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報 告
第8回地質工学の野外計測に関する国際シンポジウム(8th International
Symposium on Field Measurements in GeoMechanics)に参加して
宍戸 政仁* 伊東 佳彦** 岡﨑 健治***
1.はじめに
に示すとおりです。
表-1 FMGM の開催履歴
2011年9月12日
(月)から9月16日(金)にかけて、第
8回地質工学の野外計測に関する国際シンポジウム
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(8th International Symposium on Field Measure-
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1983 ᐕ
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ments in GeoMechanics:略称 FMGM)が、ドイツ連
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1987 ᐕ
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1991 ᐕ
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1995 ᐕ
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1999 ᐕ
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2003 ᐕ
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2007 ᐕ
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2011 ᐕ
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邦共和国の首都・ベルリン市のフンボルト大学を会場
に開催されました
(写真-1)。防災地質チームから伊
東、岡﨑、宍戸が参加しましたので報告します。
表-2 シンポジウムのプログラム
写真-1 会場となったフンボルト大学
2.シンポジウムの概要
FMGM は、地質・地盤等の野外計測に関するシン
ポジウムで、世界各地の大学機関からなる FMGM 委
員会が主催しています。1983年にスイスのチューリッ
ヒで開催されて以降4年に1度、世界各地で開催され
ており、1987年には、日本の神戸市でも開催されまし
た
(表-1)
。次回、第9回 FMGM は、2015年にオー
ストラリアのシドニーで開催される予定です。
今回のベルリン市で開催された会議には、世界21か
国から3件のワークショップ、9編の基調講演、18編
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の若手技術者フォーラム、73編の口頭発表、15編のポ
スター発表がありました。プログラムの概要は、表-2
54
寒地土木研究所月報 №703 2011年12月
3.シンポジウムの内容
日本から他には、過去に当チームとの共同研究を
行っていたことのある(株)フジタ技術センターの村山
シンポジウムに先立って、1日目には若手技術者に
主席研究員が、「Development and application of the
よるフォーラムが開催されました。これは、35歳以下
shallow seismic reflection survey ahead of tunnel
の研究者が、日頃の研究成果を発表しあうもので、3
face using tunnel excavation blasting as the seismic
位までの発表者には賞状と賞金が授与されます。
source」と題して、トンネル発破を起震源としたトン
日 本 人 の 研 究 者 で は 大 成 建 設 の 坂 井 さ ん が「A
ネル前方探査手法の開発と適用について発表を行いま
study on the behaviors of concrete lining and rock
した。また、山口大学の学生である竹村さんが「The
mass during shaft sinking by means of the short
forward ground prediction chart by using the axial
step method」と題して発表し、見事3位に入賞され
displacement of the three dimensional convergence
ました。
measurements」と題して、三次元コンバージェンス
2日目のオープニングセッションでは、本会議の議
計測の軸方向変位量を用いた前方予測図について発表
長であるブラウンシュヴァイク工科大学の Jorg Getter
を行いました。
mann 博士による開会挨拶
(写真-2)で幕を開け、基
調講演では、Thomas Kruger 氏から「Architecture
and Urban Development of Berlin」と題して、戦中
戦後の荒廃した状況から、東西ドイツ統一後の都市開
発計画についての話題など、3編の講演がありました。
写真-3 宍戸研究員の発表の様子
3.2 ポスター発表
会議2日目には、口頭発表の他にポスタースラムが
行われました。ポスター発表者が短時間の口頭発表を
写真-2 Jorg Gettermann 議長による開会挨拶
行うもので、当チームから伊東上席研究員と岡﨑研究
員が発表を行いました。
3.1 口頭発表
伊 東 上 席 研 究 員 か ら は「Study on systematic
会 議 2 日 目 に は、 宍 戸 研 究 員 が「A micro Geo-
inspection method for slope using digital
Electric Signals measurement for the rock slope
photogrammetry.(デジタルカメラを用いた簡便な斜
observation(斜面監視を目的とした微小電位観測)」
面管理手法に関する研究)」と題して発表を行いまし
と題して口頭発表を行いました(写真-3)。本論文は、
た(写真-4)。本発表は、目標とする岩盤斜面を対象
岩盤の破壊に先だって発生する微小電位を観測するこ
として、同じ場所からデジタルカメラで撮影された時
とで、岩盤崩壊の予知・予測を目指している研究をと
期の異なる写真を重ね合わせ、その色合いの変化から
りまとめたもので、実際の不安定斜面において観測を
崩壊箇所の抽出を行う背景差分法と、写真計測技術を
行った結果と、そのデータ解析手法について紹介しま
岩盤斜面に応用し、3次元モデルを作成することで崩
した。発表中、機械の不具合によりスライドが進まな
壊土量を算出した試みを紹介したものです。
いといったアクシデントもありましたが、2名の聴講
岡﨑研究員からは「Case study of detecting hard
者からの質問もあり、有意義な情報発信を行うことが
rock among soft one in serpentinite area by
出来ました。
measuring magnetic susceptibility of pilot boring
寒地土木研究所月報 №703 2011年12月 55
cores in tunnel excavation.(蛇紋岩地山のトンネル
掘削における先進ボーリングコアの帯磁率計測による
硬質岩の検出事例)」と題して発表を行いました(写真
-5)
。本発表は、トンネル掘削の際に支障となる軟
質岩中に突如として出現する硬質岩を、トンネル掘削
の際に実施される先進ボーリングのコアの帯磁率を計
測し、その変化により検出する方法を検討した事例を
紹介したものです。
4.おわりに
今回、FMGM に参加して感じたことは、斜面等の
変状観測の分野では、非接触系の観測手法である三次
写真-4 伊東上席研究員の発表の様子
元レーザースキャニング
(地上および航空)および
SAR(合成開口レーダー:地上および衛星)について
の話題が多かったということです。これらは、広域な
地形モデルを取得するために用いられますが、その
データ取得精度および解析手法の向上や用途の多様化
が見られました。また、ウェブを用いたオンライン観
測や地盤情報のデータベース化などの話題も多く、イ
ンターネットを利用した情報伝達・管理・運用の発達
と重要性を感じました。
最後に、本会議に参加の機会を与えて頂いたことに
ついて、研究所内外の関係各位の皆様に対し、心から
感謝申し上げます。
写真-5 岡﨑研究員の発表の様子
宍戸 政仁*
伊東 佳彦**
Yoshihiko ITO
Kenji OKAZAKI
寒地土木研究所
寒地基礎技術研究グループ
防災地質チーム
研究員
寒地土木研究所
寒地基礎技術研究グループ
防災地質チーム
上席研究員
博士(工学)
技術士(応用理学)
寒地土木研究所
寒地基礎技術研究グループ
防災地質チーム
研究員
技術士
(応用理学)
Masahito SHISHIDO
56
岡﨑 健治***
寒地土木研究所月報 №703 2011年12月
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