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月刊JASTPRO PDF 2010年7月号

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月刊JASTPRO PDF 2010年7月号
382
2010- 07
今月号の内容
記事1.国際標準策定に向けた道のり
(1/2)
−国連CEFACT標準開発への日本の貢献と将来に向けての課題− …………………… 1
株式会社CIラボ 山下 純一
記事2.◇連載◇ 貿易慣習と物品売買法
(4)…………………………………………………… 8
早稲田大学名誉教授 朝岡 良平
記事3.国連CEFACTからのお知らせ ………………………………………………………… 21
=JASTPRO広報誌電子版のご案内=
裏表紙にJASTPRO広報誌電子版のご案内を掲載しておりますので、ご参照下さい。
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記事1. 国際標準策定に向けた道のり
(1/2)
−国連CEFACT標準開発への日本の貢献と将来に向けての課題−
株式会社 CIラボ 山下 純一
1. はじめに
2. 欧米の協力を取り付ける作業(欧州並びに米国での実地調査)
3. 初のジュネーブ行きでの戸惑い 本号掲載
4. 先駆者としての悩み− 進むべきルートが見えない
5. 標準化作業の概要
― 以下、第 383(8月)
号に掲載 ―
6. 頼もしい仲間の協力
7. プロジェクト参加国の増加
8. 国際標準化を巡る戦い
9. 最後の難関
10. 終にあたり
1.はじめに
e-JAPAN 戦略が 2001 年 1月に発表され、国土交通省は2001 年 5月にCALS/EC 推進本部を設
置し公共工事と業務の電子入札を開発・実施、総務省は2002 年 10月から物品とサービスの調達に
関する電子入札を実施した。これらの電子入札を使った政府調達は、WTO 政府調達協定 1を遵守
する事を求められると共にTBT 協定 2をも守らなければならないため、電子入札の国際標準化の検
討が行われた。
その結果、インターネット時代にふさわしい既存の国際標準が存在しないという結論に達し、EDIの
標準化母体である国連 CEFACT バルセロナ会議
(2002 年 3月)
に参加して日本の電子入札の取組
について説明。国連 CEFACT バルセロナ会議では、日本の取組が高く評価され、「電子入札国際
1 WTO 政府調達協定は、ウルグアイ・ラウンドの多角的貿易交渉と並行して交渉が行われた結果、1994 年 4月にモロッコの
マラケシュで作成され、1996 年 1月1日に発効した国際約束
(条約)
です。日本は、1995 年 12月に同協定の締結及び公布
を行った。
2 TBT 協定とは、1979 年4月に国際協定として合意されたGATTスタンダードコードが 1994 年 5月にTBT 協定として改訂合
意され、1995 年 1月にWTO協定に包含されたもの。TBT 協定は、工業製品等の各国の規格及び規格への適合性評価
手続き
(規格・基準認証制度)
が不必要な貿易障害とならないよう、国際規格を基礎とした国内規格策定の原則、規格作
成の透明性の確保を規定。これらにより、規制や規格が各国で異なることにより、産品の国際貿易が必要以上妨げられる
ことを、できるだけなくそうとしている。
̶1̶
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標準化プロジェクト」の発足を決議し、日本が幹事国を努めることになった。
2002 年 5 月には、国連 CEFACT における
「電子入札国際標準化プロジェクト」に向けた国内調
整を行う
「電子入札国際標準化委員会」
(以下、
「電子入札委員会」
と略す)
が中央大学の大橋教授
を委員長として、国土交通省、総務省、経済産業省、JASTPRO、ECOM、SCOPE
((財)港湾
空港建設技術サービスセンター)
、JACIC
((財)
日本建設情報総合センター)
など関係団体からそれ
ぞれ委員が参加し、JACIC が事務局を努めることになった。又、実務組織として電子入札国際標
準化ワーキンググループも設置された。
私は、
(財)建設業振興基金の建設産業情報化推進センターでCI-NETと呼ばれる建設産業にお
けるEDIの推進と標準化を行ってきたことと、ISO/TC184/SC4/WG3(製品データの表現および交換
の標準化を行う作業グループ)
やIAI(建築の3 次元オブジェクトモデルの標準化作業を行うグループ)
の国際会議で活動してきた経歴をかわれてこの委員会に参加することとなった。
国連 CEFACTで「電子入札国際標準化プロジェクト」
を発足させ、日本が幹事国を務めることにな
れば当然プロジェクト・リーダーは、日本から出すことになり、プロジェクトへの参加国とメンバーの打診
を予め行っておく必要がある。当然プロジェクト・リーダー候補も選任して置かなければならない。かく
言う私は,プロジェクト・リーダー候補として徴募された訳で、国連 CEFACT がインターネット時代に適
応すべく大幅に改組されることは知ってはいたものの、この時点では「盲蛇に怖じず」で前途の多難を
予想すべくもなかった。
2.欧米の協力を取り付ける作業
(欧州並びに米国での実地調査)
国連 CEFACTで活動するとなると欧州勢の参加が必須であり、彼らの参加なくしてはプロジェクト
が成り立たない。そのため、2002 年 6月に委員長の大橋教授、委員会の受皿となるJACICの喜多
川理事、JACIC CALS/EC 部の西岡次長がフランス、スウェーデン、オランダ、イギリスを歴訪しプ
ロジェクトへの参加打診を行った。
欧州では、EDIに国連 CEFACT が開発したEDIFACT が使われてきたが、米国では、ANSI
X12 が圧倒的なシェアを持っており、数年前からX12とEDIFACTのダブルスタンダードが問題となり
EDIFACT への移行が議論されたこともあったものの、依然として状況は変わっていなかった。全世
界で交換されているEDIメッセージの殆どをこの2つの標準で占めていたと言っても過言ではない。
従って米国の動向は、大変気になるところであったため、2002 年 8月に米国のキーパーソンへの「電
子入札国際標準化プロジェクト」の説明と協力要請を行うことにした。私は、この米国調査から実質
的に「電子入札国際標準化プロジェクト」に関わった。訪問先は、国防総省情報システム局、マンテッ
ク社、OASIS Open、連邦政府共益役務庁
(GSA)
、米国標準技術院
(NIST)
で、彼らの意見を
集約すると
●
国連 CEFACTの評価は芳しくない。その理由は、米国が一度はダブルスタンダードを避けるため、
ANSI X12(米国の国内標準)
から国連 CEFACT が開発したUN/EDIFACTに移行を表明した
̶2̶
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にもかかわらず、依然としてANSI X12(米国の国内標準)
を使用し続けているという気まずさに加
え、国連 CEFACT が最近(当時)
良い成果物を出せていないと評価しているからである。
●
標 準 化の舞 台として国 連 CEFACTのみが 適 切であるとは思わない。 但し、日本 が 国 連
CEFACTを舞台として踏出したことは理解する。
ということであった。従って、米国は国連 CEFACTにおける本プロジェクトへの参加は、検討すると
言ってくれてはいるが難しいかもしれないという感触を持った。
3.初のジュネーブ行きでの戸惑い
我々電子入札委員会メンバーは、2002 年 9月にジュネーブで行われた第 1 回国連 CEFACTフォー
ラムに初めて参加した。このフォーラムは、WP4を国連 CEFACT へ大幅に改組し、新しい組織の
基で新しいEDIの仕組み
(ebXML)
の標準化活動を行う初めての会議であった。この改組は、国連
CEFACT がインターネット時代に対応するためにEDIFACTからXMLによるEDI
(ebXML)への転
換を図る為のやむを得ないことでは有ったが、各グループの議長を決める選挙から始まるフォーラム運
営には、戸惑いを隠せなかった。
ebXMLは、国 連 CEFACTとOASIS(コンピュータと通 信に関する標 準 化 団 体:Advancing
open standards for the information society)
が共同開発したXMLを用いたインターネット上の企
業間電子商取引のための仕様で、我々は、このebXMLの仕様に則って電子入札の標準開発を行
うことになった。
国連 CEFACTは、国連の欧州経済委員会の下部組織であり、総会(Plenary)
の下に5つの常
設グループがある。
●
ビジネスプロセス・グループ
(以下、TBGと略す)
最大のグループで、産業毎の19のグループに分かれ、それぞれ各産業のビジネスプロセスの専門
家が集まって活動する。
●
応用技術グループ
(以下、ATGと略す)
EDIFACT 及び XMLのシンタックス
(構文生成)
を扱う
●
情報コンテンツ管理グループ
(以下、ICGと略す)
技術仕様の品質確保、オーディット
●
基礎技術・方法論グループ
(以下、TMGと略す)
ビジネスプロセスのモデリング技法の開発など
●
法律関係グループ
(以下、LGと略す)
電子入札の標準化プロジェクト
(正式には
“eTendering ebXML standards Project”
)
は、建設
産業のみならず全ての産業横断的なプロジェクトとして定義されており、他産業からもメンバーを受け
入れる体制で運営することになっていたが TBGの中ではTBG6
(建設グループ)がホストグループとし
て運営することになった
(以下、我々のプロジェクトをeTenderingプロジェクトと呼ぶ)。
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当 然、TBG6でも選 挙 が あり、 国 連
CEFACT への改組以前からこのグループ
を率いていたフランスのBernard Longhi
が議長となり、私が副議長となった。
当初の計画では、2 年間で国際標準の
開発を完了することにしていたが、全く新し
い体制、新しい技法の下での標準開発は
大変な困難が予想されたため、取り敢えず
国連 CEFACT が開催する年 2 回のフォー
ラムのみでは時間が足りないと考え、年 2
回の中間会議の開催を提案した。
2002 年 9月のジュネーブフォーラムにおいて
September11の犠牲者に国連欧州本部で黙祷
(一周年)
4.先駆者としての悩み… 進むべきルートが見えない
ジュネーブフォーラムでは、どの様な標準文書を作り、TBG 内部ではどの様に承認され、他のグルー
プにはどの様に回付し、どの様なルールに基づいて審査を受けるのか?全く解らないことが多く、他の
グループの責任者に聞いても、それをこれから決めるのでもう少し待ってくれと言われ、目的地も定かで
ない雪山を先頭でラッセルするような感じで途方に暮れる思いであった。
しかし、このような状況にあっても国連 CEFACTの新しい門出に日本が先頭を切ってeTendering
プロジェクトを開始することには皆が好意的で、孤立感を覚えることはなかった。また、TBG6の議長
がフランス人のBernardであったことも幸いであった。
彼は、何時も私を副議長としてTBGのグループ全体を統括する運営委員会に帯同してくれたが、そ
こではフランス語が飛び交っておりフランス本国及びフランス語圏の議長の多さにその影響力を感じると
ともに、運営委員会に出て初めて分かることも多く、この経験がプロジェクトの運営に大変役立った。
5.標準化作業の概要
では、肝心の標準化作業とは具体的に何をするのか概略を述べてみよう。
最初は何をすれば良いか解らなかったが、先ず、ビジネス要件仕様
(Business Requirements
Specification:以 下、BRSと略 す )と呼 ば れる文 書と要 求 仕 様 マッピッング
(Requirements
Specification Mapping:以下、RSMと略す)
と呼ばれる技術文書を作れば良いことが判ってきた。
BRSは、入札のビジネスプロセスを国連 CEFACTモデリング方法論
(国連 CEFACT Modeling
Methodology:UMM)
を使って記述するのだが、こう言ってもわかりにくいと思うので先ずBRSを図
示すると図−1のようになる。
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図−1 BRSの構成
一方、RSMは、BRSのビジネス文書で使用するデータの構造を記述するのだが、ebXMLではデー
タ要素のことをビジネス情報実体
(Business Information Entity:BIE)
と呼んでいる。ビジネス文書
とRSMで記述されるデータ要素の関係は図−2に示す通りである。
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図−2 ビジネス文書とビジネス情報実体
(BIE)
の関係
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このように電子入札で使われる全てのビジネス文書からデータ要素を抽出し、図−3の要領でBIE
表を作成する。
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図−3 ビジネス文書とBIE 表
BIE 表ができると、これをTBG17( 整合化作業を担当)
に送付する。TBG17では各 TBGの各グ
ループから送付されたBIE 表をもとに整合化という作業を行う。
TBG17は、TBGにおける特 殊なグループで、他のグループが例えば我々のTBG6は建 設、
TBG5は金融、TBG4は税関、TBG3は運送のように各産業グループに別れているのに対して各
TBGから提出されるデータモデルの調整を専門とする。
TBG17のようなグループが存在する理由は、各産業グループが定義するデータ項目の内、日時と
か場所といった業務からは無色で共通的に使用できる項目
(コア構成要素:CCと呼ぶ)
と、業務上の
文脈の中で使用され、意味を持つ項目
(BIE)
とを区別してライブラリに登録するためと、同じ意味を持
つのに異なる項目として定義されたり、異なる意味を持つのに同じ項目として定義されたりするのを防ぐ
ためである。
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図−4 TBG17による整合化作業
この整合化作業は、大変な労力と忍耐が必要な作業で、我々プロジェクトチームのメンバーもさる事
ながらTBG17のメンバーの作業負荷は、半端なものではなく、年 2 回のフォーラム、中間会議、毎週
の電話会議でこの作業をこなしている。整合化作業を終えるとRSMは、ほぼ出来たようなものである。
― 第 383(8月)
号につづく ―
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◇連載◇
記事2. 貿易慣習と物品売買法
(4)
早稲田大学名誉教授 朝岡 良平
4.FOB 契約の売主の処分権留保
4.1 船荷証券の必要性
4.1.1 本稿の目的
一般に、FOB 契約の売主が船荷証券を取得しなければならないという規則はないとか 1、ある
いは、FOB 契約の売主には船荷証券を取得する義務がなく、たとえ契約にもとづいて船荷証券
を取得したとしても、それは売主が好意として行ったにすぎない 2、と判示した判例を前号で紹介
しました。そこで、今回は、海上売買としてのFOB 契約における船荷証券の必要性に関連して、
売主の処分権留保について説明したいと思います。
4.1.2 海上売買としての FOB
まず、海上売買とは、目的物の引渡が海上運送によって行われる売買契約をいいます。FOB
契約は海上売買か否かという論争を、以前、本誌で紹介しました 3。海上売買ではないという説
は、固有のFOBに基づいて説明されています 4。また、このFOB 売買は、
「買主が約定品の運
送にあたり海上運送契約および海上保険の締結について便宜を有する場合、例えば、船積地
の輸出商が後背地の生産者とFOB 契約で物品を仕入れ、これをCIF 契約で輸出する場合、
または海外の輸入者が船積地に支店または代理店を有する場合に、主として利用される売買で
ある」
と述べています 5。この論者が考えているFOB 売買は、
(図1)
のAとBの間に行われる固
有のFOBです。しかし、引用箇所の後半部分、すなわち
「または海外の輸入者が船積地に支
(図1)
(船積港) 海上運送 (陸揚港)
A ―――――――→ B ―――――――――――→ C ―――――――→ D
本人(代理人) 代理人(本人) (買主)
1 Pyrene Co. Ltd. v. Scindia Navigation Co. Ltd. [1954] 2 Q.B. 402, 424.
2 Green v. Sichel (1860) 7 C.B. (N.S.) 747.
3 拙稿「2.FOB Vesselは海上売買か陸上売買か」
『 JASTPRO』363 号(2008-12)
、15-19 頁。
4 小町谷操三『海上売買法論』昭和 24 年、7 頁。
5 同上、133 頁。
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店または代理店を有する場合、云々」に関連するFOB 契約は、
(図1)
のA
(生産者)
とB
(Cの支
店または代理人)
の間のFOB 契約、またはB
(輸出者)
とC
(海外の輸入者)
の間のFOB 契約が
考えられます。前者は国内 FOBですが、後者の場合は輸出 FOBで、海上売買です 6。後掲
のWait v. Baker 事件における取引は、FOB Kingsbridgeという条件の売買契約で、仕向港
はBristol 港です。これは、
(図1)
の売主(B)
と買主(C)
の間の国内 FOB 契約です。これに対し
て、FOB 売買は海上売買であるという説では、わが国における貿易取引において、FOB 売買
が CIF 系統の売買に次いで一般に使用されているという実証的な説明が展開されています 7。
この説の対象となっているFOB 売買は、
(図 1)
のBとCの間に行われる海上売買です。
4.1.3 17 世紀における海上運送と船荷証券
マリネスの
『商慣習法』
によると8、17 世紀初頭の商慣習として、商人は物品を船舶により海上
運送するために、まず船長と傭船契約を締結しなければなりません。物品の船積が終わると、船
長はすべての積荷について1組3枚の船荷証券を作成します。船荷証券には商品名、包装の
種類 ・ 個数、荷印、荷送人および荷受人
(誰から物品を受取ったか、また誰に引渡すのかが記
名)9 の名前、船積港および仕向港が記載されます。当時、主要国では、数ヶ国語で印刷され
た船荷証券が用いられていたということです。3 通の船荷証券のうち、1枚目は積載船舶によって
作成された書状(letter)
に収められます。2 枚目は、荷受人として記載されている仕向地の商事
代理人(Factor またはCommission Merchant)
に陸路で送付されます。3 枚目は商人(傭船者、
荷送人)
の手元に保管され、海上運送中に積荷の滅失 ・ 損傷が生じた場合、損害賠償請求の
際に必要とされます。このように、当時、商人は傭船契約にもとづいて物品を傭船に船積して海
上運送をしましたが、船腹に余裕があるときは、同じ仕向港に向けて物品の託送を希望する他
の商人の依頼により、物品の運送を引受けたようです。
当時の帆船は、例えばロンドンを出港してから地中海諸港に到着するまで数ヶ月を要したので、
ヨーロッパ大陸の最初の港
(例えば、ロッテルダム)
に寄港したとき、船荷証券を各仕向港の商事
代理人
(荷受人)宛に陸路で送付し、同時に、船舶が到着したときに船積する物品の買付など
を依頼したようです。17 世紀末に記録された船荷証券に関する判例は 10、物品の託送はインボ
6 1970 年代にロンドンの日本商社を対象にイギリスにおける貿易取引の調査を実施したことがあります。その際、主要商社の
現地法人は、イギリスのメーカーからFOB London 条件で製品を購入し、これをFOB London 条件で輸出している、と
説明していました。
7 上坂酉三『海上売買論』昭和 9 年、5 頁。中井省三『貿易商務論』昭和 25 年、76-77 頁。
8 Gerard Malynes, Consuetudo, vel Lex Mercatoria , London, 1622, pp.134-141.
9 同書には、Shipperおよび Consigneeという用語は使用されていません。
10 Evans v. Marlett (1697) 1 Ld.Raym. 271. 拙稿「21.6 権原証券としての船荷証券」『JASTPRO』377 号(2010-02)
、
12 頁参照。
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イスではなく、船荷証券によって行わなければならないと判示しています。17 世紀初頭では、船
荷証券は記名式であったようですが、17 世紀後半には譲渡可能になりました。しかし、船長に
対する物品の滅失・損傷に関する訴訟はすべて、物品の所有権を有する者によって行われなけ
ればなりませんでした。インボイスの文面から、荷受人が物品の管理人にすぎないことが明らか
であっても、一般に、物品が託送される場合、その所有権は荷受人に帰属するとみられると判
示されています。
4.2 代金支払確保の手段
4.2.1 代金のための処分権留保
以前、FOBからCIF への発展過程において見られる固有のFOB、輸出 FOB、輸入 FOB、
および運賃保険料込のFOBについて判例を引用して説明しました 11。固有のFOBとして挙げた
判例では、売主(A)
は FOB London 条件で、買主
(B)
の指定した船舶に物品を船積して引渡
を終えています。これは海上売買ではありません。輸出 FOBの判例では、ロッテルダムの売主が、
ロンドンにいる売主の代理人を通して、ロンドンの買主とFOB Rotterdamという条件で契約を結
んでいます。同様に、固有のFOB 契約の買主(B)
も、陸揚港の代理人
(C)
を通して、FOB
London 条件で陸揚地の買主
(D)
に売る契約を結ぶことがあると思います。これは海上売買で
す。あるいは、輸入国の売主(C)
が買主
(D)
とFOB London 条件で売買契約を結び、ロンドン
にいる売主の代理人に物品の買付および船積を行わせるということも考えられます。海上売買とし
てのFOB 契約では、売主は物品の船積後、売主の指図人式の船荷証券を取得し、買主宛
の為替手形を振出して、船荷証券と為替手形を一緒に仕向地の代理人に送付し、この代理人
がこれらの書類を買主に呈示して、買主の義務履行を確保します。海上売買としてのFOB 契
約では、売主は船積によって物品の引渡を履行しますが、買主による代金の支払を確保するた
めに、売主の指図式の船荷証券と為替手形によって、為替手形の引受または代金の支払があ
るまで、物品の処分権を留保することができます。
4.2.2 自分のための行為と義務としての行為
インコタームズは、FOB 条件の売主の義務として提供する書類に、なぜ船荷証券を挙げなかっ
たのでしょうか。例えば、FOB 条件の売主の義務第3項「運送契約および保険」では、運送契
約および保険契約の義務がない、と規定しています。同第4項「物品の引渡」では、買主の指
定した船舶上での物品引渡を義務としています。また、同第5項「危険の移転」では、物品が
指定船積港における船舶の舷側手摺を通過するまで、売主は物品の滅失 ・ 損傷の危険を負担
しなければならないと定めています。したがって、売主は、義務でないかもしれませんが、自分の
11 拙稿「1.6 FOBからCIF への発展過程」
『 JASTPRO』379 号(2010-04)
、9-11 頁。
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ために物品を安全 ・ 確実に指定船積港まで運送する責任があるので、当然に、その引渡場所
まで運送契約を結んで物品を運び、また、運送中の危険に備えて保険契約を結ぶことでしょう。
これらは、FOB 契約上の義務としての行為でなく、自分のための
(あるいは、所有者としての)
行為であると考えられます。同様に、海上売買としてのFOB 契約では、通常、売主は船荷証
券を取得し、これを為替手形と一緒に買主に提供しますが、この行為はFOB 契約の義務として
ではなく、売主が自分を守るための行為であり、売主の権利であると考えます。それ故に、インコ
タームズは、これらを売主の義務でないとして扱っていると思います。
4.3 処分権留保に関する判例
4.3.1 Wait v. Baker 事件 12
FOB 契約の売主が、売主またはその代理人に引渡す形式の船荷証券を所持する場合、売
主は絶対的または無条件の処分権
(right of disposal)
を留保したと示唆する判例がしばしば見
られます。その中には、所有権が移転していないので、この売主は当該契約を取消して、物品
の所有権を第三者に譲渡することができるという判例があります。
Wait v. Baker 事件は、このような問題に関する最初の判例です。この事件の契約は、FOB
条件による大麦の売買契約で、
“the terms of payment; free on board Kingsbridge or
some neighbouring port called for cash, on handing bill of lading or by acceptance. . . ”
という決済条項が挿入されていました。売主は自分の名前で傭船契約を結び、この傭船に大麦
を船積し、売主の指図人に引渡す形式の船荷証券を取得しました。売主はインボイスと裏書の
ない船荷証券を買主に呈示しましたが、買主は積荷の品質に問題があるとして、紛争を惹き起こ
しました。しかし、大麦の市場価格が高騰したので、買主は代金の支払を申出ましたが、売主は、
買主の提供した代金を拒絶し、第三者
(原告)
に船荷証券を譲渡しました。最初の売買契約の
買主(被告)
は、積荷の陸揚港であるBristol 港に船舶が到着したとき、積荷である大麦の一部
を差押えました。そこで、原告は、被告に対して動産侵害訴訟(action of trover)13を提起しま
した。この事件において、売主が Kingsbridge 港で船積したときも、また被告
(買主)
が代金の
支払を申出たときも、被告には所有権の移転がなかったので、原告は被告から大麦を取戻す権
利があると判示されました。判決の理由説明の中で、Parke 判事は次のように述べています。
「物品がある者によって注文され、その種類の物品の中から売手(vendor)
によって目的物が選
択されて、その注文主(買手 :vendee)
に送付すべく、公共運送人(common carrier)
に引渡
された場合でも、契約に従って選択された当該物品が運送人へ引渡された瞬間に
(at the
moment)
、当該運送人は買手の代理人となるので、したがって、運送人への引渡は買手へ
12 Wail v. Baker (1848) 2 Ex. 1.
13 動産侵害訴訟とは、他人の物品を横領し、不法に自分の物として使用する者に対するコモン・ロー上の損害賠償訴訟です。
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の引渡を構成することが認められている。当事者間に拘束力のある契約が存在するときは、運
送人への引渡によって、物品の所有権が買手に移転したことは明らかである。もちろん、運送
人へ引渡された物品が売買契約に一致していることが必要である。本事件の場合、船舶上で
の物品引渡は、この船舶が被告の代理人として売主(seller)
が手配したものであるから、上述
の引渡に相当するものである。けれども、たとえそのように仮定しても、本事件における船舶上
での引渡は、被告への物品引渡ではない。ただし、物品が、積載船の船長に引渡され、こ
れが船荷証券に基づいて運送され、その船荷証券に当該物品が被告へ引渡すために積込ま
れたことが記載されている場合は別である。しかし、この船荷証券によると、物品は売主のた
めに、売主の勘定により、当該船舶の船長により運送され、船荷証券が譲渡されないときは、
売主に引渡されることになり、また、譲渡されたときは、譲受人へ引渡されるのである。したがっ
て、公共運送人としてではなく、売主のために物品を運送する船舶の船長が、継続して物品
を占有しているのである。最初の売買契約の決済条項は、船荷証券を引渡したときに代金が
支払われるというもので、売主側には何らの違反がない。それ故、本事件における船積行為
は所有権を移転させるものではない。それでは、その後、所有権を移転させ得る行為があった
であろうか。その後、物品が契約に充当されたとみなされる何らかの行為がないかぎり、所有
権は移転しないことは、被告側弁護団が良く理解されているとおりです。そこで、私は、本事
件における船舶上での物品引渡は、契約に充当するという意味のものではないと考えます。売
主の拒絶が契約の履行拒絶
(repudiation)
であることは明らかで、これにより、物品引渡の義
務を全く免れることになる。
」
4.3.2 Turner v. Trustees of Liverpool Docks 事件 14 売主は、買主の注文にもとづいて、綿花を買付け、買主の船舶にこれを積込み、これをリバ
プール港で売主の指図人に引渡すという形式の船荷証券を取得しました。売主は、この船荷証
券に
“Deliver to the Bank of Liverpool or Order”
と裏書し、買主宛に為替手形を振出して、
裏書した船荷証券を担保として船積地の銀行で割引きました。また、売主は、「買主の注文によ
り、買主の勘定で購入し、かつ買主宛に船積した」旨を記載したインボイスを買主に送付しました。
しかし、買主は船舶の到着前に倒産しました。売主は銀行に手形金を支払い、物品の運送差
止めを請求しました。これに対して、買主の破産管財人は到着した物品の引渡を要求しました。
この事件において、売主は船荷証券の約款により物品の処分権 (jus disponendi)を留保してお
り、銀行宛に裏書しても、これにより売主の権原は損なわれないので、売主は買主の破産管財
人に優先して物品の所有権を有すると判示されました。
14 Turner v. Trustees of Liverpool Docks (1851) 6 Ex. 543.
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4.3.3 Shepherd v. Harrison 事件 15 買主は、ブラジルにいる売主に対して、自分のために綿花の買付を注文しました。売主は注
文どおり綿花を買付けて、これをイングランドの買主宛に船積し、売主の指図人式の船荷証券を
取得し、またインボイスに「買主の勘定および危険負担にて船積」
と記入しました。売主は、イン
グランドの代理人にインボイスと2 通の船荷証券を一緒に送付しました。売主の代理人は、船荷
証券の1 通に裏書し、これをインボイスおよび綿花の代金のための為替手形と一緒に買主に送付
しました。買主は、為替手形の引受を拒絶しましたが、船荷証券を手元に保持し、これをブロー
カーに手渡しました。ブローカーは、船主に運賃を支払って荷渡指図書を受取りました。その間
に、売主の代理人は、手元の船荷証券によって船舶から綿花を引取ったのです。この事件で、
売主の代理人の行為は処分権および所有権の留保であり、買主は為替手形を引受けなかった
ので、船荷証券を保持する権利はなく、したがって、売主の代理人は綿花を占有する権利があ
ると判示されました。この事件におけるLord Cairns 判事の意見 16 が SGA 第 19 条第 3 項の規
定の基礎になりました。
4.3.4 Ex p . Banner 事件 17 売主は、イングランドの買主(本人)
の代理人として、買主宛に数通の手形を振出し、これを
船積地の銀行で割引いて得た代り金
(proceeds)
を資金として、約定品を購入しました。売主は
この物品を船積して、買主を荷受人とする船荷証券を取得し、これを買主宛に郵送するとともに、
買主宛に数通の為替手形を振出した旨を通知しました。物品がまだ海上運送中に、買主は何
通かの為替手形を引受けましたが、いずれも満期日前に、買主が倒産しました。売主は物品の
処分権を主張しましたが、この事件において、当事者間の関係は売買契約の売主と買主ではな
く、本人と代理人の関係であり、物品の船積時に所有権は買主
(本人)
に絶対的に移転しており、
代理人には運送差止権があるだけであると判示されました。
4.3.5 Ogg v. Shuter 事件 18
Ogg v. Shuter 事件 において、「FOB Dunkirk、船荷証券と引換に現金払い条件」で大量
の馬鈴薯を購入した原告は、積荷の数量が不足していると勘違いして、荷為替手形が呈示さ
れたとき、その引受を拒絶しました。最初の売主から指図書と一緒にこの船荷証券を譲り受けた
被告は、この馬鈴薯を第三者に売却しました。その後、原告は、FOB 契約であるから、船積
によって物品の所有権が自分に移転したという理由で、第三者に対して、横領罪(conversion)
15 Shepherd v. Harrison (1871) L.R. 5 H.L. 116.
16 Shepherd v. Harrison, Ibid., at pp.132-133.
17 Ex p. Banner (1876) 2 Ch.D. 278.
18 Ogg v. Shuter (1875) 1 C.P.D. 47.
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で訴えました。原告の損害賠償請求は、人民間訴訟裁判所
(Court of Common Plea)
では承
認されましたが、上訴
(appeal)
で、物品に対する代金支払を拒絶したのであるから、原告に過
失があったという理由で、最初の判決は覆されました。この事件で、Lord Cairns 判事は次のよ
うに述べています。
「この取引では、商人は、他の商人の注文により、物品を船積し、荷送人の指図人に引渡す
形式の船荷証券を取得して、代金が支払われるまで自分を守るというもので、われわれは、本
事件で求められている問題点のみについて審議する。さて、荷送人が、自己または代理人の
手元に、自己を守るための発行形式の船荷証券を保持する場合、契約に定めた条件が成就
するまで、あるいは、少なくとも荷受人がこの条件を進んで成就する用意を行い、船荷証券の
引渡を要求するまでは、荷送人は当該物品に対する権利を留保する効果を生じる。そして、
船荷証券にもとづいて留保する権利は、或る条件が成就するまで、占有を保持する権利
(right
to retain possession)
だけでなく、買主に過失がある場合に、少なくとも、その過失の状態が
継続する間、物品を処分する権利をも含むのである。本事件において、この売買の前に、
(最
初の契約の)
買主によって、手形を引受けて代金を支払うといった申込が全く行われなかったの
で、そのような効果について審議する必要はないと考える。」
4.3.6 Mirabita v. Imperial Ottoman Bank 事件 19
Ogg v. Shuter 事件から数年後、Mirabita v. Imperial Ottoman Bank 事件が起きました。
この事件で、買主は船荷証券と引換に代金を支払うという申込を行って、物品の所有権を取得
することができると判示されました。被告である銀行で、売主が荷為替手形を割引きました。買
主が為替手形の支払をこの銀行に申入れましたが、銀行は物品の占有をすでに取得しており、
そのために運賃も支払ったと述べて、買主の手形支払を拒絶しました。そこで、買主は銀行に
対して運賃についても支払うことを保証しましたが、これも拒絶されました。その後、この銀行は、
手形金額よりも遥かに高い価額でこの積荷を他に売却しました。法廷は、この被告には横領に
対する損害賠償の責任があると判示しました。この事件の判決において、Lord Cotton 判事は
次のように述べています。
「特定物でない物品の売買契約では、後日、当該物品が契約にもとづいて、確定物として充当
されざるかぎり、すなわち、両当事者が、確定された物品について所有権が移転し、何も後に
残さない旨の合意をしないかぎり、所有権が買主に移転することはない。このような契約の場合
に、売主による物品の公共運送人への引渡、または
(船積の効果が船荷証券の条項によって
制限されざるかぎり)
、買主の所有する船舶または買主のために傭船した船舶への船積は、所
19 Mirabita v. Imperial Ottoman Bank (1878) 3 Ex.D. 164.
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有権を移転させるに十分な充当行為である。しかしながら、売主が、契約にもとづいて引渡す
べき物品の船積の際に、買主の代理人でなく、また買主のためでなく、自分自身のために、自
己の指図人式の船荷証券を取得したときは、物品を処分する権利を留保したのであり、その
結果、最終的な充当はなく、したがって、所有権は船積の際に買主に移転しない。売主が船
積時に自己の指図人式の船荷証券を取得したとき、売主は絶対的な処分権を有するのであっ
て、買主が物品についていかなる財産権をも主張することを妨げる。
(Wait v. Baker
(1848)2
Ex. 1; Ellershaw v. Magniac(1843)6 Ex. 570; Gabarron v. Kreeft
(1875)L.R. 10 Ex.274.
これらの事件で、売主は自己の利益のために船荷証券を扱っており、買主は手形を引受ける
か、あるいは代金を支払ったにもかかわらず、所有権を持たないと判示された。)
そこで、もし売
主が、代金の支払を確保するために船荷証券を取扱い、あるいは船荷証券を留保することを
主張して、船荷証券と為替手形を一緒に買主へ送付するときに、為替手形の引受または支払
があるまで、船荷証券を買主に引渡さない旨の指示を行った場合、充当は絶対的でなく、手
形の引受または代金の支払もしくは提供がなされるまで、条件付となり、このような引受または支
払もしくは提供があるまで、物品の所有権は買主に移転しない。Turner v. Trustees of
Liverpool Docks 事件では、売主は売買契約にもとづいて、売主の指図人式の船荷証券を
取得し、買主宛に為替手形を振出して、銀行で荷為替を取組み、担保として船荷証券を銀
行に引渡し、その旨を買主に通知した。この事件で、処分権
(jus disponendi)
が留保された
と判示された。また、Shepherd v. Harrison 事件および Ogg v. Shuter 事件 では、売主の
指図人式の船荷証券と為替手形が一緒に、売主の代理人に送付されたが、いずれもこのよう
な判示がなされた。しかし、船荷証券が、ただ代金を確保する目的だけに取扱われたのである
ならば、契約を完了する目的で船積みされた物品が、買主の代金支払または提供の際に、買
主に帰属しないという原理や判例はありえない。これが生じるのは、充当にかかる条件が存在
し、当事者の意思に従って、所有権を移転させるために必要なすべてのことがなされなければ
ならないためである。私の意見では、このような状況の下では、代金の支払または提供があっ
たとき、所有権が買主に移転する。」
4.4 売主の処分権留保
4.4.1 SGA 第 19 条の目的
SGA 第 18 条により、売買契約による所有権の移転は、当事者間の所有権を移転させるとい
う合意の成立によって行われるのであって、この合意は目的物の確定により成立します。実際の
事件において、如何なる事実により目的物が確定したと認定するかをみると、イギリスの判例は、
通常、引渡の事実によってこれを認めています。換言すれば、通常の場合、引渡がなされたとき、
目的物の確定があり、目的物の確定により所有権移転の合意が成立し、合意の成立により、所
有権の移転ありということができます。しかし、引渡によって常に所有権が移転するのかというと、
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売主はしばしば、不当の損害を被ることがあるので、本法は売主に処分権を与え、必ずしも引
渡により即時に所有権が買主に移転しないという規定を設けたのです。SGA 第 19 条はこの目的
で設けられました。
4.4.2 処分権留保の条件
SGA 第 18 条第 1 則によると、特定物の所有権は、売買契約が無条件である場合を除いて、
買主に移転しません。SGA 第 18 条第 5 則(1)項は、不特定物の場合、これが確定され、契約
に無条件で充当されるまでは、その所有権は移転しないと定めています。そして、同
(2)項は、
買主へ送付する目的で、売主が買主または運送人に物品を引渡し、物品の処分権を留保しな
いとき、物品が無条件で充当されたものと推定しています 20。SGA 第 19 条第 1 項は、売主が物
品の処分権を留保できる条件付きの契約または充当について明示的に規定しています。このよう
な処分権を留保する場合の条件は、通常、買主による代金の支払または提供です 21。しかし、
これ以外に、売主は、どのような条件に対しても、物品の処分権を留保することができます 22。
留保は明示的でも黙示的でもよく、売主が物品の所有権を留保する意思があったか否か、また
どのような条件によるかという問題は、事実問題とされています 23。
4.5 船荷証券による代金支払確保
4.5.1 船荷証券の発行形式
船荷証券に荷受人を表示する方法として、通常、①記名式(特定の氏名を記入したもの)
、
②指図人式(to Order)
、および③持参人式(to Bearer)があります。代金の支払を得ない売
主は、船長から売主の指図人式の船荷証券を受取り、「代金の支払がなされるまで、買主宛に
裏書しないこと」
という指示を付して、これを売主の代理人に送付することができます。しかし、
売主が、買主の代理人でなく、また買主のためでなく、売主自身を荷受人とする発行形式の船
荷証券を取得する場合、売主はこれによって、絶対的な物品の処分権を留保することになります。
この権利を“jus disponendi ”といいます。この場合、船積に際して、物品の所有権は買主に
移転しません 24。買主が代金を支払うか、または提供したとき、物品の所有権が買主に移転しま
す 25。ただし、売主が、この処分権留保を、約定の代金を確保する以外の目的のために留保し
20 SGA 第 18 条については、拙稿「2.3.1.3 当事者の意思を確定する規則」『JASTPRO』380 号(2010-05)
、4-5 頁を参照。
21 ULIS 第 72 条に規定されている代金引換渡し条件もこの効果があります。
22 Wait v. Baker (1848) 2 Ex. 1.
23 Van Casteel v. Booker (1878) 2 Exch. 691; Browne v. Hare (1859) 4 H.& N. 822; Falke v. Fletcher (1865) 18
C.B.(N.S.) 403.
24 Shepherd v. Harrison (1871) L.R. 5 H.L. 116; Mirabita v. Imperial Ottoman Bank (1878) 3 Ex.D. 164; Ogg v.
Shuter (1875) 1 C.P..D. 47; Gabarron v. Kreeft (1875) L.R. 10 Ex. 274. SGA 第 19 条第 1 項および第 2 項を参照。
25 Mirabita v. Imperial Ottoman Bank (1878) 3 Ex.D. 164.
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たときは、この限りでありません 26。
4.5.2 処分権とは何か
処分権は、①単に、売主の留置権(seller’
s lien)
であるのか、②あるいは、買主に移転し
た所有権に付随する売主の何らかの権利なのか、③それとも、物品の船積に際して、所有権
が買主に移転するのを妨げて、ある条件が成就するまで所有権の移転を遅延させるという売主
の行為として作用するのか、という議論がこれまでにありました。Ogg v. Shuter 事件では、処
分権は売主の留置権以上のものであると判示されました。Mirabita v. Imperial Ottoman
Bank 事件では、処分権は、上記の②と③の中間となるような結論に傾きましたが、この事件で
Lord Cotton 判事は、売主が処分権を留保した場合には、所有権が買主に移転しないと述べ
ました 27。
4.6 為替手形による代金支払確保
4.6.1 船荷証券と一緒に呈示する方法
代金の支払を得ない売主は、代金に対して、買主宛に為替手形を振出して、
(1)船荷証券と
一緒に、売主の代理人に送付する方法、または
(2)銀行で荷為替を取組む方法をとることができ
ます。
(1)
の場合、為替手形の引受を求めて、為替手形と船荷証券を一緒に、売主の代理人を通
して、または直接、買主に呈示します。買主は船荷証券を入手しても、為替手形の引受または
支払を拒絶したときは、船荷証券を返還しなければなりません 28。しかし、この方法は、為替手
形が引受られたときでなく、支払がなされたときに船荷証券が引渡されるという慣習を設けることが
できませんでした 29。また、特殊なケースですが、船荷証券をすでに受取った荷受人は、買主
宛に振出された為替手形を引受ける義務がないという判例があります 30。しかし、反対に、為替
手形を引受ける義務があるという判例もあります 31。裏書された船荷証券を占有する買主が、こ
れを裏書して、善意・有償の第三者に譲渡した場合、この譲受人は、1889 年の商事代理人法
(the Factors Act 1889)
に従って、たとえ買主が為替手形の引受をしなくても、物品に対する
有効な権原を取得します 32。
26 Wait v. Baker (1848) 2 Ex. 1.
27 第 1 次世界大戦のとき、イギリスの戦時捕獲審判所(the Prize Court)
では、多数の事件において、捕獲品の所有権が
売買に際して移転したのか否かという問題が扱われましたが、売主が処分権を留保した場合には、これにより買主への所
有権移転が妨げられたと、統一的に判示されています。
28 Shepherd v. Harrison (1871) L.R. 5 H.L. 116. SGA 第 19 条第 3 項を参照。
29 Coventry v. Gladstone (1867) L.R. 4 Eq. 493.
30 Depperman v. Hubbersty (1852) 17 Q.B. 766.
31 Imperial Ottoman Bank v. Cowan (1874) 31 L.T.336; Hoare v,. Dresser (1859) 7 H.L.C. 290.
32 Cahn v. Pockett’
s S.S. [1899] 1 Q.B. 643.
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4.6.2 荷為替を取組む方法
売主(輸出者)
は物品を船積した後、代金を回収するまで相当期間を要するので、資金を調
達するために、買主(輸入者)宛に振出した為替手形と一緒に船荷証券その他の書類を担保と
して、買主に対する代金債権を銀行に買取ってもらうことがあります。これを荷為替を取組むとか、
荷為替手形を割引くといいます。そして、為替手形の引受または支払と引換えに船荷証券その
他の書類を買主に引渡すことを銀行に委任します 33。銀行は、買主に為替手形と一緒に船荷証
券を呈示する場合、船荷証券が真正(genuine)
であることを保証するものではありません 34。買
主は、手形の引受または支払を行わないかぎり、銀行から船荷証券を取得することができません。
しかし、銀行が物品を売却する前に、買主が請求額を提供するとき、物品の所有権は直ちに買
主に移転します 35。そして、売主が約定代金を確保する以外の目的で処分権を留保しないかぎ
り、買主は船荷証券に対する権利を取得します 36。船荷証券の謄本が所有権移転の効力を有
する場合、為替手形の引受をする前に、買主が船荷証券の全謄本の引渡を要求することは認
められません。また、買主は船舶が仕向港に到着する前に船荷証券の引渡を要求できません。
売主(荷送人)
はあらゆる合理的な方法でこれらの書類を送付すればよいとされます 37。これらす
べての場合に、処分権を留保する売主は、明らかに、物品の所有権を留保する意思があった
と推定されるので、このような意思がなかったことを立証するのは異議を主張する者の責任です。
4.7 処分権留保に関する規定
4.7.1 SGA 第 19 条 処分権の留保
「第 1 項 特定物の売買契約の場合、または不特定物の売買契約で目的物が契約に充当され
た場合、売主は、契約の内容または充当の際の条件によって、或る条件が成就されるまで、
物品の処分権を留保することができる。このようにして、物品が買主、または買主へ送付す
る目的で運送人その他の受寄者への物品の引渡にもかかわらず、売主の定める条件が成
就するまでは物品の所有権は買主に移転することはない。
第 2 項 物品が船積され、船荷証券により、売主またはその代理人の指図人に
(to the order
of the seller or his agent)
に引渡されることになっている場合には、売主は処分権を留保し
たものと推定する。
第 3 項 売主が代金のために買主を支払人とする為替手形を振出し、その引受または支払を
33 Turner v. Trustees of Liverpool Docks (1851) 6 Ex. 543.
34 Leather v. Simpson (1871) L.R. 11 Eq. 398; Baxter’
s Leather Co. v. Champman (1874) 29 L.T. 642.34 Mirabita v.
Imperial Ottoman Bank (1878) 3 Ex.D. 164.
35 Mirabita v. Imperial Ottoman Bank (1878) 3 Ex.D. 164.
36 Wait v. Baker (1848) 2 Ex. 1; Barber v. Taylor (1839) 5 M.& W. 527; Gilbert v. Guignon (1872) L.R. 8 Ch. 16.
37 Sanders v. Maclean (1883) 11 Q.B.D. 327.
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確保するために為替手形と船荷証券を一緒に買主に送付した場合、買主は、もし為替手形
の引受または支払をしないときは、船荷証券を返還しなければならない。不当に船荷証券を
保持しても、物品の所有権は買主に移転しない。」
SGA 第 19 条 第 1 項および 第 2 項の基 礎となったのは、Mirabita v. Imperial Ottoman
Bank 事件におけるLord Cotton 判事の意見であり、また同条第 3 項の基礎になったのは、
Shepherd v. Harrison 事件におけるLord Cairns 判事の意見であるということです。
4.7.2 ULIS 第 71 条および第 72 条
1967 年国際売買に関する統一法(ULIS)
の第 71 条および第 72 条を紹介します。
「第 71 条 物品の引渡と代金の支払は同時条件
第 72 条に規定する場合を除いて、物品の引渡と代金の支払は同時条件である。しかしながら、
買主は物品を検査する機会を持つまで、代金を支払う義務がないものとする。」
「第 72 条 処分権留保を条件とする物品の船積
第 1 項 契約が物品の運送を含み、かつ引渡が、第 19 条第 2 項(物品の引渡)
の規定により、
運送人への物品の交付
(handing over)
によって行われる場合、売主は、代金を受領する
まで物品の出荷(dispatch)
を遅らせるか、あるいは運送中の物品につき処分権(the right
of disposal)
を留保する条件にもとづいて、物品の出荷を行ってもよい。後者の場合、代金
支払と引換であるときを除いて、物品が仕向地に到着しても買主に交付されるものでなく、か
つ買主が物品を検査する機会をもつまで代金を支払う義務がないことを売主は要求できる。
第 2 項 それにもかかわらず、契約により、書類と引換に支払がなされるときは、買主は、物品
を検査する機会がなかったことを理由として代金の支払を拒絶することはできない。
」
4.7.3 UCC 2-505 条
米国統一商法典(UCC)
は、SGAおよび ULISの処分権に代り、担保権(security interest)
という用語を使用しています。
「UCC 2-505 条 売主の留保付船積
(1)項 売主が船積に際して、または船積に先立って、物品を契約の目的物として確定した場
合には、
(a)売主の指図人式の流通性運送証券(negotiable bill of lading to his own order)
を取
得したときは、売主は、その物品の担保権のみを留保する。また、金融機関または買主
の指図人式の流通性運送証券を取得したときは、売主は、これに加えて、単に運送証
券上に表示された者に担保権を移転することについての売主の期待を示すに止まる。
(b)売主自身またはその指名人
(nominee)
を荷受人とする記名式の非流通性運送証券は、
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担保として物品の占有を留保するが、条件付引渡
(2-507 条(2)
項)
の場合を除いて、買
主を荷受人として指名する非流通性運送証券は、たとえ売主がその運送証券の占有を
留保している場合であっても、なんら担保権を留保するものではない。
(2)項 売主が担保権を留保して行った船積が売買契約の違反(violation)
となるときは、そ
の船積は前条(2-504 条)
における運送に関する適切な契約とはならない。ただし、この船
積は、船積および契約の目的物としての物品の確定によって与えられる買主の権利および
流通性証券の所持人としての売主の権能
(seller’
s power)
のいずれをも妨げるものではな
い。」
(続)
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記事3. 国連CEFACTからのお知らせ
3-1 2010 年 7月13日
ICG(情報コンテンツ管理グループ)
は勧告第 21 号 船客、貨物形態 / 荷姿 / 包装材料コード
(第 8
版)
を承認しました。
国連 CEFACTの下記 Webからダウンロード出来ます。
http://www.unece.org/cefact/recommendations/rec_index.htm
3-2 2010 年 7月13日
ICG(情報コンテンツ管理グループ)
は勧告第 28 号 輸送手段のタイプコード第 3 版を承認しました。
国連 CEFACTの下記 Webからダウンロード出来ます。
http://www.unece.org/cefact/recommendations/rec_index.htm
3-3 2010 年 7月12日
国連 CEFACT 勧告第 34 号「国際貿易のための簡素化、標準化」がパブリックレビューに付されまし
た。レビュー期間は2010 年 8月15日までです。本件に関するご意見は [email protected]
までお寄せ下さい。
3-4 2010 年 7月2日
国連 CEFACT 勧告第 20 号「国際貿易に用いられる計測量単位コード」第 7 版がパブリックレ
ビューに付されました。レビュー期 間 は2010 年 8月13日までです。 本 件に関 するご 意 見 は
[email protected] までお寄せ下さい。
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̶ 協会ホームページのリンク集のご案内 ̶
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当協会のホームページのリンク集には、当協会の活動と日本輸出入者コードのユーザの方々の
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ますので、ご活用下さい。
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sその他の組織・機関
JASTPRO 第36巻 第4号 通巻第382号
本協会の事業は、財団法人JKA、
日本財団、財団法人貿易・産業協
力 振 興 財 団 からの 助 成 金 等、
・禁無断転載
平成22年7月30日発行 JASTPRO刊10-04
発 行 所 (財)日本貿易関係手続簡易化協会
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電 話 03- 3555- 6031
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よって行われております。
編 集 人
山 本 達 見
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当協会の広報誌は 2007 年 4 月より印刷版と電子版の 2 つのメディアを提供しております。
印刷版と電子版は二者択一ではございませんが、印刷版につきましては賛助会員の方々には、
これまで通り口数を配布部数の上限とさせて頂きます。
( 電子版には制限はございません。)
電子版への切り替えと、配布部数の追加方法:
毎月20日までに、次の項目を下記のアドレスへ送信してください。
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(財)
日本貿易関係手続簡易化協会
業務第三部長 平井一海
E-mail address: [email protected]
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