総合利用事業等を推進し，自己収入の確保を図る。 また，累積俄務の処理を円滑に行うため，林野，土地 等の売払いを穂極的に推進する。 また，一般会計からの繰入れについては，次の措置 を講ずる･ ①事業施設費 造林事業，林道事業および災害復旧事業について， 民有林の助成水準との均衡に留意して一般会計から繰 り入れる。なお，繰入対象として森林環境整備事業お よび流域ネットワーク幹線林道整備事業を追加すると かか ともに，激甚災害に係る林道災害復旧事業の繰入率の 林業技術No.6251994.4 れる。 (2)歳出の概要 歳出については，当面する厳しい財務事情にかんが み，要員規模の縮減により人件識を抑制するとともに， 各種事業について，投資の効率化を図ることを基本と して，経費の節減に努めつつ着実に実施する。 (3)組織機構の改正 38営林署を統合･改組し，14森林技術センターおよ び屋久島森林環境保全センターを設概する。 （林野庁計画課企画班） 25 〃業欝瀕行箏一覧 月 4 行 酬 名 区 分 神 奈 川 第45回神奈川鼎植樹祭 4−29 中 第5回森と花の祭典みと 4．29 央 神奈川県(林務課森林造成班i,aO45-201-1111内4509)。神奈川県南 足柄市内山,県立21世紀の森｡木とのふれあいを通じて森林･林業への 理解を深めてもらうとともに「みどり資源｣の重要性を普及,啓発する 農林水産省・林野庁，東京部，棚国土網上推進機描，首都緑化推進機 櫛，側日本緑化センター。日比谷公園grみどりの週間｣中の各種緑化 行騏のフィナーレとして，「緑への感謝」をテーマに緑の少年団の代 衷，都道府県の参加を僻て実施する 細青少年交友協会，野外文化研究所。日比谷公園ほか全国の常設コー スなど。グリーンアドベンチャー常設コース内にある樹木に設瞳して ある番号札またはQAパネルをたよりに，樹木の名前を当てながら園 内を回り．各々の樹木と対面し，目で見，手で触れにおいをかぎなが りの感謝祭 全 国 平成6年度みどりの日全国 12伽剛体・会場・行事内容割 期IMI 1−29 グリーンアドベンチャー大会 ら五感を使って樹木を観察する 央 中 青空フェスティバル'94 :L29(東京） 5.3（大阪） 卿森林文化協会，くもん子ども研究所b新宿御苑(東京会場)，日本万 国博篭会記念公園(大阪会場)。21世紀を担う子どもたちが健やかに成 長していくことを願い，「親と子のコミュニケーションをもっと豊か に／」をテーマに，好胤観祭会や木工・丸太切り体験などさまざまな 催しを通じて，人と自然のかかわりの大切さを考え，突悠する機会と する 5 区 分 行』（名 城 掴 第36回全日本こけしコン 期間 5.3∼7 クール 〃 兵 煙 賀馬 滋群 第48回愛鳥週間｢全国野鳥 保護のつどい」 5.15 全国そまびと競技大会 5．22 父親のためのアウトドアス 5.27∼29 クール (滋賀） 6.3∼5 (群馬） 月 墳雌NI"･会場・行事内容難 欝城県(仙台市宵莱区本町3-8-1公022-211-2715)，白石市(宮城県白 石市大手町1-la0224-26-2191),白石商工会識所(宮城県白石市本鍛 治小路I3a0224-25-2111)。白石市市民会館b全国のこけしを広く紹介 童伝し，こけし美の観賞とその認識をさらに深めるとともに，工芸品と しての優れた品質意匠および技術の向上を図り，観光工芸産業の振興発 展に寄与する 環境庁，卿日本鳥顛保護迦盟，宮城県。蔵王少年自然の家特設会場(宮 城県蔵王町)．自然に生きるすべての生命の聯さを学び,自然とともに生 きる心がはぐくまれることを強く念願して,愛鳥コンサートや探鳥会な どを催す 紬国土緑化推進磯柵（東京都千代田区平河IIIT2-7-5砂防会館内 盃03-3262-8451），兵庫鼎（神戸市中央区下山通5-10-1a078-3417711)。兵庫県美方郡村IMIII1聯川平｡第45回全国植樹祭の開催を契援に 全国そまびと競技大会を開雌し，林業の機械化力唯む一方，鰈を守り育 てる「匠の技」を披露し，林業への理解と親しみを深める くもん子ども研究所,財森林文化協会｡滋賀県高島郡朽木村輔森林文化 協会｢朝日の森自然研修所｣，群馬県沼田市玉原高原卿森林文化協会『玉 原高原朝日の森ロッジ｣。日ごろから家族とともにキャンプなどの野外 生活を楽しみたいと望んでいるにもかかわらず,その知職や技術がない ために鍔路している方々を対象とし，家族の代表として，まず，父親か ら野外での過ごし方、自然とのふれあい方を学ぶ 林業技術No.6251994.4 26 ( 翫 唾 瞬 准 “ 那 唾 … X 趣 ” 2 α … … … 蚕 函 認 愈 訳 蝉 … … … … X 認 塞 X … 高 癖 握 … 沢 錘 群 … 唾 “ 虹 ” 趣 … …X … 所 睡 郵 髪 X 舜 空 索 トα 霊 K 盛 X 諏 生 X 郵 墾 X … ） 森林環境整備協力金制度の運営について しみずせいぎ 清水正義 “ 蛎 鰯 『 札 嘱 砕 … … 嘩 唾 … 訳 … す “ … … “ 垂 … 流 … …… 罰 唖 貫 … … 謡 弧 痙 ”狸 … 占 X 茨 逆 g X … X ｮ 恋 蕊 甑 雰 且 軍 ” p 軍 郵 J ム ェ ブ 祁 嬢 X ゴ ー 墓 … α … X … … ” α 舜 猷 … 】 1．はじめに イメージダウンにつながり，観光客が減少する恐 わが国には古来から緑豊かな自然があった。 れがあるとの指摘もあって実施に至っていなかっ 人々は野山に遊び，また，豊富な山からの幸を享 受して多様な森林文化を育ててきたのである。 その伝統は現代に引き継がれ，多くの人々が安 た 。 このような中で,平成2年12月には林政審議会 から「多様な要請に応え得る森林を整備していく らぎと潤いを求めて緑陰を訪ねている。しかし， ためには･･･…利用者協力金方式等を推進し，国民 経済社会の発展に伴ってその利用の形態は大きく の参加による森林の整備の促進を図る必要があ 変化し，多様な利用目的と快適な利用環境が求め る」との指摘を受け，制度を定着化するため再検 られるとともに，自動車を伴って増大する利用圧 討を行い，名称を森林環境整備協力金に改めたほ は森林所有者等施設設置者の負担を増大させ，森 か，地域の実情に応じた方式を採用できること， 林環境にも大きな影響を与える状況となってきて 強制的な色彩を薄めること等の制度改正を行った いる。 ところである。 このような背景を受けて，森林を含む観光・レ クリエーション資源の整備保全に要する経費の一 3．長野営林局における取り組み 長野営林局では,昭和61年の長官通達を受けて 部について，利用者に適切な負担をしていただく 地元市町村等と調整を続けてきたものの，実施に よう各所で検討されながら，諸般の事情から一般 至らなかったが，制度改正によってより柔軟な対 化していない状況にあるので，平成4年度から協 応が可能となったため，地元等の理解も得られ， 力金制度を発足させている長野営林局の現状を紹 平成4年度に「赤沢自然休養林」ほか3カ所で協 介し，読者諸賢の参考に供することとする。 力金制度を発足させることとなった。 2．制度発足の経緯 利用者の応分の負担が国レベルで論議されたの は,昭和45年の観光政策審議会が最初ではないか 以下，平成5年度から実施している1カ所を含 め，協力金の募集方法別に運営状況等を紹介する。 4．駐車場利用料金に上乗せして運営 と考えられる。また，昭和51年の自然環境保全審 赤沢自然休養林はこの方式によって運営してい 議会答申では「利用者の負担と協力を求めうる分 るが，マイカー利用者には駐車場利用料金に上乗 野があると認識すべきである」とされている。 せして（普通車で200円増）協力をお願いしてお 国有林では，その後の世論の動向，林政審議会 専門委員会の中間報告等を受けて昭和61年に長 官通達を発出し，利用者協力金制度の実現に向け て具体的に努力することとしたところである。 り，駐車場利用券に「協力金も含まれている」旨 表示している。 また，バス，タクシー等の利用者には募金箱方 式によって拠出していただいているが，趣旨の徹 しかし，同制度はゲートの設置を前提とする等 底を図るため，運転手および駐車場料金所の担当 いくつかの問題点があったため，国会で論議があ 者から募金のお願いをしていただくとともに，休 ったほか，地元市町村の関係者等からも観光地の 養林の入口に設置した募金箱および看板に協力金 林業技術No.6251994_4 27 協力を呼び掛けるに当た っては，協力金の趣旨，使 途等を明示するとともに， 野鳥をかたどった彫刻をす る等工夫を凝らした募金箱 を設置しており，2年間で 約150万円の協力金が寄せ られている。 利用者の反応は，完全な 任意の募金であることから 特に目立ったものはないが， 協力金の使い道を明らかに してほしいとの意見もある ので，これから作成するパ ンフレットの中で説明する ことを検討している。 丸太の上に木製のライチョウを乗せた募金箱 6まとめ 長野営林局では，ここに の趣旨，使途を明示して協力を呼び掛けている。 て，引き続き地元等との調 紹介した5カ所に加えて，引き続き地元等との調 実施主体は上松町,上松営林署,観光協会等関係 整を進め，管理人を常時配置することが可能な箇 17団体によって組織した「赤沢渓谷を美しくする 所は「上乗せ方式」によって，それ以外の箇所は 会」で，集まった協力金は同会が管理するととも ｢募金箱｣方式等によって協力金制度を拡大したい に，施設の維持管理および清掃等良好な利用環境 と考えている。 の維持・整備のために支出することとしており， 国は寄付金を募集できないため，実施主体は今 2年間で約750万円の協力金が寄せられている。 後とも協議会方式が主流となるが，協力金の活用 制度発足後の反応は，一部に説明不足あるいは の幅を広げるため国が直接実行できる方法として､ 強制的ではないかとの意見もあったが，素晴らし ①物品販売の対価（簡易な木製品，ワッペン等） い自然を満喫するための負担は必要であるとして として位置付ける方式，あるいは，②施設利用の 理解を示す利用者が大部分であり，新聞論調も多 対価見合いとして位置付ける方式，等についても くは好意的であった。なお，心配されていた利用 実施の可能性を検討することとしている。 者減はほとんど見られなかった。 5募金箱方式による運営 国有林は，約41万haに及ぶ広大な面積を森林 レクリエーションの場として提供している。森林 軽井沢野鳥の森(自然観察教育林)，戸隠森林植 レクリエーション需要の潮流を考えるとき，今後 物園(戸隠自然休養林)，北八ヶ岳自然休養林，七 一層の負担増大は避けられないものと予想される 倉ダム風景林においては，募金箱方式によって運 が，適切な利用者負担の方式を検討しつつ，森林 営している。 を良好な状態に保って，多くの国民に，より質の 実施主体は，関係する地元市町村および営林署 を核として，環境庁，観光協会等の関係団体で構 成する協議会とし，集まった協力金はすべて施設 高いレクリエーション資源を提供していきたいと 考えているところである。 （長野営林局森林活用課，企画官） の整備．野鳥のえさ代等として還元している。 林業技術No.6251994.4 28 そのひとつが﹁水﹂で、岩清水のような清 あるとみられていたのです。﹃万葉集﹄にも、 らかな水を飲むことによって、体の中の老化 天橋も長くもかも高山も高くもかも という意味。 勢いよく、流れ落ちる清水には、酸素が多 物質を洗い流し、死に近づく要素を何とかし 月読の持てる変若水い取り来て つきよみ あまはし 若返りの水が歌われています。 く、味がよいだけでなく、ミネラルもほどよ て、遠ざけようとしたのです。 君に奉りて変若得てしかも の 水 で 正 月 料 理 を 作 った り 、 お 茶 を た て て 飲 のです。元旦早朝に井戸や湧き水を汲み、そ が持っている若がえりの水を取ってきて、思 ば、そこへ昇って、月の所へ行き、お月さま 高い山も、高ければ高いほどよい。そうすれ ﹁天へ昇る橋は、長ければ長いほどよい。 むと、年をとらない、若返る ると とい いう う行 行事 事でで すす 。 うお方にさし上げ、若がえってもらうものを﹂ おちみず ﹁若水﹂というのは、 、﹁ ﹁変 変若 若水 水﹂ ﹂の のこ こと とで で、 こそ、年に一回行われる若返りの霊水信仰な 今でも行われている、お正月の﹁若水汲み﹂ く含まれていますから、健康にいいのはまち がいありません。 ﹁若水﹂は長生きの〃薬″ ﹁老化﹂は、死への接近を意味しますが、 古くから、何とかして﹁若さ﹂を保とうとし て、さまざまな方法が考え出されてきました。 その下に﹁水﹂がつ という意味があり、 あるいは﹁若返る﹂ ち﹂は﹁元に戻る﹂、 味していました。﹁お ﹁若返りの霊水﹂を意 るにつれて、体内の水分は減少してしまうの ント、老人は五○パーセント以下と、年を取 トが水であるのに対し、成人では六○パーセ れたばかりの新生児は、体重の八○パーセン 減少していくことが主因。というのは、生ま ことでいえば、体の中に蓄えられている水が 老化の原因は、いろいろありますが、ひと という意味。 いて、可おちみず﹂と です。 月の神さまが持つ なり﹁若返りの霊水﹂ た満月になって、丸 月は欠けても、ま 良質の水を毎日コンスタントに取ることが、 に水をたくさん持っていること。したがって、 ですが、まさに、若いということは、体の中 ﹁みずみずしい﹂というのは、若さの表情 く満つるところから、 まず、健康長寿の道ということになります。 となります。 月には若返りの水が 林業技術No.6251994.4 29 ｰ ､ 一 一 泊 一 一 ■ ‐ 一 一 軒 d 一 ､ マ ー ー マ グ も 口 巨 マ ー 画 体の中を﹁水﹂で浄化 この、﹁お日さまと二人連れ﹂の暮らしがい いんですね。なぜかというと、精神も肉体も、 常に浄化しながら生きているからなんです。 ﹁浄化﹂をすることは、現代人にとって、 筆者紹介ながやまひさお きれいな水を飲んで、自然が生み出してくれ 肉料理など、あまりとらないからなんですね。 んだ加工食品やドリンク類、それに脂っこい きたり、色つやが失われたりします。それは、 を取るにしたがって、肌にシミや吹出物がで みずしくて、とてもきれいです。しかし、年 生まれたばかりの赤ちゃんの細胞は、みず きました。例えば、﹁万葉集﹂には、次のよう 若返る方法のひとつとして、﹁水﹂を重視して 日本人は、古くから肉体の老化を防いで、 いは る季節のものを食べ、ストレスをためないで、 さき み、笑いかけ、西の山に沈むと﹁また明日﹂ て、お日さまに﹁お早ようさん﹂といって拝 す。太陽が東の空に顔を出したら、床を離れ 素といったものを出すことについては、案外 が熱心ですが、体の中の不要物や老廃物、毒 口から入れるものについては、たいがいの人 タンパク質とかビタミン、ミネラルなど、 ているとおりに、両手ですくって飲みました﹂ らかな水を飲むことだと、古くから信じられ にするには、滝のように流れ落ちてくる、清 ﹁命が、いつまでも丈夫で長もちするよう 垂水の水をむすびて飲みっ たるみ 命を幸くよけむと石そそぐ と一礼して、枕を小わきにかかえて、寝室に ルーズなものです。しかし、これからは、む からではないでしょうか。 入ります。 太陽の進行のリズムに合わせて、生活しま な歌が集録されています。 することにほかなりません。 ﹁若返る﹂ということは、細胞をきれいに 細胞を若返らせる﹁水﹄ ちらもいっそう重要になるでしょう。 しろ、不要物をいかにスムースに出すか、こ 昭和9年福島県生まれ。食文化 研究所所長。古代から明治時代 まで，日本の各時代の食事復元 研究に長年携わり，食文化研究 の第一人者。特に長寿村の食生 活や情報化時代の頭脳食の研究 でも著名。『和食革命』『古代食 大事典』など著書多数。 現代人は体の汚れを除く健康法を忘れている とくに重要なのではないでしょうか。 弗 〆 ニコニコしながら暮らしているだけです。 防腐剤や着色剤などの添加物をたっぷり含 です。 は、とてもきれいで、透明に輝いているそう 長寿村で、長生きしている方々の体の細胞 ℃ , ＝ 林業技術No.6251994.4 30 振りなのだ。 茶色に濁っていたので中止した。後で聞いた 置かれていた。シャワーはぬるま湯で、薄い 電球にかさをかぶせたスタンドが、机の上に ンは備え付けてあったが、冷蔵庫はない。裸 瞳かれていた。壁に掛けられたメ 六人掛け程度の丸テーブルが四つ 井で回っており、入り口から奥に た。エアコンはなく、ファンが天 レストランは大衆食堂風であっ その夜は、﹁大上海レストラン﹂で歓迎の 使館、商社の人たちが食事をする 味付けのため、ヤンゴン在住の大 アウン・ディン氏は親日的で、 飛ぶと時間的落差を感じる。 バンコクを経由してヤンゴンに も感じたことであるが、成田ｌ りとした雰囲気がある。その後 様子はない。南国特有ののんび 活力というか、あくせくとした これから経済発展しようとする こでは、当時の日本のように、 め、街に活気があった故郷大阪 話であるが、ホテルの水は金属酸化物を含ん ニューの中に日本語のものがあり、 みながら雑談する人たちがかなり でおり、これは煮沸しても除去されることな トンコッラーメン、マーボードー のことを思い出した。しかしこ く、一種の下剤となるとのことであった。お フ等と記されていた。ここは、中 見られた。 陰でその後のホテル滞在の約四十日間は便秘 華料理店で日本人の好みにあった チェックインを済ませた。部屋にはエアコ から免れた。 夕食会を持ちたいというサン・ルイン氏らの らしい。 ｃハイネケンの缶ビールで であった。二人の娘を﹁ミチコ﹂と﹁キｇ の事情をよく勉強しているよう えているとのこと。彼は、日本 奥さんはビルマ人に日本語を教 招待を受けることとした。レストランはヤン 乾 杯 ／ ，注文した料理 理に に﹁ ﹁ウ ウナ ナギ ギ︵ のフライ﹂ と名付けていることを自慢していた。彼が、 だいしゃん脇い ゴンの繁華街にあった。夕方涼しくなったせ があった。人の指程度の魚で、﹁泥繊ではない 右から2人目が筆者です どじょう いか、人の往来はかなりあった。通りには一 料理の注文等いろいろとわれわれに気を遣っ インヤレークホテル前にて (日林協ミッションとともに） うぷざ か﹂と言ったら﹁いや、鰻だ﹂と言う。から てくれるのはありがたかったが、このネーミ しょうぎ 人用の小さな床机に腰を下ろし、茶などを飲 っとした味わいであった。そのほかに粥やラ ングについては少々複雑な気持ちであった。 合なことがあれば遠慮なく言ってください﹂ 最後にサン・ルイン氏が﹁生活に何か不都 夜は更けた。足元を蚊が刺した。このような と挨拶した。夜はかなり更け、戸外の人通り やや薄暗い蛍光灯の下で、南国の蒸し暑い 所にマラリア蚊はいない。開かれた店の入口 はまばらになっていた。 そぞろある雪 りよう から人々の漫歩が見え、話声が聞こえた。終 戦後しばらくして、夏の夕方涼をとる人のた 休業技術No.6251994.4 中央林業開発訓練センター ーメン等もいただいた。 鰯 3 ］ 雛鑛鎌鱗織灘職識毒灘議灘灘灘 灘難 繊棚 罎 鵜職 彰灘 瞳棚 灘 撫』 職 織織 議鍵 雌職 嫡聯 〆 I'“【劉l1Wj 脚’ Ⅱ ￨ β ノ ク 郷雌蝉騨職織り囎噛鯵鞠峨瞥聯1縦馴狐修;(泌診l秘蛎謬鋤鰡I鯵聯鋤蝿i甥噂蝿'囎聯鴫,鰹剛哩,'&! 蠅馳噂蝿蝦謬､鯏箪I 蝿騨鋤1弾露鯵囎i!W 卿聯蝉蝉翻'蝉趨剰峨嶋 蝿鞠囎!i騏拶囎謬噸囎吻診､難雌騨鮴撚#￨聯雛眺州鰡錘'妙!：蝿割‘難鋤'蝦鋤'聯彰蛎蝦蹴拙 蝿鰡峨i謬阯蝿噂蝿'喋聯轄靭§蝿嶋‘､剛囎地鐺l鰡馳鞠鍬'#蝿'蕗‘診紗《糾 1雌1雌蝿群囎1靭瀞1鯵囎聯鷺蝿I蝦･鋤囎蛎峨囎囎婚蝿囎‘蝿還卿囎曙翻'謬 J り'峨峨職似艸熟§蝿蝉iI剥囎雌峨鞭1錨峨､甥鯵峨‘戦､甥鵠蠅j,!,職辮靭鋤蝋嘩似鋤蛾i獅到鋤戦l.l拶峨職蝋蝿 職鐵鴬繊朏 ｜・筆者･･････たなくしんじ（林野庁海外林業協力室） 良くない。筆者は技術協力専門家として当地 軍事政権に対する日本のマスコミ報道もあり したとき、一方のビルマ人が日本語で﹁ハジ でわれわれ三人を迎えた。初対面の挨拶を交 入国手続を経ると二人のビルマ人が、笑顔 に着陸した。任地への一歩を踏み出した。 に三年間滞在した。ここでは、周囲を中国、 メマシテワタシハ、ウ・アウン・ディン、ト ミャンマー︵旧ビルマ︶の最近の評判は、 インド等の大国に地続きの長い国境によって イイマス﹂と言ったので、本邦を離れた孤独 インといい、中央林業開発訓練センターの校 感は少し薄れた。彼は調整員のカウンターパ 一九九○年八月十六日午後、バンコクを離 長で、われわれのプロジェクトの副ディレク 道を歩んでいた同国での見聞をお伝えし、日 陸した旅客機は、ミャンマーの首都ヤンゴン ターとして私のカウンターパートになる人で ートであった。もう一人の方はウ・サン・ル 上空に差し掛かった。眼下は一面茶褐色であ あった︵ビルマ人の名前で﹁ウ﹂というのは みずぴた 座る感じのものだ。ロシア人は何事につけ大 背もたれのない丸椅子は、背が高くて登って 幅広で日本人なら二人並び得る。スナックの 例えばロビーの化粧室の男性一人用小便器は、 作等私には奇怪に巨大であるように思われた。 で、当国では超一流とされている。内部の造 広大な敷地に旧ソ連の援助で建てられたもの ルに到着した。このホテルはインヤ湖を望む 空港から車で約十五分、インヤレークホテ に無事通過した。 時間はかかったが、彼らの応援で荷物ととも った。砂漠ではない。田畑や道路が水浸しな 緬︵ミャンマー︶友好の推進に役立てたい。 囲まれ、近年まで入国制限が厳しく、独自の この辺りです ミスターまたは氏に該当する︶・税関では少し ンコン のだ。搭乗機は、雨季の真っ最中を無事空港 オス ‐‐‐‐ --‐‐-- ‐‐‐‐一 -‐ ‐‐‐ ｢‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐． .｡‐‐‐‐.｡ .．． ‐ ‐ ‐‐ .. ●ミャンマー“…･人口約4千万人,面積約68万km2,人 ’口密度約60人/km2,首都ヤンゴンの人口割合約 I7％，森林面積約3200万ha。 林業技術No.6251994.4 ， 一 帳之一 坤裕一 癖奥一 ﹃０１０６０段Ｉ０ｚ１ＩＴＩＩ０ｉ０ご品１ｆｔ夢→０．１０．１日一 一 一 色 一 一 幸 面 一 一 亭 一 一 一 一 分 一 一 多かれ少なかれ都会に住んでいる人間は自然にあこ 一 岸 都会人の求める木質舗装材の魅力とは 一 戸 一 一徴一 一塒一 一力一 一魅一 一の一 一 ﹄ 一 一 − 戸 一 “矛 １ ︾ 一 ﹄■﹃〃Ｌ■■手口Ｂ■■″でＯｂｑａ■ｂ口浬・﹄■■ｐ■曰哩も可Ｐ■■ｑ″可句色■■﹃ロ寺ＬＢｑＪ己●■■■︲ｑＱＬ■可ざ９凸ｂ■可 一 一 一剴測一 祁舗一 膳木一 一源一 一 資 一 一 用 一 一未一 32 床の感触そのものであった。 一般にスポーツ用舗装材の素材は，ウレタン，ゴム がれ，なかでも「木」には特別の感情を抱いている。 等の合成樹脂，改良した土系材料，芝生，人工芝など それはだれも力認めるところであろう。しかし，都会 が使われている。開発の方法としてはそれら素材を改 人の求める「木」のよさとは何なのか，木のどんなと 良し，あの林床のような軟らかすぎず適度な衝蝶吸収 ころに心をひかれるのか．…･･･私ごとで始まりまこと 性を持つグラウンド舗装材を作り出すことが考えられ に恐縮であるが，なぜ木を利用した舗装材にこだわり る。事実，そのような舗装材も開発されている。しか を持ち始めたのか，そこから述べさせていただこうと し，私が求めたイメージは足元の感触だけではなかっ 思う。 た。あの落葉松林を駆け抜けているときの心地よさ， 私は東京で生まれ東京で育ったのだが，それでも小 すがすがしさが欲しかったのである。素材は木そのも さいころは身の回りに小さな自然もけつこうあり，セ のでやろうと思っていたところへ，落葉松の樹皮との ミ捕りやザリガニ捕りなどをしたり雑木林の中を探検 出会いがあった。私たちはさっそく，舗装材としての したりして遊んだ。しかし，だんだん住宅も増え，生 基本物性に問題ないか調査をすると同時に，樹皮をど ふた 活排水で汚れたドブ川には蓋がされ，小学校高学年の のような形で舗装構成するか開発に着手した。 ころになるともう原っぱなどなくなった。同時に遊び 時折しもEXPO'90花と緑の博覧会開催に向けて準 方も自然と戯れるようなものから人工的なゲーム性の 備が進んでいるところであった。私たちの針葉樹の樹 高いものに変わり，いわゆる都会っ子そのものになっ 皮を使ったジョギング用舗装材のテストサンプルがい くつかでき上がったとき，それが博覧会関係者の目に ていった。 高校のころから公園の設計に興味を持ち始めたので 留まり是非これを使いたいということになった。博覧 会となるとハイヒールや車椅子などいろいろな人たち ＄ロ寸 あるが，「信州」と「森林」工学科（現，森林科学科） の名前にひかれて信州・伊那で学生時代を過ごした。 4年間山の自然を満喫して卒業後，土木工事の現場 が通行し管理用車両も入るため，さらに改良を行い完 成に至った。それが，後に説明する木質LP舗装であ 監督，造園設計事務所を経てスポーツ施設造りを専門 る。 とする現在の会社に入り，開発を担当した。ここでの 開発とは，各種のスポーツに最適なグラウンド舗装に あの落葉松林の歩き心地は，ふだんアスファルトや コンクリー￨､に囲まれている人々にとっては,｢足の裏 ついて研究し，改良や新規開発をするものである。人 からの安らぎ」とさえ感じられるのである。 が跳んだり走ったり滑ったりするときに，安全で快適 で最高のプレーができる舗装の開発ということである。 国立競技場にも使われている記録の出る陸上トラック 用の舗装材の開発と並行して，ジョギング走路用の舗 装材も開発を行うことになった。 ジョギングにとってどのような舗装が最適かと考え たとき，私ははっきりとその感触をイメージできた。 それはまさに信州の学生時代，体育の授業やテニス部 から窪つ のトレーニングで落葉松林の中を駆けI司った，その林 林業技術N0.6251994.4 木材を利用した舗装材の例 木材を利用した舗装材は次の2タイプ5種類に大別 される。 (1)木質チップタイプ A.せん定枝粉砕チップ散布工法(ルーズタイプ） B.せん定枝粉砕チップ安定処理工法 （セミルーズタイプ） C.樹皮粉砕チップ接着工法（木質LP舗装） (2)木ブロックタイプ 33 簡易型 標準型(砕石下地あり） Jo '00 / ” シ シ 路床(現地盤） 100 ∼150 図･1木材チップ舗装断面図 がある。ブランコなどから子供が落下したときにも衝 蝶を吸収し安全性が高まる。また，公園を1つの生態 系ととらえると発生木材のリサイクルカズ行われ，まさ に時代の要請にマッチした舗装材である。 しかし，チップを敷均しただけの構造だけに，雨で チップが流失したり風で飛散したりしやすく，チップ なら を補充したり片寄ったチップを均したりと，よい状態 を維持するために手間がかかる場合がある。また，坂 道などの斜面には基本的に不向きである。高温多湿の わが国では腐ったりカビが発生したりしやすいので， できるだけチップを乾燥した状態にすることが望まし く，排水を良くするためにできれば下地に砕石層と暗 写真･1木材チップ散布工法の例（上は表面のようす） 渠を設けることが望ましい（図・1)。 また，ハイヒールや車椅子での通行にはあまり適さ D木レンガ舗装 ず，トレーニングでランニングするのには軟らかすぎ E.枕木舗装 てかえって疲れる，といった陸上競技の選手たちの意 また，通常舗装材とは区別されるが，デッキ状の床 材も屋外の歩行用通路に使用されており，これを， (3)木床タイプ と区分し付け加えることもできる。 見もある。 B.せん定枝粉砕チップ安定処理工法 （セミルーズタイプ） 基本的にはAと同じような工法であるが，安価に施 舗装材として木材を利用する場合問題になるのは， 工できる点を生かしつつチップが飛散しにくくなるよ 吸湿．乾燥の繰り返しによる寸法変化と腐りやすさで うに改良したものである。すなわち，ルーズタイプの あるが，各タイプとも工法の改良によりそれら欠点を 木質チップ舗装に安定処理剤を散布することにより， 補うよう工夫されている。 チップ同士を連結させたりチップをしっとりとさせ， (1)木質チップ舗装 風雨による舗装体への影響を少なくさせている。ルー A.せん定枝粉砕チップ散布工法(ルーズタイプ） 木質チップ舗装で最も普及しているのは「せん定枝 工することが多いが，セミルーズタイプではその必要 粉砕チップ散布工法(ルーズタイプ)」であろう。これ ズタイプではチップの飛散・流失を見込んで厚めに施 はない。 は，公園などで発生するせん定枝を，移動式の木材粉 適度な厚みと，しっとりと安定したチップによって， 砕機（チッパー）にかけて公園内で粉砕し,遊器具の 施工直後から適度な軟らかさと安定した歩き心地の舗 下や園路に厚み10∼15cm程度で敷均する工法であ 装体となる。この工法でも，排水を良くするためにで る（写真．l)。 チップをそのまま敷均しただけのシンプルな構造の きれば下地に砕石層と暗渠を設けること力窪ましい。 ため，比較的安価に施工できる。多少腐り始めて全体 用頻度が増すにつれて通常のルーズタイプのものと変 になじんできたときは歩くのになかなか感触がよく， わらなくなる場合がある。 ちょうど枯葉の堆積した林の中を歩くような心地よさ また，チップを強固に接着するわけではないので，使 なお，ルーズタイプもセミルーズタイプも補修は簡 林業技術No.6251994.4 34 写真・２木質ＬＰ舗装 木質LP舗装表層 （樹皮十高分子バインダー） , ， … 鐙 コンクリート = f : : _ , 0 , 100 ∼15(） 一 一 図･2木質LP舗装標準断面 写真･3木質LP舗装の事例 単で，なおかつ安価にできる。いずれ のタイプを採用するにしても，一定の 維持管理を必要とする舗装であること を認識しておく必要があろう。 C.樹皮粉砕チップ接着工法 （木質LP舗装） この工法は，前者2タイプとは全く 異なる。材料は針葉樹の樹皮を一定の 粒径に粉砕・粒度調確を行い，その樹 皮チップと弾性のある高分子樹脂バイ ンダー（接着剤）を現場で混練し，コ テなどで敷均し仕上げる工法である (写真･2)。 木質LP舗装の標準￨折而は，アスコ ンまたはコンクリート下地の上に木質LP舗装表層 施工することが可能である。車椅子やハイヒールでも (厚みt=20mm)を施工するものである（図・2)。木 快適に通行することができ，また，適度な弾性と衝撃 質LP舗装表層は「おこし」状の外観をしており．チ 吸収性を併せ持った歩行性・走行性に優れた舗装材と ップそれぞれが高分子樹脂をバインダーとして相互に なっている。色彩的にも樹皮のこげ茶色は落ち着きが 連結し，若干の空隙を舗装体内に擁している。また， あり，花壇周りに使われると花の色と融け合いながら 表層は下地（アスコンまたはコンクリート）にも接着 花を引き立てる（写真･3)。 されており，チップ散布工法のように，ルーズに散布 されたチップが風で飛散したり雨で流失したりすると いった問題点は解決されている。 また，針葉樹の樹皮は芯材に比べてたいへん腐りに くく，さらに高分子樹脂で被覆された状態になるため， (2)木ブロック舗装 D.木レンガ舗装 木レンガ舗装は，芯材をレンガブロック状にカット した材料を表層に使う舗装で，ひと口に木レンガ舗装 ほとんど腐らないといってもいい。従来，針葉樹の樹 といってもいくつかの施工方法や舗装断而構成がある。 木レンガ自体は吸水・乾燥の繰り返しによる寸法変 皮は利用価値が少なかったが，未利用資源の有効活用， 化が大きく，舗装面としてそのまま敷き詰めた場合下 リサイクル利用という意味でも時代の要請にマッチし 地との剥離，クラックの発生，木レンガの浮き上がり ている。 等問題が起きやすい欠点がある。そこで，木レンガの はくり 日常の維持管理は必要とせず、坂道などの斜面にも 林業技術No.6251994.4 寸法変化が起きてもその内部応力により舗装体が破壊 35 型 雰 云 ︵株︶創研提供 写真・４木レンガ舗装 Ⅱ ∼ 〃 ' ／ 〃 ノ ノ ノ 廷 沙鎮 〃 齢 〃 ノ ／ ＝ノ ∼∼ 〃 ソ ／ 、 、 ︵上︶写真・５枕木舗装の例、︵下︶写真・６木床タイプの例。︵株︶創研提供 一一Ｆ Ａ 一‐」 一 一 床面に使用する。構造は建築の床組（床板，根太，大 引き）と同様である。 されないよう，金物や合成鋤旨のフレームに木レンガ をはめ込んだユニット形式のものが主流になっている。 ウォーターフロントのボードウォーク（デッキ）や 公園の遊歩道などに使われることが多い（写真･6)。 下地はアスコンまたはコンクリートを使い，木レンガ 木質舗装の今日的意義 ユニットを接着する工法と，砕石路盤にユニットを敷 文献によると，過去には石材と並んでレンガ状に加 並ベユニッI､同士を連結した後，目地に砂などを充て 工した木レンガが一部の舗装材として使われていたこ んし押さえる工法とがある。ユニット式であるため部 とがあるようだが，アスファルトやコンクリートの普 分補修・交換が可能である。 木レンガ舗装は木質チップ舗装のような弾性はない 及とともに姿を消した。一方，昨今木材力舗装材料と が，景観而で木の暖かみを求める歩道・広場などに使 用されることが多い（写真･4)。 E.枕木舗装 枕木舗装は，本来はその名のごとく使用済みの鉄道 の枕木を敷き詰める舗装である。年季の入った重量感 のあるテクスチヤーには，ほかの材料に代えがたい雰 して見直されてきた理由は，前述したように， ①人工素材にない暖かみのある風合い ②感触 など，失われた身近の自然を少しでも取り戻したいと いう欲求がベースにあることのほかに， ③間伐材などの資源のリサイクル といった大きな意味での地球環境保全論が高まりを見 囲気がある(写真･5)。しかし，残念ながら材料の入手 せつつあることにもあるのではないだろうか。③の観 が困難になりつつあり，今後，一般に普及していくこ 点は今後ますますウェイト力討高くなっていくと思われ とは考えられない状況である。最近では，枕木仕様に る。 加工した木材を使ったものを枕木舗装と称している。 (3)木床タイプ このタイプは，前述したように舗装材とは区別され 木材の欠点を補う処理技術の開発が進めば，ますま すその利用範囲が広がるものと期待している。 （日本体育施設株式会社恋03-3265-8721) ており，一般に木製デッキと呼ばれ長尺ものの板材を 林業技術No.6251994.4 36 会員 産みつけられたマツノマダラカミ キリの卵はふ化して幼虫となり， 樹皮下の辺材部表面を食い荒らす。 7月ごろマツ林に入るとキリキリ という音が青いマツの樹幹から聞 こえてくる。また，食害されたマ ツの木屑が樹幹下部に付着してい る 。 マツが赤変し，だれが見てもマ ツクイムシの被害とわかってもす ぐに防除作業が実行されていない こんなふうにしたら −松くい虫防除法の一視点 のが現状である。伐倒駆除が年が 明けてからなされる場合も多い。 そのころには大部分のカミキリが 穿入孔をあけて材の中に入ってい むらもとまさひろ 村本正博 る。穿入孔をあける時期は期間と して幅があるが，9月中旬にすで に材に入っている幼虫がいる。伐 倒木への薬剤散布は秋には有機リ 平成5年の鹿児島県内の松くい 方法である。マツノザイセンチュ 虫被害量を見ると国有林は9,690 ウに感染してから約2∼4週間で， ン系殺虫剤の乳剤が，冬には油剤 ㎡で対前年比67％，民有林は この方法によるとヤニは出なくな が散布されているようであるが， 8,900nfで対前年比50%となっ る。しかし，マツはすぐ赤変して 殺虫効果には疑問が持たれている ている。マツ林の絶対量の減少， 枯れるわけではない。ヤニが止ま のが現状である。 冷夏多雨を考慮すれば決して終息 って約1カ月ぐらいしてからマツ 松くい虫防除の困難な点はカミ に向かっているとは言い難く，吹 はやっと変色する。蒸散作用の完 キリが材に潜ることである。だか 上浜等の重要マツ林が壊滅の危機 全停止はずっと後になるからであ ら，カミキリの弱点はまさに樹皮 にある。他県の状況も似たような る。ヤニが停止してから針蕊が変 直下にいる時期である。この時期 状況にある。 色するまでの間に、マツの樹皮に に人間は何をしてきたかというと， これまでに開発された防除技術 のすべてを動員して行政側は努力 してきたのに，この結果である。 多大な経費を投入してきたにもか かわらず防除効果が上がっていな いのを見るとき，頭を切り替えて 思い切った対策を講ずべきではな いかと思う。 マツノマダラカミキリがマツの 若枝をかじり，その傷口からマツ ノザイセンチュウは侵入する。わ れわれはマツの樹勢を調査するた めに穴あけ法による樹脂量調査を 実施している。ポンチで樹皮をく り抜き，辺材部表面を溌出させる 林業技術No.6251994.4 写真･1マツノマダラカミキリ成虫の後食時に行われる航空防除 37 会員の広場 何もしてこなかったのである。ボ クシングでいうなら，1回のゴン グが鳴ってすぐカミキリに連打を くらい，ダウンしているのが人間 なのである。私は，天敵微生物の ボーベリアバッシアナの胞子液の 散布試験をやってきたが，7月初 旬に網室内で強制産卵させ，7月 下旬に散布した場合,70%以上の 殺虫率を示したことがあったので ある。 7月から8月中旬ごろまでなら， 健全なマツの樹皮にポンチで穴を あけたら10分以内にヤニが穴に たまるはずである。 写真･2玉切りされたクロマツ枯死木 マツノマダラカミキリの蝿室の位置は樹皮から7∼18cmの深さにある。 ヤニが出ないマツの約95％は マツノザイセンチュウに感染して 確実に枯れる運命にある。約5％ はその他の原因で衰弱したマツで， 伐倒してもよいマツである。 これまで青いマツを伐倒して薬 剤を散布したという報告は見ない が，カミキリの食害により樹皮は 浮き上がり亀裂ができているので 効果が上がるのは確実である。こ れらのマツが松くい虫被害対策特 別措置法の特別伐倒駆除の対象木 となるかどうかであるが，カミキ リの食害した木屑があり，ヤニが 出ないのであれば対象木となると 匡 厚蹴勢全一 ウ W 製 嘩 鐡 句 ･ ､ ､ 1 Q " 啄嫌 写真･3ふ化直後にボーベリアバッシアナ菌に感染し，穿入孔内で死亡 したマツノマダラカミキリ幼虫 思う。 1班3人の組をつくり，1人は ナンバーテープを打ち，1人はポ 業などできない，というのであれ 上旬と9月上旬の2回実施すれば， ンチで穴をあけ，1人は野帳に記 早く感染したマツと遅く感染した 入するのである。受け持ちの本数 ばそれまでの話である。しかし， この方法を実行すれば翌年のカミ が終わったら最初の位置に戻り， キリの発生を大幅に減らすことが る 。 樹脂堂調査を始めるのである。そ できるであろう。 マツの両方を駆除することができ のあと伐倒して薬剤散布をするの 再びボクシングのたとえになる 枯死木が増え，カミキリの発生 期間が長くなってきている現状で であるが，足場の悪い所では樹皮 をはいでもよい。カミキリは材の が，1回のゴングが鳴ったら猛烈 にダッシュしてカミキリに連打の 経贄を投入し防除効果を上げる努 中に入っていないので容易に捕殺 雨を降らせ，ノックアウ1､してみ 力をしなければなるまい。 できる。 たいものである。 夏のいちばん暑いI關剛に防除作 は，多少無理があっても重点的に （鹿児島県林業試験場，樹木医） なお，この早期駆除作業は8月 林業技術No.6251994．4 38 關へ＠回ざ趣圃 親林活動をサポートする 41．1期生を送り出す｢山の学校」 編集部 こころ豊かな人づくり，森や緑を守り育てる人材の 育成，を教育目標の2本柱とした兵庫県立｢山の学校」 は，昨年1月に開校した。兵庫県在住，義務教育を終 えた,15歳から20歳までの男子が募集対象｡そして修 業年限の1年が過ぎ,巣立って行く17名の生徒のうち 枝打ち，間伐，地栫え等実習。植物観察，立山研修旅 行，国有林見学，県の里山保全事業参加，地域の緑化 大会参加等体験学習，となり，座学2剤，体験学習3 割，実習5割の時間構成比だった。 副校長の市橋敬典氏は,「この1年で強く印象に残っ 13名が，進路を銅叶組合など「森林･林業関係」に取 たことは，体験学習や実習の後に見せた生徒たちの目 った。 の輝き」だったという。体験学習や実習後，こまめに ちょうど1年前の開校間もないころ，山の学校参与 の村上嘉宏氏は9r林業を理解し,森やみどりを愛する こころ豊かな若者に育ってほしい。できれば将来，森 課されてきた感想文にも彼らの感動ぶりが素朴に表現 て何よりも苦心の末に得た喜びの大きかったこと，互 林関係の仕事に進んでほしい力苦，別の進路を希望した としても，生徒たちがそれぞれの所でみどりを愛する いに叱吃激励する中から芽生えた友情等々・感動とは， 学習の第一歩にほかならない。今ではすっかり市民権 心の輪を広げていってくれれば」と語っておられた。 を得た「山村留学」を，かつて実践された校長の森本 修了時点としてはまずまずの成果を得たようだ。 山の学校は，学校教育法に基づく学校ではなく，体 悦生氏は，ケースこそ違え，「体験学習効果｣に信念を 持っておられたようだ。また，カリキュラムの意図の 験学習を中心としたユニークなカリキュラムをもって 再確認や生活指導など，時に応じ折りに触れて講話を されている。苦しかったこと，つらかったこと，そし しつた スタートした。1年の大略を追ってみると，1∼3月： され，生徒たちが有意義に過ごせるようにとの配慮も 森林・林業育苗学習。植林，炭焼き，しいたけ植菌 等実習。陶芸，スキー，木工等体験学習。4∼6月： 怠らない。 育林，測量，測樹学習および実習。苗木養成，自然観 察，登山等実習。野菜作り，絵画，キャンプ等体験学 が講師に当たるわけだが，教育のプロである2名の青 少年指導専門員のサポートは見逃せない。濱田正晴氏 習。7∼9月：森林保護森林保育，造園学習。下刈 は,｢国語や数学といった教科教育の先生のように教壇 り，除伐，造園管理，植物観察等実習。氷ノ山登山， に立つことはありません。でも，体験学習などには交 サバイバルキャンプ，緑の体験隊参加，パラグライダ 代で必ず参加し，スムーズに道具を配分したり，順番 を決めたり，また順番待ちの生徒の集中力・興味を絶 ー等体験学習。10∼12月：きのこ，木材，林政学習。 さて，カリキュラムの実践段階ではさまざまな方々 布団が干してある二階は寮 林業研修館別館二階は研修室︶ やさないよう」側面からサポートしてきたという。同 様に，事務を総括する東末敏氏の下,事務職員，技術 員，舎監，調理員，医師諸氏のサポートも忘れてはな らない。 よく,100点満点の授業ができたとしたら,それは教 Win50点満点，生徒50点満点の相互の努力の結果であ るという。頑張ってきた1期生たちの心意気に拍手を 送るとともに，実社会での活躍を祈念したい。 なお，山の学校は今春から4月入学となる。 〔山の学校公0790-62-8088](文責：吉田） 林業技術N0.6251994.4 39 平成五年度 林業技士養成講習合格者 平成6年3月14日 社団法人日本林業技術協会 農林事務次官依命通達により，㈹H本林業技術協会が実施した平成五年度林業技士養成講習受講者の資 格認定合格者が次のとおり決まった（認定委員長・片山正英氏)。 合格者は，林野庁長官の定める林業技士名簿に登録することによって専門的林業技術者として林業技士 の称号が付与される。林業技士は専門的林業技術者としての業務に従事することができ，今後重要性がさ らに高まってくるものと考える。 ◎合格者（受講番号順）99名 【林業経営部門】61名 北海道佐々木芳光安達暁男水口征喜斉藤護斎藤雄史東郷英吾佐藤静也影山健三佐藤 雄彦早坂功斎藤俊幸石川鐡三郎市毛敬三青木健二高橋宏志酒井清青森県工藤研 生小成初雄山下七郎岩手県奥地幸徳中田清角掛喜美夫秋田県中村金義斉藤秀孝 佐藤高志福島県井_上三喜夫茨城県相馬栄池田伸市毛二郎林正彦椎名秀夫大 薗清栃木県根岸新一郎群馬県菊池正夫佐々木多喜夫神奈川県湯山栄山梨県 雨宮嘉彦長野県中島哲男村井浩中野哲男岐阜県小池義太郎日下部安則山下弘行 伊藤繁典伊藤和正中川謹池田広幸国井英行静岡県新間邦夫愛知県石塚紀久雄 三重県福林顕二佐藤誠治兵庫県戸出武博鳥取県谷坂文宏高知県吉村弘幸嶋崎末 喜長崎県山口幸雄熊本県寺本秀信森秀富金井行光宮崎県池田博人 【森林土木部門】20名 北海道萩原清志青森県田中敏文林治雄秋田県鈴木義樹福島県湯田哲治安部秀 樹埼玉県中沢満神奈川県川又正人新潟県佐藤慶一福田均長谷川一雄鳥取 県向原一明山根隆勇広島県坂本勉熊本県成瀬嘉亮村上勝徳藤川秀人江藤雅夫 大分県財津勇首藤弘一 【森林評価部門】12名 秋田県高橋博山形県荒生正聰鈴木秀仲茨城県中島勇千葉県長岡次夫石川 県多田秀夫飛岡穣浦谷國夫山根茂雄三重県小池勇岡山県佐藤隆男福岡県 坂口誠 【林業機械部門】 6名 秋田県梅津弘巳 茂 木 唯 男 茨 城 県 鈴 木 剛 長 野 県 北 川 誠 高 知 県 文 野 棟 作 熊 本 県永山芳宏 以上 ｡連絡先東京都千代田区六番町7社団法人日本林業技術協会林業技士養成事務局公03-3261-6638 ひとつ原稿を書いてみませんか／ ●日常の仕事や業務の中での，こんな工夫ができたら，このようなことを考えてみては，といった体験談． 提案・意見等をお寄せください。400字詰原稿用紙4∼8枚程度でお願いいたします。 ●その他詳細は，本誌No.620の10ページをご臆ください。 送り先…．..〒102東京都千代田区六番町7㈱日本林業技術協会編集部 林業技術No.6251994.4 40 おらが林業を考えてみるのも一興 では。 今日は米騒動， 明日は木騒動なんて 戦でも人々は米に泣いた。町には 餓死者も現れ，村では娘を身売り するといった極めて深刻な事態で あって，平成の騒動とはどだい訳 力：違う。しかし米の収穫がお天道 様のご都合ご機嫌次第で左右され ることは昔も今も同じであり，こ れ当たり前のことであるのに，飽 食にドップリつかっている現代人 と称する人はついぞこれを度忘れ しているらしい。そこで主婦はな い物ねだりし，役所は危機管理を とうの昔に忘れ去っていて右往左 往し，その間隙を突いた業者はニ タリと笑うの図である。 さて，米の話はこれくらいにし て，この機会に米騒動と比較して， いま，日本列島は，“米"で大騒 動。テレビも新聞もコメ，コメま たコメである。主婦は店頭に米が ないと口をとがらし，米屋は入荷 が少ないとぼやき，役所は十分の 量を確保してあるから大丈夫と説 く。だがこのやり取りさっぱりか み合ってない。三者がそれぞれの 思惑でものを言い合っている。主 婦は国産鑿を食いたいし,米屋は 利ざやに聡いし(当然のこと)，役 所は外米も米のうちだと。だが， かみ合わせの悪さもさることなが ら，この飽食の御世にこの騒動， どうにも納得しかねるお歴々も多 いのでは。 米騒動は昔もあったし，先の大 … いま,1000万haの人工林の大宗 は育ち盛り，稲にたとえるといち ばん大切な開花期，細心の手入れ とお天道様のお陰を何より必要な 時節だろう。でも少ない保有米， つまり国産材の値段が完全自由化 された外米じゃない外材に押され てバカ安いため，材木を売っての 生活は成り立たないと山の人はみ んなで都会に出稼ぎの真最中。置 き忘れされたお山の木はだいぶヘ ソを曲げてもう育つのはやめよう とささやき合っているとか。あと 10年もしないうちにお山の木々 はみんなふて腐って寝てしまうら しいのである。 いまは安い外材がなんぼでも買 えるためか，人々は自然環境には 目をむいて口角泡を飛ばすが，明 日の木材にはとんと無関心である。 だが，地球規模で木材の需給がこ のまま続くとはとても思えないの 最近の紙とパルプの動向 万トン4 3−000 2，681 紙2500 2.462 ？ “ 口 ※薗 ００ ００ ０ ０ ０ ５ １Ｌ ５ パルプの生産量 H 震 震 匿 勵陸櫓 震 ０ ０ ０ ２ 板紙、 凧 一 ， 1 '−7恩5 I掲蛎 、173 1.099 ｡○■ 申 ● ● ● ■ 4 ● e a D g q ● ● ｡ 、旬日 ◆●‘■ 申 ● q 由 ■ ぜ ● ◆ 1 0 ＄_名59 ド．120 蚕 塵 I必21 1，059 ［ ･ ; ． : ｡ L ･ . ｡ . ・ 陵 : 2 ： 昭 和 6 3 年 平 成 元 年 2 3 4 5 資料 注 通商産業省「生産動態調査」 1）平成5年の数値は速報値である。 2）紙･板紙の原料に占める古紙の剖合＝[古紙消費承÷(パルプ消徴量十 古紙消蜜鍾十その他繊維原料消費巌)］ （古紙パルプは換騨率1．2で古紙に含む)。 林業技術No.6251994．4 占める古紙の割合 ％ 53．0「54． 紙・板紙の原料に ０・０ ＠ ・ ず ２０ ００ ８ ５４ ５ ５ ４ 紙・板紙等の生産量および紙・板紙の原料に占める古紙の割合の推移 わが国の紙・パルプの生産量は， 近年，順調な推移を見せていたが， 平成4年の生産量は，日本経済の 低迷により昭和56年以来の低下 となった。 また，平成5年の生産量も，経 済は調整過程にあったことから， 前年に引き続き低下している。 平成5年の紙・板紙の生産量は， 前年比2％減の2777万tで,紙が 2％減の1621万t,板紙が1%減 の1156万tとなった。 わが国の紙・パルプの需給は， 紙・板紙は，ほぼ国内で自給自足 されているが，パルプは，約2割 を，パルプ用木材（原木およびチ ップ）は，約6割を輸入に依存し ている状況である。 紙・板紙の原料となるパルプに ↓ 1 に，人々の多くは木材はなんぼ でもあると思い込んでいる。 lir司言言刀 米も，昨日まではなんぼでも あると思い込んでいたcしかし 現実に不足になってさあどうす 生き生き緑の中へ る。外国からの輸入だとなって， 米の国際価格がドンドン値上が り。ために途上国では自国産の 米も食えない人も出ているとい う。木材も日本の人工林がもし 壊滅でもしたら国際価格が暴騰 し，結局は高い住宅，高い紙と なってその付けが回ってくるこ とこれ必定。もっともおらが林 業にとっては，木材価格が上が ることは大歓迎といいたいが， でも，肝心の人工林が壊滅では 元も子もない話。米の轍を踏ま ないためにやることは決まって いる。 米は1年で回るが，森林は何 十年の歳月がいる。ここで手を 抜いたら取り返しにまた同じ歳 月。気が遠くなって倒れそう。 ついて見ると，平成5年のわが国 のパルプの生産量は，紙・板紙の 減産を受けて，前年比5％減の 1059万tとなった。また，米国， カナダ，ニュージーランド等から の輸入量は，6％増の329万tと なった。 国産パルプの原料となるパルプ 用材の供給状況を工場への入荷戯 で見ると，5％減の3552万In3と なった。内訳は，国産パルプ用材 力ざ9％減の1448万nl3,外材パル プ用材が1％減の2104万m3とな った。 近年，森林資源の有効利用やゴ ミ問題の解消の観点から，古紙の 再生利用が高まり，わが国の紙・ 板紙の原料に占める古紙の割合 (古紙利用率)は，世界有数の水準 で,平成5年は,前年と比べ0．5ポ イント増の53．0％となった。 某雑誌に山村のボランティア の募集についての記事が掲載さ れていた。ある団体が，山村の 自然を守るためのボランティア を募集したところ,定員20人に 対して600件を超える問い合わ せがあったという。 リタイヤした世代や学生だけ でなく，30代40代の働き盛り の人たちからの問い合わせも多 かったという。 特に首都圏からの応募が多く、 ｢夫婦で参加する｣,「ボランティ ア期間が終わった後も山村に定 住したい」というものもあり， 自然に親しむだけではなく，森 林づくりのために汗を流し，そ こで生活したいという人が増え ており,｢緑への関心の高まりと ともに，行励の時代に移りつつ ある」と結んであった。 人間は緑色に対して「穏やか さ｣，「安心感」などを感じると いう。 画一的で単調な都会の生活に おいては，緑はこのうえない慰 めであろうし，機械化された都 市の中で，無味乾燥になりがち な生活に人間性を取り戻し，心 にゆとりを与えてくれるのは， 緑の樹木，そして四季の移り変 わりを如実に表現し多彩な季節 感を与えてくれる森林（自然） である。 これだけ過密化し，自然の極 めて少ない首都圏にあっては， あり，庭木や盆栽であり，ただ 単に緑を眺めるという視覚的な もので緑に対する乾きをいやす のみである。 都会の喧騒の中で，視覚的な 緑ではなく，森の木々の緑のフ ィルターを通した柔らかい光線， 適度な温度と木々の香り，騒音 のない世界で落ち葉を踏みしめ る音，清浄な空気など身体全体 で「体感」できる『生き生き緑』 と接することを求めていること が，前掲のボランティア活動へ の関心の高まりとなっているの ではなかろうか。 最近，都会の子供たちが自然 と触れ合いながら学ぶ「山村留 学」の希望が多いという。子供 たちが自然に身を置き，植物を 手で摘み，虫を捕らえることは， 生物学的な知識を得ることより， 自分の手で触れ，自分の目でつ ぶさに観察し，自分なりの知識 を得るという習慣を，あるいは 物事に対して感動するなど，自 然という「生き生き緑」は子供 たちに人間として大切なものを 身に着ける無限の教材を与えて くれるという。 小生，この4月から地方の出 先に転任することとなった。フ ィトンチッドの香りの「生き生 き緑」の中で自然を満喫すると ともに，自然と人間とのかかわ りをじっくりと考えてみたい。 (Y生） 日常の身の回りの緑は街路樹で (この欄は編集委員が担当しています） 林業技術No.6251994.4 42 セミナー4 に，こ この水 がり，歩けぬ人は車イスで，身動 きとれぬ病人はタンカに乗せられ て泉に向かいます。その数の何と 多いこと！そして彼らを支える ボランティアの数の，さらに何と 多いこと!！奇跡を願う人たちと， それを支えようとする人たちと， 分析し さらにそれを町ぐるみで支えてい りはな るルルドの町。彼らの熱気が混じ り合って一体となったとき，やは りただの水も奇跡の水になりうる のだと納得したのです。 ただの水，ただの木，ただの森， ただの山。それらを成分的に要素 的に分析すれば，何ということも ないのでしょうが，先のルルドの 例のように，いろんな要素が混じ り合ったとき，とんでもない成果 や影響を生み出すことがあるので の医療 ではな 礼によ といっ のだ」 ことが すね， に従事 きりと を踏ん す。それら目に見えないものをど でなら のように評価するのか，どのよう ，とい な位置付けを与えるのか，これは 杖にす 極めて大切なことのように思いま 挙一＆ i 4 本の … H 小林富士雄・ 竹谷昭彦編著 森林昆虫 総論・各論 轟捧■雲 ■■｡■ 一 一 一 一 卜●■p■壷p■■ cUeTd自 発行：株式会社養賢堂 〒n3-91東京都文京区本郷5-30-15 aO3(3814)0911 1994年1月8日発行 B5判￨,570頁 定価11,330円（〒520円） 林業技術No.6251994.4 森林科学や林業の従事者，特に 森林保謹に桃わる者，応用昆虫研 究者などの間で長らく待望されて いた書が，関係者自らの努力でよ うやく実現された。本文567ペー ジ，目次など十数ページに及ぶこ の大著は，森林総合研究所の昆虫 研究者が中心となり，関連分野の 第一線の研究者の協力を得て，今 までの研究成果を集大成したもの である。58名に及ぶ執筆陣を動員 してまとめ上げた編者の努力に， かかる書の出現を待望していた1 人としてまず感謝の意を表したい。 本書は森林昆虫と銘打っているが， 中の記述はすべて害虫という表現 になっており，森林昆虫＝林業害 虫という従来の考えに従ったもの である。その意味では林業害虫の 研究成果の集大成であり，現在の 時代的要請となっている森林昆虫 学の体系化への盤石の礎石を築い たものであるといえる。編集後記 に述べられているように，編者ら もこのことを十分に意識したうえ で本書が本格的な森林昆虫学への 基礎となることを願っている。 本書は総論と各論より成るが， 主体は編者らも認めているように， 全体の8割近くを占める各論にあ る。樹木にかかわる害虫としてと らえた昆虫三百余種1つ1つの形 態，生態，防除について，今まで に得られている研究成果を的確簡 潔にまとめ上げて記述してある。 しかも記述情報の基礎となった文 献がきちんと付けられており，科 学専門書としての価値を高めてい る。総論は統合的に森林害虫学の 総論をしたものではないが，主要 害虫の目科の検索や，防除の手法 別解説，付帯的とも思える生態学 研究の意義の解説など貴重で便利 な記述もあり，全体として総論と 43 寺迦垂旦隼ミー幸軋今ﾐｰｭ季琴幸軋垂Q幸ﾕ隼Q 一 ； す。これは，山を専門にする われわれにとっても同様なの … 一 林政拾遺抄 です。 いだと思います。 ； 皆さんも，機会があれば訪れ てみてください。私たちの社会 が，何とせわしく効率一点ばり の社会であるか痛感させてくれ るでしょう。ただ，信仰する人 たちにとっては大切な土地だと いうことを忘れずに，謙虚に願 ； 私は今，多摩美術大学の6名 の教員によって結成されている 岡倉天心研究会の1メンバーと して天心の美の思想と芸術活動 に環境がどんな影響を与えたか の研究を進めている。過日，研 究の一環として，茨城県五浦海 岸にある岡倉天心(1862∼1913） ゆかりの六角堂を訪れた。この 地を拠点に,明治39年から始ま った日本美術院(明治31年天心 が創設）の芸術活動は目覚まし ，く，横山大観作「木の間の秋｣， ｜菱田春草作｢疑首菩薩｣，木村武 ＃ ； 罵鷲雲蹴』 いうよりは林業害虫にかかわる主 要事項の解説となっている。した がって本書は，各論はもちろん総 論さえも事典的であり，索引も整 備されていて林業害虫の専門家で ない人々，昆虫や環境問題などに 関心を持つ一般の人々にも利用し やすいような構成になっている。 本書は森林・林業の保護研究に 携わる専門家にとっては座右の書 ｜山作「阿房劫火」等の代表作が ｜生まれていることで知られてい iる･またこの時期の前後は，天 心のr東洋の理想｣，「茶の本｣， となるものであることはもちろん ，「日本の覚醒｣等のH本文化の特 ｜色を広く世界に伝えた著書の執 であるが，自然環境問題や自然保 ｜筆が精力的に進められたときで 護問題など，森林や樹木に関心を 抱く広い分野の人たちの要望にも こたえ得るものである。さらに， いろいろのレベルの教育現場で， 特に実習教育に有用であるものと 思われる。これらの関係者の座右 にも1冊備えておくことをお勧め する。 あった。 Q b･ 罪許も て い る ん で し ょ う ね ｡ 粋 な 計 ら ； 声’き 漁訟 蕊熱 ■■■匡■■■■■■■■■■■■■■■ＵＢＩｒⅡ０Ⅱ‘Ｉｌｌｌｌｌｌｌ 籠懸磯腰裳鰯； 緑雨、 松林を潤す これを書いている今日は日曜 日ですが，ルルドのみやげ店な どは巡ﾈ堵でにぎわっているこ 魂I ’ せていたことであろう。そんな 自然を，天心は次の詩に詠んで いる。 「五浦即事」 蝉雨緑濯松一邨 鴎雲白掠水乾坤 名山何処託詩骨 漁海為誰招月魂 この詩は，釣り好きの天心カヨ！ ｢天心丸」（彼の持ち船）の船頭I だった渡辺千代治氏に贈ったも1 ので，子息の昇氏が掛け軸にし’ て大切にしている天心直筆の書’ である(写真)。岸に連なる松林 の緑が雨に映え，海では鰯の群 れが海面を盛り上げるように集 まり，鴎がそれを狙って飛び交 う。そんな情景の中で，「名山何 処にか詩骨を託し，漁海誰がた めに月魂を招かん」と詠んでい る。 ’天心は六角堂に毎日来て，沈 ｜恩瞑想にふけっていたという。 現在の六角堂を取り巻くクロ マツ林は，松食い虫のために無 ｜その背後には防砂林として江戸 残なほどに枯れている。天心が この姿を見たらどんな感想を述 大切に保謹されてきたクロマツ の林が連なり，前面に広がる太 平洋の青海原と美しい調和を見 べるか。現地を訪れ，そんなこ とを考えていた。 ｜時代に植えられ，水戸藩により （筒井辿夫） （片桐一正・林業科学技術振興所 理事） 林業技術No.6251994.4 44 ￨ ￨ ￨ ￨ ￨ ￨ Ⅲ Ⅲ l l l l l l l l l l l l l l l l ' Ⅲ Ⅲ l l l l l l l l i l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l 1 1 1 1 1 1 1 1 l l l l l l l l l l l l l 1 l l l l ! ’ 1 Ⅲ Ⅲ Ⅲ Ⅲ ' l l l l l l l l l l 1 1 1 1 l l l l l l l l l l l Ⅲ Ⅲ l l l l l l l l l l l l l l l l l l Ⅲ Ⅲ 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 Ⅲ Ⅲ Ⅲ l l l l Ⅲ Ⅲ Ⅲ l l l l l l l l l l l l l i l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l 1 1 1 1 1 1 1 l l l l l l l l l l i l l l l l l l l i l l l l l l i l 新段階の過疎化と山村社会構 造の変貌 島根大学井口隆史 林業経済研究No.124 1993年11月p.22∼30 日本林学会誌75−6 1993年11月p.501∼510 わが国の森林に関しては，通常 を果たしているか？古くて新し い問題である。古いという意味は， すでに90年前の今世紀の初めに 1/5;000レベルの基本図，森林調 スイスでもアメリカでも同様な問 査簿，空中写真が整備されており， 題意識から集水域による調査を開 中国地方の中山間地域は，日本 施業計画等に利用されている。そ 始し，また維新後の明治政府も欧 経済の高度成長初期，全国に先駆 のうち，森林調査簿のような属性 米からさほど遅れることなく試験 けて過疎問題が発生し，その後， データについてはコンピュータを 研究を始めているので，今では中 各種の対策・施策が講じられ，地 用いて管理されている場合が多い が，地図情報とは分離して管理さ 緯度森林のおおよその役割につい 域内の努力も積み重ねられたが， 地域の衰退に歯止めをかけること れている。これに対して最近導入 という意味は，考える枠組みが一 はできず，人口減少は現在に至る されてきたGIS(地理情報シス 挙に地球レベルになったからであ まで続いている。 る。地球上の大気大循環を数値的 ては答えることができる。新しい 以下，本文では，従来「山村｣， テム）には，①地図情報とさまざ まな属性データを一体化して利用 ｢農山村｣と呼んできた地域に該当 できること，②必要な情報を検索 するものを，「中山間地域｣という できること，③距離や面積を短時 多く提案されているが，まだモデ ルによっては推定される地球の降 表現で呼んでいる。ここでいう中 間で求められること，④地形の3 水蛍分布にかなりのばらつきが見 山間地域とは，農林水産省の農林 次元表示が可能なこと等，地図情 られる。地球の温暖化によってど 統計にいう地域区分，都市近郊， 平地農村，農山村，山村に対応す 報を取り扱ううえで多くの利点が のような気候変化が起こり得るか ある。 に再現するモデル(GCM)が数 という予測が，各国の環境政策に 人工林の間伐作業には地位区分 大きく関係するから,GCMによ 平地農業地域，中間農業地域，山 間農業地域の4つの中で中間農業 や傾斜角，地利的条件等の地図か る降水灘の精度を_上げなければな ら得られる情報が大きくかかわっ らないが，そのためには陸域での 地域(農山村）と山間農業地域(山 ており，上記のようなGISの特 蒸発散避の推定精度の向上が不可 村）とを合わせた地域を指し，そ して過疎市町村および人口自然減 徴を有効に生かすことで作業やコ 欠である。とりわけ裸地面’に比べ ストの軽減を図る余地が十分考え て蒸発散迩の多い森林地域の評価 市町村は，大部分この中山間地域 られる。 に注目が集まっている。 る農業地類型である都市的地域， 本報は,GISを利用して，具 このような背景を踏まえて，森 本文で論ずべき内容は多岐にわ 体的な間伐作業計画を樹立するた 林と水の研究で得られた結果と今 たる力も筆者は，林業労働力の再 めには，どのような支援システム 後に関係しそうな話題を紹介した 生産問題，地域資源の管理問題お が提供できるかについて検討した もの。 よび地域活性化問題の2点に焦点 結果を報告したものである。 に含まれるのである。 を当てて，中国山地を見ていくこ とにする，としている。 褐色腐朽菌の生物学 森林と水に関する研究の動向 京都大学農学部福嶌義宏 GISを利用したトドマツの 間伐作業支援システム 北海道立林業試験場阿部信行 材鐸技術No.6251994.4 森林科学No.9 1993年10月p.7∼13 森林が水環境にどのような役割 京都大学木質科学研究所高橋旨象 木材保存19−4 1993年7月p.2∼12 糸状菌（真菌類）による木材腐 朽は，褐色腐朽，白色腐朽，軟腐 45 朽の3型に区分され，いずれも木 厚生省の人口動態調査によれば， 材保存分野では重要な研究対象で 住宅内での転倒による死亡者数は プ対策協議会を開催し，木材チッ プの需給に関する情報の交換を行 ある。なかでも褐色腐朽菌には， 年間734人で,このうち65歳以上 うとともに，今後の木材チップ製 ①針葉樹を侵すものが多い→木造 の高齢者が実に88％を占めてい 造業のあり方，国産低質材の需要 建築物の構造部材を侵す，②セル ロースやヘミセルロースを集中的 る。高齢化社会を迎え，転倒事故 開発等について幅広く検討を行い， を未然に防ぎ，不幸にも転倒した ｢木材チップ製造業の今後の方向」 に分解し，特に腐朽初期にセルロ 場合のダメージを軽減する工夫が と題する報告書をまとめたもので ース長鎖分子を急速に切断する→ 急務である。転倒とダメージに床 ある。 木材の強度低下速度が大きい，③ のすべりと硬さが深く関与してい この点を含め，腐朽機構がまだ十 る。 地元住民による熱帯林回復の 分に解明されていない，④銅化合 すべり，硬さのいずれも，木質 物を含む木材防腐剤に耐性を示す フロアの加工や構法によりその性 ものが比較的多い，⑤耐朽性向上 能が大きく異なるため，今後は のための各種化学加工処理に対し 個々の床について安全性を定量化 し，明示する必要がある。 水利科学No213 木材チップ製造業の今後の方 向 界中で繰り広げられ，各国政府や ても，他の腐朽型より抵抗性が高 い，などさまざまな特徴があり， 学問的にも応用的にも近年高い関 心が持たれている。 筑波大学熊崎実 1993年10月p.1∼24 熱帯林保護のキャンペーンが世 ここでは，褐色腐朽菌の分類・ 分布・生態など菌学的特徴から始 シナリオーネパール，ケニ ア，インド，タイでの動向 木材チップ対策協議会 林業同友第359号 め，次いでその木材腐朽機構に関 平成5年9月p17∼25 国際機関もそれなりの努力を続け てきた。しかし熱帯林の消失と劣 化に歯1上めがかかる兆しは少しも 見られない。 連する生化学的特徴を白色腐朽菌 紙パルプ業界は昭和62年以降， と比較しながら説明し，褐色腐朽 生産力の増強のために設備投資を ら自国の森林を保全しようという 菌がどのような生物であるかを紹 推進してきたが，最近の景気の低 気運が見えてきた。しかし，いっ 介している。 迷による需要の後退，紙市況の下 たん乱れた森林利用の秩序を立て 落等により経営内容は悪化してい 直すのは容易ではない。 木質フロアの居住性能 大建工業(株)開発企画部吉見哲 木材工業48-11 る 。 熱帯諸国の政府にも遅まきなが かつて欧米諸国が経験したよう このような紙パルプ業界の置か に，破壊から再生に向かうシナリ れている厳しい状況は，木材チッ オが必ずあるはずである。そのよ プ製造業に反映し，チップ生産量 うなシナリオでカギを握るのが地 建築物のなかで，床は人が直接 の減少，チップ価格の低迷等木材 元の住民たちである。ある程度安 触れ，その上でさまざまな行動を チップ製造業界に大きな影響を及 定した制度的な枠組みが整えば， するため，他の部位にも増して， ぼしている。特に低質広葉樹を主 彼ら自身で残された森林の保護と 数多くの機能や性能が要求される。 体とする丸太からチップを生産す 荒廃地での森林復興に向けて動き 出すだろう。 1993年11月p59∼62 強度や耐久性などの基本要素だけ るチップ製造業者は，自然環境保 でなく，安全性，歩行感，接触感， 全への配慮の必要性から原料入手 比較的早くから森林を失ったネ 衛生，防音，視覚などの居住性が の困難性力糟していること，円高 パール，ケニア，インド，タイな 重視され，特に日本では履物を脱 により輸入チップとの価格差が拡 どの諸国では，地元住民による森 ぎ，素足で床に触れる習慣から， 大していること，これまでにも生 林の保護と回復が一部で見られ始 感性が重視される。 産性向上のために合理化を進めて めた。これは何よりも心強い熱帯 ここでは，木質フロアの居住性 に関連して，研究開発の一端木 きたがほぼ限界に達していること 林回復の兆候である。本稿では， 質フロアの性能，市販されている 特徴ある商品の一部を紹介する。 等極めて深刻な状況となっている。 このため，学識経験者，関係業 そうした住民林業の一端を紹介し ながら，その将来を展望している。 界，行政の3者から成る木材チッ 休業技術No.6251994．4 46 日本林業主支7桁協会第49回i重常総会関係行事のお矢口らせ 総会ならびに関係行辨を F需己のとおり開仔催いたしますので，ご出ﾉ講くださいますようご案内申し_1こげます。 言己 月 今云 … ﾛ 日 時 間 行 事 場 第40回林業技術コンテスト 日林協5階会議室 17:00∼ 同上参加者都内見学 はとノ常ス矛U用 10§30∼11:30 13215∼15:15 日林協支部幹事会 5月24日（火） 9:00∼16:00 5月25日（オく） 15230∼17:30 17§45∼1920(） 日林協第49回通常総会 第40回林業技術賞受賞者の表彰 第40回林業技術コンテスト受賞者の表彰 第5回学生林業技術研究論文コンテスト 受賞者の表彰 協会永年勤続職員の表彰 林業技術者問題シンポジウム 虎ノ門パストラル＊ (束京農林年金会館） 東京都港区虎ノ門4−1−1 TELO3-3432-7261 支部幹事等との懇親会 ＊〔交通：東京駅一地下鉄丸ノ内線鱈ケ関駅乗り換え日比谷線一神谷町駅下車徒歩2分〕 三協三会亘の三う三ご三き三 ◎海外出張 ○3/15∼21，三澤理事長，3／ 16∼21，小原国際事業部次長を， インドネシア林業プロジェクト 視察のため同国に派遣した。 ○3/15∼29，伏見理事，梶垣課 長,M・オスマン・アテフ主任 研究員，島田主任研究員を，イ ンドネシアNTT現地調査のた め，同国に派遣したc o3/24∼30,望月技術開発部次 長，畠村課長，和田課長代理を 熱帯林管理計画情報サービスシ ステム整備のため，インドネシ ア国に派遣した。 ○3/24∼31，渡辺理事，宍倉参 事，大平課長代理を熱帯林管理 情報システム整備事業のため， カンボジア国に派遣した。 ◎林業技士資格認定委員会 平成5年度林業技士資格認定委 員会(委員長片山正英氏)同専門部 会を3/14,本会において開催,養 成講習合格者99名,無試験認定者 148名，計247名について審査合 格認定を行った(受講合格者県別 名簿本誌別項のとおり)。なお,平 成6年度の募集案内は6月中旬， 申し込み締切り7月末日の予定。 ◎林業技術者問題懇談会(第3回） 林業技術者問題懇談会を3/29, 本会において開催，林業技術者問 題懇談会報告書(原案)について審 議した。 ◎調査部関係業務 3／2，大規模林業圏開発総合推 進調査第3回委員会を当協会にて 開催した。 ◎調査研究部関係業務 3／1，山間地域の国土保全に関 する調査第3回林野庁委員会を， 3/18,同調査第3回国土庁合同委 員会を当協会にて開催した。 3／7，「保安林施業実態に関す る調査」第2回委員会を当協会に て開催した。 3/23，第3回21森づくり委員 会を秋田県にて開催した。 ◎技術開発部関係業務 ム開発調査平成5年度第2回調査 研究委員会を当協会にて開催した。 3/18,環境林施業管理技術開発 調査事業平成5年度第2回調査研 究委員会を当協会にて開催した。 ◎熱帯材管理情報センター関係業務 3/17,熱帯林管理情報システム 整備事業平成5年度第4回調査等 委員会を当協会にて開催した。 3/23,熱帯林災害復旧技術確立 調査事業平成5年度第3回調査検 討委員会を当協会にて開催した。 ◎番町クラブ3月例会 3/10,本会会議室において林野 庁指導部長弘中義夫氏を講師とし てr平成6年度林野庁予算(案)に ついて」と題する講演および質疑 を行った。 ◎人事異動（3月31日付） 退職北海道事務所主任調査員 平林彰一 r一一ｰ一一一一■■一一＝ー ーー●一一ー一一一→一一一 3月崇丁正 ー ー 一 !p.25右の段下から哩行目：立ち直’ 1りが遅れるというよりは→立ち直りが｜ i避喧Qを肱くぎと堕立型健________」 3/15,次期森林資源調査システ … x 垂 蕊 … 燕 i … … … 編集部雑記 さざえるつぶやき米騒動もようや く治まりかけたと思ったら，電機会 社の社長さんがまたまた石を投げ入 れた。しかも残余の米は役所の協力 を得て老人施設に寄付したいという。 まさに難題，進退極まるのは食糧庁 だろう。筋を通して食管法違反を問 うか，白旗か？（喝三度） 海 目 ： 報 靭 需 一 詠 一 露 ぞ 錘 … … … 鯉 … … … 林業技術No.6251994．4 林業技術第625号平成6年4月10日発行 編集発行人三澤毅印刷所株式会社太平社 発行所社団法人日本林業技術協会 〒102東京都千代田区六番町7TEL.03(3261)5281(f@ 振替東京3-60448番FAX、03(3261)5393 RINGYOGIJUTSU JAPANFoREST I publishedby TECHNICALASSOCIATION TOKYOJAPAN 〔普通会費3,500円・終身会費個人)30,000円〕 牙 蕊 祠ー 『 鯛 社団法人日本林業技術協会 と 森 ￨ ￨ 水 と 森 林 ￨ ’ 18分/8,000円 ●企画 ●制作 唾︾咽 ■０１１ 守 とIお求めは…当協会事業部(丑3261-6969)まで 識 ： 水利科学研究所拳/国土緑化推進擬棡 日本林業技術協会 貯矧し流出をﾘド準化する帥きによって．水による災海を防 人間をはじめ地上に住む生物は,jI鰯ﾐ全体の水の3愚･に 満たない淡水に依存して生きている。このわずかな淡水がr1l:するとともに，水の利用を梗ならしめている。 森林の水源かん錠機能とは何か、その機能を維持』竹進す 生物の消費によって尽きることがないのは、地球上の水は るためにどのような努力力噸､われているのかをわかりやす 絶えず術環しているからである。 森林はj也11における水の禰環過礎において．これを一時き < 描 く 。 よ み 犬 ￨ ￨ よ み が え る 大 地 ’ 16分/8,000円(英語版とも）・企画/帯広営林支局 ●制作／日本林業技術協会 北海道釧蹄市の測割と方には．度亜なる野火によって不毛とすくすくと成奨し・今りっぱな纐休となった。それ〈動、 の荒野と化した土地が広がっていた。人を寄せつけない広りか、裁象力年Ⅱらぎ多くの動械物力鑓群するようになった 大な湿原に．劇,雌地方の発催に寄与することを目指して．うえ，水賞も良くなり沿犀の漁業に好影聯を与えるなど環 毒休の造成が始められたのは今から30数年前のことであっ境而でも大いに貢献している。 た 。 不 毛 の 原 野 に 挑 ん だ フ ォ レ ス タ ー た ち の 壮 大 な ド ラ マ ･ 当側舗直えつけられた2.500.万本の蒲木は,手厚い保漉のも の 木木 校 ￨ ￨ の 校 舎 ￨ ’ 21分/8,000円 l●企画／日本木材備蓄機撒●制作／日本林業技術協会 識斉性，防火上の配雌などから，れなくなった」保腿室の先生は,｢生徒の怪我が少なくなっ 小・中学校の校舎は，諾貯注，防火上の配砿などから，れなくなったJ1采腿室の先生は,｢生徒の催我が少なくなっ 鉄筋コンクリート造が当たり前のように考えられてきた力屯た」生徒指導_lazifの先生は,｢物の命を大蛎にする気持ちか 最近木造校舎が見直され始めたのはなぜだろうか。秋仕l県，茅生えた」と木造の良さを評価し、さらに礁徒たちも木迩 長野県．静岡県に木造の小・中学校を訪ねて．先生方や生の家睦1I勺雰囲気のなかで学校"苓活を楽しんでいること力吋っ 徒たちの感想をきいてみた。かつた。木の良さを考えさせるルポルタージュ。 一日中立って授業をしなければならない先唯腫､r腰力f疲 17分/8,000円 木の内装 I ◆企画 日本木材備藷機棡●制作〆日本林業技術協会 我が国には，住まいを木材で造ってきた災い雁史がある。 それは，オゴオが身近に盤諏にある材料であったことにもよ るカミ我力掴の気候風土に雄も適した使いやすい材料であ ったからである。 鐙近，生活難式の変化に伴って．人々の住宅についての 好みも多撫こしているｶﾐ木造・戸建が好ましいとする人 が最も多く鉄筋コンクリート造の住宅の珊合でもせめて 内装は木材･にしたいという人が多いというi畷f結果がある画 なぜ木材が良いのか，乾i鼎，断熱遮智，光の反射など について艦住性の優れていることを科学的にしかもわかり やすくビジュアルに解説するとともに．居住肴へのインタ ビューも試み，内装材としての木材の良きをアピールする 前描作の姉妹剥丸 蕊地球社 東 京 赤 坂 ’ "107東京都港区燕丁目3識号′罐口座東京2-195298番 a03"3585-0087W/FAXO3-3589-2902 流域林業 業活性化への取組み事例集 ’ 惚域I蜘栂性化への1剛I抄 一 口 ■ ■ ■ 一 苫 W W Zー 流 域管理ｼ久沃ﾑの確立に向けて ■ ● ゆ り 画二 即嘩 二ｍ ■Ｕ 、ゆ 監修：林野庁計画課/編集：流域管理システム研究会 A5判/136頁/定価1,854円(税込)/〒310 現在，我が国の森林・林業をめく･る状況は，材価の低 迷，担い手の高齢化・減少なビ依然として厳しい様相を 呈しており，非常に厳しいものであります。 一方，森林は木材の生産のみならず，国土の保全，水 資源の力'ん養など様々な公益的機能を有しており，その 発揮に対する国民の要請も高度化・多様化してきている 状況にあります。 このような!11,「緑と水」の源泉である多様な森林の 整備と「国産材時代」を実現するための林業生産，加工、 流通における条件整備を図るために「銅氷の流域管理シ ステム」の確立が大きな林政の政策課題となっています。 本書は，他の流域に先行して，流域管理システムの推 進にむけた取組みがなされ，今後￨蘭lシステムの確立を図 ろうとする流域の参考に愛すると思われる事例を集めた ものであります。 本普が，各地域において森林・林業関係者をはじめと して多くの方々に広く活用され，森林の流域管理システ ムの確立を図る上で広く皆様の参考にばれば幸いと期待 しております。 総謹蜜製僅耀伴次雄 (｢発刊にあたって」より抜粋） ’一一 林一 一一 森 ｜新版森林計画の実務 ユ 、 マ ー 酔 跨 燕計画制度研究会編 イ小王了ﾉｰ丁重1夢 A5判/592頁/定価4,944円(税込)/〒380 平成3年4月にｵ赫#法の一部改正が行われ，今後は流或を甥寛的単位 姫'と轍(騨懲謙職蕊鶏践縦鵬し息 新の内容のもとに改訂出版したものである。 A5判/496頁/定価3,914円(税込)/〒380 熱篭獺難灘耀獺鎌 の実際について鋤¥されることを願い，最新の内容のもと改定柵腿 二、 ●開発調査。環境アセスメントに空中写真／ 酷 空中写真 一 見図 呼 成 5 年 4 圖 ' 圏 鴫 在 ’ ●林野関係機関・国土地理院全撮影成果図示 ●最新成果の撮影年度・平成5年度撮影予定一目瞭然 ●撮影機関別に色分け ●5万分の1地形図区画、図葉名入り ●撮影地区一覧表・交付申込要領・同様式つき(裏面） ●縮尺1：1,200,000(73×1030m)12色刷 ト ’ 各種開発に伴う事前調査，測塗・設計等に空中写真はいまや 欠くことのできない情報源です。当該地域がいつ，どの機関に よって撮影されたかが即座にわかり，空中写真入手を的確・容 易にします。過去の成果も表示しているので，環境の経年変化 を追う場合も的確な写真選択を可能にします。 ●頒価2,575円(税･送料込み） 〒102東京都千代田区六番町7 社団法人日本林業技術協会 事業部まで 丑(03)3261-6969(直)FAX(03)3261-3044 一 一 マ ー ー 魚 橇障一一一言一 今 一一三一二 一屋字一一一｜垂窄’一↓ 艸鮮Ｌ鯏窪浄聡︲廼凸■■言 I 妙 一一 雪 ﹃・鳳霊串 一 識/〆/綴轍/訓銭/華菱/"識/綴/識/識 スーパーブラニクスα一罷ｚ誕生。 測定ツールの新しい幕明け 狐MAWlDIG〃7ZWGAREA−LWEME7ER 密S叩er"A a ロ標雌ﾀｲブ¥198,000(ACｱダﾌ顎､専用ブﾗｽﾁｯｸ収納ｹｰｽ付） ･プリンタﾀｲブ¥230,000(ACｱﾘ『.ﾌ汐､専用ブﾗｽﾁｯｸ収納ｹｰｽ､ロール紙付） ■ 囚 屋臺墓 PL劃 'ノコン 型 q 囎鳥 &陣&R − ハソユン タマヤのスー〃ぜ−う。ラニクスαは､①座標②辺長③線 艇④Im徹⑤半徒⑥図心⑦三斜(底辺･高さ･面識） ⑧角ﾉ変(2辺長･狭角)の豊富な測定機能を持づていますも オプションとして16桁小型プリン父RS-232Cインターフェ イスケーフッレ､無線によるワイヤレスモテ電ムのいずれか力雷接 統可能ですも 名器PLANIX5000の優れた機能を継承･発展させたスー ノ寺一プラニクスα､抜群のコスト/､2フォーマンスで図形測定 のスー/母一テ？'くイス新議場。 g UAM タマヤ計測ジコテム楠式薑社 〒104東京都中央区銀座4-4-4アートビルTEL.03-3561-8711MX.03-3561-8719 平成六年四月十日発 ●(社)日本林業技術協会編集 ●森林総合研究所．熱帯農業研 究センター．大学ほか76名によ る執筆 ●四/六判217ページ ●定価1.200円 （本体1,165円） ･(社)日本林業技術協会編集：。(社)日本林業技術協会編集 ●森林総合研究所．熱帯農業研。●森林総合研究所所員82名によ 究センター．大学ほか91名によ・る執筆 る執筆。●四/六判217ページ ● ●四/六判219ページ。●定価,010円 ●定価1,200円。（本体9 8 1 1 ] 1 ) （本体1,165円）・O ≦ ● 林業技術 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● プラス ● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ● ; ●; 』 I ● ・・・・・・・屯・・・・毎・・､｡●●●●●●●●●●●・●･●i ● ● ● か85名による執筆 ●四/六判217ページ ・定価1.030円 （本体1.000円） ● ● ･(社)日本林業技術協会編集：。･ (( 社社 ) ) 日 日 本 本 林 林 業 業 技 技 術 術 協 協 会 会 編 編集 集： ：。(社)日本林業技術協会企企画 直 ll靖 ･森林総合研究所．都道府県林。・森林総合研究所．饗殖研究所・ ●森林総合研究所．饗殖研究所・●中野秀章･有光−登･森川i 業 研 究 機 関 ． 農 業 環 境 技 術 研 究 ・大大学学ほほか か7 79 9名 名に によ よる る執 執筆 筆、 ・3 氏 に よ る 執 筆 ●四/六判217ページ。●四/六判176ページ 所,大学ほか73名による執筆：●四/六判217ページ： ● ● 四 / 六 判 2 1 7 ペ ー ジ 。 ●●定定価 価1 1. .2 200 0円 円。 。● 定 価 1 . 0 3 0 円 ●定価1.200円。（本体1 （本体1.165111)。（本体1,000円） .165111)･ ● （ 本 体 1 ． 1 6 5 円 ） 。 。 ● ･ ● ● g ｡ ● ● ● 発行東京薑籍株式会社 土二IM)5壼高緋開蕊mll=I 定価四四五円︵会員の購読料は会費に含まれています︶送料八五円 術研究所．農業研究センターほ ●●●●●■①■●□●。●●●●●■●■●●●●●●●心●●●●巳 ●(社)日本林業技術協会編集 ●森林総合研究所，農業環境技 第六二五号 霧 と 灘 の , ？ サ ﾉ 《 エ ン ユ ■ 昭和二十六年九月四日第三種郵便物認琉︵毎月一回十低発行︶ ロ● ｡ ●