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Title 輸送経済性に基づく超高速フェリーの設計評価
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輸送経済性に基づく超高速フェリーの設計評価に関する
研究
赤木, 新介; 多田, 浩之; 中畠, 章央; 藤田, 喜久雄
関西造船協会誌. 228 P.243-P.252
1997-09
Text Version publisher
URL
http://hdl.handle.net/11094/3187
DOI
Rights
Osaka University
関冨造船協会誌
第228号
J. Kansai Soc. N.
平成9年9丹
A., Japan, No.
228, September 1997
輸送経済性に基づく超高速フェリーの設計評価に関する研究*1
正会員赤木 新介マ
中畠 章央オ
多国 浩之は
藤田喜久雄*2
Design Evaluation of Transport Economy for Fast Ferry
By Shinsuke AKAGI(Member), Hi叫Tuki TADA
Fumio NAKAHATA and Kikuo FUJITA
Transport econorny for a fast feロy carrying passengers, cars and truck s was evaluみted frorn
the view point of ship design. A SWATH (Srnall Waterplane Area and Twin Hull) type fast ferry
was selected for the evaluation. Firstly its hullforrn was optirnized to rninirnize total resisもance.
After that, its transport cost and fare were deterrnined for several transport routes to evaluate
cornpetitively with other transport rneans, i.e.,conventional ferrîes, land transports, air tr納sports
etc. It was found that the fast ferry has enough potential to be operated cornpetitively with other
transport rneans in severa l coastal r outes a long the Japan Islands.
Keywords
:
Fast Ferry, Transport Economy, Ship Design
の航路条件について在来型フェリーや睦上交通などと
の競合を想定して経済性評価を行う. 評価の方法につ
1
本論文は, 超高速船の経済性評髄に関する一連の研〕 いては前報 ,2,3,4)と同様に犠牲量モデルによった.
究の一環として行なったものである. 超高速船は, その
2.
評価対象の超高速フェ1)一
大馬力のゆえに輸送効率 等において通常船や 陸上ある
いは航空など他の輸送機関に較べ不利な条件をもって 2.1 対象船の要目と概略配置
いる. このため, これらと競合するには, 抵抗推進な
この 種 の評価を行なうには, 対象とする船の具体
どの性能の改善に加え, 運航対象となる航路条件など 的な事例が必要である. 超高速ブエリーについては
も考慮して経済性についての慎重な検討を行う必要が 種々の船 種が考えられる. すなわち単腕, ウェーヴピ
ある. すでに第l報1,2)で、は, 超高速船の経済性評価 アサーなどを含む多胴船, さらに動的浮力による SE S
について 陸上や 航空などの交通手段と比較するための や水中翼船, これらのハイブリッドなどであるが, 本
一般的方法について述べ, ついで第 2報では3,4)では, 研究では上記のように, 貨物車の輸送も可能な船 種と
旅客用高速船の経済性を具体的に評価すると共に, 瀬 して SWATH型船を取り上げる. 特に最近, アイリッ
戸内海における運航を対象に需要予測を行なってきた. シュ海峡フェリーとして登場し注自を集めている超大
本報では, さらに自動車を輸送対象とする超高速 型高速フェリー Stena Explorer5) を参考とすることと
フェリーに関する経済性評価を取り上げる. 具体例とし し, さらに船型については抵抗推進性能から改めて最
ては, 旅客, 乗用車および貨物車のいずれをも搭載可 適船型を求め, 併せて所要動力などを定める.
能な超高速船として SWATH型高速船を対象とする.
Fig. 1, Fig. 2は対象船の外形と配量であり, Table
研究の方法としては, 対象船について, まず抵抗推進 lは要自である. 全長120m, 全幅 42m の SWATH蛤
性能の密から最適な船型を定め, 輸送コストなどの経 型であり, 旅客のほか乗用車とトラックを 積む. 船型
済性の指標を計算すると共に, これをもとにいくつか は, Stena Explorer号にならいl層の旅客用甲板と主
事1平成9年5月23日関西造船協会春季講演会において講 車両甲板 ( 乗用車+トラック) および補助車再甲 板 ( 乗
演, 震稿受付平成9年6月2日
用車) をもっている.
1.
緒
言
本2大阪大学工学部
一-243一一
25∞
「ム
存一一一 三幅 二 一〉
20∞
q併時轍蝉醐開閉頼朝脇島町
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lnitial design
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出
500
O
Optimal design
Fig.l
Initial
Optimal
SWATH type high-speed ferry
Fig.3
..,. ,〆 /
0.1
/戸/
0.2
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/
/
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//
0.3
Froude number
//
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ー一ー一一一一四
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0.4
〆
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/
/
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ノ
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/
/
ノ
/
0.5
/
J
0.6
Total resist植民e of inítial町ld optirr泊1
h叫lforms
Platform (Cars)
Table 2
SHP of the SWATH
Main deck (C昌rs + Trucks)
2.2
TwinhulI
Fig.2
Vehicle deck plan
Table 1
Dimensions
Length O.A . 120m
42m
Breadth
5m
Draf t
Displacement 4100t
Deadweight 1600t
船型と抵抗推進性能
没水部の船型は, 没水体とストラットからなり, そ
れらの形状については, 造波抵抗と粘性抵抗の和を最
小化する最適汗5状を定めた. 造波抵抗については, 通常
の組長体近似の線形造波抵抗理論により, また粘性抵
抗については平板摩擦抵抗に形状修正を行って計算し,
これをもとに数理計酪法 (SQP) による最適化計算を実
行しため. 基本的にはSalvesenらγ)や, P apanikolaou
らめの計算法と同様で、ある. 最適化前後の形状は Fig. 1
に示した通りであり, それぞれの抵抗曲線はブルー ド
数ベースで Fig.3のようになっている.
本船の計画船速は 40k nとするので, 没水体部の長
さをベースとする ブルード数はFn = 0.6 0 に梧当する
が, こ の値に対し Fig.3の抵抗億は最適化によって約
20%低減している. 所要軸馬力は, 船速 35...... 45 k nの間
で Table 2のように定めている.
この軸馬力は, Fig. 3の EHP に対し推進効率 0.65
程度であり, 本船のような没水船型に対してはかなり
の余裕罵力となっている.
推進機関については, S tena Explorer と同じガス
ターピン (LM2500x 2, LM 1600x 2, ただし若干デイ
レーティング) を想定している. 推進器は 2重反転プロ
- 244-
Table
3
Items of transportation cost
,
!(s Ship price, Y Amortization (10 years)
Tv : Residual rate (0 1 ), x : Ins urance (0 .015), i : ln.耐
terest rate (0.05), rmP(s : Maintenance (γm= 0.03),
Nc : Crews (5), s : Crews cost (7 X106yen),N : Pas­
sengers,に: Shîp s peed, U : U tilization, 0f : Fuel
price ( yen/ kg ), Wf Fuel weight, R Range,
誓:Fuel per r叫e
.
。号
HSS900/'
冨
0,
〆
Cコ
Cコ
3.1
L・4
10
100
経済性関連諸項目
経済性のベースは運航費であるが, 前報3)と同様に
藍接運航費 (DOO), 間 接運航費 (IOC), 両者を合わ
せた総運航費 (TOC)の区分を用いる. DOC[円/座・
km]は
-
、a,
,,
噌'・4
,,a・‘
‘、
{与&十x+ i}Ks+ Tm!(s十sNc
NVsU
Cf弥Tf
十 RN
であり, 第 1項は資本費などの固定費, 第2項は燃料
費である. なお各項目は Table 3のとおりである.
式 (1)中 の 燃料費は, 与をB時uet の 式めから ,
長 官(sfc) (長) (山 口(sfc) (長)
(2)
ただし, P:所要動力[ PS], W:金重量[t], (sfc):燃
料 消費率[kg/ ( PS . hr)], さ らに総運航費TOC[円/座・
km]は, DOCと!OCを用いて次のようになる.
TOC = DOC + 10C = DOC (1十kd
(3)
ただし, hzi♀♀
で, 一般に kí = 0.5 ---1.0 の 程度で
DOC
あり, こ こ ではki = 0.5 とする.
3.2
〆
<)
JJ
a司
運航費の 計 算
DOC
〆,<r HSS1500
,/ Alhambra
"〆
AutoExpress79,,/
MDV1200Pegäsus
ω
υ
、 ツト
ペラ方式であるが さ らに高速ではウォー タジエ
推進が要求さ れよう.
3.
〆
100←
DOCの各項目
1. 船偲 船価!(sは高速船の実績値をもとに求める.
Fig.4は最近の大型高速フェリーの軽荷重量あた
りの船価であり, これより本事例 の SWATH型
高速フェリー (軽荷重量2500t) に対し, Ks= lOO
億円とする.
2. 燃料費と輸送効率 燃料費は式 (2)から求めら
れる. これに関係するパラメー タはP/Wたで ,
これはよく知られているように輸送効率の逆数
-245 -
1000
Light weight [t]
Fig.4
10000
P rice of lúgh-speed ferry
である 9) 船速%を最高速度VにとってP/WV
とVの関係を示した図が, これもよく知られた
Ka叫rmaIルI
は, 各 種の高速ブエリ}の値と共に 今回計画した
SWATHの値を記入しである. いずれの船型も ,
ほほ同 レベル の輸送効率になっているが, 最適
化の効果によって今回 の SWATHのP/WV値は
若干低くなっており, 輸送効率が改善 されてい
る ことが分かる.
3. 年間運航時間 次 式から求めることができる.
U
N.
X
(古事) (長)
X
{日/年] x [使/日] x [h r/便 }
(4)
ただし , U: 年間運航時間 [hr/年J, Nα:年間就航
日数 (320 日/年). td: l日の就航時間 (平均的に
20hr/日), tr: ターミナル時間 (0.5hr/ 便), L: 区
間距離 (km), U の値は対象航路毎に計算される
が, 例 としてに= 40k nとしてL と便数の関係
を図示しておくと, Fig. 6のようである. 実現可
能なU の領域は, 図中 の影で示した範囲である.
4換算旅客定員 式 (1)の DOCは旅客定員 (座席
数) Nをベースとしているが, フェリー の場合,
旅客のほかに乗用車とトラックを搭載しているた
め, それらの台数を旅客定員に換算して加えた
ものを換算旅客定員Nとして用いる. すなわち
N口Np+ (αc/αp)Nc+ (αt/αp)Nt
(5)
ただし, N:換算旅客定員, Np: 旅客定員, Nc: 積
載 乗用車台数, Nt: 積載トラック台数, αp:単位
旅客運賃, αc:単位乗用車運賃 αt:単位トラック
運賃である. つまり, 式 (5) は運賃による換算
億である. 式 (5) において, 運賃比率は長距離
0.5
{
(
ぷ
\gu{
・#)
\的円二 へ与斗E
」
\門町
0.1
0.05
0.01
0.005
40
30
50
60
70
80
Speed
20
10
30
Fig.5
90
V
50
V
ω
f事
�'5000
..c
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J
"
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3.3
:::.:> 4000
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1.
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右
打
� 2000 r.
=
-<
1000
O
200
400
600
800
Range
Fig.6
L
1000 1200 1400 1600
[km]
ArulUal utiliza.tion (40k附s)
120
130
140
150
60
70
80
[knots]
Ka.rman-Ga.briellì dia.gra.m
7000
F・L司 6000 r
110
[km/h]
40
Speed
∞
20
在来フェリーの実績 (Fig. 7)を考慮して定めれ
ばよいが, ここでは後述の競合航路の実績値を
もとにαc/ αp口3.6. 的/ αp口12.6と定めた. ま
た. Np• Nc• Ntな どは, 本SWATHにおいて甲
板蔀 積と 積載総重量の制約から Np = 1500人,
Nc = 380台, Nt = 40台としている(Fig. 2).
D OC の1i貰
後に示すように, 今回の手部斉性評価では, 東京~福
関, 東京~札幌, 東京~釧路の長距離 3 航路を想定 す
る. Fig.8に 40ノットの場合のDOCの例を示す. 実現
可能な DOCの領域は影をつけた範囲にある. 今回各
Jレート共 1 使/日とする. なお運賃αは, 消席率50%と
してTOCより定めるが, 航路毎に競合を考え若干増
減する.
αロTOC/0.5
(6)
4.
経済性の評価法(犠牲量モデル)
経済性の評価は, 対象とする航路毎に競合する他
の交通機関 (在来フェリー, 道路交通, 航 空, 鉄道な
-246-
S
...\t:
100
己20
]
IO
d
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rn
c
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5
4
3
2
〉
300
Fig.7
400
500
TRACK C
CAR +
PASSENGER 。
6∞7∞8∞900
Range L
1000
[km]
付命φ
ら=Rち+ a2L
。3L
自2L
2000
aJL
Fare of passengers, cars田ld trucks
民』oco宮
口門戸
口判
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言。
ト
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200
200
400
Fig.8
JOO%
Fig.9
600
800 1000
Range L [km]
DOC
1200
Total cosも担ld value of tíme
1400
0.8
(40knots )
九
ど) との関で , それぞれの運賃と輸送時間からなる犠
牲量モデル 9)を用い て行う. ただし, 犠牲量は旅客 ,
乗用車 , トラックの各々で相違し, またそれぞれで時
間価値とその分布曲線も異なるため 別々に評価を行い ,
その後, 総合的に競争力を判断することにする.
4.1
ω0.6
泡
..Q
v)
旅客輸送の犠牲量モデル
与
0.2
。
複数の輪送機関(J 種) の競合において次 式の犠牲
量 (総コスト) Cjが, 時間価値 Rに対して最小になる輸
送機関が選択されると考える. すなわち ,
Cmin三mmCJ1mi府
÷αjLJ]
R,j
R,J' - Vj
0.4
(j = 1,2ぃ・・)
(7)
一-24.7一一
5α}
l(泊o 15∞20∞2500 30∞3500 4000 4500 5000
Fig.l0
Value of time R [Yen/hr J
Share graph of passengers
5.
K
5.1
0.8
� 0.6
p
c
.c:
CI')
1.0
= -------,,..-- 官ず崎司)
1 + 9.77 xlO'" E
0.4
0.2
O
SWATH型高速フェリーと他の輪送機関の競合
における経済性評儲
10∞o
200∞
3α削
400∞
Value of time R [Yen/hr]
Fig. 11
50縦約
Share graph of cars
競合輸送機関の運賃と所要時間
経済性評価のためには, 具体的な航路を想定する
必要がある. ここでは長距離 フェリールート(東京~
福岡, 東京~札幌, 東京~弱11路) の3つを選んで, 各
Jレートの競合輸送手段として在来 フェリー, 高速道路,
鉄道, 航空を考え, 旅客・ 乗用車・トラックのそれぞ
れについて競合配分図を作成すると共に, シェアを計
算した . 各jレートの運賃と所要時簡を T able 引こ示す.
SWATHについては35, 40, 45ノットを想定した. な
おこれらのル}トにおいて港や空港から自的地までの
費用と所要時間を適当に加算している.
5.2
犠牲量モデルにおける競合の計算結果
Fig. 13に, 上記の3ルートにおける
競合配分図を示す. また, この配分図の各交点の
値からシェアグラブ(F ig. 10) を用いて各々交通
機関のシェアを求めたものをT able 5 (a) に示す.
なお, ( ) 内のシェアはSWATHと在来ブエリー
を直接対比した値である(以下, 乗用車輸送, ト
ラック輸送について も同様 ). 予想どうり高時間
価値域では航空が有利となっており, 幹線のな
い釧路を除くと80%以上のシェアを占める. 鉄
道は直通の新幹線がある東京~福岡を除き, ほ
とんどシェアを占めることができない. SWATH
については船速35--45ノットの範囲では, 航空
に対しては競争力がないが 在来 フェリーに対し
ては優設で, ほとんどのシェアを獲得している.
1. 旅客輸送
0.8
ぬ..
p=
ω0.6
勾
.c:
Uつ
1
0.9
勾 .... 1 r�
+ 4.58 xlO・(古おJ....;..1
0.4
0.2
o
5000
10似)()
150似
20∞o
Value of time R [Yen/hr ]
Fig.12
25α)()
Share graph of trucks
ただし, R:旅客の時間価値{円jh], αj 輸送機関jの
単位運賃[円/ 座・km], y-;' : jの速力[kmj吋, ん:jの区
間距離[km] とする. 式(7) の競合配分図はFig . 9 のよ
うになり, 対応する具体的なシェアグラブはFig. 10の
ようになる9)
4.2
乗用車およびトラックの犠牲量モデル
旅客の場合と基本的には同じであり, 典型的な例
は一般道と高速 道の競合である . 運賃に相当するの
が通行料金であり, 時開価値 Rは 1台あたりの時間評
価値になる. ブエリーの競合の場合には, 通行料金に
相当するのは フェリー違震になる. シェアグラ フには
道路交通において定められている一般道から高速道
への転換率曲線を用いればよい. F ig. 11, F ig. 12は道
路公団のもの12) で, 作成時点と現在の物価上昇(約 4
倍) をみて修正しである. Fig. 11が 乗用車, Fig. 12が
トラックの転換率曲線(シェアグラ フ) である.
-248-
Fig. 14に, 各lレ}トの競合配分図
を, またTable 5 (b) にシェアを示す. SWAT廷,
高速道路, 在来 フェリーの競合はルートによっ
てかなり相違している.
東京~福岡ルートでは高速道路がよく 整備さ
れているために, 陸上が費思 , 時間ともに有利
であり, Table 5 (b) の ように 100%近いシェア
を獲得することがわかる. また在来ブエリーと
SWATH では, SWATHが有利で, 乗用車のほ
とんどがSWATHを利用する.
東京~札幌ルートでは, 高速道路とSWATH
の競争力はF ig. 14のようにほぼ互角であ り,
SWATHの速度と運賃知何で, シェアは分れる.
在来ブエリーのシェアは低い.
東京~銀11路lレートでは 陸上は海峡や高速道路
の整備がよくないので, SWATHがもっとも存科
で, シェアも 90%以上を獲得している. 在来ブエ
リーは低速のために競争力が低い(Table 5 (b)).
2. 乗用車輸送
Ta.ble 4
Fa.re
(Yen )
( Hour)
a.nd time required
of pa.ssenger, ca.rs a.nd trucks ca叩.rr巾.
peti比ti討ve も訂ra担主1凶spor抗.吃も&抗tions in three routes
( a) Passeng er
SWATH
35 knots
45 knots
Route
40 knots
hours f are hours f are hours f are
19.0 15012 16.7 16713 14.9 18475
Tokvo ....Fukuoka
..
Tokyo ----S
- apporo 16.8 14736 14.8 16234 13.3 17840
17.2 12072 15.1 13651 13.4 15358
Tokyo --- Kushiro
35 knots
f are
hours
46024
Tokyo ---Fukuoka 19.0
43765
Tokyo ---S apporo 16.8
17.2
43459
LI坐型型耐I空一
Route
Com petîtive transportatîon
Rail
A ir
Ferry
hours fare hours f are hours f are
1.7 26600
6.2 21300 36.8 14630 I
1.5 24250 11.0 21980 30.0 14850
1.6 28100 14.3 26910 29.7 l 4420
(b ) C ar
SWATH
40 knots
45 knots
hours
f are
f are
hours
16.7
14.9
52150
58491
14.8
13.3
49156
54937
15.0
49144
13.4
55287
Com petitive transportation
Ferry
Highway
hours
f are hours
fare
14.1 31550 36.7
33430
16.4 40100 30.1
40140
21.4 42050 29.7
43260
(c) Truck
SWAT茸
Com petitive transportation
35 knoもs
40 knots
45 knots
Rouもe
Ferry
Highway
f are
hours
fare
hours
hours
f are
hours
f are hours
fare
Tokyo "':-Fukuoka 19.0 157458 16.7 178898 14.9 201094 14.1 44540 36.7 110430
Tokyo ---S apporo 16.8 149303 14.8 168172 13.3 188403 16.4 77830 30.1 150450
Tokvo....... Kushiro 17.2 152107 15.0 172005 13.4 193506 21.4 79790 29.7 155220
3∞005
柑0∞
28∞
o
τRAlN
{
〉ロ
�
35∞
o
〉
g
524側
〉
G.....
そ嫌様援と:
35knos
t .. .
i金35賞
kn再o燃st ..
40knost - 45knots _.-
4Oknots】ー
45knots _.-
iαlOO
o
200 400“)() 800 1∞o 12∞14∞
Value of ùme
R
[Yenlhf]
( a) Tokyo ←→Fukuoka
Fig. 13
2∞400
VaIue of time
(b) Tokyo
R
-H-
6∞800∞o
[Yenlhr]
Sapporo
30000
25000
2
; 醐f
10000
0
V
200 4∞600 800 1∞
o
1200 1400
VaIue oftime
(c) Tokyo
Competitive eva.lua.tion a.mong va.rious tra.nsporta.tions for pa.ssengers
-249-
A;LSA WA 為
3 5kno湖
ts.沼...
40knos
t 時一
45knos
t _.一
R
+-+
[Yenlhr)
Kusiro
1000∞
1000∞
1600∞i
800(ね
900∞
1400∞|
5
}
世
M
0
・ド
:�$,�ろ織5
35knots・--40knots宇田
45knots
--一
200∞
仰
な】
出83c
ド
〉
�、
U
800∞
ロ
U
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(a) Tokyo,ーがFukuoka
Fig_ 14
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15∞
Value of time R
(c) Tokyo
+-+
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2500
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KusÌro
Competitive evaluation among various transportations for cars
350∞。
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Value of úme R
6000
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(a) Tokyo ←→Fukuoka
Fig. 15
1000
20∞
4000
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[Yen/hr]
(b) Tokyo日Sapporo
6000
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100∞
Value of time R
15ωo
2∞∞
[Yenlhr]
(c) Tokyo ωKusiro
Competitive evaluation among various transportations fo:r trucks
Fig. 15に, 各ルートの競合配
分図を, またTable 5 (c) にシェアを示す. 何れ
のjレートでも高速道路が最も有利になっている.
シェアをみると, 東京~福岡, 東京~札幌では
100%, 東京~弱11路でも 95%以上になっている,
SWA T廷と 在来フェリーでは, ほほ互角である.
シェアの計算値は Table 5(c) のようにかなり変
動しているが, 高時間髄値域をSWA T誼, 低時
間価値域を 在来ブエリーが占める.
3. トラック輸送
5.3
3000
Value of time R
[Yen/hr 1
旅客輸送と自動車輸送を総合した評価
が最も高くなっていることからもわかる. 旅客単独で、
長距離ルートの高速船を剥用する場合は少ないであろ
う. しかし 乗用車と旅客が一体となった場合, ドライ
パー 運賃は自動車運震に含まれていることもあって,
かなりの旅客が海上を利用するものと考えられる. こ
の場合高速フェリーは, 乗用車のほか旅客輸送にも十
分競争力がある. トラック輸送では運賃の低いことが
最も重視され, この点からも高速道路が有利であり,
いわゆるモー ダルシフトの難しさを示している. 在来
フェリーに対しては, 高時開価値貨物輸送において十
分競争力があるが, 積載台数は当然限られよう.
以上の評価は, 各ルートに対して, 旅客 乗用車, ト
6. 結 言
ラック輸送を独立的に計算してみたものであるが, 最終
的には, それらを総合して評価することが必要である.
超高速フェリーを対象に旅客, 乗用車, トラックの
基本的には旅客輸送は最も輸送時間の短縮を求め
るものであって, これは, 以上の計算で 航空の競争力 海上高速輸送における経済性の評価方法を示すと共に
一-250-
T‘able 5
Share of passenger, cars and trucks carried by the
routes,
SWATH, and by competitive transportations in three
(The numbers within p抑仰&副ren
Route
Tok yo-""Fukuol也
Tok yo ....S.. apporo
Tokyo -.... Kushiro
( a) Passenger
SWATH
Competitive transportation
( 40knots)
Air
Rail
Ferry
23.8%
0.0% (100%)
76.2% 0.0% (0.0%)
99.9%
0.0% (100%)
0.0% 0.0% (0.0%)
67.6%
32.4% (100%)
0.0% 0.0% (0.0%)
Route
Tokyo...... Fukuoka
Tokyo....S.. apporo
Tok yo --Kushiro
Route
Tok yo....... Fukuoka
Tokyo....S.. apporo
Tokyo...... Kushiro
(b) Car
Competitive transportation
SWA TH
(40knoもs)
Highway
Ferry
100.0%
0.0% (98%)
0.0% (2.0%)
42.5% (99%)
57.5%
0.0% (1.0%)
97.2% (100%)
2.8%
0.0% (0.0%)
(c) Truck
S羽TAT宜
Competitive transportation、
(40knots)
Ferry
Highw吋F
100.0%
0.0 % (22%)
0.0% (78%)
100.0%
0.0 % (58%)
0.0% (42%)
96.7%
3.3 % (73%)
0.0% (27%)
具体的な評価を行った. 対象船として SWATH型高速
フェリーを選ぴ, 抵抗推進性能から船型の最適化を行っ
た後, これを, 道路, 鉄道, 航空, 在来フェリーと競
合させて犠牲量モデルにもとづく経済性評価を行った.
旅客単独の輸送では不利であるが, 乗用車輸送では十
分な競争力を有し, 在来ブエリーに対してはほとんど
のシェアを奪い, 高速道路に対しでもかなりの競争力
を持つ. トラック輸送では高速道路に較べ不利になる
が, 在来フェリーには互角である. しかし, 積載台数
に対する重量の制約からトラック輸送台数は少ない.
なお本研究に際し, 三菱重工業 (株)木原和之氏に
は超高速船のデータなど, 種々ご教示を受けたことに
謝意を表します.
参
考
文
献
ger Vehicles," Proc. of the FAST'93, pp. 11291142, 1993.
5) 例 え ば, "Jane's High-Speed Marine Transporta­
tion (1996-�7)ぺ1996.
6) 中畠章央:“半没水型双胴船における没水体形状
の最適設計に関する研究ぺ大阪大学1995年度特
別研究, 1996.
7) Salvesen, N. et al. “Hydro-Numeric Design of
SWATH Ships," T:主ans, SNAME93, pp. 325-346,
1985.
8) Papanikolaou, A. and Andr01山kakis, M.
:“Hydrodynamic Optimization of High-Speed
SWATH,労 Proc. ofもhe FASTう91, pp. 507-522,
1991.
9)赤木新介:“新交通機関論fコロナ社,1995.
10) Ga功br巾iel出l註i, G. and von Kar如E口maε民Z
Price Speed?," Mechanical Engineering, ASME,
Vol. 72, No. 10, pp. 775-781,1950.
11)赤木新介:“高速船とカルマン線図ぺ「らんJ ,第
36号,1997,掲載予定 .
12) 呑藤正三:“総合交通計画ぺ技報堂ぅ1976.
1)赤木新介:“交通機関の高速化と超高速船f関西
造船協会誌,第212号,pp. 181-195,1989.
2) Al吋i,S. :“Synthetic Aspects of Transport Econ­
omy and Transport Vehicle Performance with
Reference to Hign Speed Marine Vehicles,'> Proc.
of the FAST'91,pp. 277-292,199r.
3)赤木新介:“旅客用高速船の経済性評価と需要予
r�IJ,"関西造掛協会誌?第220号,pp. 167-176,1993.
4) Akagi, S. : "A Study of Transport Economyand
Market Research for High Speed Marine Passen一一251-
討
論
[討論] (大阪府立大学)池田良穏
高速 フェリーの運航実績を見ますと, 航海時間が
1.-...2. 時間以内の短い航路の方が採算性が良いとの結論
が出ておりますので, 本論文で行なわれた航路よりも
短い航路における経済性の比較についてもご検言すいた
だければ幸いです.
[回答]
ご討論有難うございます.
ご指摘のように短い航路は下記の点で, 高速カー
ブエリ ーに有利なように思われます.
1. 特に旅客輸送に対し航空機との競合の点から有
利である. こ れは, 前報 (本文の参考文献3)) で,
瀬戸内海における高速旅客船の経済性評価を行
なって, コミュータとの競合を検討し, そのよ
うな結果を示しました.
2 _ 超高速船は船価が高いので燃料費のみならず資
本費の低減が重要ですが, 本文Fig_ 6, 7 に示す
ように航路長が長い所では便数が少なくなり,
船速と航路長の適合が悪いと稼働率が下がりま
す. この点, 短距離ではターミナル時間をうま
く短縮すれば便数が増え, 運航に弾力性が増し
て 平均稼働率を高めることができ, 資本費の低
減, つまりは総運航費を下げることが可能です.
具体的な短距離航路についても検討してみたい
と患います.
[討論] (大阪府立大学)姫野洋司
航続距離が3,000マイル以上を考えると, この船型
や計画に どのような問題が生じるでしょうか?
[回答]
ご討論有難うございます.
3,000n-mというと横浜~シンガポール間程度の距
離と考えられます. この種の高速船の輸送効率の悪さか
らみると, 2 ,000n-m でもおそらくべイロードを計画値
の半分程度におとす必要があると考えられ, 3,000n-m
以上になると最低でも 1ケ所の給油停泊が必要となると
思われます. したがって, 航路計画もそのようなルー
トに限られると考えられます.
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