Comments
Description
Transcript
(H20/2/5 発行)
− 奥 州 市デ ン タ ル ニ ュー ス 第 7 号 1 − 平成20年2月5日(火) 編集・発行 奥州市歯科医師会 総務広報委員会 各委員会の活動報告 ○理事会 1 9年 12 月 22 日( 土) 第4 回 於 :東 H ・ フッ 素 洗口 の勉 強会 につ い て 協 議事 項 ・ 江刺 健 康大 学の 後援 及び 講 演に つい て ・ 胆江 圏地 域 医療 連携 会議 委員 の推 薦 につ いて ・ 予算 の 補正 につ いて ・ 鈴木 教授 講 演会 につ いて ・ 今後 の 日程 、他 ○総務広報委員会 1 9年 11 月 6日 (火 )第 6回 於 : 東ホ テル ・ 「メ ー ル& FA Xニ ュー ス 」の 発行 状況 協 議事 項 ・ 「い わ 歯」 の笑 顔ば んざ い につ いて ・ 「奥 州市 デ ンタ ルニ ュー ス」 の進 行 状況 ・ 第2 回 パソ コン 講習 会の 内 容に つい て ・ 「奥 州市 ホ ーム ペー ジ」 につ いて ・ レン タ ルサ ーバ ーに つい て 、他 各種イベントの報告 ○ 平 成 19 年 度 第 2 回 学 術 講 演 会 「歯科臨床に必要な痛みに知識―歯痛の診断を見直しましょう―」 講師 和嶋浩一先生(慶應義塾大学医学部歯 科口腔外科教室専任講師 神奈川歯科大学 6. 非 歯原 性歯 痛( 筋・ 筋 膜疼 痛に よる 歯 痛 の診 査 ・診 断) 2000 年 に 米国 で「 痛 みの 研究 の 10 年 」 が 宣 客員教授) 日時 平成19年10月27日(土)午後3時∼6時 言 され 、 研究 が活 発に 行な わ れる こと によ っ て、 場所 水沢グランドホテル 痛 みに 関 する 著し い進 歩が 見 られ るよ うに な っ て いま す 。そ れに とも ない 、 歯科 では Orofacia l Pain(口 腔 顔面 痛)と いう 言葉 が少 しず つし ら 【 抄録 】( 内 容) 1. 痛み の 基礎 知識 と最 近の 進歩 痛み の理 な 痛み が 臨床 の場 で理 解で き るよ うに なっ て 来 解か ら判 っ た臨 床の 疑問 2. 歯原 性 歯痛 の診 断と 実態 Pul,、 Per で も痛 みの 診 断は 難し い 3. 痛み を 正し く理 解す るた めの 診 査法 痛 みの 構造 化 問診 の重 要性 4. 非歯 原 性歯 痛の 紹介 歯 以外 の どの よう な原 因で 歯 が痛 く感 じら れる か 5. 非歯 原 性歯 痛( ニュ ーロ パシ ー 性疼 痛の 診査 ・診 断 ) れ るよ う にな り、 従来 は見 過 ごさ れて いた 様 々 ま した 。 − 奥 州 市デ ン タ ル ニ ュー ス 第 7 号 2 − 歯髄 炎の 患 者が なぜ 上下 顎を 間違 え て患 歯を り ませ ん ので 、原 因歯 が特 定 でき て、 診断 が 確 訴 える のか 、 歯髄 炎の 際に なぜ 痛み が 歯以 外の 実 だと 考 えら れた ら、 それ 以 上続 ける 必要 は あ 部 位に 感じ ら れる のか 、ま た、 なぜ 痛 みの 感受 り ませ ん 。し かし 、原 因歯 が 特定 でき なか っ た 性 や反 応性 が 強く なっ たり 、痛 みを 感 じる 領域 場 合に は 、こ の問 診に 戻っ て 、痛 みの 情報 を 集 が 拡が った り する のか など 、臨 床家 に とっ て非 め てみ ま しょ う。 常 に興 味の あ る痛 みに 関す る疑 問に 答 えて くれ る 歯科 の新 し い分 野が Orofacial Pain で す 。 歯科 領 域に おけ る最 も大 き な痛 みの 話題 は 、 非 歯原 性 歯痛 とい う従 来の 歯 科的 理解 の範 囲 を 歯科 にお い て歯 痛の 診断 は基 本中 の 基本 で、 超 えた 歯 痛の 存在 です 。如 何 なる 治療 によ っ て 歯 科医 であ れ ば正 しく 診断 でき るの が 当た り前 も 改善 で きず 苦労 した 歯痛 例 を記 憶に 留め て い と 思わ れて い ます が、 しか し、 本当 に 歯痛 が正 る 先生 方 も多 いよ うに 、歯 に 原因 のな い非 歯 原 し く診 断さ れ 、正 しく 処置 され てい る かと いう 性 歯痛 と 呼ば れる 歯痛 が存 在 しま す。 知ら ず に と 予想 外に 正 しく 診断 され てい ない こ とが わか 遭 遇し て いる 可能 性の 高い 、 非歯 原性 歯痛 の 診 っ てき まし た 。1 本 の 歯の 痛 みな んて 、と 思わ 査 ・診 断 と治 療を 解説 しま す 。顎 関節 症の な か れ るか もし れ ませ んが 、正 しく 診断 さ れな かっ で 最も 頻 度の 高い 、筋 ・筋 膜 疼痛 性歯 痛の 本 体 た 患者 さん に して みれ ば、 歯医 者な の に歯 の痛 は 顎関 節 症と 全く 同じ です 。 そこ で OFP の 立 み の診 断さ え も出 来な いの かと いう 怒 りに なり 場 から 顎 関節 症診 査・ 診断 、 治療 を系 統立 て て ま す。 解 説し 、 筋痛 がな ぜ歯 痛に 感 じら れて しま う の 従来 から 、 下顎 の大 臼歯 が Pul に なっ てい る か 、筋 の 触診 実習 で実 感し て もら いま す。 次 に、 の に、 患者 は 上顎 に痛 みを 訴え ると い う例 は臨 非 歯原 性 歯痛 のな かで 最近 の 痛み の痛 みの 研 究 床 の場 では 珍 しい こと では ない よう に 、必 ずし の 成果 が 最も 活か され るニ ュ ーロ パシ ー性 歯 痛 も 原因 の部 分 に痛 みを 感じ るわ けで は ない こと の 発症 の メカ ニズ ム、 診査 診 断お よび 治療 法 に を 皆さ んは ご 存じ のは ずで す。 そし て 、患 者さ つ いて 解 説し ます 。ニ ュー ロ パシ ー性 疼痛 は 従 ん が痛 みに 原 因で ない 歯を 指し て「 こ の歯 が痛 来 の歯 科 的疼 痛知 識で は全 く 理解 不可 能な 概 念 い 、こ の歯 だ 、こ の歯 だ」 と強 く訴 え ても 、打 で すが 、 ニュ ーロ パシ ー性 歯 痛で 苦し んで い る 診 等の 自発 痛 を生 ずる 歯な ら併 せ持 っ てい るは 患 者さ ん が多 数い ます 。 ず の症 状が な いこ とか ら、 改め て原 因 歯を 探し 、 全く 原 因の ない 歯を 抜髄 し たり 抜歯 した り す 処 置し てい る ので す。 とこ ろが 、歯 が 原因 の痛 る こと を 避け るた めに も、 非 歯原 性歯 痛は す べ み が歯 では な く顔 面に 感じ られ たり 、 歯以 外の て の治 療 は出 来な くて も、 正 しく 診断 出来 る よ 原 因の 痛み が 歯に 感じ られ たら 、ど の 様に 診断 う に知 識 を得 まし ょう 。 す るの でし ょ うか 。実 はこ のよ うな 例 はそ れほ ど 珍し いわ け では なく 、見 逃さ れて い たか 、不 【 講演 要 旨】 定 愁訴 とい う 風変 わり な診 断名 がつ け られ てい 1 .象 牙 質知 覚過 敏は 歯ブ ラ シの 問題 ?― 知 覚 た よう です 。 過 敏に 対 する 疑問 もう 一度 、 歯痛 の診 断を 見直 して み まし ょう 。 ・ 象牙 質 の動 水力 学説 で説 明 でき るの は、 冷 た 従 来、 歯科 領 域で は原 因歯 を直 視し て 確か める さ が歯 髄 に伝 わり 、冷 たさ を 感じ るこ とだ け で こ とが でき る ため 、患 者の 「歯 が痛 い 」と いう あ る。 ‘ ズッ キー ン’ とし み る感 じは なぜ 起 き 訴 えと 、そ の 指し 示す 歯を みる と原 因 らし きも る のか ? の があ り、 す ぐ治 療が 始ま ると いう こ とで 解決 ・ 削れ て いな くて もし みる の はな ぜ? さ れて きま し た。 とこ ろが この よう な 診査 では ・ 何歯 か まと まっ て生 じる の はな ぜ? 的 確に 診断 さ れて いな い痛 みが 多い 事 が判 って ・ 何も し なく ても 、そ のう ち 直る のは なぜ ? き まし た。 痛 みは 自覚 的症 状で ある た め、 患者 象 牙質 知 覚過 敏症 の病 態は 、 象牙 細管 の露 出 で に 問診 する こ とに よっ て情 報を 引き 出 さな けれ は なく 、 歯髄 神経 の過 敏化 で ある 。 ば なり ませ ん 。歯 の痛 みの よう に、 痛 みと 原因 □ 歯髄 の 過敏 化は なぜ 起こ る か? 部 位の 状況 が 一致 する のは 痛み 全般 か ら見 ると 従来 は 、エ ナメ ル質 が削 れ て象 牙細 管が 露 出 例 外で す。 そ こで 、疼 痛の 正確 な診 断 のた めに し 、そ こ に外 部か らの 刺激 が 頻繁 に加 わる こ と 構 造的 疼痛 問 診を 行な うこ とを 提唱 し てい ます 。 に よっ て 歯髄 が過 敏化 する と 説明 され てい た 。 簡 単に 診断 で きる 歯痛 に時 間を かけ る 必要 はあ し かし 現 在で は歯 髄の 虚血 再 灌流 障害 が歯 髄 の − 奥 州 市デ ン タ ル ニ ュー ス 第 7 号 過 敏化 の原 因 と考 えら れて いる 。 3 − 生 体に 傷 害を 加え るの であ る から 、特 に、 「 警 虚血 再灌 流 障害 とは 、虚 血状 態に あ る臓 器, 告 」の 必 要は ない 。逆 に、 手 術後 の痛 みは 出 来 組 織に 血液 再 灌流 が起 きた 際に ,そ の 臓器 ・組 る 限り 無 い方 が好 まし い。 こ の新 しい 理論 に 基 織 内の 微小 循 環に おい て種 々の 毒性 物 質の 産生 づ いた 術 後鎮 痛法 、す なわ ち 「痛 みの 記憶 を 阻 が 惹起 され 引 きお こさ れる 障害 をい う 。( 脳梗 止 する 」 こと が行 なわ れる よ うに なっ てき た 。 塞 、心 筋梗 塞 、移 植後 の臓 器な どに み られ る) こ れが 先 制鎮 痛で ある 。し た がっ て、 消炎 鎮 痛 歯軋 り、 噛 みし めな どに より 根尖 部 歯根 膜が 薬 は痛 く なる 前に (遅 くと も 麻酔 が切 れる 前 )、 圧 迫さ れ血 流 障害 を生 じ、 血液 再灌 流 が起 きた 抗 生剤 は 感染 予防 のた めに 術 前に 投薬 する と 効 と きに 炎症 物 質が 発生 し、 過敏 化す る とい う考 果 的で あ る。 特に 消炎 鎮痛 薬 の術 直後 の投 薬 に え が、 現在 の 世界 の流 れと なっ てい る 。 よ り結 果 的に 使用 する 鎮痛 薬 の総 量を 減ら す こ □ 歯根 膜も 過 敏化 する 。 と がで き る。 □ 侵害 受容 器 の過 敏化 と知 覚過 敏症 の 治療 法 □ NSAIDs に つ い て 歯髄 の過 敏 化と は、 歯髄 内の 侵害 受 容器 の過 NSAIDs は 、 組織 の損 傷で 生 み出 され る内 因 敏 化と いう こ とが でき る。 侵害 受容 器 とは 神経 性 発痛 物 質の 一つ 、プ ロス タ グラ ンジ ンの 生 成 の 自由 終末 で 、組 織を 害す る刺 激に 対 して 特異 を 止め る 作用 によ って 痛み を 止め る。 外傷 に よ 的 に反 応す る 感覚 受容 器で ある 。侵 害 受容 器は る 組織 損 傷や 炎症 が生 じる と 細胞 膜の 破壊 に よ 組 織障 害後 や 炎症 時に は熱 刺激 や機 械 的刺 激に り 、細 胞 膜の リン 脂質 にエ ス テル 結合 して い る 対 して 痛覚 過 敏を 生じ る。 ア ラキ ド ン酸 が、 ホス ホリ パ ーゼ A2 に より 細 し たが って 歯 髄の 過敏 化が 生じ た時 に は、 次の 胞 質内 に 遊離 され る。 この ア ラキ ドン 酸に 始 ま 治 療法 が考 え られ る。 る 一連 の 代謝 経路 をア ラキ ド ン酸 カス ケー ド と ⅰ .従 来通 り 、露 出し た象 牙細 管を 塞 ぐ。 よ ぶ。 遊 離ア ラキ ドン 酸は シ クロ オキ シナ ー ゼ ⅱ .ス プリ ン ト療 法― 予防 療法 ( COX) によ り 代謝 され 、プ ロ スタ グラ ンジ 根 尖部 へ の過 剰な 負荷 を防 止し 虚 血再 灌流 障 害を 起こ さ せな いた めス プリ ント を 装着 する 。 ⅲ .NSAID s ( 非ス テロ イド 性抗 炎症 薬 )の 服用 ン にな る 。ま た、 LT( ロ イコ トリ エ ン) 合成 系 で、 LT が 合 成さ れる 。 NSAIDs は ア ラキ ドン 酸カ ス ケー ドに おい て COX の 活動 を 阻害 し、 結果 的に プロ ス タグ ラ 歯髄 内の 炎 症を 鎮静 させ るた めに 服 用。 ン ジン の 生成 を止 めて しま う 。強 いポ リモ ー ダ 炎症 歯髄 で は PGE2 の 濃度 が 高ま るが 、NSA ル 受容 器 刺激 作用 を示 すブ ラ ジキ ニン であ る が、 ID s は血 漿蛋 白 と結 合し 、炎 症歯 髄に 高 濃度 プ ロス タ グラ ンジ ンの 生成 が 抑制 され ると 、 そ 累 積し アラ キ ドン 酸カ スケ ード に作 用 し発 痛増 の 作用 が かな り弱 まり 、痛 み が生 じな くな っ て 強 物質 であ る PGE2 の 合 成を 阻 害す る。 し まう 。 NSAIDs は こ のよ うな 作用 機 序に よっ て炎 症 2 .抜 歯後 の 痛み 止め は痛 くな って か ら? に よっ て 生じ た痛 みを 止め る ので ある が、 し ば □ 先制 鎮痛 ( Pre-emptive analgesia) し ば胃 腸 障害 の副 作用 を伴 う 。NSAIDs に よ る 怪我 、手 術 、病 気な どで 痛み が起 こ ると 、痛 み が脊 髄や 脳 に記 憶さ れる 。こ の現 象 を中 枢性 感 作と いう 。 この 記憶 が常 に大 脳を 刺 激す るの 炎 症の 阻 害と 副作 用の 胃腸 障 害は 、表 裏一 体 の 関 係に あ る。 COX に は 2 種 類あ るこ とが 知 られ てお り、 C で 、痛 み刺 激 がな くと も脳 はい つも 痛 いと 感じ OX-1 は 構成 的に 生 体に 存在 し、 細胞 が 取り 交 続 ける 。だ か ら、 怪我 をし た所 は( い つも ぶつ わ す日 常 的な 信号 伝達 にか か わり 、さ らに 消 化 け 続け たり 、 刃物 で切 り続 けて いる の では ない 管 の粘 膜 を保 護す るプ ロス タ グラ ンジ ンの 生 成 の に) いつ も 痛い 。こ れが 自発 痛と し て感 じる に 関与 し てい る。 一方 、COX-2 は 特 定の 組 織 の であ る。 こ の記 憶が 脊髄 にお いて は 痛覚 過敏 を 除い て 通常 は存 在せ ず、 炎 症に より 誘導 さ れ を 起こ すた め に、 怪我 をし た所 に少 し 触れ るだ て 発生 す る。 け でも 、風 が 吹い ただ けで も痛 い。 こ の現 象は 、 一般 的 によ く用 いら れる NSAIDs は COX-1 傷 害部 位に 更 なる 傷害 が加 わら ない よ うに 生体 と COX-2 の 両 方を 阻害 し てし まう 。こ れ によ に 警告 を発 し 、そ の部 位を 保護 する こ とを 求め り 構成 的 に生 体に 存在 し、 生 理的 活動 をし て い て いる ので あ る。 手術 など では 、必 要 があ って る COX-1 ま で 阻害 され 、 胃腸 障害 が生 じ る。 − 奥 州 市デ ン タ ル ニ ュー ス 第 7 号 4 − そこ で COX-2 だ けを 選択 的に 抑 制す れば 、 の 高ま り と反 応性 の亢 進が 周 囲ま で拡 がり 、 敏 消 化管 障害 を 減ら すこ とが でき るの で はな いか 感 な部 分 の範 囲が 拡が って い くこ とに なる 。 い と 考え られ 、 開発 され たの が COX-2 阻 害薬 っ たん こ のよ うな 状態 が生 じ ると 症状 は長 期 化 ( ハイ ペン な ど) であ るが 、心 血管 の うっ 血が し てし ま い、 簡単 には 鎮静 化 しな くな る。 こ れ 生 ずる など の 重大 な副 作用 が現 れた 。 を 可塑 的 変化 (plastic change) と いう 。 その 後の 研 究で 、COX-2 は 炎 症に のみ 関与 □ 局所 麻 酔と 全身 麻酔 局所 麻 酔薬 は、 神経 細胞 膜 の Na ⁺ チ ャネ ル し てい るの で はな く、 血管 の損 傷に よ って 血管 内 皮で 誘導 さ れ、 血管 保護 作用 をも つ プロ スタ を 閉じ る こと によ り( Na ⁺ チ ャネ ルブ ロ ッ サ イク リン を 生成 して いる こと がわ か り、 CO ク )、 侵 害受 容器 での 活動 電 位の 発生 を抑 え る。 X-2 阻 害薬 の 長期 の使 用は 、プ ラ セボ と比 較し ま た、 神 経線 維で は活 動電 位 が伝 わっ てき て も、 て 、心 臓発 作 や卒 中発 作等 の心 血管 有 害事 象の 麻 酔が 効 いた 部分 では 活動 電 位が 発生 しな い こ リ スク 増大 に 関連 する こと が臨 床試 験 で示 され と から 電 気信 号が 止ま り、 中 枢側 へ伝 わら な く た。 な るた め に、 痛み が感 じら れ なく なる 。そ れ に 対 して 全 身麻 酔で は中 枢神 経 に薬 物を 作用 さ せ 3 .痛 みに よ り神 経が 過敏 化す る。 る 方法 で ある が、 局所 から の 痛み 刺激 は中 枢 に □ 痛み は脳 で 感じ られ る。 伝 達さ れ る。 した がっ て、 局 所麻 酔を 併用 し な 痛み の電 気 信号 は神 経を 伝わ り、 脊 髄に 入り い で全 身 麻酔 のみ で手 術を 行 なっ た場 合、 神 経 ( 三叉 神経 は 脊髄 に入 らず 延髄 に入 る )、 さら の 可塑 的 変化 が生 ずる 可能 性 があ る。 (幻 肢 、 に 上に 進ん で 脳に 達し 、痛 みと して 認 識さ れる 。 幻 肢痛 な どの 症状 ) 侵 害受 容器 か ら大 脳皮 質ま で一 次知 覚 線維 (神 □ 痛み 神 経を 過敏 化さ せな い ため には 経 末端 の受 容 器か ら脊 髄後 角ま で) 、 二次 知覚 痛み 神 経系 を過 敏化 させ な いよ うに する た め 線 維( 脊髄 か ら視 床ま で) 、三 次知 覚 線維 (視 に は、 痛 み信 号を 発生 させ な いよ うに する こ と、 床 から 大脳 皮 質体 性感 覚野 まで )の 3 本 の神 発 生し て もで きる だけ 局所 に 留め るこ とが 必 要 経 線維 を経 由 して 伝達 され るわ けで あ るが 、そ で ある 。 その ため には 局所 麻 酔薬 を確 実に 奏 功 れ ぞれ の知 覚 線維 はシ ナッ プス で連 絡 され てい さ せる こ と、 NSAIDs で 局所 の 炎症 反応 を極 力 る 。痛 みの 電 気信 号は シナ ップ スを 越 える ため 抑 え込 む こと が肝 心で ある 。 に 何種 類か の 神経 伝達 物質 を出 す。 こ の神 経伝 痛み を 感じ させ ない ため に は、 痛く なる 前 、 達 物質 はシ ナ ップ スの 間隙 を泳 いで 次 の神 経線 つ まり 局 所麻 酔が 切れ る前 に NSAIDs の 血 中 維 に行 きつ き 、そ れぞ れの 伝達 物質 の 受容 体に 濃 度が 鎮 痛レ ベル に達 する よ うに 服用 すべ き で く っつ く。 受 容体 に伝 達物 質が はま り 込む こと る。 に よっ て、 再 度、 電気 信号 が発 生し 、 神経 線維 を 伝導 して い く。 シナ ップ スで は伝 わ って 来た 4 .Orofacial Pain 外 来 に おけ る難 診断 例の 統 電 気信 号が 、 単純 にそ のま まの 強さ で 次の 神経 計 線 維に 伝え ら れる ので はな く、 変調 さ れる こと 2003 年 か ら 2005 年 の 3 年 間 で 、疼 痛部 位に が ある 。ま た 中枢 側か ら興 奮性 の神 経 や抑 制性 明 らか な 原因 を特 定で きず 、 しか も 3 ヶ 月 以 の 神経 が介 在 して 、信 号強 度を 強め た り、 弱め 上 の治 療 によ って 症状 が改 善 しな かっ た 180 た り変 化さ せ るこ とが ある 。 症 例( 男 性 37 例 、 女性 143 例 ) の主 訴 □ 神経 の可 塑 的変 化( plastic change) ・ 歯の 痛 みの 病態 (28 % ) 本来 、痛 み とは 、生 体を 守る ため に 生体 を壊 す よう な刺 激 が加 わっ たこ とを 知ら せ る警 告信 筋 ・ 筋膜 疼痛 (咬 筋、 側 頭筋 が痛 んで い る のに 歯 の痛 みを 訴え たケ ー ス) …… … 42% 号 であ るが 、 痛み 刺激 が頻 繁に 続く と セン サー ニ ュ ーロ パシ ー性 疼痛 … …… …… … 21 % の 役割 をし て いる 侵害 受容 器、 シナ ッ プス 、三 舌 咽 神経 痛、 三叉 神経 痛 、心 因性 疼痛 な ど 叉 神経 脊髄 路 核尾 側亜 核の 感受 性が 亢 進し 、通 常 では 反応 し ない 程度 の刺 激で も痛 み を感 じる …… …… … 37 % ・ 歯肉 の 痛み の病 態( 15 % ) よ うに なる 。 また 、反 応性 が強 くな り 、痛 み刺 筋 ・ 筋膜 疼痛 (咬 筋、 側 頭筋 が痛 んで い る 激 を加 えた 場 合、 通常 より も強 い痛 み を感 じる のに 歯 肉の 痛み を訴 えた ケ ース )… …… 5 % よ うに なる 。 さら に、 軸索 反射 の結 果 、感 受性 ニ ュ ーロ パシ ー性 疼痛 … …… …… … 37 % − 奥 州 市デ ン タ ル ニ ュー ス 第 7 号 5 − ・ 顔面 の痛 み (25 % ) ・ニ ュ ーロ パシ ー性 疼痛 ・ 顎関 節の 痛 み( 16 % ) ・心 因 性疼 痛 痛み の強 さ を評 価( VAS,NRS,VRS,FRS な ど を 用い て) し たと ころ 女性 の方 が痛 み に対 して 敏 感で ある こ と、 男性 は痛 みの 表現 が 大げ さで □ 異所 性 疼痛 …痛 みの 原因 と 痛み を感 じる 部 分 が 違う 。 歯が 原 因で ある が顔 面、 頭 部に 痛み を感 じ る。 あ るこ とが わ かっ た。 また 、歯 肉の 痛 みに おい ま たは 、 歯で はな いと ころ に 原因 があ るの に 歯 て は筋 ・筋 膜 疼痛 より もニ ュー ロパ シ ー性 疼痛 に 痛み を 感じ る。 (心 筋梗 塞 、狭 心症 の発 作 時 が 多い 。ま た 、180 症 例 の 8 割 が Orofacial Pai の 左側 下 顎臼 歯の 痛み など ) 歯原 性疼 痛( Pul, n 外来 を 受診 する 前 に他 の医 療機 関( 一 般医 科 Per,P,Perico,Hys) の病 態 はす べて 炎症 であ り 、 を 含む )を 受 診し てお り、 非可 逆的 治 療( 抜髄 、 最 終的 に は診 断も 歯に 収束 す るの であ るが 、 異 抜 歯、 咬合 調 整な ど) を受 けた にも か かわ らず 所 性疼 痛 とな ると 原因 歯の 特 定が 難し くな り 、 痛 みが なく な らな い症 例が 60 % であ っ た。 こ 痛 みを 長 引か せる こと にな る こと があ る。 こ こ の こと から 、 旧来 の疼 痛診 断で 痛み の 原因 が見 で 従来 の 疼痛 診断 の方 法を 見 直す 必要 がで て く え てこ ない 場 合が 少な くな いう え、 正 しい 診断 る。 が ない まま に 不適 切な 治療 を繰 り返 す ケー スが □ 関連 痛 多 いこ とが わ かっ てき た。 慢性 の難 治 性歯 痛、 三叉 神 経の 3つ の枝 は三 叉 神経 脊髄 路核 に 収 歯 肉痛 の原 因 は、 非歯 原性 (筋 。筋 膜 疼痛 、ニ 束 し二 次 ニュ ーロ ンへ 連絡 す る。 三叉 神経 脊 髄 ュ ーロ パシ ー 性疼 痛、 心因 性疼 痛な ど )で ある 路 核が 過 敏化 を起 こす と、 例 えば 第 3 枝 の 領 こ とが 多い と 考え られ る。 この よう な 症例 の多 域 で生 じ た痛 みが あた かも 第 2 枝 の 領域 で 生 く は、 難知 性 の疼 痛と か不 定愁 訴な ど と言 われ 、 じ てい る よう に感 じら れる こ とが ある 。こ れ が あ たか も患 者 さん 本人 の問 題と され る こと があ 関 連痛 で ある 。ま た片 頭痛 は 硬膜 の血 管が 拡 張 る が、 実は 痛 みの 診断 が正 確に 行な わ れて いな す るた め の痛 みで ある が、 三 叉神 経第 1 枝眼 い がゆ えに 起 こっ てい るこ とで ある 。 神 経硬 膜 枝が 硬膜 に分 布し て いる ため 、片 頭 痛 の とき に 歯に 痛み を感 じる こ とが ある 。 5 .診 断困 難 な痛 みと はど のよ うな も のか ? ① 知っ てい る 病気 にも 関わ らず 診断 で きな い 異所 性疼 痛 (関 連痛 など ) これ らは 元 の病 気は 知っ てい るは ず だが 適切 6 .疼 痛 診断 の手 順 歯痛 は 患者 さん が指 し示 す 患歯 を診 て、 X 線 、 打 診な ど の基 本診 査で 診断 が つい てし まう の が に 診断 でき な いこ とが ある 。 多 いが 、 こう いっ た基 本診 査 で診 断が みえ て こ ② 知ら ない 病 気な どで 診断 でき ない な い疼 痛 例が 少な から ずあ る 。こ のよ うな 症 例 非歯 原性 疼 痛 に 対す る 診断 手順 とし て疼 痛 構造 化問 診を 行 な ・筋 ・筋 膜 疼痛 う。 疼痛構造化問診票 1 今までたどった経過は、痛み始めてからどれくらい: 2 痛みの場所は:右、左、全体、歯:上/下 頸 3 ヶ月 週間 頭:側頭部、後頭部、全体 日 顔 肩 どのような種類の痛みか:拍動性(ドックンドックン、心臓の鼓動と一緒)、 ジワー、ズキズキ、ジンー、ズキーン、火傷感、締め付けられる、重い感じ、 他 4 痛みの強さはどのくらい(気になる程度、仕事をするのに支障がある、仕事が できない) 10段 階 の い く つ ( 食 べ て い る 間 は 気 に な ら な い 、 痛 い が 食 べ ら れ る、痛くて食べられない) 5 痛 み の 持 続 時 間 ( 1回 の 痛 み は ど の く ら い 続 く か ) 秒 分 6 ど れ く ら い し ば し ば 、 1日 何 回 ? 7 痛みを生じさせたり、悪化させることは:食事 運動 8 これをすると痛みが軽くなる:冷やす、温める 安静、寝る 緊張 時間 入浴 就寝 日 − 奥 州 市デ ン タ ル ニ ュー ス 第 7 号 6 − 9 痛みの変動の時間的特徴:起床時、日中、夕方に強くなる、就寝中 10 関連症状、痛みがどこかに広がる:歯、頭、顔、他 11 随伴症状、痛みと一緒に起こる症状:頭痛、肩こり、他 12 痛むときに決まってする行動は:じっとしていられない、横になる、さする、 押す、他 鑑別診断: 確定診断のための追加診査 *日 本 人 は 痛 み の 表 現 が 非 常 に 下 手 で 、 痛 み を あ ま り ア ピ ー ル し な い 。 こ れ は 国 民 性 に よ る も の で 、 例 え ば 、 カ ナ ダ 人 に は 150位 の 痛 み の 表 現 が あ り 、 あ ら ゆ る 言 葉 を 使 って痛みを訴える。概して痛みの種類を表現するのは難しい。 *痛 み の 強 さ を 単 に 「 軽 度 、 中 等 度 、 重 度 」 で 表 現 す る の は 具 体 性 に 乏 し い 。 ( 症例 1) 26 歳 女 性 主訴 :原 因 不明 の顔 面、 頭部 の痛 み 。 ( 症例 2 )女 性 主訴 : 三叉 神経 痛の 手術 を する 前に 念の た め 現病 歴: 1 週 間 前食 後に 左 の顔 面に 軽い 鈍痛 歯 をチ ェ ック した い。 (三 叉 神経 痛の 手術 … 三 が 30 分 続い た 。痛 みは だん だん 強く な り前 頭 叉 神経 痛 は脳 幹部 から の出 口 で血 管に 圧迫 さ れ 部 まで 痛く な って きた 。3 日前 に 寝た 後、 頬に る こと に よっ て起 こる ので 、 手術 によ り血 管 を 激 痛が あり 、 鎮痛 剤を 服用 して 寝た 。 2 日 前に 移 動し て 圧迫 を解 除す る。 ) 左 の顔 面、 前 頭部 、側 頭部 、耳 まで 痛 くな り耳 現病 歴 :右 側上 顎第 1 大臼 歯 の痛 みが あ っ 鼻 科を 受診 し たが 、耳 はと くに 異常 な 市と 診断 た ため 近 所の 歯科 医院 を受 診 した とこ ろ「 歯 が さ れた 。前 日 頬に 拍動 性の 激痛 があ り 、某 大学 割 れて い る」 とい うこ とで 某 歯科 大学 病院 の 保 病 院救 急外 来 を受 診、 頭痛 もあ った の で CT 撮 存 科を 紹 介さ れた 。保 存科 で は「 歯が 割れ て い 影 した とこ ろ 、頭 部に は異 常な く、 「 歯が 原因 る ので あ れば クラ ウン を入 れ るか ら補 綴科 で は」 と指 摘 を受 け来 院。 だ 。」 と いわ れ同 病院 の補 綴 科を 受診 した と ろ、 経過 :来 院 時に は左 の上 下の 臼歯 の 歯の 痛み 「 歯は わ れて いな い。 三叉 神 経痛 だ。 」と 同 病 を 訴え る。 し かし 、明 らか な冷 温痛 、 打診 痛の 院 の口 腔 外科 に回 され 、さ ら に、 某脳 神経 外 科 あ る歯 はな か った ため 、何 度も 繰り 返 し慎 重に 病 院を 紹 介さ れ、 三叉 神経 痛 の診 断の もと 手 術 触 診を 行な う と、 左下 顎第 1 大臼 歯 に軽 い打 を 受け る こと とな った 。 診 痛が 認め ら れた 。X 線撮 影 した とこ ろ同 歯 は 経過 : 問診 で「 テグ レト ー ルを 服用 した こ と 修 復治 療を う けて おり 、近 心歯 根膜 腔 の拡 大が が ある が 効果 がな かっ た」 と いう こと で、 再 度 み られ 、髄 角 は近 心が 遠心 に比 べて 低 く、 近心 1 日 500mg 投 薬 をし たが 、症 状は 改 善さ れな に 深い う蝕 が あっ たこ とが 疑わ れた 。 患者 に治 か った 。 した がっ て痛 みの 原 因は 三叉 神経 痛 で 療 歴を 訊ね た とこ ろ、 5 年 前 に治 療を 受け その な いこ と が考 えら れた ため 右 側上 顎第 1 大臼 後 とく に痛 み はな かっ たと いう こと で ある 。無 歯 を診 査 した とこ ろ、 破折 が 認め られ た。 麻 酔下 で充 填 物を 除去 、二 次う 蝕は な かっ た。 診断 と 治療 :右 側上 顎第 1 大 臼歯 歯冠 破 折 無 麻酔 のま ま 天蓋 を除 去し 近心 根に フ ァイ ルを で 最終 的 には 抜髄 した 。 挿 入し たと こ ろ知 覚は なく 、腐 敗臭 が あっ た。 ▲ カル バ マゼ ピン (テ グレ ト ール ®)は 三 叉神 ( 遠心 根根 尖 部に は知 覚あ り) 経 痛の 95%に 効果 があ ると さ れる 、い わば 特 診断 :左 下 顎第 1 大 臼 歯歯 髄 壊死 効 薬で あ る。 ▲ 患歯 を特 定 でき ない 場合 、麻 酔診 を 行な うが 、 ▲ 臼歯 の 破折 で三 叉神 経痛 様 の疼 痛が 生じ る こ 必 ずい たみ が 軽減 して いる か確 認が 必 要で ある 。 と はよ く ある 。 ▲ 歯原 性の 歯 痛は 1 週 間 もす れ ば痛 みは 歯に ( 症例 3 )43 歳 男性 収 束し てく る ので 少し 待て ば診 断は つ くが 、で 主訴 : 右上 顎歯 肉と 頬部 の 激痛 き るだ け早 い 鎮痛 が望 まし い。 現病 歴 :2 年 前 から 頬 部に 断続 的な 激 痛が 続 ▲ 慢性 的な 歯 の痛 みが 二次 ニュ ーロ ン を刺 激す い てい る 。何 ヶ所 もの 医療 機 関を 受診 した が 症 る こと によ っ て異 所性 疼痛 を生 ずる こ とが ある 。 状 は一 向 に改 善さ れず この 1 週 間は 痛み が 強 − 奥 州 市デ ン タ ル ニ ュー ス 第 7 号 7 − く なっ てき た 。2005 年 脳 神経 外 科に おい て三 mg) 症状 は消 失し た 。2005 年 の テ グレ トー ル 叉 神経 痛の 疑 いで テグ レト ール を処 方 (1 日 2 の 投与 量 は少 なか った と考 え られ る。 00mg7 日 間 )さ れた が症 状 は改 善さ れな か っ □ 三叉 神 経痛 の特 徴 た 。MRI 撮 影 した と ころ 三叉 神経 に異 常 は見 ・ 疼痛 は 三叉 神経 の 1 枝 ま たは それ 以上 の 枝 当 たら ない と 診断 され た。 その 後、 某 歯科 大学 の 走行 に 沿っ て生 じる 。 口 腔外 科で 右 上智 歯を 抜歯 した が症 状 は変 わら ・ 秒単 位 の電 撃様 疼痛 。( 瞬 間的 な痛 みで あ り、 な かっ た。 2006 年 某 有名 大学 、 何ヶ 所か の歯 何 分間 も 続く ので あれ ば、 そ れだ けで 三叉 神 経 科 医院 を受 診 し神 経ブ ロッ ク、 咬合 調 整、 投薬 痛 の可 能 性は 低い と考 えて よ い。 ) な どの 処置 を 受け たが 、症 状は 改善 さ れな かっ ・ 疼痛 は トリ ガー ゾー ンへ の 接触 や、 食事 や 会 た。 話 、洗 面 、歯 磨き など の日 常 的な 行為 で誘 発 さ 経過 :問 診 でⅰ .自 分の 舌で 右上 の 歯を 触る れ る。 こ とに よっ て 痛み を誘 発で きる 。( 痛 みの 持続 ・ 発作 と 発作 の合 間に は、 全 く痛 みが ない 。 時 間が 1 分∼ 2 分 位) ⅱ. 食 事を 始め た時 に ・ 初期 に は寛 解期 が存 在す る 。 痛 みを 感じ 約 1 分 間 痛み が持 続 する 。ⅲ .特 ・ テグ レ トー ルが 特効 的に 奏 効す る。 定 の場 所を 触 ると 痛む 。ⅳ .食 事を 中 断せ ざる ( 日本 歯 科医 師会 雑誌 Vol.60 No.9 2007-12 を えな いよ う な穿 刺痛 であ る。 以上 か ら三 叉神 井川 雅 子 経 痛と 診断 し 、テ グレ トー ルを 投薬 ( 1 日 500 と誤 診 しや すい 疾患 につ い て) 口腔 顔面 痛 歯 痛お よび 顎関 節 症 痛み 侵害受容性疼痛 普通の痛み 末梢侵害受容器への ニューロパシー性疼痛 心因性疼痛 知覚神経障害により 痛みに見合う器質的障 生じる痛み 害がなく、心理的・精 刺激により生じる痛み 神的な原因の痛み 歯髄炎・歯周炎 外傷性三叉神経障害 顎関節痛 三叉神経痛 疼痛性障害 7 .炎 症、 外 傷と 無関 係に つづ くニ ュ ーロ パシ こ る疼 痛 に関 する 多様 な現 象 (ス プラ ウト の 発 ー 性疼 痛と は 生 など ) …な どが ある 。 侵害 受容 性 疼痛 のよ うな 組織 損傷 に よる 刺激 で はな く、 末 梢神 経系 また は中 枢神 経 系の 機能 □ イン プ ラン トの 偶発 症と し ての ニュ ーロ パ シ ー 性疼 痛 障 害の 結果 と して 生じ る疼 痛で 、歯 科 でも っと イン プ ラン ト埋 入の 際に 下 歯槽 神経 を損 傷 し も よく 知ら れ てい るニ ュー ロパ シー 性 疼痛 は三 な くて も 、細 かな 神経 は損 傷 する 可能 性は 大 き 叉 神経 痛で あ る。 その 他に なじ みの あ る痛 みと い 。神 経 が損 傷す ると 、末 梢 側で は知 覚が な く し て、 坐骨 神 経痛 や帯 状疱 疹( ヘル ペ ス) の跡 な り、 ま た損 傷部 分で はス プ ラウ トと 呼ば れ る が いつ まで も 痛む 帯状 疱疹 後神 経痛 な どが ある 。 神 経の 芽 が出 てく る。 スプ ラ ウト には 、Na ⁺ ニュ ーロ パ シー 性疼 痛を 引き 起こ す 要因 とし チ ャネ ル が高 濃度 に分 布し て いる ため に刺 激 に ① 神経 繊 維が 圧迫 され るこ とに よ り神 経細 対 して 敏 感に 反応 して 痛み を 生じ る。 この よ う 胞 膜の 性状 が 変化 し神 経全 体が 過敏 化 する 。② に 神経 を 損傷 する こと によ り 知覚 がな くな る こ て 痛 みの 持続 が 神経 系に 可塑 的変 化を 生 じる 。③ と に加 え て痛 みが 生じ る状 態 を Anesthesia Dol 損 傷し た末 梢 神経 の断 端の 再生 過程 に おい て起 orosa と よぶ 。 − 奥 州 市デ ン タ ル ニ ュー ス 第 7 号 イン プラ ン トに よる 神経 損傷 が疑 わ れた ら、 8 − 与 とテ ― パリ ング をし たと こ ろ、 1 週 間 目で は ま ず第 1 にス テ ロイ ドの 初期 大 量投 与を 行な 変 化は な かっ たが 、2 週 間目 に下 唇の 麻 痺は 著 う べき であ る 。 明 に改 善 した 。 現在 アメ リ カで は、 下顎 にイ ンプ ラ ント を埋 入 した 症例 の 5 ∼ 10%に 永久 的 な知 覚障 害が 起 こっ てい る とい われ てい る。 神経 損傷 が 起こ った 場合 、神 経鞘 が 連続 して 8 .非 歯 原性 歯痛 自発 痛 を呈 して いる 歯に 通 常あ るは ずの 特 徴 ( カリ エ ス、 充填 物な ど) が ない とき は非 歯 原 い れば 切断 部 から 発芽 した 神経 細胞 は 1 日 1 性 歯痛 を 疑っ て診 査を すす め る。 m m末 梢へ 伸 展す る。 した がっ て下 顎 智歯 部で ( 診査 手 順) 下 歯槽 神経 が 切断 され たと する とオ ト ガイ 部ま ⅰ .疼 痛 感受 歯の 視診 、打 診 によ る異 常の 有 無、 で は約 10 0 mm な ので 3∼ 4 ヶ月 すれ ば神 経 は再 生さ れ るは ずで ある 。し かし 、 3∼ 4ヶ 月 を過 ぎて も 知覚 が戻 らな い場 合は 回 復は 望め な い。 イン プラ ン トに よる 神経 損傷 に続 く 慢性 疼痛 に 対し ては 三 環系 抗う つ薬 を投 与す る ので ある 上顎 洞 の異 常の 有無 ⅱ .周 囲 歯肉 、粘 膜の 知覚 異 常( → Allodynia など の ニュ ーロ パシ ー性 疼 痛の 症状 の有 無 ) ⅲ .咬 筋 、側 頭筋 、胸 鎖乳 突 筋の 触診 ⅳ .頭 痛 (片 頭痛 、群 発頭 痛 )発 作と の一 致 性 →神 経 血管 性の 関連 痛の 疑 い が 現行 の歯 科 保険 制度 にお いて は認 め られ てい ⅴ .頚 椎 性の 診査 な い薬 剤の た め内 科に 依頼 して いる の が現 状で ⅵ .心 臓 性の 診査 (虚 血性 心 疾患 の際 の関 連 痛 あ る。 とし て の歯 痛) □ あら ゆる 歯 科治 療は ニュ ーロ パシ ー 性疼 痛を ⅶ .心 因 性の 診査 引 き起 こす 可 能性 があ る。 根管 治療 に おけ る偶 □ 筋・ 筋 膜性 歯痛 の治 療 発 症で ある 頑 固な 歯根 膜炎 も実 はニ ュ ーロ パシ ー 性疼 痛で あ ると 考え られ る。 ( 症例 4) 51 歳 男 性 声楽 家 主訴 :下 顎 第2 大臼 歯抜 髄後 、強 い 痛み が続 き 、下 唇が し びれ る。 現病 歴: 某 月某 日午 前局 所麻 酔下 で 下顎 第2 筋・ 筋 膜性 歯痛 の病 態は 顎 関節 症の 病態 と 同 じ であ る 。 咬筋 の 痛み の関 連痛 とし て の歯 痛は 比較 的 多 く みら れ る。 この 場合 咬筋 の 凝っ てい る部 分 を 圧 して や る( 約2 kg で… 5 cc の デ ィス ポの シ リン ジ に5 cc の 空 気を 入れ て 2 cc ま で圧 し 大 臼歯 の根 管 治療 を受 けた とこ ろ、 右 の下 唇に た とき の 力で )と 上下 顎の 第 1大 臼歯 付近 の 痛 し びれ を感 じ た。 しび れは 午後 には な くな った み を感 じ る。 (ト リガ ーゾ ー ンが 存在 する 。 ) が 、翌 日朝 か ら痛 みあ り、 下唇 のし び れが 再発 。 現 在、 歯の 痛 みは 少な くな って きて い るが 、下 治療 の 基本 は当 該筋 の緊 張 の緩 和で ある 。 ( スプ リ ント 、薬 物療 法な ど ) 唇 のし びれ は 残っ てい る。 診断 と経 過 :X 線で 患 歯の 根尖 が下 歯槽 神 経 9 .ま と め に 近接 して い るの が確 認さ れた 。し び れは 麻酔 痛み の 治療 にお いて は、 基 礎的 な痛 みの 知 識 に よる もの で はな く( 治療 後、 一旦 し びれ がな を もっ て 、ど のよ うな メカ ニ ズム で痛 みを 生 じ く なっ てい る から )抜 髄後 根尖 に浮 腫 が生 じた て いる か を考 えな がら 、自 覚 症状 であ る痛 み を た めに 神経 を 圧迫 した か、 根管 貼薬 に より 神経 系 統的 な 診査 方法 によ り正 確 に把 握す る。 そ の が 刺激 され た ため に起 こっ たも のと 考 えら れた 。 う えで 、 痛み のメ カニ ズム を 考慮 した 理論 的 治 治 療は 急性 炎 症を 消退 させ るた めに プ レド ニゾ 療 法を 実 践す るこ とが 重要 で ある 。( 大石 治) ロ ン( ステ ロ イド 、抗 浮腫 作用 )を 初 期大 量投 ○平成19年度地区別社保講習会 去る 19 年 11 月6 日( 火) 午後 7 時よ り、 務 理事 の 鈴木 雅夫 先生 と、 理 事の 伊藤 学先 生 、 プ ラザ イン 水 沢に 於い て、 岩手 県歯 科 医師 会常 常 任委 員 の宮 野敦 志先 生を お 迎え して 、平 成 1 − 奥 州 市デ ン タ ル ニ ュー ス 第 7 号 9 年度 地区 別 社保 講習 会が 開催 され ま した 。 9 − 地 区の 状 況と 比較 して の当 地 区の 状況 分析 を し まず 、鈴 木 先生 より 全体 の講 評と し て、 18 て いた だ きま した 。恒 例と は いえ 、お 三人 に は 年 の点 数改 悪 での マイ ナス 分1 20 0 億円 のう お 忙し い 中わ ざわ ざお いで い ただ き、 あり が と ち 70 0億 円 を歯 科だ けで 受け てい る との こと う ござ い まし た。 (高 橋晃 彦 ) で 、2 0年 の 改定 に向 けて 日歯 ・県 歯 とも に努 力 を惜 しま な いと お話 しい ただ きま し た。 続い て伊 藤 先生 から は、 後期 高齢 者 医療 制度 が 開始 され る こと には 間違 いは なく 、 積極 的に か かり つけ 歯 科医 とし て「 在宅 医療 」 に取 り組 ん でい くこ と が求 めら れる との こと で す。 ぶれ が ある 最近 の 疑義 解釈 につ いて も、 丁 寧に 説明 い ただ きま し た。 また 、宮 野先 生か ら 県内 の他 ○第2回パソコン講習会 日時:19年11月13日(火)午後7時∼ ビルダーというソフトのガイドに従って進め 場所:東ホテル ていくと、比較的簡単に各自のHPが完成で 演題:歯科医院のHPを作ってみようその2 きることを実習していただきました。とはい 講師:佐々木 先生 え、公開までには不安な部分もあろうかと思 内容:本講習会では、2回に分けてホームペ われますので、総務広報委員会として責任を ージの基本的な事項を学び、参加者本人が実 持って引き続きフォローさせていただくこと 際にホームページを作成し公開するところま にしております。 秀 最後 に 、講 師を 快く 引き 受 けて いた だき ま し でを行うことにしておりました。 今回も佐々木秀先生に講師をお願いし、前 回より参加者も増えたなかで、ホームページ た 佐々 木 秀先 生、 どう もあ り がと うご ざい ま し た。 (高 橋晃 彦 ) ○新年会 去る 1月 5 日( 土) 午後 6 時よ り 、江 刺区 最後 に 、新 婚早 々超 遠距 離 別居 とな って い る 中 町の 新茶 屋 にて 新年 会が 開催 され ま した 。 清 水潤 先 生の 三本 締め にて 新 年会 はお 開き と な まず まず の 天気 に恵 まれ 雪の 少な い 正月 とな り 、た くさ ん の先 生方 が出 席さ れて の 新年 会と り まし た 。ま だま だ飲 み足 り ない 先生 方は 、 活 気 のあ る 江刺 区の お店 にく り 出し て行 きま し た。 な りま した 。 初め に、 油井 孝雄 先生 よ り年 頭の 挨 拶と して 今 年の 点数 改正 にわ ずか な がら 希望 が もて ると の お話 があ りま した 。続 い て吉 田克 則 先生 より 連 盟の 活動 報告 をし てい た だき 、箱 崎 清高 先生 の 乾杯 と会 は進 行し まし た 。次 に、 恒 例の 42 歳 厄 年祝 いと して 有住 達也 先 生に 記 念 品が 贈ら れ まし た。 先生 から のご 挨 拶の 後、 引 き続 き宴 会 とな りま した 。 スタディグループ活動報告 ○TDC(胆江歯科談話会) (高 橋晃 彦 ) − 奥州 市 デ ン タ ルニ ュ ー ス 第7 号 10 − 特 別講 演会 す 。そ の 他、 以前 上顎 大臼 歯 で5 根管 とい う 症 日 時: 12 月 18 日( 火) 午後 6時 3 0分 ∼ 例 を経 験 した こと が2 度あ り ます が、 今回 の 症 場 所: プラ ザ イン 水沢 例 は初 め てで す。 演 題: 「N S Tに おけ る歯 科の 役割 − 歯科 に期 待 す るこ と− 」 当日 は 、大 変珍 しい 症例 を 供覧 して いた だ い た 。他 の 出席 者も 遭遇 して い なか った 。根 治 も 演 者: 北村 道 彦先 生( 県立 胆沢 病院 副 院長 ) 非 常に 難 しい との こと であ る 。両 側性 を確 認 す る には パ ント モも 有効 であ る と感 じた 。 抄 録: 上顎 小 臼歯 は通 常1 ∼2 根管 と され てい る のは 周知 の 通り であ りま す。 3根 管 を有 する 症 例は きわ め て珍 しく 報告 も多 くは あ りま せん 。 し かも 両側 性 かつ 第二 小臼 歯も 3根 管 とな ると 、 殆 ど例 を見 な いと 思い ます 。 この よう に きわ めて 希有 な症 例に 遭 遇し まし た ので 、発 生 的な 考察 を交 えな がら 報 告致 しま お知らせ ○奥州地域介護予防口腔ケア研修会「歯科医師専門研修会」 日時:2月8日(金)午後6時30分∼ 場所:プラザイン水沢 内容:講演 18: 30∼ 20: 00 「義歯でおいしく食べるために」 第1部「摂食・嚥下について」 第2部「目標とすべき義歯の作成方法」 講師 : 岩手医大歯学部補綴学第1講座 情報交換 教授 鈴木哲也 先生 20: 00∼ 20: 30 ○住所変更等 中村歯科クリニック移転先→ 水沢区南町6番3号 髙橋元先生アドレス変更 [email protected] → ○総務部より 貸し出しDVD: テーマ「摂食嚥下障害のリハビリテーションとケア」 (講師 教育研修部長、阿部信之 立木 光 言語聴覚士、小笠原千恵 約3時間 看護師、濱川育子 看護部長) ★佐々木勝忠先生と森岡先生のご尽力で去る1月16日に衣川区保健福祉センターで開催 された講演会の模様をDVDで見ることができますので、事務局までどうぞ ○事務局より 奥州市2歳6ヶ月児健診・成人歯科健診・訪問歯科治療報告書等は1ヶ月ごと翌月10日ま でに歯科医師会事務局にお出しください。事務局でまとめて請求いたします。 総務広報委員会:小野章宏、高橋晃彦、大石 治、大松沢信之、 − 奥州 市 デ ン タ ルニ ュ ー ス 第7 号 11 − 小笠原幸三郎、岡本潤一、佐藤正俊、佐々木秀、白石 明、大谷基樹