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東海大学紀要情報通信学部
vol.3,No1,2013,pp.8-14
東海大学紀要 情報通信学部
Vol.xx, No.xx , 20xx, pp.xxx -xxx
論文
論文
ハミング符号に基づくカラー画像の認証と復元に関する研究
福江
勇希 *1 ,熱田 清明 *2
Study on Authentication and Restoration of Color Image
based on the Hamming Code
by
Yuki FUKUE*1 and Kiyoaki ATSUTA*2
( Received on March 29, 2013
&
Accepted on July 25, 2013 )
Abstract
Image authentication method using Hamming code for gray scale image which can recover tempered region has been proposed.
However, this method sometimes misses estimating the most significant bit of tempered pixels, so the recovered image is not so
good quality. In this paper, we extend this method to color images. Furthermore, we embed the most significant bit and parity
bits of two color components at three color components of the color image. According to our experimental results, our new
proposed method can effectively eliminate tempered region, and can recover two color components of the tempered region
pixels using the most significant bit and parity bits which are embedded and estimate remaining color component by using
around pixel’s data.
Keywords: Hamming Code, Image Authentication, Image Restoration
キーワード:ハミング符号、画像認証、画像復元
1. は じ め に
2. 理 論
近 年 の 情 報 技 術 の 発 展 に よ り 、電 子 書 籍 な ど の 新 し
い 媒 体 が あ ら わ れ 、デ ジ タ ル 情 報 の や り 取 り は 増 え 続
け て い る 。そ れ と 同 時 に 、イ ン タ ー ネ ッ ト 上 に 公 開 さ
れ た 動 画 や 静 止 画 像 は 、不 特 定 多 数 の ユ ー ザ ー に 二 次
利 用 さ れ 、改 ざ ん さ れ る こ と も 多 く な っ て い る 。ま た 、
改 ざ ん さ れ た コ ン テ ン ツ は さ ら に 改 ざ ん さ れ 、広 く 出
回 る こ と で 、元 々 の コ ン テ ン ツ と 照 ら し 合 わ せ て 改 ざ
ん の 有 無 を 確 認 す る こ と は 難 し く な っ て い る 。こ の 問
題 を 解 決 す る 方 法 に 、電 子 透 か し を 用 い た 方 法 が 提 案
さ れ て い る 1)。 し か し な が ら 、 改 ざ ん の 有 無 、 改 ざ ん
さ れ た 箇 所 ま で は 検 出 で き る が 、元 の 画 像 に 戻 す こ と
ま で は で き な い 。こ の 問 題 に 関 し て 、グ レ ー ス ケ ー ス
画 像 に 対 し て 、ハ ミ ン グ 符 号 を 用 い て 、画 像 デ ー タ の
パ リ テ ィ 情 報 を 埋 め 込 み 、改 ざ ん 領 域 の 検 出・復 元 が
可 能 と な る 方 法 が 提 案 さ れ て い る 2)。 し か し こ の 方 法
に も 、復 元 時 の 誤 推 定 な ど の 問 題 点 が あ る 。そ こ で 本
研 究 の 目 的 は こ の 手 法 を カ ラ ー 画 像 に 拡 張 し 、R ,G 、
B 3 成 分 の 2 成 分 に つ い て パ リ テ ィ ビ ッ ト 、お よ び 最
上 位 ビ ッ ト を 埋 め 込 み 、残 り の 1 成 分 は 周 囲 の 推 定 済
み の 画 素 よ り 推 定 す る こ と に よ り 、よ り 精 度 の 高 い 復
元を行う方法を提案することである。
2.1 ハ ミ ン グ 符 号
ハミング符号とは自己訂正符号の1つである。ハ
ミング符号は2ビットまでのビット誤りを検出でき、
1 ビ ッ ト の ビ ッ ト 誤 り を 修 正 す る こ と が で き る 3) 。
( 7 ,4 )ハ ミ ン グ 符 号 で は 画 像 の 1 画 素 の デ ー タ で
ある8ビットの上位4ビットをデータビット
(D 1 ,D 2 ,D 3 ,D 4 )と し 、下 位 3 ビ ッ ト に パ リ テ ィ ビ ッ ト
(P 1 ,P 2 ,P 3 )を 埋 め 込 む も の と す る 。し た が っ て 下 位 か
ら 4 ビ ッ ト 目 は 使 用 し な い 。 そ の 関 係 を Fig.1 に 示
す 。ま た 、パ リ テ ィ ビ ッ ト は 式 (1)に よ っ て 定 め ら れ
る。ここで  は 1 ビットの排他的論理和を示す。
P1  D1  D2  D4
P2  D1  D3  D4
(1)
P3  D2  D3  D4
D1
D2
D3
D4
P1
P2
P3
bit
使用し
ない
Not
used
bit
*1 工 学 研 究 科 情 報 理 工 学 専 攻 修 士 課 程
School of Engineering, Course of Information
Science and Engineering, Master’s Program
Fig.1 Date bits and parity bits in pixel data.
2.2 ト ー ラ ス 自 己 同 型 写 像
ハミング符号によって作成した3ビットのパリテ
ィデータを元の画素の下位3ビットに保存した場合、
*2 情 報 通 信 学 部 情 報 メ デ ィ ア 学 科 教 授
School of Information and Telecommunication
Engineering, Department of Information Media
Technology, Professor
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−1
8−
福江勇希・熱田清明
ヘッダー
3. 埋 め 込 み ・ 認 証 ・ 復 元 方 法
改ざんが行われた際に、改ざんが行われた画素のデ
ータビットとパリティビットの両方が失われるため、
認証および修正が困難になる。この問題を解決する
ために、上位4ビットのデータ情報と3ビットのパ
リティ情報を異なる座標の画素に配置する。また、
改ざん領域を復元することを考えると、データ情報
の画素とパリティ情報を埋め込む座標の画素が1対
1の関係になければならない。そのために、トーラ
ス 自 己 同 型 写 像 を 用 い る 4)。
ト ー ラ ス 自 己 同 型 写 像 は サ イ ズ N ×N の 画 像 に 対
し て 、あ る 画 素  xi , yi  を 他 の 画 素  xi , yi  に 1 対 1 に 対
①
応 さ せ る こ と が で き る 。k を 秘 密 鍵 と な る 整 数 と し 式
(2)で 定 義 さ れ る 。 こ こ で mod は 剰 余 を 示 す 。
②
 x' i  1 1   xi 
 y'   k k  1  y modN
 i 
 i 
(2)
③
x' i  ( k  ( xi  y i )  y i )mod N
④
(3)
乱 数 系 列 を 、 k2 を 初 期 値 と す る 疑 似 乱 数 に よ り 作 成
する。次に i 番目の画素のパリティ3ビットの順序
J=1,2,3 を 次 式 に 従 っ て J'に 変 換 す る 。 ま た 、 M は パ
リティビットのビット数すなわち3となる。
(4 )
2.4 排 他 的 論 理 和 に よ る 暗 号 化
2.3 節 の パ リ テ ィ ビ ッ ト の 回 転 に よ る 暗 号 化 で は 、
パ リ テ ィ ビ ッ ト 3 ビ ッ ト が 000 ま た は 111 で あ る 場 合 、
ビット回転を行っても変化がないため、このビット
パターンをもつ画素のみを用いて秘密鍵kの推定が
可能であることがわかった。よって本手法では従来
の ビ ッ ト 回 転 で は な く 、式 (5 )の よ う に 乱 数 系 列 と の
排他的論理和を用いてパリティビットを暗号化する
手法を用いる。
 
P   P ^ Ri mod 2 M

る。
求めた埋め込み画素の下位3ビットを②で求め
た3ビットに置き換える。
3.2 画 像 の 認 証
画像の認証すなわち雑音による濃度値の変化や改
ざんが行われていない証明は以下のように行う。
各画素に対して、暗号鍵 k を基にトーラス自己同
形写像により、パリティビットを埋め込んだ画素位
置 を 求 め て 、 下 位 3 ビ ッ ト を 取 り 出 し 、 暗 号 鍵 k2 を
基に同じ疑似乱数を発生させ排他的論理和により、
復号化する。画素の上位4ビットからハミング符号
によりパリティビット3ビットを求める。これらの
3ビットが全画素において一致する場合、改ざん等
が行われていない画像であることが認証される。
2.3 パ リ テ ィ ビ ッ ト の 回 転
2.2 節 で 述 べ た ト ー ラ ス 自 己 同 型 写 像 で 用 い る 秘
密 鍵 k は N の 値 に よ っ て 制 限 さ れ 、k =0,1,2,3,4,..,N-1
までしか存在しない。したがって、この N 個の秘密
鍵 を 試 す こ と で 、k の 値 を 特 定 す る こ と が で き る 。文
献 2)で は 、 こ の 問 題 を 解 決 す る た め に パ リ テ ィ ビ ッ
トの順番を回転させて暗号化している。
ビ ッ ト 回 転 は 式 (4)で 定 義 さ れ る 。 k 2 を 二 番 目 の 秘
密 鍵 と す る 。そ し て R1 ,R 2 , ,R N  N の よ う に 、N×N 個 の
J   ( J  Ri ) mod M
ハミング符号を用いてパリティビットを作成す
る。
鍵 k2 を 初 期 値 と す る 疑 似 乱 数 系 列 で 生 成 し た 3
ビットとパリティビットの排他的論理和を求め
る。
画 素 の 位 置  xi , yi  と 秘 密 鍵 k を 用 い て ト ー ラ ス
自 己 同 型 写 像 に よ り 埋 め 込 み 画 素  xi , yi  を 求 め
具 体 的 に 各  xi , yi  を 求 め る 式 は 式 (3)と な る 。
y' i  ( xi  y i )mod N
3.1 埋 め 込 み 手 順
パリティビットを埋め込む手順は、ハミング符号
によるパリティビットの作成、トーラス自己同型写
像による埋め込み位置の算出、パリティビットの排
他的論理和による暗号化および埋め込みの順に行う。
具体的には。各画素に対して以下のように埋め込み
を行う。
3.3 画 像 の 復 元
画像の認証に失敗した場合、すなわちデータビッ
トとパリティビットの整合性が取れない画素が存在
する場合、その原因には雑音がある環境と改ざんの
2つが考えられる。雑音がある環境とはデータがイ
ンターネット上などで伝送される時、雑音の影響を
受けてデータビットにエラーが発生することである。
改ざんとは故意に画像の改ざんが行われ、特定の領
域のデータが書き換えられ、失われてしまうことで
ある。雑音によるものか改ざんによるものかの判定
は、雑音による不整合な画素の分布で簡単に判定す
ることができる。雑音による場合はランダムで、画
像 全 体 に ま ば ら に 分 布 す る が 、改 ざ ん に よ る 場 合 は 、
ある部分にまとまって発生する。
3.3.1 雑 音 が あ る 場 合
雑音がある場合についてはハミング符号によって
復元が可能である。
Fig.2 は 、 デ ー タ ビ ッ ト ( D 1 ~ D 4 ) と パ リ テ ィ ビ ッ
ト( P 1 ~ P 3 )の 関 係 を 示 し た も の で あ る 。こ の 3 つ の
サークル内での1ビットの数は常に偶数になるよう
に パ リ テ ィ ビ ッ ト が 定 え ら れ て い る 。 Fig.3 に は ビ ッ
ト エ ラ ー が 1 つ あ る 。 サ ー ク ル A に 属 す る 値 0,1,1,1
(5 )
こ こ で 、P は パ リ テ ィ ビ ッ ト 列 を 示 し 、^ は ビ ッ ト 毎
の排他的論理和を表し、Mはパリティビットのビッ
ト数すなわち3となる。これによりパリティビット
は暗号化され、秘密鍵 k の推定に対する耐性が向上
する。また、再度同じ乱数系列との排他的論理和を
求めることで復号することができる。
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―
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ハミング符号に基づくカラー画像の認証と復元に関する研究
ヘッダー
の 1 のビット数は3となりサークル A に属する値に
エ ラ ー が 存 在 す る こ と が わ か る 。 同 様 に サ ー ク ル B、
C の 値 も 計 算 を お こ な う と 、1 の ビ ッ ト 数 が 奇 数 に な
るのはサークル A とサークル B なのでこの 2 つにの
み 属 す る D1 が エ ラ ー で あ る こ と が わ か り 値 を 反 転 す
ることによって、復元が可能となる。
もしパリティビットにエラーが生じた場合は、そ
のパリティビットを含むサークル1つだけが奇数に
なる。この場合、画質的には修正の必要はないが、
再度の配信を行う場合などを考え、誤ったパリティ
ビットを修正する。
A
D1
P1
P2
B
D4
D2
D3
P3
C
3.3.2 改 ざ ん が 行 わ れ た 画 像 の 場 合
改ざんが行われた画像の場合、改ざんは一定の領
域に行われ、集中してエラーが生じることになる。
この場合、最初に改ざんされた領域を特定する必要
が あ る 。Fig.3 に お け る グ レ ー の 領 域 X を 改 ざ ん さ れ
た領域とし、画素 A がこの領域に属すと仮定する。
このとき、A のパリティビットは B に埋め込まれて
おり、C のパリティビットは A に埋め込まれる。
画素 A は改ざんされているので、そのデータビッ
トから算出されたパリティビットは画素 B に埋め込
まれたものとは異なる。したがって、このとき、A
または B のどちらかが改ざんされたと判断できる。
パリティビットを画素 A に埋め込んでいる画素 C に
つ い て も 、同 様 の こ と が 言 え る 。す な わ ち 、C ま た は
A にどちらかが改ざんされたと判定される。このよ
う に し て A,B,C が 改 ざ ん 候 補 と な る 。
このプロセスをすべての画素について行い、すべ
て の 改 ざ ん 候 補 画 素 を 検 出 す る 。Fig.4 で は 領 域 X に
改ざんが行われているので、この領域のすべての画
素が改ざん候補となっている。その他の改ざん候補
画素は、まとまった領域を作らず、分散して存在す
る。分散した領域を除去するために、改ざん候補の
画素に対して形態学的画像処理すなわち収縮処理と
膨張処理を行う。
Fig. 2 Relation between data bits and parity bits.
A
0
1
0
3.2.4 形 態 学 的 画 像 処 理 に よ る 改 ざ ん 領 域 の 特 定
改ざん領域の特定のために形態学的画像処理を用
いる。ここでの形態学的画像処理とは2値画像に対
する収縮処理と膨張処理のことである。収縮処理の
後に膨張処理を行うことにより、孤立点や突起を取
り 除 く こ と が で き る 5) 。各 処 理 を 1 回 ず つ 行 う と 、2
画素分の画素領域は取り除くことができ、それより
大 き い 画 素 領 域 は 残 る 。 Fig.5(a)に 改 ざ ん 画 素 の 候 補
を 示 し 、図 Fig.5(b)に 収 縮・膨 張 処 理 に よ り 求 め た 改
ざん領域を示す。
B
1
1
0
0
C
Fig. 3 An error occurs in D 1
Tempered Region X
(a) Candidate of tempered (b) Estimated tempered
region
region
Fig.5 Estimation of tampered region
3.2.5 ハ ミ ン グ 符 号 に よ る 復 元
3.2.4 項 の 手 続 き に よ り 、改 ざ ん さ れ た 画 素 が 特 定
できる。次の手続きはこの改ざんされた画素を復元
する。
Table 1 に デ ー タ ビ ッ ト と そ れ に 対 応 す る パ リ テ ィ
ビ ッ ト の 対 応 表 を 示 す 。 こ の Table 1 を 見 る と 、デ ー
Fig.4 An example for tampered regions
―
3 ―
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福江勇希・熱田清明
ヘッダー
タビットの最上位ビットが0または1によって2つ
のグループに分ける事ができる。そして最上位ビッ
トが0、または1である事が判明すると、パリティ
ビットからデータビットを推定することができるこ
とが表から読み取れる。
データビットの最上位ビットを判定する方法は以
下の通りである。
画像の場合、もし最上位ビットが1であれば、そ
の輝度値が128以上であることになり、最上位ビ
ットが0であれば、輝度値が128よりも低いこと
になる。したがって、周囲画素から画素の大まかな
輝度値を推定できれば、その値が128以上であれ
ば最上位ビットを1とし、128未満であれば0と
して、データビットの復元が行える。
c
d
画素Aの右隣の画素は画素Aの推定値と左上、上
の画素から推定することができる。これを順次繰り
返して改ざん領域内の画素の値を推定していく。し
か し な が ら 、改 ざ ん 領 域 内 に エ ッ ジ が 存 在 し た 場 合 、
非線形推定では、最上位ビットの推定に失敗するこ
とがある。
3.3 カ ラ ー 画 像 の 復 元 方 法
この方法を各成分に単純に適用することによって、
カラー画像にも拡張可能であるが、最上位ビットの
推定を誤ると復元画像の画質が著しく劣化するとい
う欠点がそのまま残されてしまう。そこで、カラー
画像が3成分から構成されることを利用して、改善
方法を以下に提案する。
Parity
bits
000
111
011
100
101
010
110
001
110
001
101
010
011
100
000
111
3.3.1 カ ラ ー 画 像 の 改 ざ ん 領 域 特 定
カ ラ ー 画 像 の 場 合 に は 、 Fig.7 に 示 す よ う に そ れ ぞ
れ の 成 分 で ト ー ラ ス 自 己 同 形 写 像 に 異 な る 鍵 k R ,k G ,k B
を用いることで、RGB各成分の改ざん領域候補座
標を照合し、簡単に改ざん領域候補が重複している
座標を改ざん領域として特定することが可能であり、
より信頼性の高い改ざん領域の検出ができる。
3.2.6 非 線 形 推 定
改 ざ ん 領 域 の 左 上 か ら 非 線 形 推 定 6) を 行 っ て 対 応
画 素 の 最 上 位 ビ ッ ト を 求 め る 。 Fig.4 に お い て 画 素 A
が改ざんされている。この場合、改ざんされていな
い左、左上、上の画素から非線形推定を用いて推定
する。この非線形推定は次式で定義される。すなわ
ち 、画 素 値 d を そ の 近 傍 の 3 つ の 画 素 値 a,b,c で 推 定
す る 。Fig. 6 に 画 素 位 置 と a,b,c,d の 対 応 関 係 を 示 す 。
min��� �� ��������� � max��� �� .
� � �max��� �� ��������� � min��� �� .
� � � � �������������������������i��.
b
Fig.6 Arrangement of pixels for equation (6).
Table 1 The Hamming code word.
Data bits
MSB
Remain 3bits
0
000
0
001
0
010
0
011
0
100
0
101
0
110
0
111
1
000
1
001
1
010
1
011
1
100
1
101
1
110
1
111
a
(a) Candidate of tempered
(b) Estimated tempered
region.
region.
Fig.7 Determine the tempered reagion.
3.3.2 カ ラ ー 画 像 に 対 す る 改 ざ ん 領 域 の 復 元
カラー画像はRGBの3成分で構成されている。
R G B の 3 成 分 の 下 位 3 bit に 復 元 用 の デ ー タ を 保 存
することが出来る。例えばR成分の下位2ビットに
G成分とB成分の最上位ビットを保存し、G成分の
下位3ビットにG成分のパリティビットの乱数との
排他的論理和により暗号化したデータを保存し、B
成分の下位3ビットには、B成分のパリティビット
の暗号化したデータを保存する。このように下位3
ビットに2成分の最上位ビットとパリティビットの
情報を保存することにより、G成分とB成分の2つ
の成分を完全に復元できる。すなわち上位4ビット
(6)
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ハミング符号に基づくカラー画像の認証と復元に関する研究
ヘッダー
のデータが正確に復元できる。同様にして、R成分
とG成分、R成分とB成分が完全に復元できる画素
を設定することができる。RG、GB、RBを完全
に 復 元 で き る 画 素 を Fig.8 の よ う に 配 置 す る 。行 ご と
にRG成分を復元できる画素、GB成分を復元でき
る画素、BR成分を復元できる画素の順にずらしな
がら繰り返し配置されている。このように画素を配
置することによって、ある画素において復元できな
い成分は、その画素の左、左上、上、右、右下、下
の6画素では復元されているので、それらから推定
し て 復 元 す る こ と が で き る 。例 え ば Fig.8 の 中 央 画 素
の場合、R成分とG成分は復元でき、B成分が復元
できないが、左、左上、上、右、右下、下の6画素
はB成分が復元されている。したがって、これらの
値 を 用 い て 推 定 す る こ と が で き る 。し た が っ て 、3.2.6
項で述べた非線形推定による最上位ビットの推定を
行わないので、エッジ部分の誤推定がなくなり、エ
ッジ領域の改ざんも復元できる。
GB
RB
RG
RB
RG
GB
RG
GB
RB
像を示す。
Fig.9 An original image(Parrots).
4.2 従 来 手 法 に よ る パ リ テ ィ ビ ッ ト の 埋 め 込 み
従来手法をカラー画像に行う場合、R、G、B成
分 そ れ ぞ れ で に 鍵 k R ,k G ,k B を 用 い て パ リ テ ィ ビ ッ ト を
埋 め 込 む 。Fig.10 に パ リ テ ィ ビ ッ ト を 埋 め 込 ん だ 画 像
を示す。
Fig.8 The pattern of embedded two color components.
3.3.3 提 案 手 法 に お け る カ ラ ー 画 像 復 元 の 流 れ
この手法を用いた画像に改ざんが行われた場合に
対するカラー画像の復元の復元は以下のように行う。
Fig.8 の パ タ ー ン と R , G , B 成 分 用 の ト ー ラ ス
自 己 同 型 写 像 の 鍵 k R ,k G ,k B を 用 い て 、 暗 号 化 さ れ
たパリティビットと最上ビットを埋め込んだ画
素を求める
② 排 他 的 論 理 和 用 の k2 に よ っ て 、 生 成 さ れ た 疑 似
乱 数 系 列 を 用 い て 、パ リ テ ィ ビ ッ ト を 排 他 的 論 理
和により復号化する。
③ データビットとパリティビットが対応しない画
素 を チ ェ ッ ク し 、2 成 分 で 対 応 し な い 画 素 を 改 ざ
んされた領域とする。
④ 改 ざ ん 領 域 の 画 素 に 対 し て 、パ リ テ ィ ビ ッ ト と 埋
め 込 ま れ て い た 最 上 位 ビ ッ ト に よ り 、2 成 分 の デ
ータビットを求める。
⑤ 改ざん領域の全画素について復元できる2成分
を 求 め 、残 り の 1 成 分 を 周 囲 6 画 素 か ら 推 定 す る 。
ここでは上下左右の4画素の成分の単純平均を
用いて推定する。
①
Fig.10 The authenticated image by original method.
4.3 画 像 復 元
4.3.1 改 ざ ん 画 像
復 元 の 実 験 を 行 う た め 、 Parrots 画 像 に 改 ざ ん を 行
っ た 。Fig.11 に 改 ざ ん 画 像 を 示 す 。今 回 、改 ざ ん は 指
定された領域をネガポジ反転することで作成した。
Fig.11 The tampered image.
4.3.2 改 ざ ん 領 域 の 特 定
カラー画像のRGBの成分毎にハミング符号の一
致しない領域を求め、2成分以上が一致しない領域
を 改 ざ ん 領 域 と し た 。Fig.12 に 改 ざ ん 領 域 の 特 定 結 果
を示す。
4. 実 験
4.1 実 験 画 像
実 験 で 扱 う 画 像 は 256×256[pixels]の 各 色 256 階 調
の カ ラ ー 画 像 Parrots と す る 。Fig.9 に 実 験 に 用 い た 画
―
5 ―
− 12
−
福江勇希・熱田清明
ヘッダー
Fig.12
Estimated tampered region.
Fig.15 The image corrected by our proposed method.
4.5 PSNR に よ る 画 質 の 評 価
4.5.1 PSNR( Peak Single to Noise Ratio)
PSNR と は 客 観 的 な 画 像 評 価 の 指 標 の 一 つ で あ る 。
画像評価の基準値であり、値が大きくなればなるほ
ど原画像に近いことを表す。まったく同じ画像であ
れ ば ∞ (無 限 大 )と な る 。PSNR は 下 記 の 式 で 表 さ れ る 。
4.3.3 従 来 手 法 に よ る 復 元
従来の手法をそのまま3成分に適用して、改ざん
領域を非線形予測とパリティビットによって復元す
る 。 復 元 し た 画 像 を Fig.13 に 示 す 。 非 線 形 推 定 は 左
上から行うので、改ざん領域において左上と右下の
濃淡値の差が激しいエッジでは値の推定がうまくで
きない。そのため、赤の成分において、エッジ部分
で最上位ビットの推定を誤り、正しく復元ができて
いないため、本来黄色になる部分が緑色のままにな
ってしまったことがわかる。
PSNR  10 log
(階調数  1) 2
1 N 1 N 1
 (src( y, x)  dst( y, x))2
N  N y 0 x 0
(7)
単 位 は デ シ ベ ル [dB]と な り 、こ こ で x,y は ピ ク セ ル の
位 置 、src は 原 画 像 dst は 評 価 対 象 の 画 像 、N は 画 像
の大きさを表す。
4.5.2 PSNR に よ る 画 像 評 価
原画像に対する従来手法による埋め込み画像、改
ざ ん 画 像 、 復 元 画 像 の PSNR を Table 2 に 示 す 。 R 成
分 の 最 上 位 ビ ッ ト の 誤 推 定 に よ り 、 R 成 分 の PSNR
がほとんど改善されていないことがわかる。
Fig.13 The image corrected by original method.
Table 2 PSNR of images for original method.
4.4 提 案 手 法
2成分のパリティビットとその最上位ビットを埋
め込む提案手法による埋め込みと復元を行った。埋
め 込 み 画 像 を Fig.14 に 、 提 案 手 法 に よ り 復 元 し た 画
像 を Fig.15 に 示 す 。 こ の 提 案 手 法 に よ っ て 、 エ ッ ジ
部分での誤推定がなくなり、黄色の領域が正しく復
元されていることがわかる。
The
authenticated
image
The tampered
image
The image
corrected by
original method
R
37.83[dB]
18.71[dB]
20.80[dB]
G
37.92[dB]
21.31[dB]
33.50[dB]
B
37.82[dB]
18.04[dB]
30.00[dB]
原 画 像 に 対 す る 提 案 手 法 に よ る 埋 め 込 み 画 像 、改
ざ ん 画 像 、 復 元 画 像 の PSNR を Table 3 に 示 す 。 埋
め込み画像の画質もパリティビット3ビット2成
分と2つの最上位ビットと1ビット少ない埋め込
み と な っ た た め 、1 [dB]ほ ど 向 上 し て い る こ と が わ
か る 。ま た 、復 元 画 像 も 1 成 分 は 周 囲 か ら の 推 定 で
あるが、2成分は正確に復元できるため、大幅に
PSNR 向 上 し て い る こ と が わ か る 。
Fig.14 The authenticated image by our proposed method.
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ハミング符号に基づくカラー画像の認証と復元に関する研究
ヘッダー
Table 3 PSNR of images for our proposed method.
The
authenticated
image
The tampered
image
The image
corrected by
proposed method
R
39.01[dB]
18.72[dB]
38.63[dB]
G
39.12[dB]
21.32[dB]
38.80[dB]
B
39.01[dB]
18.04[dB]
38.52[dB]
目的であるカラー画像における復元精度の向上に
ついては、3成分の内2成分の最上位ビットとパリ
ティビットの情報を3成分の下位ビットに埋め込む
ことにより、2成分を非線形推定に頼らず正確に復
元し、2成分の組み合わせ、配置を工夫することに
より未決定の成分を上下左右の4画素から線形推定
す る 方 法 を 提 案 し て 、そ の 有 効 性 を 実 験 的 に 示 し た 。
また、未決定の色成分の推定には上下左右の4画素
の単純平均を用いることで十分な効果が得られるこ
とを実験的に示した。
今後の展望としては非可逆圧縮等の各種画像処理
に対する耐性の検証が今後の課題として残されてい
る。
4.6 未 決 定 色 成 分 の 推 定 方 法 の 比 較
以上の評価は上下左右の4画素の単純平均により
未決定の色成分の値を推定しているが、隣接画素中
の6画素を用いることもできる。また前述の3画素
からの非線形推定を用いることもできる。そこで、
これらの推定方法による復元を行い、画質の違いを
Table 4 に 示 す 。 3 画 素 し か 用 い な い 非 線 形 推 定 は 急
激な値の変化に対応できないこともあり、一番画質
が低い。6画素の単純平均は、4画素の単純平均に
比較して若干の低下がみられる。これらの画質や計
算量の点からから、最近傍の4画素を用いる方法で
十分であるといえる。
謝辞
本 研 究 は JSPS 科 研 費 23500130 の 助 成 を 受 け た も
のである。
参考文献
1)
Table 4 Compare of image quality by estimation method.
Non-Liner
estimation
Estimation
form 4 pixels
Estimation
form 6 pixels
R
37.98[dB]
38.63[dB]
38.49[dB]
G
38.52[dB]
38.80[dB]
38.69[dB]
B
38.18[dB]
38.52[dB]
38.42[dB]
2)
3)
4)
5. 結 論
本研究では、白黒画像に対する方法をカラー画像
に 拡 張 し 、復 元 精 度 を 向 上 さ せ る こ と を 目 的 と し た 。
従来のビット回転では自己同形写像の鍵 k の推定
が容易であるという問題点は、排他的論理和を用い
ることで解消され、秘密鍵の推定に対する耐性が向
上した。
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5)
6)
須 藤 正 之 、 三 井 靖 博 、“ 改 ざ ん 検 出 可 能 な 電 子 透
か し ”、 沖 電 気 研 究 開 発 2000 年 7 月 第 183 号
Vol.67No.2,2000.
Chi-Shiang Chana, and Chin-Chen Chang “ An
efficient image authentication method based on
Hamming code ” Pattern Recognition 40(2007),
681-690, 2008/01/29.
R.W. Hamming,”Error detecting and error correcting
codes”,Bell Syst. Tech. J., 26 (2) (1950), pp.
147–160.
G. Voyatzis, I. Pitas, “Chaotic mixing of digital
images
and
applications
to
watermarking”,
Proceedings of European Conference on Multimedia
Applications, vol. 2, 1996, pp. 687–695.
田 村 秀 行 ,“ コ ン ピ ュ ー タ 画 像 処 理 ” オ ー ム 社 出
版局.
Marcelo J. Weinberger and Gadiel Seroussi,
Guillermo Sapiro “ The LOCO-I Lossless Image
Compression
Algorithm:
Principles
and
Standardization into JPEG-LS”, http://www.hpl.hp.
com/loco/HPL-98-193R1.pdf.
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