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5. APEC エコノミーにおける農業政策等に関する調査 5.1 調査・整理の

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5. APEC エコノミーにおける農業政策等に関する調査 5.1 調査・整理の
5. APEC エコノミーにおける農業政策等に関する調査
5.1
調査・整理の方針
(1) 調査のアプローチ
以下に、本調査における調査のアプローチを示す。
・ 文献調査及び電話インタビュー調査を実施し、入手可能な情報の範囲で整理する。
・ 電話インタビュー調査からは多量の定量的情報を得ることは容易ではないので、可能な範囲で
公開文献(国際研究・分析文献)などから定量的情報を調査する。
・ 電話インタビュー調査は、先進農業国(米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)
と農業規模が非常に小さい国・地域(シンガポール、香港、ブルネイ)を除く、13 カ国(中国、
韓国、チャイニーズ・タイペイ、フィリピン、インドネシア、パプアニューギニア、マレーシア、
タイ、ベトナム、ロシア、メキシコ、ペルー、チリ)を対象とする。
(2) 電話インタビュー先
表 5.1に、インタビュー対象国別のインタビューの状況、インタビュー対応者と所属機関を示す。
表 5.1 インタビュー対象国別のインタビュー対応者の所属機関
APEC エコノミー
中国
韓国
チャイニーズ・タイペ
イ
フィリピン
インドネシア
パプアニューギニア
マレーシア
タイ
ベトナム
ロシア
メキシコ
ペルー
インタビュー実施期日
2010 年 9 月 20 日実施。
2010 年 8 月 31 日実施。
2010 年 8 月 23 日実施。
役職、所属機関
Agricultural Attache, USDA/Foreign, Agricultural Service
Senior Director, Korea Rural Economic Institute,
Research Fellow, The Institute of Economics
Academia Sinica
2010 年10 月 19 日実施。
PCARRD (Philippine Council for Agriculture, Forestry and
Natural Resources Research and Development)
M.Sc. Agr. Ketua Departemen, Bogor Agricultural University
2010 年 9 月 20 日実施。
2010 年 8 月 28 日実施。
2010 年 9 月 15 日実施。
2010 年 9 月 30 日実施。
2010 年 9 月 8 日実施。
2010 年 8 月 26 日実施。
2010 年 8 月 27 日実施。
2010 年 9 月 10 日実施。
チリ
2010 年 9 月 8 日実施。
Director, Department of Agriculture & Livestock, Food
Security in the PNG
Global Food and Agricultural Business
FAO アジア・パシフィック地域事務所
Head, Soil and Fertilizer Institute
(注)
Professor, メキシコ大学院大学経済研究センター
Instituto de Estudios Peruanos ( ペ ル ー 問 題 研 究 所 ),
Economist
Director, Unit of Sectoral Policy, Office of Planning and Budget,
Ministry of Agriculture
参事官、在日チリ大使館農務部
(注)8 月半ばから先方の複数の関係者(5 名程度)と電話インタビューの交渉を進めてきたが、先方からは、メー
ル、電話とも全く反応なく、インタビューは実現せず。
5.2
調査・整理項目
表 5.2に、本調査における調査・整理項目を示す。
111
表 5.2 農業政策等に関する調査・整理項目
大項目
農業研究・技術開
発体制
農業インフラの整
備・管理
海外農業投資
在庫・備蓄
有機農業への取り
組み
食料自給率
先進国への要望
5.3
小項目
体制(主な政府機関、大学等の技術・研究開発機関)
研究者数(公的研究機関)
研究・開発予算(公的研究)
農業インフラの整備・管理に関する政策的な動き
農業インフラ整備・管理予算
農道整備率・距離
食料貯蔵施設容量(総量)
農業インフラの管理方法
投資制度
投資促進/投資受入れ政策・体制
投資事例(投資対象国は APEC 内を対象)
食料備蓄制度
備蓄品目・数量
有機農業への取り組みの有無と位置づけ
有機農業への取り組みの状況
自給率の概念(日本との違い)
計算方法(カロリーべース、重量ベース、その他)
自給率とその変遷(各国公表値)
不足している事項
望む支援
備考
先進農業国(米国、カナダ、オ
ーストラリア、ニュージーラン
ド)は調査の対象外とする。
先進農業国(米国、カナダ、オ
ーストラリア、ニュージーラン
ド)は調査の対象外とする。
先進農業国(米国、カナダ、オ
ーストラリア、ニュージーラン
ド)は調査の対象外とする。
先進農業国(米国、カナダ、オ
ーストラリア、ニュージーラン
ド)は調査の対象外とする。
調査結果の分析
以下、現時点における、表 5.2に示した項目別の調査・整理結果を示す。
(1) 農業研究・技術開発体制:表 5.3参照。
(2) 農業インフラの整備・管理:表 5.4参照。
(3) 海外農業投資:表 5.5参照。
(4) 在庫・備蓄:表 5.6参照。
(5) 有機農業への取り組み:表 5.7参照。
(6) 食料自給率:表 5.8参照。
(7) 先進国への要望:表 5.9参照。
112
表 5.3 農業研究・技術開発体制
国名
中国
体制
(主な政府機関、大学等の技術・研究開発機関)
(例)
・ The Chinese Academy of Agricultural
Sciences (CAAS)
:Ministry of Agriculture 傘下
の研究組織であり、全国に 39 の研究センターを
持ち、6000 名の研究者・技術者を擁する。
・ Chinese Academy of Tropical Agricultural
Sciences (CATAS):Ministry of Agriculture 傘
下の研究組織であり、全国に 10 の研究機関と 4
つの農業機関を持ち、1500 名の研究者・技術者
を擁する。
研究者数(公的研究機関)
・ 1991 年:60,114 人
・ 1996 年:53,083 人
・ 2002 年:50,198 人
( 出 典 : Nienke M. Beintema and
Gert-Jan Stads, "Agricultural R&D
Capacity and Investments in the Asia–
Pacific
Region,"International Food
Policy Research Institute, 2008.)
(出典)
http://www.caas.net.cn/engforcaas/index.htm
http://english.agri.gov.cn/ga/amoa/iumoa/
Rural Development Administration(農村振興庁) 農業に関する政府機関の研究者は、2010 年
は、韓国における農業技術に関する研究開発、研究 で 1843 人。
開発された農業科学技術の農家普及等の役割を持つ
(情報源:電話インタビュー)
機関で、以下の 4 つの農業研究機関を持つ。
研究・開発予算(公的研究)
・ 1991 年:11. 74 億ドル(注)
・ 1996 年:15.31 億ドル(注)
・ 2002 年:25.74 億ドル(注)
(注)2005 年の国際ドル価値に基づく。
(出典:Nienke M. Beintema and Gert-Jan
Stads, "Agricultural R&D Capacity and
Investments in the Asia – Pacific
Region,"International Food Policy Research
Institute, 2008.)
2010 年の農業に関する総予算は 7 億 6000 万
米ドルだが、そのうち研究開発予算は 3 億
1000 万米ドル。
(情報源:電話インタビュー)
韓国
・ 国 立 農 業 科 学 院 ( National Academy of
National Science)
・ 国立食糧科学院(National Institute of Crop
Science)
・ 国立園芸特作科学院(National Institute of
Horticultural & Herbal Science)
・ 国立畜産科学院(National Institute of Animal
Science)
(出典)
http://www.rda.go.kr/foreign/jp/
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E9%9
113
国名
チャイニー
ズ・タイペイ
体制
(主な政府機関、大学等の技術・研究開発機関)
(例)
F%93%E6%B0%91%E5%9B%BD%E8%BE%B2%
E6%9D%91%E6%8C%AF%E8%88%88%E5%BA
%81
行 政 院 農 業 委 員 会 (Council of Agriculture,
Executive Yuan) 下に、技術開発研究を行っている
9つの実験部署 (Experiment Stations) がある(大
学がプロジェクトベースで技術分析を行うことはあ
るが、行政院農業委員会下の研究機関が主体)
。
研究者数(公的研究機関)
研究・開発予算(公的研究)
行政院農業委員会内には、技術開発研究を
行っている9つの実験部署で、約 2,200 人
の研究者がいる。
行政院農業委員会全体の予算が 1250 億台湾
ドル(NT)であり、そのうちの 5%弱にあた
る 60 億台湾ドル(NT)が、科学的研究や技
術開発に充てられている。
(情報源:電話インタビュー)
(情報源:電話インタビュー)
フィリピン
インドネシ
ア
(情報源:電話インタビュー)
・ Agricultural Research Centers (IARC) of the
Department of Agriculture
・ Philippine Rice Research Institute (PhilRice)
・ Ecosystems Research and Development
Services (ERDS) of the Department of
Environmental and Natural Resources
(DENR)
・ University of the Philippines Los Baños
(UPLB)
(出典)
・ Nienke M. Beintema and Gert-Jan Stads,
“Diversity in Agricultural Research Resources
in the Asia-Pacific Region: Agricultural
Science and Technology Indicators Initiative,”
International Food Policy Research Institute
and Asia-Pacific Association of Agricultural
Research Institutions, May 2008.
農 務 省 管 轄 下 の 農 業 研 究 開 発 局 ( Directorate
General (DG) of Agricultural Research and
Development (ARD)
)には、食用穀物、園芸用穀物、
プランテーション用の穀物、収穫後の作業、バイオ
テクノロジーを扱う研究機関を持つ(以下は例)
。
・ 1991 年:2,424 人
・ 1996 年:3,053 人
・ 2002 年:3,213 人
・ 1991 年:8,000 万ドル(注)
・ 1996 年:1.21 億ドル(注)
・ 2002 年:1.41 億ドル(注)
( 出 典 : Nienke M. Beintema and
Gert-Jan Stads, "Agricultural R&D
Capacity and Investments in the Asia–
Pacific
Region,"International Food
Policy Research Institute, 2008.)
(注)2005 年の国際ドル価値に基づく。
(出典:Nienke M. Beintema and Gert-Jan
Stads, "Agricultural R&D Capacity and
Investments in the Asia – Pacific
Region,"International Food Policy Research
Institute, 2008.)
・
・
・
・
・
1991 年:4,548 人(注 1)
1996 年:4,760 人(注 1)
2002 年:4,751 人(注 1)
2003 年:5,000 人(注 1)
ARD 局には 2200 名以上の研究者がい
114
・
・
・
・
1991 年:2.20 億ドル(注 1)*
1996 年:2.55 億ドル(注 1)*
2002 年:1.77 億ドル(注 1)*
2003 年:2.54 億ドル(注 2)**
国名
体制
(主な政府機関、大学等の技術・研究開発機関)
(例)
研究者数(公的研究機関)
る(注 2)
・ Indonesia Agency for Agricultural Research
and Development (IAARD) 傘下の 9 つの研究
機関・センター(最も多くの国の研究予算が割
り当てられている)
・ Indonesian Research Institute for Estate
Crop (IRIEC)
・ Bogor Agricultural University
パプアニュ
ーギニア
(出典)
・ Nienke M. Beintema and Gert-Jan Stads,
“Diversity in Agricultural Research Resources
in the Asia-Pacific Region: Agricultural
Science and Technology Indicators Initiative,”
International Food Policy Research Institute
and Asia-Pacific Association of Agricultural
Research Institutions, May 2008.
・ United Nations Conference on Trade And
Development,” World Investment Report
2009:
Transnational
Corporations,
Agricultural Production and Development,”
October 2009.
・ National Agricultural Research Institute
(NARI)
・ Papua New Guinea Forestry Research
Institute (PNGFRI)
・ PNG Cocoa and Coconut Research Institute
(CCRI)
・ Papua New Guinea University of Technology
(出典)
・ Nienke M. Beintema and Gert-Jan Stads,
“Diversity in Agricultural Research Resources
in the Asia-Pacific Region: Agricultural
(出典)
注 1:Nienke M. Beintema and Gert-Jan
Stads, "Agricultural R&D Capacity
and Investments in the Asia –
Pacific
Region,"International
Food Policy Research Institute,
2008.
注 2:電話インタビュー
研究・開発予算(公的研究)
(出典)
注 1:Nienke M. Beintema and Gert-Jan
Stads, "Agricultural R&D Capacity
and Investments in the Asia– Pacific
Region,"International Food Policy
Research Institute, 2008.
注 2:Gert-Jan Stads, Haryono, and Siti
Nurjayanti, “Agricultural R&D in
Indonesia: Policy, investments, and
institutional profile,” ASTI Country
Report, November 2007.
* 2005 年の国際ドル価値に基づく。
** 2000 年の国際ドル価値に基づく。
・ 1991 年:86 人
・ 1996 年:108 人
・ 2002 年:1,118 人
( 出 典 : Nienke M. Beintema and
Gert-Jan Stads, "Agricultural R&D
Capacity and Investments in the Asia–
Pacific Region,"International Food Policy
Research Institute, 2008.)
115
・ 1991 年:2800 万ドル(注)
・ 1996 年:3500 万ドル(注)
・ 2002 年:2800 万ドル(注)
(注)2005 年の国際ドル価値に基づく。
(出典:Nienke M. Beintema and Gert-Jan
Stads, "Agricultural R&D Capacity and
Investments in the Asia – Pacific
Region,"International Food Policy Research
Institute, 2008.)
国名
マレーシア
タイ
体制
(主な政府機関、大学等の技術・研究開発機関)
(例)
Science and Technology Indicators Initiative,”
International Food Policy Research Institute
and Asia-Pacific Association of Agricultural
Research Institutions, May 2008.
・ United Nations Conference on Trade And
Development,” World Investment Report
2009:
Transnational
Corporations,
Agricultural Production and Development,”
October 2009.
・ Malaysian
Agricultural
Research
and
Development Institute (MARDI)(マレーシア
政府から、直接の資金あるいは競争的助成金に
より、研究資金を 100%獲得している)
・ Malaysian Palm Oil Board (MPOB)
(出典)
・ Nienke M. Beintema and Gert-Jan Stads,
“Diversity in Agricultural Research Resources
in the Asia-Pacific Region: Agricultural
Science and Technology Indicators Initiative,”
International Food Policy Research Institute
and Asia-Pacific Association of Agricultural
Research Institutions, May 2008.)
・ United Nations Conference on Trade and
Development,” World Investment Report
2009:
Transnational
Corporations,
Agricultural Production and Development,”
October 2009.
・ The Ministry of Science and Technology
(MOST) / Thailand Institute of Scientific
and Technological Research (TISTR)
・ The Ministry of Science and Technology
(MOST) /National Science and Technology
Development Agency (NSTDA) 傘 下 の
研究者数(公的研究機関)
・ 1991 年:937 人
・ 1996 年:1,041 人
・ 2002 年:1,118 人
( 出 典 : Nienke M. Beintema and
Gert-Jan Stads, "Agricultural R&D
Capacity and Investments in the Asia–
Pacific
Region,"International Food
Policy Research Institute, 2008.)
(情報得られず)
研究・開発予算(公的研究)
・ 1991 年:2.27 億ドル(注)
・ 1996 年:2.67 億ドル(注)
・ 2002 年:4.24 億ドル(注)
(注)2005 年の国際ドル価値に基づく。
(出典:Nienke M. Beintema and Gert-Jan
Stads, "Agricultural R&D Capacity and
Investments in the Asia – Pacific
Region,"International Food Policy Research
Institute, 2008.)
2003 年 に 、 Ministry of Agriculture and
Cooperatives (MOAC)は、公的な農業 R&D
に 346 億米ドルを投入。
( 出 典 : Greg I. Johnson, Katinka
Weinberger and Mei-huey Wu,” The
116
国名
体制
(主な政府機関、大学等の技術・研究開発機関)
(例)
National Center for Genetic Engineering and
Biotechnology (BIOTEC)
・ The Ministry of Science and Technology
(MOST) /National Innovation Agency (NIA)
・ 首 相 局 ( Office of the Prime Minister ) /
National Economic and Social Development
Board (NESDB) の 傘 下 の Thailand
Development Research Institute (TDRI)
・ 首相局(Office of the Prime Minister)下にあ
る Thailand Research Fund (TRF) 及 び
National Research Council (NRC) を通して国
立・公立大学に農業 R&D 資金を提供。
(出典:Greg I. Johnson, Katinka Weinberger and
Mei-huey Wu,” The Vegetable Industry in
Tropical Asia: Thailand,” AVRDC – The World
Vegetable Center, 2008.)
・ Ministry of Agriculture and Rural
Development (MARD)傘下の 28 の研究機関・
センター
・ Hanoi Agricultural University
ベトナム
(出典)
・ Gert-Jan Stads and Nienke M. Beintema,
"PUBLIC AGRICULTURAL RESEARCH IN
LATIN AMERICA AND THE CARIBBEAN
Investment and Capacity Trends,"ASTI
Synthesis Report, March 2009.)
・ United Nations Conference on Trade and
Development,” World Investment Report
2009:
Transnational
Corporations,
Agricultural Production and Development,”
October 2009.
研究者数(公的研究機関)
研究・開発予算(公的研究)
Vegetable Industry in
Tropical Asia:
Thailand,” AVRDC – The World Vegetable
Center, 2008.)
・ 1991 年:1,862 人
・ 1996 年:1,991 人
・ 2002 年:2,732 人
( 出 典 : Nienke M. Beintema and
Gert-Jan Stads, "Agricultural R&D
Capacity and Investments in the Asia–
Pacific
Region,"International Food
Policy Research Institute, 2008.)
117
・ 1991 年:800 万ドル(注)
・ 1996 年:2,200 万ドル(注)
・ 2002 年:5,600 万ドル(注)
(注)2005 年の国際ドル価値に基づく。
(出典:Nienke M. Beintema and Gert-Jan
Stads, "Agricultural R&D Capacity and
Investments in the Asia – Pacific
Region,"International Food Policy Research
Institute, 2008.)
国名
ロシア
メキシコ
ペルー
チリ
体制
(主な政府機関、大学等の技術・研究開発機関)
(例)
(情報入手できず)
・ National Institute for Forestry, Agricultural
and Animal Husbandry Research (INIFAP)傘
下の 14 のエージェンシー
・ Autonomous University of Chapingo (UACh)
(出典)
・ Gert-Jan Stads and Nienke M. Beintema,
"PUBLIC AGRICULTURAL RESEARCH IN
LATIN AMERICA AND THE CARIBBEAN
Investment and Capacity Trends,"ASTI
Synthesis Report, March 2009.
・ 農業省の傘下に農業技術研究に関する独立ユニ
ッ ト ( Instituto Nacional de Innovacion
Agraria)があり、国全体で 10 箇所の研究所を
持つ。
・ 農 業 省 の 傘 下 に は 、 Instituto Nacional de
Innovacion Agraria とは別に農業技術の研究開
発に関わる部署が農業省にあり、世界銀行の支
援を受けて INCAGRO と呼ばれるプログラムを
行なっていた。現在は世界銀行からの助成が終
了しつつあるが、以前はかなり規模も大きく、
民間部門への補助金という形で新しい研究や新
技術の導入を支援するものであり、興味深いプ
ロジェクトが行なわれていた。
研究者数(公的研究機関)
(情報入手できず)
・ 1991 年:3,365 人
・ 2001 年:3,927 人
・ 2006 年:4,067 人
(出典:Gert-Jan Stads and Nienke M.
Beintema, "PUBLIC AGRICULTURAL
RESEARCH IN LATIN AMERICA AND
THE CARIBBEAN Investment and
Capacity Trends,"ASTI Synthesis Report,
March 2009.)
Instituto Nacional de Innovacion Agraria
は非常に大きな組織であり、262 名の研究
者を擁する。
(情報源:電話インタビュー)
研究・開発予算(公的研究)
(情報入手できず)
・ 1991 年:3 億 6,920 万ドル(注)
・ 2001 年:4 億 3,700 万ドル(注)
・ 2006 年:5 億 1,760 万ドル(注)
(注)2005 年の購買力平価(Purchasing Power
Parity: PPP)ドルに基づく。
( 出 典 : Gert-Jan Stads and Nienke M.
Beintema, "PUBLIC AGRICULTURAL
RESEARCH IN LATIN AMERICA AND
THE
CARIBBEAN
Investment
and
Capacity Trends,"ASTI Synthesis Report,
March 2009.)
・ 基本的にペルーでは農業に関する技術開
発があまり行なわれておらず、非常に少な
い予算しか充てられていない状況である。
・ ペルー全体の研究開発費は GDP の 0.15%
程度である。農業部門の GDP はペルー全
体の GDP の 6%であるため、農業研究開
発予算はかなり低い。
(情報源:電話インタビュー)
(情報源:電話インタビュー)
・ Agricultural Research Institute (INIA)
・ Fisheries Development Institute (IFOP)
・ Forestry Institute (INFOR)等
・ 1991 年:530 人
・ 2001 年:655 人
・ 2006 年:690 人
・ 1991 年:6,560 万ドル(注)
・ 2001 年:1 億 2,430 万ドル(注)
・ 2006 年:9,810 万ドル(注)
(出典:Gert-Jan Stads and Nienke M. Beintema,
(出典:Gert-Jan Stads and Nienke M.
(注)2005 年の購買力平価(Purchasing Power
118
国名
米国
体制
(主な政府機関、大学等の技術・研究開発機関)
(例)
"PUBLIC AGRICULTURAL RESEARCH IN
LATIN AMERICA AND THE CARIBBEAN
Investment and Capacity Trends,"ASTI Synthesis
Report, March 2009.)
・ Agricultural Research Service(ARS)傘下の
米国内の 100 以上の研究機関(米国農務省の研
究エージェンシーで、教育・経済分野のミッシ
ョンを担う)
・ National Institute of Food and Agriculture
(NIFA)(米国農務省内の機関かつ連邦政府の行
政府の一部で、研究・教育・経済分野のミッシ
ョンを担う)
・ Economic Research Service (ERS)(米国農務省
内の経済・社会科学分析部門で研究・教育・経
済分野のミッションを担う)
・ Forest Service(FS)
(米国農務省傘下)
研究者数(公的研究機関)
Beintema, "PUBLIC AGRICULTURAL
RESEARCH IN LATIN AMERICA AND
THE CARIBBEAN Investment and
Capacity Trends,"ASTI Synthesis Report,
March 2009.)
・ ARS の研究機関:1,200 名の科学者
・ NIFA:全米 130 以上のランドグラント
大学とのパートナーシップを持ち、大
学や連邦機関等の研究者に研究資金を
提供。
・ ERS:数百名以上の経済学者及び社会
科学者
Parity: PPP)ドルに基づく。
( 出 典 : Gert-Jan Stads and Nienke M.
Beintema, "PUBLIC AGRICULTURAL
RESEARCH IN LATIN AMERICA AND
THE
CARIBBEAN
Investment
and
Capacity Trends,"ASTI Synthesis Report,
March 2009.)
以下は、2007 年度における米国の公的な農業
R&D 予算とその内訳である。
■公的農業 R&D 予算:48.33 億ドル
・ 連邦予算(USDA 予算)
:19.60 億ドル
・ 連邦予算(USDA 以外の予算)
:7.06 億ド
ル
・ 州政府予算 13.65 億ドル
(各種 Web 情報による)
(http://www.aaas.org/spp/rd/09pch10.htm)
カナダ
研究・開発予算(公的研究)
カナダ農務・農産食品省(AAFC:本部はオタワに
ある)の傘下に、以下の 19 の国立研究センターネ
ットワークを持つ。
左記の 19 の国立研究センターには、全体と
して 4,000 名の職員がおり、うち 600 名が
科学者である。
・ Pacific Agri-Food Research Centre
・ Lacombe Research Centre
・ Lethbridge Research Centre
・ Saskatoon Research Centre
・ Semiarid Prairie Agricultural Research Centre
(http://www.nserc-crsng.gc.ca/Students-E
tudiants/PD-NP/Laboratories-Laboratoir
es/AAFC-AAC_eng.asp)
( 出 典 : Philip G. Pardey (University of
Minnesota, St Paul Department of Applied
Economics), “Putting U.S. Agricultural
R&D and Productivity Developments in
Perspective,” Farm Foundation Conference,
Agricultural Research and Productivity for
the Future, April 2009)
以下は、gross farm receipts に対する、公的
な農業 R&D 支援額の占める割合(%)である。
・ 1986~1995 年:1.6%
・ 1996~2005 年:1.3%
・ 2007 年:1.2%
・ 2008 年:1.0%
( 出 典 : Agriculture
119
and
Agri-Food
国名
オーストラ
リア
体制
(主な政府機関、大学等の技術・研究開発機関)
(例)
・ Brandon Research Centre
・ Cereal Research Centre
・ Southern Crop Protection and Food Research
Centre
・ Eastern Cereal and Oilseed Research Centre
・ Guelph Food Research Centre
・ Greenhouse and Processing Crops Research
Centre
・ Dairy and Swine Research and Development
Centre
・ Food Research and Development Centre
・ Soils and Crops Research and Development Ce
・ Horticulture Research and Development
Centre
・ Potato Research Centre
・ Atlantic Food and Horticulture Research
Centre
・ Crops and Livestock Research Centre
・ Atlantic Cool Climate Crop Research Centre
研究者数(公的研究機関)
研究・開発予算(公的研究)
Canada,”An Overview of the Canadian
Agriculture and Agri-Food System 2009,”
August 2009.)
(http://www.nserc-crsng.gc.ca/Students-Etudiants
/PD-NP/Laboratories-Laboratoires/AAFC-AAC_e
ng.asp)
オ ー ス ト ラ リ ア で は 、 Rural Research and (情報入手できず)
Development Corporations (RDCs)と呼ばれる政府
と産業界が支援する研究開発事業体であり、15 の
RDC により、オーストラリアの農業研究の殆どがカ
バーされている。
RDC は、国際競争力や持続可能性の向上の観点から
優先度の高い分野において、
農村を対象とした R&D
への投資を拡充することによって、産業界の能力の
向上を図っている。RDC における R&D の資金は、
競争的資金であり、農産物の税金からの資金や連邦
120
・ RDC の R&D 資金がオーストラリアの農
業 R&D 予算の主要な部分を占める。
・ 2008~2009 年度における RDC の予算は、
44.11 億 AUD である。これには、24.4 億
ドルが産業界からの資金(2.44 億 AUD)
、
政府マッチングファンド(2.07 億 AUD)
が含まれる。
( 出 典 : Council of Rural Research and
Development Corporations Chairs, “Impact
Of Investment in
Research and
国名
体制
(主な政府機関、大学等の技術・研究開発機関)
(例)
政府の助成金(マッチングファンド)に基づく。
以下は、主な RDC の例。
研究者数(公的研究機関)
研究・開発予算(公的研究)
Development by the Rural Research and
Development Corporations: Year 2 results,”
January 2010.)
・ Grains Research & Development Corporation
(GRDC)
・ Fisheries
Research
and
Development
Corporation (FRDC)
・ Rural Industries Reseaerch and Development
Corporation (RIRDC)
・ Sugar
Research
and
Development
Corporation (SRDC)
・ Grape and Wine Research and Development
Corporation(GWRDC)
・ Land & Water Australia (LWA)
ニュージー
ランド
( http://www.ruralrdc.com.au/Page/About/About.
aspx)
以下は、ニュージーランドにおける農業科学技術研
究 の責任を 持つ、 最大規模の Crown Research
Institutes (本来、国が運営していた研究機能・機関
をビジネスベースで運営することを目的として、
1992 年に、ニュージーランドの関連省庁の一部、政
府研究組織、大学研究機関等を統合化した政府所有
の研究機関)である。
・ AgResearch Ltd(990 人以上:2007 年) ・ AgResearch Ltd(1 億 5,500 万ニュージーラン
・ New Zealand Institute for Plant &
ド・ドル(NZD)
:2009 年)
(注 1)
Food Research(900 人:2009 年)
・ New Zealand Institute for Plant & Food
・ Scion (New Zealand Forest Research
Research(5,150 万 NZD:2009 年)
(注
Institute Limited)(360 人:2010 年)
2)
・ Scion (New Zealand Forest Research
(http://en.wikipedia.org/wiki/Agriculture
Institute Limited)(2,683 万 NZD:2010
_in_New_Zealand)
年)
(注 3)
・ AgResearch Ltd
・ New Zealand Institute for Plant & Food
Research
・ Scion (New Zealand Forest Research
Institute Limited)
(注 1) AgResearch 2009 Annual Report
(注 2) New Zealand Institute for Plant &
Food ResearchAnnual Report 2009
(注 3) Scion Statement of Corporate Intent 1
July 2010 - 30 June 2013
( http://en.wikipedia.org/wiki/Agriculture_in_Ne
w_Zealand)
121
表 5.4
国名
中国
韓国
チャイニーズ・タ
イペイ
フィリピン
農業インフラの整備・管理(その1)
農業インフラの整備・管理に関する政策的な動き
農業インフラ整備・管理予算
最近、中国政府は、農村地域に対して財政的及び戦略的に支援を公約した。 中国では、農業インフラ整備・管理予算資料は公表されていな
政府は、2003 年に、農村地域に対し、はじめて 2000 億超元の経済的支援 いと思われる(そのような資料を見たことがない)
。
を実施した。2007 年には、その支援額が倍増し、その後も増加している。
2010 年においては、政府は、農村地域への財政的支援として、8000 億元 (情報源:電話インタビュー)
以上を投入する計画である。これらの予算は、主に、農業助成金、インフ
ラ整備、農村社会福祉等に利用される。
(出典)
http://www.cctv.com/english/special/rural_development/Homepage/inde
x.shtml (出典については、電話インタビューによる)
農業・農村総合対策の一環として、
「農村らしさを備えた快適な生活空間」 ・ 2001 年度:9 億 7500 万ドル
をビジョンとして掲げ、2004 年度から 3 段階(2013 年度まで)で、農業 ・ 2008 年度:7 億 9200 万ドル
インフラの整備に関して、①農村地域開発、②社会安全網強化(健康保険
料軽減、国民年金保険料の支援等)
、③福祉インフラ拡充、の 3 つを推進。 (情報源:電話インタビュー)
(出典:倉持和雄(横浜市立大学国際総合科学部教授)
、
「韓国のコメ関税
化猶予延長に対するコメ対策と親環境農業政策」
、2006 年1月 20 日)
・ 行政院農業委員会は、インフラ整備のために予算を配分しており、灌
漑、土壌開発、災害防止、土地利用情報システムなどの、ハードとソ
フトの両面の政策に使用している。統計システムや、GIS (地理情報シ
ステム) や GPS システムを使って、維持整備している。
・ 農業インフラに関する政策的なトレンドとして、持続可能な農業の構
築を挙げることができる。森林管理、生物多様性、自然災害に対応で
きるインフラ構築なども重要である。地すべりやハリケーンなどの自
然災害は、近年増加の傾向にある。また、地方の開発も重要な課題で
ある。地方の村やそういった村に住む高齢化が進む人口を活性化する
ことである。地方で農業に従事する人たちの高齢化が進んでいる。
(情報源:電話インタビュー)
・ 1987 年に開始された総合農地改革プログラムの主管官庁である農業
122
農業インフラには今まで全予算の約 10%が充当されていたが、
近年はそれが 13%に引き上げられるなど、重要性が増している
と言える。一因として、近年自然災害、メンテナンス、モニタ
リングシステムの増加が挙げられる。
(情報源:電話インタビュー)
フィリピンのインフラ投資は、ほとんどが海外のドナーからの
国名
農業インフラの整備・管理に関する政策的な動き
改革省(DAR)が、
「農地改革受益農民開発」というプログラムのもと、
灌漑、農地からマーケットまでの道路、橋梁等の整備等の農業インフ
ラ開発を行っている。
・ 最近のフィリピンの農業政策は、1998 年 2 月に制定された Agriculture
and Fishery Modernization Act(Public Act 8435) という法に基づ
く。
農業インフラ整備・管理予算
出資による。
(情報源:電話インタビュー)
2009 年 6 月時点で進行中の農地改革基金(Agrarian Reform
Fund)および海外援助資金によるプロジェクトは、以下のとお
り。
・ 農場から市場への道路整備:78 プロジェクト、
距離 313km、
622PM
・ 灌漑システム:98 プロジェクト、対象面積 10411 ha、
1859PM
・ 橋梁建設:23 プロジェクト、距離 955km、214PM
(情報源:電話インタビュー)
(DAR, “Status of physical infrastructure projects funded
by both ARF and FAPs (ON-GOING PROJECTS ) As of
June 2009.)
インドネシア
パプアニューギニ
ア
マレーシア
公共事業省 (Ministry of Public Works) および/または農務省下の水資源
局 (DG Water Resources) がインフラの管理をしている。
(情報源:電話インタビュー)
パプアニューギニアには、近代的な灌漑システムはなく、灌漑設備・管理
政策は無い。また、パプアニューギニアは、伝統的な農業システムにおい
て、灌漑作業というものは無い。
(情報源:電話インタビュー)
・ 既に、現存するエリアへの農業インフラ強化と応用が行われている。
未開拓地が少なくなるにつれて、新しいエリアへの拡大よりも、農業
インフラ強化と応用に力をいれている。
(注1)
・ 最近、灌漑インフラと水系の開発(食料安全保障政策の観点から、米
の増産に関連して、新しい水資源の開発及び灌漑インフラと水系密度
の最適レベルを 50m/ha に増加させる)と灌漑インフラと水系の保守
123
(http://www.dar.gov.ph/beneficiaries_statistics.html)
(情報得られず)
予算なし。
(情報源:電話インタビュー)
(情報得られず)
国名
タイ
ベトナム
ロシア
メキシコ
ペルー
農業インフラの整備・管理に関する政策的な動き
(穀倉・非穀倉地帯における水田の保守管理)に力点が置かれている。
(注2)
・ 稲作用の灌漑システム等は、政府レベルで統括されている一方、樹木
作物は非常に散在しているため、一部は政府が統括しているが、その
他の多くが民間セクターによって統括されている。
(注1)
農業インフラ整備・管理予算
(注 1)電話インタビューによる。
(注 2)Tey, Y. S. (Institute of Agricultural and Food Policy Studies,
Universiti Putra Malaysia), “Review Article Malaysia’s strategic food
security approach,” International Food Research Journal 17, pp.
501-507, 2010.)
(情報得られず)
(情報得られず)
農業農村開発省(MARD)に水文部門があり、この部門が、農業インフラ (情報得られず)
に関する政策を計画する。以前、州政府が農業インフラの建設・管理に投
資していたが、現在は、州政府の資金以外に、企業、地方政府(省、地区)
、
農業事業者も農業インフラの建設・管理貢献できるように、農業農村開発
省が働きかけている。
(情報源:電話インタビュー)
(情報入手できず)
(情報入手できず)
メキシコにおいては、灌漑用水の管理において非中央化かつ市場志向型の 水セクター全体における政府の支出は、2004 年に、39 億米ド
アプローチに向かっており、農業灌漑セクターは大きな変容を遂げている。 ルに達している(GDP の 0.5%)
。2000~2005 年において、国
家水委員会(CONAGUA)は、灌漑セクターにおいて 128 万
(http://en.wikipedia.org/wiki/Irrigation_in_Mexico)
米ドルが投資された。
・ ペルーの農業インフラは、灌漑設備とその他の2つのカテゴリーに分
けられる。全ての資金は灌漑用インフラに投入され、政府の管理・取
組みは沿岸部の灌漑設備に集中している。沿岸部はもっとも小さな地
域であるが、もっとも肥沃な土地である。灌漑の分野では、世界銀行
の助成を受けて農業省が行なっている Programa Subsectoria de
Irrigaciones があり、沿岸部でのプログラムマネジメントおよびインフ
ラ整備を行なっている。
124
(http://en.wikipedia.org/wiki/Irrigation_in_Mexico)
(情報得られず)
国名
チリ
農業インフラの整備・管理に関する政策的な動き
・ インフラ整備は基本的に部門別インフラ整備方針に基づくものであ
る。各部門が独自の方針に従って行なっているので、運がよければ官
民両部門が同じ方向性を持ち、資金を得てインフラ整備を行なうこと
ができる。しかしこれはあくまでも運の問題であって、国としてのイ
ンフラ政策はない。
(情報源:電話インタビュー)
・ 農務省は小規模から中規模の灌漑施設のみ扱っている。大規模な灌漑
施設、ダム、農業道路、その他のインフラについては基盤整備省が担
当している。
・ 2010 年 2 月の大地震発生前までは、中規模の灌漑施設により多くの投
資を行なう傾向があった。これは基盤整備省が大規模ダムを建設して
いたことによる。しかし地震発生後は、大半の予算を損傷した小規模
の灌漑施設の補修に導入している。
(情報源:電話インタビュー)
125
農業インフラ整備・管理予算
農業灌漑庁(CNR) が、年間 5,800 万米ドルを、小中規模灌漑
システム(新しく設置されるもの、および修繕)への財政支援
として拠出している。
(情報源:電話インタビュー)
表 5.4 農業インフラの整備・管理(その 2)
国名
中国
農道整備率・距離
中国には、農道整備率・距離に関する公式
の資料は無い。
食料貯蔵施設容量(総量)
中国には、食料貯蔵施設容量(総量)に関す
る公式資料は無い。
(情報源:電話インタビュー)
(情報源:電話インタビュー)
(情報得られず)
2010 年における穀物等の貯蔵量は、140 万ト
ンであると言われている。
韓国
チャイニー
ズ・タイペ
イ
農道距離:8,500km(道路の敷設は中
央政府の仕事であるが、その管理維持
は地方行政の業務)
(情報源:電話インタビュー)
フィリピン
インドネシ
ア
パプアニュ
ーギニア
(情報得られず)
(情報得られず)
パプアニューギニアには、農道整備
率・距離に関する情報は無い。
(情報源:電話インタビュー)
・ 食料安全保障の観点から米を貯蔵してお
り、中央政府が費用を負担して、農業組
合が所有する貯蔵庫に米を貯蔵している
(すなわち、農業組合が政府の契約者と
して米を貯蔵していると言うことができ
る)
。
・ 上記による米の貯蔵量は 200 万トン、そ
の他の民間セクターに 100 万トンあり、
合計 300 万トンを貯蔵している。
(情報源:電話インタビュー)
・ フィリピンは政治的生産物である米を十
分確保しようとしている。米はフィリピ
ンの農業を左右している。国家食糧庁
(National Food Authority) によってあ
る特定の量の米を確保することが義務付
けられている。
(情報源:電話インタビュー)
(情報得られず)
(情報得られず)
農業インフラの管理方法
農業インフラの管理は、各省ごとに行われていると想定さ
れる。中国ではハード・データ(正確なデータ)を入手す
るのが非常に困難である。
(情報源:電話インタビュー)
(情報得られず)
既存の灌漑システム等については、特に丘陵ではセンサー
などを使って、インフラのチェックを行っている(災害防
止システムの一部として、遠隔感知システムを利用してい
る)
。
(情報源:電話インタビュー)
・ 灌漑に関しては、国家灌漑庁 (National irrigation
authority [administration] )の任務である。
・ 農場からマーケットまでの道路に関して、ハードの部
分は公共事業道路 (Department of Public Work and
Highways) の責任、農業省はどこにマーケットを設置
するかなどを管轄する。プロセシング施設に関しては、
Fisheries & Aquatic Resources または農業省の中の部
署 Philippine Mechanization Agency が管轄している。
(情報得られず)
パプアニューギニアには、近代的な灌漑システムはなく、
農業インフラが存在しない。
126
国名
マレーシア
タイ
農道整備率・距離
(情報源:電話インタビュー)
・ マレーシアでは、農道整備率・距
離に関する情報が整備されること
はない。
・ インフラ整備等事業の中でも連邦
政府レベルのプロジェクトは中央
政府から資金がおりて実行され
る。そして州単位のプロジェクト
が存在する。連邦政府レベルのプ
ロジェクトも一定時期をすぎると
次は州の手にゆだねられる。州に
よって行われる整備などは、連邦
政府レベルの事業に比べて、資金
面等で大変な違いがある。またマ
レー半島南部のマレーシアとボル
ネオ島北部のマレーシアの間にも
大きな違いがある。よって、農道
整備率・距離について、正確な数
値で、全体を統括した資料などは
存在しないと考えられる。
(情報源:電話インタビュー)
農道距離:7,124.100km
( http://www.alro.go.th/alro/eng_web
/index.html)
ベトナムには、農道整備率・距離に関
する情報は無い。
ベトナム
食料貯蔵施設容量(総量)
農業インフラの管理方法
(情報源:電話インタビュー)
政府の補助を受けた小さなプロジェクトから大きなプロジ
ェクトに至るまで様々な農業インフラの管理方法がある。
例えばヤシなら大部分が民間セクターによって統括されて
いるので、公的に把握することは容易ではない。
(情報得られず)
(情報源:電話インタビュー)
(情報得られず)
(情報得られず)
(情報得られず)
農業インフラの管理方法については、州レベルの水文部門
が発行する規則があり、政策立案者が政策を公表する際の
指標となっている。同時に、州レベル以下では、ベトナム
は水文企業のネットワークがあり、農業農村開発省と連絡
を取り合いながら、灌漑施設を管理している。
(情報源:電話インタビュー)
127
国名
ロシア
農道整備率・距離
食料貯蔵施設容量(総量)
(情報入手できず)
(情報得られず)
(情報入手できず)
(情報得られず)
農道は、交通省の管轄である。以前は
農業地域の道路に関する優れたプログ
ラムがあったが、予算の大半を世界銀
行から得ていたため、助成金の大幅な
削減によってほぼ中止状態となってい
る。
ペルーには国が管理する貯蔵施設はない。20
年前には国の貯蔵施設があったが、今は全て
私有化されている。
メキシコ
ペルー
チリ
(情報源:電話インタビュー)
(情報得られず)
農業インフラの管理方法
(情報源:電話インタビュー)
(情報入手できず)
・ 多くの灌漑地域では、着実により良い保守が行われて
いる。現在、殆どの灌漑システムは、灌漑用水利用者
組合あるいは農家自身によって運用・保守が行われて
おり、頭首工や運河システムの運用・保守に関する業
務のみが国家水委員会(CONAGUA)により実施され
ている。
・ 灌漑システムの管理が、灌漑用水利用者組合あるいは
農家への移転が進むにつれて CONAGA の役割が終わ
るとされる。
(http://en.wikipedia.org/wiki/Irrigation_in_Mexico)
(情報得られず)
(情報源:電話インタビュー)
政府としては、小麦のみ貯蔵庫を設けてい
る。
(情報源:電話インタビュー)
128
(情報得られず)
表 5.5
国名
海外農業投資
投資制度、投資促進/投資受入れ政策・体制等
●投資促進政策・体制
(1) Go Global 政策
中国が持つ豊富な資金を活用して、食料確保の観点から、以下のよう
な中国の大手国策企業が海外農業投資に積極的である。
・ 将来にわたる食料安全保障の確保を目的として、大規模産業界企
業が海外農業運営(穀物生産等)に進出(例:ZTE(中国の大手
通信設備企業)の農業ビジネス部門)
・ 将来にわたるエネルギー安全保障の確保を目的として、大規模産
業界企業が海外農業運営(バイオ燃料等)に進出(例:Wuhan
Kaidi(中国の大手電気メーカ)の農業ビジネス部門、CNOOC(中
国の国有石油企業)
)
中国
(出典)
・ United Nations Conference on Trade And Development,” World
Investment Report 2009: Transnational Corporations,
Agricultural Production and Development,” October 2009.
(2)Canada-China Agriculture and Food Development Exchange
Centre (CCAGR)
CCAGR は、中国の Go Global 政策に基づき、中国のカナダの農業へ
の投資を加速し、中国とカナダ間での農業と食料開発に関する共同事
業や研究を強化することを狙いとして設立された。この一環として、
両国間で農業研究、ビジネス及び国・都市に関するデータベースが開
発されており、カナダの農業対する中国投資家を刺激し、引きつける
機会を与えるものとなっている。
(http://www.ccagr.com/content/view/19/81/)
●資受入れ政策・体制
中国では、経済戦略の観点から、中華人民共和国国家友展和改革委員
129
投資事例(投資対象国は APEC 内を対象)
・ ロシア:??が、米、大豆、野菜栽培用の農地(8 万 ha)を取得。
(注
1)
・ フィリピン:2007 年に、フィリピン政府が、Fuhua Co.(農業科学技
術・開発に関する中国の国策企業)と食料・バイオ燃料用作物栽培の
ための農地(124 万 ha)提供の計画を発表(結局、計画は白紙)
。
(注
2)
(注1)出典:北林寿信、
“開発途上国を中心舞台に過熱する農地投資”
、農業と
経済(食は誰のものか)
、2010 年 4 月)
(注2)出典:Shepard Daniel with Anuradha Mittal, ” (Mis)investment in
Agriculture: The Role of the Internati onal Fi nance Corporati on In
Global Land Grabs,” The Oakland Institute, 2010.
国名
投資制度、投資促進/投資受入れ政策・体制等
会(National Development and Reform Commission: NDRC)が中
国への投資(農業を含む)に関する規制等の分析に関与している。
(出典)
・ http://en.ndrc.gov.cn/
・ http://en.wikipedia.org/wiki/National_Development_and_Refor
m_Commission
(情報得られず)
韓国
チャイニー
ズ・タイペイ
●投資政策等
・ チャイニーズ・タイペイには、アフリカ、中米、東南アジアの国々
への技術移転政策がある。
・ 特に中国本土は、チャイニーズ・タイペイの農家を誘致すること
により、チャイニーズ・タイペイから中国本土への農業技術の移
転を図ろうとしている。
●投資受け入れ政策・体制
海外からの支援は非常に微々たるもので、例えば世界銀行からも支援
130
投資事例(投資対象国は APEC 内を対象)
・ フィリピン:韓国の政府基金支援飼料企業が、トウモロコシ栽培のた
めの農地(9.5 万 ha)を取得。
(注 1)
・ ロシア:Khorol Zerno LLC(韓国の農業管理企業)が、トウモロコ
シ、大豆栽培用の農地(1 万 ha)を取得。
(注 1)
・ ロシア:Hyundai Heavy Industries(韓国の重工業企業)が、2009
年に安定した食料確保のための農地(10,000 ha)取得計画を発表。
(注 2)
・ インドネシア:2008 年に、PT Agro Enerpia(韓国系のインドネシ
ア企業)が、20 億ドルでトウモロコシ栽培用の農地(1 万 ha)を取
得。
(注 2)
(注1) 出典:北林寿信、
“開発途上国を中心舞台に過熱する農地投資”
、
農業と経済(食は誰のものか)
、2010 年 4 月)
)
(注2) 出 典 : Shepard Daniel with Anuradha Mittal, ”
(Mis)investment in Agriculture: The Role of the Internati onal
Fi nance Corporati on In Global Land Grabs,” The Oakland
Institute, 2010.
以下は、ランド・グラビングに対するチャイニーズ・タイペイ専門家の
意見(電話インタビュー)
。
・ チャイニーズ・タイペイにおける農業で(国内海外ともに)投資額が
非常に低い理由はおそらく土地の価格に起因する。リターンがとても
低いため、農業に投資をする動機付けがない。しかし、米の生産を減
らすための休耕田が非常に多いため、土地を必要とするハイリターン
のハイテク産業が、地元から中心レベルまで(あらゆる)政府機関の
強制措置を利用し、休閑地を取得しようと試みており、この取り組み
国名
投資制度、投資促進/投資受入れ政策・体制等
を受けていない。海外資本からの投資は非常に少ない。
(情報源:電話インタビュー)
フィリピン
インドネシア
パプアニュー
ギニア
マレーシア
・ Investment Act という投資の優先順位、条件、仕様、税制上の優
遇措置などの詳細に定められている法律はある。ODA について
は、ODA Act とよばれる法律がある。
・ 外務省傘下に ODA のすべてを扱う特別プロジェクト部署があり、
アジア開発銀行等からグラントを受けている。下はコミュニティ
ーの灌漑システム、農場から市場までの道路整備を築くことから、
上は地方政府のユニット機能の確立にまでおよんで、インフラに
おけるこれらすべての設備を管理、維持できるように(投資を利
用)している。
(情報源:電話インタビュー)
● 投資受入れ政策・体制
2010 年 7 月、インドネシア政府は、米のような主要農産のプランテ
ーション・ビジネスにおいて、外国人が最高で 49%を所有することを
認める政策を発表。
(http://www.alertnet.org/thenews/newsdesk/JAK352362.htm)
(情報得られず)
■ 投資制度
Gulamerah Fund と呼ばれる、直接、熱帯食料生産手段(現地の土地)
を獲得(利益獲得)することを目的とした、プライベート・エクイテ
ィ・ファンドがある(複数の機関投資家や個人投資家から集めた資金
を事業会社や金融機関に投資し、同時にその企業の経営に深く関与し
て「企業価値を高めた後に売却」することで高い IRR(内部収益率)
を獲得することを目的とした投資ファンド)
。
131
投資事例(投資対象国は APEC 内を対象)
は多くの農業事業者の抗議をもたらし、最近メディアの注目を集めて
いる。
・ 中国も農業分野と非農業分野において、急速な開発プロセスにおける
同様の衝突があると思う。食料安全関連の土地争奪問題のほとんど
は、日本、韓国、中国、アフリカ、南アメリカ諸国の外国直接投資(FDI)
で起こっている。FAO や国連が「責任ある農業投資(RAI)」という
報告書を有するのはこういった理由からである。
(情報得られず)
(情報得られず)
(情報得られず)
・ インドネシア:Sime Darby Bhd(農作物関連取引、農園経営、不動
産関連事業等を手掛けるマレーシア最大の企業)がヤシ油生産のため
の土地(195,856ha)を取得。
(出典: Dr. Matthias Görgen, Dr. Bettina Rudloff, Dr. Johannes
Simons, Alfons Üllenberg, Susanne Väth, and Lena Wimmer, “Foreign
Direct Investment (FDI) in Land in developing countries,” Deutsche
Gesellschaft für Technische Zusammenarbeit (GTZ) GmbH, Division
国名
投資制度、投資促進/投資受入れ政策・体制等
(出典:United Nations Conference on Trade And Development,” World
Investment Report 2009: Transnational Corporations, Agricultural
Production and Development,” October 2009.)
投資事例(投資対象国は APEC 内を対象)
45 Agriculture, Fisheries and Food, December 2009.)
■投資促進政策
海外直接投資促進指示の元で農業投資が行われている。食料オペレー
ションには助成金を出したりなどがある。それらの促進体制は、地元
を対象にしたものや、海外資本を対象にしたものもある。海外資本が
対象の場合は、地元の参画が条件になっているものもある。
(情報源:電話インタビュー)
■投資受入れ政策
マレーシアは開放経済(または無統制経済)であるため、活用されていない土
地に、例えば中国の企業がやってきて農業プロジェクトを始めたり、作物を栽
培したり、バナナを栽培したり、家畜を育てたりすることができる。
タイ
ベトナム
(情報源:電話インタビュー)
Agricultural Research Development Agency が、海外の資金による農
業研究プロジェクトを管理。
(http://www.arda.or.th/en/main/index.php)
●投資政策等
・ ベトナム政府には、農業分野を含め、外国投資を増加させるため
の非常にオープンな政策がある。
・ ベトナム政府には、計画投資省があり、その中で、外国投資庁は、
計画投資大臣に対し、対ベトナム外国直接投資及び海外直接投資
(以下で、共同で外国投資と海外投資という)の国家管理機能を
補佐する。外国投資庁は、法人資格を有し、個別の印鑑及び 2 級
の口座を所有している。事業経費は、国家予算から提供され、計
画投資省の年次予算の中に盛り込まれている。
( http://fia.mpi.gov.vn/Default.aspx?ctl=Article&MenuID=125&aI
D=133&PageSize=10&Page=0)
132
(情報得られず)
以下は、海外投資受入れ事例。
・ ハンクアン水利ポンプの整備:2.470 ヘクタール の農地に対する水
利施設の整備、250 万米ドル、無償援助及び国内対応資本)
、バック
ニン
・ 高品質茶の栽培 :1.000 ヘクタール 、100%外国資本、経営協力契
約または合弁、バッカン
・ クリーン野菜の栽培・輸出 :400 万米ドル、合弁、ハノイ
・ クリーン野菜の栽培:30 ヘクタール、80 万米ドル、国内資本・合弁・
100%外国資本、タイビン
(http://fia.mpi.gov.vn/Default.aspx?ctl=Article&MenuID=125&aID=1
国名
投資事例(投資対象国は APEC 内を対象)
33&PageSize=10&Page=0)
投資制度、投資促進/投資受入れ政策・体制等
● 投資受入れ政策・体制
2006 年 9 月に、2006 年~2010 年期における、投資特別優遇分野リス
トが発表され、農林業及び畜産業については、以下等の案件が投資特
別優遇の対象とすることが決定された。
案件名
植林及び木材加工案件
場所
Hoa Binh.
原料の植林, 合板,
MDF 板の製造工場,
製紙工場, 輸出木材工
場の建設
Bac Giang,
Ha
Tinh,
Quang
Binh, 条 件
付き地域
条件付き地
域
輸出向けのコーヒー,
胡椒, カシューナッ
ツ, お茶の工場の建設
高品質の植物, 動物の
品種の生産;大規模の
養殖, 農産物の経済的
価値を高める先進的な
技術による加工地域の
構築案件
バイオテクノロジー研
究開発センターの建設
条件付き地
域
Da Nang
仕様
面積 10 万ヘクタール, 予
想投資資本総額 9 千万米ド
ル
国内及び輸出市場に製品を
提供する。投資資本総額は,
実際の需要に応じて投資家
により決定。
投資形態
合弁, 100%
外資
輸出用のお茶, コーヒー,
カシューナッツの品質及び
付加価値の向上。
経済的に高い価値のある植
物, 動物の品種改良, 生産
の研究:植物, 動物の品種
の養殖及び農産物加工の技
術を向上する。
合弁, 100%
外資
バイオテクノロジー研究開
発センターを設ける。
合 弁 , 100%
外資
合弁, 100%
外資
合 弁 , 100%
外資
( http://fia.mpi.gov.vn/Default.aspx?ctl=Article&MenuID=125&aI
D=133&PageSize=10&Page=0)
以下は、利用されている投資制度の例。
ロシア
メキシコ
・ ロシアの投資銀行(Renaissance Capital)による農業分野のプラ
イベート・エクイティ・ファンド
(出典:United Nations Conference on Trade And Development,”
World Investment Report 2009: Transnational Corporations,
Agricultural Production and Development,” October 2009.)
● 投資受入れ政策・体制
メキシコにおける厳しい土地保有制度(保有可能な土地の大きさが限
133
(情報得られず)
国名
ペルー
投資制度、投資促進/投資受入れ政策・体制等
定されること、外国人が農地を所有することが禁止されていること
等)のため、国外からの農業生産に関する投資は非常に小さい。
(http://www.mexicolaw.com/Agriculture.htm)
●投資制度等
ペルーでは、土地や農業プロジェクトへの投資を含む海外直接投資を
促進する機関として「Proinversion(投資促進)
」がある。
投資事例(投資対象国は APEC 内を対象)
(情報得られず)
●投資受入れ政策・体制
・ 国は土地を海外からの投資家に売却し、法的安定性を保証するこ
とができる。
「Proinversion」は、経済的利益条件と環境保護対策
のもと、国家開発計画にしたがって農業への海外投資を促すもの
である。
チリ
(情報源:電話インタビュー)
●投資政策等
チリには、農業部門だけではなく、海外投資一般に関する法規則等が
ある。
● 投資受入れ政策・体制
政府が海外からの投資を保護する、税優遇措置を与える等の奨励策が
とられている。
(情報源:電話インタビュー)
米国
以下は、海外投資受入れの動向事例。
・ ペルーでは 1969 年農地改革が行なわれ、1993 年まで土地市場が閉
ざされてされていた。生産者はほぼ皆小規模な農家であった。1993
年に売買が再開されてからは、中規模投資者が新しく灌漑された土地
あるいは既存の小規模な農地を合わせて中規模地とし、これを売買す
るようになった。サトウキビ生産以外のもっとも大きな土地で
10,000 ヘクタール程度である。取引される農地はそれほど大規模な
ものではなく、この傾向は非常に最近のことである。
・ ペルーで世界銀行が定義するような土地争奪現象がまだ見られない。
これは、ペルーの土地所有状況の特徴である「原子化」
(土地の所有
権が小規模)に起因する。
「原子化」によって土地の集約ができず、
また共有地所有権および先住民族地も土地の集約を妨げている。
(情報源:電話インタビュー)
・ フィリピン:米国政府基金支援飼料企業が、バイオ燃料用ココナッ
ツ・ヒマワリ・ヤトロファ栽培の農地(11 万 ha)を取得。
(注 1)
・ 金融企業による企業の農業への投資支援(例:Goldman Sachs) ・ 中国:Goldman Sachs が家禽・養豚場に投資(4.5~5 億ドル)
。
(注
以下は、利用されている投資制度の例。
134
国名
投資事例(投資対象国は APEC 内を対象)
投資制度、投資促進/投資受入れ政策・体制等
・ 土地投資ファンド(例:Jarch Capital)
2)
(出典:United Nations Conference on Trade And Development,”
World Investment Report 2009: Transnational Corporations,
Agricultural Production and Development,” October 2009.)
カナダ
オーストラリ
ア
● 投資受入れ政策・体制
(1) Canada-China Agriculture and Food Development Exchange
Centre (CCAGR)
CCAGR は、中国の Go Global 政策に基づき、中国のカナダの農業へ
の投資を加速し、中国とカナダ間での農業と食料開発に関する共同事
業や研究を強化することを狙いとして設立された。この一環として、
両国間で農業研究、ビジネス及び国・都市に関するデータベースが開
発されており、カナダの農業対する中国投資家を刺激し、引きつける
機会を与えるものとなっている。
(http://www.ccagr.com/content/view/19/81/)
● 投資促進政策・体制
オーストラリア外務省傘下の法的権限を持つ Australian Centre for
International Agricultural Research (ACIAR) が 、 Australian
development assistance program の一環として、アジア・太平洋地域
の開発途上国に対し、対象国の優先事項に対応する特定のプロジェク
トを開発して、農業・食料に関する研究開発資金を提供し、プロジェ
クトの管理・支援を行っている。
(http://aciar.gov.au/aboutus)
● 投資受入れ政策・体制
国家安全保障の観点から、外国による農地等の土地所有を積極的には
認めていない。
135
(注1) 出典:北林寿信、
“開発途上国を中心舞台に過熱する農地投資”
、
農業と経済(食は誰のものか)
、2010 年 4 月)
(注2) 出 典 : Dr. Matthias Görgen, Dr. Bettina Rudloff, Dr.
Johannes Simons, Alfons Üllenberg, Susanne Väth, and Lena
Wimmer, “Foreign Direct Investment (FDI) in Land in
developing countries,” Deutsche Gesellschaft für Technische
Zusammenarbeit (GTZ) GmbH, Division 45 Agriculture,
Fisheries and Food, December 2009.)
(情報得られず)
以下は、2009~2010 年度において、ACIAR により実施されている農業
R&D 投資案件の例。
・ ベトナム:
「農産物・畜産物の市場競争力の確保、バイオ・セキュリ
ティ・気候変動に強い農業」
、
「付加価値の高い水産養殖産業の開発」
、
「付加価値の高いプランテーション林業」、「利益性のある持続可能
な農業のための最適な資源管理」等の枠組みで、数万~数百万 AUD
(オーストラリア・ドル)規模のプロジェクトを多数実施中。
・ インドネシア:「農業ビジネス開発を補強するための政策の向上」、
「家畜生産とバイオ・セキュリティ」
、
「競争力のある園芸農業ビジネ
スの開発を補強するための研究」、「利益の高い小規模の水産養殖シ
ステム」、
「漁業の持続可能な利用と管理及び森林資源の収益性の高
国名
ニュージーラ
ンド
投資事例(投資対象国は APEC 内を対象)
い活用」等の枠組みで、数万~数百万 AUD(オーストラリア・ドル)
規模のプロジェクトを多数実施中。
・ タイ:
「タイ北東地域の天水型の米・家畜システムの信頼性向上」
、
「タ
イのラオス支援を含むプロジェクト」等の枠組みで、数万~数百万
AUD(オーストラリア・ドル)規模のプロジェクトを多数実施中。
投資制度、投資促進/投資受入れ政策・体制等
( 出 典:「 ACIAR Country profile 2009-10 – Vietnam 」、「 ACIAR
Country profile 2009-10 –Indonesia 」、「 ACIAR Country profile
2009-10 –Cambodia, Lao PDR, Thailand」
)
(情報得られず)
(情報得られず)
136
表 5.6 在庫・備蓄
国名
食料備蓄制度
あり。
中国
(情報源:電話インタビュー)
あり。
韓国
チャイニーズ・タイ
ペイ
政府が国内で生産された米を保証価格
で買い上げる、米購入プログラム (Rice
Purchase Program) がある。
(情報源:電話インタビュー)
フィリピン
災害の起こりやすい地域への緊急対応
や異常気象における米価格の安定化の
ために備蓄(世界で最大の米輸入国)
。
緊急の場合は、備蓄制度とは関係ない
が、備蓄制度の配給(distribution)と
いうのがある。緊急時には、社会福祉開
発 省 (Department of Social Welfare
and Development) が対処する。
インドネシア
備蓄品目・数量
政府として、国内で消費する年間の穀物の量(約 500 万トン)の
40%の備蓄を維持。
(情報源:電話インタビュー)
あり。
(出典:Bloomberg Business Week, “China Grain Stockpiling to
Ensure Food Security, Sinograin Says,” March 8, 2010.)
備蓄している食料は米のみ。毎年政府が米の買い上げを行っている
(その買い上げ価格と量はその年によって変わる)
。
(情報源:電話インタビュー)
・ 米のみを備蓄。
・ 米購入プログラムにより毎年 25 万トン、輸入した米が 9 万 4
千トンあり、約 35 万トンを常に備蓄。これは国内の 3 ヶ月分
の米消費量に相当する。
(APEC のスタンダードは 2 ヶ月。
)
チ
ャイニーズ・タイペイでは常食が米のみなので多めの備蓄とな
っている。
(情報源:電話インタビュー)
米の不安定状態をなくすため、ラニーニャ現象などによる大災害に
備えて、2010 年 7 月現在、米を 200 万トン備蓄(国家として年間
必要な米の総量の 56%に相当)
。
( http://www.philstar.com/Article.aspx?articleId=587923&publi
cationSubCategoryId=66)
現在、ロジスティクス局(Bureau of Logistics)では 180 万トン
の米を備蓄している。26 の地域にある各管理事務所が、さらにそ
137
備考
国名
食料備蓄制度
(情報源:電話インタビュー)
備蓄品目・数量
の下の小地域事務所と備蓄倉庫を管理している。
備考
(情報源:電話インタビュー)
パ プ ア ニ ュー ギ ニ
ア
パプアニューギニアには、緊急時等の備
えとしての食料貯蔵システムがなく、食
料備蓄システムというものが存在しな
い。
マレーシア
(情報源:電話インタビュー)
あり。
タイ
ベトナム
ロシア
メキシコ
-
・ 現在、米に関してのみ、常時 6 週間分の備蓄がある。これに加
えて流通在庫などがあるので、現実的にはそれ以上の備蓄があ
ることになる。また近年の食糧危機への懸念が増大しているこ
とから、地域的な備蓄も行われている傾向にある。
(注1)
・ 10th Malaysia Plan(2011~2015 年) で、45 日分の食料備
蓄の維持を目標とする計画を発表(米の場合、292,000 トンの
備蓄を維持する計画)
。
(注2)
(注1)電話インタビューによる。
(注2)出典:Bloomberg Business Week, “Malaysia Targets
45-Day Rice Stockpile, Food Security (Update1),” June
10, 2010.
(情報得られず)
(情報得られず)
ベトナムの米農家の保護のため、米市場 ベトナム政府は、2010 年 7 月に、100 万トンの米の備蓄計画を発
を維持することを目的として米を備蓄。 表(7 月~11 月の期間に米を買い上げ)
。
( http://www.earthtimes.org/articles/n
ews/332547,stockpile-million-tons-rice
.html)
(情報入手できず)
あり。
( http://www.earthtimes.org/articles/news/332547,stockpile-mil
lion-tons-rice.html)
(情報入手できず)
農務省の一環として政策もあり、毎年統計を出しているとのこと
(ただし、具体的な情報は得られず)
。
(情報源:電話インタビュー)
(情報源:電話インタビュー)
138
2008 年における食料価格の
高騰を受けて、自国の食料
安全保障策の検討を開始。
( 出 典 : Bloomberg
Business Week, “Malaysia
Targets
45-Day
Rice
Stockpile, Food Security
(Update1),”
June
10,
2010.)
国名
ペルー
チリ
米国
カナダ
オーストラリア
ニュージーランド
食料備蓄制度
食料備蓄を担当する機関は「Programa
Nacional para Apoyo Alimentario(栄養
支援のための国家プログラム;
PRONAA)」であり、社会プログラムに
対する食料の配給を行っている。
備蓄品目・数量
(情報得られず)
(情報源:電話インタビュー)
備蓄システムはない。全ての食糧は民間企業のために生産されている。輸入についても同じである。ただし、
政府系の組織で Judge of Emergency というものがあり、非常時に食料を買い上げるための予算を確保して
いる。あくまでも民間企業から購入という形になるが、国内での買い上げでも輸入でも、迅速に食料購入が
できる仕組みとなっている。
(情報源:電話インタビュー)
米国の世帯のマイノリティは、収入が少ないこと等のために、適切な食料へのアクセスが制限されている。
このため、米国の食料安全保障政策の中心は、いかに、マイノリティを含む低所得者に対し、栄養のある食
料を提供することにある。米国は、余剰農作物が多いため、これを有効利用するために、フードスタンプ法
(Food Stamp Act of 1964)
(2008 年に食料・栄養法(Food and Nutrition Act of 2008)へと改称)を制定
し、低所得者食料支援プロラムを多数実行している。このため、米国には、食料備蓄制度そのものは無いが、
少なくとも、農務省が、低所得者への食料支援を維持するために、余剰食料のストックが大きく減少した場
合には、直接農務省が食料を購入する制度がある。この制度は、TEFAP (The Emergency Food Assistance
Program)と呼ぶ。TEFAP は、1981 年の一時的緊急食料支援計画(Temporary Emergency Food Assistance
Program)としてスタートした。当初、この計画は、貧困者への食料を支援する一方で、連邦の食料在庫と
貯蔵コストの削減を支援するものであったが、1988 年までに、いくつかの種類の余剰食料のストックが枯渇
した。このため、1988 年の飢餓防護法により、特に TEFAP 用に日常食料の購入のための資金獲得の権限が
連邦政府に与えられた。
(情報源:弊社の知見)
カナダにおいては、食料備蓄制度自体は存在しない。
オーストラリアにおいては、食料備蓄制度自体は存在しない。
ニュージーランドにおいては、食料備蓄制度自体は存在しない。
139
備考
表 5.7 有機農業への取り組み
国名
中国
有機農業への取り組みの有無と位置づけ
国として、環境に優しい農業の一つとして
取り組んでいる。
(情報源:電話インタビュー)
国として、環境に優しい農業の一つとして
取り組んでいる。
韓国
チャ イニー
ズ・タイペイ
(情報源:電話インタビュー)
国として、持続可能性の一環として取り組
んでいる。
(情報源:電話インタビュー)
フィリピン
国として、持続可能性の一環として取り組
んでいる。
(情報源:電話インタビュー)
有機農業への取り組みの状況
・ 政府としては AQSIQ (General Administration of Quality Supervision, Inspection and
Quarantine) が有機農業の認証プログラムなどを統括しており、中国全土において、有機農業
の基準の遵守について監督している(独自の認証管理システムを持っている)
。しかし、有機農
業自体を支援するようなプログラムを行っているわけではない。
・ 持続可能性については、政府としての取り組みよりも各省の取り組みのほうが顕著である。
(情報源:電話インタビュー)
・ 環境に優しい農業として、有機栽培、無農薬栽培、低農薬栽培の 3 種類があり、環境に優しい農
業には政府が補助金を給付している。
・ 有機農業で栽培された作物の収穫量は、2002 年の 6000 トンから 2008 年の 10 万 7000 トンと
大きく増加している。
(情報源:電話インタビュー)
・ 認定制度、トレーサビリティーシステムを用いている。有機食品にはラベルを付ける、化学肥料
をどのようにして減らせるかなど、化学薬品への依存率を軽減するようにしている。また、有機
農薬や有機肥料への助成金の支給、健康食品の推進などが挙げられる。
・ 現実として、チャイニーズ・タイペイの地理的、環境的な観点から見ると、100%の有機農業は
ほぼ不可能に近い。そのため、70%から 80%の有機栽培を目指している。
(情報源:電話インタビュー)
・ 農業の持続可能性は、フィリピン政府の中期フィリピン開発計画 MTPDP(Medium Term
Philippine Development Plan)のフレームワークとなっている。
・ 有機農業に関しては、2010 年 4 月に、
「2010 年有機農業法」
”Organic Agriculture Act of 2010”
が制定された(Republic Act 100681)
。本法は、国レベルの総合的農業プログラムを確立するこ
とにある。そのプログラムは、農業事業者および消費者への教育を通して、また地方政府、組織、
NGO その他のステークホルダーの協力を拡大することによって、有機農業メソッドを商業化、
開拓することを目的とする(この法の実施等については、まだ完全であると言えない)
。
・ 有機であるもの、また有機栽培への動きが大きくなってきたのは最近のことであり、例えばコー
ヒー等は有機商品であればよい、という考えは 10 年前にはなかった。
140
国名
有機農業への取り組みの有無と位置づけ
国として、環境に優しい農業の一つとして
取り組んでいる。
インドネシア
(情報源:電話インタビュー)
有機農業への取り組みの状況
(情報源:電話インタビュー)
・ 有機農業は、農務省管轄下における優先計画の一つである。そのほとんどが、園芸用の穀物や米
対象である。
(民間企業製造の)非有機肥料や殺虫剤使用の影響と限界を考慮し、政府は有機肥
料と植物性殺虫剤の使用を奨励する。
・ 最近では、非有機肥料の高価格化に伴い、政府は非有機肥料から有機肥料へと一部助成金使用を
切り替えている。有機肥料の開発が奨励されている。
(情報源:電話インタビュー)
パプアニュー
ギニア
マレーシア
取り組んでいない。
-
(情報源:電話インタビュー)
取り組んでいる。
(情報源:電話インタビュー)
タイ
国として、持続可能性の一環として取り組
んでいる。
(情報源:電話インタビュー)
・ 政府が統括している有機農作物の認定プログラムがある。特に野菜などの短期間で収穫できる作
物のためのプログラムである。
・ 環境・食料安全保障などの観点からの、有機農業促進政策はある。ただし、大部分は、政府によ
って政策を用いて促進されているというよりも、市民社会によって実行されている。一般的な消
費者による、食料生産における持続可能性、食の安全、化学薬品の依存の軽減、などを市民が求
めている。
(情報源:電話インタビュー)
・ タイでは有機農業は重要視されている。National Bureau of Agricultural Commodity & Food
Standards が、有機農業の認定を専門に行なっており、認定制度をより活用してもらえるように
普及に努めている。認定基準も国際的なものを採用している。2007 年 10 月末の時点で、6000
件の農家が認定を受けている。
(注 1)
・ 2008 年に、タイとしてはじめての国家有機農業計画(Think Organic, Think Thailand)を発表。
(注 2)
・ National Innovation Agency (NIA)が、いかに有機農家に利益を与えるかについて実証する役割
を担っており、2008 年に、有機農業に関連する 25 の新規投資プロジェクト(70 万ドルの投資
から 610 万ドルの価値を生む)を立ち上げた(注 2)
。
(注 1)電話インタビューによる。
(注 2)
http://www.the-scientist.com/templates/trackable/display/supplementarticle.jsp?name=thailand
&id=57312)
141
国名
有機農業への取り組みの有無と位置づけ
国として、取り組んでいる。
有機農業への取り組みの状況
政府に認められている有機[食品]会社が数社ある。
ロシア
(情報源:電話インタビュー)
(情報入手できず)
国として取り組んでいる。
メキシコ
(情報源:電話インタビュー)
(情報源:電話インタビュー)
(情報入手できず)
・ 国としても有機農業生産を高めるための政策を掲げている。
・ 議会でもイニシアティブを取っており、また農務省にも有機農業を支援するプログラムがある。
ただし、全ての食料ではなく、需要が高いものに限られる。
ベトナム
ペルー
国として取り組んでいる。
(情報源:電話インタビュー)
チリ
国として取り組んでいる。
(情報源:電話インタビュー)
(情報源:電話インタビュー)
・ 有機農業に関する法令があり、補助金等を扱っている。
・ 有機農業は近年成長してきている。ペルーには有機農業生産者からなる重要な協会があり、伝統
的部門でも近代的部門でも有機農業は成長の大きな分野である。ペルーは多くの有機バナナをは
じめ、コーヒー輸出量の 10%が有機コーヒーを輸出している。
・ より伝統的な部門では、農業のかなりの部分が標高の高い地域で行なわれており、そこでは生産
が貧しいため化学物質を使用せず、標高のために芋類以外の栽培ができないことから、ほぼ完全
に有機農業となっている。したがって近代的な有機農業と自然に有機となっている農業がある。
前者は現在生産が伸びている部門で、後者は貧しい生産者によるものである。前者については広
範囲で有機農業が導入され、生産者運動がみられ、レストランに対して有機農産物に関する働き
かけを行なうなど、ガストロノミー(美食学)についての試みも行なわれている。
(情報源:電話インタビュー)
・ 有機認証制度がある。国によるサステイナビリティ政策があり、自然資源の保護と生態系の回復
という二本柱からなる。前者には農業も含まれ、化学物質に関する規則や補助金の設定などが該
当する。後者は国際的に、また民間企業からも資金援助を受けている。
・ 政府の機能は、規則を確立することによって有機農家が自身の生産物を従来の農業による生産物
から差別化できるようにし、経済的基礎を提供することである。しかし、直接的な支援を行なう
ものではなく、あくまでも枠組みと規則を提供するものである。
(情報源:電話インタビュー)
142
表 5.8 食料自給率
国名
自給率の概念(日本との違い)
(情報得られず)
計算方法
自給率とその変遷(各国公表値)
(カロリーべース、重量ベース、その他)
右記の自給率は、重量ベースで計算。
以下は、中国の Center for Chinese Agricultural Policy の
局長・研究者による公式情報(International Centre for
(出典:Jinxia Wang, Jikun Huang and Trade and Sustainable Development (ICTSD) と
Scott Rozelle, “Climate Change and International Food & Agricultural Trade Policy Council
China’s
Agricultural
Sector:
An (IPC)への状況報告書)
。
Overview of Impacts, Adaptation and
Mitigation,” International Centre for ■米
Trade and Sustainable Development ・2006 年:101%(2006 年)
(ICTSD), May 2010.)
■小麦
・2006 年:100%(2006 年)
中国
■トウモロコシ
・2006 年:104%(2006 年)
FAO と同様の定義。
(情報源:電話インタビュー)
韓国
(出典:Jinxia Wang, Jikun Huang and Scott Rozelle,
“Climate Change and China’s Agricultural Sector: An
Overview of Impacts, Adaptation and Mitigation,”
International Centre for Trade and Sustainable
Development (ICTSD), May 2010.)
・ 一般的に米、小麦、牛肉など一品目ご ■穀物
との自給率を重量ベースで計算(穀類 ・ 1980 年:80.5%(注 1、2)
の総消費量と輸入量を使って計算)
。 ・ 1990 年:43.1%(注 1、2)
・ 補足的な測定法として、日本と同様、 ・ 2000 年:29.7%(注 1、2)
カロリーベースの自給率も使ってい ・ 2004 年:26.8%(注 2)
る。
・ 2008 年:25.2%(注 1、2)
(情報源:電話インタビュー)
143
注 1:電話インタビューによる。
注 2 : Ministry for Food, Agriculture, Forestry and
Fisheries, “Korean Agriculture 2006(プレゼン資料),”
国名
チャイニ
ーズ・タイ
ペイ
自給率の概念(日本との違い)
計算方法
(カロリーべース、重量ベース、その他)
FAO と同様の定義。
カロリーベース。
(情報源:電話インタビュー)
(情報源:電話インタビュー)
自給率とその変遷(各国公表値)
April 2006.
■ チャイニーズ・タイペイの食料自給率(変遷)
以下の表は、行政院農業委員会資料による。
(http://www.coa.gov.tw/view.php?catid=20246)
食料品目(注)
穀物(全体)
(米)
(小麦)
芋類(全体)
2002
29.3
109.6
0.0
25.2
2004
23.7
88.1
0.0
20.7
2006
24.4
95.9
0.0
25.2
2008
24.0
89.5
0.0
24.0
砂糖・蜂蜜
野菜(全体)
果物(全体)
肉(全体)
魚介類(全体)
食料全体平均
34.0
92.7
87.3
89.9
164.0
35.8
20.8
91.2
87.6
86.3
171.2
32.3
11.3
87.3
86.8
85.5
196.4
31.9
12.2
86.7
85.3
85.3
174.5
32.4
(注)食料品目には、以上のほか、豆類・油脂類、牛乳、卵を含
む。
フィリピ
ン
インドネ
シア
パプアニ
ューギニ
ア
・ フィリピンでは、自給率(Food self-sufficiency)と食料保障(Food security)を フィリピンは、歴史的に食料を 10%程度輸入に頼っている。
国家の目的とすることにおいて論争されている。
・ 自給率と言うと、自国のコストで自給率を確立することを意味する。食料保障と言 (情報源:電話インタビュー)
えば、
(輸入を含めて)
食料を調達することを意味する。
前行政は食料保障を支持し、
現行政は自給率に向かっている。
(情報源:電話インタビュー)
(情報得られず)
(情報得られず)
(情報得られず)
・ パプアニューギニアは食料の純輸入国である。国には、農産物等を生産し、地域の
市場に供給する食品産業が無いため、米、小麦粉、肉、牛乳、乳製品、野菜及び食
用油は、今なお輸入に頼っている。
・ 国内食料生産の国家全体としての食料生産・確保(輸入+備蓄+国内生産)の割合
144
パプアニューギニア政府は、地域別の農業生産に関する正
確なデータが無い。政府としては、農業統計調査の実施を
計画しており、これができれば、食料自給率に関する正確
な情報を提供することができる。
国名
計算方法
(カロリーべース、重量ベース、その他)
(%)を、食料自給率とみなすことができる。
自給率の概念(日本との違い)
自給率とその変遷(各国公表値)
(情報源:電話インタビュー)
マレーシ
ア
(情報源:電話インタビュー)
FAO と同様の定義。
マレーシアではカロリーベースなどは使
用せず、作物ごとに自給率を計算。
(情報源:電話インタビュー)
■ 米(注1)
・ 1985 年:74%
・ 2007 年:72%
(情報源:電話インタビュー)
■野菜、魚類(注2)
野菜と魚類に関しては、輸入率と輸出率がほぼ同量なので、
100%の自給率と考えられる。この場合純輸出量で計算して
いる。
タイ
ベトナム
ロシア
メキシコ
FAO と同様の定義(と思われる)
。
カロリーベース(と思われる)
。
(注1) 出典:Tey, Y. S. (Institute of Agricultural and
Food Policy Studies, Universiti Putra Malaysia),
“Review Article Malaysia’s strategic food
security approach,” International Food Research
Journal 17, pp. 501-507, 2010.)
(注2) 電話インタビューによる。
(情報得られず)
(情報源:電話インタビュー)
(情報源:電話インタビュー)
(情報得られず)
(情報得られず)
(情報得られず)
(情報入手できず)
(情報入手できず)
(情報入手できず)
・ メキシコには、食料自給率に関して具体的な指標がない。メキシコでは、自給率に代わるものとして、2006 National Survey for Health and
Nutrition および健康指標(健康状態、体重等)や貧困指標(食糧へのアクセス等)
、発達指標といった数種の指標を組み合わせて使っている。
・ 食料自給率を言う場合、対象となる食料は、主にトウモロコシ及び豆類を指すが、栄養面で食料自給率をみた場合、
「食べ物バスケット(Food
Basket)
」という考え方がある。これは、収入とも関係し、世帯が「食べ物バスケット」を買うに十分な収入があるかどうかをみる指標(Index of
Food Poverty)である。最近のデータでは、メキシコの世帯のうち、18%が基本の「食べ物バスケット」
(トウモロコシと豆類)を購入するに十
分な収入がないことを示している。
・ なお、メキシコが食料自給を達成しようという政策、方向性、意志は、供給サイドについては全くない。このような方向性はメキシコが NAFTA
への参加を決定した段階でキャンセルされたと言える。現在国内の食糧生産によって食料自給を達成するということは、メキシコ政府にとって
まるで重要ではない。輸入の統計を見れば、メキシコがますます食料依存の傾向を強めていることがわかる。
145
国名
ペルー
チリ
自給率の概念(日本との違い)
(情報源:電話インタビュー)
・ ペルーにおける食料安全保障の概念は、
基本的に全ての個人と世帯、
特に社会の
底辺でもっとも脆弱な立場にある国民
が、
安全で栄養価の高い食料を安定的か
つ適切に入手し、
それによって飢えから
脱出できるよう確保することである。
・ ペルーでは食料安全保障について次の
4 要素を優先している。①食料供給力を
確保すること。すなわち、アンデスポテ
トといった競争力のある農産物だけで
なく、パン用小麦、料理油用豆といった
競争力のない農産物についても適正価
格で豊富に提供すること、
②ペルー国民
に対する食料への物理的および経済的
アクセスを確保すること、
③ペルーでも
もっとも脆弱な人口について食料の分
配と配送、健康の向上を確保すること、
④国民全体、
国全体について食料備蓄管
理および効率的な分配を行うこと。
・ 国内市場における食料自給率について
は、
その概念は輸入食料への依存に関係
している。食料自給を、食料の輸入なし
で国民に食料を与えることができる状
態と捉えれば、
ペルーは完全自給である
(ただし、栄養不足については別の問
題)
。
(情報源:電話インタビュー)
(情報得られず)
計算方法
(カロリーべース、重量ベース、その他)
重量ベースで計算されているが、カロリ
ーベースでは計算されていない(と思わ
れる)
。
自給率とその変遷(各国公表値)
(情報得られず)
(情報源:電話インタビュー)
チリにおける全体的な自給率(統計)データは無い。通常の統計では、部門ごと(例えば、牛肉、小麦
等)に、前年度の消費と現況の収穫量(または生産量)に基づいて計算している。
146
国名
自給率の概念(日本との違い)
計算方法
(カロリーべース、重量ベース、その他)
(情報源:電話インタビュー)
147
自給率とその変遷(各国公表値)
表 5.9 先進国への要望
国名
中国
不足している事項
望む支援
・ 中国が他国と交換プログラムをすることはある。中国が、他国がどのようにインフラを設立し、整備しているのかを勉強するための交換
プログラムなどに参加することはあるだろうが、他国が中国のインフラに支援するようなことは起こっていないと思う。
・ 道路など中国のインフラを整備するのに、中国は自国のお金を使っているはずである。
(情報源:電話インタビュー)
(韓国には、先進国として、アジアやアフリカの多数の発展途上国から数多くの支援の要請がきている。
)
韓国
チャイニーズ・タ
イペイ
(情報源:電話インタビュー)
殆どなし。
(情報源:電話インタビュー)
フィリピン
インドネシア
パプアニューギ
ニア
マレーシア
・ チャイニーズ・タイペイは国土の大きさが限られているので、農業開発にも限りがあるた
め、他国から支援を望む事項は少ない。
・ ただし、将来的には、バイオ燃料や先進技術などで日本からの支援を希望したい。その他、
地球温暖化、耐乾燥性、穀物の品種改良等への支援を求める可能性はある。
(情報源:電話インタビュー)
フィリピンからの要望として、例えば Weather monitoring system を例に挙げる。フィリピンと日本の二者会談があり、その結果、日本が
ドップラーレーダーに対して資金を出すことになるとする。二者会談(日本、JICA を通して、または韓国、KOICA)または他国間のソース
を含めた、すべての援助は、中期フィリピン開発計画に十分即していなければならず、中期投資プログラムを伴う必要がある。ODA のどん
なローンやグラントも、National Economic and Development Authority(フィリピンにおける独立の経済発展・計画策定機関)の推薦また
は承認を得なくてはならない。その承認や推薦がなければ、農業省のような特定の官庁を通して ODA は受け入れられない。
(情報源:電話インタビュー)
(情報得られず)
・ 農業に関する専門知識・能力
・ 食料市場のアクセス
・ 農産物生産技術
(情報源:電話インタビュー)
(情報得られず)
・ パプアニューギニア政府が農業セクターで望む主な支援は、キャパシティ・ビルディング
(人的資本)
、食料市場のアクセス及び農産物生産技術である。
・ 現在受けている農業技術支援は、小規模農家における米の生産性向上(JICA 支援)
、小規
模農家を対象としたココアとコーヒーの生産性向上(世銀支援)
、食料安全保障・栄養の
向上(FAO 支援)である。
(情報源:電話インタビュー)
・ 外国からの支援は長年にわたって行われてきている。日本とは非常に豊富なプログラムが行われてきた。国際協力機構 (JICA) などであ
148
国名
タイ
ベトナム
ロシア
メキシコ
ペルー
チリ
不足している事項
望む支援
る。主に稲作などにおける農業研究、灌漑インフラなどの分野である。近年は中国からの支援も増えてきた。支援は公的なものもあれば、
民間セクターによるものもあり、自由な形態を取っていると言える。しかし、マレーシアは開発途上国としての地位を失いつつあり、支
援は減ってきている傾向にあり、現在の多くの支援プロジェクトは相互に恩恵のあるプログラムになってきている。
・ 特別な合意の下では、今でも支援が行われているが。日本からは種子などの分野である。その他、発酵技術、微生物関連の技術がそれに
あたる。
(情報源:電話インタビュー)
(情報得られず)
農業インフラ、農業技術
(情報源:電話インタビュー)
(情報入手できず)
・ メキシコの農業生産能力を高めること。
・ 科学技術開発および移転を強化すること
(メキシコの食料資源(遺伝子資源)が
将来にわたって安全であることを確保す
る、つまり食料の基礎となる遺伝子の保
護を目指す)
。
(情報源:電話インタビュー)
(情報得られず)
農業技術
(情報得られず)
・ 農村地域におけるきれいな水
・ 飢餓の排除
・ 貧困の減少
・ 山地における食品補充および安全評価の開発
(情報源:電話インタビュー)
(情報入手できず)
以下は、既にメキシコが行なっている日本を含む他国との交流や協同の取組みの例である。
・ メキシコでは、より良い食料をもたらすことにより、研究成果を社会に役立てることを目
標としている。その一環として日本とメキシコで研究者の交換を行なっており、メキシコ
からの研究者は日本で研修を受けることとなっている。
・ 鳥取大学乾燥地研究センターとは、メキシコ原産のジャトロファ(Jatropha)に関する生
物燃料研究プロジェクトを行なっている。同研究の目的は、ジャトロファの生産を通じて
二酸化炭素の大気への排出を削減し経済的発展を促すことである。同プロジェクトはジャ
トロファの遺伝子に関するもので、メキシコには原産種があり、日本はこれまで世界のジ
ャトロファについて研究してきたので、互いに協力して研究を行なっている。
・ 日本との JICA を通じてのプログラムは、
メキシコが発展して一定レベルに達したことで、
援助から能力開発・交換へと変化し、問題について共に取り組むものとなってきている。
・ アジアでは、中国やベトナムとも協力関係があり、インドとも今後協力していくことが決
まっている。
(情報源:電話インタビュー)
(情報得られず)
技術支援を求めたい。例えば、すでにチリ北部の砂漠地帯では、気候の似ているイスラエルか
149
国名
不足している事項
(情報源:電話インタビュー)
望む支援
ら支援を受けている。また中央部および南部においては、ヨーロッパやアメリカからの支援を
受けている。自国が利用可能な技術を他国から導入しようと考えている。
(情報源:電話インタビュー)
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