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月刊JASTPRO PDF 2014年4月号

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月刊JASTPRO PDF 2014年4月号
427
2014- 04
今月号の内容
記事1.平成26年度 事業計画 …………………………………………………………… 1
記事2.国連CEFACT 第20回総会の報告 ………………………………………………… 4
記事3.第23回国連CEFACTフォーラム開催の報告 ……………………………………… 5
記事4.国連LOCODEを有効に利用しましょう!
(その③) ………………………………… 6
∼国連におけるUN/LOCODE管理の実状
(インタビュー報告)
∼
記事5.
「海上運送書類に関する手続き簡素化に向けた調査研究委員会報告書」の概要
(その①) …………………………………………………………………………… 8
記事6.出港前報告制度に関する情報提供
(その①)……………………………………… 13
記事7.国連CEFACTからのお知らせ ……………………………………………………… 18
記事8.
『ばいざういんどせいらー』
日本列島船の旅〔東京・阪神∼奄美群島∼沖縄航路、鹿児島∼奄美群島裏航路〕… 20
=JASTPRO広報誌電子版のご案内=
裏表紙にJASTPRO広報誌電子版のご案内を掲載しておりますので、ご参照下さい。
J AS T P RO
記事1. 平成26年度 事業計画
平成 26 年 3月27日(木)に開催しました第 2 回定時評議委員会におきまして、平成 26 年度事業計画が審議
され議決されましたので、その事業計画の概要を報告いたします。
事業計画は、①広報等普及事業、②日本輸出入者標準コード事業及び③その他の事業で構成されて
います。
〔事 業 計 画〕
1.広報等普及事業
(1)広報普及事業
イ 国連 CEFACT が推進する貿易関係手続の電子化及び電子商取引のための国際標準化の動向及
び各種勧告並びに我が国及び諸外国の法令、手続き、政策の動向等の情報を収集し、当協会が発
行する広報誌(月刊 JASTPRO 等)及びホームページ上に編集・掲載するとともに、当協会の賛助会員
はもとよりこれらの動向等に関心を有する関係団体・機関、企業等に幅広く配布する。
また、国又は関係団体が主催するセミナー、各種研修等に講師を派遣するなど、貿易関係手続の
簡素化・電子化に関する普及促進活動を行う。
ロ 国連における貿易手続簡易化に向けた作業は、1960 年に国連 ECE(国連欧州経済委員会)
に貿易
手続簡易化作業部会(UNECE/WP.4)
を設置して以来、数度にわたる組織改革・変更を経つつ、活
動を継続的に実施してきている。
国連 CEFACT が歩んできた貿易関係手続簡素化の歴史については、平成 15 年度事業においてそ
の概要を要約し報告書として作成したところであるが、その後の10 年間における国連 CEFACTの活
動等を盛り込んだ新たな「国連 CEFACT 活動のこれまでの歩み
(仮題)」
を作成し、関係機関・団体
等へ広く配布する。
(2)制度・電子化調査研究事業
イ 貿易関係手続に係る国内外での電子化推進状況の調査
平成 26 年度においては、商取引における必須書類であるインボイスに係る電子化の進展等について、
諸外国特にアジア地域での実態(候補地:シンガポールを予定)
を調査する。
ロ 出港前報告制度(日本版船積 24 時間前ルール)
に関する情報提供
平成 26 年度においても引き続き、本制度実施に関するNACCS への電子的報告の適切な運用や
サービスプロバイダーを活用した円滑な運用、更には税関当局からの運用方針の改定等、関係業界等
への制度の円滑な移行とその定着に向けた一助とするための情報発信を行っていく。要すれば、各種
意見等を要約し、関税局等へ提出することも考慮する。
ハ 国連 CEFACT日本委員会の活動
国連 CEFACT日本委員会(JEC)
は、我が国において国連 CEFACT が開発する勧告や標準の普
及・促進活動を支援するための組織として、1990 年に我が国の関係業界団体、企業等により設立され
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たものである。本委員会は、総会(年 1 回)及び運営委員会(年 2 回程度)
で構成され、それぞれ国連
CEFACT 総会に向けた審議、及び国連 CEFACT が進める国際標準化に向けたプロジェクトや各種
勧告に関する我が国関係業界の意見の集約等を行うべく活動を展開している。
当協会は、本委員会の事務局として、平成 26 年度においてもこれまでの活動を継承し、時宜に応じ
た適切な対応を行っていく。
《国連 CEFACT 総会等の開催》
○第 23 回国連 CEFACTフォーラム
(ジュネーブ、スイス)
:平成 26 年 4月7日
(月)
∼ 11日
(金)
○第 20 回国連 CEFACT 総会(ジュネーブ、スイス)
:平成 26 年 4月10日
(木)
∼ 11日
(金)
○第 24 回国連 CEFACTフォーラム
(ニューデリー、インド)
:平成 26 年 10月27日
(月)
∼ 31日
(金)
(3)国際機関との連携推進事業
当協会が我が国の窓口として機能する国連 CEFACTとの連携推進はもとより、我が国の貿易相手国と
してウエィトが高いアジア太平洋地域との貿易関係手続の簡素化と電子化を促進するため、AFACT 活
動への参加をはじめ国連 ESCAP(国連アジア太平洋経済社会委員会)が開催するAPTFF(アジア太
平洋地域の貿易手続簡易化と電子化を促進するための会議)等必要に応じ参加していく。
《平成 26 年度実施事業の概要》
イ AFACT 会議への参加
○第 32 回 AFACT 中間会議(チェンマイ、タイ)
:平成 26 年 5月29日
(木)∼ 30日
(金)
○第 32 回 AFACT 総会(バンコック、タイ)
:平成 26 年 11月開催予定
ロ 国連 CEFACTアジア太平洋地域ラポータへの活動支援
国連 CEFACTは、国連の場で合意された国際標準や諸勧告を世界的に普及・促進等を図るべく、
各地域にラポータを選任(現状はアフリカとアジア太平洋の2 地域)
し活動を展開している。
当協会は、アジア太平洋地域における貿易関係手続の簡素化及び電子化の推進が我が国にとって
も重要であるとの認識に立ち、また、AFACT 加盟各国からの強い要請を受けて当協会の業務一部長
をアジア太平洋地域ラポータに推挙し、第 19 回国連 CEFACT 総会(平成 25 年 6月)
において任命さ
れた。
同ラポータは、任期 2 年目となる本年も昨年同様 AFACT 会議等への積極的な参画、各国の貿易
関係手続の円滑化と電子ビジネスの普及・促進に向けた諸活動が要求されるところ、当協会としても同
ラポータの活動を支援していく。
ハ その他会議等への参加
国連 ESCAPは、アジア開発銀行の協賛により、アジア太平洋地域の貿易関係手続簡素化と電子
化を促進するためのAPTFF(Asia-Pacific Trade Facilitation Forum)
を開催し、また、アジア太平
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洋地域の発展途上国を中心とした国際標準に基づく電子取引
(Paperless Trade)
の促進と、貿易手
続のシングルウィンドウ化の促 進を目的とするUNNExT(United Nation Network of Expert on
Paperless Trade in Asia and the Pacific)
を組織するなど、アジア太平洋地域で貿易手続の簡素
化、電子化の推進に取り組んでいる。
平成 26 年度においても必要に応じ当協会の職員等を派遣し、同地域での貿易関係手続の簡素化、
電子化等に向けた活動に貢献していく。
2.日本輸出入者標準コード事業
日本輸出入者標準コード(以下、
「コード」という。)は、我が国において輸出入業務を行う当事者を特定す
る最も基本的なコードであり、NACCSの利用者(税関、通関業者、船会社、航空会社、倉庫業者、運
送業者、銀行等)はこのコードを入力することにより、貿易業者名等を識別して、入出力や検索が出来ること
となっている。
平成 26 年度においても、このコードの発給及びその保守管理を行うことにより、税関に対する輸出入申告
のみならず、貨物管理、船荷証券の作成、関税等の口座振替、各種帳票類の作成等の処理が効率的に
行われ、通関手続きの簡素化はもとより、国際物流の迅速化の実現に資するよう更なる利便性の向上に努め
ていく。
3.その他の事業
○セミナー等開催事業
平成 26 年度においては関係団体等の助成を得つつ、世界的な経済連携の進展に伴い、貿易関係手続
の電子化と多国間での電子データ交換の重要性が高まりつつある中、主としてアジア地域における多国間貿
易関係電子データ交換の実態、貿易取引を巡る国内外の新たな諸施策・制度の検討状況等に関する情報
を提供することを目的に、講師を招へいしてセミナーを開催する。
また、必要に応じて地方の主要都市でセミナー及び講演会も開催する。
以上
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記事2. 国連CEFACT 第20回総会の報告
国連 CEFACT 総会が 2014 年 4月10日(木)∼ 11日(金)の間、国連欧州本部(ジュネーブ・スイス)にて
開催されました。詳細な内容については次月号にて掲載致しますが主要な決議事項等につきまして簡単にご紹
介致します。
1.出席者 総勢 62 名
(事務局より入手の参加者リストによる。)
参加国 23 ヶ国及び 5 組織(EU, GS1, ISO, WCO, UNECE)
なお昨年 6月に開催された前回総会は22 ヶ国でしたので出席国数はほぼ同数でした。
2.総会にて決議された主な事項は以下のとおりです。
2-1 UNECE 勧告第 14 号改訂版の承認
元の勧告第 14 号『署名以外の方法による貿易書類の認証』は1974 年に発行されました。
その後、電子化技術の進展に伴い多種の署名方法が出現しており、今回承認されました改訂版は本
文の訂正、ガイドラインや参考資料の追加などが織り込まれています。またタイトルについては『貿易書類の
認証』
と訂正されました。 2-2 国連 CEFACT 副議長改選
現副議長は2011 年に9 名が選任され、3 年間の任期が終了しました。
今回、改選にあたり、6 名を選任すると決定され、その後の投票の結果、下記の方々が選任されました。
任期は3 年です。
Tahseen A.Khan 氏
(インド)
再任
Rafffaele Fantetti 氏
(イタリア)
新任
Harm Jan Van Burg 氏 (オランダ)
再任
Estella Igwe 氏
(ナイジェリア) 新任
Anders Grangard 氏
(スウェーデン)新任
Lance Thompson 氏
(米国)
新任
2-3 国連 CEFACT 活動計画
2014 年活動計画が事務局案どおりで承認されました。従来、活動計画は2カ年毎に策定されてきまし
たが、副議長職の改選に伴い、新たなビューロ体制のもとで検討した上で、次回総会に2015−2016 年
の2カ年にわたる活動計画を提案する予定であるとのビューロからの報告がありました。
以上
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記事3. 第23回国連CEFACTフォーラム開催の報告
国連 CEFACTフォーラムが 2014 年 4月7日(月)
∼ 11日(金)の間、国連欧州本部(ジュネーブ・スイス)にて
開催されました。詳細な内容については次月号にて掲載致しますが、各企画開発領域(PDA)において検討さ
れました活動のテーマを簡単にご紹介いたします。
1. 出席者 総勢 151 名(事務局より入手の出席者リストによる。電話会議による参加者を含む。
)
参加国 29 ヶ国及び 7 組織(WCO, IATA, FIATA, ISO, GS1, FAOその他)
なお、今次フォーラムは参加国、参加人数ともに、2013 年10月開催の前回(第 22 回)フォーラム(21カ国、
81 名)を大幅に超え、熱心な討議が行われました。
2.各グループの活動テーマ等
2-1 貿易および運輸円滑化企画開発領域(PDA)
・Consultation Approaches
・シングルウィンドウ相互運用性
・貿易円滑化における官民協力(PPP) 等
2-2 サプライチェーンPDA
・Cross Industry Invoice
・eTendering ebXML
・Contract Financial Excution Management
・Government Procurement
・Purchase Order Financing
・Journal Book 等
2-3 行政 PDA
・eProcurement 等
2-4 産業別特化 PDA
(Agriculture Domain)
・Fisheries Language for Universal eXchange(FLUX)
・Animal Traceability 等
(ユーティリティDomain)
・Reutilization of Data from Utility Management System
・Alignment of Master Data for Metering Point and of Measured Data in the deregulated
Energy Market
(旅行・観光 Domain)
・Small scaled Lodging House パイロットプロジェクト
・Destination Travel Information 等
以上
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記事4. 国連 LOCODEを有効に利用しましょう!
(その③)
∼ 国連におけるUN/LOCODE 管理の実状
(インタビュー報告)
∼
世界各国から寄せられるUN/LOCODE(国コード2 桁+英数字 3 桁の地名コード)の新規採番や既存コード
の変更の申請(DMRと呼んでいます)は、ジュネーブにあります国連欧州本部の国連欧州経済委員会
(UNECE)のスタッフが一括受け付け管理しています。
当協会は、ジュネーブで開催された第 23 回国連 CEFACTフォーラム(2014 年 4月5日∼ 11日)に出席したの
を機会と捉え、UN/LOCODE 担当者に日常の業務や抱える課題について1 時間半ほどインタビューをしてまいり
ましたのでご報告します。
写真の右の方が Yan ZHANGさんでUN/LOCODEの管理を一人で担当されています(なお、向かって左の
方はAmelia Delle Foglieさんです。お二人とも国連 CEFACTの運営の事務局として国連 CEFACTの活動
を支える縁の下の力持ちです。)。
1.UNECE の日常業務の内容
世界各国からの新規コード申請、既存コードの変更などおおよそ年間 6,000 件∼ 8,000 件のDMRを一人
で、ほとんどフルタイムで対応しています。
UN/LOCODEに関するFocal Point(FP)は、日本はもとより、中国、韓国、ニュージーランド、ギリシャ、
エストニアに置かれています。当該国のUN/LOCODE に関するDMRについては半年に1 回、該当国の
FPに送り、各 FPにてその適正性を確認した結果の報告をもとに公開しています。なお、日本に関しては双
方で打ち合わせの結果、2014 年 1月分から3 ヶ月毎に当協会に送付し、当方にて速やかに確認する手順に
て運用を開始しました。
一方、FP がない地域についてのDMRは、緯度経度に基づく当該地名の存在確認と既存コードで示され
た地名との重複の有無を確認した上で、承認しているとのことです。
本来、この一連の作業は当該国の事情に通暁したFPを各国に設置することが望ましく、今次フォーラムと
同時期に開催された第 20 回国連 CEFACT 総会では、国連 CEFACT 事務局の統轄責任者から各国の
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代表団長に対してFPの設置の必要性を呼びかけました。出席の代表団長、また、FIATA からは、UN/
LOCODEは貿易業務運営上、極めて重要でありその維持・管理のためにFPを設置することの必要性につ
いて理解したとの発言がありました。UNECEに於いて新規申請の諾否を判定するおおまかなルールはあるも
のの、FPを設置する国においては各国の事情に合わせた詳細な判定ルールを独自に設定しているとのこと
で、例えば中国では広大な国の中で原則として既存コードでカバーできる場所については更なる細部の地点
のコードは認めない、といった運用をしているとのことです。逆に、FPの設置されていないフランス、ドイツ、
米国では既に無制限にコードが登録されており、国名 2 桁+3 桁のコード体系の中で3 桁のアルファベットに数
字を取り込んでいるにも拘わらず、もはや空きの番号枠が乏しくなってきているとのことです。
2.抱える課題とその対応
a)各国にFocal Pointを設置し、コードの判定にかかる質の向上と、UNECEの作業負担の軽減に努めた
いとのことです。
b)特に、既に限界に近づいているフランス、ドイツ、米国にFP が設定されていれば各国で対応策を考えてく
れるのではないかと期待しているとのことでした。
当方から、コード体系を現状に据え置いたままで今後とも各国で対応することは、不要なコードを削除した
としても簡単ではなく、担当部署として国連 CEFACT がより効果的な方策を図るよう国連 CEFACTビュー
ロに働きかけることがまず重要ではないかという意見を伝えました。
c)今後も、申請においては全てWeb siteに掲載した既存の手順を利用するよう申請者等に要請していきたい
とのことです
(http://apps.unece.org/unlocode/)
。
現在、申請は7 割強が上記 Web Siteの手順によるものです。残り3 割は依然としてメールなどにより申請
があるため、都度、Web Site 経由で申請するように誘導しているものの、例外的に、担当者がシステム
に代行入力しているケースもあるとのことです。
d)この度、JASTPROとの間で開始した運用手順は応分に業務を軽減することができ大変有意義であると
のことです。但し、現行システム利用を継続する限り、現在の運用要領以上の相互の業務効率化の方
策は思い当たらないとのことです。
e)将来、費用対効果が見合えば、現行手順とシステムの見直しを行った上で、より効率的な手順の見極め
と、それを実現するためのシステム再構築に向け検討していくとのことです。
当協会は、今後もUNECEの担当部署との連携を維持・強化することで、世界中のUN/LOCODE 利用者
にとっての利便性を高めていく所存です。
以上
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記事5.「海上運送書類に関する手続き簡素化に向けた調査研究委員会報告書」の概要
(その①)
当協会は、国連欧州経済委員会に設置された国連 CEFACT(貿易の円滑化と電子ビジネスのための国連
センター)の我が国の窓口機関として、これまで貿易手続の簡素化・標準化に向けた活動に積極的に参画する
とともに、種々の調査研究活動を行い、その成果を行政機関等はもとより関係団体、企業等に提供させて頂い
ております。
平成 25 年度におきましては、
「海上運送書類に関する手続き簡素化に向けた調査研究」と題しまして、関係
業界等のご協力のもと調査委員会を設置し、海上運送書類(船荷証券(B/L:Bill of Lading)
と海上貨物運
送状(SWB:Sea Waybill))の利用に際しての、問題点や課題等についての実態を報告頂くとともに、海外(中
国)での実態等を調査するなど、その手続き簡素化に向けた調査研究を行いました。
この度、国際サプライチェーンに関与する全ての関係者の皆様に、今後、SWBの使用を選択肢として採用
するよう検討して頂き、かつ、SWBの利用促進に繋がるよう環境整備に努められることを提言内容とする「報告
書」をとりまとめましたので、ここに同報告書の中の「第三部 まとめ」部分を連載させていただきます(報告書
の全容はJASTPROのHPに掲載させていただいております。)。
今回の調査事業が、皆様方の貿易関係手続における更なる効率化と迅速化に少しでも参考になれば幸い
に存じます。
「海上運送書類に関する手続き簡素化に向けた調査研究委員会報告書
(抜粋)
」
第三部 まとめ
Ⅰ 海上運送書類に係る現状等
1.1 SWB の増加を促す3 要素
(この部分はなぜ現在 SWBの使用が増える傾向にあるのか、なぜその時流を更に促進する必要がある
のかを、チャートを使用して説明したものです。図の説明が中心となっていますので、チャートと見比べなが
らお読み願います。)
SWB が更に使われるようになる要素として次の3 つが考えられます。
① B/L が本船の到着に間に合って届かないという、いわゆるB/L Crisis への対応
② B/Lは有価証券であるというだけで、手間とコストが掛かるのを軽減する手立て
③ 船積書類一式を電子化する場合、有価証券が含まれることによりシステムが重装化するのを回避する
手立て
これら3 つの要素は相互に密接な関連を持っていることを示したのが次のチャートです。
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少し太めの線で囲んだのが環境の変化に関わるものですが、右下を見ますと貨物のコンテナ化や本船
巡航速度の高速化とあります。これがその上の囲みにある航海日数の短縮とこれに伴うB/L Crisisの原因
となる訳です。
その上に並べています「SWB」、
「サレンダー B/L」、
「保証状で貨物引取」、
「B/Lの揚地直送」、
「B/L
の揚地発行」は、このB/L Crisis への対応手段となります。
右上に「一般的な取引」とあり、そこから左に向けた矢印の先に、環境の変化を示すものとしてグローバ
ル化した企業の増大や国際 Supply Chain Managementの発展とあります。
これらの環境の変化によって「グループ内の貿易」が増大することとなりますが、グループ内貿易の場合、
与信の問題などない訳ですから、いきおい送金やオープンアカウントでの決済が増えることになります。いず
れにせよL/CやD/A、D/Pの決済ではありませんから、L/Cのためのネゴ書類として、あるいは荷為替手
形取立のための船積書類として、仲介する銀行に有価証券であるB/Lを提出する場面はない訳です。
B/Lですと書類の管理に相応の手間がかかり、郵送料金等の費用が発生しますから、貿易実務の簡素
化とコスト削減のためには、わざわざ B/Lを使わなくても流通性の無いSWBで十分という考えが出てきます。
このようにSWBの使用には、
「B/L Crisis 対応手段として」と「貿易実務のコストダウンとして」の二つの
面が並立されています。
更に貿易実務の簡素化・コストダウンということになりますと、貿易文書と送達の電子化がとりあげられま
す。チャートの左側にまとめてあります。
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貿易文書の中でインボイスやパッキングリストは内容が完全にかつ改ざんされることなく相手に伝送され、
受信者が誰からの送信かの確認ができれば、実質的な要件はそれだけで一応達せられると言えます。し
たがって、極端な話、FAXやe-mail でもそれらを送ることができます。しかしここにB/L が含まれることに
なると、話は何倍にも複雑で困難になります。B/Lは貨物と同等の価値を持つ流通性のある有価証券で
すから、たとえ電子 B/L であれ、B/Lの今現在の正当かつ唯一の所持人は誰なのかが誰が見ても明らか
となる仕組みが必要となります。これだけでシステムの規模は相当に膨れ上がりますし、トラブル発生に対
応する法的枠組みも、国際的にしっかりと構築しておく必要が出てきます。かと言ってB/Lだけは紙で従
来通りなどということになると、一件の取引に関わる貿易文書に紙と電子の書類が混在することになり、却っ
て面倒だということにもなりかねません。
これが B/L ではなく、SWBということですと、もともと流通性がある訳でもありませんから、インボイスやパッ
キングリストと同等の扱いで十分ということになります。即ち電子化という局面においても、SWB が有利とな
ります。因みに銀行が進めるTSUは、商品代金の決済と、貨物の運送・引渡しを切り離してしまう訳です
から、B/L でもSWB でも輸出入者の都合のよい方法でやればよいということになります。
またBOLEROなどは、正面からB/Lをそのまま電子化する考え方で、それを可能とする強固なプラット
フォームと各国法とは別に利用者間で遵守の合意が要求されるルールブックが提供される形がとられます。
チャートの右側に纏めたのが、通常のB/Lを使用した一般的な、対等な当事者間の取引に関する話と
なります。この部分ではグループ内の取引のように、商品代金の決済の心配が無いというようなことにはなり
ません。したがって、L/C 付き、あるいは D/A、D/Pによる決済が多くなります。これらの決済方法の下
で重要な書類が、貨物と等価の有価証券であるB/L です。契約条件に則った支払作業が履行されるの
と引き換えに、貨物の引取りに必要なB/L が銀行から荷受人に渡されるのが基本となります。しかし貨物
を積載した船舶は、B/Lの流通とは関係なしに航行する訳ですから、B/L が本船到着に間に合わない
B/L Crisis が起こり得る訳です。
一番右に記載した「保証状で貨物引取」を行う場合の流れから順次左に説明を進めます。
L/C 決済条件の場合、決済仲介をする銀行は貨物の上に抵当物権を設定するのが常となります。その
ため普通はどうしてもB/L 原本のフルセットが必要となります。通常のB/L が発行された状態でB/L Crisis
が生じた場合の対応法として採られているのが、荷受人による運送人への保証状の差入れです。国連
ECE 勧告 12 号では18 ∼ 20 項において、
「保証状はコストの高い解決法」だと言っていますが、どうも実態
としては、少なくとも日本では、頻繁に起きうる事態への対処といった意味からか、包括的な取り決めが行
われるケースがあるようで、その場合大きな費用負担といった状況にはならないようです。しかし別の問題と
して、このような保証状の有効性については疑義もあるようで、輸出入手続きにB/Lを必要とする国の中に
は、B/L Crisis が起きた時には保証状で対応するようにと、わざわざその有効性にお墨付きを与えている
ところもあるようです。
B/Lを必要とする契約条件でありながら、一方でB/L Crisis が起きることが予見される場合、上記の
保証状方式の他に、B/L 原本一通を、銀行を通さずに、荷送人から荷揚地の荷受人に直送する、ある
いはB/L 原本を、貨物の積地ではなく、荷揚地の運送人支店・代理店で発行するといったやり方も行わ
れます。これらの場合、荷受人は銀行からの抑止を受けることなく、手元にあるB/L で貨物の引取りが可
能となる訳ですから、銀行は別の形で荷受人に代金決済を促す手段を持つ必要性がでてきます。即ち、
荷受人から別途保証金の積み立てを受けるとか、場合によっては担保を採らず逆に荷受人に銀行の与信
̶ 10 ̶
J AS T P RO
枠を与える、あるいはこれらを併用することもあると思います。
銀行が代金決済を促す手段にB/Lではなく、別の手段をとるとか、あるいは荷受人(輸入者)が直接
貨物を受取ることについて銀行がこれを許容する与信を供与するというなら、何もB/Lを使用しなくてもよい
ではないか、という見方もでてきます。それが SWBに向けて伸びた矢印です。確かに取扱いに相応の注
意が必要なB/Lを使わずにSWBに切替えるというのは、このケースでは非常に有力なオプションとなります。
B/Lを使用するとB/L Crisis が予見されるのでB/Lは使用しない、L/C 開設銀行からの与信枠拡充
も行わない、といった状況でもL/Cを開設できる可能性として考えられるのが、Air Waybill でよく使われて
いる方式をSea Waybill にも使用することです。Air Waybill では宛先(荷受人)を貨物の実際の荷受人
ではなく、仲介する銀行宛とし、荷受人(買主側)による貨物代金の決済が銀行に行われたところで銀行
から荷受人に貨物引渡指図書(Release Order)が手交され、この引渡指図書を運送人に提示すること
で荷受人は航空運送人から貨物の引渡を受けるという運用方式が採られています。この方式を適用する
時の銀行が必要とする要件も既に確立されていますので、これをSWBの時にも準用することになろうかと
思われます。これが L/C 決済欄でSWBに向かう流れです。
ただし、荷送人が当初荷受人として銀行を指定したにも拘わらず、例えば CMIルールに則り実際の荷
受人名に変更してしまっては、銀行は貨物の処分権を失ってしまいますので、銀行を荷受人に指定する
ケースでは、同時に荷送人による荷受人変更権の放棄を確認する必要があります。即ちSWBはCMIルー
ルに則ることと、
「NO-DISP」として荷送人の貨物処分権の放棄を明記しておくことが必要となります。
D/P、D/A 決済の場合は、銀行は荷為替手形の取立てを荷送人(売主側)から請負うだけですが、
荷受人(買主側)に有効な取り立てを行う手立てとして、B/Lを含む船積書類一式を荷送人から預かりま
す。荷送人の意を受けて、
「荷受人が契約条件にしたがって貨物代金を支払うか、荷為替手形に裏書し
て引き受けるかする」のと引き換えに、船積書類を荷受人に引渡すことになる訳です。したがって、B/L
Crisis が予見される場合の対応については、契約当事者である売主と買主が、取立銀行も交えて協議を
行う事で解決することになります。解決方法の一つは、貨物との引換による回収が運送人に義務付けられ
ているB/Lの使用を止め、そのような義務が課せられないSWBに切替えることです。しかしSWBに切替
えただけでは、仲介する取立銀行が、なす術も無いままに貨物が荷受人に渡ってしまう訳ですから、荷送
人(売主側)は代金回収リスクを負うことになります。このリスクを回避するためには、L/C 決済の最後に説
明したように、Air Waybill で日常的に運用されている宛先(荷受人)を貨物の実際の荷受人ではなく、仲
介する銀行宛とする方法を採るのが適当かと思われます。
売買当事者間で未だ信頼関係が成立していない場合は、B/Lを使用してL/C で決済するのが普通で
すが、B/L Crisis 等の問題が有り、B/Lを銀行経由で荷揚地に送っていては間に合わないといったケー
スでは、荷受人が荷揚地で運送人にB/Lを戻す(Surrender)のと引き換えに貨物を受取るのではなく、
B/Lは荷送人が船積み時に予め運送人に戻しておくやり方が、特にアジアを中心に、自然発生的に始まり
ました。これが Surrendered B/L ですが、B/L 原本を流通させずに前もって荷送人から運送人に戻して
しまう訳ですから、通常、ネゴ書類としてB/L が必要となるL/C 決済の採用は難しくなります。したがって、
送金などの他の方法が採られることになります。この方式では一旦積地でB/LをSurrenderしてしまうと、
荷受人は貨物の到着次第、何の制約も受けずに貨物を受取ることができますので、前金の送金で決済が
済んでいれば何の問題もありませんが、荷受人(買主側)が、船積が行われたことが確認されるまで貨物
代金を送金はしないといった場合、逆に、荷送人(売主側)に貨物代金回収に関わるリスクが生じます。
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この両者それぞれの立場におけるリスクを回避するため、B/LをSurrender するタイミングを調整するという
やり方が採られるケースがあるようです。即ち、荷送人は船積後 B/Lを入手しても直ぐにはSurrenderを
行わず、B/Lの写しをファックス等で荷受人に連絡し送金を促す。船積を確認した荷受人からの入金を確
認した上で荷送人が B/LのSurrenderを行うというものです。このようなことが行われていることはマレーシ
アからも連絡を受けています。これが「送金」の欄の中の左側の流れです。
しかしこれは「SWB では実現できない、Surrender B/L ならではの利点」なのかというと、必ずしもそう
ではありません。B/L ではなくSWBの発行を運送人に依頼した場合、船積と共にSWB が発行され、同
時にその旨が運送人の荷揚地の支店あるいは代理店に連絡されてしまいますので、タイミングを計る余地な
く、荷受人はその時点で、貨物到着次第、貨物の引渡を運送人から受ける権利を得ます。しかしSWB
の場合、上述の通り、SWBの国際統一規則(CMIルール)には、貨物が荷揚地に到着し、運送人が荷
受人から貨物引渡請求を受けるまでは、荷送人はSWBの宛先である荷受人を変更することができること
になっています。即ち荷送人の貨物代金支払い要求にも拘わらず、荷受人が送金を行わない場合は、荷
送人は荷受人そのものを変更するという対抗手段を留保することになります。これはSurrendered B/Lに
おける、Surrenderしないという対抗手段に相当するものと考えられます。
チャートの説明は以上です。
以上
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記事6. 出港前報告制度に関する情報提供
(その①)
当協会は、平成 23 年度の調査研究事業として「日本版船積み24 時間ルールに関する調査委員会」を設置
し、我が国へのこの24 時間ルール導入に際しての問題点等につき調査研究を行い、これを報告書として要約
し、財務省等関係機関に提出させて頂きました。
当協会としては、この調査委員会活動は終了したものの、その後においても我が国での積荷目録提出に
かかる船積み24 時間前ルール「出港前報告制度(AFR)」の導入に向けた諸情報を関係者等に提供して参り
ました。
本件「出港前報告制度」につきましては、既に平成 26 年 3月10日以降施行(実施)
されておりますが、当協
会が本制度に関する事業を継続して実施してきたこともあり、協会に対しその運用に不安を抱える事業者から
問い合わせも散見されております。
このため平成 26 年度においても継続して、本制度実施に関するNACCS への電子的な報告やサービスプロ
バイダーの運用、更には税関当局の対応等、国内関係業界等への制度の円滑な移行に向けた一助とするた
めの情報提供を引き続き行っていくこととします。
まず始めに、関税局及び NACCS では制度運用に関する「出港前報告制度に関する主な質問及び回答
(FAQ)」について、平成 26 年 3月付けで更新された内容をご紹介させていただきます。
(詳細は、http://www.customs.go.jp/news/news/advance3_j/04.pdfを確認ください。)
(平成 26 年 3月更新された箇所)
《関税局の FAQ》
問 13.荷受人欄については、
「to order」の報告が認められるのか。もし、
「to order」の報告が認められる場
合には、荷受人名欄にのみ「to order」
と入力して報告することで良いか。
(回答)関係事業者へのヒアリング結果を踏まえ、着荷通知先欄において、具体的な名称、住所及び電話
番号を報告していただくことにより、荷受人欄について「to order」で報告することを認めます。
なお、この場合、荷受人名欄及び荷受人住所欄に「to order」
を入力するほか、荷受人国名コード
欄に着荷通知先と同じ国名コードを入力して報告して下さい。
問 14.代表品目番号(HSコード6 桁)欄については、諸外国から報告義務者が報告を行う場合、対応が困
難ではないか。
(回答)代表品目番号(HSコード6 桁)
については、税関のリスク分析を実施する上で必要な項目であり、世
界各国で利用されているコードであることから、輸出地で適用されるコードでの報告を行う対応をして
いただくことが可能であると考えています。
問 15.品名欄について、代表品目番号の報告があれば具体的かつ詳細な品名の記載は不要ではないか。
(回答)品名については、税関のリスク分析を実施する上で必要な項目であり、積荷の内容を容易に特定でき
るよう、具体的かつ詳細な品名(一般名称又は商品名)
を記載していただきます。また、複数の品目
がある場合には、代表品目だけでなく複数の品名を350 桁以内で可能な限り記載していただく必要が
あります。
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問 21.システムダウンにより、報告期限までに報告ができない場合には、どのように対応すれば良いのか。
(回答)あらかじめ指定した税関の連絡窓口に連絡の上、電気通信回線の故障等によりNACCSを使用して
電子的に報告することが困難な場合として、税関が認めた場合には、税関からの指示に従い、報告
期限までに書面により報告を行う必要があります。(具体的な対応方法及び連絡先については、税関
ホームページ: http://www.customs.go.jp/news/news/advance3_j/shiryo01.pdf を参 照くだ
さい。)
ただし、地震等の自然現象の異変による災害又は戦争等の人為による異常な災害により報告を行うこ
とが困難な場合には、報告が免除されます。
問 31.報告期限に関する不一致通知があった場合には、自動的に「SPD」の事前通知が行われるのか。ま
た、当該不一致通知があった場合には、税関に対して、あらかじめ連絡をする必要があるか。
(回答)税関では、不一致通知の内容を精査した上で、報告期限までに報告がなされていないことを確認し
た積荷について、オーシャン
(マスター)
B/Lに基づく積荷情報の単位で「SPD」の事前通知を行いま
す。したがって、報告期限に関する不一致情報が通知された場合であっても、税関に対してあらかじ
め連絡をする必要はありません。
(具体的な対応方法については、税関ホームページ:
http://www.customs.go.jp/news/news/advance3_j/shiryo02.pdf を参照ください。)
問 55.税関からのリスク分析結果の事前通知には、具体的な指示事項が記載されているのか。また、HL
D等の税関からの事前通知に関して、問合せを行う場合にはどうすればよいのか。
(回答)税関からのリスク分析結果の事前通知を受けた場合には、事前通知件名欄及び通知(指示)内容欄
に記載された内容をご確認の上、必要な対応をして下さい。また、事前通知に関するお問い合わせ
は、当該事前通知に記載される連絡先へご連絡下さい。なお、お問い合わせへの対応につきまして
は、日本語と英語のみとしております。
問 61.B/L番号欄について、NACCSの業務仕様書上は、35 桁となっているにもかかわらず、実際には
20 桁以内でなければエラーとなるのはなぜか。
(回答)現在、後続業務への影響を考慮して積荷目録情報登録(MFR)業務や混載貨物情報登録(NVC
01)業務におけるB/L番号欄と同様に入力可能な桁数を20 桁にシステム的に入力制限をしています
が、平成 29 年に予定されているNACCSの更改時には、35 桁入力できるようにする予定です。
「出港前報告制度の導入について
(手引き)」の入力項目表
問 62.B/L番号は、税関HPに掲載されている
に示されているとおり、先頭 4 桁のNACCS用船会社コード又はハウスB/L用コードを除き、12 桁以
内で報告しなくてはいけないのか
(回答)手引きに記載される入力方法はコンテナー本数が 100 本を超える場合を想定した税関が推奨する入
力例であり、当該番号体系とは異なる報告をしていただいたとしても再報告や修正を求めることはあり
ません。したがって、コンテナーの本数が 100 本を超えない場合には、先頭4桁のNACCS用船会社
コード又はハウスB/L用コードを除き、16 桁以内で報告して差し支えありません。なお、B/L番号は
重複することがないよう、20 桁(NACCS用船会社コード又はハウスB/L用コードを含む)
の範囲内で
報告を行うとともに、報告に使用したB/L番号情報を関係者(特に後続業務を利用する者)
と情報共
有をして下さい。
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問 63.荷送人コード欄又は荷受人コード欄若しくは着荷通知先コード欄に入力する輸出入者コードは何処か
で確認することができるのか。
(回答)荷送人コード欄又は荷受人コード欄若しくは着荷通知先コード欄に入力する輸出入者コードは、運送
契約の際に確認のうえ、報告をしてください。
問 64.他の運送取扱事業者から運送を委託された貨物の場合において、「出港前報告(ハウスB/L)
(AHR)」業務の報告項目である荷送人及び荷受人に関する情報は、運送委託を受ける際に実際の
輸出入者に関する情報を入手して報告しなくてはならないのか。
(回答)報告義務者である外国貿易船の運航者等(船会社等)
と運送契約を直接締結する利用運送事業者
は、他の運送取扱事業者から貨物の運送委託を受ける際に、実際の輸出入者に関する情報を入手
することができなかった場合、当該利用運送事業者が把握する荷送人及び荷受人に関する情報を
報告することで差し支えありません。
問 65.税関ホームページに掲載されているHSコード
(6桁)
の一覧表はどのバージョンを使用すればよいのか。
(回答)HSコードについては税関ホームページ上で公表していますので、最新のもののうち01 類から97 類ま
でのコード使用して報告してください。
http://www.customs.go.jp/tariff/index.htm(税関ホームページ)
問 66.複数の品目がある場合、代表品目番号欄には、どのHSコードを入力すれば良いのか。
(回答)数量の多い品目又は価格の高い品目のHSコードを1つ選択し、代表品目番号欄に入力して報告して
ください。
問 67.各国の在日大使館・領事館等の公的機関が輸入する公用品について、代表品目欄は何を入力すれ
ば良いか。
(回答)出港前報告制度において、公的機関が輸入する公用品(外交行嚢貨物のほか、協定に基づき米国
政府の船荷証券により運送される軍用貨物を含む。)
については、貨物の性質を考慮の上、品名欄
に公用品である旨を入力の上、代表品目番号欄には「000100」
を入力して報告願います。
問 68.コンテナオペレーション会社コード欄には、何を入力すれば良いのか。
(回答)コンテナオペレーション会社コード欄については、後続業務である入港前報告で必要な項目ですので、
出港前報告で報告した情報を引用して入港前報告を行う場合(「積荷目録情報登録(一括)
(MFI)」
業務を実施する場合)
には、あらかじめ入港前報告を実施する者から情報提供を受けて報告をしてく
ださい。したがって、
「積荷目録情報登録(一括)
(MFI)」業務を利用した入港前報告を実施しない場
合には、出港前報告での入力は不要です。
問 69.危険貨物等コード欄、IMDGクラス欄及びUN No欄は、該当する危険貨物の場合にのみ入力すれ
ば良いか。
(回答)IMDGクラス欄及びUN No欄は、該当する危険貨物の報告を行う場合には、必ず入力してください。
一方、危険貨物等コード欄は、後続業務で使用する項目のため、出港前報告においては入力不要
です。
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問 70.複数のIMDGコードに該当する品目がある場合、IMDGクラス欄及びUN No欄には、どのIMDGコー
ドを入力すれば良いのか。
(回答)NACCSセンターの出港前報告制度掲示板のコード集で公表されているIMDGコードに該当する品目
のうち、数量の多い品目又は価格の高い品目のIMDGコード
(IMDGクラス及びUN No)
を1つ選択し、
IMDGクラス欄及びUN No欄に入力して報告して下さい。
http://www.naccscenter.com/afr/codej.html(出港前報告制度掲示板)
問 71.
「出港前報告(AMR)」業務について、共同運航の場合、船舶を運航する船会社が取りまとめて報告
するのではなく、本船利用船会社単位に報告することとされているが、他の船会社が運航する船舶
の船腹を借り受けて運送する場合(共同運航ではない場合)
にも、船腹を貸した船会社ではなく、船
腹を借りる船会社が報告することとしても良いか。
(回答)船腹を貸した船会社と調整の上、実際に貨物の運送契約をする本船利用船会社が「出港前報告
(AMR)」業務を実施して差し支えありません。なお、本船利用船会社が「出港前報告(AMR)」業
務を実施した場合には、本船利用船会社単位で「出港日時報告(ATD)」業務を実施していただく必
要がありますことにご注意ください。
問 72.マスターB/L及びハウスB/Lの船舶情報が異なる場合の船舶情報不一致の不一致情報は、どのよ
うな場合に出力されるのか。
(回答)関連するマスターB/Lに基づく積荷情報とハウスB/Lに基づく積荷情報の報告項目のち、
「船舶コー
ド」、
「航海番号」、
「船会社コード」、
「船積港コード」及び「船積港枝番」のいずれかの項目の報告内
容が異なることをシステム的に確認した場合に、
「出港日時報告(ATD)」業務の実施者に対して不一
致通知を行います。
したがって、当該不一致通知が出力された場合、「出港前報告(AMR)」業務の実施者又は「出港
前報告(ハウスB/L)
(AHR)」業務の実施者は、正しい船舶情報での再報告を行う必要があります。
問 73.税関からSPDのコードを付した事前通知を受けたが、「出港日時報告(ATD)」業務の入力ミスである
ことが判明した場合、どのように対応すれば良いか。
(回答)
「出港日時報告(ATD)」業務により出港日時を訂正したうえで、事前通知に記載された連絡先の税関
に対して入力ミスである旨を説明し、当該SPD通知の解除を受けてください。
問 74.自社システムの定期保守時間に報告期限が到来する場合には、NACCSへの報告が行えないことが
想定される。この場合、電気通信機器の故障として、税関からの指示にしたがって書面で積荷情報
の報告をすれば良いか。
(回答)このような場合、自社システムの定期保守時間までに報告を行っていただき、税関の報告期限を過ぎ
ないよう対応してください。
問 75.NACCSの定期保守時間については、電気通信機器の故障として書面での報告が必要か。それと
も、保守時間終了後に報告をすれば良いのか。
(回答)このような場合、NACCSの定期保守時間までに報告を行っていただき、税関の報告期限を過ぎない
よう対応してください。
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問 76.出港前報告した積荷情報の訂正は、
「出港日時報告(ATD)」業務が実施されるまで可能とのことであ
るが、船積港を出港して、
「出港日時報告(ATD)」業務実施後の運送契約の変更により、船卸地の
変更や荷受人の変更等が発生した場合には、どのように対応すればよいか。
(回答)
「出港日時報告(ATD)」業務実施後は、出港前報告した積荷情報の訂正ができませんので、このよ
うな場合、後続業務である
「積荷目録情報登録(MFR)」業務又は「混載貨物情報登録(NVC01)」
業務において、変更後の正しい内容を報告してください。
なお、税関では、このような場合において、出港前報告された積荷情報と後続業務で報告された内容
の相違点を認めた場合には、虚偽の報告をしたとして必要な調査を実施することがありますので、調
査の際には船積港出港後の運送契約の変更による旨の合理的な説明をしていただく必要があります。
問 77.
「出港日時報告(ATD)」業務実施後において、運送契約の変更により、
「出港前報告(AMR)」業務
で報告した内容に変更が発生した場合には、後続業務の「積荷目録情報登録(MFR)」業務により
変更後の報告を行うとのことであるが、変更内容がB/L番号の変更であった場合には、「積荷目録
提出
(DMF)」業務を契機に不一致情報が通知されることから、あらかじめ税関に連絡する必要はな
いか。
(回答)B/L番号が異なる場合には、
「積荷目録提出
(DMF)」業務を契機に不一致情報が通知されますが、
税関では、当該不一致情報のほか、報告された積荷情報の精査を実施して、報告期限までに出港
前報告がされているか否かを確認することとしています。したがって、B/L番号の変更が生じた場合
において、あらかじめ税関に連絡する必要はありませんが、税関からSPDのコードを付した事前通知
を受けた場合には、当該事前通知に記載される税関の連絡先に連絡し、船積港出港後の運送契約
の変更によりB/L番号の変更があり、別のB/L番号で出港前報告を報告期限までに実施済みであ
ることを説明の上、当該SPD通知の解除を要請して下さい。
問 78.
「積荷目録提出(DMF)」業務が「出港前報告(AMR)」業務又は「出港前報告(ハウスB/L)
(AHR)」業務に先行して行われてもNACCSで受付けられるのか。
(回答)
「積荷目録提出(DMF)」業務が「出港前報告(AMR)」業務又は「出港前報告(ハウスB/L)
(AHR)」業務に先行して行われた場合、出港前報告が未報告であるとして、システム上、不一致情
報は通知されますが、
「積荷目録提出
(DMF)」業務による入港前報告は受付けられます。
以上
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記事7. 国連 CEFACTからのお知らせ
6-1 2014 年 4月15日
「国境を越えた法律上重要で信頼された電子的情報交換を保証するための勧告」
プロジェクトへの参加募集。
国連 CEFACTの行政企画開発領域は国連 CEFACTビューローの決定を受け「国境を越えた法律上
重要な信頼された電子的情報交換を保証するための勧告」プロジェクトを発足させたことをご案内致しますこ
のプロジェクトの提案とその他詳細はここを検索してください(検索先の情報は国連 CEFACT Web ページ
をご参照ください。)。
このプロジェクトの目的は次のとおりです :
− 基本原理を公式化、及び貿易のシナリオの中での国境を越えた電子的情報交換の法的な重要性を可
能にするための調和するインフラストラクチャーの確立に関する勧告の準備。
− この主題においてUNECE 勧告のパッケージを特定するという見地から貿易のシナリオ中での国境を越
えた電子的情報交換用インフラストラクチャーの研究。
このプロジェクトへの参加募集は、データ伝送インフラ、電子署名や関連する認証局、メッセージ処理システ
ムの手法や技術の分野においての幅広い知識を持った専門家の方々に自由な参加を呼び掛けるものです。
各国 HODは、この世界的な参加を促進するために、この業務に参加する技術的な専門家をご存じの方々
の中から選任願います。
このプロジェクトの最初のミーティングは2014 年 4月7日∼ 11日にジュネーブにて開催される第 23 回国連
CEFACTフォーラムにて行われました。
参加にご興味のある方のご登録、及びより詳細な情報の照会につきましてはプロジェクトリーダーであるMr.
Alexander Sazonov, 氏までご連絡下さい。
6-2 2014 年 4月11日
「貿易円滑化と電子ビジネスのための国連センター
(国連 CEFACT)」の第 20 回総会は、30を越える国及
び国際組織から150 人の専門家が参加した第 23 回国連 CEFACTのフォーラムと並行して、4月10日から
11日までジュネーブにおいて開催されました。
2013 年 12月の貿易円滑化のWTO バリ協定に従い、その正式な発効のための準備が行われているなか
で、国際貿易の円滑化というゴールが世界的に認識され、またそれは政府や民間部門および市民にとってよ
り効率的、効果的なサービスを提供するための努力が傾注されています。
国連 CEFACTの国際貿易円滑化勧告および標準を提供してきた、長年の役割の価値について高い認
識が得られました。また、新たにWTO バリ協定の支持について注意が払われました。
国連 CEFACTの現在の議長 Stuart Feder 氏のリーダーシップの下、新しいマネージメントチームが選任
されました。チームのメンバーは、政府関係者の副議長として、Raffaele Fantetti 氏(イタリア政府)
、
Estelle Igwe 氏(ナイジェリア政府)
、Tahseen Khan 氏(インド政府)
、Harm Jan van Burg 氏(オランダ
政府)
、民間部門(政府によって指名されました)の副議長として Anders Grangard 氏(スウェーデン政府)
Lance Thompson 氏(アメリカ合衆国政府)です。彼らの任期は3 年間です。
次の国連 CEFACTのフォーラムは2014 年 10月、インド、ニューデリーで開催予定です。
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6-3 2014 年 3月28日
『標準への適合性と相互運用性について係わるドキュメント』
に関するプロジェクトへの参加募集。
国連 CEFACT 技術・手法企画開発領域は、標準化への適合性と相互運用性についての要件に係わる
ドキュメントの開始を承認したのでご案内します。このプロジェクトの提案とその詳細は以下を検索してください。
(検索先の情報は国連 CEFACT Web ページをご参照ください。)
このプロジェクトの目的は、適合性を自己診断した結果を調査するためにどのように記載されるべきか、また、
特に共通の意味情報を含めたいくつかの解決方法や、技術中立性に基づく再生可能なデータモデルに関して、
いかに標準が適用されているかの報告内容について透明性をどのように公開していくべきかを調査することです。
特にプロジェクトは以下に関する要件を文書化します。
− ユーザーコミッティーが相互運用性を促進するために標準に係わる適合性を特定し宣言できるための方法。
− 適合性の自己診断結果の記述が標準の導入や標準の利用に係わる透明性を改善するためにいかに
公示すべきか。
このプロジェクトへの参加は、貿易円滑化と電子ビジネスにおいて、クロスドメインやクロスボーダーの要件
や解決方法についてビジネス標準と手法のエリアの幅広い知識を持ったエキスパートの方たちに自由な参加
を呼び掛けるものです。
このプロジェクトの最初のミーティングは2014 年 4月7日∼ 11日にジュネーブにて開催される第 23 回国連
CEFACTフォーラムにて行われます。
参加にご興味のある方のご登録、及びより詳細な情報の照会につきましてはプロジェクトリーダーである
Jostein Frømyr 氏までご連絡下さい。
6-4 2014 年 3月20日
『Journal Book(会計仕訳帳)』
プロジェクトへの参加募集。
国連 CEFACTの産業別特化企画開発領域であるサプライチェーン管理領域(ドメイン)
は国連 CEFACT
ビューローの決定を受けJournal Book(会計帳簿)のプロジェクトを開始します。このプロジェクトの提案、参
加に関する情報その他詳細はここを検索してください。
(検索先の情報は国連 CEFACT Web ページをご
参照ください。)
このプロジェクトの範囲は簿記、会計処理、監査処理に必要とされるような仕訳帳にてソートされた標準的
な会計簿を構築することにあります。
会計簿のアーカイブに特別な注意が払われています。このプロジェクトは伝票や期間あるいは相手先毎によっ
てソートされたエントリーに対応する現行の国連 CEFACTの会計ビジネス標準を補足するものであります。
新しい標準によって仕訳帳毎にソートしたデータ交換で取引が可能となるでしょう。会計実務及び(又は)
中小企業ビジネスのためのクラウドをベースとしたサービスの実務経験者である専門家の参加を募集していま
す。このプロジェクトの最初のミーティングは2014 年 4月7日∼ 11日にジュネーブにて開催される第 23 回国連
CEFACTフォーラムにて行われます。
参加に興味ある方のご登録、もしくはより詳細な情報につきましてはプロジェクトリーダーであるBenoit
Marchal 氏までご連絡下さい。
以上
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『ばいざういんどせいらー』
日本列島船の旅〔東京・阪神∼奄美群島∼沖縄航路、鹿児島∼奄美群島裏航路〕
≪東京∼奄美大島∼沖縄航路≫
○日本列島最長航路
2014 年 4月現在日本列島を航海する内航旅客船の内、本船は最長距離である東京∼奄美大島∼沖縄の
1743kmを約 44 時間∼ 50 時間かけて走破する。尤も航路の性格から貨物を主体としているので船尾には、
外国航路基準の40FEETコンテナ内部に最大重量を搭載した際でも楽々荷役が出来るように35トンのキャパシ
ティーを持った逞しいクレーンが設置してある。
現在のところ東京を17 時発のダイヤは、途中鹿児島県の志布志と奄美大島の名瀬港に寄港し翌々日の19
時に沖縄那覇に入港し、その他は東京を18 時あるいは19 時に出港して沖縄那覇港には翌々日の14 時または
15 時の入港で略 5日に1 回の運航である。
実は本来この「飛龍 21」は国際航路に従事する新しい名称「クルーズフェリー」として1996 年に他会社で就
航した。就航当時は名古屋∼大阪∼那覇∼宮古・石垣島∼台湾(基隆・高雄)総航程 2590km ∼ 2900km
を3 泊ないし4 泊かけて航海する船として華々しくデビューした。国際航路に相応しくするため、船内は飛びぬけ
て豪華に、また従来の大部屋の2 等船室をやめて全てベットルームにするなど贅沢な作りのフェリーであった。と
ころがその当時でも本土∼沖縄、台湾はもはや航空機による輸送が大半を占めていた、自然と航路は廃止に
追い込まれ「飛龍 21」は2008 年航路廃止に伴い引退して新しいオーナーを得るべく寂しく瀬戸内海の造船所
沖で停船していたのである。
2010 年 3月。この「飛龍 21」に白穂の矢がささった。東京∼奄美大島∼沖縄航路「ありあけ」の引退に伴い、
「飛龍 21」は偶然にか、また沖縄航路に就いることになったのである。当初は272 名の定員であったが国際航
路から国内航路になり、救命艇等の関連から乗客を92 名の最大定員として華々しく第二の人生(船生)を歩む
ことになったのである。
「クルーズフェリー飛龍 21」9225トン那覇新港にて
東京∼志布志の途上で 足摺岬に沈む夕日
○クルーズフェリー飛龍 21 貸切の旅 / 一ランク上の客室
筆者が乗ったのはGWのシーズンでもあり50 名程度の乗客で「賑わって」いたが、船社の話では東京を出港
した時点で船客数が一桁という航海も決して珍しくないとのことである。10000トン長さ167m 幅 22mの3 階建て
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の居住区(尤も2 階部分の2 等洋室は現在使用しておらず1階と3 階の一部風防ガラスに覆われた広い木甲板
だけが船客用のスペースとなる)を僅かな乗客で占有できるのである。展望パッセージの椅子もレストランの椅子
も待つことなく占有出来て非常に贅沢な旅である。なにせ 10000トンの船に満員となっても92 名なのである。
贅沢と言えば客室もそうである。以前クルーズフェリーではスイートルームで使われていた部屋が 1 等となり、
特等が 2 等寝台 A、1 等が 2 等として安価に提供されている。以前 2 等室として提供されていた2 段ベッドの12
人部屋は使用していない。試しに2 等料金+6000 円(東京∼那覇)で使用可能な2 等寝台 A では、南国を行
く船に相応しい大きな窓のあるアウトサイドルームで2 名部屋。ツインベッド、ソファ―、テレビと冷蔵庫、それにシャ
ワーとトイレが付く。特別料金の要らない安価な2 等でも窓のないインサイドルームで2 段ベッドの部屋ではあるが
4 名部屋でシャワートイレ、テレビの設備がある。但し、設備は1 等∼特等であるが料金が安いので洗面用具
等のアメニティーはついていない。筆者はいつも自分で枕、掛けシーツ(敷きシーツは洗濯されたものがある)等
を持参で乗船し、下船したら託送している。1等にはアメニティーを始め種々の設備は揃っている。
日本のフェリーで最も豪華な2 等客室
風防ガラスがついてある最上甲板の木甲板
○暇こそ最高のぜいたく!
東京港を夕刻出港した翌日は1日中ただっぴろい太平洋上である。これからの季節ならば最上層の木甲板に
あがり「日光浴」をお勧めする。よく海外のクルーズ客船のパンフレットでは水着でプールサイドに寝っ転がり「日
光浴」をしている図があるが、こちらの船は「満席でも92 名」である。人口密度はゆったりしている。ビール片
手に潮風に吹かれての読書も最高であろう、時間はたっぷりある。
3 度の食事は船の特別のはからい(無駄を出さずに安価に暖かい食事を提供)で喫食時刻の30 分前に食券
の販売がある。利用者が少ないので無駄を出さないため食券販売後の30 分で調理をして過不足を生じず食事
を提供するというサービスである。自然にコストは下げられ良い食材を安価で提供できることとなる。揚げものが
多いが夕食では数品の中から自由にメニューが選べ大体 700 円∼ 1000 円までの定食のメニューである。筆者
は日替わり定食がお気に入りの一品、朝は手作りのサンドイッチセットも悪くない。
最後に料金を比較してみよう、流石に東京∼那覇では2 等料金でも今はやりのLCCにはかなわない。東京
∼奄美大島では航空機は直行便がなく鹿児島乗り継ぎとなる。この場合にはLCC で鹿児島まで飛び、その後
奄美大島まで事前購入の最安値を併せた成田⇒鹿児島⇒奄美大島の航空運賃と船賃は略同額、またバス・
トイレ付きの広い豪華な1 等の個室で44 時間の船旅で沖縄まで行くのと、航空機のファーストクラスで沖縄まで行
くのも同額である。ここをどうとるか?忙しい、時間がないという方は航空機へ、同じ値段で40 時間以上余分に
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「旅」が楽しめるという方は船旅を選ぶであろう。
最後に書き加えるが 3月号で触れたとおり旅客輸送を行っていた多くの本土∼沖縄航路が貨物船(RO/RO
船)にリプレースされ旅客輸送から手を引いている、この航路もそういった意味からすると早目に乗っておくことを
お勧めする。
≪阪神∼奄美∼沖縄航路≫
○無駄のないカジュアルフェリー
本誌 3月号でも触れたとおり1975 年には4 社 5 隻あった阪神∼奄美群島∼沖縄航路も現在では「琉球エキス
プレス」が月間 6 ∼ 7 航海就航している。貨物を主体としており旅客への設備は自動販売機を置いた軽食コー
ナー、ゲームコーナー、シャワールーム等がある程度である。但し、同船は1 等、2 等寝台 A、2 等寝台、2 等
の4クラスであり1 等はシャワートイレ付きながら別航路の特等と比べ遜色がない。他の船室はもともとクルーズフェ
リーではない為に2 等寝台 A(4 名部屋)2 等寝台(8 名部屋)2 等(大部屋)の構成であり、前述した「飛龍
21」と比べ船室が特別に豪華ではないことは否めない。
「琉球エキスプレス」6412トン那覇新港にて
エントランスに設けられた軽食等多目的スペース
○ 4 つの航路
本来の航路だと大阪を18 時 30 分に出港した同船は、夜半 0 時半頃に高知県室戸岬沖を通過して早朝 4 時
頃には足摺岬、12 時頃には南九州の佐多岬沖を通過し午後には種子島と屋久島の種子屋久海峡を通過して
21 時に奄美大島の名瀬に入港する。名瀬からは徳之島、沖永良部と寄港して翌日の朝に沖縄那覇港に入港
するが日によっては名瀬から那覇までの直行する便もある。
大阪を出港して翌日は黒潮の影響(反流)を避けるために比較的沿岸に沿うように航行する場合が多いようで
ある。景観も望めるであろう。また、この航路は台風の影響を多々受ける航路であり、鹿児島∼那覇の南北航
路では北上する台風を避けるのも、途中にあらゆる風向きに対して避難できる港も島によりあるようだが、本船は
台風の進路を睨みながらある時は瀬戸内海を通り関門海峡から九州西岸を南下したり、あるいは瀬戸内海から
豊後水道(大分県と愛媛県の間)を航海して南下、また黒潮の影響が少ない時には最短航路をとるべく室戸
岬から種子島の南東端に向けて一直線で航海する。これで前述の航路よりも25km(40 分程度)
の短縮である。
正に、潮流と低気圧(台風)の動静を読みながらの航海である。
因みに台風の進行方向の右側は「危険半円」と呼び風速等が強くなり反対の左側は「可航半円」と呼びリス
クが少ないのである。今後の台風シーズンに備えて覚えておいたら役にたつかもしれない。
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≪鹿児島∼奄美群島裏航路≫
○島民の足「裏航路」
鹿児島から沖縄航路の最初の寄港地がさしずめ奄美大島名瀬であろうかと言えば喜界島の住人からお叱り
を受けるであろう。鹿児島から南下すること380km、奄美大島の東 65kmに喜界島という人口 7400 名余りの
島がある。その昔特攻隊員がこの島から出撃に向かった。主に鹿児島からこの島に向かう乗客、奄美大島、
徳之島、沖永良部のロ―カルの都市の島民の為に2 隻の船で運航しているのがこの「裏航路」であり、
「フェリー
きかい」
「フェリーあまみ」いずれも3000トン程度の船が週に5 便航海している。喜界島を早朝入港した船は鹿
児島から乗船した喜界島の島民を下船させるだけではなく、また多数の島民が乗船するのである、家族連れ、
トレーナー姿の学生、老人、彼等は2 時間あまりの船旅の後、奄美大島にて朝下船をしてその折り返し便でま
た喜界島に折り返すのである、上り便の喜界島入港は20 時から22 時、流石に鹿児島まで出掛けて要を足す
には時間も船代も嵩む。この為に奄美大島に出掛けるようである、たっぷり半日は奄美大島の滞在が出来るの
である。
「フェリーきかい」2878トン徳之島平土野(へとの)港
大島海峡・奄美大島古仁屋(こにや)入港前
○この航路のハイライト、大島海峡
船は奄美大島の表玄関から約 2 時間 20 分で「裏港」である古仁屋(こにや)港に入港する、上り便でも徳之
島の「裏港」である平土野(へとの)港から2 時間 20 分の航海である。
ここ古仁屋は「瀬戸内町」と呼ばれており、四国と本州にまたがる瀬戸内海の様な地形(大島海峡)であり
北が古仁屋、南が加計呂麻島という島に囲まれた海峡である。この地形は入り組んでおりその景観も特筆もの
である、加えて古仁屋から加計呂麻島にはフェリーで20 分程度であり更に宿泊施設もある。
その昔、米潜水艦に追われた日本の船が意図的にこの大島水道に逃げ込んだ。米潜水艦は追って水道に
辿り着いたはよいものの、余りにも入り組んだ地形ゆえに帰るに帰れず袋小路に入り込み日本軍の反撃にあった
という。
(参考文献:金十丸 奄美の英雄伝説)
なお、3000トン程度の同船であるがシャワートイレ付きのツインベットをしつらえた1 等室が 2 部屋ある。レストラ
ンはあるが営業時間は鹿児島出港日の夕食と鹿児島入港日の朝食だけとなっている。加えて本年末には「フェ
リーきかい」は新造船にバトンタッチする。 ̶ 23 ̶
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○最後に
2 回にわたって連載した奄美群島・沖縄航路であるが船
会社の話では喜界島∼奄美大島への島民の移動は別とし
て大きな買い物や通院に向かう際は奄美大島・徳之島の
島民は北上して鹿児島へ向かい、沖永良部・与論島の
島民は南下して沖縄へと向かうそうである。因みに金曜日
の夜 21 時 20 分に奄美大島名瀬港を出る鹿児島行きの船
(3月号で紹介)では多数の島民が乗船して翌日朝 8 時に
鹿児島港に上陸する。鹿児島で1 晩泊り各自の所用を果
たした後に日曜日の18 時に再び船上の人となり翌月曜日の
朝 5 時に奄美大島名瀬港に入港して自宅で朝食・風呂を
済ませて会社あるいは学校に向かうそうである。
一方、沖永良部の島民は木曜日の03 時 20 分の阪神航
路の船で沖縄那覇に向かい7 時間半の滞在で再び同じ船
に乗りその日の21 時 50 分に沖永良部港に帰ってくるのであ
る。言わばここに就航する4 航路 8 隻の船舶は言うまでもな
く島民にはなくてはならない生活航路である。
そのせいか奄美大島・徳之島の島民の方言は似ており、
沖永良部・与論島は沖縄に近い鹿児島県ではあるが方言・
風習は沖縄文化圏になるそうである。
以上
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JASTPRO 第40巻 第1号 通巻第427号
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平成26年4月25日発行 JASTPRO刊14-01
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