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自然エネルギー白書(風力編) V3.2 - JWPA 一般社団法人日本風力発電

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自然エネルギー白書(風力編) V3.2 - JWPA 一般社団法人日本風力発電
自然エネルギー白書(風力編) V3.2
1. これまでのトレンドと現況
(1)単年度導入量と累積導入量
(2)都道府県別および電力会社別の導入量
(3)単年度導入量と施策
2. 風力発電のポテンシャル
(1) 概要
(2) 適地面積から設備容量への換算
(3) 陸上風力のポテンシャル
(4) 洋上風力のポテンシャル
(5) 市町村別および地域別ポテンシャル
3. 風力発電の長期シナリオ
(1) 長期目標値
(2) 各電力会社管内のポテンシャルと長期導入目標値
(3) ロードマップ
4. 風力発電産業
2012年2月
一般社団法人 日本風力発電協会
1/13
1. これまでのトレンドと現況
(1)
単年度導入量と累積導入量
日本における 10kW 以上の風力発電は、1980 年に三菱重工業㈱が試験研究用として 40kW 機を長
崎県に設置したのが最初であり、1990 年度末までには、同社の 250kW、300kW 機、石川播磨重工
業㈱殿の 100kW 機、ヤマハ発動機㈱殿の 15kW、17kW 機が建設され、運転中の累積容量は、1,015kW
となった。
1999 年には、1,000kW 機が登場し、㈱ユーラスエナジー苫前殿が 1,000kW 機 20 台による、国内
初の本格的ウインドファーム(2 万 kW)を建設した。
その後、風車の単機容量及びウインドファーム容量は、年々大型化し、現在では単機容量 3,000kW
(ブレード径≒90m、ハブ高さ≒90m:陸上風力として輸送・建設の限界に近い)機が登場している。
また、5 万 kW 以上のウインドファームも 5 箇所で運転を開始しており、現在の国内最大容量のウ
インドファームは 2009 年 5 月に運転を開始した㈱ユーラスエナジー新出雲風力発電所で、単機容量
3000kW 機 26 台による 7 万 8000kW である。
2011 年度(2012 年 3 月末)時点の推定導入量は、252.2 万 kW、1840 台であり、このままでは、
国の導入目標であった「2010 年度までに 300 万 kW」が実現するのは、2014 年度以降となる状況と
いえる。
2011 年 7 月から施行される固定価格買取制度が、充分な事業性を担保できる価格と期間に設定さ
れる事と、2011 年夏頃に決定するエネルギー基本計画が、意欲的な中長期導入目標が設定される事
により、欧米諸国と同等な導入量が達成される事が期待される。1990 年度から 2011 年度までの単
年度および累積の導入実績を図 1-1 に、また主要年度の累積導入容量と累積台数を表 1-1 に示す。
風力発電 年度別導入量
3,000
単年度容量[MW]
導入量[MW]
2,500
累積容量[MW]
2,000
1,500
1,000
500
2011
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
0
年度
図 1-1
1990 年度から 2011 年度までの単年度および累積導入量
表 1-1 累積導入量と累積台数
1990
1995
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
累積容量[MW]
1
10
144
313
464
681
925
1085
1490
1675
1880
2184
2440
2522
累積基数[基]
9
54
259
434
576
741
920
1059
1316
1413
1531
1679
1807
1840
年度
2/13
(2)
都道府県別および電力会社別の導入量
風況の良い北海道、東北、九州地区の導入量が多く、都道府県別では青森県が 2008 年度から継続
して 1 位となっている。2011 年度の新規導入量が少ない中で、北海道に約 34MW 建設されたことなど
により、青森県と北海道との差は、わずか 14MW となった。
電力会社別でみると、東北電力、九州電力、東京電力、北海道電力の順となる。東京電力管内の設
置量が多いのは、福島県に設置した風力発電所の内、約 97%(140MW)が東京電力へ連系している事
によるものである。
都道府県別導入量と設置基数を図 1-2 に、電力会社別の導入量を図 1-3 に示す。
都道府県別導入量
350
350
導入量[MW]:左軸
300
300
風車基数[基]:右軸
250
250
導
入
量 200
[
]
150
100
50
50
0
0
沖縄県
鹿児島県
宮崎県
大分県
熊本県
長崎県
佐賀県
福岡県
高知県
愛媛県
香川県
徳島県
山口県
広島県
岡山県
島根県
鳥取県
和歌山県
奈良県
兵庫県
大阪府
京都府
滋賀県
福井県
石川県
富山県
三重県
岐阜県
愛知県
静岡県
長野県
山梨県
新潟県
神奈川県
東京都
千葉県
埼玉県
群馬県
栃木県
茨城県
福島県
山形県
秋田県
宮城県
岩手県
青森県
北海道
100
図 1-2 都道府県別導入量
電力会社別導入量
600
550
500
導入量[MW]
410
400
300
357
290
271
230
200
146
125
124
100
20
沖縄電力
九州電力
3/13
四国電力
図 1-3 電力会社別導入量
中国電力
関西電力
中部電力
北陸電力
東京電力
東北電力
北海道電力
0
[ ]
200 基
数
M
W 150
基
(3)
単年度導入量と施策
導入量増加に伴う各電力会社殿の募集容量制限、抽選・入札制度の導入、最近では改正建築基準法
施行による初期の混乱、世界的な風車需要増加などの影響により、単年度導入量が低下している。
特に、2010 年度以降は、固定価格買取制度への移行を前提に、新規案件に対する建設費補助(助
成制度)が中止され、継続案件のみの建設となった事から、新規導入量が一層低下している。
風車の建設は、規模や地域により異なるが、計画時点から 2~5 年の期間を要するので、2012 年 7
月から、事業性が成立する価格と期間による固定価格買取制度へ移行しても、導入量が急増するには
2015 年度以降と想定される。
1990 年度から 2011 年度までの単年度導入実績と、関連する NEDO 共同研究、建設費補助、系統
連系メニュー、法・制度の様相を図 1-4 に示す。
図 1-4
1990 年度から 2011 年度までの単年度導入実績と関連施策
4/13
2. 風力発電のポテンシャル
(1)
概要
風力発電の賦存量とポテンシャル調査は、2000 年 1 月に経済産業省が実施した、
「新エネルギー等
基礎調査」以来、日本風力発電協会が 2007 年 12 月に(V0.0)、2010 年 1 月に(V1.1)、2010 年 6 月
に(V2.1)、2011 年 7 月に(V3.0)を、また環境省が 2010 年 3 月および 2011 年 3 月に実施した「再生
可能エネルギー導入ポテンシャル調査」および経済産業省が 2011 年 2 月に実施した「新エネルギー
等導入促進基礎調査事業」がある。これらは、年々解析精度の向上を図ると共に、ポテンシャル算出
のための制約条件を精緻化したものである。
ここで賦存量とは、理論的に算出することができるエネルギー資源量の内、明らかに利用すること
が不可能であるもの(例:風速 5.5m/s 未満の風力エネルギーなど)を除く資源量であって、種々の
制約要因(土地用途、利用技術、法令、など)を考慮しないものをいい、ポテンシャルとは、エネル
ギーの採取・利用に関する種々の制約要因を考慮したエネルギー資源量であって、特定の社会条件に
よる一時点における導入可能量をいう。
さらに、シナリオ別導入可能量とは、ポテンシャルの内数であり、事業収支に関する特定のシナリ
オ(仮定条件)を設定した場合に具現化が期待されるエネルギー資源量をいう。
以下に、これらを基とした日本風力発電協会の「風力発電の賦存量とポテンシャルおよびこれに基
づく長期導入目標とロードマップ Ver.3.2」の概要を記す。
なお、環境省が実施した「平成 22 年度再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査:2011 年 3 月」
の詳細は、以下を参照
http://www.env.go.jp/earth/report/h23-03/index.html
http://www.env.go.jp/earth/ondanka/rep/index.html
また、経済産業省が実施した「新エネルギー等導入促進基礎調査事業:2011 年 2 月」の詳細は、
以下を参照
http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2011fy/E001771.pdf
日本全国における陸上風の、賦存量、ポテンシャルおよびシナリオ別の算出結果を図 2-1 に示す。
賦存量、ポテンシャルとシナリオ別導入可能量
賦存量
ポテンシャル
シナリオ別
0
100
200
300
400
500
600 700 800
設備容量[GW]
900 1,000 1,100 1,200 1,300 1,400
8.0m/s~
7.5~8.0m/s
7.0~7.5m/s
6.5~7.0m/s
6.0~6.5m/s
5.5~6.0m/s
シナリオ1-1
シナリオ1-2
シナリオ1-3
シナリオ2
図 2-1 賦存量、ポテンシャルとシナリオ別導入可能量
シナリオ別導入可能量とポテンシャルとを比較すると、以下が伺えるが、日本全国の発電設備容量
が、約 207GW であること、ポテンシャルは北海道、東北、九州に集中していることおよび地域により
風速分布が異なることに注意を要する。

シナリオ 2

シナリオ 1-3 ≒ 年間平均風速 6.5m/s 以上、

シナリオ 1-2 ≒ 年間平均風速 7.0m/s 以上

シナリオ 1-1 ≒ 年間平均風速 8.0m/s 以上
≒ 年間平均風速 5.5m/s 以上
5/13
(2)
適地面積から設備容量への換算
賦存量、ポテンシャルは、最新の国土数値情報を基に 100m メッシュで算出した面積を、設備容量
へ換算して公表をしている。以下に適地面積から設備容量への換算に適用した前提条件などを示す。
現在は、単機出力 2000kW~3000kW が主流となっており、ローター径(D)も長くなっている。複
数の風車配置に際しては、NEDO 風力発電導入ガイドブック(2008 年 2 月改訂第 9 版)から、卓越風
向がある場合の推奨値(10D×3D)を採用し、主要風車の出力とローター径の調査結果および既
設ウインドファームの実績から、風車の単機出力による差は僅かであることが判明したので、ここで
は、単機出力に係らず1k ㎡当り10MWとした。
(特に陸上風力の場合は、3 列未満の配置が多いが、
これは設置可能量のマージンとした)図 2-2 に風車出力とローター径および k ㎡当り出力を示す。
14
120
12
100
10
80
8
60
6
D:ローター径 [m]
40
4
k㎡当り出力[MW]
ローター径[m]
風車出力とローター径およびk㎡当り出力
140
10D*3D配置時:km2当り出力
2
累乗 (D:ローター径 [m])
20
0
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
3,500
4,000
4,500
0
5,000
風車出力[kW]
図 2-2 風車出力とローター径および 10D×3D 配置時の km2 当り出力
なお、2,000kW 級風車を 1 基建設する場合、据付維持に必要な専有面積は 100m×100m(1ha)程度
(基礎は 20m×20m 程度、最終的に地表へ出るタワーは直径 4m程度)であるが、複数台の風車を建
設する際に必要なエリヤ面積は、主風向に対する風車列数により異なることと、風車設置位置以外は
牧草地など他の用途に使用可能であることに注意を要する。
2,000kW 機を 30 基設置する場合の、風車列数とエリヤ面積との関係を図 2-3 に示す。
30 基×1 列の場合:約 86ha≒70.0MW/ k ㎡
15 基×2 列の場合:約 360ha≒16.7W/ k ㎡
120
10 基×3 列の場合:約 410ha≒14.5MW/ k ㎡
図 2-3 風車列数とエリヤ面積
6/13
(3)
陸上風力のポテンシャル(6.5m/s 以上に限定した場合)
陸上風力のポテンシャルは、北海道、東北、九州に集中しており各電力会社の設備容量や事業性を
考慮する必要が有る。賦存量から社会的制約条件を考慮した「陸上風力ポテンシャル」の内、事業性
の面から 80m 高さで年間平均風速 6.5m/s 以上に限定したポテンシャルは、以下の通りである。

各電力会社の設備容量を考慮しない場合:143,760MW(国内全発電設備容量の 0.70 倍)

各電力会社の設備容量を上限とした場合: 59,045MW(国内全発電設備容量の 0.29 倍)

上記に加えて開発率を約 1/2(50%)とした場合:30,000MW(国内全発電設備容量の 0.15 倍)
各電力会社管内別の陸上風力ポテンシャルを図 2-4 に、北海道のポテンシャルを図 2-5 に示す。
陸上風力ポテンシャルと電力会社発電設備容量
ポテンシャルおよび発電設備容量[MW]
70,000
6.5~7.0m/s
60,000
7.0~7.5m/s
7.5~8.0m/s
50,000
8.0m/s~
電力会社発電設備容量[MW]
40,000
30,000
20,000
10,000
0
北海道
東北
東京
北陸
中部
関西
中国
四国
九州
図 2-4 各電力会社管内別の陸上風力ポテンシャル(6.5m/s 以上)
図 2-5 北海道の陸上風力ポテンシャル(6.5m/s 以上)
7/13
沖縄
(4)
洋上風力のポテンシャル(7.5m/s 以上に限定した場合)
洋上風力のポテンシャル(離岸距離 30km 未満、水深 200m 未満)の内、事業性の面から 80m 高さ
で年間平均風速 7.5m/s 以上に限定した、洋上風力ポテンシャルは、以下の通りである。

各電力会社の設備容量を考慮しない場合:607,842MW(国内全発電設備容量の 2.94 倍)

各電力会社の設備容量を上限とした場合:116,116MW(国内全発電設備容量の 0.56 倍)

上記に加えて開発率を約 1/4(25%)とした場合:30,000MW(国内全発電設備容量の 0.15 倍)
各電力会社管内別の洋上風力ポテンシャルを図 2-6 に示す。
洋上風力ポテンシャルと電力会社発電設備容量
250,000
ポテンシャルおよび発電設備容量[MW]
7.5~8.0m/s
8.0~8.5m/s
200,000
8.5m/s~
電力会社発電設備容量[MW]
150,000
100,000
50,000
0
北海道
東北
東京
北陸
中部
関西
中国
四国
九州
沖縄
図 2-6 各電力会社管内別の洋上風力ポテンシャル(諸島を含む)
一方、洋上風力は、主に本島への送電を目的とするので、諸島を除き北海道、本州、四国、九州お
よび沖縄の本島から離岸距離 30km 未満、水深 200m 未満に限定した場合を図 2-7 に示す。

各電力会社の設備容量を考慮しない場合:378,253MW(国内全発電設備容量の 1.83 倍)

各電力会社の設備容量を上限とした場合: 95,963MW(国内全発電設備容量の 0.46 倍)

上記に加えて開発率を約 1/3(33%)とした場合:30,000MW(国内全発電設備容量の 0.15 倍)
洋上風力ポテンシャルと電力会社発電設備容量
250,000
ポテンシャルおよび発電設備容量[MW]
7.5~8.0m/s
8.0~8.5m/s
200,000
8.5m/s~
電力会社発電設備容量[MW]
150,000
100,000
50,000
0
北海道
東北
東京
北陸
中部
関西
中国
四国
九州
沖縄
図 2-7 各電力会社管内別の洋上風力ポテンシャル(諸島を除く)
8/13
(5)
市町村別および地域別ポテンシャル
風力発電のポテンシャルは、500mメッシュの風況データと、100mメッシュの土地利用区分などの
データを基に算出しているため、特に陸上風力に関しては、縮尺の大きな地図では具体的な適地が判
別しにくいので、陸上風力に関しては、市町村別に集計したポテンシャル量を、洋上風力に関しては、
風速を示したポテンシャルマップを図 2-8 に示す。(各市町村の面積が異なる事に、注意を要する)
図 2-8 市町村別陸上風力ポテンシャル量と洋上風力ポテンシャルマップ
9/13
3. 風力発電の長期シナリオ
(1)
長期目標値
現在、エネルギー基本計画の見直しが進められているが、日本風力発電協会は、2007 年度に長期
導入目標を策定し、これを公表している。2.項に記載した最新のポテンシャル調査結果を踏まえても、
この目標値は充分に達成可能と考えている。
☆
中期導入目標値(2020 年):1,100 万 kW(11,000MW)以上
☆
中期導入目標値(2030 年):2,700 万 kW(27,000MW)以上
☆
長期導入目標値(2050 年):5,000 万 kW(50,000MW)以上(需要電力量の 10%以上に相当)
(2)
各電力会社管内のポテンシャルとの長期導入目標値
2.項に記載したとおり、ポテンシャルの殆ど全てが北海道、東北、九州に集中していることから、
各電力会社管内のポテンシャルと設備容量から、以下の制約を加えて、5,000 万 kW を達成する為に
各電力会社導入目標値を算定した。算定結果を、表 3-1 および図 3-1 に示す。
<制約条件>

各電力会社発電設備容量の 1/2(50%)以下。但し沖縄は 1/3(33%)以下。

陸上風力ポテンシャル(6.5m/s 以上を対象)の 1/2(50%)以下。

洋上風力ポテンシャル(離島を除く、7.5m/s 以上を対象)の 1/3(33%)以下。
なお、試算結果の発電電力量(kWh)は、2010 年度需要電力量の 13.3%に相当する。
表 3-1
発電設備
容量
MW
電力会社
北海道
東北
東京
北陸
中部
関西
中国
四国
九州
沖縄
合計
7,419
17,206
64,988
8,057
32,828
34,877
11,986
6,963
20,330
1,919
206,575
JWPA 試算:電力会社別長期導入目標値
陸上
風力
MW
洋上
風力
MW
合計
MW
2,500
6,000
1,000
700
2,100
3,100
2,000
1,000
6,000
600
25,000
1,200
2,600
9,100
0
6,700
200
0
1,100
4,100
0
25,000
3,700
8,600
10,100
700
8,800
3,300
2,000
2,100
10,100
600
50,000
陸上
開発率
3.8%
15.2%
46.1%
44.0%
49.4%
49.1%
50.0%
46.3%
50.0%
11.0%
17.4%
洋上
開発率
風力
設備
容量率
0.6%
3.3%
32.1%
32.0%
28.7%
30.8%
25.8%
0.0%
6.6%
49.9%
50.0%
15.5%
8.7%
26.8%
9.5%
16.7%
30.2%
49.7%
31.3%
24.2%
洋上内数
着床式
MW
洋上内数
浮体式
MW
600
400
2,800
0
3,600
0
0
0
100
0
7,500
600
2,200
6,300
0
3,100
200
0
1,100
4,000
0
17,500
風力導入目標と電力会社発電設備容量
35,000
洋上風力(25,000MW)
陸上風力(25,000MW)
30,000
発電設備容量[MW]
電力会社発電設備容量*0.50[MW]
25,000
電力会社発電設備容量*0.25[MW]
20,000
15,000
10,000
5,000
0
北海道
東北
図 3-1
東京
北陸
中部
関西
中国
四国
JWPA 試算:電力会社別長期導入目標値
10/13
九州
沖縄
(3)
ロードマップ
風力発電長期導入目標(50,000MW)を達成するためのロードマップを、表 3-2 および図 3-2 に、
また 20 年毎の更新を含めた、単年度生産量を図 5-14 に示す。但し、洋上風力の本格的な導入開始
年度をこれまでよりも早めて、着床式洋上風力(水深 50m未満)を 2014 年度、浮体式洋上風力(水
深 50m以上 200m未満)を 2018 年度とした。単年度の新規導入量を図 3-3 に示す。
表 3-2
JWPA 試算:ロードマップ
風力導入目標値[MW]
年度
陸上
着床
浮体
合計
2010
2020
2030
2,417
10,800
21,200
25
400
3,300
0
100
4,300
2,442
11,300
28,800
2040
2050
25,000
25,000
7,200
7,500
14,000
17,500
46,200
50,000
風力発電導入ロードマップ
60,000
55,000
洋上(浮体)
50,000
洋上(着床)
導入量[MW]
45,000
陸上
40,000
35,000
30,000
25,000
20,000
15,000
10,000
5,000
0
2000
2005
2010
2015
図 3-2
2020
2025
年度
2030
2035
2040
2045
2050
2040
2045
2050
JWPA 試算:ロードマップ
単年度新規導入量[MW]
2,500
合計
陸上実績
単年度導入量[MW]
2,000
陸上
洋上(着床)
1,500
洋上(浮体)
1,000
500
0
2000
2005
2010
図 3-3
2015
2020
2025
年度
2030
2035
JWPA 試算:単年度新規導入量
11/13
4. 風力発電産業
風力発電は、太陽光発電と異なり自動車産業に近い【約 1~2 万点の部品による組み立て産業】で
あり、機械系・電気系・素材系の部品産業、メンテナンス(年 2 回の定期点検)
、送電線や系統制御
設備の新増設工事、土木・建設工事などを含めると産業・雇用効果が大きい事業であると言える。
以下に主な動向を示す。

世界風力会議(GWEC)発行の「Global Wind Energy Outlook 2010」では、Moderate ケースで
2010 年末における世界の風力発電産業は、以下の通りであると推定・公表している。
・ 年間生産風車≒40,212MW
・ 風車産業雇用≒63 万人
・ 市場規模
≒10 兆円(風車=6.5 兆円、部品・他=5 兆円(推定)
・ 年間増加率 ≒25%(5 年で 3.0 倍、10 年で 9.3 倍)

アメリカの「20%Wind Energy by 2030」計画では、風車の製造・建設・運用で 15 万人の直接
雇用を、関連部本産業・メンテナンスなどで 30 万人の雇用が図れると公表している。

日本は、風車の世界シェアが約 3%であり、金額で約 1 千億円/年であるが、大型軸受けは、
世界のトップ 5 に日本企業が 3 社も入っており、機械系・電気系・素材系・メンテナンス系の
産業を含めると約 3 千億円/年以上と推定される。
また、風車メーカーの直接雇用は 1 千人以上であり、関連産業などを含めると約 1 万人の雇用
と考えられる。
風力発電設備は、約 20 年で設備更新を行うので、日本風力発電協会が策定した導入目標「2050 年
までに 5,000 万 kW」の場合でも、2025 年以降の単年度生産量は約 200 万 kW/年であり、2030 年以降
は継続して約 250 万 kW を生産する事になるので、市場拡大に伴う量産効果による建設コスト低下お
よび洋上風力の建設コストなどを考慮すると共に、メンテナンスコストを加えると、国内向けのみで
約 5 千億円/年の市場規模、約 2 万人の雇用に相当する。
一方、世界市場は年率約 25%の上昇が見込まれており、国内の風力関連産業における市場規模は、
これまで実績がある、国産風車、大型軸受けなどの機械系部品や電気系部品に加えて、風車ブレード
への適用が検討されているカーボン繊維などの海外輸出を積極的に推進することにより、2020~2025
年には、最低でも約 2 兆円/年、約 5 万人の雇用を実現する事が可能と言える。
20 年毎の設備更新を含めた単年度の生産量を図 4-1 に示す。
単年度生産量(建設量)[MW]:更新を含む
3,500
合計
単年度導入量[MW]
3,000
陸上実績
陸上
2,500
洋上(着床)
2,000
洋上(浮体)
1,500
1,000
500
0
2000
2005
2010
図 4-1
2015
2020
2025
年度
2030
2035
2040
JWPA 試算:単年度生産量(建設量)
12/13
2045
2050
風力発電装置と主な日本メーカーの機器対応を図 4-2 に、所在地を図 4-3 に示す。
図 4-1 風力発電装置と主な日本メーカー(機器対応)
図 4-2 風力発電装置と主な日本メーカー(所在地)
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