...

JP 2009-530305 A 2009.8.27 (57)【要約】 本発明は、超臨界CO2抽出

by user

on
Category: Documents
18

views

Report

Comments

Transcript

JP 2009-530305 A 2009.8.27 (57)【要約】 本発明は、超臨界CO2抽出
JP 2009-530305 A 2009.8.27
(57)【要約】
本発明は、超臨界CO2抽出方法を用いた、ウコン種植物性材料の抽出物、アミロイド斑
凝集またはこれにともなう原線維形成、例えばアルツハイマー病に罹患している患者を処
置する方法、およびアミロイド斑凝集またはその組織中の原線維形成の阻害方法に関する
。本発明のウコン種抽出物はさらに、クルクミノイド、ターメロン、多糖類、および/ま
たはターメリンも含む。クルクミノイドは、クルクミン、テトラヒドロクルクミン、デメ
トキシクルクミン、ビスデメトキシクルクミン、およびこれらの組み合わせからなる群か
ら選択される。
(2)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
【特許請求の範囲】
【請求項1】
図9、図10、または図14∼図78のいずれかに記載のリアルタイム直接分析(DAR
T)質量分析法クロマトグラムを有する分画を含んでいる、ウコン種抽出物。
【請求項2】
前記分画が、図14∼図31、図36、図37、図41、図51、図52、または図56
のいずれかのDART質量分析法クロマトグラムを有する、請求項1に記載のウコン種抽
出物。
【請求項3】
図35、図38∼図40、図50、または図53∼図55のいずれかのDART質量分析
10
法クロマトグラムを有する、請求項1に記載のウコン種抽出物。
【請求項4】
図9、図10、図42∼図46、または図57∼図61のいずれかのDART質量分析法
クロマトグラムを有する、請求項1に記載のウコン種抽出物。
【請求項5】
図32∼図34、または図47∼図49のいずれかのDART質量分析法クロマトグラム
を有する、請求項1に記載のウコン種抽出物。
【請求項6】
図63∼図78のいずれかのDART質量分析法クロマトグラムを有する、請求項1に記
載のウコン種抽出物。
20
【請求項7】
図47または図62に記載のDART質量分析法クロマトグラムを有する、請求項1に記
載のウコン種抽出物。
【請求項8】
前記抽出物が、図63∼図78のいずれかのDART質量分析法クロマトグラムを有する
精油分画、および図9、図10、図42∼図46、または図57∼図61のいずれかのD
ART質量分析法クロマトグラムを有する多糖類分画を含んでいる、請求項1に記載のウ
コン種抽出物。
【請求項9】
前記抽出物が、図63∼図78のいずれかのDART質量分析法クロマトグラムを有する
30
精油分画、図9、図10、図42∼図46、または図57∼図61のいずれかのDART
質量分析法クロマトグラムを有する多糖類分画、および図47または図62のDART質
量分析法クロマトグラムを有するターメリン分画を含んでいる、請求項1に記載のウコン
種抽出物。
【請求項10】
前記抽出物が、クルクミノイド、ターメロン、多糖類、および/またはターメリンを含ん
でいる、請求項1に記載のウコン種抽出物。
【請求項11】
前記クルクミノイドは、クルクミン、テトラヒドロクルクミン、デメトキシクルクミン、
ビスデメトキシクルクミン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求
40
項10に記載のウコン種抽出物。
【請求項12】
前記クルクミノイドの量は、少なくとも約75重量%である、請求項10に記載のウコン
種抽出物。
【請求項13】
前記ターメロンは、α−ターメロン、ar−ターメロン、β−ターメロン、およびこれら
の組み合わせからなる群から選択される、請求項10に記載のウコン種抽出物。
【請求項14】
前記ターメロンの量は、少なくとも5重量%である、請求項10に記載のウコン種抽出物
。
50
(3)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
【請求項15】
前記ターメリンの量は、少なくとも約5重量%である、請求項10に記載のウコン種抽出
物。
【請求項16】
前記多糖類は、ウコナンA、ウコナンB、ウコナンC、およびこれらの組み合わせからな
る群から選択される、請求項10に記載のウコン種抽出物。
【請求項17】
前記多糖類の量は、少なくとも約5重量%である、請求項10に記載のウコン種抽出物。
【請求項18】
請求項1に記載のウコン種抽出物を含んでいる、食品または薬剤。
10
【請求項19】
アミロイド斑凝集または原線維形成に罹患している被験体を処置する方法であって、請求
項1に記載のウコン種抽出物の有効量を、これを必要とする患者へ投与する工程を含む、
方法。
【請求項20】
前記被験体は、アルツハイマー病に罹患している、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ウコン種抽出物がさらに、α−ボスウエリア酸および/またはβ−ボスウエリア酸、
ならびに/あるいはそのC−酢酸塩の相乗作用量も含んでいる、請求項19に記載の方法
。
20
【請求項22】
前記被験体が、霊長類、ウシ、ヒツジ、ウマ、ブタ、げっ歯類、ネコ、またはイヌである
、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記被験体が、ヒトである、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
アミロイド斑凝集または組織中の原線維形成を予防する方法であって、該組織と請求項1
に記載のウコン種抽出物の有効量とを接触させることを含む方法。
【請求項25】
ウコン種抽出物がさらに、α−ボスウエリア酸および/またはβ−ボスウエリア酸、なら
30
びに/あるいはそのC−酢酸塩の相乗作用量も含んでいる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
少なくとも1つの予め決定された特徴を有するウコン種抽出物を調製する方法であって、
精油分画、クルクミノイド分画、多糖類分画、およびターメリン分画を生じるために、
a.超臨界二酸化炭素抽出によってウコン種植物性材料を抽出して、精油分画および第
一残渣を生じる工程;
b.ウコン種植物性材料または工程a)からの該第一残渣のいずれかを、超臨界二酸化
炭素抽出によって抽出して、クルクミノイド分画および第二残渣を生じる工程;
c.工程b)からの該第二残渣を熱水抽出によって抽出して多糖類溶液を生じ、次いで
該多糖類をエタノールで沈殿させて、多糖類分画および第三残渣を生じる工程;ならびに
40
d.カラムクロマトグラフィによって、工程c)からの該第三残渣からターメリン分画
を分離する工程;
によって、ウコン種植物性材料を連続的に抽出する工程を含む、方法。
【請求項27】
工程a)は、
1)粉砕されたウコン種植物性材料を抽出容器に装入する工程;
2)二酸化炭素を超臨界条件下で添加する工程;
3)該粉砕されたウコン種植物性材料と該二酸化炭素とをしばらくの間接触させる工程
;および
4)前記精油分画を収集容器に収集する工程;
50
(4)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
超臨界条件が、約250バール∼約500バールの圧力、および約30℃∼約80℃の温
度を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
工程a)の抽出条件は、約250バール∼500バールの抽出容器圧力、および約35℃
∼約90℃の温度、ならびに約40バール∼約150バールの分離収集容器圧力、および
約20℃∼約50℃の温度を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
工程b)は、
10
1)粉砕されたウコン種植物性材料または工程a)からの前記第一残渣のいずれかを抽
出容器に装入する工程;
2)二酸化炭素を超臨界条件下で添加する工程;
3)該粉砕されたウコン種植物性材料または工程a)からの該第一残渣と該二酸化炭素
とを、しばらくの間接触させる工程;および
4)前記クルクミノイド分画を、分別分離収集容器に収集する工程;
を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
工程b)の抽出条件は、約350バール∼約700バールの抽出容器圧力、および約60
℃∼約95℃の温度、ならびに約120バール∼約220バールの分離収集容器圧力、お
20
よび約55℃∼約75℃の温度を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
工程c)は、
1)工程b)からの前記第二残渣と水溶液とを約85℃∼約100℃で、多糖類を抽出
するのに十分な時間接触させる工程;
2)固体多糖類を該溶液から、エタノール沈殿によって分離する工程;および
3)カラムクロマトグラフィを用いて多糖類分画を精製する工程;
を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
工程d)は、
30
1)高分子量分子と低分子量分子との分離のために、工程c)からの前記第三残渣を、
樹脂カラムに通過させる工程;および
2)カチオン交換樹脂カラムを用いてより高い分子量の流出溶液を精製して、該流出溶
液から前記ターメリン分画を収集する工程;
を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項34】
請求項26∼33のいずれかに記載の方法によって調製されたウコン種抽出物。
【請求項35】
クルクミン、該クルクミンの0.1重量%∼5重量%におけるテトラヒドロクルクミン、
該クルクミンの10重量%∼20重量%におけるデメトキシクルクミン、および該クルク
40
ミンの1重量%∼5重量%におけるビスデメトキシクルクミンを含んでいる、ウコン種抽
出物。
【請求項36】
クルクミン、該クルクミンの0.1重量%∼5重量%におけるテトラヒドロクルクミン、
該クルクミンの15重量%∼25重量%におけるデメトキシクルクミン、および該クルク
ミンの1重量%∼10重量%におけるビスデメトキシクルクミンを含んでいる、ウコン種
抽出物。
【請求項37】
クルクミン、該クルクミンの0.1重量%∼5重量%におけるテトラヒドロクルクミン、
該クルクミンの20重量%∼30重量%におけるデメトキシクルクミン、および該クルク
50
(5)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
ミンの1重量%∼10重量%におけるビスデメトキシクルクミンを含んでいる、ウコン種
抽出物。
【請求項38】
クルクミン、該クルクミンの30重量%∼40重量%におけるデメトキシクルクミン、お
よび該クルクミンの5重量%∼15重量%におけるビスデメトキシクルクミンを含んでい
る、ウコン種抽出物。
【請求項39】
クルクミン、該クルクミンの45重量%∼55重量%におけるデメトキシクルクミン、お
よび該クルクミンの40重量%∼50重量%におけるビスデメトキシクルクミンを含んで
いる、ウコン種抽出物。
10
【請求項40】
クルクミン、該クルクミンの15重量%∼25重量%におけるデメトキシクルクミン、お
よび該クルクミンの1重量%∼10重量%におけるビスデメトキシクルクミンを含んでい
る、ウコン種抽出物。
【請求項41】
クルクミン、該クルクミンの0.1重量%∼5重量%におけるテトラヒドロクルクミン、
該クルクミンの20重量%∼30重量%におけるデメトキシクルクミン、および該クルク
ミンの5重量%∼15重量%におけるビスデメトキシクルクミンを含んでいる、ウコン種
抽出物。
【発明の詳細な説明】
20
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、米国仮特許出願第60/873,454号(2006年3月17日出願)、米
国仮特許出願第60/846,205号(2006年9月21日出願)、および米国仮特
許出願第60/873,405号(2006年12月7日出願)(これらは、その全体が
本明細書中に参考として援用される)に基づく優先権の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、ウコン属、特にcurcuma longa(ウコン根)の抽出物、および
30
これの使用および調製方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
ウコン根は、南アジア原産のウコン属のショウガ科(Zingiberaceae)中
の植物である薬草curcuma longaの乾燥されて粉砕された根茎である。その
本来の生育地に加えて、ウコン根は、中国、カリブ諸島、および南米諸国で非常に多く栽
培されている。ウコン根は、スパイスとして通常用いられ、カレーおよびマスタード中の
着色剤および香味料として、および化粧品および伝統的な薬物療法の成分として広く利用
されてきた。ウコン根の黄色がかったフェノール顔料は、クルクミノイドから構成され、
40
これは、商業的に入手可能なウコン根粉末3∼5%およびカレー粉末0.34∼0.47
%からなる(1)。これらの自然発生酸化防止剤は、ウコン根にともなう薬理活性の原因
であると考えられてきた(2)。しかしながら、ペプチドタンパク質であるターメリン(
turmerin)もまた、強力な酸化防止特性および細胞保護特性を示し、動物および
ヒトにおいて所望の臨床効果の生成において、クルクミンと相乗的に作用する(3)。さ
らには、ウコン根の揮発性油は、ターメロンおよびほかの有利な生物活性化学成分を含有
し(4)、ウコン根多糖類もまた、効力のある免疫強化、抗炎症、および抗癌活性を有す
ることが証明されている(5、6)。
【0004】
ウコン属の中に多様なウコン種があるが、curcuma longa L種は、最大
50
(6)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
の治療的価値を有することが証明されている(7)。これらの治療的に貴重な化学物源は
、「ウコン根」とも呼ばれているウコン植物の根茎(根)である。
【0005】
有利な治療的価値を示す4つの主要な化学成分分画は、次のとおりである:1.ターメ
ロン、ar−ターメロン、α−ターメロン、β−ターメロン、ツルメロノールA、ツルメ
ロノールB、クルクメン、α−クルクメン、β−クルクミン、クルクメノール、クルロン
、クルジオン、α−ピネン、β−ピネン、シネオール、ユージノール、リモネン、リナロ
ール、テルピネン、テルピネオールなどを含有する精油分画(EOF);2.クルクミン
、テトラヒドロクルクミン、デメトキシクルクミン、ビスデメトキシクルクミン、クルク
ミンの3幾何異性体、およびシクロクルクミンを含有するクルクミノイド分画(CF);
10
3.ターメリンと呼ばれるポリペプチドタンパク質を含有するターメリン分画(TF);
および4.少しの分子だけが精製され、特徴決定されている多数の多糖類分子を含む多糖
類分画(PF)、例えばウコナンA、ウコナンB、ウコナンC、およびウコナンD(5、
8)。
【0006】
ウコン種中に見られる4つの主要なクルクミノイドがある:1)クルクミン;2)テト
ラヒドロクルクミン;3)デメトキシクルクミン;および4)ビスデメトキシクルクミン
(9)。4つの比較的少量の方のクルクミノイドも単離されている(10、11)。主要
なクルクミノイドであるクルクミン、およびいくつかの用途におけるテトラヒドロクルク
ミンは、生物活性の原因である重要な活性成分であるように思われる。ウコン根種のうち
20
、多量の方のクルクミノイドの濃度は、実質的に様々である:1)クルクミン40∼70
%;2)デメトキシクルクミン16∼40%;および3)ビスデメトキシクルクミン0∼
30%。ウコン根の主な活性は抗炎症性であるが、これはまた、強力な酸化防止、抗アレ
ルギー、細胞保護、傷治癒の改良、抗アルツハイマー病、抗コレステロール(LDL)、
肝保護、胆汁酸流の向上、抗痙攣、抗菌、抗真菌、および抗新生物(癌)活性、ならびに
活力の改良も有すると報告されている。Harvard Medical School
において実施された最近の研究調査は、クルクミンがおそらく、抗HIV活性も同様に有
するということを示した。これに加えて、Yale Universityの研究者らは
、科学誌のScienceにおいて、クルクミンは、遺伝子病である嚢胞性線維症のマウ
スの死亡数を有意に削減したということを最近公開した。
30
【0007】
生物活性クルクミノイドに加えて、ウコン根はまた、強力な酸化防止、細胞保護、およ
び抗新生物性であることが証明されている水溶性5−kD−ペプチド、すなわちウコン根
、強い免疫強化、抗炎症、および抗新生物活性を有することが証明されている多糖類、お
よび酸化防止、抗炎症、抗関節炎、抗痙攣、鎮痛、抗アレルギー、細胞保護、胃保護、肝
保護、肺保護、抗喘息、神経系保護、抗アルツハイマー病、抗パーキンソン病、抗癌、抗
突然変異活性を有することが証明されている精油も含有する。
【0008】
表1は、C.longa Lにおいて見られる生物学的に活性な有利な主要公知化学成
分を列挙している。
【0009】
(表1.Curcuma longa Lの生物学的に活性な化学成分(質量%)*)
【0010】
40
(7)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
【表1】
10
20
*
科学文献およびHeralScience GC−MS(ガスクロマトグラフィ−質量
分析法)、およびウコン天然供給原料材料のHPLC(高性能液体クロマトグラフィ)分
析に基づく。
【0011】
前臨床および臨床毒性調査は、ウコン根精油、ウコン根クルクミノイド、ターメリン、
およびウコン根多糖類が、長期間にわたり非常に大きい用量において安全であることを実
証した(2、12∼16)。
【0012】
ウコン根の化学成分の治療的価値を簡単に要約すると、最近の研究および臨床調査は、
30
ウコン種の様々な化学物質、化学分画、および総抽出物の次の治療効果を実証した。これ
は、次のものを包含する:酸化防止活性(EOF、CF、TF、抽出物)(4、17、1
8);抗炎症活性(EOF、CF、TF、PF、抽出物)(4、19、20);抗関節炎
/抗リウマチ(EOF、CF、TF、PF、抽出物)(19∼21);抗血小板凝集/抗
血栓症(EOF、CF、抽出物)(23);抗高コレステロール血症(EOF、CF、抽
出物)(1、24):抗心臓血管病(EOF、CF、TF、抽出物)(1、4、17、1
8、22、23∼25);抗アレルギー(EOF、CF、抽出物)(4、19、20、2
1);抗慢性肺疾患/抗喘息(EOF、CF、TF、PF、抽出物)(4、19、20、
22、26);抗嚢胞性線維症(EOF、CF、TF、PF、抽出物)(4、19、20
、22、26、27);細胞保護(EOF、CF、TF、抽出物)(4、17、18、2
40
8);胃保護、肝保護、胆嚢保護(EOF、CF、抽出物)(29):神経系保護(EO
F、CF、TF、抽出物)(4、17、18、22、23∼25);抗アルツハイマー病
および抗パーキンソン病(EOF、CF、抽出物)(30);抗多発性硬化症(CF、抽
出物)(31);抗癌および抗突然変異(EOF、CF、TF、PF、抽出物)(4、6
、13∼18、32、38);免疫強化(EOF、PF、抽出物)(5、6、33);抗
ウイルス、抗HIV、抗菌、および抗真菌(EOF、CF、PF、抽出物)(5、6、3
3、34);および傷治癒の改良(EOF、CF、抽出物)(35)。ほかの調査は、ウ
コン種の生物活性化学成分の相乗的相互作用の極めて大きい重要性を実証した(36、3
7)。
【発明の開示】
50
(8)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の要旨)
1つの態様において、本発明は、図9、10、または14∼78のリアルタイム直接分
析(DART)質量分析法クロマトグラムを有する分画を含んでいるウコン種抽出物に関
する。さらなる実施形態において、この分画は、図14∼31、36、37、41、51
、52、または56のいずれかのDART質量分析法クロマトグラムを有する。さらなる
実施形態において、この分画は、図35、38∼40、50、または53∼55のいずれ
かのDART質量分析法クロマトグラムを有する。さらなる実施形態において、この分画
は、図9、10、42∼46、または57∼61のいずれかのDART質量分析法クロマ
10
トグラムを有する。さらなる実施形態において、この分画は、図32∼34、または47
∼49のいずれかのDART質量分析法クロマトグラムを有する。さらなる実施形態にお
いて、この分画は、図63∼78のいずれかのDART質量分析法クロマトグラムを有す
る。さらなる実施形態において、この分画は、図47または62のDART質量分析法ク
ロマトグラムを有する。さらなる実施形態において、この抽出物は、図63∼78のいず
れかのDART質量分析法クロマトグラムを有する精油分画、および図9、10、42∼
46、または57∼61のいずれかのDART質量分析法クロマトグラムを有する多糖類
分画を含んでいる。さらなる実施形態において、この抽出物は、図63∼78のいずれか
のDART質量分析法クロマトグラムを有する精油分画、図9、10、42∼46、また
は57∼61のいずれかのDART質量分析法クロマトグラムを有する多糖類分画、およ
20
び図47または62のDART質量分析法クロマトグラムを有するターメリン分画を含ん
でいる。
【0014】
さらなる実施形態において、本発明のウコン種抽出物はさらに、クルクミノイド、ター
メロン、多糖類、および/またはターメリンも含む。さらなる実施形態において、クルク
ミノイドは、クルクミン、テトラヒドロクルクミン、デメトキシクルクミン、ビスデメト
キシクルクミン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。さらなる実施形
態において、クルクミノイドの量は、少なくとも約75、80、85、90、または95
重量%である。さらなる実施形態において、ターメロンは、α−ターメロン、ar−ター
メロン、β−ターメロン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。さらな
30
る実施形態において、ターメロンの量は、少なくとも5、10、15、20、または25
重量%である。さらなる実施形態において、ターメリンの量は、少なくとも約5、10、
15、20、または25重量%である。さらなる実施形態において、多糖類は、ウコナン
A、ウコナンB、ウコナンC、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。さ
らなる実施形態において、多糖類の量は、少なくとも約5、10、15、20、または2
5重量%である。
【0015】
別の態様において、本発明は、本発明のウコン種抽出物を含んでいる食品または薬剤に
関する。
【0016】
40
別の態様において、本発明は、関節炎患者を処置する方法であって、本発明のウコン種
抽出物の有効量を、これを必要とする患者へ投与することを含む方法に関する。さらなる
実施形態において、ウコン種抽出物はさらに、α−および/またはβ−ボスウエリア酸、
および/またはそのC−酢酸塩の相乗作用量も含んでいる。さらなる実施形態において、
患者は、霊長類、ウシ、ヒツジ、ウマ、ブタ、げっ歯類、ネコ、またはイヌである。さら
なる実施形態において、患者は、ヒトである。
【0017】
別の態様において、本発明は、アミロイド斑凝集、または原線維形成に罹患している患
者を処置する方法であって、本発明のウコン種抽出物の有効量を、これを必要とする患者
へ投与することを含む方法に関する。さらなる実施形態において、患者は、アルツハイマ
50
(9)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
ー病に罹患している。さらなる実施形態において、患者は、霊長類、ウシ、ヒツジ、ウマ
、ブタ、げっ歯類、ネコ、またはイヌである。さらなる実施形態において、患者はヒトで
ある。
【0018】
別の態様において、本発明は、アミロイド斑凝集、または組織内の原線維形成を予防す
る方法であって、この組織と、本発明のウコン種抽出物の有効量とを接触させることを含
む方法に関する。
【0019】
別の態様において、本発明は、少なくとも1つの予め決定された特徴を有するウコン種
抽出物を調製する方法であって、ウコン種植物性材料を連続的に抽出して、a)超臨界二
10
酸化炭素抽出によってウコン種植物性材料を抽出して、精油分画および第一残渣を生じる
工程;b)ウコン種植物性材料または工程a)からの第一残渣のいずれかを超臨界二酸化
炭素抽出によって抽出して、クルクミノイド分画および第二残渣を生じる工程;c)工程
b)からの第二残渣を熱水抽出によって抽出して多糖類溶液を生じ、次いでこの多糖類を
エタノールで沈殿させて、多糖類分画および第三残渣を生じる工程;およびd)カラムク
ロマトグラフィによって、工程c)からの第三残渣からターメリン分画を分離する工程に
よって、精油分画、クルクミノイド分画、多糖類分画、およびターメリン分画を生じるこ
とを含む方法に関する。
【0020】
さらなる実施形態において、工程a)は、1)粉砕されたウコン種植物性材料を抽出容
20
器に装入する工程;2)二酸化炭素を超臨界条件下で添加する工程;3)粉砕されたウコ
ン種植物性材料と二酸化炭素とをしばらくの間接触させる工程;および4)精油分画を収
集容器に収集する工程を含む。さらなる実施形態において、超臨界条件は、約250バー
ル∼約500バールの圧力、および約30℃∼約80℃の温度を含む。さらなる実施形態
において、工程a)の抽出条件は、約250バール∼500バールの抽出容器圧力、およ
び約35℃∼約90℃の温度、および約40バール∼約150バールの分離収集容器圧力
、および約20℃∼約50℃の温度を含む。
【0021】
さらなる実施形態において、工程b)は、1)粉砕されたウコン種植物性材料または工
程a)からの第一残渣のいずれかを抽出容器に装入する工程;2)二酸化炭素を超臨界条
30
件下で添加する工程;3)粉砕されたウコン種植物性材料または工程a)からの第一残渣
と二酸化炭素とをしばらくの間接触させる工程;および4)クルクミノイド分画を、分別
分離収集容器に収集する工程を含む。さらなる実施形態において、工程b)の抽出条件は
、約350バール∼約700バールの抽出容器圧力、および約60℃∼約95℃の温度、
および約120バール∼約220バールの分離収集容器圧力、および約55℃∼約75℃
の温度を含む。
【0022】
さらなる実施形態において、工程c)は、1)工程b)からの第二残渣と水溶液とを約
85℃∼約100℃で、多糖類を抽出するのに十分な時間接触させる工程;2)固体多糖
類を溶液から、エタノール沈殿によって分離する工程;および3)カラムクロマトグラフ
40
ィを用いて多糖類分画を精製する工程を含む。
【0023】
さらなる実施形態において、工程d)は、1)高分子量分子と低分子量分子との分離の
ために、工程c)からの第三残渣を、樹脂カラムに通過させる工程;および2)カチオン
交換樹脂カラムを用いて高い方の分子量の流出溶液を精製して、流出溶液からターメリン
分画を収集する工程を含む。
【0024】
別の態様において、本発明は、本発明の方法によって調製されたウコン種抽出物に関す
る。
【0025】
50
(10)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
別の態様において、本発明は、クルクミン、クルクミンの0.1重量%∼5重量%にお
けるテトラヒドロクルクミン、クルクミンの10重量%∼20重量%におけるデメトキシ
クルクミン、およびクルクミンの1重量%∼5重量%におけるビスデメトキシクルクミン
を含んでいるウコン種抽出物に関する。
【0026】
別の態様において、本発明は、クルクミン、クルクミンの0.1重量%∼5重量%にお
けるテトラヒドロクルクミン、クルクミンの15重量%∼25重量%におけるデメトキシ
クルクミン、およびクルクミンの1重量%∼10重量%におけるビスデメトキシクルクミ
ンを含んでいるウコン種抽出物に関する。
【0027】
10
別の態様において、本発明は、クルクミン、クルクミンの0.1重量%∼5重量%にお
けるテトラヒドロクルクミン、クルクミンの20重量%∼30重量%におけるデメトキシ
クルクミン、およびクルクミンの1重量%∼10重量%におけるビスデメトキシクルクミ
ンを含んでいるウコン種抽出物に関する。
【0028】
別の態様において、本発明は、クルクミン、クルクミンの30重量%∼40重量%にお
けるデメトキシクルクミン、およびクルクミンの5重量%∼15重量%におけるビスデメ
トキシクルクミンを含んでいるウコン種抽出物に関する。
【0029】
別の態様において、本発明は、クルクミン、クルクミンの45重量%∼55重量%にお
20
けるデメトキシクルクミン、およびクルクミンの40重量%∼50重量%におけるビスデ
メトキシクルクミンを含んでいるウコン種抽出物に関する。
【0030】
別の態様において、本発明は、クルクミン、クルクミンの15重量%∼25重量%にお
けるデメトキシクルクミン、およびクルクミンの1重量%∼10重量%におけるビスデメ
トキシクルクミンを含んでいるウコン種抽出物に関する。
【0031】
別の態様において、本発明は、クルクミン、クルクミンの0.1重量%∼5重量%にお
けるテトラヒドロクルクミン、クルクミンの20重量%∼30重量%におけるデメトキシ
クルクミン、およびクルクミンの5重量%∼15重量%におけるビスデメトキシクルクミ
30
ンを含んでいるウコン種抽出物に関する。
【0032】
追加の実施形態は、自生の植物性材料、または現在入手しうるウコン種抽出物製品に見
られるものに対する、ウコン種の化学成分の質量パーセントでの改変プロフィール(比)
である。例えば精油分画は、クルクミノイドおよび/またはターメリンおよび/または多
糖類濃度に対して増加されてもよく、または減少されてもよい。同様に、クルクミノイド
および/またはターメリンおよび/または多糖類は、特定の生物学的効果のために新規成
分化学プロフィール組成を可能にするために、ほかの抽出物成分分画に対して増加されて
もよく、または減少されてもよい。
【0033】
40
本発明のこれらの実施形態、ほかの実施形態、およびこれらの特色、および特徴は、次
の説明、図面、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
(発明の詳細な説明)
本発明は、ウコン種、および関連種、例えば非限定的に、curcuma longa
Lの抽出物を中心に扱う。本明細書において用いられているように、ウコンとは、植物
Zingiberaceae科に由来する植物または植物性材料のことを言い、本発明に
おいて、この属は、C.longa L、C.aromatica Salisb.、C
.amada Roxb.、C.zeodaria Rosc.、およびC.xanth
50
(11)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
orrhizia Roxb.を包含するが、これらに限定されるわけではない。この用
語は、ウコンおよび関連種のすべてのクローン、栽培品種、変異型、および変種を包含す
る。
【0035】
(定義)
冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は、本明細書において、この冠詞の文
法上の目的語の1つまたは1以上(すなわち少なくとも1つ)のことを言うために用いら
れている。例として「1つの要素」とは、1つの要素または1以上の要素を意味する。
【0036】
当業界において公知であるように、「化合物」という用語は、1つの分子を意味するわ
10
けではなく、1またはそれ以上の化合物上の多重分子または複数モルの分子を意味する。
これに加えて、当業界において公知であるように、「化合物」という用語は、識別可能な
化学的および物理的特性を有する化学成分を意味し、一方「複数の化合物」とは、1以上
の化学成分化合物のことを言う。
【0037】
「含む(comprise)」および「含んでいる(comprising)」という
用語は、包括的な開かれた意味において用いられ、追加の要素が含まれていてもよいこと
を意味する。
【0038】
「からなる(consisting)」という用語は、これらの要素を、通常それにと
20
もなう不純物以外、特定された要素に限定するために用いられる。
【0039】
「本質的に∼からなる(consisting essentially of)」と
いう用語は、これらの要素を、特定された要素、およびその材料または工程の基本的かつ
新規な特徴に実質的に影響を与えない要素に限定するために用いられる。
【0040】
「ウコン(curcuma)」という用語はまた、「ウコン根(turmeric)」
と互換的にも用いられ、植物Zingiberaceae科からの植物、クローン、変異
型、および変種を包含する。
【0041】
30
本明細書において用いられているように、「ウコン成分(curcuma const
ituents)」または「ウコン根成分(turmeric constituent
s)」という用語は、ウコン種中に見られる化合物を意味するものとし、上で同定された
すべてのこのような化合物、ならびにウコン種中に見られるほかの化合物を包含するもの
とし、これは、ターメロン、クルクミノイド、ターメリン、および多糖類を包含するが、
これらに限定されるわけではない。
【0042】
本明細書において用いられているように、「クルクミン」という用語は、クルクミノイ
ドの1つの構成要素のことを言う。その構造は、図79に表わされている。
【0043】
40
本明細書において用いられているように、「クルクミノイド分画」という用語は、ウコ
ン、およびクルクミノイドとして分類される化合物を包含する関連種から得られるか、ま
たはこれらに由来する水不溶性、エタノール溶解性化合物を含む。クルクミノイドの構成
要素は、クルクミン、テトラヒドロクルクミン、デメトキシクルクミン、およびビスデメ
トキシクルクミンを包含し、図79に表わされている。
【0044】
本明細書において用いられているような「有効量」という用語は、所望の生体応答を導
き出すのに必要な量のことを言う。当業者によって理解されるように、複合剤または生物
活性剤の有効量は、例えば所望の生物学的終点、送達されることになる生物活性剤、カプ
セル化マトリックスの組成物、標的組織などのファクターに応じて、様々であってもよい
50
(12)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
。
【0045】
本明細書において用いられているように、「精油分画」という用語は、ウコン、および
ターメロンとして分類される化合物を包含する関連種から得られるか、またはこれらに由
来する脂質溶解性、水不溶性化合物を含む。
【0046】
本明細書において用いられているように、「供給原料」という用語は一般に、葉、枝、
根茎、根を含む粗植物性材料のことを言い、これは、主根、尾根、および繊維根、茎、葉
、種、および花を包含するが、これらに限定されるわけではなく、この場合、この植物ま
たは成分部は、生のままであるか、乾燥されるか、蒸されるか、加熱されるか、あるいは
10
また植物性材料のサイズおよび一体性に影響を与えるために加工処理された材料を含んで
いてもよい。時には「供給原料」という用語は、追加の抽出プロセスのための供給原料源
として用いられることになる抽出生成物を特徴決定するために用いられてもよい。
【0047】
本明細書において用いられているように、「分画」という用語は、ある物理的化学的性
質、または物理的性質もしくは化学的性質によって特徴決定された化合物の特定群を含ん
でいる抽出組成物を意味する。例えば精油分画(EOF)は、ターメロンならびにほかの
化学成分を含有し、クルクミノイド分画は、クルクミノイドならびにほかのエタノール溶
解性化学成分を含有し、ターメリン分画は、ターメリンならびにほかの小さい水溶性タン
パク質化学成分を含有し、多糖類分画は、ウコナンA、B、C、およびD、ならびに様々
20
な分子量のほかの多糖類を含有する。ウコンおよび関連種のほかの化学成分もまた、これ
らの抽出物分画中に存在してもよい。
【0048】
本明細書において用いられているように、「1またはそれ以上の化合物」という用語は
、少なくとも1つの化合物、例えばターメロン(精油ウコン根化学成分)、クルクミン(
水不溶性、エタノール不溶性ジフェルロイルメタンウコン根化学成分)、ターメリン(水
溶性ペプチドタンパク質)、およびウコナンA(水溶性、エタノール不溶性多糖類化学成
分)が意図されているか、または1以上の化合物、例えばクルクミンおよびターメリンが
意図されていることを意味する。
【0049】
30
本明細書において用いられているように、「多糖類分画」という用語は、ウコン、およ
びウコナンとして分類される化合物を包含する関連種から得られた、水溶性、エタノール
不溶性化合物を含む。
【0050】
本明細書において用いられているように、「プロフィール」という用語は、抽出物分画
中の化合物の質量パーセント比、または最終ウコン抽出物における4つのウコン分画化学
成分の各々のパーセント質量の比のことを言う。
【0051】
本明細書において用いられているように、「精製された」分画または抽出物という用語
は、乾燥質量%でこの分画または抽出物の化学成分の70%超へ濃縮された、あるいつく
40
かの物理的性質もしくは化学的性質を特徴とする、特定群の化学成分を含んでいる1つの
分画または組成物を意味する。換言すれば、精製分画または抽出物は、あるいくつかの所
望の物理化学的性質、またはこの分画または抽出物を規定する物理的性質もしくは化学的
性質を特徴としない、30%未満の乾燥質量の化学成分を含んでいる。
【0052】
本明細書において用いられているように、「根茎」という用語は、一部または全体が地
下にあり、さらには上にあるシュート、または非限定的に主根、二次根、および三次根を
包含する、下にある根も含んでいる、水平または垂直根の茎または修正茎(例えば塊茎)
を含むウコンおよび関連種の構成部分のことを言う。
【0053】
50
(13)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
「相乗作用の」という用語は、当業界で認知されており、一緒に作用し、したがって全
体の効果が、これらの構成要素の合計よりも大きい、2またはそれ以上の成分のことを言
う。
【0054】
「処置」という用語は、当業界で認知されており、なんらかの状態または障害の少なく
とも1つの症状を治癒すること、ならびに改善することを言う。
【0055】
本明細書において用いられているように、「ターメリン分画」という用語は、ウコン、
およびペプチドであるターメリンとして分類される化合物を包含する関連種から得られる
か、またはこれらに由来する水溶性およびエタノール溶解性の化合物を含む。
10
【0056】
(抽出物)
(精油分画)
本発明の抽出物は、本明細書において教示されている1またはそれ以上のウコン種の組
み合わせを含んでいる。抽出物の1つの実施形態は、表2のGC−MSによって示されて
いるような構成要素を有する精油分画を含む。
【0057】
ウコン根精油分画は、単一段階加工処理による超臨界二酸化炭素抽出技術によって抽出
された。最適な抽出条件は、40∼60℃の温度、および100∼300バールの圧力で
あり、約3.5%の収率をともなう。ウコン根中の主な精油化合物は、セスキテルペノイ
20
ド、例えばAr−ターメロン、ターメロン、およびクルロン、およびセスキテルペン、例
えばクルクメンおよびジンジベレンである。SCCO2単一段階抽出によって得られた精
油は、40∼60℃の温度および300バールの圧力で抽出された時、99%の高純度を
有する。ターメロンおよびクルロンが主な化合物であり、総精油の75∼81%を構成す
る。セスキテルペンは、精油の5.6∼9.7%を構成し、この中で、クルクメンおよび
ジンジベレンが、相対的に主なものである。前記化合物は、総ウコン根精油の85∼89
%を構成する。
【0058】
これに加えて、クルクミノイド純度は、あるいくつかの条件、例えばT=40℃および
60℃、および圧力100∼500バールにおけるSCCO2抽出の単一段階において2
.5%以下である。これらの条件は、ウコン根から高純度精油を抽出するために選択する
ことができる。
【0059】
(表2.ウコン精油において同定された主な化合物)
【0060】
30
(14)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
【表2】
10
20
30
これらの化合物は、本明細書において教示されているようなGC−MS分析方法を用い
40
て、約30.36(−クルクメン)、30.74((−)−ジンジベレン)、31.68
(−セスキフェランドレン)、33.45(ベンゼン、1−メチル−4−(1−メチルエ
チル)−)、34.20(ベンゼン、1−メチル−2−(1−メチルエチル)−)、34
.90(ベンゼン、4−エチル−1,2−ジメチル−)、35.21(シクロヘキセン、
1−(1−プロピニル)−)、35.96(ar−ターメロン)、36.43(β−ター
メロン)、37.00(化合物U1)、37.36(α−ターメロン)、38.32((
6S,1’R)−6−(1’5’−ジメチレンキセ−4’−エニル)−3−メチルシクロ
ヘクス−2−エノン)、38.57(化合物U2)、38.73((+)−β−アトラン
トン))、38.84(化合物U3)、38.94(化合物U4)、39.24(化合物
U5)、39.41((+)−α−アトラントン)、39.64(化合物U6)、39.
50
(15)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
76(3−ブテン−2−オン、4−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−)、4
0.03(化合物U7)、40.73(化合物U8)、41.02(化合物U9)、41
.43(ヘキスデカン酸、メチルエステル)、42.05(ペンタデカン酸、14−メチ
ル−、メチルエステル)、および42.89(9,12−オクタデカジエン酸、メチルエ
ステル、(E,E)−)分の保持時間ピークを有する。
【0061】
(クルクミノイド分画)
ウコン根クルクミノイド分画が、共溶媒としてエタノールを用いた超臨界抽出/分別技
術によって抽出され、精製された。クルクミノイド抽出収率は、共溶媒として1.2∼3
.7%のエタノールを添加して、0.74∼2.10%の範囲内にあった。純粋CO2を
10
用いることによるクルクミノイド抽出収率は、0.27%の高さに過ぎなかった。したが
って、クルクミノイド抽出収率を増加させるために、共溶媒としてエタノールを用いるこ
とが必要である。供給原料中の70%のクルクミノイドが、共溶媒として3.7%エタノ
ールを添加することによって抽出された。エタノール濃度が高くなれば高くなるほど、抽
出収率は高くなる。しかしながら、クルクミノイドについてのSCCO2の選択率を最大
限にするために、エタノール濃度をさらに増加することは良いことではない。
【0062】
抽出条件は、80℃以上の温度、500バール以上の圧力であった。3つの分離器条件
は、それぞれ60∼67℃/150∼170バール、56℃/130バール、および28
.6℃/60バールであった。標的クルクミノイドは、第一分離器において沈殿される。
これに加えて、異なる操作方法がテストされた。例えばA:全加工処理の間、3つの分離
器の連続的な使用;B:第三分離器を用いるだけの穏やかな条件において精油を除去する
ための第一段階、および3つの分離器を連続的に用いることによるクルクミノイドの抽出
および分別のための第二段階を用いる2段階プロセス;およびC:第二および第三分離器
を用いることによる、苛酷な条件において精油を除去するための第一段階、および第一お
よび第三分離器を用いることによるクルクミノイドの抽出および分別のための第二段階を
用いる2段階プロセス。要約されたクルクミノイド純度データは、表3に示されている:
(表3.SCCO2抽出/分別プロセスによるクルクミノイドの純度)
【0063】
20
(16)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
【表3】
10
20
30
全クルクミノイドの純度は、次のように異なるレベルへ増加させることができる:操作
方法に応じて、55%超、60%∼70%、70%∼80%、および80%超。より高い
純度は、精油を除去するための第一段階、およびCO2およびエタノール共溶媒を用いて
クルクミノイドを抽出するための第二段階の2段階加工処理を用いることによって得られ
た(方法C)。要約されたクルクミノイドプロフィールが、表4に示されている。
【0064】
(表4.SCCO2抽出/分別プロセスによるクルクミノイドのプロフィール)
【0065】
40
(17)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
【表4】
10
20
註:1.プロフィール(%)=(各クルクミノイドの純度)/(クルクミノイドの総純度
30
)×100によって計算された;2.平均:これは算術平均であり、一群の数を加え、次
いでこれらの数の総数で割ることによって計算される;3.標準偏差:標準偏差は、平均
値(平均)から、値がどれほど広く分散されているかの測定値である。標準偏差は、次の
式によって計算された:
【0066】
【数1】
クルクミノイドのプロフィールは、操作条件に大幅によるのであって、操作方法による
40
のではない。それは、同じ条件においてであるが、異なる操作方法で得られたクルクミノ
イドのプロフィールは非常に近く、標準偏差が1%以下であるからである。
【0067】
供給原料中のクルクミノイドのプロフィールは、66%クルクミン、14%デメトキシ
クルクミン、および20%ビスデメトキシクルクミンであり、これは、枯渇的エタノール
もしくはメタノール抽出のいずれかによって得られた。SCCO2加工処理を用いること
によって、クルクミン(C)、DMC、およびBDMCのプロフィールは、それぞれ61
.83%∼82.36%、11.10%∼15.95%、および6.54%∼23.86
%へ変えることができる。個々のクルクミノイドの相対的存在度におけるこれらの変更ま
たは調整は、従来の抽出方法を用いては得ることができない。
50
(18)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
【0068】
(多糖類分画)
ウコン根多糖類および糖−タンパク質は、沈殿のために様々な濃度のエタノールを用い
て得られた。これらの結果は、表5に示されている。
【0069】
(表5.対照標準としてデキストランを用いることによる、ウコン根水浸出収率および
多糖類純度分析結果)
【0070】
【表5】
10
20
註:F20は、ある濃度の溶液を得るために水中に溶解することができないので、分析す
ることができない。
【0071】
表5のデータから、エタノール沈殿多糖類の収率は、もとのウコン根供給原料を基準に
して、2.77∼10.28質量%の範囲内にあったことが分かる。収率は、エタノール
濃度の増加によって高められた。
【0072】
異なる沈殿物の分子量分析から、F40およびF60は同様であり;F80およびF9
30
5は同様であり、F20は、これらのすべてと異なることが分かる。同様に、ウコン根多
糖類および糖タンパク質は、ある比において異なる分子量の多糖類および糖タンパク質か
らなっていることも発見された。F40およびF60多糖類において、最高分子量化合物
群は、2,300∼2,400KDaであり、46∼48質量%を構成し、平均分子量は
、約1,100∼1,200KDaであった。F80およびF95多糖類−糖タンパク質
沈殿物において、最高分子量成分もまた、2,300∼2,400KDaであったが、約
30∼35質量%を構成するだけであった。平均分子量は、780∼890KDaであっ
た。
【0073】
(ウコン根分画)
ウコン根タンパク質分画が、60%エタノール沈殿物の上清を加工処理するために、D
owex50−WX2−200強酸−カチオン交換樹脂(交換基として−SO3H基)を
用いて精製された。これらの結果が、表6に示されている。
【0074】
(表6.各工程におけるタンパク質歩留まりおよびBradford分析結果)
【0075】
40
(19)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
【表6】
10
190∼300nmの波長におけるUV分光光度計走査が、溶液が最大吸収を有する波
長をテストするために用いられる。Dowex流出液および溶離液の両方が、202nm
の波長において最大吸収を有し、負荷溶液は、210nmの波長において最大吸収を有す
る。これに加えて、Dowex流出液は、最高吸収強度を有する。このことは、Dowe
x流出液中に、より高い濃度のポリペプチドタンパク質があることを意味する。表6の結
果はまた、Dowex流出液が、0.30g BSA当量/g抽出物を有し、これは、D
owex供給原料溶液中のものよりも2.3倍も高いことも示している。
20
【0076】
一般に、本発明の方法および抽出は、予め決定された特徴を有するウコン種抽出物の製
造方法を含む。このようなウコン種抽出物は、ある一定の生成物に望まれる有利な1また
は複数の生物効果に応じて、4つの濃縮抽出物分画のいずれか1つ、2つ、3つ、または
4つすべてを含んでいてもよい。典型的には、4つすべてのウコン種抽出物分画を含有す
る抽出物は、自生の植物性材料中に見られる生物学的に有利な主要な化学成分の4つすべ
てを含有する、高度に精製され、標準化された第一ウコン種抽出生成物を代表するので一
般に望ましい。本発明の実施形態は、予め決定された特徴が、別々の抽出分画中に、ウコ
ン種精油、クルクミノイド、ターメリン、および多糖類の選択的に増加された予め決定さ
れた濃度を含む方法を含む。
30
【0077】
本発明の方法から結果として生じた抽出物は、抽出されたウコン種植物性材料、または
ウコン種抽出物、または両方の組み合わせもしくは混合物を含む。抽出物は、予め決定さ
れた特徴を有する抽出されたウコン種植物性材料、または予め決定された特徴を有する抽
出されたウコン種もしくはウコン種抽出物を含む。
【0078】
このような抽出物のさらなる実施形態は、天然ウコン種乾燥植物性材料、または従来の
ウコン種抽出生成物中に見られるものに対して実質的に増加した、予め決定された多糖類
濃度を含んでいる。例えば、1つの抽出物は、10∼92質量%の水溶性、エタノール不
溶性多糖類分画を含んでいてもよい。
40
【0079】
このような抽出物の別の実施形態は、天然のウコン種植物性材料、または従来のウコン
種抽出物製品中に見られるものに対して実質的に増加した、予め決定されたウコン根分画
濃度を含む。例えば1つの抽出物は、0.2∼6.6質量%超のウコン根分画を含んでい
てもよい。
【0080】
(抽出物の純度)
下に記載された抽出方法の実施において、ウコン種のもとの乾燥された根茎供給原料に
おいて3つのターメロン(ar−ターメロン、α−ターメロン、およびターメロン)の7
0%超の純度を有するウコン種精油の60質量%超を、SCCO2精製抽出物分画におい
50
(20)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
て抽出することができることが発見された(工程1)。
【0081】
工程1(SCCO2抽出および分別)において教示されているような方法を用いて、高
度に精製されたクルクミノイド分画を抽出することができる。この抽出工程からの収率は
、天然ウコン種供給原料中に存在するクルクミノイドの約22%である。抽出されたクル
クミノイド抽出物の純度(濃度)は、乾燥質量で80%超であり、3つの主要なクルクミ
ノイドは、有利にはプロフィールされており(改変された比)、この場合、クルクミンは
、総クルクミノイドの質量%で、80%超のクルクミノイドである。工程2(エタノール
浸出抽出)において、工程1のSCCO2抽出および分別残渣中に残留するクルクミノイ
ド(78%)の80%超を抽出することができる。エタノール抽出されたクルクミノイド
10
分画の工程3のSCCO2精製および分別の結果として、この組成物中のクルクミノイド
化学成分の>70質量%クルクミンを有する、高度に精製された(抽出組成物の>85質
量%クルクミノイド)を生じる。これらのクルクミノイドの工程4のSCCO2精製およ
びプロファイリングは、工程3のクルクミノイド抽出分画を、クルクミノイド分画組成物
であって、クルクミノイドの濃度が90質量%超であり、クルクミン濃度がクルクミノイ
ド化学成分の75質量%超であるクルクミノイドプロフィールをともなう組成物へ、さら
に精製することができる。事実、クルクミノイドの工程4のSCCO2精製およびプロフ
ァイリングは、クルクミノイド分画組成物中のクルクミノイド濃度が95%超であり、ク
ルクミンの濃度がクルクミノイド化学成分の85質量%超であるクルクミノイド分布がプ
ロフィールされる、高度に濃縮されたクルクミノイド抽出生成物を精製することができる
20
。したがって、この発明において教示されているようなSCCO2抽出および分別プロセ
スは、クルクミノイド化学成分分画組成物を含んでいる個々のクルクミノイドの比(プロ
フィール)が、特定の医療目的のために、独特のクルクミノイド分画組成プロフィールを
作り出すことができるように改変されることを可能にする。
【0082】
この発明の工程5および6において教示されているような方法を用いて、水溶性、エタ
ノール不溶性抽出分画(多糖類分画組成物)が、ウコン多糖類の90%超の純度(濃度)
を有するもとのウコン種供給原料から、4.5%収率で得られる。このことはさらに、天
然のウコン種供給原料中に見られるウコン種多糖類化学成分の70%収率に等しい。
【0083】
30
この発明の工程5、6、および7において教示されているような方法を用いて、もとの
ウコン種供給原料から、乾燥質量重量%で2.0%のターメリン分画収率が得られる。こ
のターメリン分画中のペプチド、すなわち大部分ターメリンの濃度は、約6.6乾燥質量
%であり、これは、自生のウコン種供給原料を基準にして、ペプチドの純度において質量
%で66倍の増加である。これは、Bradfordタンパク質分析を用いて、自生のウ
コン種植物性材料中に見られるターメリンペプチド化学成分の90質量%超の収率に等し
い。
【0084】
最後に、本発明において教示されている方法は、精油分画組成物、クルクミノイド分画
組成物、多糖類分画組成物、およびターメリン分画組成物の精製(濃度)が、精油分画組
40
成物中の70%∼90%もの高さの所望の化学成分、クルクミノイド分画組成物中の97
%もの高さのクルクミノイド、多糖類分画組成物中の92%もの高さの多糖類、およびタ
ーメリン分画組成物中の6.6%もの高さのターメリンペプチドになることを可能にする
。用いられる特定の抽出環境、抽出率、溶媒、および抽出テクノロジーは、源材料の出発
化学成分プロフィール、および最終抽出生成物において望まれる精製レベルに応じる。本
明細書において教示されている特定の方法は、特定の属性を有する産出材料へ加工処理さ
れる、出発原料の属性におけるサンプル変動を明らかにするためにプロセスを調節するの
に典型的な日常的な実験しか用いずに、当業者によって容易に決定されうる。例えばウコ
ン種植物性材料の特別なロットにおいて、精油、クルクミノイド、多糖類、およびペプチ
ドタンパク質の当初濃度は、本明細書において教示されている、当業者に公知の方法を用
50
(21)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
いて決定される。当業者は、最終ウコン種組成物製品中の所望濃度に達するために、本明
細書において開示されている抽出方法を用いて、クルクミノイドの当初濃度から、例えば
最終抽出製品についてのクルクミノイドの予め決定された量への変化量を決定することが
できる。
【0085】
(天然ウコンに対する抽出)
本発明の1つの実施形態は、予め決定された精油濃度を含む。この場合、この予め決定
された精油濃度は、天然ウコン種植物性材料、または本明細書において教示された抽出技
術の結果生じうる従来のウコン種抽出生成物中に存在するものよりも大きい精油の濃度で
ある。例えば1つの組成物は、5∼99質量%超のウコン種精油化学成分を含みうる。本
10
発明の別の実施形態は、抽出されたウコン種抽出物中の予め決定されたクルクミノイド濃
度を含む。この場合、このクルクミノイド濃度は、自生の植物性材料または従来のウコン
種抽出物中に見られるものよりも高い。例えば1つの抽出物は、ウコン種クルクミノイド
を35∼97質量%の濃度で含んでいてもよい。このようなクルクミノイド抽出物の実施
形態は、予め決定された好ましい精製クルクミノイド分布プロフィールであって、予め決
定されたクルクミン濃度が、天然のウコン種植物性材料、または本明細書において教示さ
れた抽出技術の結果生じうる従来のウコン種クルクミノイド抽出生成物中に存在するもの
よりも大きいプロフィールを含む。例えば、精製クルクミノイド分画は、クルクミンが、
これらのクルクミノイドの75∼90質量%の濃度にあり、デメトキシクルクミンおよび
ビスデメトキシクルクミンの濃度の対応減少をともなうクルクミノイドプロフィールを含
20
みうる。
【0086】
実施形態はまた、精油化学成分、クルクミノイド、ターメリン分画、または多糖類を含
むこれらの分画の1またはそれ以上が、自生のウコン植物性材料中に見られるものよりも
低い濃度で発見される抽出物も含む。例えば本発明の抽出物は、精油分画の濃度が、自生
のウコン種植物性材料の濃度の0.001∼22倍である分画、および/またはクルクミ
ノイドの濃度が、自生のウコン種植物性材料の濃度の0.001∼25倍である抽出物、
および/またはターメリン分画の濃度が、自生のウコン種植物性材料の濃度の0.001
∼66倍である組成物、および/または多糖類の濃度が自生のウコン種植物性材料の濃度
の0.01∼16倍である抽出物を含む。組み合わせ抽出物の製造において、約0.00
30
1mg∼約100mgの精油分画を用いることができ;約0.001mg∼約1,000
mgのクルクミノイド分画を用いることができ;0.001mg∼約100mgのターメ
リン分画を用いることができ;約0.001mg∼約1,000mgの多糖類分画を用い
ることができる。
【0087】
このような抽出物の1つの実施形態は、抽出され、精製され、および/またはプロフィ
ールされた化学成分分画の予め決定された濃度であって、ウコン種精油/クルクミノイド
、精油/ターメリン、精油/多糖類、クルクミノイド/ターメリン、クルクミノイド/多
糖類、およびターメリン/多糖類濃度(乾燥重量%)プロフィール(比)が、天然乾燥植
物性材料または従来のウコン種抽出生成物中に見られるものよりも高いか、または低い濃
40
度を含む。ウコン種の有利な化学成分の濃度関係(化学プロフィール)の改変は、特定の
ヒトの状態または病気のために設計された、独特のまたは新規なウコン種抽出生成物の配
合を可能にする。例えば、抗炎症活性および関節炎療法のための新規かつ強力なウコン種
抽出物は、より多量の精製精油、(好ましくはクルクミンの濃度が、これらのクルクミノ
イドの80質量%超である改変クルクミノイドプロフィールを有する)クルクミノイド、
およびターメリン組成物、およびウコン種自生植物性材料または従来の公知抽出生成物中
に見られるものよりも減少した質量%の多糖類組成物を有しうるであろう。対照的に、免
疫強化のための新規ウコン抽出物は、ウコン自生植物性材料または従来の公知抽出生成物
中に見られるものよりも、質量%でより多量の精製多糖類分画および減少されたクルクミ
ノイド分画およびターメリン分画を有しうるであろう。アルツハイマー病についての新規
50
(22)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
ウコン抽出プロフィールの別の例は、自生ウコン種自生植物性材料または公知の従来のウ
コン抽出生成物中に見られるものよりも多量の精製精油およびクルクミノイド組成物、お
よび減少した精製ターメリンおよび多糖類分画を有する抽出プロフィールであってもよい
であろう。
【0088】
(抽出方法)
抽出の出発原料は、ウコン種からの植物性材料である。C.longa Lが、好まし
い出発原料である。この材料は、植物の気中部分であり、これは、葉、茎、またはほかの
植物部分を含む。ただし、根茎(根)が好ましい出発原料である。ウコン種植物性材料は
、この材料を、抽出のために有用な形態にするために、前抽出工程を受けてもよい。この
10
ような前抽出工程は、この材料が切り刻まれるか、細かく刻まれるか、細長い薄片にされ
るか、粉砕されるか、微粉砕されるか、切断されるか、またはちぎられ、出発原料が、前
抽出工程に先立って、乾燥されるか、または新鮮な植物性材料である工程を含むが、これ
に限定されるわけではない。好ましい前抽出工程は、ウコン種根茎材料を、細かい粉末に
粉砕および/または微粉砕することを含む。出発原料、または前抽出工程後の材料は、乾
燥されてもよく、または湿分がそれに添加されてもよい。
【0089】
(ウコンの超臨界流体抽出)
一般に、本発明の方法は部分的に、ウコン種植物性材料が、新規分別超臨界流体二酸化
炭素(SCCO2またはSFE)抽出、次いで1またはそれ以上の溶媒抽出工程、例えば
20
非限定的に水、水アルコール抽出、吸着性樹脂吸着、および追加の新規分別SCCO2抽
出プロセスを用いて抽出される方法を含む。本発明のために考察された追加方法は、ほか
の有機溶媒、冷媒化学物質、圧縮性ガス、音波処理、圧力液体抽出、プロセス液体クロマ
トグラフィ、高速向流クロマトグラフィ、ポリマー吸着剤、分子インプリントポリマー、
およびほかの公知抽出方法を用いたウコン植物性材料の抽出を含む。このような技術は、
当業者に公知である。
【0090】
本発明は、SCCO2を用いてウコン根植物性材料から含油樹脂を抽出するための方法
を含む。本発明は、含油樹脂抽出物の、例えば高純度での精油およびクルクミノイド化学
成分への分別を包含する。さらに本発明は、抽出分画中の個々の化学成分が、これらの化
30
学成分比または改変されたプロフィールを有しうるSCCO2プロセスを含む。例えばク
ルクミノイドのSCCO2分別分離は、クルクミノイド抽出物分画が、精製クルクミノイ
ド抽出物分画中に存在するクルクミノイドの80%超のクルクミンの濃度で生成されうる
ように、ほかのクルクミノイドに対するクルクミンの選択的抽出を可能にする。
【0091】
SCCO2を用いた植物含油樹脂の「分別抽出」および「分別分離」(米国特許第5,
120,558号参照)は、比較的穏やかな条件下(50℃またはそれ以下の温度、30
0バールまたはそれ以下の圧力)、ウコン精油化学成分の選択的抽出を可能にする。その
後、その場合は、一般にSCCO2流体中への溶解性がより低いクルクミノイド化学成分
を得るために、より厳しい条件下(温度>50℃、圧力>300バール)、ウコン供給原
40
料材料を再抽出することが可能である。その結果、2つの高度に精製された分画が得られ
る。すなわち軽質分画(精油分画)および重質分画(クルクミノイド分画)である。高温
および高圧における抽出物分画の追加の分別は、抽出物/流体ストリームを一連の3つの
分離器を通過させることによって同時に行なわれる。各分離容器中の圧力および温度条件
は、個別の該化学成分、例えば非限定的にクルクミンを沈殿させるように正確に選択され
る。
【0092】
超臨界流体抽出および分別系は、SCCO2を用いた、植物源からの医薬品の生産のた
めに設計された材料加工処理系である。この系は、適切な前加工処理された天然の植物供
給原料材料が、加工処理容器中に装入され、加圧CO2ストリームへ暴露されて、選択さ
50
(23)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
れた化学成分を除去し、その後、主CO2ストリームから所望の化学成分を選択的に分離
する化学プロセス設備(分離器)を通過することを可能にする機能を備えている。
【0093】
このSCCO2系は、2つの主抽出容器、3つの分離容器、電気熱交換器、流体冷却さ
れた凝縮器、CO2アキュミュレーター、質量流量計、CO2ポンプ、付加ポンプ、およ
び冷却装置から構成される。主要な抽出容器は、24Lであり、17−4PHステンレス
鋼から製造され、700バール(11,000psi)へ圧力定格されている。これらの
分離容器は、20Lであり、316ステンレス鋼で製造され、200バール(3,000
psi)へ圧力定格されている。各抽出器および分離器には、迅速に作用する閉鎖系が備
えられ、これは、抽出系の短い装入および取り出し時間を可能にする。
10
【0094】
すべての耐圧部品は、安全バルブによって、圧力に対して保護されている。様々なイン
ターロックが、操作故障を防ぐためにこの系中に組み込まれている。機器またはエネルギ
ー源の故障の場合、すべての空気作動バルブは、フェイルセーフモードになるであろう。
付加ポンプが用いられ、共溶媒、例えばエタノールをCO2中へ、0.5L/分の流量で
添加する。ポンプが空洞を作るのを防ぐために、液体CO2は、CO2貯蔵容器から冷却
器を通ってCO2ポンプへ流れる。CO2は、CO2ポンプを用いて所望の抽出圧力へ圧
縮され、ヒーターで抽出温度へ加熱される。この系は、2つのNational Ins
truments Compact Fieldpoint Processors(C
FP−2020およびCFP−200)を用いて、厳格に制御される。National
20
Instruments Labview RT(リアルタイム)が、カスタムソフト
ウエアアプリケーションを用いて、これらのプロセッサで運転される。このCPFは、E
thernet(登録商標)を介してオペレータのインターフェースコンピュータへ接続
される。
【0095】
要約すれば、このプロセスは、CO2貯蔵容器から冷却器を通ってCO2ポンプへ流れ
る液化CO2を含む。次いでCO2は、所望の抽出圧力へ圧縮され、所望温度へ加熱され
る。抽出容器は、前処理された植物供給原料材料の複数のバスケットで満たされ、交互に
、または連続して操作される。この系の操作の間、一方の抽出容器はCO2回路にあり、
一方、他方の容器は減圧されてもよく、供給原料が交換され、この抽出容器は再加圧され
30
てもよいであろう。この後者の操作モードは、半連続固体材料流を生じる。分離は、3つ
の厳格に制御された工程において、高圧、中圧、および低圧で、各分離器のために適切な
温度調節をともなって実施される。分離器を通過した後のCO2は、今や抽出物を含まず
、凝縮器へ流れ、ここでこれは液化される。液体CO2は次いで、再循環のためにCO2
貯蔵容器に流れ込む。
【0096】
本発明において教示されたSCCO2でのウコン種の含油樹脂の抽出は、有機溶媒の使
用を排除し、これらの抽出物の同時分別を与える。二酸化炭素は天然の安全な生物学的物
質であり、多くの食品および飲料中の一成分である。これは、資本集約的であり、離散バ
ッチモードで操作され、溶媒抽出方法と比較して費用効率が高くない従来のSCCO2と
40
は異なる。本発明において、SCCO2分別抽出および分離系は、これらの制限を克服す
る。
【0097】
ウコン種の生物活性化学成分の抽出方法の概略図が、図1∼7に図解されている。抽出
方法は典型的には7工程であるが、これに限定されるわけではない。本文において参考の
ため、記号#がカッコ内[#x]において現われる時、続く数字は、図1∼7の数字のこ
とである。抽出方法において用いられている分析方法は、例示セクションにおいて提示さ
れている。
【0098】
(工程1.精油抽出プロセス)
50
(24)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
ウコン種精油の疎水性によって、非限定的に超臨界流体抽出物(SFE)、例えばSC
CO2、ヘキサン、石油エーテル、および酢酸エチルを含む非極性溶媒、ならびに蒸気蒸
留が、この抽出プロセスのために用いられてもよい。
【0099】
このプロセス方法は、精油の精製(濃縮)(図1a)、または所望であれば、精油を精
製しつつ、同時にクルクミノイドを精製し、クルクミノイド化学群中の個々のクルクミノ
イド化合物の比を改変するための単一抽出工程を含んでいる(図1b)。
【0100】
自生のウコン種供給原料からの精油分画の超臨界流体抽出(SFE)分別抽出の一般的
説明が、図示されている(図1−工程1)。供給原料[#10]は、乾燥され、粉砕され
10
たウコン種根茎供給原料(8∼20メッシュ)である。この供給原料は、SFE抽出容器
の中に入れられたバスケット中に装入される[#20または#50]。溶媒[#210ま
たは#220]は、純粋な二酸化炭素(CO2)である。95%エタノールが、共溶媒と
して用いられてもよい[#220]。パージおよび浸出テストの後、このプロセスは、貯
蔵容器から冷却器を通ってCO2ポンプへ流れる液化CO2を含んでいる。このCO2は
、所望の圧力へ圧縮され、次いで供給原料を通って抽出容器に流れ込み、ここでは、圧力
および温度が、所望レベルに維持されている。抽出のための圧力は、約100バール∼8
00バール、約200バール∼約600バール、約300バール∼約400バールの範囲
にあり、温度は、約30℃∼約100℃、約40℃∼約90℃、約60℃∼約80℃の範
囲にある。本明細書において教示されたSCCO2抽出は好ましくは、少なくとも100
20
バールの圧力、および少なくとも30℃の温度、より好ましくは約300∼約600バー
ルの圧力、および約50℃∼90℃の温度で実施される。抽出時間は、約30分∼約2.
5時間、約1時間∼約2時間、約1.5時間までの範囲にある。溶媒対供給原料比は、S
CCO2抽出物の各々について典型的には50対1である。CO2は再循環される。抽出
され、精製された精油、および抽出され、精製され、プロフィールされた1または複数の
クルクミノイド分画が次いで、収集器または分離容器[#30および#40、または#6
0、#300、および#80]に収集され、取り置かれ、暗室に4℃で貯蔵される。ウコ
ン種粉砕根茎供給原料材料[#10]は、1工程プロセスにおいて抽出されてもよく、こ
の場合、結果として生じた抽出されたウコン精油分画は、1つの収集器SFEまたはSC
CO2[#20]系に収集される(上の工程1)。あるいはまた、分別SFE系[#50
30
]においてのように、SCCO2抽出されたウコン種供給原料材料は、収集容器(分離器
)[#60、#300、#80]中に分けられてもよく、したがって収集(分離)容器の
1つの中に、精製された精油分画[#60]があり、第二収集容器の中に、精製され、プ
ロフィールされたクルクミノイド分画[#300]があり、第三収集容器の中に、抽出さ
れたウコン種根茎材料の残渣または残りの部分[#80]がある。本発明の1つの実施形
態は、300∼600バールにおいて、および50℃∼90℃の温度において、分別SC
CO2抽出を用いてウコン種天然根茎材料を抽出すること、および予め決定された条件(
圧力、温度、および密度)および予め決定された間隔(時間)において、様々な収集容器
に、抽出されたウコン種材料を収集することを含む。
【0101】
40
その結果生じた抽出ウコン種精製精油分画は、回収することができ、独立して使用する
ことができるか、または組み合わせて1またはそれ以上の抽出ウコン種抽出物を形成しう
る。SCCO2抽出精油分画の1つの態様は、自生の植物性材料または従来のウコン種抽
出生成物中に見られるものよりも高い、予め決定された精油化学成分濃度を含む。典型的
には、精油化学成分の総収率は、95%超であり、精油抽出分画中の精油化学成分の純度
は、99質量%超である。純度、および精油分画中の化学成分は、ガスクロマトグラフィ
−質量分析(GC−MS)分析法を用いて測定されてもよい。このような抽出からの分析
結果は、表7および8に示されている。このような抽出の実験例は、下に見られる。その
結果生じた抽出ウコン種の精製およびプロフィールされたクルクミノイド分画は、独立し
て回収することができ、独立して使用することができるか、または組み合わせて1または
50
(25)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
それ以上の抽出ウコン種抽出物を形成しうる。
【0102】
SCCO2抽出クルクミノイド分画の1つの態様は、ウコンが、自生の植物性材料また
は従来のウコン抽出生成物中に見られるものよりも高いクルクミノイド濃度と組み合わさ
れた、予め決定されたクルクミノイド化学成分濃度を含む。典型的には、ウコン種供給原
料からのクルクミノイド分画の総収率は、これらのクルクミノイドの約22質量%であり
、80%超のクルクミノイド分画純度、およびこれらのクルクミノイドの80質量%超ウ
コンのクルクミノイド分画のプロフィールされた化学成分を有する。純度およびクルクミ
ノイド分布は、HPLC分析を用いて測定される。実施例、ならびにこのような抽出プロ
セスの結果は、実施例1、および表9および10に見られる。
10
【0103】
(工程2.エタノール浸出抽出)
エタノール浸出プロセスを用いた、工程1のSCCO2抽出プロセスからのウコン種残
渣材料[#40または#80]の一般的説明が、図2−工程2に図示されている。供給原
料[#40または#80]は、工程1aまたは工程1bのいずれかからの残渣である。抽
出溶媒[#230]は、95%エタノールである。この方法において、供給原料および抽
出溶媒は、60∼80℃へ加熱された抽出容器に別々に装入され、3∼7時間撹拌される
。混合が中断された後、溶液は10∼20時間放置される。頂部層がデカントされ[#1
00]、濾過され[#110]、遠心分離された[#120]。クルクミノイド強化され
た上清が、蒸発され[#130]、タルトまたは粉末にされた[#140]。この乾燥抽
20
出生成物[#140]は次いで、さらなる加工処理(工程3)のために用いられる。固体
残渣[#150]は取り置かれてもよく、さらなる加工処理(工程4)のために用いられ
、ウコン種多糖類およびポリペプチド(ターメリン)の精製分画が得られる。これらの抽
出プロセスの1つの実施例ならびに結果が、実施例3および表11に見られる。
【0104】
(工程3.エタノール抽出クルクミノイド分画のSCCO2精製)
このプロセス方法は、クルクミノイドを精製する(濃縮する)ため、および所望であれ
ば、クルクミノイド化学群中の個々のクルクミノイドの比を変えるための単一抽出工程を
含む。前加工処理工程において、天然ウコン種供給原料中の精油は、SCCO2を用いて
抽出され(工程1)、クルクミノイドは次いで、エタノールを用いて工程1の残渣から抽
30
出され(工程2)、真空乾燥されて、工程2において教示されているようにタルト形態を
形成し、ガラスビーズと混合されて流動性粉末を形成するか、またはスプレー乾燥されて
粉末(100μm超の粒子サイズ)形態にされる。
【0105】
工程2の抽出生成物からのクルクミノイド分画[#140]のSFE分別抽出の一般的
な説明は、図3−工程3に図示されている。供給原料[#140]が、ガラスビーズと混
合され、SFE抽出容器に装入される[#160]。この溶媒は、純粋な二酸化炭素であ
る[#240]。エタノールが共溶媒として用いられてもよい。パージおよび浸出テスト
後、このプロセスは、貯蔵容器から冷却器を通ってCO2ポンプへ流れる液化CO2を含
む。このCO2は、所望の圧力へ圧縮され、次いで供給原料を通って、抽出容器に流れ込
40
み、ここでは、圧力および温度が、所望のレベルに維持されている。抽出のための圧力は
、約100バール∼800バール、約200バール∼700バール、約300バール∼6
00バールの範囲にあり、温度は、約30℃∼約100℃、約45℃∼約95℃、約60
℃∼約90℃の範囲にある。本明細書において教示されているSCCO2抽出は、好まし
くは少なくとも300バールの圧力、および少なくとも40℃の温度で、より好ましくは
約400バール∼600バールの圧力、および約60℃∼約90℃の温度で実施される。
抽出時間は、約30分∼4時間、約1時間∼3時間、約2時間までの範囲にある。溶媒対
供給原料比は典型的には、SCCO2抽出の各々について約1,000∼1である。CO
2は再循環される。抽出、精製、およびプロフィールされたクルクミノイド分画は次いで
、予め決定された設定圧力および温度を有する収集器または分離容器に収集される[#3
50
(26)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
10]。
【0106】
本発明の1つの態様は、300バール∼600バール、および60℃∼約95℃の温度
における分別SCCO2抽出を用いて、エタノール強化クルクミノイド材料、または抽出
された強化クルクミノイド分画材料のいずれかを抽出すること、および予め決定された条
件(圧力、温度、および密度)、および予め決定された間隔(時間)で、様々な収集容器
に、抽出されたクルクミノイド分画材料を収集することを含む。各収集器におけるその結
果生じた抽出ウコン種精製クルクミノイド分画は、回収することができるか、または独立
して使用することができるか、または組み合わせて1またはそれ以上のウコン種抽出生成
物を形成しうる。SCCO2抽出ウコン種クルクミノイド分画の1つの態様は、自生のウ
10
コン種植物性材料または従来のウコン種抽出生成物中に見られるものよりも高い、予め決
定されたクルクミノイド化学成分濃度を含む。本発明のさらなる態様は、ウコンの濃度が
、クルクミノイド化学成分質量の70質量%超である、精油抽出クルクミノイド分画であ
る。典型的には、ウコン種自生根茎材料からの精製クルクミノイド分画の総収率は、約2
.6%であり、クルクミノイド抽出分画の85質量%超のクルクミノイド濃度を有する。
さらには、これらのクルクミノイドの濃度プロフィールは、70質量%超のウコン濃度へ
変えることができる。このような抽出プロセスの1つの実施例および結果は、実施例4お
よび表12に見られる。
【0107】
(工程4.クルクミノイドの精製およびプロファイリング)
20
このプロセス方法は、クルクミノイドの追加精製(濃縮)のための単一抽出工程、およ
び所望であれば、クルクミノイド化学群中の個々のクルクミノイドの比の変更を含む。前
加工処理工程において、天然ウコン種供給原料中の精油は、SCCO2を用いて抽出され
(工程3)、真空乾燥されてタルト形態を形成し、ガラスビーズと混合されて流動性粉末
を形成するか、またはスプレー乾燥されて粉末形態(100μm超の粒子サイズ)にされ
る。別の前加工処理工程において、高度に強化されたクルクミノイド抽出生成物は、ガラ
スビーズと混合されて流動性粉末を形成する。
【0108】
工程3の抽出生成物からのクルクミノイド分画[#310]、または高度に強化された
クルクミノイド抽出生成物[#320]のSFE分別抽出の一般的な説明は、図4−工程
30
4に図示されている。供給原料[#310または#320]が、ガラスビーズと混合され
、SFE抽出容器に装入される[#170]。この溶媒は、純粋な二酸化炭素である[#
250]。エタノールが共溶媒として用いられてもよい。パージおよび浸出テスト後、こ
のプロセスは、貯蔵容器から冷却器を通ってCO2ポンプへ流れる液化CO2を含む。こ
のCO2は、所望の圧力へ圧縮され、次いで供給原料を通って、抽出容器に流れ込み、こ
こでは、圧力および温度が、所望のレベルに維持されている。抽出のための圧力は、約1
00バール∼800バール、約200バール∼700バール、約300バール∼600バ
ールの範囲にあり、温度は、約30℃∼約100℃、約45℃∼約95℃、約60℃∼約
90℃の範囲にある。本明細書において教示されているSCCO2抽出は、好ましくは少
なくとも300バールの圧力、および少なくとも40℃の温度で、より好ましくは約40
40
0バール∼600バールの圧力、および約60℃∼約90℃の温度で実施される。抽出時
間は、約30分∼4時間、約1時間∼3時間、約2時間までの範囲にある。溶媒対供給原
料比は、SCCO2抽出の各々について、典型的には約1,000対1である。CO2は
再循環される。抽出、精製、およびプロフィールされたクルクミノイド分画が次いで、予
め決定された設定圧力および温度を有する収集器または分離容器中に収集される[#33
0]。本発明の1つの実施形態は、300バール∼600バール、および60℃∼約95
℃の温度における分別SCCO2抽出を用いて、エタノール強化クルクミノイド材料、ま
たは抽出された強化クルクミノイド材料を抽出すること、および予め決定された条件(圧
力、温度、および密度)、および予め決定された間隔(時間)で、様々な収集容器に抽出
されたクルクミノイド分画材料を収集することを含む。各収集器におけるその結果生じた
50
(27)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
抽出ウコン種精製クルクミノイド分画は、回収することができるか、または独立して使用
することができるか、または組み合わせて1またはそれ以上のウコン種抽出生成物を形成
しうる。
【0109】
SCCO2抽出ウコン種クルクミノイド分画の1つの態様は、自生のウコン種植物性材
料または従来のウコン種抽出生成物中に見られるものよりも高い、予め決定されたクルク
ミノイド化学成分濃度を含む。
【0110】
本発明のさらなる態様は、ウコンの濃度が、クルクミノイド化学成分の80質量%超で
ある精製された抽出クルクミノイド分画である。典型的には、ウコン種自生根茎材料から
10
の精製クルクミノイド分画の総収率は、約0.9質量%であり、85質量%超クルクミノ
イドのクルクミノイド濃度を有する。さらには、これらのクルクミノイドの濃度プロフィ
ールは、これらのクルクミノイドの75質量%超のウコン濃度へ変えることができる。高
度に強化されたクルクミノイド抽出生成物に関して、収率は、60質量%超であり、95
%超のクルクミノイド純度、およびウコンがクルクミノイドの85質量%超であるクルク
ミノイドプロフィールをともなう。このような抽出プロセスの実施例および結果は、実施
例5および表13、14、および15に見られる。
【0111】
(工程5.工程2の残渣の水浸出)
1つの態様において、本発明は、ウコン種植物性材料の生物活性多糖類およびポリペプ
20
チド(ターメリン)化学成分の抽出および濃縮を含む。準備抽出工程の一般的な説明が、
図5−工程5に図示されている。この工程5の抽出プロセスは、単一段階溶媒浸出プロセ
スである。この抽出プロセスの供給原料は、工程1bの残渣[#40]または工程2の残
渣[#150]である。抽出溶媒[#260]は、蒸留水である。この方法において、ウ
コン種残渣および抽出溶媒が、抽出容器に装入され[#400]、加熱され、撹拌される
。これは100℃、約90℃、または約70∼90℃へ加熱されてもよい。抽出は、約1
∼5時間、約2∼4時間、または約3時間実施される。結果として生じた流体抽出物は濾
過され[#410]、遠心分離される[#420]。上清[#430]が蒸発されて[#
440]、さらなる加工処理(工程6および&)のために濃縮上清[#450]にされる
。固体残渣が廃棄される[#460]。この抽出工程の1つの実施例が、実施例6に見ら
30
れ、結果は表16に見られる。
【0112】
(工程6.多糖類分画抽出および精製)
本明細書において教示されているように、ウコン種からの精製された多糖類分画抽出物
は、ウコン種供給原料の水性抽出物からの水溶性、エタノール不溶性多糖類のエタノール
沈殿、および次いで水溶液中の沈殿物と、固体ポリマー樹脂吸着剤とを接触させて、水溶
液中に含有された700D未満の分子量の比較的小さい分子を吸着することによって得る
ことができる。多糖類は次いで、流出液中に濃縮される。結合された分子は溶離され、廃
棄される。水性沈殿物溶液中の化学成分の分離に先立って、そこに吸着された望まれない
化学成分を有する分子サイズ吸着剤は、いずれかの便利な方法、好ましくは吸着剤との接
40
触方法で流出液(所望の化学成分)から分離されもよく、この分離は、水性抽出生成物を
、吸着性材料の抽出カラムまたは床を通過させることによって実施される。
【0113】
ウコン種の多糖類化学成分を精製するために、多様な吸着剤を利用することができる。
分子サイズ分離吸着剤、例えばSephadex G−10が、比較的大きい分子量の多
糖類分子から、700未満の分子量の分子を分離するために好ましくは用いられる。
【0114】
好ましくは、ウコン種自生供給原料材料は、抽出物を含有する水性多糖類化学成分と親
和性吸着剤との接触に先立って、1またはそれ以上の予備精製プロセス、例えば非限定的
に工程1、2、および5に記載されているプロセスを受けている。
50
(28)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
【0115】
本発明において教示されている親和性吸着剤を用いた結果として、天然植物性材料また
は入手可能な商業用抽出製品中に通常存在するほかの化学成分の中で顕著な、ウコン種の
高度に精製された多糖類化学成分を生じる。例えば本発明において教示されている方法は
、90質量%過剰で総多糖類化学成分を含有する、精製された多糖類抽出物を結果として
生じうる。
【0116】
エタノール沈殿および親和性吸着性樹脂ビーズを用いた、ウコン種の根茎からの多糖類
の抽出および精製の一般的な説明は、図6−工程6に図示されている。この抽出のための
供給原料[#450]は、工程5の水浸出抽出からの多糖類を含有する濃縮水抽出物溶液
10
であってもよい。水溶液からの多糖類の沈殿に用いられる溶媒[#270]は、エタノー
ルである。濃縮上澄み溶液[#450]は、水溶性、エタノール不溶性多糖類の最大沈殿
[#500]を生じるのに十分な、希釈された付加エタノール[#270]である。溶液
が濾過され[#510]、遠心分離され[#520]、デカントされる[#530]。上
澄み残渣[#550]が収集され、ウコン種のターメリン分画化学成分を抽出および精製
するためのさらなる加工処理のために取り置かれる。沈殿物[#540]が収集され、沈
殿物中のエタノールおよび水は、蒸発によって除去される。適量の吸着性樹脂ビーズ[#
560]が洗浄され、水和されて、スラリーをつくり、カラム上に装入される。多糖類沈
殿物抽出物が、1%溶液を作るために水中に溶解され、カラム上に装入される[#560
]。流出液[#600]が収集され、多糖類について分析され、乾燥され、多糖類生成物
20
として取り置かれる。この抽出プロセスの1つの実施例が、実施例7に見られる。
【0117】
(工程7.ターメリン分画抽出および精製)
本明細書において教示されているように、ウコン種からの精製されたターメリンポリペ
プチド分画抽出物は、工程6の水性エタノール溶液上清残渣抽出物を、リン酸緩衝生理食
塩水で希釈し、この希釈抽出物溶液と固体サイズ分離親和性吸着剤とを接触させ、次いで
流出液を収集し、この流出液とカチオン交換樹脂カラムとを接触させて、それぞれターメ
リンよりも低い分子量の不純物、およびカチオン交換樹脂カラムとイオン交換する不純物
を除去することによって得られてもよい。この流出液は、本明細書において教示されてい
る方法によって生成物として収集され、取り置かれる。結合化学物質(不純物)はその後
30
、吸着剤の各々から溶離され、これはイオン交換樹脂の再生を生じる。
【0118】
多様な吸着剤を、ターメリン化学成分分画を精製するために用いることができるが、好
ましくはSephadex G−10が、700分子量またはそれ以下(ターメリンの分
子量は5,000である)の不純物を吸着するためのサイズ分離吸着剤として用いられ、
Dowex 50−WXZ−200、すなわちスルホン酸交換基を有する強酸カチオン交
換樹脂ビーズが、カチオン交換吸着剤として用いられる。
【0119】
好ましくは、ウコン種供給原料は、抽出物を含有する水性ターメリンと、親和性吸着性
樹脂ビーズとを接触させる前に、1またはそれ以上の予備精製プロセス、例えば非限定的
40
に工程1、2、5、および6に記載されているプロセスを受けている。
【0120】
本発明において教示されているような親和性吸着剤を用いた結果として、天然植物性材
料または入手可能な商業用抽出製品中に通常存在するターメリン濃度と比較して、ウコン
種植物性材料からのターメリンの有意な精製が生じる。例えば、本発明において教示され
ているプロセスの結果として、天然ウコン種根茎中の約0.1質量%から、最終ターメリ
ン分画抽出生成物中の約6.6質量%、すなわち典型的に天然ウコン種供給原料中に見ら
れるものよりも66倍のターメリンの濃度増加を生じうる。
【0121】
親和性吸着性樹脂ビーズを用いて、ウコン種の根茎の抽出物からのターメリン分画の抽
50
(29)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
出および精製の一般的説明は、図7−工程7に図解されている。
【0122】
第一抽出プロセスのための供給原料[#550]は、工程6の多糖類精製からのポリペ
プチドターメリンを含有する水溶液残渣であってもよい。供給原料溶液を希釈するために
用いられる溶媒[#280]は、1mg/mlの最終濃度までのリン酸緩衝生理食塩水で
ある。希釈された供給原料溶液[#700]が、Sephadex G−10ビーズ[#
710]のきれいな水和スラリー床が充填されたカラム中に、約0.5床容量/時の流量
で装入される。流出液[#720]が収集され、さらなる加工処理のために取り置かれる
。樹脂ビーズは、溶離され、洗浄され、再循環された。溶離液[#730]は廃棄された
。
10
【0123】
第二抽出プロセスのための供給原料[#720]は、サイズ分離樹脂カラムを用いた、
第一抽出プロセスからの流出液であってもよい。この供給原料溶液は、きれいな0.1M
HCl浸漬Dowex 50−WX2−200樹脂ビーズスラリーの床で充填されたカ
ラム中に装入される[#740]。供給原料溶液を装入する前に、カラムは、3床容量の
蒸留水で洗浄された。供給原料装入流量は、約3.4床容量/時である。流出液[#80
0]は収集され、ペプチドタンパク質含量について分析され、乾燥され、最終ターメリン
分画生成物として取り置かれた。Dowex樹脂ビーズが溶離され、洗浄され、再循環さ
れた。溶離液は廃棄された。この抽出プロセスの1つの実施例が、実施例8に見られ、結
果は表18に見られる。
20
【0124】
Bradfordタンパク質分析が、各サンプル中の総タンパク質を計算するために用
いられた。粗水抽出物において、溶解質量の26.4%([0.82/3.1]×100
=24.4%)タンパク質含量があり、これは、もとの供給原料を基準にして、2.73
質量%の総タンパク質収率であった。図8Aに図解されているように、ペプチドターメリ
ンと一致する、202nmにおける吸光度ピークが観察された。対照的に、60%エタノ
ール沈殿物中のタンパク質含量は2.2%であったが、約202nmにおける吸光度ピー
クは観察されなかった(図8BおよびC)。60%エタノール沈殿後の残留溶液において
、202nm吸光度ピークをともなった、溶液における10%タンパク質があった(図8
C)。700MW(ターメリンは、5,000の分子量を有する)未満の不純物のSep
30
hadexカラム除去後、202nm吸光度ピークの保持をともなって、流出溶液中に3
.7質量%のタンパク質があった(図8D−Dowex装入溶液)。Dowexカラムの
ための装入溶液は、pH7.4のリン酸緩衝生理食塩水pH7.4中に溶解されたSep
hadex流出液であった。ターメリンの等電点は、4.2であり、したがって、この溶
液のpHがその等電点よりも低いならば、これは正帯電されるであろう。それ故、ターメ
リンは、装入溶液中に負帯電され、Dowexカチオン交換カラムと結合しないであろう
。したがってターメリンは、Dowexカラム流出液中にあるであろう。このことは、流
出溶液中に見られる高い202nm吸光度(ペプチド結合による)によって確認される(
図8D)。Dowex流出液ターメリン分画生成物は、0.04gウシ血清アルブミン(
BSA)当量、およびもとのウコン種供給原料を基準にして、0.12質量%の総収率を
40
有する。Dowexカラム流出液またはターメリン分画において、タンパク質含量は6.
6%であったが、このことは、ターメリンペプチドの濃度が、もとの粗供給原料材料の約
0.1%の濃度から、乾燥質量で6.6%濃度まで増加したこと、すなわち天然ウコン種
供給原料中に見られるものよりも66倍の濃度増加があることを示している。
【0125】
(食品および薬剤)
本発明の食品の一形態として、いずれかの任意形態、例えば顆粒状態、粒状態、ペース
ト状態、ゲル状態、固体状態、または液体状態へ配合されてもよい。これらの形態におい
て、食品へ添加されることが許された、当業者に従来から公知の様々な種類の物質、例え
ば結合剤、崩壊剤、増粘剤、分散剤、再吸収促進剤、味覚剤、緩衝剤、界面活性剤、溶解
50
(30)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
助剤、防腐剤、乳化剤、等張剤、安定剤、またはpH制御剤などが、場合により含有され
てもよい。食品へ添加されることになるウコン抽出物の量は、具体的に制限されているわ
けではなく、例えばこれは、約60kgの体重の成人による摂取量として一日あたり約1
0mg∼5g、好ましくは50mg∼2gであってもよい。
【0126】
特に、これが健康の保持のための食品、機能食品などとして利用される時、本発明の有
効成分を、本発明の予め決定された効果が十分に証明されるような量で含有することが好
ましい。
【0127】
本発明の薬剤は、場合により従来から公知の方法にしたがって、例えば固体薬剤、例え
10
ば錠剤、顆粒、粉末、カプセルなどとして、または液体薬剤、例えば注射などとして調製
することができる。これらの薬剤には、一般に用いられているいずれかの材料、例えば結
合剤、崩壊剤、増粘剤、分散剤、再吸収促進剤、味覚剤、緩衝剤、界面活性剤、溶解助剤
、保存料、乳化剤、等張剤、安定剤、またはpH制御剤が配合されていてもよい。
【0128】
薬剤中の有効成分(ウコン抽出物)の投与量は、種類、薬剤形態、年齢、体重、または
適用されるべき患者の症状などに応じて様々であってもよく、例えばこれが経口投与され
る時、これは、約60kgの体重の成人の場合、一日あたり1回または数回投与され、一
日あたり約10mg∼5g、好ましくは約50mg∼2gの量で投与される。有効成分は
、ウコン抽出物の1またはいくつかの構成要素であってもよい。
20
【0129】
(送達系)
本発明の抽出物の患者への送達に有用な投与方法は、当業者に通常公知の投与方法、例
えば粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ジェル、溶液、パッチ、
および吸入剤を包含する。
【0130】
1つの実施形態において、投与方法は、指定時間放出または制御放出吸入剤形態、例え
ばリポソーム配合物を包含しうる吸入剤である。このような送達系は、SARS、鳥イン
フルエンザなどの患者の処置に有用であろう。この実施形態において、本発明の配合物は
、鼻腔内投与に適したいずれかの投薬調合器具において用いられてもよい。この器具は、
30
最適な計量供給精度、および鼻腔配合物とその構成要素、例えば容器、バルブ、およびア
クチュエータとの適合性を確実にする目的で構成されるべきであり、機械的ポンプ系、例
えば計量供給用量ネブライザー、乾燥粉末吸入器、ソフトミスト吸入器、またはネブライ
ザーの系をベースとしてもよいであろう。多量投与用量によって、好ましい器具は、ジェ
ットネブライザー(例えばPARI LC Star,AKITA)、ソフトミスト吸入
器(例えばPARI e−Flow)、およびカプセルベースの乾燥粉末吸入器(例えば
PH & T Turbospin)を包含する。適切な推進薬は、例えばフルオロカー
ボン、炭化水素、窒素、および酸化二窒素、またはこれらの混合物の中から選択されても
よい。
【0131】
40
吸入送達器具は、ネブライザーまたは計量式吸入器(MDI)、または当業者に公知の
いずれかのほかの適切な吸入送達器具であってもよい。この器具は、これらの配合物の単
一用量を含有してもよく、これを送達するために用いられてもよく、またはこの器具は、
本発明の抽出物の多用量を含有してもよく、これを送達するために用いられてもよい。
【0132】
ネブライザー型吸入送達器具は、本発明の抽出物を、通常は水性の溶液、または懸濁液
として含有しうる。吸入のための抽出物の霧状スプレーの発生において、ネブライザー型
送達器具は、超音波的に、または圧縮空気によって、ほかの気体によって、電子的に、ま
たは機械的に駆動されてもよい。超音波ネブライザー器具は通常、急速振動波形を配合物
の液体フィルム上へ、電気化学的振動表面を介して課すことによって作動する。ある一定
50
(31)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
の振幅において、この波形は不安定になり、これにより、これは液体フィルムを崩壊させ
、これはこの配合物の小滴を生成する。空気またはほかのガスによって駆動されるネブラ
イザー器具は、高圧ガスストリームが、局部的圧力降下を生じ、これが液体配合物を、ガ
スストリーム中へ毛管作用を介して引き込むことをベースとして操作される。この細かい
液体ストリームは次いで、せん断力によって崩壊される。このネブライザーは携帯式であ
ってもよく、設計上、手持ち式であってもよく、自己収納電気装置が備えられていてもよ
い。このネブライザー器具は、液体配合物が加速されうる、画定された開口部サイズの2
つの一致した出口チャネルを有するノズルを含んでいてもよい。これは結果として、これ
ら2つのストリームの衝突および配合物の噴霧化を生じる。このネブライザーは、液体配
合物を、画定された1または複数の開口部サイズの多オリフィスノズルを強制的に通して
10
、吸入のための配合物のエアゾールを生じるために、機械的アクチュエータを用いてもよ
い。単一用量のネブライザーの設計において、この配合物の単一用量を含有するブリスタ
ーパックが用いられてもよい。
【0133】
本発明において、例えば肺膜内に粒子を配置するための粒子サイズ決定が最適になるこ
とを確実にするために、ネブライザーが用いられてもよい。
【0134】
計量式吸入器(MDI)が、本発明の抽出物用の吸入送達器具として用いられてもよい
。この器具は加圧され(pMDI)、その基本構造は、計量供給バルブ、アクチュエータ
、および容器を含んでいる。推進薬が、この器具から配合物を排出するために用いられる
20
。この抽出物は、1または複数の加圧推進薬液体中に懸濁された規定サイズの粒子からな
っていてもよく、またはこの抽出物は、1または複数の加圧液体推進薬の溶液または懸濁
液中にあってもよい。用いられる推進薬は主として、大気に優しいヒドロフルオロカーボ
ン(HFC)、例えば134aおよび227である。伝統的なクロロフルオロカーボン、
例えばCFC−11、12、および114は、必須である時のみ用いられる。この吸入系
の器具は、単一用量を、例えばブリスターパックを介して送達しうる。またはこれは、設
計上、多用量であってもよい。吸入系の加圧計量式吸入器は、脂質含有配合物の正確な用
量を送達するために、呼吸で作動されてもよい。投薬の正確さを保証するために、配合物
の送達は、吸入サイクルのある時点で発生するように、マイクロプロセッサを介してプロ
グラミングされてもよい。MDIは、携帯式かつ手持ち式であってもよい。
30
【0135】
別の実施形態において、送達系は、経皮送達系、例えばヒドロゲル、クリーム、ローシ
ョン、軟膏、またはパッチであってもよい。週毎のまたは月毎の指定時間送達が望まれる
時、特にパッチが用いられてもよい。
【0136】
別の実施形態において、非経口投与経路が用いられてもよい。非経口経路は、身体の様
々な区画中への注射をともなう。非経口経路は、静脈内(iv)、すなわち静脈を通って
の血管系中への直接投与;動脈内(ia)、すなわち動脈を通っての血管系中への直接投
与;腹腔内(ip)、すなわち腹腔中への投与;皮下(sc)、すなわち皮膚下への投与
;筋肉内(im)、すなわち筋肉中への投与;および皮膚内(id)、すなわち皮膚層間
40
投与を包含する。非経口経路は、投与された配合物の一部が、胃腸管において一部または
全部劣化するような時、経口経路よりも好ましいことがある。同様に、緊急の場合、急速
応答の必要性がある場合、非経口投与は、経口よりも通常好ましい。
【0137】
(処置方法)
本発明の方法は、ヒトの障害の処置および予防のために新規ウコン抽出物を提供するこ
とを含む。例えば、アレルギー、関節炎、リウマチ、心臓血管病、高コレステロール血症
、血小板凝集、脳血管病、喘息、慢性肺疾患、嚢胞性線維症、傷の治癒、アルツハイマー
病およびパーキンソン病、多発性硬化症、消化性潰瘍病、癌、HIV/AIDS、細菌お
よび真菌感染の処置のための新規ウコン種抽出物は、ウコン種自生植物性材料、または従
50
(32)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
来から公知の製品中に見られるものよりも高い、精油分画濃度、ウコン分画濃度、および
多糖類分画濃度の重量%を有しうる。
【0138】
好ましい処置方法は、関節炎の処置方法であって、本発明のウコン抽出物の治療的有効
量を、これを必要としている患者へ投与することを含む方法を包含する。特に好ましい実
施形態において、このウコン抽出物はさらに、Boswellia種、特にBoswel
lia構成要素α−および/またはβ−ボスウエリア酸、および/またはこれらのC酢酸
塩の同様に得られた抽出物の相乗作用量も含む。Boswellia種の抽出方法は、2
006年9月21日に本発明者らによって出願された仮特許出願に全部が記載され、その
全体が本明細書に組み込まれる。相乗作用とは、各抽出物が個々に有する効果と比較して
10
、組み合わされたウコンおよびボスウエリアの抽出物が関節炎に対して有する増加した効
果のことを言う。
【0139】
前記記載は、本発明の実施の現在最もよく考えられた方法を含む。この記載は、本発明
の一般原則を例証する目的で行なわれ、限定的な意味で捕らえるべきでない。この発明は
、次の実施例によってさらに例証される。これらの実施例は、まったく本発明の範囲に対
して限定を課すと考えられるべきではない。これに対して、本明細書における説明を読ん
だ後に、本発明の精神から逸脱することなく、当業者の念頭に浮かぶであろう本発明の様
々なほかの実施形態、修正例、および同等例に頼ってもよいと理解されるべきであること
は明らかである。
20
【0140】
本明細書において用いられているすべての用語は、当業者によって通常受け入れられて
いるこれらの用法において解釈されると考察される。本明細書において引用された特許お
よび特許出願また引例はすべて、その全体が参照して組み込まれる。
【実施例】
【0141】
(材料および方法)
(ウコン供給原料)
異なる源からの2つの粉砕されたウコン根が、現在の調査に用いられている。ウコン根
抽出物(ロット#:CL/02005)が、Suan Farma Inc.から購入さ
れた。活性成分分析結果は、表7に示されている。
【0142】
(表7.この調査において用いられたウコン根および抽出物についての供給原料情報)
【0143】
30
(33)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
【表7】
10
註:1:精油濃度は、ヘキサン枯渇抽出によって14時間測定された。総収率は7.24
20
%であり、クルクミノイドは0.6%であり、したがって精油は、7.24−0.6=5
.96%であった。2:情報は、2000年9月に納入業者によって提供された。
【0144】
(対照標準および有機溶媒)
クルクミノイド標準は、ChromaDex,Inc.2952 S.Daimler
St.Santa Ana CA 92705 Tel:949,419,0288,
Fax:949,419,0294 www.chromadex.comから購入され
、これらの特性は、表8に列挙されている。
【0145】
(表8.クルクミノイド標準の物理的性質)
30
【0146】
【表8】
40
すべての溶媒は、E.Merckから得られた。これらの性質は、表9に列挙されてい
る。
【0147】
(表9.考察された有機溶媒の物理的性質)
【0148】
50
(34)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
【表9】
10
Dowex 50WX2−200(H)カチオン交換樹脂は、Sigma−Aldri
ch,Co.から購入された。これは、2%架橋を有する強酸カチオン交換樹脂;水素イ
オン形態、100∼200メッシュである。
【0149】
20
Sephadex G−10(およその乾燥ビーズ直径40∼120μm)が、Sig
ma−Aldrich,Co.から購入された。Sephadexは、デキストランをエ
ピクロロヒドリンで架橋することによって調製されたビーズゲルである。その主な用途は
、低分子量および高分子量分子の基分離である。G−10は、分子量<700を分離する
ために用いられる。
【0150】
(分析方法)
精油の特徴決定および定量:
ウコン根精油の化学組成は、溶融シリカカラム(5%フェニルポリ(ジメチルシロキサ
ン)XTI−5、30m×0.25mm i.d.および0.25μmフィルム厚さ、R
30
estek)を備えたHP5890シリーズGC−MS系を用いて決定された。電子イオ
ン化エネルギーは、70eVであった。キャリアガスは、ヘリウム(1.7ml/分)で
あり、1μLのサンプルが注入された。注入温度は240℃であり、検出器の温度は23
0℃であった。温度プログラミングは、5分間50℃、4℃/分で180℃まで、15℃
/分で280℃まで増加され、19分間280℃に保持された。化合物の同定は、これら
のマススペクトルとUS National Institute of Standa
rds and Technology(NIST,USA)およびWILEY Mas
s Spectral Libraryからのデータとを比較することによって実施され
た。
【0151】
40
(クルクミノイドの特徴決定および定量)
HPLC分析が、LC−10ADVPポンプ、SPD−M10AVP光ダイオードアレ
イ検出器、SCL−10ADVPコントローラ、およびJupiterカラム(250m
m H、4.6mm I.D.、5μC18 300Å)を用いるCTO−10ACVP
カラムオブンを含む、Shimadzu LC−10AVP系を用いて実施された。溶離
は、30℃で1ml/分の流量での勾配系で実施された。移動相は、2%酢酸(A)、ア
セトニトリル(B)、およびメタノール(C)からなっていた。クルクミノイドの定量レ
ベルは、0∼30分間、A中の30∼36%アセトニトリルから直線的にプログラミング
された上記溶媒を用いて決定された。次いで勾配は、5%Cの定数で、30∼45分間、
A中の36%から95%アセトニトリルになった。この方法の直線性は、一連の標準クル
50
(35)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
クミノイドを分析することによって評価された。0.06∼2μgの標準クルクミン、デ
メトキシクルクミン、およびビスデメトキシクルクミンを含有する5つの作業標準溶液の
各々20μlが、HPLC中に注入された。標準較正曲線が、標準クルクミノイドの濃度
対ピーク面積をプロットすることによって得られた(3つの試験の平均)。較正範囲は、
ウコン根サンプル中の普通のクルクミノイド濃度を反映するように選択された。
【0152】
(多糖類の特徴決定および定量)
ウコン種中の多糖類を特徴決定するために、比色試験が用いられている。テストに用い
られた試薬は、95.5%硫酸(ACS規格に合致、比重1.84)、および2gの蒸留
水を38gの試薬グレードフェノールへ添加することによって調製された5%フェノール
10
溶液であった。この混合物は、水−白色液体を形成し、これは容易にピペットで採取され
る。分子量5,220、48,600、および409,800のデキストラン(Fluk
a製品)が、標準として用いられた。
【0153】
2mlの糖溶液が、比色管にピペットで入れられ、1mlの5%フェノールが添加され
る。次いで5mlの濃硫酸が急速に添加され、酸のストリームは、良好な混合を得るため
に、テスト管の側面に対してよりもむしろ液体表面に対して向けられる。これらの管は、
10分放置されたままである。この色は、数時間安定であり、読取りは必要であればその
後に行なわれてもよい。特徴的な黄色−オレンジ色の吸光度は、488nmで測定される
。蒸留水を糖溶液で置換してブランクが調製される。その場合糖の量は、デキストランの
20
ために構成された標準曲線を参照して決定されてもよい。すべての溶液は、偶然の汚染の
結果生じるエラーを最小限にするために、三重に調製される。この方法をテストするため
に、これらの実験は、異なる日に繰返された。すべての場合、実験間の変動は、吸光度に
おいてわずか0.01∼0.02単位でしかなく、これは、三重のサンプル間の変動と同
程度の規模であった。
【0154】
多糖類分析のためのリアルタイム直接分析(DART)質量分析法
すべてのDARTクロマトグラムは、下に記載されている機器および方法を用いて実施
された。
【0155】
30
機器:フライト質量分析計のJOEL AccuTOF DART LC時間(Joe
l USA,Inc.,Peabody,Massachusetts,USA)。この
フライト時間(TOF)質量分析計テクノロジーは、サンプル調製をまったく必要とせず
、0.00001質量単位まで正確に質量を生じる。
【0156】
方法:多糖類分画を捕獲し、分析するために利用される機器設定は次のとおりである:
カチオンモードについては、DART針電圧は3,000Vであり、加熱要素は250℃
、電極1は100V、電極2は250V、およびヘリウムガス流は7.45リットル/分
(L/分)である。質量分析計については、オリフィス1は10Vであり、リングレンズ
は5Vであり、オリフィス2は3Vである。ピーク電圧は、約60m/zで出発するが、
40
より大きい質量範囲において十分な解像を可能にする解像力を与えるために、600Vに
設定される。マイクロチャネルプレート検出器(MCP)電圧は、2,450Vに設定さ
れる。較正は、0.5Mカフェイン溶液標準(Sigma−Alrich Co.,St
.Louis,USA)を用いて、サンプル導入前に毎朝実施される。較正許容差は、≦
5mmuに保持される。
【0157】
これらのサンプルは、滅菌ピンセットでDARTヘリウム血漿中に導入され、サンプル
の最大表面積がヘリウム血漿ビームへ確実に暴露されるようにする。サンプルをビーム中
に導入するために、掃引動作が使用される。この動作が、約0.5sec/swipeの
間、前後ストロークの時に反復してサンプルが暴露されることを可能にする。この動作は
50
(36)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
、感知できる総イオン電流(TIC)信号が、検出器において観察されるまで繰り返され
、次いでサンプルが除去され、ベースライン/バックグラウンド標準化が可能にされる。
【0158】
アニオンモードについては、DARTおよびAccuTOF MSは、陰イオンモード
に切り換えられる。針電圧は、3,000Vであり、加熱要素は250℃、電極1は10
0V、電圧2は250V、ヘリウムガス流は7.45L/分である。質量分析計について
は、オリフィス1は−20Vであり、リングレンズは−13Vであり、オリフィス2は−
5Vである。ピーク電圧は、200Vである。MCP電圧は、2,450Vに設定される
。サンプルは、カチオンモードと正確に同じ方法で導入される。すべてのデータ分析は、
この機器で提供されたMassCenterMain Suiteソフトウエアを用いて
10
実施される。
【0159】
吸光度アッセイ:
溶液におけるタンパク質は、280および200nmでの最大吸光度で紫外線を吸収す
る。ペプチド結合は主として、200mにおける吸光度の原因である。Shimadzu
1700シリーズ分光光度計が、現在の研究に用いられている。この手順は、次の工程を
含む:
UVランプを15分間暖める;
リン酸緩衝生理食塩水のみでゼロ吸光度へ較正する;
サンプル溶液を190から300nmまで走査する;
20
最大吸光度波長を発見する。
【0160】
Bradfordタンパク質アッセイ:
溶液におけるタンパク質の濃度を決定するために、Bradfordアッセイを用いる
ことができる。この手順は、染料、Brilliant Blue G、および溶液にお
けるタンパク質間の錯体の形成に基づく。タンパク質−染料錯体は、最大吸収において4
65nmから595nmまでのシフトを引き起こす。吸収量は、存在するタンパク質に比
例する。
【0161】
試薬:
30
Bradford試薬(Sigma製品、B6919)は、0.004%Brilli
ant Blue G、10%リン酸、および4%メタノールからなる。
【0162】
リン酸緩衝生理食塩水(pH=7.4)(Sigma製品、P3813)は、83.8
%塩化ナトリウム、12%無水リン酸1水素2ナトリウム、2%一塩基性リン酸カリウム
、および2%塩化カリウムからなる。
【0163】
リン酸生理食塩水pH=7.4で緩衝されたウシ血清アルブミン(BSA):Sigm
a製品、P3688
手順:
40
0、200、400、600、800、および1,000μgのBSAを含有する6つ
の標準溶液を調製する。400∼700nmの波長範囲にわたって、および0∼2吸光度
単位の吸光度範囲にわたってスペクトルを収集するために、分光光度計を設定する。この
波長範囲にわたって分光光度計をブランクにするために、蒸留水で満たされた4ml石英
キュベットを用いる。400∼700nmの吸光度スペクトルを記録し、595nmの吸
光度を書き留める。各タンパク質標準について、およびアッセイされることになるサンプ
ルについて、上の工程を繰り返す。これらの標準およびサンプルのスペクトルを調べる。
いずれかのスペクトルが、2超の595nmにおける吸光度を有するならば、またはいず
れかのサンプルが、これらの標準のいずれかについての最大吸光度よりも大きい吸光度を
有するならば、公知量によってこのサンプルを希釈し、アッセイを繰り返す。約575n
50
(37)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
mの1つの波長において、これらのスペクトルのすべては同じ吸光度を有すべきである(
このような交差点は、等吸収点と呼ばれ、2つの可能な形態を有する、同じ総濃度の吸収
種を含有する溶液の決定的特徴である)。いずれかのスペクトルが、等吸収点において、
またはその近くでほかのスペクトルと交差しないならば、これは調節されるか、または退
けられて、繰り返されるべきである。
【0164】
BSA濃度に対して595nmにおける吸光度のグラフを作成する。その吸光度からの
サンプルのタンパク質濃度を決定するために、サンプルと同じ吸光度を有するであろうよ
うな標準の濃度を発見するための標準曲線を用いる。
【0165】
10
(チオフラビンTアッセイ)
Aβ1−42繊維の存在は、チオフラビンT蛍光によってモニターされた。Aβ1−4
2の三重の15μLサンプル[50mMトリス−HCl緩衝液(pH7.4)中の50μ
M]が、様々な用量における本発明のウコン抽出物または対照化合物の存在下または不存
在下に、37℃で様々な時間、ペプチド溶液のインキュベーション後に除去された。これ
らのサンプルは各々、蛍光における特徴的な変化が、チオフラビンTのアミロイド繊維へ
の結合後にモニターされる前に(450nmにおける励起および482nmにおける発光
)、50mMグリシン/NaOH(pH9.0)中の2mLの10μMチオフラビンT(
Sigma)へ添加された。三重のサンプルは、ペプチドの添加前、および添加直後に3
回走査された。結果は、これら三重サンプルの平均値±これらの平均値間の差を示してい
20
る。
【0166】
(Aβ1−40、42ELISA)
状態調節された媒質が収集され、以前に記載された(Tanら、2002年)方法を用
いて、1:1希釈で分析され、値が、対照に対して分泌されたAβ1−xのパーセンテー
ジとして報告された。総Aβ種の定量が、公開された方法(Marambaudら、20
05年;Obregonら、2006年)にしたがって実施された。簡単に言えば、6E
10(捕獲抗体)が、PBS中の2μg/mLでコーティングされ、96ウエルイムノア
ッセイプレートに一晩4℃で入れられた。これらのプレートは、PBS中0.05%Tw
een20で5回洗浄され、遮断緩衝液(1%BSA、5%ウマ血清を有するPBS)で
30
2時間室温で遮断された。状態調節された媒質またはAβ標準が、これらのプレートへ添
加され、一晩4℃でインキュベートされた。3回の洗浄後、ビオチニル化抗体、4G8(
1%BSAを有するPBS中の0.5μg/mL)が、これらのプレートへ添加され、2
時間室温でインキュベートされた。5回の洗浄後、ストレプトアビジン−ホースラディッ
シュペルオキシダーゼ(1%BSAを有するPBS中の1:200希釈)が、96ウエル
へ30分間室温で添加された。テトラメチルベンジジン(TMB)基質が、これらのプレ
ートへ添加され、15分間室温でインキュベートされた。50μLの停止液(2N N2
SO4)が、これらのプレートの各ウエルへ添加された。各ウエルの光学密度は、450
nmでマイクロプレートリーダーによって直ちに決定された。Aβレベルは、対照のパー
センテージとして表示された(未処理N2aSweAPP細胞からの状態調節された培地
40
)。
【0167】
(実施例1)
(単一工程SCCO2抽出の実施例)
抽出は、SFT−250 SFT/SFR Processing Platform
、Supercritical Fluid Technologies,Inc.,N
ewark,Delawareを用いて実施された。ウコン種精油分画が、半連続流抽出
プロセスにおいてSCCO2で抽出された。貯蔵シリンダーからの液体二酸化炭素が、冷
却浴を通過させられ、次いで空気駆動Haskelポンプによって操作圧へ圧縮された。
圧縮二酸化炭素は、30グラム粉砕ウコン種根茎粉末(20メッシュ)が入っている10
50
(38)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
0ml抽出容器中へ、溶質がこの抽出容器の出口でまったく観察されなくなる時点まで流
入した。抽出されることになる粗植物性材料が入っている抽出容器は、サーモスタット制
御されたオブン中にあった。抽出容器の内部の温度は、デジタルコントローラで+/−0
.1℃の精度内に制御された。二酸化炭素の流量は、10L/分(19g/分)であった
。消費された二酸化炭素の容量は、流量および試験時間を用いて計算された。抽出生成物
は、高さ65mm、直径24mmのガラスアンプルにおいて、一定の時間間隔で、各試験
につき5分画に収集され、重力測定されて、抽出曲線が得られた。これらの実験は、30
0バールの圧力、40℃の温度で実施された。抽出された二酸化炭素溶解性材料の量が、
抽出物の総質量と天然供給原料材料の総質量との比として計算された。この抽出生成物が
、ガスクロマトグラフィ−質量分析(GC−MS)のためにヘキサン中に溶解された。こ
10
れらの結果は、表2および6に示されている。もとのウコン供給原料の重量、および精油
分画の76.5質量%を構成する3つの主要なターメロン、すなわちar−ターメロン、
β−ターメロン、およびα−ターメロンの高い濃度を基準にして、4.2質量%の高い総
収率があった。精油化学成分の純度は、99%超であった。
【0168】
上記手順は、様々な温度および圧力で数回実施された。これらの試験からの分画は、収
集され、DART質量分析法によって分析され、図63∼78に現われている。
【0169】
(実施例2)
(SCCO2抽出および分別の実施例)
20
ウコン種供給原料のSCCO2抽出および分別が、以前に記載された自社独自的な超臨
界流体抽出および分別系を用いて実施された。2,000gの粉砕ウコン種根茎供給原料
が、24L抽出容器に導入された。抽出温度および圧力が調節され、二酸化炭素供給が開
始された。圧縮CO2が、垂直に取り付けられた床を通って上方に流れるままにされ、精
油、およびクルクミノイドを含むほかの親油性化学成分が抽出された。溶液は、圧力降下
バルブを通って抽出容器から出て行き、第一分離器中に流れ込んだ。ここで、二酸化炭素
が蒸発され、再循環された。これらの抽出物の段階的沈殿は、溶媒圧力を解放し、直列の
3つの分別分離器を用いて3段階で温度を減少させて達成された。分離器1および3が、
分別のために用いられた。重質抽出生成物(クルクミノイド分画)が、より高圧で分離器
1収集容器において沈殿し、軽質生成物(精油)が、より低い圧力で分離器3に回収され
30
た。消費されたCO2の総重量および流体の流量は、質量流量計およびフロー時間によっ
て測定された。圧力は、抽出容器において+/−3バール、分離容器において+/−1バ
ールの精度で、自動背圧バルブによって設定された。温度は、サーモスタットで、+/−
1℃の精度で調節された。抽出温度および圧力は次のとおりである:抽出容器については
70℃および450バール;分離器1については65℃および170バール;分離器2に
ついては59℃および130バール;および分離器3については28℃および60バール
。SCCO2抽出条件および収率(供給原料に基づく質量%)は、表8に記録されている
。
【0170】
精油は、分離器3に収集された。GC−MS分析結果は、表6および7に示されている
。分別分離のための上記SCCO2条件を用いて、供給原料中の精油の95.5%が、3
0分の抽出時間後に抽出されうる。この高度に精製された(>99%)精油分画において
、3つの化学成分、すなわちar−ターメロン、α−ターメロン、およびβ−ターメロン
が、73.6質量%を構成した。
【0171】
(表10.異なる溶媒によるウコン根精油抽出物のピーク面積%)
【0172】
40
(39)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
【表10】
10
(表11.総収率、ピークパーセンテージによって表示された3つのターメロン分布)
【0173】
【表11】
20
30
(表12.SCCO2抽出/分別実験運転条件および収率。収率は、抽出物/供給原料
によって計算された)
【0174】
【表12】
40
高度に精製された(81.3%)クルクミノイド分画が、上記実験例において分離器1
に収集された(分離器2の収率は、0.02%にすぎず、精油またはクルクミノイド化学
成分のどちらの有意量も存在せず、したがって廃棄された)。総収率は、供給原料を基準
にして、1.80質量%であり、クルクミノイドの81.3%の濃度をともなった。クル
クミノイドの収率は、供給原料を基準にして、22質量%であった。しかしながら、SC
CO2残渣中に残っているクルクミノイドの78%(5.42質量%)が残留し、これは
、下の工程2において取り扱われた。分離器1の抽出クルクミノイド分画のHPLC分析
50
(40)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
結果は、表13に記録されている。
【0175】
(表13.分離器1のクルクミノイド抽出分画)
【0176】
【表13】
10
Cur=クルクミノイド;C=クルクミン;DMC=デメトキシクルクミン;BDMC=
ビスデメトキシクルクミン。
【0177】
(実施例3)
(工程2抽出の実施例)
SFE工程1の残渣400gが、95%エタノールとともに抽出容器中に装入され、5
20
時間75℃で混合された。混合は次いで中断され、溶液は16時間放置された。頂部層が
デカントされ、4∼8μm粒子保持サイズを有するFisherbrand P4濾紙で
2回濾過され、3,000rpmで遠心分離された。クルクミノイド強化された上清が蒸
発され、50℃で真空炉乾燥されてタルト形態になるか、またはスプレー乾燥されて乾燥
流動性粉末にされた。この乾燥された抽出生成物は次いで、さらなる加工処理のために用
いられた(工程3)。HPLC分析およびデータは、表14に示されている。浸出プロセ
スの総収率は、もとのウコン供給原料を基準にして、4.52重量%であり、37.8%
のクルクミノイド純度をともなった。クルクミノイド分布、またはクルクミノイドの質量
%プロフィールは、クルクミン35.1%、ビスデメトキシクルクミン39.0%、およ
びデメトキシクルクミン25.9%であった。この抽出プロセスでは、SFE残渣供給原
30
料中のクルクミノイド化学成分の83.3%を抽出することができ、もとの自生ウコン種
供給原料を基準にして、11.9%の総収率をともなった。固体残渣(底部層)は、ウコ
ンペプチドタンパク質およびウコン多糖類の精製分画を得るためのさらなる加工処理のた
めに取り置かれた(工程5、6、および7)。
【0178】
(表14.工程1のSFE残渣を供給原料として用いることによる、浸出歩留まりおよ
び抽出物中のクルクミノイド純度)
【0179】
【表14】
40
(実施例4)
(エタノール浸出生成物のSCCO2精製の実施例)
クルクミノイド強化エタノール浸出プロセス抽出生成物の300gポーションが、2,
000gのガラスビーズ(O.D.=80mm)と混合され、次いで24L SFE抽出
容器中に装入された。ひとたび抽出温度および圧力が調節されたら、二酸化炭素流が開始
50
(41)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
された。圧縮CO2は、抽出容器中の垂直に取り付けられた床を通って上方へ流れるまま
にされた。親油性物質、例えばクルクミノイドが抽出された。この溶液は、抽出容器を離
れて、圧力降下バルブを通り、分離器1に流入し、ここでCO2は、再循環のために蒸発
された。抽出物溶液の段階的沈殿は、直列の3つの分離器を用いて、3段階において溶媒
圧力および温度を解放することによって達成された。分離器1において圧力および温度を
降下させた後、クルクミノイドを含有する重質生成物が、分離器1において沈殿した。H
PLC分析で本質的にクルクミノイドを含まない親油性化学成分から構成された、軽質な
方の生成物が、分離器2および3に回収され、廃棄された。この流体の流量は、質量流量
計を用いて、3.5kg/分であると測定された。総試験時間は120分であり、溶媒/
供給原料比は426であった。抽出容器の条件は、400バールの圧力、90℃の温度で
10
あった。これらの分離器についての圧力および温度は、次のように設定された:分離器1
− 170バール、63℃;分離器2 − 130バール、65℃;および分離器3 − 60バール、28℃。分離器1の抽出生成物の結果は、表15に示されている。この
抽出物のクルクミノイド化学成分をさらに精製およびプロフィールするために、追加のS
CCO2抽出および分別工程(工程4)が必要とされた。
【0180】
(表15.供給原料としての工程1のSFE残渣の工程2のエタノール浸出抽出を用い
た、SCCO2プロセス(工程3)収率、および抽出生成物中のクルクミノイド純度)
【0181】
【表15】
20
(実施例5)
(工程3のクルクミノイド抽出生成物の精製およびプロファイリングの実施例)
工程3の抽出生成物10gが、40ml(45g)のガラスビーズ(直径=4mm)と
混合され、次いで、24L生産スケールシステムに基づいたモデルの、自社独自的なHe
30
rbalScience設計の1L実験室規模SFE分別系の1L抽出容器1の中に装入
された。パージおよび浸出テスト後、抽出容器は、413バールの圧力、および90℃の
温度にされた。分別のために2つの分離器が用いられた。分離器1の温度および圧力は、
65℃および170バールへ設定され、分離器2の温度および圧力は、65℃および13
0バールへ設定された。ひとたびこの系が、設定条件において平衡に達したら、二酸化炭
素は、40L/分の流量で、抽出容器中の垂直に取り付けられた供給原料床の底部から頂
部まで流れる。総二酸化炭素フロー時間は120分であり、溶媒対供給原料比は705で
あった。これらの分離器の各々において抽出された分画は、クルクミノイド化学成分の同
定、およびこれらの成分の純度の計算のために、HPLCを用いて分析された。これらの
結果は、表16に示されている。
【0182】
(表16.工程3の抽出生成物のSCCO2精製およびプロファイリング)
【0183】
40
(42)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
【表16】
10
(強化クルクミノイド抽出生成物の精製およびプロファイリングの実施例)
クルクミノイドの精製および分別プロファイリングの別の実施例において、Suan Farma,Inc.から購入された高度にクルクミノイド濃縮された抽出生成物(ロッ
ト番号:CL02005)が、供給原料として用いられた。この供給原料抽出物において
、総クルクミノイド濃度は、91.14質量%であり、次のようなクルクミノイド分布を
ともなった:クルクミン(C)68.22%;デメトキシクルクミン(DMC)9.63
%;およびビスデメトキシクルクミン(BDMC)4.81%。1,200gのガラスビ
ーズ(O.D.=1cm)と混合されたこの抽出生成物300gが、24L抽出容器中に
装入された。抽出温度および圧力が調節され、次いで二酸化炭素供給が開始された。圧縮
された二酸化炭素が、抽出容器中の垂直に取り付けられた供給原料の床を通って上方に流
20
れるままにされ、クルクミノイドを含む親油性化学成分が抽出された。30分毎に、1.
38Lエタノール共溶媒が、高圧Haskel液体ポンプを用いて、抽出容器の底部から
添加され、動的CO2流を開始させる前に5分間放置された。抽出溶液は、圧力降下バル
ブを通って抽出容器を離れ、分離器1に流入し、ここで二酸化炭素が、再循環のために蒸
発された。抽出物の段階的な沈殿が、直列の3つの分離器を用いて3段階で圧力および温
度を低下させて達成された。圧力を降下させた後、最も重質な化学成分が分離器1中に沈
殿し、比較的軽い化学成分が分離器2および3において沈殿した。消費された二酸化炭素
の総重量が、質量流量計およびフロー時間によって測定された。圧力は、抽出容器につい
ては+/−3バールの精度、分離容器については+/−1バールの精度で、自動背圧バル
ブによって設定された。温度は、サーモスタットを用いて、+/−1℃の精度で調節され
30
た。この流体の流速は、質量流量計を用いて測定された。加工処理時間は2時間であり、
CO2流量は3.5kg/分であった。無水エタノールの5.5Lの容量が、共溶媒とし
て用いられた。エタノール共溶媒は、分離器3においてCO2から相分離され、この系に
おけるエタノール蓄積を避けるために、30分毎にこの系から引き出された。エタノール
は、蒸留を介して再循環された。この実施例の抽出の結果は、表17および18に示され
ている。
【0184】
(表17.Suan Farma供給原料についてのSCCO2抽出/分別条件および
収率)
【0185】
【表17】
40
50
(43)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
(表18.Suan Farma供給原料についてのSCCO2分離器1の抽出/プロ
ファイリング抽出生成物)
【0186】
【表18】
10
*
収率質量/供給原料質量
**
クルクミン質量/収率質量
(実施例6)
(工程2の残渣の水浸出の実施例)
30gのウコンエタノール抽出残渣(工程2)が、オープンフラスコに3時間90℃で
、20容量の蒸留水とともに一定の磁気撹拌をともなって装入された。スラリーが、15
分間3,000rpmで遠心分離された。上清が収集された。総乾燥質量収率は、もとの
20
供給原料を基準にして、9.9%であった。水を蒸発させ、抽出物を約60%濃縮させる
ために、回転蒸発が用いられた。固体残渣が廃棄された。分析結果は、表19に「粗材料
」として列挙されている。
【0187】
(表19.エタノールおよび多糖類分析によって沈殿させられたウコン種水抽出物の収
率)
【0188】
【表19】
30
(実施例7)
(工程6の多糖類分画および精製の実施例)
工程5からの濃縮上澄み溶液が、最終60%エタノール/水濃度溶液を作るのに十分な
エタノールを添加して希釈された。これは結果として、水溶性、エタノール不溶性多糖類
の沈殿を生じる。この溶液は次いで、3,000rpmで15分間遠心分離され、次いで
40
この沈殿物からデカントされた。残渣溶液は、精製ターメリン(ペプチド)分画を得るた
めのさらなる加工処理(工程7)のために取り置かれた。沈殿物収率は、もとのウコン種
供給原料を基準にして、6.4質量%であった。沈殿物中に残留するエタノールおよび水
は、回転蒸発を用いて除去された。乾燥された沈殿物は、比色方法を用いて多糖類含量に
ついて測定された。これらの結果は表15に見られる。60%エタノール/水溶液を用い
た多糖類沈殿が選ばれたが、それは、より高い濃度のエタノールが多糖類沈殿物の収率に
実質的に加わらなかったからである。さらには、残渣溶液の190∼300nmのUV走
査は、約202nmでの最大吸光度(ターメリンペプチド結合による吸光度)が80%エ
タノール/水溶液中に消滅することを明らかにした。またはより高い濃度は、ペプチド、
すなわちターメリンがこれらのエタノール濃度において沈殿して行くことを示した。
50
(44)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
【0189】
60%エタノール沈殿によって得られた多糖類分画をさらに精製するために、Seph
adex G−10カラムが用いられた。Sephadex G−10は、架橋デキスト
ラン分子の小さい多孔質球形ビーズからなる。Sephadex G−10は、10∼4
0μm直径の球形ビーズの形態において、Sigma−Aldrich Co.(St.
Lous,Mo)から供給された。材料中の細孔は、水中に懸濁された時、700未満の
分子量の分子を受け入れるであろう。Sephadexビーズは、16時間、蒸留水で水
和された。カラムは、30mlの床を作るために、Sephadex懸濁液の添加によっ
て調製された。沈殿多糖類は、蒸留水中に、1質量%の濃度まで溶解され、カラム上に装
入された。供給原料装入流量は、約1.8床容量/時である。流出液が収集され、多糖類
10
含量について測定された。比色分析の結果は表20に示されている。さらには、Accu
TOF−DART質量分析法が、多糖類分画を含んでいる化合物の分子量をさらにプロフ
ィールするために用いられた。これらの結果は、図9、10、42∼46、および57∼
61に示されている。これらのデータは、Sephadex G−10カラムが、ウコン
種多糖類分画を約92%のレベルまで精製することができ、もとの供給原料を基準にして
、4.5重量%の収率をともなうことを示している。
【0190】
(表20.供給原料としてエタノール抽出残渣を用いた、水抽出物および60%エタノ
ール沈殿物についての多糖類分析(工程2))
【0191】
【表20】
20
(実施例8)
(工程7のターメリン分画抽出および精製の実施例)
30
工程6の多糖類分画抽出からの上清残渣溶液は、0.3質量%濃度を有することが発見
された(438.9gのエタノール/水溶液中の1.3g固体)。この濃度濃縮溶液は次
いで、リン酸緩衝生理食塩水溶液(0.01M NaCl、0.0027M KCl、7
.4pH、25℃)で、1mg/mlの最終濃度に希釈された(総溶液=1,300ml
)。この溶液は次いで、Sephadex G−10カラムおよびDowexカチオン交
換カラムによって精製された。
【0192】
Sephadex G−10ビーズは、200mlの蒸留水中に16時間浸漬された。
水がデカントされ、これらのビーズは、新鮮な蒸留水と混合されて、スラリーが作られた
。カラムは、Sephadexスラリーの30ml床で充填された。1mg/ml溶液の
40
175mlの容量が、12時間にわたってカラム中に装入された(14.6ml/h)。
流出液が収集された。質量分析は、14.5%固体がこの工程の間に除去され、溶液中に
0.150gの固体を残した。
【0193】
交換基としてスルホン酸(−SO3H)基を有するDowex50−WX2−200強
酸カチオン交換樹脂ビーズが、流出溶液のさらなる精製のために用いられた。Dowex
樹脂ビーズは、デカントされた蒸留水で洗浄された。Dowexは次いで、0.1M H
Cl中に1時間浸漬され、スラリーが作られた。Dowexスラリーは、ガラスカラム中
に装入され、35ml床を作った。この樹脂床は、蒸留水の3床容量で濯ぎ洗いされた。
洗浄後、DowexスラリーのpHは、2.4であった。上のSephadex工程から
50
(45)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
の流出液が、2ml/分の率でカラム上に装入された。Dowexカラムは次いで、HC
lで4.22に調節されたpHを有するリン酸緩衝生理食塩水溶液で、1.9ml/分の
流量で90分間溶離された。流出溶液および溶離溶液は、個別に収集され、物質収支およ
びタンパク質含量について分析された。物質収支は、装入された固体(0.068g)の
45.5%が、溶離溶液中にあり、54.5%(0.082g)が、流出溶液中にあるこ
とを実証した。流出液は、回転蒸発器を用いて蒸発され、最終ターメリン分画生成物が、
オブン乾燥された。
【0194】
工程6および7からのサンプルのすべてが、UV分光計、Bradfordタンパク質
分析、および物質収支によって分析された。これらの分析の結果は、表21に示されてい
10
る。UVスペクトル結果は、図8に記録されている。DART質量分析クロマトグラムが
、図47および62に現われている。
【0195】
(表21.各工程におけるタンパク質歩留まりおよびBradford分析結果)
【0196】
【表21】
20
30
(実施例9)
次の成分が、配合物のために混合される:
【0197】
(46)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
【化1】
10
新規curcuma longa L.は、精製精油分画、クルクミノイド分画、ター
メリン分画、および多糖類分画を、天然根茎材料または従来の抽出生成物中に見られるも
のよりも大きい質量%で含む。これに加えて、クルクミノイド分画中のクルクミノイドの
20
純度は、クルクミノイド化学成分の85質量%超のウコンで95%超である。これらの配
合物は、いずれかの経口投薬形態に作られ、所望の生理学的および心理学的効果(記憶お
よび認知の強化、鎮痛、および慢性関節障害、リウマチ障害、および炎症障害からの緩和
)および医学的効果(酸化防止およびフリーラジカル捕捉、抗血小板凝集および抗血栓症
、心臓血管および脳血管病予防および処置、抗アテローム性動脈硬化症、抗高コレステロ
ール血症、細胞保護、神経系保護、神経変性病、例えばアルツハイマー病およびパーキン
ソン病予防および処置、抗炎症、抗アレルギー、免疫強化、抗ウイルス、抗慢性肺疾患、
肝臓保護および疾患、抗消化性潰瘍病、抗ウイルスおよび抗−HIV、および癌の予防お
よび処置)のために必要に応じて毎日、または一日15回まで投与することができる。
【0198】
(実施例10)
次の成分が、次の配合物のために混合された:
【0199】
30
(47)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
【化2】
10
20
curcuma longa L.の新規抽出物は、精製新規精油、クルクミノイド、
ターメリン、および多糖類化学成分分画を、天然植物性材料または従来の抽出生成物中に
見られるものよりも大きい質量%で含む。同様に、ウコン種抽出物中のプロフィール変化
にも注目されたい(供給原料中の精油/クルクミノイド比は、0.97/1であり、抽出
物中では0.2/1であった;供給原料中の精油/多糖類比は、1.1/1であり、抽出
物中では0.6/1であった;供給原料中の精油/ターメリン比は、66.4/1であり
、抽出物中では34/1であった;供給原料中のクルクミノイド/多糖類比は、1.2/
1であり、抽出物中では2/0/1であった;供給原料中のクルクミノイド/ターメリン
比は、66.4/1であり、抽出物中では113/1であった;供給原料中の多糖類/タ
ーメリン比は、59/1であり、抽出物中では56/1であった)。さらには、クルクミ
30
ノイド分布は、天然供給原料植物性材料中のクルクミン66%の濃度を、クルクミノイド
の質量%として、75%超へ増加するために改変された。この配合物は、いずれかの経口
投薬形態に作ることができ、所望の生理学的、心理学的、および医学的効果のために、必
要に応じて一日あたり15回まで、安全に投与することができる(上記実施例1参照)。
【0200】
(実施例11)
凝集アッセイ − これらのアッセイは、5∼80μMの様々な濃度で本発明によるウ
コン抽出物で(図11)、または72時間の時点までの異なる時間ウコン抽出物および対
照(10μMで)で(図12)インキュベートされた合成Aβ1−42ペプチドを用いて
実施され、凝集は、チオフラビンT方法によってモニターされた。チオフラビンT方法は
40
主として、成熟したβ−プリーツシートアミロイド繊維を検出する。ウコン抽出物は、対
照化合物と比較して、このアッセイにおけるAβ1−42凝集の有効な阻害剤であった。
図11に示されているように、ウコン抽出物は、10または20μMにおいて、Aβ1−
42凝集を有意に阻害する(P<0.001;ANOVA)。さらに図12は、Aβ1−
42凝集へのウコン抽出物の時間依存的効果についてのデータを示している。10μMで
のこれらの実験において、ウコン抽出物インキュベーションは、48時間まで有意であり
、72時間のインキュベーションにおいてさらに増加した凝集の時間依存的阻害を示して
いる。
【0201】
Aβ ELISA − APP(アミロイド先駆物質タンパク質)の切断へのウコン抽
50
(48)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
出物の効果を調べるために、SweAPP N2a細胞が、これらの化合物の各々の幅広
い用量範囲で12時間処理された。ウコン抽出物は、SweAPP N2a細胞における
Aβ発生(Aβ1−40およびAβ1−42ペプチドの両方)を用量依存的に減少させる
ことが発見された(図12)。最も重要なことは、10または20μMの濃度において、
ウコン抽出物は、未処理細胞と比較して、SweAPP N2a細胞からのAβ発生を3
0∼38%減少させる。
【0202】
(参考文献)
【0203】
【化3】
10
20
30
40
【0204】
(49)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
【化4】
10
20
【図面の簡単な説明】
【0205】
【図1】図1は、精油分画の例示的調製方法を示す。
【図2】図2は、エタノール浸出抽出物の例示的実施方法を示す。
【図3】図3は、エタノール抽出されたクルクミノイド分画の例示的SCCO2精製方法
を示す。
【図4】図4は、クルクミノイドの例示的精製およびプロファイリング方法を示す。
30
【図5】図5は、エタノール浸出抽出からの残渣の水浸出の例示的実施方法を示す。
【図6】図6は、多糖類分画の例示的調製方法を示す。
【図7】図7は、ターメリン分画の例示的調製方法を示す。
【図8】図8は、ターメリン抽出方法についての200∼300nmのUVスペクトル走
査を示す。
【図9】図9は、本発明の1つの実施形態による、精製ウコン根多糖類分画についての代
表的DARTマススペクトル正イオンモードフィンガープリントを示す。
【図10】図10は、本発明の1つの実施形態による、精製ウコン根多糖類分画について
の代表的DARTマススペクトル負イオンモードフィンガープリントを示す。
【図11】図11は、チオフラビンTアッセイで決定された、Aβ1−42凝集に対する
40
ウコン抽出物の効果を示す。(50μMにおける)Aβ1−42ペプチドが、37℃にお
いてそのままで、および指摘されているような様々な用量で72時間、ウコン抽出物また
は対照化合物の存在下においてもインキュベートされた。すべての実験は、Tris−H
Cl緩衝液(pH7.4)中で実施された。データは、相対蛍光単位(n=3)として表
わされている。一元ANOVA、次いでこの後の比較は、10および20μM処理濃度に
おいて、ウコン根抽出物と対照化合物との間の有意な差を明らかにした(P<0.001
、ANOVA)。
【図12】図12は、チオフラビンTアッセイで決定された、Aβ1−42凝集に対する
ウコン抽出物の効果を示す。Aβ1−42ペプチド(50μMにおいて)が、37℃にお
いてそのままで、およびウコン根抽出物または対照化合物(10μMにおいて)の存在下
50
(50)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
または不存在下においても、指摘されているような様々な時間インキュベートされた。デ
ータは、相対蛍光単位(n=3)として表わされている。一元ANOVA、次いでこの後
の比較は、48時間および72時間インキュベーションにおいて、ウコン根抽出物と対照
化合物との間の有意な差を明らかにした(P<0.001)。
【図13】図13は、ウコン根抽出物処理が、培養されたニューロン細胞におけるAβ発
生をどのように阻害するかをを示す。Aβ1−40、42ペプチドが、ELISAによっ
てSweAPP N2a細胞からの状態調節された培地中で分析された(各々の条件につ
いてn=3)。データは、対照(未処理)に対するウコン根抽出物処理の12時間後に分
泌されたAβ1−40、42ペプチドのパーセンテージとして表わされている。一元AN
OVA、次いでこの後の比較は、5、10、20、40、および80μM処理濃度におい
10
て、ウコン根抽出物と対照化合物との間の有意な差を明らかにした(P<0.005)。
【図14】図14は、ウコン根抽出物#139についてのAccuTOF−DARTマス
スペクトル(正イオンモード)を示す。テトラヒドロクルクミン(373.1642)(
存在度=0.16)、クルクミン(369.1332)(存在度=100)、デメトキシ
クルクミン(339.1228)(存在度=17.27)、およびビスデメトキシクルク
ミン(309.1132)(存在度=2.93)が検出された。
【図15】図15は、ウコン根抽出物#310についてのAccuTOF−DARTマス
スペクトル(正イオンモード)を示す。クルクミン(369.1349)(存在度=34
.54)、デメトキシクルクミン(339.1251)(存在度=9.51)、およびビ
スデメトキシクルクミン(309.1144)(存在度=5.82)が検出された。
20
【図16】図16は、ウコン根抽出物#311についてのAccuTOF−DARTマス
スペクトル(正イオンモード)を示す。
【図17】図17は、ウコン根抽出物#312についてのAccuTOF−DARTマス
スペクトル(正イオンモード)を示す。
【図18】図18は、ウコン根抽出物#313についてのAccuTOF−DARTマス
スペクトル(正イオンモード)を示す。
【図19】図19は、ウコン根抽出物#314についてのAccuTOF−DARTマス
スペクトル(正イオンモード)を示す。テトラヒドロクルクミン(373.1667)(
存在度=0.55)、クルクミン(369.1345)(存在度=100)、デメトキシ
クルクミン(339.1239)(存在度=20.41)、およびビスデメトキシクルク
30
ミン(309.1138)(存在度=5.18)が検出された。
【図20】図20は、ウコン根抽出物#315についてのAccuTOF−DARTマス
スペクトル(正イオンモード)を示す。テトラヒドロクルクミン(373.1674)(
存在度=0.37)、クルクミン(369.1358)(存在度=100)、デメトキシ
クルクミン(339.1236)(存在度=16.58)、およびビスデメトキシクルク
ミン(309.1135)(存在度=3.50)が検出された。
【図21】図21は、ウコン根抽出物#316についてのAccuTOF−DARTマス
スペクトル(正イオンモード)を示す。テトラヒドロクルクミン(373.1631)(
存在度=0.36)、クルクミン(369.136)(存在度=100)、デメトキシク
ルクミン(339.1228)(存在度=22.84)、およびビスデメトキシクルクミ
40
ン(309.1122)(存在度=7.59)が検出された。
【図22】図22は、ウコン根抽出物#317についてのAccuTOF−DARTマス
スペクトル(正イオンモード)を示す。テトラヒドロクルクミン(373.1642)(
存在度=0.26)、クルクミン(369.1343)(存在度=100)、デメトキシ
クルクミン(339.1238)(存在度=25.31)、およびビスデメトキシクルク
ミン(309.114)(存在度=5.75)が検出された。
【図23】図23は、ウコン根抽出物#139についてのAccuTOF−DARTマス
スペクトル(負イオンモード)を示す。クルクミン(367.116)(存在度=100
)、デメトキシクルクミン(337.106)(存在度=35.48)、およびビスデメ
トキシクルクミン(307.0965)(存在度=9.02)が検出された。
50
(51)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
【図24】図24は、ウコン根抽出物#310についてのAccuTOF−DARTマス
スペクトル(負イオンモード)を示す。クルクミン(367.1127)(存在度=10
0)、デメトキシクルクミン(337.1033)(存在度=50.06)、およびビス
デメトキシクルクミン(307.0942)(存在度=44.26)が検出された。
【図25】図25は、ウコン根抽出物#311についてのAccuTOF−DARTマス
スペクトル(負イオンモード)を示す。クルクミン(367.1127)(存在度=10
0)、デメトキシクルクミン(337.1033)(存在度=49.82)、およびビス
デメトキシクルクミン(307.0941)(存在度=44.04)が検出された。
【図26】図26は、ウコン根抽出物#312についてのAccuTOF−DARTマス
スペクトル(負イオンモード)を示す。クルクミン(367.113)(存在度=100
10
)、デメトキシクルクミン(337.104)(存在度=18.62)、およびビスデメ
トキシクルクミン(307.099)(存在度=3.08)が検出された。
【図27】図27は、ウコン根抽出物#313についてのAccuTOF−DARTマス
スペクトル(負イオンモード)を示す。クルクミン(367.1133)(存在度=10
0)、デメトキシクルクミン(337.1041)(存在度=19.56)、およびビス
デメトキシクルクミン(307.0976)(存在度=3.75)が検出された。
【図28】図28は、ウコン根抽出物#314についてのAccuTOF−DARTマス
スペクトル(負イオンモード)を示す。クルクミン(367.1133)(存在度=10
0)、デメトキシクルクミン(337.1042)(存在度=19.71)、およびビス
デメトキシクルクミン(307.0982)(存在度=3.98)が検出された。
20
【図29】図29は、ウコン根抽出物#315についてのAccuTOF−DARTマス
スペクトル(負イオンモード)を示す。クルクミン(367.1128)(存在度=10
0)、デメトキシクルクミン(337.1036)(存在度=26.32)、およびビス
デメトキシクルクミン(307.0953)(存在度=8.38)が検出された。
【図30】図30は、ウコン根抽出物#316についてのAccuTOF−DARTマス
スペクトル(負イオンモード)を示す。テトラヒドロクルクミン(371.1306)(
存在度=0.99)、クルクミン(367.1131)(存在度=100)、デメトキシ
クルクミン(337.1043)(存在度=26.54)、およびビスデメトキシクルク
ミン(307.0958)(存在度=9.48)が検出された。
【図31】図31は、ウコン根抽出物#317についてのAccuTOF−DARTマス
30
スペクトル(負イオンモード)を示す。クルクミン(367.1128)(存在度=10
0)、デメトキシクルクミン(337.1035)(存在度=35.48)、およびビス
デメトキシクルクミン(307.0948)(存在度=8.43)が検出された。
【図32】図32は、75%EtOH溶液(HS#136)でのウコン根抽出物について
のAccuTOF−DARTマススペクトル(正イオンモード)を示す。テトラヒドロク
ルクミン(373.1678)(存在度=0.41)、クルクミン(369.1418)
(存在度=100)、デメトキシクルクミン(339.1304)(存在度=22.00
)、およびビスデメトキシクルクミン(309.1201)(存在度=5.36)が検出
された。
【図33】図33は、80%EtOH溶液(HS#137)でのウコン根抽出物について
40
のAccuTOF−DARTマススペクトル(正イオンモード)を示す。テトラヒドロク
ルクミン(373.1655)(存在度=1.09)、クルクミン(369.1330)
(存在度=100)、デメトキシクルクミン(339.124)(存在度=18.04)
、およびビスデメトキシクルクミン(309.1131)(存在度=5.10)が検出さ
れた。
【図34】図34は、85%EtOH溶液(HS#138)でのウコン根抽出物について
のAccuTOF−DARTマススペクトル(正イオンモード)を示す。テトラヒドロク
ルクミン(373.1722)(存在度=0.31)、クルクミン(369.1365)
(存在度=100)、デメトキシクルクミン(339.1254)(存在度=13.14
)、およびビスデメトキシクルクミン(309.1156)(存在度=2.48)が検出
50
(52)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
された。
【図35】図35は、商業的に入手しうる(Hara種)ウコン根(HS#160)につ
いてのAccuTOF−DARTマススペクトル(正イオンモード)を示す。クルクミン
(369.132)(存在度=0.31)が検出された。
【図36】図36は、中国からのウコン根(HS#161)についてのAccuTOF−
DARTマススペクトル(正イオンモード)を示す。クルクミン(369.1273)(
存在度=1.20)が検出された。
【図37】図37は、インドからのウコン根(HS#162)についてのAccuTOF
−DARTマススペクトル(正イオンモード)を示す。クルクミン(369.1335)
(存在度=0.54)が検出された。
10
【図38】図38は、商業的に入手しうる(シンガポール、タイ、英国)ウコン根(HS
#163)についてのAccuTOF−DARTマススペクトル(正イオンモード)を示
す。クルクミン(369.132)(存在度=20.80)、デメトキシクルクミン(3
39.12)(存在度=4.83)、およびビスデメトキシクルクミン(309.111
)(存在度=2.05)が検出された。
【図39】図39は、商業的に入手しうる(シンガポール、タイ、英国)ウコン根(HS
#164)についてのAccuTOF−DARTマススペクトル(正イオンモード)を示
す。クルクミン(369.134)(存在度=11.02)、デメトキシクルクミン(3
39.1205)(存在度=2.18)、およびビスデメトキシクルクミン(309.1
122)(存在度=1.46)が検出された。
20
【図40】図40は、商業的に入手しうる(Suan Farms)ウコン根(HS#1
65)についてのAccuTOF−DARTマススペクトル(正イオンモード)を示す。
テトラヒドロクルクミン(373.1658)(存在度=0.28)、クルクミン(36
9.1331)(存在度=100)、デメトキシクルクミン(339.1221)(存在
度=16.26)、およびビスデメトキシクルクミン(309.116)(存在度=2.
65)が検出された。
【図41】図41は、ナポリからのウコン根(HS#166)についてのAccuTOF
−DARTマススペクトル(正イオンモード)を示す。クルクミン(369.1345)
(存在度=3.94)、デメトキシクルクミン(339.1198)(存在度=0.35
)、およびビスデメトキシクルクミン(309.1106)(存在度=0.14)が検出
30
された。
【図42】図42は、商業的に入手しうるウコン根(Hara Spice)(HS#3
02)の抽出物から20%EtOH溶液によって沈殿された多糖類についてのAccuT
OF−DARTマススペクトル(正イオンモード)を示す。
【図43】図43は、商業的に入手しうるウコン根(Hara Spice)(HS#3
03)の抽出物から40%EtOH溶液によって沈殿された多糖類についてのAccuT
OF−DARTマススペクトル(正イオンモード)を示す。
【図44】図44は、商業的に入手しうるウコン根(Hara Spice)(HS#3
04)の抽出物から20%EtOH溶液によって沈殿された多糖類についてのAccuT
OF−DARTマススペクトル(正イオンモード)を示す。
40
【図45】図45は、商業的に入手しうるウコン根(Hara Spice)(HS#3
05)の抽出物から80%EtOH溶液によって沈殿された多糖類についてのAccuT
OF−DARTマススペクトル(正イオンモード)を示す。
【図46】図46は、商業的に入手しうるウコン根(Hara Spice)(HS#3
06)の抽出物から95%EtOH溶液によって沈殿された多糖類についてのAccuT
OF−DARTマススペクトル(正イオンモード)を示す。クルクミン(369.143
1)(存在度=3.66)、デメトキシクルクミン(339.1436)(存在度=0.
73)、およびビスデメトキシクルクミン(309.1187)(存在度=0.97)が
検出された。
【図47】図47は、商業的に入手しうるウコン根(Hara Spice)(HS#3
50
(53)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
07)の抽出物からの60%上清から加工処理されたポリペプチドターメリンについての
AccuTOF−DARTマススペクトル(正イオンモード)を示す。
【図48】図48は、ウコン根(HS#136)の75%EtOH抽出物についてのAc
cuTOF−DARTマススペクトル(負イオンモード)を示す。クルクミン(367.
1123)(存在度=100)、デメトキシクルクミン(337.1028)(存在度=
42.60)、およびビスデメトキシクルクミン(307.0941)(存在度=14.
09)が検出された。
【図49】図49は、ウコン根(HS#138)の85%EtOH抽出物についてのAc
cuTOF−DARTマススペクトル(負イオンモード)を示す。クルクミン(367.
1117)(存在度=100)、デメトキシクルクミン(337.103)(存在度=2
10
3.61)、およびビスデメトキシクルクミン(307.0953)(存在度=5.46
)が検出された。
【図50】図50は、商業的に入手しうる(Hara Spice)ウコン根(HS#1
60)についてのAccuTOF−DARTマススペクトル(負イオンモード)を示す。
クルクミン(367.1125)(存在度=100)、デメトキシクルクミン(337.
1033)(存在度=33.89)、およびビスデメトキシクルクミン(307.094
0)(存在度=19.46)が検出された。
【図51】図51は、中国からのウコン根(HS#161)についてのAccuTOF−
DARTマススペクトル(負イオンモード)を示す。テトラヒドロクルクミン(371.
1335)(存在度=4.34)、クルクミン(367.1126)(存在度=100)
20
、デメトキシクルクミン(337.1035)(存在度=90.31)、およびビスデメ
トキシクルクミン(307.0943)(存在度=39.58)が検出された。
【図52】図52は、インドからのウコン根(HS#162)についてのAccuTOF
−DARTマススペクトル(負イオンモード)を示す。クルクミン(367.1129)
(存在度=0.16)、デメトキシクルクミン(337.1041)、およびビスデメト
キシクルクミン(307.0944)が検出された。
【図53】図53は、商業的に入手しうる(シンガポール、タイ、英国)ウコン根(HS
#163)についてのAccuTOF−DARTマススペクトル(負イオンモード)を示
す。クルクミン(367.1142)、デメトキシクルクミン(337.1052)、お
よびビスデメトキシクルクミン(307.0963)が検出された。
30
【図54】図54は、商業的に入手しうる(シンガポール、タイ、英国)ウコン根(HS
#164)についてのAccuTOF−DARTマススペクトル(負イオンモード)を示
す。クルクミン(367.1147)、デメトキシクルクミン(337.1059)、お
よびビスデメトキシクルクミン(307.095)が検出された。
【図55】図55は、商業的に入手しうる(Suan Farms)ウコン根(HS#1
65)についてのAccuTOF−DARTマススペクトル(負イオンモード)を示す。
テトラヒドロクルクミン(371.1282)、クルクミン(367.1151)、デメ
トキシクルクミン(337.1061)、およびビスデメトキシクルクミン(307.0
981)が検出された。
【図56】図56は、ナポリからのウコン根(HS#166)についてのAccuTOF
40
−DARTマススペクトル(負イオンモード)を示す。クルクミン(367.1152)
、デメトキシクルクミン(337.1064)、およびビスデメトキシクルクミン(30
7.0966)が検出された。
【図57】図57は、商業的に入手しうるウコン根(Hara Spice)(HS#3
02)の抽出物からの20%EtOH溶液によって沈殿された多糖類についてのAccu
TOF−DARTマススペクトル(負イオンモード)を示す。
【図58】図58は、商業的に入手しうるウコン根(Hara Spice)(HS#3
03)の抽出物から40%EtOH溶液によって沈殿された多糖類についてのAccuT
OF−DARTマススペクトル(負イオンモード)を示す。
【図59】図59は、商業的に入手しうるウコン根(Hara Spice)(HS#3
50
(54)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
04)の抽出物から60%EtOH溶液によって沈殿された多糖類についてのAccuT
OF−DARTマススペクトル(負イオンモード)を示す。
【図60】図60は、商業的に入手しうるウコン根(Hara Spice)(HS#3
05)の抽出物から80%EtOH溶液によって沈殿された多糖類についてのAccuT
OF−DARTマススペクトル(負イオンモード)を示す。クルクミン(367.110
7)およびデメトキシクルクミン(337.1114)が検出された。
【図61】図61は、商業的に入手しうるウコン根(Hara Spice)(HS#3
06)の抽出物から95%EtOH溶液によって沈殿された多糖類についてのAccuT
OF−DARTマススペクトル(負イオンモード)を示す。クルクミン(367.114
1)が検出された。
10
【図62】図62は、商業的に入手しうるウコン根(Hara Spice)(HS#3
07)の抽出物から60%上清で加工処理されたポリペプチドターメリンについてのAc
cuTOF−DARTマススペクトル(負イオンモード)を示す。クルクミン(367.
1163)が検出された。
【図63】図63は、40℃および80バールにおけるウコン根のCO2超臨界抽出物か
らの精油分画についてのAccuTOF−DARTマススペクトル(HS#160)(正
イオンモード)を示す。
【図64】図64は、40℃および300バールにおけるウコン根のCO2超臨界抽出物
からの精油分画についてのAccuTOF−DARTマススペクトル(HS#160)(
正イオンモード)を示す。
20
【図65】図65は、40℃および500バールにおけるウコン根のCO2超臨界抽出物
からの精油分画についてのAccuTOF−DARTマススペクトル(HS#160)(
正イオンモード)を示す。
【図66】図66は、60℃および100バールにおけるウコン根のCO2超臨界抽出物
からの精油分画についてのAccuTOF−DARTマススペクトル(HS#160)(
正イオンモード)を示す。
【図67】図67は、60℃および300バールにおけるウコン根のCO2超臨界抽出物
からの精油分画についてのAccuTOF−DARTマススペクトル(HS#160)(
正イオンモード)を示す。
【図68】図68は、80℃および100バールにおけるウコン根のCO2超臨界抽出物
30
からの精油分画についてのAccuTOF−DARTマススペクトル(HS#160)(
正イオンモード)を示す。
【図69】図69は、80℃および300バールにおけるウコン根のCO2超臨界抽出物
からの精油分画についてのAccuTOF−DARTマススペクトル(HS#160)(
正イオンモード)を示す。
【図70】図70は、40℃および500バールにおけるウコン根のCO2超臨界抽出物
からの精油分画についてのAccuTOF−DARTマススペクトル(HS#164)(
正イオンモード)を示す。
【図71】図71は、40℃および80バールにおけるウコン根のCO2超臨界抽出物か
らの精油分画についてのAccuTOF−DARTマススペクトル(HS#160)(負
40
イオンモード)を示す。
【図72】図72は、40℃および300バールにおけるウコン根のCO2超臨界抽出物
からの精油分画についてのAccuTOF−DARTマススペクトル(HS#160)(
負イオンモード)を示す。
【図73】図73は、40℃および500バールにおけるウコン根のCO2超臨界抽出物
からの精油分画についてのAccuTOF−DARTマススペクトル(HS#160)(
負イオンモード)を示す。
【図74】図74は、60℃および100バールにおけるウコン根のCO2超臨界抽出物
からの精油分画についてのAccuTOF−DARTマススペクトル(HS#160)(
負イオンモード)を示す。
50
(55)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
【図75】図75は、60℃および300バールにおけるウコン根のCO2超臨界抽出物
からの精油分画についてのAccuTOF−DARTマススペクトル(HS#160)(
負イオンモード)を示す。
【図76】図76は、80℃および100バールにおけるウコン根のCO2超臨界抽出物
からの精油分画についてのAccuTOF−DARTマススペクトル(HS#160)(
負イオンモード)を示す。
【図77】図77は、80℃および300バールにおけるウコン根のCO2超臨界抽出物
からの精油分画についてのAccuTOF−DARTマススペクトル(HS#160)(
負イオンモード)を示す。
【図78】図78は、40℃および500バールにおけるウコン根のCO2超臨界抽出物
からの精油分画についてのAccuTOF−DARTマススペクトル(HS#164)(
負イオンモード)を示す。
【図79】図79は、本明細書において「クルクミノイド」と呼ばれている化合物群を一
緒に形成する、クルクミン、テトラヒドロクルクミン、デメトキシクルクミン、およびビ
スデメトキシクルクミンの化学構造を示す。
【図80】図80は、ウコン抽出物の精油分画中に見られる化合物のいくつかの化学構造
を示す。
【図1】
【図2】
【図3】
10
(56)
【図4】
【図6】
【図5】
【図7】
【図9】
【図10】
【図8】
JP 2009-530305 A 2009.8.27
(57)
【図11】
【図13】
【図12】
【図14】
【図15】
【図17】
【図16】
【図18】
JP 2009-530305 A 2009.8.27
(58)
【図19】
【図21】
【図20】
【図22】
【図23】
【図25】
【図24】
【図26】
JP 2009-530305 A 2009.8.27
(59)
【図27】
【図29】
【図28】
【図30】
【図31】
【図33】
【図32】
【図34】
JP 2009-530305 A 2009.8.27
(60)
【図35】
【図37】
【図38】
【図36】
【図39】
【図41】
【図42】
【図40】
JP 2009-530305 A 2009.8.27
(61)
【図43】
【図45】
【図44】
【図46】
【図47】
【図49】
【図48】
【図50】
JP 2009-530305 A 2009.8.27
(62)
【図51】
【図53】
【図52】
【図54】
【図55】
【図57】
【図56】
【図58】
JP 2009-530305 A 2009.8.27
(63)
【図59】
【図61】
【図60】
【図62】
【図63】
【図65】
【図64】
【図66】
JP 2009-530305 A 2009.8.27
(64)
【図67】
【図69】
【図68】
【図70】
【図71】
【図73】
【図72】
【図74】
JP 2009-530305 A 2009.8.27
(65)
【図75】
【図77】
【図78】
【図76】
【図79】
【図80】
JP 2009-530305 A 2009.8.27
(66)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
【手続補正書】
【提出日】平成20年12月29日(2008.12.29)
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
図9、図10、または図14∼図78のいずれかに記載のリアルタイム直接分析(DAR
T)質量分析法クロマトグラムを有する分画を含んでいる、ウコン種抽出物。
【請求項2】
前記分画が、図14∼図31、図36、図37、図41、図51、図52、または図56
のいずれかのDART質量分析法クロマトグラムを有する、請求項1に記載のウコン種抽
出物。
【請求項3】
図35、図38∼図40、図50、または図53∼図55のいずれかのDART質量分析
法クロマトグラムを有する、請求項1に記載のウコン種抽出物。
【請求項4】
図9、図10、図42∼図46、または図57∼図61のいずれかのDART質量分析法
クロマトグラムを有する、請求項1に記載のウコン種抽出物。
【請求項5】
図32∼図34、または図47∼図49のいずれかのDART質量分析法クロマトグラム
を有する、請求項1に記載のウコン種抽出物。
【請求項6】
図63∼図78のいずれかのDART質量分析法クロマトグラムを有する、請求項1に記
載のウコン種抽出物。
【請求項7】
図47または図62に記載のDART質量分析法クロマトグラムを有する、請求項1に記
載のウコン種抽出物。
【請求項8】
前記抽出物が、図63∼図78のいずれかのDART質量分析法クロマトグラムを有する
精油分画、および図9、図10、図42∼図46、または図57∼図61のいずれかのD
ART質量分析法クロマトグラムを有する多糖類分画を含んでいる、請求項1に記載のウ
コン種抽出物。
【請求項9】
前記抽出物が、図63∼図78のいずれかのDART質量分析法クロマトグラムを有する
精油分画、図9、図10、図42∼図46、または図57∼図61のいずれかのDART
質量分析法クロマトグラムを有する多糖類分画、および図47または図62のDART質
量分析法クロマトグラムを有するターメリン分画を含んでいる、請求項1に記載のウコン
種抽出物。
【請求項10】
前記抽出物が、クルクミノイド、ターメロン、多糖類、および/またはターメリンを含ん
でいる、請求項1に記載のウコン種抽出物。
【請求項11】
前記クルクミノイドは、クルクミン、テトラヒドロクルクミン、デメトキシクルクミン、
ビスデメトキシクルクミン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求
項10に記載のウコン種抽出物。
【請求項12】
前記クルクミノイドの量は、少なくとも約75重量%である、請求項10に記載のウコン
(67)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
種抽出物。
【請求項13】
前記ターメロンは、α−ターメロン、ar−ターメロン、β−ターメロン、およびこれら
の組み合わせからなる群から選択される、請求項10に記載のウコン種抽出物。
【請求項14】
前記ターメロンの量は、少なくとも5重量%である、請求項10に記載のウコン種抽出物
。
【請求項15】
前記ターメリンの量は、少なくとも約5重量%である、請求項10に記載のウコン種抽出
物。
【請求項16】
前記多糖類は、ウコナンA、ウコナンB、ウコナンC、およびこれらの組み合わせからな
る群から選択される、請求項10に記載のウコン種抽出物。
【請求項17】
前記多糖類の量は、少なくとも約5重量%である、請求項10に記載のウコン種抽出物。
【請求項18】
請求項1に記載のウコン種抽出物を含んでいる、食品または薬剤。
【請求項19】
アミロイド斑凝集または原線維形成に罹患している被験体を処置するための組成物であっ
て、請求項1に記載のウコン種抽出物の有効量を含む、組成物。
【請求項20】
前記被験体は、アルツハイマー病に罹患している、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記ウコン種抽出物がさらに、α−ボスウエリア酸および/またはβ−ボスウエリア酸、
ならびに/あるいはそのC−酢酸塩の相乗作用量も含んでいる、請求項19に記載の組成
物。
【請求項22】
前記被験体が、霊長類、ウシ、ヒツジ、ウマ、ブタ、げっ歯類、ネコ、またはイヌである
、請求項19に記載の組成物。
【請求項23】
前記被験体が、ヒトである、請求項19に記載の組成物。
【請求項24】
アミロイド斑凝集または組織中の原線維形成を予防するための組成物であって、請求項1
に記載のウコン種抽出物の有効量を含む、組成物。
【請求項25】
前記ウコン種抽出物がさらに、α−ボスウエリア酸および/またはβ−ボスウエリア酸、
ならびに/あるいはそのC−酢酸塩の相乗作用量も含んでいる、請求項24に記載の組成
物。
【請求項26】
少なくとも1つの予め決定された特徴を有するウコン種抽出物を調製する方法であって、
精油分画、クルクミノイド分画、多糖類分画、およびターメリン分画を生じるために、
a.超臨界二酸化炭素抽出によってウコン種植物性材料を抽出して、精油分画および第
一残渣を生じる工程;
b.ウコン種植物性材料または工程a)からの該第一残渣のいずれかを、超臨界二酸化
炭素抽出によって抽出して、クルクミノイド分画および第二残渣を生じる工程;
c.工程b)からの該第二残渣を熱水抽出によって抽出して多糖類溶液を生じ、次いで
該多糖類をエタノールで沈殿させて、多糖類分画および第三残渣を生じる工程;ならびに
d.カラムクロマトグラフィによって、工程c)からの該第三残渣からターメリン分画
を分離する工程;
によって、ウコン種植物性材料を連続的に抽出する工程を含む、方法。
(68)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
【請求項27】
工程a)は、
1)粉砕されたウコン種植物性材料を抽出容器に装入する工程;
2)二酸化炭素を超臨界条件下で添加する工程;
3)該粉砕されたウコン種植物性材料と該二酸化炭素とをしばらくの間接触させる工程
;および
4)前記精油分画を収集容器に収集する工程;
を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記超臨界条件が、約250バール∼約500バールの圧力、および約30℃∼約80℃
の温度を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
工程a)の抽出条件は、約250バール∼500バールの抽出容器圧力、および約35℃
∼約90℃の温度、ならびに約40バール∼約150バールの分離収集容器圧力、および
約20℃∼約50℃の温度を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
工程b)は、
1)粉砕されたウコン種植物性材料または工程a)からの前記第一残渣のいずれかを抽
出容器に装入する工程;
2)二酸化炭素を超臨界条件下で添加する工程;
3)該粉砕されたウコン種植物性材料または工程a)からの該第一残渣と該二酸化炭素
とを、しばらくの間接触させる工程;および
4)前記クルクミノイド分画を、分別分離収集容器に収集する工程;
を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
工程b)の抽出条件は、約350バール∼約700バールの抽出容器圧力、および約60
℃∼約95℃の温度、ならびに約120バール∼約220バールの分離収集容器圧力、お
よび約55℃∼約75℃の温度を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
工程c)は、
1)工程b)からの前記第二残渣と水溶液とを約85℃∼約100℃で、多糖類を抽出
するのに十分な時間接触させる工程;
2)固体多糖類を該溶液から、エタノール沈殿によって分離する工程;および
3)カラムクロマトグラフィを用いて多糖類分画を精製する工程;
を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
工程d)は、
1)高分子量分子と低分子量分子との分離のために、工程c)からの前記第三残渣を、
樹脂カラムに通過させる工程;および
2)カチオン交換樹脂カラムを用いてより高い分子量の流出溶液を精製して、該流出溶
液から前記ターメリン分画を収集する工程;
を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項34】
請求項26∼33のいずれかに記載の方法によって調製されたウコン種抽出物。
【請求項35】
クルクミン、該クルクミンの0.1重量%∼5重量%におけるテトラヒドロクルクミン、
該クルクミンの10重量%∼20重量%におけるデメトキシクルクミン、および該クルク
ミンの1重量%∼5重量%におけるビスデメトキシクルクミンを含んでいる、ウコン種抽
出物。
【請求項36】
(69)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
クルクミン、該クルクミンの0.1重量%∼5重量%におけるテトラヒドロクルクミン、
該クルクミンの15重量%∼25重量%におけるデメトキシクルクミン、および該クルク
ミンの1重量%∼10重量%におけるビスデメトキシクルクミンを含んでいる、ウコン種
抽出物。
【請求項37】
クルクミン、該クルクミンの0.1重量%∼5重量%におけるテトラヒドロクルクミン、
該クルクミンの20重量%∼30重量%におけるデメトキシクルクミン、および該クルク
ミンの1重量%∼10重量%におけるビスデメトキシクルクミンを含んでいる、ウコン種
抽出物。
【請求項38】
クルクミン、該クルクミンの30重量%∼40重量%におけるデメトキシクルクミン、お
よび該クルクミンの5重量%∼15重量%におけるビスデメトキシクルクミンを含んでい
る、ウコン種抽出物。
【請求項39】
クルクミン、該クルクミンの45重量%∼55重量%におけるデメトキシクルクミン、お
よび該クルクミンの40重量%∼50重量%におけるビスデメトキシクルクミンを含んで
いる、ウコン種抽出物。
【請求項40】
クルクミン、該クルクミンの15重量%∼25重量%におけるデメトキシクルクミン、お
よび該クルクミンの1重量%∼10重量%におけるビスデメトキシクルクミンを含んでい
る、ウコン種抽出物。
【請求項41】
クルクミン、該クルクミンの0.1重量%∼5重量%におけるテトラヒドロクルクミン、
該クルクミンの20重量%∼30重量%におけるデメトキシクルクミン、および該クルク
ミンの5重量%∼15重量%におけるビスデメトキシクルクミンを含んでいる、ウコン種
抽出物。
(70)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
【国際調査報告】
10
20
30
40
(71)
JP 2009-530305 A 2009.8.27
フロントページの続き
(51)Int.Cl.
FI
テーマコード(参考)
A61K 31/715
(2006.01)
A61K 31/715
A61K 31/19
(2006.01)
A61K 31/19
A61P 43/00
(2006.01)
A61P 43/00
111 A61P 25/28
(2006.01)
A61P 25/28
A61P 43/00
121 (81)指定国 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),
10
EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MT,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(
BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,
CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,K
Z,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE
,SG,SK,SL,SM,SV,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW
(74)代理人 100113413
弁理士 森下 夏樹
(72)発明者 リー, ダン
シンガポール国 117528 シンガポール, サイエンス パーク ロード ナンバー 1,
20
ザ カプリコーン ナンバー01−07/08
(72)発明者 ガウ, ロバート ティー.
アメリカ合衆国 フロリダ 34119, ネープルズ, ポンドビュー サークル 13631
(72)発明者 サイパート, ジョージ ダブリュー.
アメリカ合衆国 フロリダ 34102, ネープルズ, サウス 6ティーエイチ ストリート
(72)発明者 マンビル, エイチ. ブロック
シンガポール国 118572 シンガポール, パサー パンジャング ロード 202, ラ
ンドリッジ コンドミニアム ナンバー03−12
(72)発明者 アルバート, ランダル エス.
アメリカ合衆国 フロリダ 33928, エステロ, エステロ ガーデンズ サークル 20
221, ナンバー203
Fターム(参考) 4B018 MD08 MD10 MD33 MD61 ME14 MF01 MF07
4C086 AA01 AA02 AA04 EA20 MA01 MA02 MA04 MA52 NA14 ZA16
ZC02 ZC51 ZC75
4C088 AB81 AC11 BA08 BA12 BA32 CA05 CA10 CA14 CA19 MA52
NA14 ZA16 ZC02 ZC51 ZC75
4C206 AA01 AA02 AA04 CA11 CB14 DA13 KA18 MA01 MA02 MA04
MA72 NA14 ZA16 ZC02 ZC51 ZC75
30
Fly UP