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(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 赤鼻性座瘡または脂漏性皮膚炎を
JP 3604382 B2 2004.12.22 (57) 【 特 許 請 求 の 範 囲 】 【請求項1】 赤鼻性座瘡または脂漏性皮膚炎を治療するための皮膚科用および/または化粧用組成物で あって、下記の一般式(I)に対応し、 【化1】 10 ここに、 R1 と R2 は そ れ ぞ れ 別 個 に 下 記 を 表 わ し 、 【化2】 20 (2) JP 3604382 B2 2004.12.22 あ る い は R1 と R2 は 一 緒 に 酸 素 原 子 と の 二 重 結 合 を 形 成 し 、 ま た は 窒 素 原 子 と の 二 重 結 合 を 形 成 し て 式 = N − R4 の イ ミ ン 基 を 成 し 、 R3 は 水 素 原 子 、 水 酸 基 ま た は 5 炭 素 原 子 の ア シ ル オ キ シ 基 と し 、 R4 は 下 記 か ら 選 定 さ れ た 基 を 示 し 、 − CH 2 − ( CH 2 ) n − O − R 5 、 ま た は 【化3】 10 ここに、nは0乃至5とし、 またここに、 R5 は 水 素 原 子 、 1 乃 至 5 以 下 の 炭 素 原 子 の ア ル キ ル 基 、 ま た は 1 乃 至 5 以 下 の 炭 素 原 子 の アシル基とし、 R6 お よ び R7 は そ れ ぞ れ 別 個 に 、 水 素 原 子 ま た は 1 乃 至 5 以 下 の 炭 素 原 子 の ア ル キ ル 基 と し 、 ま た R8 は 水 素 原 子 ま た は 1 乃 至 5 以 下 の 炭 素 原 子 の ア ル キ ル 基 と す る 事 を 特 徴 と す る レ チ ノイドを少なくとも含有してなる皮膚科用および/または化粧用組成物。 【請求項2】 20 赤鼻性座瘡および/または脂漏性皮膚炎の治療用皮膚科組成物を製造するための、請求項 1 に 記 載 の 一 般 式 I に 対 応 し 、 こ の 式 に お い て R1 と R2 は 一 緒 に 酸 素 原 子 と の 二 重 結 合 を 示 すレチノイドを少なくとも含有してなる組成物。 【請求項3】 前 記 組 成 物 は 薬 理 学 的 に 許 容 さ れ る 担 体 中 に 0.01 % 乃 至 5 % の レ チ ノ イ ド を 含 有 す る 事 を 特徴とする請求項1または2に記載の組成物。 【請求項4】 前 記 組 成 物 が 0.1乃 至 1 % の レ チ ノ イ ド を 含 有 す る 事 を 特 徴 と す る 請 求 項 1 及 び 3 の い ず れかに記載の組成物。 【請求項5】 30 下記の一般式(I)に対応する請求項1に記載の少なくとも一種のレチノイドを含有し、 【化4】 ここに、 40 R1 と R2 は そ れ ぞ れ 別 個 に 下 記 を 表 わ し 、 環 状 ア セ タ ー ル を 形 成 す る 基 【化5】 あ る い は R1 と R2 は 一 緒 に 窒 素 原 子 と の 二 重 結 合 を 形 成 し て 式 = N − R4 の イ ミ ン 基 を 成 し 、 R3 は 水 素 原 子 、 水 酸 基 ま た は 5 炭 素 原 子 の ア シ ル オ キ シ 基 と し 、 R4 は 下 記 か ら 選 定 さ れ た 基 を 示 し 、 50 (3) JP 3604382 B2 2004.12.22 − CH 2 − ( CH 2 ) n − O − R 5 、 ま た は 【化6】 ここに、nは0乃至5とし、 またここに、 R5 は 水 素 原 子 、 1 乃 至 5 以 下 の 炭 素 原 子 の ア ル キ ル 基 、 ま た は 1 乃 至 5 以 下 の 炭 素 原 子 の 10 アシル基とし、 R6 お よ び R7 は そ れ ぞ れ 別 個 に 、 水 素 原 子 ま た は 1 乃 至 5 以 下 の 炭 素 原 子 の ア ル キ ル 基 と し 、 ま た R8 は 水 素 原 子 ま た は 1 乃 至 5 以 下 の 炭 素 原 子 の ア ル キ ル 基 と す る 事 を 特 徴 と す る 皮 膚 科用および/または化粧用組成物。 【請求項6】 下 記 の 式 ( II ) の グ リ セ ロ ー ル の 1 − 2 環 式 ア セ タ ー ル を 含 む 事 を 特 徴 と す る 請 求 項 5 に 記載の組成物。 【化7】 20 【請求項7】 下 記 の 式 ( III) の グ リ セ ロ ー ル の 1 ,2環 式 ア セ タ ー ル の ア セ チ ル 誘 導 体 を 含 む 事 を 特 徴 と する請求項5に記載の組成物。 【化8】 30 【請求項8】 下 記 の 式 ( IV ) の グ リ セ ロ ー ル の 1,3環 式 ア セ タ ー ル を 含 む 事 を 特 徴 と す る 請 求 項 5 に 記 載の組成物。 【化9】 40 【請求項9】 下記の式(V)に対応するアミノエタノールとイミン官能基を形成する化合物を含む事を 特徴とする請求項5に記載の組成物。 50 (4) JP 3604382 B2 2004.12.22 【化10】 【請求項10】 式 ( VI ) に 対 応 す る グ リ シ ン ア ミ ド と イ ミ ン 官 能 基 を 形 成 す る 化 合 物 を 含 む 事 を 特 徴 と す 10 る請求項5に記載の組成物。 【化11】 【請求項11】 20 前 記 組 成 物 は 薬 理 学 的 に 許 容 さ れ る 担 体 中 に 0.01 % 乃 至 5 % の 少 な く と も 一 種 の レ チ ノ イ ド を 含 有 す る 事 を 特 徴 と す る 請 求 項 5 乃 至 10の い ず れ か に 記 載 の 皮 膚 科 用 組 成 物 。 【請求項12】 乾癬、座瘡、湿疹、赤鼻性座瘡、刺激性角膜炎、脂漏性皮膚炎、先天的角質化障害を含む グ ル ー プ か ら 選 定 さ れ た 疾 患 の 治 療 に 使 用 さ れ る 請 求 項 11に 記 載 の 皮 膚 科 組 成 物 の 製 造 の た め の 請 求 項 5 乃 至 10 の い ず れ か に 記 載 の 組 成 物 。 【請求項13】 薬 理 学 的 に 許 容 さ れ る 担 体 中 に 0.01 % 乃 至 5 % の レ チ ノ イ ド を 含 有 す る 事 を 特 徴 と す る 請 求 項 5 乃 至 10 の い ず れ か に 記 載 の 口 腔 病 治 療 用 組 成 物 。 【請求項14】 30 薬 理 学 的 に 許 容 さ れ る 担 体 中 に 0.1% 乃 至 1 % の レ チ ノ イ ド を 含 有 す る 事 を 特 徴 と す る 請 求 項 5 乃 至 10 の い ず れ か に 記 載 の 口 腔 病 治 療 用 組 成 物 。 【請求項15】 化 粧 用 に 許 容 さ れ る 担 体 中 に 0.01 % 乃 至 5 % の 式 I の レ チ ノ イ ド を 含 有 す る 事 を 特 徴 と す る 請 求 項 5 乃 至 10の い ず れ か に 記 載 の 化 粧 用 組 成 物 。 【請求項16】 化 粧 用 に 許 容 さ れ る 担 体 中 に 0.1% 乃 至 1 % の 式 I の レ チ ノ イ ド を 含 有 す る 事 を 特 徴 と す る 請 求 項 5 乃 至 10の い ず れ か に 記 載 の 化 粧 用 組 成 物 。 【請求項17】 特 に 老 化 お よ び / ま た は 脂 漏 に よ る 障 害 の 治 療 に 有 用 な 請 求 項 15ま た は 16に よ る 組 成 物 の 40 製 造 の た め の 請 求 項 5 乃 至 10 の い ず れ か に 記 載 の 式 I の 組 成 物 。 【発明の詳細な説明】 本発明は特に皮膚科用および/または化粧用に局所使用される組成物、およびこのような 組成物の製造のために新規レチノイドを使用する方法に関するものである。また本発明は 新規なレチノイド誘導体グループに関するものである。 実 際 に 、 レ チ ノ ー ル ま た は ( ROL) は 視 覚 、 細 胞 の 再 生 、 成 長 お よ び 分 化 に と っ て 本 質 的 で あ る が 、 こ れ に 対 し て レ チ ノ イ ン 酸 ( ま た は AR) は 細 胞 成 長 の 調 整 お よ び 制 御 ま た は 分 化 に の み 関 連 す る 事 は 一 般 に 認 め ら れ て い る ( G.ウ オ ル フ 、 Physio.Rev.64,p.873 − 9 37;1 984) 。 レ チ ノ イ ン 酸 は 血 漿 中 に レ チ ノ ー ル の 約 1/150の 割 合 で 存 在 す る ( Dleehefrほ か 、 J.Lipid 50 (5) JP 3604382 B2 2004.12.22 .Res.,23,p.1362 − 1367,1982) 。 さらにレチノイン酸は生体中において急速に除去されるが、これはこの酸がその生理学的 作用部位の近くでレチノールから産生される事を示している。レチノイン酸は2段階の酵 素酸化によって産生される。このプロセスにおいて、レチノールがレチナールに酸化され 、 次 に こ の レ チ ナ ー ル が レ チ ノ イ ン 酸 に 酸 化 さ れ る 。 こ の 2 段 階 プ ロ セ ス は 補 助 因 子 NAD を必要とする。最近の研究は、ラットの腎臓および肝臓あるいはマウスの皮膚など、ある 種の齧歯類の組織の中にレチノールをレチノイン酸に変換する事のできる酵素系の存在を 実 証 し た ( M.J. コ ノ ー ル ほ か 、 Biochem J.,244,P.489 − 492,1987 ) 。 しかしこれらの研究は使用される酵素系の基質に対する特異性の問題を明かにしていない 。すなわちこれらの組織は高率のアルコール−およびアルデヒド−デヒドロゲナーゼを含 10 有し、これがレチノールおよびレチナールを含む多数のアルコールおよびアルデヒドを非 特異的に酸化する事ができる。 ま た こ れ ら の 研 究 は 、 レ チ ノ イ ド の 自 然 代 謝 に お い て ROL→ AR酸 化 に 関 連 す る デ ヒ ド ロ ゲ ナーゼがアルコールの代謝に関連するデヒドロゲナーゼと相違するか否かを示していない 。 表皮細胞の中で利用されるレチノイン酸の起源も現在討論中である。 血漿中のレチノイン酸が起源であるかもしれない。しかし、レチノイン酸は急速に代謝し 除去されるので、レチノイン酸がその作用部位においてレチノールから酵素的に産生され る可能性がある。ともかく、先行技術の研究は関連の酵素系の正確な性質を明かにする事 ができなかった。 20 レチノイン酸とのその類似体の細胞中の作用メカニズムは、レチノイン酸によって誘導さ れるゲノム転写因子として作用するチロキソ−ステロイドホルモンの受容体のスーパファ ミ リ ー に 属 す る 核 受 容 体 を 介 入 さ せ る ( A.Krustほ か 、 P roc.Natl.,Acad.Sci.,U.S.A.,86, 5310 − 5314,1989) 。 し か し 、 チ ロ キ ソ − ス テ ロ イ ド ホ ル モ ン の 作 用 モ ー ド と レ チ ノ イ ン 酸の作用モードとの間のアナロジーが全部ではない。実際に、組織中のレチノイン酸は細 胞 内 輸 送 タ ン パ ク 質 ま た は CRABP( 細 胞 レ チ ノ イ ン 酸 結 合 タ ン パ ク 質 ) を 必 要 と し 、 こ の タンパク質はおそらくそのリガンドを細胞質から核に輸送するベクターの役割を果たす。 レチノイン酸はレチノールの一部の特異機能(細胞分化)における活性中間代謝物である 。というのも、レチノイン酸は細胞分化制御においてレチノールよりはるかに活性であり 、これは少なくとも部分的にレチノールのレチノイン酸への転化がレチノールに帰せられ 30 る活性の原因である事を示す。これが、レチノイン酸またはその類似体が治療剤として選 択された事の理由の1つである。 さ ら に ク リ ー ク ほ か ( J.Invest.Dermatol.,92,p.283 − 2 89,1989) は 、 細 胞 外 間 質 の 中 に 入れられたレチノールが培養された表皮ケラチン細胞によってレチノール−エステル(不 活 性 ) に 代 謝 さ れ た 事 を 示 し た 。 S. オ ッ ト ネ ロ ほ か ( J.Biol.Chem.,262,p.3975 − 3981,19 87 ) は 、 レ チ ノ イ ド の 標 的 細 胞 の 原 形 質 膜 が レ チ ノ ー ル を エ ス テ ル 化 し て こ れ を 不 活 性 化 し細胞膜の中に貯蔵する事のできる極度に活性の酵素系を有する事を示した。この故に、 細胞の中へのレチノールの進入はエステラーゼを経由する非常に活性の制御メカニズムに よって制限されると考える十分な根拠がある。これらの事実は、皮膚科治療剤としてのレ チノールの効果の低さを説明している。 40 従 っ て レ チ ノ イ ン 酸 は 例 え ば 特 願 EP230,498に 記 載 の よ う に 、 皮 膚 の 光 老 化 に 対 処 す る 組 成物の中に「ビタミンA酸」として使用されている。 従来から皮膚科に使用されるレチノイドは全トランス型レチノイン酸素およびその類似体 、 例 え ば 13 Z レ チ ノ イ ン 酸 、 ア シ ト レ チ ン 、 ア ロ チ ノ イ ン 酸 な ど で あ っ て 、 実 際 の 生 理学的活性を有する。しかしこれらのレチノイドは、全身的経路でも局所経路でも大きな 副作用を生じ、特に強い局所的刺激を生じる。 種 々 の 化 合 物 の 中 に 同 族 化 合 物 が 使 用 さ れ て い る 。 す な わ ち 、 EP339,905は 少 な く と も 1 つのポリペプチド因子と少なくとも1つのレチノイドとの組合わせ含む癒着組成物を記載 している。 EP71,537 は 、 ア レ ル ギ ー 障 害 お よ び 炎 症 の 治 療 の た め 、 か な ら ず リ ノ レ イ ン 酸 ま た は 等 価 50 (6) JP 3604382 B2 2004.12.22 物をビタミンA型の生成物と組合わせた薬剤組成物を記載している。 レチノイン酸またはその類似体の生合成に際して細胞中においてレチノールをレチノイン 酸に活性化する代謝を短絡するために中間生成物を使用すれば、レチノイン酸の核受容体 に対して相異なる親和性を有しまたレチノイン酸の活性と同等でない固有活性を有する分 子が得られる。 従って本発明の目的は、 下記一般式(I)の少なくとも1つのレチノイドを含み、 10 ここに、 R1 と R2 は そ れ ぞ れ 別 個 に 下 記 を 表 わ し 、 20 あ る い は R1 と R2 は 一 緒 に 酸 素 原 子 と の 二 重 結 合 を 形 成 し 、 ま た は 窒 素 原 子 と の 二 重 結 合 を 形 成 し て 式 = N − R4 の イ ミ ン 基 を 表 わ し 、 R3 は 水 素 原 子 、 水 酸 基 ま た は 5 炭 素 原 子 の ア シ ル オ キ シ 基 と し 、 R4 は 下 記 か ら 選 定 さ れ た 基 を 示 し 、 30 ここに、nは0乃至5とし、 またここに、 R5 は 水 素 原 子 、 1 乃 至 5 以 下 の 炭 素 原 子 の ア ル キ ル 基 、 ま た は 1 乃 至 5 以 下 の 炭 素 原 子 の アシル基とし、 R6 お よ び R7 は そ れ ぞ れ 別 個 に 、 水 素 原 子 ま た は 1 乃 至 5 以 下 の 炭 素 原 子 の ア ル キ ル 基 と し 、 40 ま た R8 は 水 素 原 子 ま た は 1 乃 至 5 以 下 の 炭 素 原 子 の ア ル キ ル 基 と す る 事 を 特 徴 と す る 皮 膚 科用および化粧用組成物を提供するにある。 前記式Iの化合物はレチナールのバイオ前駆体グループに属する。 レチナールおよび/またはそのバイオ前駆体は、各細胞に適した酵素系によってレチノイ ン酸に酸化されまたはレチノールに還元される事ができる。 レチナールのバイオ前駆体は、表皮細胞の細胞内レチノイド代謝酵素によって、レチノイ ン酸に酸化され、また/あるいはレチナールとそのアセタールの場合にはレチノールに変 化されうる。本発明による1つまたは複数の物質を使用する事により、天然レチノイドの 代謝に影響しまたは制御する事ができるのは、細胞がこれらの物質の滲透を阻止する膜機 構を有しないからである。さらにこれらの物質はレチノイン酸またはその類似体よりもは 50 (7) JP 3604382 B2 2004.12.22 るかに低い急性毒性を示すので、これらの物質を化粧用にも使用する事ができる。 レチナールのバイオ前駆体と表皮細胞との接触により、代謝が強く制御されるので、それ 自体薬剤として活性のレチノイン酸および/またはレチノールの生合成を生じる事ができ る。 本発明による組成物は、レチノイン酸およびその類似体のような先行技術の物質の副作用 を伴なう事なく、またレチノールの効果不足を伴なう事なく、特定の皮膚科および/また は化粧上の障害の治療に有効であろう。 実際にレチノールをレチノイン酸に変換する酵素系を細胞代謝調整の重要段階として使用 して、上流において核受容体に作用する事ができる。 従って式Iの化合物は薬剤活性を有する中間生成物とみなされる。各組織はそれぞれの酵 10 素活性に対応して、その特異的必要に従って式Iの化合物をレチノイン酸にあるいはレチ ノールに変換する事ができよう。 酸性レチノイドは核受容体を介して直接にゲノムレベルに作用する。この故に、細胞は核 受容体の比率、その異化作用またはその生使用性(膜透過性)を別として、現在まで使用 されているレチノイドの作用を識別する可能性がなく、これが副作用(口唇炎、皮膚炎な ど)を生じると思われる。 好ましいバイオ前駆体は、これに対して標的細胞が滲透バリヤを成す膜メカニズムを有し ないバイオ前駆体である。またレチナールそのものはレチノイン酸および/またはレチノ ールに代謝される事ができる。これらのバイオ前駆体の利点は、レチノイン酸および/ま たはレチノールの生合成の全体メカニズムを変更するにある。これは、追加的な薬理学的 20 制御手段を与える。 本発明によるバイオ前駆体は、一般式Iのアセタール誘導体、特に1−2または1−3位 においてグリセロールによって環化された誘導体である。 従 っ て 本 発 明 の 1 つ の ア ス ペ ク ト に よ れ ば 、 本 発 明 の 目 的 は 下 記 の 式 ( II) の グ リ セ ロ ー ルの1−2環式アセタールを含む事を特徴とする局所使用組成物である。 30 他 の ア ス ペ ク ト に よ れ ば , 本 発 明 の 目 的 は 下 記 の 式 ( III) の グ リ セ ロ ー ル の 1 − 2 環 式 アセタールのアセチル誘導体を含む事を特徴とする局所使用組成物である。 40 本 発 明 の 他 の ア ス ペ ク ト に よ れ ば 、 本 発 明 の 目 的 は 下 記 の 式 ( IV) の グ リ セ ロ ー ル の 1 − 3環式アセタールを含む事を特徴とする局所使用組成物である。 50 (8) JP 3604382 B2 2004.12.22 本 発 明 に よ る 特 に 好 ま し い 他 の 組 成 物 は 下 記 の 式 ( V ) ま た は 式 ( VI) に 対 応 す る ア ミ ノ エタノールまたはグリシンアミドとのイミンを含む。 または 10 本発明による組成物は特に皮膚科、口腔病および/または化粧用に有効である。 好 ま し く は 皮 膚 科 用 お よ び / ま た は 口 腔 病 用 の 本 発 明 に よ る 組 成 物 は 0.01 乃 至 5 重 量 % の 式(I)の少なくとも一種のレチノイドを含む。 20 好 ま し く は 、 こ の レ チ ノ イ ド は 組 成 物 中 に 0.1乃 至 1 重 量 % の 濃 度 で 存 在 す る 。 本発明の実施態様の1つによれば、式(I)のレチノイドは、乾癬、座瘡、湿疹、赤鼻性 座瘡、刺激性角膜炎、脂漏性皮膚炎、先天的多角化障害を含むグループから選定された疾 患の治療用皮膚科組成物の製造に使用される。 この点に関して、赤鼻性座瘡および脂漏性皮膚炎の治療用組成物の製造のためにはレチナ ールが特に適当である。 赤鼻性座瘡は特に顔のレベルに赤色膿疹が存在する事によって示される。脂漏性皮膚炎は 頭皮、顔および場合によっては身体の他の部分の表皮脱落を伴なう炎症を特徴とする。 これらの疾患を示す患者に対するレチナール含有組成物の施用は観察される徴候の顕著な 改善を生じる。 30 本発明による式(I)のレチノイドの他の用途は、粘膜、特に口腔粘膜の疾患の治療に有 効な口腔治療組成物の製造にある。 本発明の他のアスペクトによれば、本発明の目的は、化粧品として許容される担体の中に 0.01 乃 至 5 重 量 % 、 好 ま し く は 0.1乃 至 1 % の レ チ ノ イ ド を 含 有 す る 事 を 特 徴 と す る 化 粧 用組成物にある。 従って本発明の1つの目的は、特に老化および/または脂漏による障害の治療に有効な化 粧用組成物の製造のために、前記に定義されたような式Iの少なくとも1つの化合物を利 用するにある。 実際に、標的細胞に対するレチナールの局所使用はレチノールとそのエステルの再分布、 および細胞中のレチノイン酸の割合を著しく変更する。さらにこの再分布はその細胞に固 40 有の酵素活性に従って実施される。このような活性が組織中の同一細胞の発育段階に従っ て、あるいは細胞または組織の型に従って相違する事を出願人は発見した。さらに、細胞 は他の細胞に対する望ましくない拡散を防止するため、このようにして産生されたレチノ イン酸の劣化を管理する事ができる。 本発明の新規技術は、細胞の必要とする代謝物、例えばレチノールおよびレチノイン酸の 産生を固有の代謝機能によって管理する可能性を与えないで組織または器官にレチノイン 酸またはその類似物を規則的に散布する事を避ける。活性薬剤前駆体としての本発明によ るレチノイドの利用は、細胞それ自体にその瞬間に必要なレチノールとレチノイン酸の比 率を管理させる事ができる。 従って本発明の目的の組成物はレチノイン酸による副作用を伴なう事なく、乾癬のみなら 50 (9) JP 3604382 B2 2004.12.22 ず、レチノイン酸による治療に対応するすべての疾患、特に細胞異化に関連するすべての 疾患、例えば、皮膚から誘導された光老化または皮下前癌症状に対して有効である。 この故に、本発明の目的は、下記の一般式(I)に対応し、 10 ここに、 R1 と R2 は そ れ ぞ れ 別 個 に 下 記 を 表 わ し 、 あ る い は R1 と R2 は 一 緒 に 酸 素 原 子 と の 二 重 結 合 を 形 成 し 、 ま た は 窒 素 原 子 と の 二 重 結 合 を 形 成 し て 式 = N − R4 の イ ミ ン 基 を 成 し 、 R3 は 水 素 原 子 、 水 酸 基 ま た は 5 炭 素 原 子 の ア シ ル オ キ シ 基 と し 、 20 R4 は 下 記 か ら 選 定 さ れ た 基 を 示 し 、 30 ここに、nは0乃至5とし、 またここに、 R5 は 水 素 原 子 、 1 乃 至 5 以 下 の 炭 素 原 子 の ア ル キ ル 基 、 ま た は 1 乃 至 5 以 下 の 炭 素 原 子 の アシル基とし、 R6 お よ び R7 は そ れ ぞ れ 別 個 に 、 水 素 原 子 ま た は 1 乃 至 5 以 下 の 炭 素 原 子 の ア ル キ ル 基 と し 、 ま た R8 は 水 素 原 子 ま た は 1 乃 至 5 以 下 の 炭 素 原 子 の ア ル キ ル 基 と す る 事 を 特 徴 と す る 化 合 物にある。 以下、本発明を実施例について詳細に説明するが本発明はこれに限定されるものではない 。 40 実 施 例 1:試 験 管 テ ス ト 出願人はレチノールのレチノイン酸への転化を測定した。また出願人は人体表皮細胞の抽 3 出 物 中 の レ チ ナ ー ル の 酵 素 酸 化 − 還 元 を 試 験 管 測 定 し た ( 細 胞 質 ゾ ル 抽 出 物 を 標 識 Hの R A Lお よ び R OLと 共 に 培 養 す る 事 に よ っ て 得 ら れ た 生 成 物 の HPLC 分 析 ) 。 HPLC に よ る レ チ ノ イ ド の 分 析 は 下 記 の 技 術 に よ っ て 実 施 さ れ る 。 3 3 角 質 細 胞 の 細 胞 質 ゾ ル 分 画 の 100μ l ア リ コ ー ト を ( H) − レ チ ノ ー ル ま た は ( H) − レ チ ナ ー ル 、 600μ M と 共 に 1 時 間 培 養 す る 。 100μ l の エ タ ノ ー ル を 添 加 し て 反 応 を 停 止 す る 。 次 に 、 4 − オ キ ソ − レ チ ノ イ ン 酸 、 全 ト ラ ン ス レ チ ノ イ ン 酸 、 13− シ ス − レ チ ノ イ ン 酸 、 レチノールおよびレチナールを含有する内部標準溶液5μlを反応媒質に加える。 50 (10) JP 3604382 B2 2004.12.22 次 に 放 射 性 物 質 を 3 × 1mlの ヘ キ サ ン に よ っ て 抽 出 す る 。 有機相を捕集し、窒素ガスジェットによって完全に蒸発させる。 次 に 残 留 物 を 50 μ l の ア セ ト ニ ト リ ル の 中 に と り 、 HPLC カ ラ ム 上 で 分 析 す る 。 HPLC シ ス テ ム は 、 逆 相 ODS− U ltrasylカ ラ ム ( 10μ m 、 2 5× 0.4cm) を 備 え た 装 置 VARIAN 5000 か ら 成 る 。 イ ソ ク ラ テ ィ ッ ク エ リ ュ ー シ ョ ン ・ シ ス テ ム は 、 71% の ア セ ト ニ ト リ ル 、 23% の 酢 酸 ア ン モ ニ ウ ム 緩 衝 液 ( 50mM 、 pH7) お よ び 6 % の テ ト ラ ヒ ド ロ フ ラ ン に よ っ て 構 成 さ れ た 流 速 2 .4ml/min.の 溶 液 混 合 物 か ら 成 る 。 非 標 識 レ チ ノ イ ド を 340nmで 測 定 さ れ る そ の 吸 光 度 に よ っ て 検 出 す る 。 ま た 600μ l の 分 画 を 分 画 コ レ ク タ ー に よ っ て 捕 集 し 、 4mlの ピ コ フ ル オ ー ル を 添 加 し た 後 に シ ン チ レ ー シ ョ 10 ンカウンターによって放射能を測定する。 生 理 濃 度 の レ チ ノ ー ル を 使 用 し て 、 培 養 異 化 さ れ た 人 角 質 細 胞 の 細 胞 質 ゾ ル 抽 出 物 が 4.49 + 0.17pmol/h/mg タ ン パ ク 質 の 酵 素 活 性 を も っ て レ チ ノ ー ル を レ チ ノ イ ン 酸 に 転 化 で き る が、培養異化されていない人角質細胞の細胞質ゾル抽出物は検出可能の活性を示さない事 を 実 証 し た ( 角 質 細 胞 は Rheinwald− Green,Cell..6,p.331 − 334,1957 の 技 術 に 従 っ て 培 養 さ れ 、 ま た 異 化 は 外 生 Ca+ + に よ っ て 制 御 さ れ る ) 。 さらに出願人は乾癬円盤のタンパク質抽出物もレチノールをレチノイン酸に転化する事が で き る が 異 化 さ れ た 角 質 細 胞 よ り も 活 性 が 低 い ( 0.33 + 0.07pmol/h/mg ) 事 を 実 証 し た 。 これに対して、正常な人皮膚の角質細胞抽出物は測定可能の転化率を示さない。これらの 転化活性の相違は、研究される生理学的活性の相違、またはその相違なる異化状態による 20 とする事ができる。 このような正常皮膚と乾癬円盤との間の活性の相違は病理学的意味を有し、また薬剤の製 造 に 応 用 さ れ る 。 実 際 に 乾 癬 円 盤 は AR( レ チ ノ イ ン 酸 ) お よ び レ チ ノ イ ン 酸 の レ チ ノ イ ド 類似物による治療に対してプラスの反応を示す。 人表皮細胞中この酵素系の活性はアルコールを代謝する酵素系と相違する。 実際に、出願人は、レチノールからのレチノイン酸の産生が4−メチル−ピラゾールおよ びジスルフィラムなど、アルコール代謝の特異的阻害剤によっても、過剰なエタノールに よっても影響されない事を実証した。 表皮細胞中のこの酵素系の特異性を示す他の実験的事実は、異化されていない角質細胞の 細胞質ゾルは、異化された角質細胞の細胞質ゾルと同率のアルコール・デヒドロゲナーゼ 30 活性が存在するにも関わらず、レチノイン酸を形成できない事である。 異化されていない角質細胞はレチノール・デヒドロゲナーゼ活性を有しないが、レチナー ルをレチノールに還元する事ができる。レチノール転化の第1段階は、それぞれ1方向( 還元または酸化)に作用する相異なる2つの酵素あるいは可逆的に作用する事のできる単 一酵素によって制御され、これらの酵素がレチノールの第1酸化段階を生じると思われる 。 この一般的メカニズムは下記のように表示される: 40 正常皮膚の活性を病理皮膚または培養された表皮細胞(角質細胞)と比較すれば、これら の 酵 素 活 性 E 1 ,E 2 ,E 3 が 相 互 に 大 き な 差 異 を 示 す 事 が わ か る 。 ま た 皮 膚 中 の 天 然 レ チ ノ イ ド の 一 般 的 代 謝 作 用 に お い て は レ チ ナ ー ル ( RAL) が 中 心 的 役 割を果たす事がわかる。 50 (11) JP 3604382 B2 2004.12.22 実 際 に 、 補 助 因 子 NAD/NADH の 比 率 に 従 っ て 、 RALは 細 胞 の 必 要 に 応 じ て ARま た は レ チ ノ ー ル に 転 化 さ れ る 事 が で き る 。 従 っ て 生 理 学 的 メ ッ セ ー ジ が 相 違 す る 。 さ ら に RALは 非 常 に 活 性 の 代 謝 物 で あ る と 思 わ れ る 。 こ の RALは 現 在 ま で 組 織 中 に 検 出 さ れ ず ( 非 常 に 低 い 含 有 量 ) 、 ROLか ら ARの 産 生 に 際 し て の 中 間 代 謝 物 と 思 わ れ る か ら で あ る 。 レチナールの代謝の分析は、表皮細胞中において、レチナールがレチノールに還元されま たはレチノイン酸に酸化されうる事を示している。反応方向は、酸化還元酵素メカニズム に 介 入 す る 補 助 因 子 NAD/NADH の 比 率 に 影 響 さ れ る 。 す な わ ち 、 NADH の 存 在 に お い て は レ チ ナ ー ル は 異 化 さ れ た 細 胞 抽 出 物 に お い て 異 化 さ れ な い 細 胞 抽 出 物 と 同 一 の 酵 素 活 性 ( 8pmo l/h/mg ) を も っ て 還 元 さ れ る が 、 レ チ ナ ー ル の 酸 化 は 異 化 さ れ な い 細 胞 抽 出 物 に お け る よ り も 、 異 化 さ れ た 細 胞 抽 出 物 中 に お い て 著 し く 高 い ( 51.6pmol/h/mg ) 事 が 実 証 さ れ た 。 10 出 願 人 は 、 正 常 皮 膚 の 抽 出 物 と 乾 癬 円 盤 の 抽 出 物 が 同 一 活 性 を も っ て 、 す な わ ち 1.35 + 0. 4pmol/h/mg の 割 合 を も っ て レ チ ナ ー ル を レ チ ノ イ ン 酸 に 酸 化 で き る 事 を 実 証 し た 。 し か し 、 乾 癬 円 盤 の 抽 出 物 は 正 常 皮 膚 ( 1.0+ 0 .3pmol/h/mg) の 2 倍 急 速 に ( 2.5+ 0.2pmol/h/mg )レチナールをレチノールに還元する事を実証した。これらの観察は、レチノールの産生 またはレチノイン酸の産生におけるレチナールの中間代謝物としての中心的役割、および ROLあ る い は A Rの 生 合 成 を 生 じ る た め に R ALを 使 用 す る 可 能 性 を 示 し て い る 。 レチナールは非常に重要で決定的な代謝物であるにちがいない。レチナールは組織中には 痕跡量存在し(胚組織中においては測定不能の濃度でしか検出されない)(タレールほか 、 Developpement,103,p.473 − 483,1988) 、 ま た 成 人 組 織 中 に お い て は 検 出 不 能 で あ り ( ナ ポ リ ほ か 、 J.Biol.Chem.,263,p.17372 − 17377,1988 お よ び コ ナ ー ほ か 、 Biochem.Pharma 20 col.,36,p.919 − 924,1987) 、 こ れ は 多 量 の レ チ ノ ー ル に よ っ て 処 理 さ れ た 動 物 に お い て も同様である。 レチナールはレチノールのレチノイン酸への酸化中間代謝物であるのみならず、β−カロ チンの分解代謝物である。β−カロチンはプロビタミンAであって、そのビタミンA活性 は そ の レ チ ナ ー ル へ の 転 化 に よ っ て 説 明 さ れ る 。 ナ ポ リ ほ か ( J.Biol.Chem.,263,p.17372 − 17377,1988 ) は 、 ラ ッ ト の 組 織 抽 出 物 ( 腎 臓 、 肺 、 肝 臓 お よ び 腸 ) が β − カ ロ チ ン を レ チノイン酸よりはレチノールに転化したが、中間代謝物としてのレチナールの存在を示さ なかったと記載している。 こ の 転 化 プ ロ セ ス に お け る レ チ ナ ー ル の 存 在 の 証 明 は 、 15,15′ − β − カ ロ チ ン ジ オ キ シゲナーゼの部分的精製後においてのみ成された。これらの結果は、レチノールへのレチ 30 ナールの転化段階がエステルの形でその貯蔵またはその他の特異的生理作用、膜作用、第 2メッセンジャー作用にとって重要である事を示す。 実 施 例 2:生 体 テ ス ト 1. 正 常 な 人 皮 膚 に 対 す る 投 与 こ の テ ス ト は 30 人 の 健 康 な ボ ラ ン テ ィ ア に つ い て 実 施 さ れ 、 レ チ ナ ー ル の 局 所 投 与 後 の 生 理学的効果の存在と耐性とを評価するにある。 3 種 類 の 濃 度 、 1.0% 、 0.1% お よ び 0.05 % を 使 用 し 、 10 被 検 者 に つ い て 少 な く と も 15 日 乃 至3カ月間、毎日投与した。 0.1% 乃 至 0.05% の 製 剤 の 耐 性 は 優 で あ る 。 刺 激 も な く 、 ま た レ チ ノ イ ン 酸 の 0 .01% の 濃 度の投与から見られるようなレチノイド性皮膚炎の徴候は見られなかった。しかし生理学 40 的 効 果 は 見 ら れ 、 こ れ は 「 老 化 防 止 」 効 能 の ARの 局 所 使 用 後 に 見 ら れ る よ う な 皮 膚 外 観 の 改善を生じた。 濃 度 1 % の 製 剤 は 黄 色 化 を 生 じ た 。 ま た 10% の ケ ー ス に つ い て の み 刺 激 が 見 ら れ た 。 こ れ は 同 一 濃 度 の AR に つ い て 見 ら れ る も の と 著 し く 相 違 す る 。 これは、レチノールが非常に高い治療濃度で使用でき、またこれより低濃度では、刺激を 生じる事なくレチノイン酸と類似のしかし相違する「化粧品型」効果を示す事を証明して いる。 2. 乾 癬 円 盤 に 対 す る 投 与 0.1% 乃 至 0.05% の 製 剤 は 最 初 の パ イ ロ ッ ト テ ス ト に 際 し て 乾 癬 円 盤 に 対 し て 可 の 効 果 し か 有 し な か っ た ( し か し こ れ ら の 低 濃 度 は UVAの 作 用 に 対 し て 増 強 効 果 を 有 す る ) 。 従 っ 50 (12) JP 3604382 B2 2004.12.22 て 、 1 % 製 剤 を 使 用 し 、 毎 日 投 与 の 効 果 を 12人 の 患 者 に お い て 佐 薬 の 効 果 と 比 較 し た 。 投 与 は 6 ケ ー ス に お い て 「 公 開 」 さ れ 、 他 の 6 ケ ー ス に お い て 非 公 開 で あ っ た 。 11ケ ー ス (非公開5ケース、公開6ケース)が評価可能であった。レチナールによって処理された 試料を佐薬によって処理された対称試料と比較して標準法(紅疹0−3、鱗屑0−3、浸 潤0−3)によって効果を測定した。各対照ごとに写真を作製した。 非公開で治療されたシリーズにおいては、結果は非常に明瞭であった。すなわち5ケース に 対 し て 3 ケ ー ス に お い て 第 1 週 か ら 鱗 屑 の 消 失 と 浸 潤 の 減 少 と が 観 察 さ れ 、 50% 以 上 の 傷 痕 の 退 行 を 伴 な っ た 。 1 つ の ケ ー ス に お い て 結 果 は 良 で あ っ て ( 30% の 傷 痕 退 行 ) 、 他 の 1 つ の ケ ー ス に お い て 結 果 は 可 で あ っ た ( 10% の 傷 痕 退 行 ) 。 佐 薬 に よ っ て 治 療 さ れ た 乾癬円盤は不変であった。公開シリーズにおいては、非常に良好な結果は1つだけで、1 10 つの良な結果と4つの可の結果とを得た。 重要な観察事項は、表皮剥離に続いて、浸潤の改善に先行して、乾癬円盤に特異的に限定 された炎症の発生であった。 これは、乾癬プロセスの部位に特異的に局限された生理学的効果を示す。 テストの結論 前記の結果によれば、レチナールは人表皮セルにおいて、レチノールとレチノイン酸の細 胞内産生の中心的役割を果たす。細胞内レチノール率を増大する2つの可能性がある。そ の1つは、高濃度の細胞外レチノールによて細胞の原形質膜を飽和して細胞内部に滲透さ せるにある。他のすぐれた可能性は、細胞中に滲透しやすい前駆体(例えばレチナール) によってレチノールを細胞内で生合成するにある。細胞中の遊離(非エステル化)レチノ 20 ールの存在が非常に重要である。実際にこの遊離レチノールはその核受容体によってゲノ ム転写を変更し、また前述のように第2メッセンジャーを活性化するために原形質膜のレ ベルに作用する事ができると思われる。 実際に細胞中への細胞外レチノイン酸の滲透はレチノールほど繊細に制御する事ができな いと思われる。またレチノイン酸は望ましくない副作用を生じる。出願人は、外生レチナ ールの付加によって副作用なしで、内生レチノイン酸の合成を可能とする事を発見した。 実 施 例 3:赤 鼻 性 座 瘡 に 対 す る 投 与 こ の テ ス ト は 赤 鼻 性 座 瘡 の 徴 候 を 示 す 10 被 検 者 に つ い て 実 施 さ れ た 。 3 カ 月 間 、 毎 日 投 与 の た め に 、 0.1% の レ チ ナ ー ル を 含 有 す る 局 所 組 成 物 を 使 用 し た 。 結果 結 果 は き わ め て 明 白 で あ っ た 。 10ケ ー ス 中 の 6 ケ ー ス に お い て 、 最 初 の 月 か ら 赤 鼻 性 座 瘡 の 顕 著 な 改 善 が 見 ら れ る 。 治 療 3 カ 月 後 に 、 被 検 者 の 70 % が 実 際 上 、 赤 鼻 性 座 瘡 に 特 徴 的 な赤色色素を示さなくなった。 実 施 例 4:脂 漏 性 皮 膚 炎 に 対 す る 投 与 こ の テ ス ト は 脂 漏 性 皮 膚 炎 の 徴 候 を 示 す 10被 検 者 に つ い て 実 施 さ れ た 。 レ チ ナ ー ル を 0.05 % 含 有 す る 局 所 組 成 物 を 1 カ 月 間 、 毎 日 投 与 し た 。 結果 治 療 1 カ 月 後 に 、 被 検 者 の 80 % が 実 際 上 、 脂 漏 性 皮 膚 炎 の 徴 候 を 示 さ な く な っ た 。 30 (13) JP 3604382 B2 2004.12.22 フロントページの続き 7 (51)Int.Cl. FI A61P 17/08 A61P 17/06 A61P 17/10 A61P 17/08 A61P 27/02 A61P 17/10 // C07C 403/18 A61P 27/02 C07D 317/20 C07C 403/18 C07D 317/24 C07D 317/20 C07D 319/06 C07D 317/24 C07D 319/06 (72)発明者 ジーゲンターレル,ジョルジュ スイス国ベルビュー、ルート、ド、ロメル、32 (72)発明者 クース,アンリ フランス国パン−ジュスタレ、リュ、ド、ロングブリュンヌ、14ビス (72)発明者 ムーザン,ジルベール フランス国トゥールーズ、リュ、デ、ペニタン−ブラン、11 (72)発明者 ガル,イボン フランス国ポルテ−シュール−ガロンヌ、リュ、サン−クリストフ、12 審査官 福井 美穂 (56)参考文献 米国特許第03932665(US,A) 欧州特許出願公開第00391033(EP,A1) 7 (58)調査した分野(Int.Cl. ,DB名) A61K 7/00 - 7/50