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英国:財務報告基準 - 三菱東京UFJ銀行

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英国:財務報告基準 - 三菱東京UFJ銀行
BTMU Global Business Insight
EMEA & Americas
March 4, 2016
Ⅰ.メキシコ:2016 年の税制改正における主な変更点
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TMF Group
Ⅱ.英国:財務報告基準(FRS)102 の法人税への影響
Greenback Alan LLP.
パートナー
ジョン・フィッシャー(Jon Fisher)
・本資料は情報提供を唯一の目的としたものであり、金融商品の売買や投資などの勧誘を目的としたものではありません。
本資料の中に銀行取引や同取引に関連する記載がある場合、弊行がそれらの取引を応諾したこと、またそれらの取引の実
行を推奨することを意味するものではなく、それらの取引の妥当性や、適法性等について保証するものでもありません。
・本資料の記述は弊行内で作成したものを含め弊行の統一された考えを表明したものではありません。
・本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成されていますが、その正確性、信頼性、完全性を保証するものではあ
りません。最終判断はご自身で行っていただきますようお願いいたします。本資料に基づく投資決定、経営上の判断、そ
の他全ての行為によって如何なる損害を受けた場合にも、弊行ならびに原資料提供者は一切の責任を負いません。実際の
適用につきましては、別途、公認会計士、税理士、弁護士にご確認いただきますようお願いいたします。
・本資料の知的財産権は全て原資料提供者または株式会社三菱東京 UFJ 銀行に帰属します。本資料の本文の一部または全部
について、第三者への開示および、複製、販売、その他如何なる方法においても、第三者への提供を禁じます。
・本資料の内容は予告なく変更される場合があります。
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EMEA & Americas
Ⅰ.メキシコ:2016 年の税制改正における主な変更点
2015 年 11 月 18 日付の官報で歳入法令が公示された。これを受けて、2016 年は所得税法、連邦歳入法、
生産サービス特別税法の一部規定が改正、補足または廃止されることとなった。
本稿では、2016 年税制(又は税法)改正の、主要な変更点を概説する。なお、納税者である企業が、本税
制改正のメリットを自社に適用しようとする際の、フィージビリティーや効果に関しては、その詳細を個別
に検討することが必要であることを付言させて頂く。
1.歳入法
延滞税に適用される利率は、現状のまま維持される。
1.1 利子に対する源泉徴収の税率
2016 年は、利子に対する源泉徴収が年率 0.50%に変更される。この税率は過去 10 年間、次のように
変化している。
1.2 インセンティブ
以下のインセンティブは、これまで通り維持される。

所得税額を見積もる際に決定した税務上の所得から、同年に企業が従業員に支払った法定利益
分配金を所得控除できるインセンティブ。本分配金額を 5 月から 12 月の各月に案分し、毎月の
所得からこれを控除した上で、各月の見積もり納税額を算出することができるというもの。

寄付の税控除の認定を受けた団体に対して、納税者が食品または保健といった人の生存に関わ
る基本財を寄付するためのインセンティブ。受け取り手が消費する目的で寄付された上記の様
な財を、計算上は販売したと仮定して、その売上原価の 5%相当額を追加的に税額控除すること
ができるもの。

専門的なサービスを企業に対して提供する個人から、所得税および付加価値税の源泉徴収を義
務付けられている企業に対するインセンティブ。
個人がインターネット上で電子税金受領書を発行することを条件に、企業には規則で定められた源泉
徴収証明を、個人に提供しなくてもよいことが認められる。但し、この受領書が税法で定められた要件
を満たし、源泉徴収した税額を明示していることが必要。
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2. 連邦税法
2.1 宝くじ付き納税
社会一般に広く税法の順守を進め、徴税が中々難しそうなセクターに於いても、税務当局本来の責務
を促進するために、他の諸国で用いられている方法と同様に、宝くじ付き納税の導入に関する第 33-B
条を追加した。
これは、電子的手段を用いて、またはインターネット上の電子税金受領書を用いて、消費を条件とし
た購入を行った納税者に対し、賞金または賞品を与えるものである。
2.2 情報交換
金融情報をグローバルかつ自動的に交換するための共通報告基準の合意など、メキシコが脱税および
租税回避への対策として、関係各国との情報交換を国際的に約束したことに対応して、第 32-B 条が追
加された。
本条において、金融機関、メキシコの居住者、あるいはメキシコ国内に支店を有する外国人居住者で
ある企業および法人が、以下のルールに基づき、経済協力開発機構(OECD)が 2014 年 7 月 15 日付の
提言で言及した税務に関する自動的な金融口座情報交換のための基準を導入し、順守することを定めて
いる。

2015 年 12 月 31 日時点ですでに開設されている口座を既存の金融口座、2016 年 1 月 1 日以降に
開設される口座を新規口座とみなす。既存口座および新規口座のうち報告義務のある口座を特
定するための手続きは、2016 年 1 月 1 日に発効する。

高額の口座のうち報告義務のある口座を特定するための手続きの特別記録を維持する。これは
2016 年 12 月 31 日までに完了する。低額の口座および企業の既存口座のうち報告義務のある口
座を特定するための手続きについては、2017 年 12 月 31 日までに完了する。

高額の口座および新規口座に関する情報は、初回を 2017 年からとして毎年 6 月 30 日までに提
出する。低額の口座および既存口座に関する情報は、初回を 2018 年として毎年 6 月 30 日まで
に提出する。

このような種類の口座を 2016 年 12 月 31 日までに特定した場合、2017 年 6 月 30 日までに当該
情報の最初の提出を行う。

税務当局が別の規則を定めた場合を除き、税務に関する自動的な金融口座情報交換のための基
準は、上記のルールに従って解釈し、適用される。

この申告を怠った場合には、連邦歳入法セクション 1 第 81 条に定める罰則が科せられ、申告が
不適切または不完全な場合には、連邦歳入法セクション 2 第 81 条に定める罰則が適用される。
2.3 移転価格情報申告
所得税法改正案では、同法改正案セクション 4 第 32-D 条に基づき、連邦行政機関(中央政府および
国営機関)および連邦検察庁に対して、彼らが関連当事者取引(所謂、関係会社間での取引における価
格設定が問題となるケースがある)に関する年次情報申告書を提出した納税者企業との間で、取得契約、
リース契約、サービス契約または公共事業契約を締結することを禁じている。
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2.4 電子的審査
税務当局の電子的審査実施権は 2014 年の改定よりスタートした。この審査はインターネットを通じ
た e タックス・メールボックスを通じて実施される。以前より事前精算の概念は存在するものの、第 53
-B 条の改正により、電子的審査を実施した結果、税務当局が、税もしくは政府賦課金の遺漏、または
その他不正行為の事実を発見した場合には、納税者に通知する仮決定の段階で、事前精算文書が納税者
のもとに送られることとなっている。
納税者が仮決定に記載された事実および不正行為を自発的に認め、提示された金額を支払った場合、
または仮決定に記載された不正行為に反論する情報および記録を 15 日以内に提出しない場合、または
係る記録が当該不正行為の反論とならない場合に限り、事前精算の公式文書は最終的なものとなる。
上記の様な改正の中身を見ても、大統領が電子的審査の浸透を通じて、様々な憲法違反の事例を是正
したいとの姿勢を示していることは明らかである。しかしながら、事前精算と同じタイミングで調査結
果の公式文書も作成されてしまうことを考えると、事前精算の公式文書が発行される前に税務当局の調
査結果に反論する十分な時間を取ることは現実的にはできないとみられ、従って事前精算が最終的な精
算となってしまう可能性が極めて高いと言えよう。
記事提供:TMF Group Mexico
グローバルに事業展開する企業に、財務・法務・労務人事に特化したアウト
ソーシングサービスを提供するサービスプロバイダー。
(2015 年 12 月 11 日作成)
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Ⅱ.英国:財務報告基準(FRS)102 の法人税への影響
要約
英国で 2015 年に導入された財務報告の枠組みの刷新は、取得原価主義会計に基づくシステムから時価主
義会計に基づくシステムへの転換を示すものです。新たな枠組みで財務報告を行う多くの企業にとって、こ
の転換は大きな影響を与える可能性があります。多くの場合、利益の変動がはるかに大きくなるという基本
的な傾向があるため、キャッシュフローも大きく変動する可能性があります。また移行時には、前年度の数
値を新たな基準で修正再表示することによる影響についても、企業は知っておく必要があります。今回は、
財務報告基準(FRS)102 を導入する企業の法人税への影響について説明します。
今回は、英国の新しい財務報告の枠組みで、FRS102 に移行する企業が直面する法人税関連の主要点を示
します。ここでは網羅することはできませんが、会計基準の転換が納税の時期や金額に大きな影響を与え
そうな重要な分野に、注意を向けていただこうというものです。
のれん代と無形資産
これらは現在、経済的耐用年数で償却し、反証がない限り状況から判断して 20 年を超えない期間で毎年
4%の税控除の適用を選択できます。FRS102 では、経済的耐用年数に関する適正な推定ができない場合、
その期間は 5 年までとなります。このため、償却期間が短くなることが多く、税控除の時期が早まります。
ただし、すでに 4%の税控除を選択している場合には、これが維持されます。
投資不動産
現行規則では、投資不動産は通常、総認識利得損失計算書(損益計算書ではない)に再評価調整を反映
した公開市場価格で示します。一般的に、売却するまでは課税されません。新しい規則では、投資不動産
は通常、公正価値で計上され価値の変動を損益計算書で示します。しかし、こうした調整は課税もしくは
課税控除の対象とならないため、変更はありません。ただし、不動産の売却時には、引き続きキャピタル
ゲインが法人税の課税対象となります。
なお、補足ですが、再評価調整はたとえ損益計算書に計上しても、配当可能利益とはなりません。この
ため、財務報告書を利用する場合は、剰余金のどの部分が配当可能か把握する上で特に注意が必要です。
リース・インセンティブ
これまで、賃貸料の無料期間や割引期間などのリース・インセンティブの処理は、最初の賃貸料見直し
までの期間で総リース費用が計上され、会計上の費用と同時に税控除が受けられました。新しい基準に転
換した後は、インセンティブの処理を想定されるリース期間全体に広げる必要があり、これまでより期間
が長期化することが多くなります。税務処理は会計処理に従うため、賃借人の税控除はやや早まって利益
となりますが、賃貸人の控除は長期に繰り延べされるため損失になります。
移行日の時点でインセンティブのあるリースがすでに実施されている場合には、既存の振り分け方法の
適用を継続するか新しいルールで計算し直して、最初の期間中に調整を報告するか選択します。これは、
当該年度の税務上のポジションにも波及効果をもたらします。
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金融商品
これは、財務報告の枠組みの変更により、おそらく最も複雑な影響が出る分野です。
現在、多くの金融商品に融資関係を対象とする規則が適用されますが、現行規則は複雑で、企業の債務
契約やデリバティブ契約の制度を抜本的に見直すための提案が検討されています。特定のデリバティブ契
約は、特に選択しない限り貸借対照表に公正価値では計上されず、財務報告書の脚注だけで開示されてい
ます。融資関係規則の対象とならない金融商品では、税務処理は会計処理に従うというのが基本的な考え
方です。
貸借対照表の他の項目と同様に、FRS102 では公正価値の変動は損益計算書に計上されます。このため、
多くの場合、従来は税務申告で個別に調整が必要だった変動が、会計上の利益に反映されることになりま
す。もしリスク回避のために金融商品取引契約を締結している場合には、租税について会計処理に従うこ
とを選択していない限り、公正価値の変動は税務上では(金融商品が決済されるまで)無視されます。
この分野では、新たな財務報告の枠組みへの移行により調整の必要が多くなるとみられ、英国財務省と
納税者の双方に大きな影響を与える可能性があります。ただし、この影響を軽減するためリスク対策が導
入されることにより、FRS102 の適用による金融商品の修正再表示の影響は 10 年の期間に広げられます。
繰延税金
繰延税金を対象とする現行基準の FRS19 では、拘束力のある販売契約がない限り、繰延税金を再評価資
産として計上する必要はありません。これとは対照的に、新しい基準では、繰延税金は常に再評価資産と
して計上する必要があります。これ自体は納税の金額や時期に影響しませんが、繰延税金が増えることで
配当可能利益が減ることになります。
確定給付型年金
確定給付型年金制度への拠出金に対する現在の税務処理に変更はありません。つまり、支払い時のみ、
引き続き税金が控除されますが、複数事業者型年金制度の赤字を貸借対照表に計上する必要があります。
このため、実現利益が大幅に縮小する可能性があり、これが配当金やインセンティブ・プランを提供する
余力に影響を与える場合があると同時に、追加的な年金提供に対しては税控除を適用することができませ
ん。
従業員のベネフィット(みなし給与)
現在の英国会計基準(UK GAAP)には、休暇中の支払い賃金の発生に対する特別な要件はありません
が、FRS102 では、休暇中の支払い賃金の発生を見越しておかなければなりません。この見越し額が 9 カ月
以内に確定されれば税控除が早まり、初めて見越し額を決める移行時には節税となる可能性があります。
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BTMU Global Business Insight
EMEA & Americas
記事提供:Greenback Alan LLP.
パートナー ジョン・フィッシャー(Jon Fisher)
Greenback Alan LLP.
日系企業に強い会計事務所として、20 年以上、在英日系企業へ会計税務から会社登記や給与
計算デューデリジェンスやコーポレートファイナンスまで、それぞれのニーズに合わせたサ
ービスを提供。世界 18 カ国にネットワークを構築し、国境を越えたサービスを含め、会計・
税務関連業務に対応。
(2015 年 12 月 15 日作成)
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BTMU Global Business Insight
EMEA & Americas
(編集・発行) 三菱東京 UFJ 銀行 国際業務部
(照会先)橋本 昌太郎 北村 広明
(e-mail): [email protected]
・本資料は情報提供を唯一の目的としたものであり、金融商品の売買や投資などの勧誘を目的としたものではありません。
本資料の中に銀行取引や同取引に関連する記載がある場合、弊行がそれらの取引を応諾したこと、またそれらの取引の実
行を推奨することを意味するものではなく、それらの取引の妥当性や、適法性等について保証するものでもありません。
・本資料の記述は弊行内で作成したものを含め弊行の統一された考えを表明したものではありません。
・本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成されていますが、その正確性、信頼性、完全性を保証するものではあ
りません。最終判断はご自身で行っていただきますようお願いいたします。本資料に基づく投資決定、経営上の判断、そ
の他全ての行為によって如何なる損害を受けた場合にも、弊行ならびに原資料提供者は一切の責任を負いません。実際の
適用につきましては、別途、公認会計士、税理士、弁護士にご確認いただきますようお願いいたします。
・本資料の知的財産権は全て原資料提供者または株式会社三菱東京 UFJ 銀行に帰属します。本資料の本文の一部または全部
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~本レポートに関するアンケートも実施中~
(回答時間:10 秒。回答期限:2016 年 4 月 4 日)
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