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地域医療連携室 懇談会を開催して
85 − 忠彦 講演会終了後、当院職員 食堂で意見交換会を開催し ました。藏 原一郎 槐 会 会 長 の来賓挨拶があり、村上博 松山市医師会長の乾杯の音 頭で開 宴しました。あちこ ちのテーブルで会話が弾み、 当院職員と多くの医療機関 の皆 様 との懇親を深めるこ とができました。 当院は、平成9年に地域 完結型医療を推進するため に愛媛県で初めて地域医療 連 携 室 を 設 置 し ま し た が、 早 年が経過しました。当 初に比べ、地域医 療 連 携の 質が格段に高くなり、範囲 も広がり、円滑さが増しま した。当院の基本理念は「人 道、博 愛、奉仕の赤十字精 神に基づき、医療を通じて、 地域社 会に貢 献します。 」 で す。地域の住 民に、利 便 性 に応じた安心の医療を提供 するには医療連携が最も重 要と考えています。 15 益々のご支 援よろしくお 願いいたします。 座 長:副院長 横 田 英 介 看護副部長 渡 邉 八重子 講 演 松山市医師会 会長 73 65 38 B 意見交換会 19:30 ~ 様 村上 博 槐会 院 長 様 藏原 一朗 地域医療連携室 懇談会を開催して 11 地 域 医 療 連 携 室 室 長 ( 院 長 )渕 上 を動画を交えて発表してくれまし た。池添神経内科部長からは、嚥 下のメカニズムに 始 まり、誤 嚥 性 肺 炎 と 神 経 疾 患 との 関 連、 治 療、 予防の講演がありました。西山検 査部技師長からは、口腔内細菌の 定着の仕組み、誤嚥性肺炎の検出 菌と感受性検査から推奨 される薬剤が示されまし た。兼松呼吸器内科部長 からは、肺 炎の新 しいカ テゴリーである医 療・介 護関連肺炎 (NHCAP) の 講 演 が あ り ま し た。 NHCAPの予 防と治 療 は、地域医療連携を円滑 に行 うためにはどの施設 においても重点的に取り 組まねばならない課題と 改めて認識いたしました。 それぞれの講演内容は本 号に掲 載していますので 興 味のある方はお読みく ださい。 01 24 平成 年2月 日に、別紙要領 にて連携室懇談会を開催しました。 参 加 者 は、院 外 か ら 施 設 名、 院 内 か らは112 名の計 185 名 でした。土曜日でしかも祝日にも かかわらず 多 数のご参加をいただ き有難うございました。 今 回 の テ ー マ は「肺 炎 治 療 最 前 線」とし ま し た。日 本 の 歳 以 上 の 高 齢 者 人 口 は 2944 万 人 (2010 年 末 推 計)で、 総 人 口の ・1 % を 高 齢 者 が 占 め てい ま す。急増する高 齢 者の医療で,最 も重要となる疾患は“肺炎” で、肺 炎による死亡率は年齢とともに上 歳の男 性では肺 炎が 昇し, 死 因の第1位 となっていま す。こ のような時代的背景があり今回の テーマを決めました。原畑 看 護 師 長は、救急入院してくる誤嚥性肺 炎患者は口腔内汚染の程度が強く、 口腔内ケアの重要性とそのやり 方 90 第16回 23 第16回 松山赤十字病院地域医療連携室懇談会 開催要領 1.日 時 平成24年2月11日(土曜日※祝日)18:00~21:00 2.場 所 (A) 講 演 会 当 院 教 育 講 堂 (B) 意見交換会 当 院 職 員 食 堂 3.会 次 第 A 講 演 会 18:00 ~ テーマ 『 肺 炎 治 療 最 前 線 』 【演題1】「 誤嚥性肺炎の予防と治療」 ① 急性期における口腔内の衛生と食べることへの支援 演 者:看護師長 原 畑 法 子 [15分] ② 神経疾患と誤嚥性肺炎 演 者:神経内科部長 池 添 浩 二 [15分] 【演題2】「口腔内細菌の特徴と抗菌剤」 演 者:検査部技師長 西 山 政 孝 [10分] 【演題3】「肺炎の新しい考え方:医療·介護関連肺炎(NHCAP)」 演 者:呼吸器内科部長 兼 松 貴 則 [30分] 【質疑応答】 [5分] 「誤嚥性肺炎の予防と治療」 法子 で、私達は、循環動態をモニター しながらケアに取り組んでいま す。 実際の急性期の患者様方への器 質的口腔ケアを動画でご紹介しま す。ハミングッドは、口腔内を傷 つ け る こ と な く 磨 く こ と が 出 来、 口腔内に挿入しやすいという利点 があり、タングッドは、舌苔の除 去に適しています。オーラルサク ションチューブは、患者の開口状 態 に 合 わ せ て 角 度 を 自 由 に 変 え、 口角にかける事が出来、効果的な 吸引で、ケア時の誤嚥を防止でき ます。洗浄水の注入には“洗浄用” と明記した ㎖のシリンジを使用 しています。口腔内に潰瘍形成が あったり、乾燥が激しい時、う歯・ 動揺歯がある時等は、口腔外科に コンサルトし協力・アドバイスを 受けています。 次に、食べることへの関 わ り に つ い て お 話 し ま す。 緊急入院された場合、患者・ 家族は大変動揺されていま す。私は、タイミングを計 りながら、最近の患者のこ とを一番把握している方を 見つけ、情報収集をします。 高齢化や独居、核家族化が 進展している近年、それは 家族とは限らず、施設の方 や友人であることも少なく ありません。患者の最近の 日常生活状況、自立度、特 に食べることに関しては詳 しく話を聞きます。 松山赤十字病院 看護師長 原 畑 ①急性期における口腔内の衛生と食べることへの支援 1 私の勤務する病棟は、救急病床 を有し、内科系の救急入院患者の 受 け 入 れ を し て い ま す。 中 で も、 誤嚥性肺炎で入院される患者の口 腔内は、吐物や分泌物で非常に汚 染されており、重症化している場 合が多くあります。 又患者の背景には、高齢・認知 症・脱水・尿路感染・低栄養など があり、その結果、免疫力の低下、 口腔内細菌の増殖、嚥下機能の低 下で肺炎を併発しています。誤嚥 性肺炎の治療・看護は、初期にしっ かりと吸引を行い、徹底した口腔 ケアで口腔内細菌の増殖を抑える ことが主体で、それに薬物療法を 併用し、臨床症状が改善していき ます。 重症化した患者は、症状に伴う 苦痛や呼吸困難、意識障害、環境 の 変 化 に よ る 譫 妄 な ど が 著 し く、 ケアの協力が得られないため、基 本的な体位を維持することも困難 20 ①いつ頃まで・・何日位 前までかを具体的に、②ど の よ う な 物 を・・ 食 べ 物 の 種 類、 形状、量、食事回数などを、③ど のような食べ方で・・食べる時の 姿勢、使用物品、自立度、ムセの 有無等を具体的に聞きます。 これらの情報から、今の患者の 状態が意味すること、いつ頃から 誤嚥が始まっていたと考えられる か、また、今後予測できる回復度 や状況について説明します。そし て、○食べることは、生きるとい う事、○食べる力が有るというこ と は、 生 き る 力 が 有 る と い う 事、 ○食べる動作にはエネルギーが必 要で、食べる力が衰えたという事 は、 口 と 喉 の み の 衰 え で は な く、 全身の衰え、老衰の1つであるこ と、○そして今後、家族が患者を どのくらい支えることができるの かなどについて話し、ご家族の協 力をお願いします。 又、今回急性期を乗りきること が出来ても、経口摂取を続けると 誤嚥性肺炎を繰り返す可能性があ ること。そして、家族で今後どう したいのかを、話し合う時期が来 ていることを付け加えます。経口 摂取が開始できる場合は、耳鼻咽 喉科が嚥下機能を評価し、言語聴 覚士と連携して食事を進めます。 図1 講演 最後に、私は急性期の看護に携 わりながら、特に救急の現場では、 その時々の社会の縮図を見る思い をすることが多々あります。最近、 石 飛 幸 三 先 生 ご 執 筆 の、 “平 穏 死 の す す め”を 読 み、 著 者 の 思 い に とても共感致しました。その導入 部分を抜粋してご紹介します。 =時代の変遷とともに死に対す る事態も変化を遂げています。そ のひとつが死の高齢化です。老衰 の果ての死に対して、医療はどの ように関わるべきかが、これから の大きな課題です。老衰の終末期 にもかかわらず、医療により延命 治療をされるべく、日本人の % が病院で亡くなっています。 多 く の ご 家 族 は、 高 齢 の 親 を、 夫を、妻を抱えて、生活と介護の 両立に苦しんでおられます。= 私は今、急性期医療の大きな課 題を感じながら、日々、目の前の 患者様方との関わりに全力で取り 組んでいます。 80 ···························· することで不顕性誤嚥が起こりや すくなり、誤嚥性肺炎になること が多くなります 嚥下反射と咳反射は延髄にその 中枢 (感 覚 神 経 か ら の 入 力 を 受 け て運動神経による出力を決定する 部位) があります。したがって延髄 に生じた脳梗塞 (ワレンベルグ症候 群)や 延 髄 の 運 動 神 経 核 が 障 害 さ れる筋萎縮性側索硬化症 (A L S) で は 高 度 の 誤 嚥 を 生 じ ま す。 一 方 で両側大脳基底核の多発性脳梗 塞 (出 血 も)や パ ー キ ン ソ ン 病 で も 誤 嚥 が 起 こ り や す く な り ま す。 も ち ろ ん、 こ れ ら の 病 態 で は 咽 頭 周 囲 の 筋 力 が 低 下 し た り、 筋 力 自 体は保たれていてもうまく動かせ な か っ た り、 動 き が 遅 く な っ た り することが誤嚥の原因となります が、 サ ブ ス タ ン ス P と い う 物 質 が 減少していることも一因です。 サ ブ ス タ ン ス P は 迷 走 神 経(延 髄 か ら 出 る 脳 神 経)が 咽 頭 や 気 管 に放出する物質で、嚥下反射や咳 反射の調節に関与しています。サ ブスタンスPが減少すると、これ らの反射が起こりにくくなること がわかっています。そしてサブス タンスPの合成はドパミンが司っ ています。パーキンソン病はまさ にこのドパミンができなくなる病 気で、そのためサブスタンスPが 減少します。また大脳基底核は中 脳で作られたドパミンが運ばれる 場所です。そのためその部位の多 発性脳梗塞(出血も)でドパミンは 減 少 し、 サ ブ ス タ ン ス P も 減 少、 そして誤嚥が起こりやすくなると いうわけです。 松山赤十字病院 神経内科部長 池 添 ◉誤嚥とは 誤嚥とは本来食道から胃へと送 り込まれるべきものが、誤って気 管から肺に入ってしまうことを言 います。誤嚥には顕性誤嚥と不顕 性誤嚥の2種類があり、前者は食 事動作に起因する一目でわかる誤 嚥、後者は主に夜間睡眠中に生じ る一目ではわからない誤嚥で、口 腔・咽頭(舌の後) ・鼻腔の細菌が 唾液等の分泌物と共に食道ではな く気管に流れ込むものです。そし て誤嚥性肺炎の原因としてはむし ろ不顕性誤嚥の方が多いことが知 られています。 ◉嚥下反射とサブスタンスP ····· 神経内科疾患をお持ちの方で は、咽頭まで運ばれた食物を食道 に不随意に(自分で意識すること なく)送り込む嚥下反射や、間違っ て気管に入った食物や唾液を咳を することで排出する咳反射が低下 浩二 「誤嚥性肺炎の予防と治療」 1 ②神経内科疾患と誤嚥性肺炎 講演 02 先天性疾患,頭部外傷,脳腫瘍 脳血管障害(多発性脳血管障害、延髄障害) 神経疾患 (パーキンソン病、脊髄小脳変性症、 多系統萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、 末梢神経障害等), 筋疾患(筋ジストロフィー、筋炎、重症筋無力症) 薬剤(抗精神病薬、抗コリン剤、鎮静剤) 西山 政孝 1012 72 C T R X P I P C 40 M E P M P I P C A B P C A B P C C L D M P I P C A T B A P Z C 10 1011 口腔内細菌の特徴と抗菌剤 属)の 方 が 偏 性 嫌 気 性 属 、 tinomyces reptococcus Porphyromon 菌(グラム陰性菌)に比べ多く分布 属、 Fusobacterium 属(マ ク ロ as し、後者では歯周病の原因菌であ 、 ラ イ ド は 自 然 耐 性)は 、 Fu る 偏 性 嫌 気 性 菌( P.gingivalis 、 、 、 属、 Treponema 属) に良好な感受性を示 sobacterium 松山赤十字病院 検査部 が 多 く 分 布 し て い ま す 。 細 菌 量 を し ま す。 し か し、 Prevotella 属 みると唾液中は ~ /㎖で、嫌 ではβ ラクタマーゼを約 % – 次に後期定着細菌群の中心的存 気性菌が好気性菌の3~ 倍量存 の 株 が 産 生 し て い る こ と か ら、 在となる 在しプラークが多いと菌量も多く 、 は耐性を示 Fusobacterium nucleat が初期定着細菌群を利用して なります。また、歯垢内は ~ すものが多く、治療にはβ ラ um –ク 定 着 を 果 た し ま す。 こ の / ㎖ で、 嫌 気 性 菌 が 好 気 性 菌 の タマーゼ阻害剤配合ペニシリン薬 F. nuc を利用して肺に感染がみ 1 0 0 0 倍 多 く 存 在 し て い ま す 。 剤 ( / 、 leatum られる嫌気性菌を中心とした歯 / )の使用が推奨されて 周病関連細菌( 3. 誤嚥性肺炎の主な います。 Porphyromonas gi 、 Prevotella intermedia 、 検出菌と薬剤感受性 ······ ngivalis 誤 嚥 性 肺 炎 の 主 な 検 出 菌(好 気 4. 終わりに · ·························· Actinobacillus actinomycetecom )が 定 着 を 果 た し、 後 期 定 着 属が % 性 菌)は Streptococcus itans 寿命とは常在菌と共生できる期 菌 群 の 形 成 が 完 了 し ま す。 な お、 と最も多く、 属が %と 間である。この言葉どおり常在菌 Gemella 後期定着菌群は口腔ケアを怠る な っ て い ま す。 一 方、 嫌 気 性 菌 は人に対して有利にも不利にも働 と 5 ~ 7 日 で 形 成 さ れ、 歯 周 病 属 が %、 Pepto く、もろ刃の剣です。口腔内細菌 で は Prevotella 原因菌であることから悪玉菌と 属 が %、 Fusoba においても増えすぎると歯周病や streptococcus されます。 属 が %、 誤嚥性肺炎が起こり易くなり、イ Porphyromo cterium 属が3%で、口腔内細菌のう ンフルエンザウイルスの定着も容 nas 1. 口腔内細菌の定着過程 ········ ち後期定着細菌群で主となってい 易にします。口腔ケアの実施によ ます。そして、誤嚥性肺炎への嫌 り、後期定着細菌群の定着・増殖 気性菌の関与は %~ %と高く を防ぎ、一日でも長く健康で楽し なっています。 い日々を送られますことをお祈り しています。 薬剤感受性は図3に示すよう に 、 Streptococcus属 、 Peptost 2. 口腔内細菌の分布と細菌量 ···· プラーク内での細菌分布は図2 に 示 す よ う に、 歯 肉 縁 上 プ ラ ー クと歯肉縁下プラークで異なり ま す。 前 者 は 通 性 嫌 気 性 菌(グ ラ 属、 Ac ム 陽 性 菌 : Streptococcus 109 43 40 80 108 10 33 S B T 図3 ················ 神経性食思不振症,認知症,うつ その他にも種々の原因で嚥下障 害 が 生 じ ま す(図)。 機 能 的 原 因 (動的障害)に該当するものの大部 分は神経内科疾患です。 2.機能的原因 ( 動的障害 ) ケアは口腔内の細菌数を減少さ せると同時に、その刺激によりサ ブスタンスPの産生も増加させ ることが知られています。そして 抗精神病薬のようにドパミンを 抑える薬剤の中止ないし変更を 検討します。またドパミンの放出 を増加させるものとして塩酸ア マンタジンが用いられます。サブ スタンスPの分解を抑制するも のとして降圧剤であるACE阻 害薬もよく知られています。また 脳梗塞の患者さんには脳梗塞の 予防薬であるシロスタゾールも 嚥下反射を改善する作用があり ます。他には漢方薬である半夏厚 朴湯や、カプサイシンの有効性も 報告されています。 さらに嚥下機能を強化するた めのリハビリも必要です。しかし ここに挙げた薬物による予防や リハビリをしても誤嚥性肺炎を 繰 り 返 し て し ま う 患 者 さ ん で は、 食道と気管を完全に分離してし まうような手術が必要になるこ ともあります。 3.心理的原因 ◉誤嚥性肺炎の治療 咽頭周囲膿瘍,咽頭炎等の炎症、口腔・咽頭腫瘍 11 図2 ◉終わりに ········ 神経内科疾患を お持ちでない高齢 者でも、夜間睡眠 中には嚥下反射や 咳反射が低下する 傾向にあり誤嚥性 肺炎はやはり増加 します。すなわち すべての高齢者 は、程度の差こそ あれ、誤嚥性肺炎 になりやすい状 態にあると言えま す。口腔ケアに留 意され、健康な老 後を送っていただ きたく存じます。 図1 実際の患者さんで誤嚥性肺炎を 疑わせる所見としては、口腔内が 不潔であること、食事中にむせた り咳がでること、のどが常にごろ ごろ鳴っていること、唾液を飲み 込めず出していること、痰が汚く 多いこと等が挙げられます。 誤嚥性肺炎の急性期の治療は通 常の肺炎と同じく抗生物質が用い られますが、口腔咽頭の常在菌に は 嫌 気 性 菌(酸 素 の な い 条 件 下 で 生 育 す る 細 菌)が 多 い の で、 そ れ らをカバーする抗生物質が必要と なります。 また誤嚥性肺炎は不顕性誤嚥 がある限り反復して生じる危険 性がありますから、何らかの予防 措置を講じる必要があります。ま ず口腔ケアをして口腔内を清潔 に保つことが最も重要です。口腔 1.器質的原因 ( 静的障害 ) 講演 2 口腔内細菌の特徴として初期 定着細菌群と後期定着細菌群が 存 在 し ま す(図 1)。 ま ず、 歯 の 表面を唾液成分で形成されるペ リ ク ル が 被 い、 ペ リ ク ル に 親 和 性 の あ る Strepto 属が定着 coccus し ま す(虫 歯 の 原 因菌 Streptococc は糖分 us mutans がなければ増殖 で き な い)。 続 い て、 そ の Strepto 属を利用 coccus し て Capnocytop haga属、 Veillon ella属、 Propioni 属等が bacterium 定着して初期定 着細菌群の形成 が完了します。こ こまでは歯周病 などの原因菌が 少 な く、 善 玉 菌 と さ れ て い ま す。 03 嚥下障害の原因 (図) 肺炎の新しい考え方 医療・介護関連肺炎( 貴則 ) NHCAP 呼吸器内科部長 兼 松 た め に、 米 国 で 2005 年 に 医 療ケア関連肺炎ガイドラインが 生 ま れ ま し た。 米 国 で は 入 院 と い え ば 急 性 期 だ け で、 療 養 病 床 という概念がありませんから日 本ではその概念をそのままは適 用 で き な い の で、 日 本 の 実 情(図 2)に 併 せ て ち ょ っ と 広 く、 慢 性 期 病 床 入 院 を 含 む 医 療・ 介 護 関 連 肺 炎( NHCAP:nursing and healthcare-associated pneumon ) iaと い う 名 前 を 付 け ま し た。 そ し て 米 国 に 遅 れ る こ と 6 年、 「医 療・ 介 護 関 連 肺 炎 診 療 ガ イ ド ラ イ ン(図 3)」が 作 成 さ れ ま し た。 ガイドラインにはまずその理念 が 延 べ ら れ、 高 齢 者 の 肺 炎 の 治 療としてあるべき姿を医療者側 に 深 く 問 う 形 に な っ て い ま す。 老衰の果てに生じた肺炎をいか に 診 る べ き か、 延 命 至 上 よ り も 重要な高齢者医療の倫理を持っ て診療にあたる必 要性が明記されて います。 の 定 義 は「肺 炎 の 兆 候 が あ り、 1. 長 期療養型病床群も しくは介護施設に 入 所 し て い る、 2. 日以内に病院を 退 院 し た、 3. 介護 を必要とする高齢 者・ 身 障 者、 4.通 院にて継続的に血 管 内 治 療(透 析・ 抗 菌 薬・ 化 学 療 法・ 免疫抑制剤等によ る 治 療)を 受 け て い る、 の い ず れ か を 満 た す も の」と さ れ て い ま す。 誤 嚥 性 肺 炎 や、 日 和 見 感 染症としての肺炎 が の中 心となります。 ガイドラインで は「治 療 区 分」と い う 概 念(図 4)で 状況に応じた治療 の 場・ 抗 菌 薬 の 内 容を提示していま す。 A 群 : 外 来 治 療 で よ い、 比 較 的 軽症と考えられる グ ル ー プ に つ い て、 まず起炎菌を肺炎 球 菌・ イ ン フ ル エ ンザ菌の他にもマ イコプラズマなど 非定型菌や嫌気性 菌 ま で 考 慮 し、 広 範にカバーするた め比較的広域スペ クトルの内服薬使 用を推奨していま す。 軽 症 だ け ど 薬 が外れると重症化 す る か も し れ な い、 若 い 人 と 同 じようにはいかないというガイ ド ラ イ ン の 意 図 が う か が え ま す。 B群:入院治療を要するグルー プ、 中 で も 耐 性 菌 の リ ス ク が 少 な く、 市 中 肺 炎 と ほ ぼ 同 じ 原 因 菌と考えて良いケースでは入院 の場合は患者さんの状態の変化 をすぐに察知することができる た め、 治 療 開 始 時 か ら 非 定 型 菌 や嫌気性菌をカバーするという こ と は し ま せ ん。 緑 膿 菌 も あ え て ス ペ ク ト ル か ら 外 し ま す。 A 群よりむしろ細菌にターゲット を 絞 っ た 選 択 に な っ て い ま す が、 入院ですので当然注射薬が主体 で す。 C 群 : 入 院 治 療 を 要 す る グループ、中でも胃ろう(経管栄 養)や 抗 生 剤 使 用 歴 の あ る 耐 性 菌 リスクがあるケースではB群同 様最初から非定型菌をカバーは し て い ま せ ん が、 緑 膿 菌・ 嫌 気 性菌を起炎菌に想定する必要が あ り ま す。 広 域 ペ ニ シ リ ン や 注 射用キノロンに必要に応じて抗 薬の追加を検討します。 D 群 : 入 院 治 療、 中 で も 集 中 治 療を要するグループでは重症で す の で、 初 回 治 療 無 効 時 死 亡 す るリスクが極めて高いため非定 型 菌・ 嫌 気 性 菌・ 耐 性 菌 を す べ て カ バ ー し ま す。 す べ て の 群 で 起炎菌判明時に抗生剤を狭域ス ペクトルに変更するよう推奨さ れています。 そ の 他、 ガ イ ド ラ イ ン に は 高 齢者における抗菌薬投与と全身 管 理 に つ い て、 特 に 腎 機 能 低 下 時の用量調節について述べられ て い た り、 誤 嚥 性 肺 炎 の 機 序 と 対 応 に つ い て リ ス ク 因 子・治 療・ リハビリについて言及されてい ます。またワクチン(季節性のイ ン フ ル エ ン ザ ワ ク チ ン・ 5 年 に 一 度 の 肺 炎 球 菌 ワ ク チ ン)に つ い ても積極的な接種を推奨してい ます。 以 上 医 療・ 介 護 関 連 肺 炎 に つ いて診療ガイドラインの内容を 中 心 に 解 説 し ま し た。 松 山 赤 十 字 病 院・ 呼 吸 器 内 科 で は 診 療 ガ イ ド ラ イ ン を 十 分 理 解 し、 そ の 上で個々の患者さんに最善の治 療を提供できるよう努めており ます。 図4 M R S A 図3 3 肺炎とは、微生物が肺に進入し て 増 殖 す る こ と に 対 し、 体 内 の 好中球、リンパ球、マクロファー ジ な ど の 細 胞 が 局 所(肺 胞)に 遊 走 し て 戦 い を す る(炎 症)こ と を 指 し ま す。 症 状 と し て 発 熱・ 咳・ 痰・ 胸 痛 な ど を 呈 し ま す。 肺 炎 は 患 者 さ ん の 免 疫 力(元 気 さ の 程 度といってもよいかもしれませ ん)や 生 活 環 境 で、 原 因 と な る 細 菌 が 異 な る(図 1)こ と が 多 い た め、肺炎が起こった場所で大きく ① 市 中 肺 炎(元 気 な 人 に 起 こ る 肺 炎と考えてよい)、②院内肺炎(病 気 の 人 が、 病 院 で か か っ て し ま う肺炎)に分けられていました。 近 年、 入 院 は し て い な い が ケ アハウスなどに入所している高 齢者などに市中肺炎とはいえな い感染症を呈する一群が明らか に な っ て き ま し た。 こ の「入 院 し て は い な い け ど、 ナ ー シ ン グ ホ ー ム な ど の 施 設 に い て、 入 院 中にもらうような不都合な菌で 肺炎になった(ちょっと体力的に 弱 い)人 た ち」を 上 手 に 治 療 す る 90 N H C A P N H C A P 講演 図1 図2 04 陽一 感染症各論 『 新生児・小児の感染症 』 小児科部長 近 藤 %、サルモネラ属や腸管病原性 大腸菌が約 %を占めます。やは り2歳以下の乳幼児が大部分を占 めますが、細菌性腸炎は比較的年 齢層が高く学童期にも見られてい ます。 その他、重症細菌感染症として 敗血症が8例、化膿性髄膜炎が4 例この3年間に入院しています が、いずれも後遺症なく治癒して います。 40 今 年 は ム ン プ ス、 伝 染 性 紅 斑、 手足口病、マイコプラズマ感染症 が例年に比し流行しています。特 に手足口病はこれまで原因として 考えられていなかったコクサッ キーA6の大流行が見られまし た。 もう一つの大きな話題は新しい ワクチンについてです。この3年 間に、4種類の新しいワクチンが 日本でも開始され今後も不活化ポ 5. 最近の話題、動向 30 3. 新生児のウィルス感染症 R S 20 70 新生児におけるウィルス感染症 は乳児期以降と比べ重症化しやす く、図に示すようなウィルスの主 に垂直感染が問題となります(図 )。 各 々 の ウ ィ ル ス に 対 し ワ ク チンや抗生物質、分娩方法、栄養 方法などにより感染予防、軽症化 が試みられています。 4. 当科における 小児感染症患者の入院状況 いて大部分がウィルス感染と考え られ、原因と考えられる細菌が検 出されたものはそれぞれ約 %で、 下気道炎では肺炎球菌、インフル エンザ桿菌が大部分を占めていま す。 ま た 上 気 道 炎 で は A 群 溶 連 菌とアデノウィルスが比較的多く みられています。年齢分布はいず れも2歳以下の乳幼児が中心です が、上気道炎においてより低年齢 の傾向があります。RSウィルス 感染症では0歳児の入院が約 % を占めていますが、過去3年間は 呼吸管理を必要とするような重症 例は見られませんでした。一方イ ンフルエンザ感染 症では、死亡例 は無いものの脳炎・脳症合併例が %ありました。また2009年 度の新 型インフルエンザにおいて 肺炎合併例が多数見られたことは 記憶に新しいところです。 気道感染の次に入院数が多いの は腸管感染症である急性胃腸炎で す。原因が判明したものでは、ノ ロウィルスやロタウィルスが約 05 T S S T M S R S S A 2. 新生児の細菌感染症 20 4 過 去3年 間における当 科の入 院患者は年平均約1800名です が、このうち約 %が感染症によ るものです。退院時診断名の内訳 を示します(図 ) 。肺炎や小児喘 息様気管支炎などの下気道炎が最 も多く、上気道炎が続きます。こ れらに、 ウィルス感染症やイ ンフルエンザなどを加えた気道感 染が全体の約4分の3を占めてい ます。気道感染による入院例にお 図4 い わ ゆ る 疑 い 例 で す。 起 因 菌 が 証明されたものではMRSAや GBSが比較的多くみられます (図2)。 厳密には細菌感染とはいえま せ ん が、 頻 度 が 高 く 感 染 症 に 類 似した症状が見られるものに新 生児 様発疹症があります。 黄 色 ブ ド ウ 球 菌 が 放 出 す る toxic によるも shock syndrome toxin の で、 発 熱、 発 疹、 血 小 板 減 少 を 3 主 徴 と し ま す。 他 に 黄 疸 の 急増悪や早産児等においては無 呼吸発作等の敗血症を思わせる 症状が見られることもあります な疾 が、 基 本 的 に は self-limited 患 で す。 1990 年 代 か ら 報 告 が 散 見 さ れ、 日 本 人 の 研 究 者 に より の 毒素に よる 様の反応が新生児の 免疫の特殊性から自然消退する ものであることが明らかにされ ま し た。 最 近 で は によ るものの比率が増えているよう です。 (図3) 図3 60 5 1. はじめに 10 新生児の細菌感染症は発症時 期から早発型と遅発型に分けら れ ま す が、 最 近 の 報 告 で も 早 発 型の起因菌はB群溶連菌が最も 多 く、 大 腸 菌 が そ れ に 続 い て い ま す。 一 方 遅 発 型 で は、 ハ イ リ スク児におけるブドウ球菌によ る日和見感染が大部分を占めて います(図1)。 当科における過去 年間の統 計 で は、 年 間 約 例 の 新 生 児 感染症疑いの児が入院していま す が、 そ の う ち 約 4 分 の 3 は 各 種培養で起因菌が証明されない 図2 T S S M S S A 9月22日 新生児期から小児期早期にかけ てはその免疫学的、環境的因子か らもっとも感染症に罹患しやすい 年代といえます。実際当科に入院 した小児の約6割は感染症による ものです。今回新生児、小児にお ける主な感染症についてお話した いと思います。 図1 第6回 25 6. おわりに 皮膚細菌感染症 伝染性膿痂疹(とびひ) し、その毒素が血中に流入し、全 身皮膚に散布されることにより発 症する。SSSSや黄色ブドウ球 菌性膿痂疹の治療において問題と なっているのは、MRSAの増加 であり、近年の報告では、黄色ブ ドウ球菌性膿痂疹の ~ %が MRSAによるものとされてい る。セフェム系抗生物質投与で反 応が悪く、MRSAが検出された 場合、ホスホマイシン、ミノマイ シン、バンコマイシンなど比較的 感受性が保たれている抗生剤に変 更する。 丹毒 30 蜂巣炎 主にA群β溶血性レンサ球菌に よることが多い。突然発熱し、顔 面、下腿に境界明瞭な浮腫性紅斑 が出現する。治療はペニシリン系 抗生物質が第一選択である。同一 部位に繰り返し発症することがあ り(習 慣 性 丹 毒)、 こ の 場 合 は 抗 生物質を一か月程度継続する。 20 乳幼児に好発。口囲、鼻孔部で の 発 赤、 水 疱 で 始 ま り、 そ の 後 全 身 皮 膚 の 潮 紅、 ビ ラ ン を 生 じ る。表皮剥脱毒素を産生する黄色 ブドウ球菌が、体のどこかに感染 皮下組織、浅在性筋膜を炎症の 首座とする重症皮膚軟部組織感染 症である。局所性の発赤、腫脹か ら始まるが、急速に拡大し、紫斑、 水 疱、 血 疱、 壊 死、 潰 瘍 と な る。 真 皮 深 層 か ら 皮 下 組 織 に 及 ぶ、 脱毒素( Exfoliative toxin;ET )が表 急性あるいは慢性のびまん性の化 皮細胞間の接着を障害することに 膿性炎症を指す。主に黄色ブドウ より生じる。痂疲性膿痂疹は、A 球菌が主体であるが、レンサ球菌、 群β溶血性連鎖球菌が角層下に感 インフルエンザ菌なども原因とな 染し、小紅斑から始まり膿疱、黄 る。最近、イヌ・ネコ咬症による 褐 色 痂 疲 を 付 着 す る よ う に な る。 感染も増加 Pasteurella multocida 近年アトピー性皮膚炎患者で増加 している。四肢(特に下肢)に好発 している。治療は双方ともセフェ し、境界不明瞭な発赤、腫脹、熱 ム系抗生物質の全身投与を必要と 感として始まり、発熱、悪寒、関 する。 節痛などの全身症状を伴う。治療 は局所を安静に保ち、セフェム系 抗生物質の投与を行う。 ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群 ( Staphylococcal scalded ) skin syndrome;SSSS 壊死性筋膜炎 皮膚科部長 南 満芳 図6 感染症各論 『 皮膚感染症~診断と治療~ 』 図5 黄色ブドウ球菌により水疱を形 成する水疱性膿痂疹と、A群β溶 血性連鎖球菌の感染により痂疲を 形成する痂疲性膿痂疹に分類され る。水疱性膿痂疹は、小児に多く、 掻破部、虫刺されなどから黄色ブ ドウ球菌が侵入・増殖し、膿疱・ 水疱・びらんを形成する。病変は 黄色ブドウ球菌が産生する表皮剥 第7回 新生児、小児によく見られる感 染症を当科での経験を交えお話し しました。克服されたかに見える ものがある一方、新しいウィルス の出現や旧知のウィルスでも様々 な新しい側面が解明されつつあり ます。今後の研究が進み、ワクチ ンの開発などにより感染症を制御 する未来がくることを期待してい ます。 リ オ の 導 入 が 予 定 さ れ て い ま す。 図に小児を対象とした現在接種可 能なワクチンを示します。乳児期 早期からの確実な接種のためには 同時接種が必要で、負担軽減のた めにも混合ワクチンの開発が期待 されます。これら新しいワクチン 導入後の感染症発症数へのインパ クトが期待される一方、諸外国と 比較した場合の任意接種の接種率 の低さ、追加接種の必要性はじめ 多くの課題が山積しているのも事 実です。 10月27日 全身症状は極めて強く、高熱、関 節痛、筋肉痛、ショック症状から 多臓器不全に至る。起因菌はA群 β溶血連鎖球菌や黄色ブドウ球菌 が主体である。治療は、早期に外 科的に壊死組織をデブリードマン することが重要で、その後感受性 のある抗生剤を大量投与する。 ガス壊疽 主に嫌気性菌によって発症する が、クロストリジウム性ガス壊疽 と非クロストリジウム性ガス壊疽 に分けられる。クロストリジウム 性は外傷を契機に発症し、急速に 筋自体を侵し、壊死させる。非ク ロストリジウム性は、糖尿病、悪 性腫瘍、肝硬変などの基礎疾患を 持つ患者に多く、筋膜、皮下組織 が標的になる。局所の発赤腫脹か らはじまり、急速に拡大し、圧迫 す る と 雪 を 握 っ た よ う な 感 触(握 雪感)がある。CT撮影を行えば、 ガス像の有無が容易に判定でき る。 治 療 は 壊 死 性 筋 膜 炎 と 同 様、 壊死組織を早期にデブリードマン し、ペニシリンGやセフェム系抗 生物質を大量に投与する。 皮膚真菌感染症 白癬症 皮膚糸状菌が皮膚の角層や皮膚付 属器に寄生して生じる疾患である。 ◦ 足白癬 原 ; 因菌は主に Trichoph 、 Trichophyton me yton rubrum で あ る。 臨 床 像 か ntagrophytes ら趾間型、小水疱汗疱型、角質増 殖型に分類される。 頭部白癬 病: 変部には乾燥性で粃 糠様鱗屑と短く切断された毛髪を 認める。 ◦体部白癬 躯: 幹・四肢に環状で辺 縁に鱗屑を付着する紅斑を認める。 ◦股部白癬 陰: 股部・臀部に生じ る環状で辺縁に鱗屑を付着する紅 斑。陰嚢は侵されにくい。 ◦爪白癬 爪: の先端から肥厚・白 濁し、次第に爪母側に進行する。 治療は抗真菌剤の外用が主体と なるが、頭部白癬、爪白癬、角質 増殖型手足白癬などでは内服療法 が必要でありイトラコナゾールや テルビナフィンを用いる。 カンジダ症 による感 主 に Candida albicans 染 症。 Candida albicansは 健 常 者 の 口 腔、 皮 膚、 膣、 糞 便 か ら 分 離 されるヒトの常在菌であるが個体 の 全 身 的、 局 所 的 抵 抗 力 減 弱 や 高 温多湿環境に乗じて病原性を示す。 ◦ カ ン ジ ダ 性 間 擦 疹 間: 擦 部(陰 股 部、 腋 窩、 乳 房 下)に 辺 縁 に 鱗 屑をつける紅斑を認める。膿疱を 伴うこともある。 ◦カンジダ性指間ビラン 中: 指と 環指の間に紅色のビラン面を生 じ、辺縁を白色に浸軟した表皮が 囲む。水仕事従事者に多い。 ◦カンジダ性爪囲爪炎 手: 指の爪 周囲に発赤腫脹を生じ、爪根部よ り変形を来すこともある。 ◦爪カンジダ症 爪: 組織にカンジ ダが寄生し、爪甲下角質増殖、爪 変形を来す。 ◦口腔カンジダ症 口: 腔粘膜、舌 に白色の白苔が付着し、潮紅を伴 う。 治療はイミダゾール系の抗真菌 剤外用、含嗽を行う。爪カンジダ 症は、イトラコナゾールなどの内 服療法を検討する。 格闘技者に蔓延する Tricophyton tonsurans 感染症について 2001年頃より柔道・レスリ ングを中心とした格闘技者に集団 発生する白癬症として注目されて いる。臨床像は体部白癬、頭部白 癬として発症するが、炎症反応が 乏しく白癬特有の環状紅斑がはっ きりしない場合もある。当感染症 で最も問題となるのは無症候性 06 カタル症状とともに全身に紅斑 が出現し融合傾向を認める(発疹 期)。 3 ~ 4 日 で 急 に 解 熱 し、 皮 疹は落屑、色素沈着を残して治癒 する(回復期)。 20 臨床的特徴として、発症初期に高 熱を発し、皮疹は四肢末端に限局 せずに、広範囲に比較的大きな水 疱を形成することが挙げられてい る。また、発症後爪甲変形を来し た 症 例 も 報 告 さ れ て い る。 本 年、 手足口病患者から分離されたウイ ルスの %がCVA6であり、手 足口病後の爪変形とCVA6感染 との関連が推測される。 い感染力を有するこの細菌は、今 なお社会を脅かす疾患の一因であ り続ける。 肺結核は労咳と呼ばれ古くから 日本に多くみられる病気の一つで あった。特に明治時代には国民病 といわれるまでに罹患率の多い疾 病であったため近代以降の文化史 に 強 い 影 響 を 与 え て い る(図 1)。 この病で命を落とす若者が少なく なかったこと、熱のため頬が赤く、 目が大きく潤み、痩せて肌は白く なるため日本人の美的感覚によく 合う。 結核の罹患率は西高東低で人口 万人に対し約 人、都市部に集 中 す る(図 2)。 発 症 者 の 大 半 は 高齢の既感染者の再燃であること が多く、さらに現代の若者は結核 菌に触れる機会がほぼないため気 付かぬうちに感染し、集団の中で 排 菌 す る ケ ー ス が ま れ で は な い。 また排菌者から感染するリスクは 医療従事者が他職種に比し 倍と 高率であることも問題となってい る。 10 に爪甲変形、爪甲脱落を来した症 例が多数経験された。報告による と、手足口病発症後8週までに爪 甲の横線、剥離、脱落が生じるこ とが多く、ウイルス抗体価を測定 しえた症例の全例でコクサッキー ウイルスA6型 (C V A 6)の 抗 体 価 が 陽 性 で あった(渡 部 裕 子 ほ , 863 か 日: 皮 会 誌 1: 21(5) 8 。 2011 年 - 67,2011) も手足口病は大流行したが、その 貴則 結核の歴史は有史前にまで遡 る。 自 然 治 癒 力 に 頼 っ た 治 療 し か 考 え ら れ な か っ た 時 代 が 過 ぎ、 1882年コッホが菌体を発見し て以来様々な治療薬が開発されて きた。しかしヒトからヒトへの高 呼吸器内科部長 兼 松 感染症各論 『 結核と非結核性抗酸菌症 』 11月24日 風疹 風疹ウイルスによる感染症。い わ ゆ る“三 日 ば し か”。 発 疹 と 熱 発は同時にみられ、軽い痒みを伴 う丘疹性紅斑が顔面から全身に拡 大する。癒合せず、落屑、色素沈 着を残さずに治癒する。妊娠早期 に妊婦が罹患すると、児に先天性 風疹症候群を起こすことがある 突発性発疹 ヒ ト ヘ ル ペ ス ウ イ ル ス の 6 型、 7型による感染症。乳幼児に好発 し、突然の高熱が3~4日持続後、 解熱とともに全身に麻疹様発疹が 出現する。 伝染性紅斑 4 図2 ヒトパルボウイルスB によ る 発 疹 症。 い わ ゆ る“り ん ご 病”。 頬部の平手打ち様紅斑、上下肢の レース状紅斑が特徴である。 週 間程度で、落屑や色素沈着を残さ ずに治癒する。妊婦が感染すると 胎児水腫を起こす危険がある。 2009年に松山市近郊で みられた手足口病後の爪変形、 爪脱落の集団発生について 07 キャリアの存在である。頭部のブ 帯状疱疹 ラシ法を用いた真菌培養を集団全 体で行い、無症候性キャリアをみ VZVの再活性化により生じ る。ある一定の神経支配領域に帯 つけて加療しないといけない。治 状に小水疱が集簇し、神経痛様の 療はイトラコナゾール、テルビナ 強い疼痛を伴う。早期の抗ウイル フィンの内服療法が推奨されてい ス 剤 投 与(ア シ ク ロ ビ ル、 バ ラ シ る。 ク ロ ビ ル、 フ ァ ム シ ク ロ ビ ル)が 重要である。帯状疱疹後神経痛に ウイルス感染症 対しては、プレガバリン、アミト 単純疱疹 リプチン内服やソフトレーザー照 射、神経ブロックを使用する。 単 純 疱 疹 ウ イ ル ス( herpes )の感染により simplex virus;HSV 尋常性疣贅 皮 膚・ 粘 膜 に 水 疱 を つ く る 疾 患。 HSVには 型と 型があり、 主にヒト乳頭腫ウイルス 型は口唇ヘルペス、ヘルペス性歯 (HPV)2型感染による 肉口内炎、 型は陰部ヘルペスを い わ ゆ る“い ぼ”で 指 趾、 手 足 引き起こすとされている。しかし、 背に好発し、自覚症状はほとんど な い。 治 療 は 液 体 窒 素 冷 凍 療 法、 女性の性器ヘルペスの約 %はH 炭酸ガスレーザーなどが用いられ SV 1 - が原因であり、1型と2 る。 型の棲み分けが乱れてきている。 ◦ 口 唇 ヘ ル ペ ス 大: 部 分 が H S V 1 - の再活性化。口唇およびそ 尖圭コンジローム の周辺に中心臍窩を伴う小水疱が 集簇する。 HPV6型、 型などによって、 外陰部に乳頭状の丘疹、結節を形 ◦ヘルペス性歯肉口内炎 乳: 幼児 の H S V 1 の 初 感 染 で 生 じ る。 成する。 高熱とともに、口腔内、舌、口唇 治療は液体窒素冷凍療法、メス・ レーザーによる外科的切除、イミ に小水疱、ビランが多発する。 ◦ 陰 部 ヘ ル ペ ス 男: 性 で は 亀 頭、 キモド外用を行う。 包皮、女性では陰唇に小水疱、小 潰瘍が多発し、疼痛を伴う。 伝染性軟属腫 単純疱疹の治療は、バラシクロ ビル1000㎎/ 内服、ビタラ い わ ゆ る“み ず い ぼ”。 伝 染 性 軟属腫ウイルス感染により、2~ ビン軟膏外用が用いられる。再発 ㎜のドーム状小結節を形成す 性陰部ヘルペスでは、バラシクロ る。攝子でつまみとるのが一番確 ビル500㎎連日内服による再発 実 で あ る が、 液 体 窒 素 冷 凍 凝 固、 抑制療法が保険適応となってい %硝酸銀塗布を行うこともあ る。 る。 手足口病は、コクサッキーウイ ルスA 型やエンテロウイルス 型などによる発疹症である。主と し て 手 掌、 足 底 に 米 粒 大 ほ ど の 小水疱がみられ4~7日で消失す る。口腔内では疼痛を伴うアフタ を生じる。これまで本邦では手足 口病で爪病変が生じることは知ら れ て い な か っ た が、 2009 年、 松山市近郊の皮膚科で手足口病後 第8回 55 図1 19 1 71 2 day 40 1 11 水痘 麻疹 水 痘・ 帯 状 疱 疹 ウ イ ル ス ( ) の初 ; varicella–zoster virus VZV 麻疹ウイルスによる感染症。い わ ゆ る“は し か”。 2 週 間 前 後 の 感染で起こる。発熱と同時に全身 に 小 紅 斑 が 出 現 し、 個 疹 は 水 疱、 潜 伏 期 を 経 て、 発 熱 と 風 邪 様 症 膿 疱 と な り 痂 疲 化 し て 治 癒 す る。 状 で 初 発 す る(カ タ ル 期)。 い っ たん解熱し口腔粘膜に白色斑 症候群の発症を避けるため Reye ( koplik 斑)を 見 る。 再 度 発 熱 し、 アスピリンは使用しない。 16 10 40 1 2 細菌学的に結核菌体は長さ1~ 4㎛の好気性桿菌で大腸菌やブド ウ球菌など一般的な細菌に比べ発 育が遅い。抗酸菌と呼ばれる名の ごとく酸性条件下でも発育し胃液 中( ~ )でも死滅しない。乾 燥 に 強 く 紫 外 線 に は 弱 い(図 3)。 結核菌がヒトに感染するさい、く しゃみ等のしぶきが飛び散ってう つるのではなく空気中に漂う微粒 子を吸い込むことで感染が成立す る(飛 沫 核 感 染)。 感 染 の 予 防 に は 防 護 マ ス ク(N マ ス ク)の 着 用・換気が最も重要になる。医療 被曝を予防するために検査室の 空気の入れ替えの程度( ACH:Air )を 測 定 し、 十 Change per Hour 分な換気効率を確保する必要があ る。 肺結核の診断で有用な項目は症 状(湿 性 咳 漱、 血 痰、 発 熱、 体 重 減少、寝汗)、ツベルクリン反応、 クォンティフェロン検査、胸部レ ントゲンや胸部CTでの特徴的所 見(空 洞 を 伴 う 結 節、 散 布 陰 影、 陰影など、図5)が挙 Tree-in-bud げられるが、最も重要なのは喀痰 pH 1.5 2 95 肺結核の治療について活動休止 気にある菌を除菌するために以前 は1年以上の長期治療を余儀なく されていたが、近年網内系細胞内 菌体まで殺菌することが可能なピ 身疾患の発症・増悪に関与してい ることが明らかとなり、ピロリ菌 を発見した両医師はその功績に よって2005年にノーベル医学 生 理 学 賞 を 受 賞 し て い る。 以 下、 ピロリ菌感染症について当セン ターのデータを含め述べる。 ピロリ菌の感染経路と自然史 ピロリ菌は免疫能の発達が不充 分な乳幼児期(5歳まで)のヒト胃 粘膜に感染し、一旦、感染が成立 すると、原則として終生、胃内に 50 70 80 30 ピロリ菌感染によって惹起される 疾 患・病 態をピロリ菌 感染 症と称 する。ピロリ菌は胃粘膜に持続感染 すると必ず慢性胃炎を引き起こし、 時に消化性潰瘍 (胃十二指腸潰瘍) 、 胃過形成ポリープ、胃MALTリン パ腫、胃癌を惹起する。こ れ ら の 上部消化管疾患に加えて、特発性 血小板減少性紫斑病(ITP)、鉄 ピロリ菌感染症と除菌療法 18 蔵原 晃一 る こ と が 多 い。 治 療 で 重 要 な こ 病 気 を 生 じ な い。 種 々 の 要 因(主 留まる。その感染経路は必ずしも と は ク ラ リ ス ロ マ イ シ ン が Key 明 ら か で は な い が、 衛 生 状 態 の に宿主の免疫力低下、繰り返す気 で あ り、 そ の 単 剤 内 服 は 耐 道 感 染 等)が 重 な る と 感 染 が 成 り 劣悪な環境で感染率が高いとさ Drug 性誘導の危険性があるため避ける 立ちNTM症を生じる、結核との れ、本邦でも昭和 年頃までは上 こと、多くのNTMはイソニアジ 相違はヒトからヒトに感染しない 下水道の未整備などによる水系感 ド耐性であること、治療期間は原 こと、および治癒困難なことであ 染が主であったが、現在ではピロ 則的に排菌陰性から1年を目安に る。 肺 結 核 の 既 往 歴 が あ る 高 齢 リ菌に感染した母親、もしくは祖 者や中年女性の中葉舌区に発症す すること等が挙げられる。 母からの経口感染によると考え ら れ て い る。 現 在、 本 邦 で は 約 5500万人がピロリ菌に感染し 感染症各論 ているとされているが、昭和 年 生まれ以前の中高齢者の感染率が 『ヘリコバクター・ピロリ菌感染症 』 – % 以 上 で あ る の に 対 し て、 消化器内科部長 歳代前半以下の若年では急速な 感 染 率 の 低 下 が 指 摘 さ れ、 現 在、 歳未満の感染率は約5%と報告 されている(図2)。 第9回 はじめに 12月22日 (ピ ロ リ 菌) Helicobacter pylori ) は「ヒ ト の 胃 幽 門 前 庭 部( pylori )の に 生 息 す る、 ら せ ん 状( helico )」で あ る(図 )。 以 細 菌( bacter 前には強酸を呈する胃内に細菌は 生息しえないと信じられていた が、ピロリ菌 はウレアーゼ 活性を有し胃 酸を中和する ことで胃内に 生 息、 持 続 感染してい る。1984 年、オースト ラリアの病理 医ウォーレン と内科医マー シャルにより 初めてヒトの 胃粘膜から分 離・培養され たピロリ菌は 今日までに 様々な上部消 化管疾患や全 1 30 図2 検査で、チールネルゼン染色で喀 痰 を 染 め て ガ フ キ ー 号 数(排 菌 量 の 程 度)を 判 定 す る。 こ れ は 感 染 力とも相関するため患者隔離の要 否を判定する基準にもなる。 ラジナミドが臨床 で汎用されるよう になり、短期間の 入院隔離で菌陰性 化を実現できるよ うになった。治癒 率 向 上、 お よ び 耐性菌出現リス クを減らすために (監 視 下 服 DOTS 薬 管 理)が 重 要 と される。 非結核性抗酸 菌( N T M : N o n tuberculous ) Mycobacterium は土壌・水中など 自然界に広く存在 する。健康なヒト には気道を介して 肺に侵入しても速 やかに排除されて 図1 図4 図5 図3 08 欠乏性貧血、慢性蕁麻疹など胃外 性疾患との関連性が証明され、ピ ロリ菌感染症は胃粘膜のみならず 全身の疾患であると認識されるに 至っている(図3)。 これらのピロリ菌感染症は除菌 療法によって軽快治癒ないし予防 されることが今日までに明らかと なり、日本ヘリコバクター学会は 2009年改訂のガイドラインで 「全 て の ピ ロ リ 菌 感 染 症 に 除 菌 療 法 を 推 奨」し て い る。 一 方、 実 際 の 保 険 診 療 で は、 現 在、 「胃 十 二 指腸潰瘍、 「胃MALTリンパ腫、 「特 発 性 血 小 板 減 少 性 紫 斑 病」と 「早期胃癌内視鏡治療後」の4疾患 のみがピロリ菌感染診断の適応で あり、その感染診断においてピロ リ菌陽性症例が除菌療法の適応と なる。除菌療法として、プロトン ポンプ阻害剤(PPI)と抗菌薬2 剤 か ら な る 二 種 類 の 除 菌 法(一 次 除 菌 法 と 二 次 除 菌 法)が 認 可 さ れ ている。 した発症因子であり、ピロリ菌除 潰瘍は予防 菌によっても NSAIDs できないことから、本症の予防に おいてはピロリ菌除菌療法のみな による NSAIDs 潰瘍の らず、 PPI 予防の重要性が増しつつある。 図6 炎を惹起し胃癌の発生母地を形 成することが指摘されている。ピ ロリ菌と胃癌との関連について は 疫 学 的 な 検 討 に よ り 1994 年にはWHOのIARCがピロ リ菌を胃癌発生の 発癌物質 と認定し胃癌とピロリ菌感染と の間の非常に強い因果関係を公 式 に 認 め た ほ か、 ス ナ ネ ズ ミ を 図7 ピロリ菌と胃癌 図5 ピロリ菌感染が慢性萎縮性胃 図8 用いた動物実験における胃癌の 発 生、 ヒ ト に お け る ピ ロ リ 菌 感 染群からの胃癌発症の前向き検 討などから明白な事実となって き た。 さ ら に 近 年、 内 視 鏡 的 胃 癌切除患者を対象とした除菌療 法の前向き試験において除菌群 で胃癌再発が有意に抑制された こ と が 報 告 さ れ、 胃 癌 の 二 次 予 防に除菌療法が保険収載された。 胃癌大国と言われてきた本邦に お い て も、 今 後、 ピ ロ リ 菌 感 染 者の急激な減少が予測されてお り、 胃 癌 撲 滅 に 向 け た 新 た な 予 防 策(除 菌 療 法)や 間 接 X 線 造 影 検査に代わる新たな検診システ ム の 構 築 が 模 索、 提 唱 さ れ て い る。 特 に、 現 在、 ピ ロ リ 菌 感 染 と胃粘膜萎縮の有無を血液検査 で把握し検査方法や検査間隔に 反 映 さ せ る 方 法(A B C 法)が 一 部の地域検診や企業検診に導入 さ れ は じ め て お り、 同 方 法 に 対 するエビデンスに基づいた評価 が 待 た れ る。 胃 癌 の 一 次 予 防 を 目的とした除菌療法の有用性に ついても更なる検討が望まれる。 終わりに ピロリ菌感染症について 述べた。ピロリ菌の発見以 降、 同 感 染 症 の 観 点 か ら、 特に上部消化管疾患の診療 が 大 き く 見 直 さ れ て お り、 予防の観点からも、今後更 に新たな展開が予想されて い る。 胃 腸 セ ン タ ー(消 化 器 内 科)で は ピ ロ リ 菌 診 療 に関するデータを蓄積し学 会発表、論文化を続けてき たが、今後も得られたデー タを全国に発信するととも に日常診療にフィードバッ クし、最新かつ高度な診療 を提供することにより地域 医療に貢献したいと考えて い ま す。 今 後 と も 胃 腸 セ ンターをよろしくお願い します。 09 0 %(820 例 / 1051 例)、 炎 症 薬 ( NSAIDs )に 関 連 し た 潰 瘍 潰瘍)症例の増加が指摘 二 次 除 菌 が ・ 1 %(236 例 / ( NSAIDs されている。当センターで最近6 268 例)で(図 4)、 一 次 除 菌 と 年間に診断した活動性胃十二指腸 二次除菌を併せると約 %であ 潰 瘍 1419 例 の ピ ロ リ 菌 感 染 る。近年、耐性菌の増加による除 使用率は 率 は ・ 3 %、 NSAIDs 菌成功率の低下が懸念されている ・3%であるが、年度別に解析 が、図5に示すように、当センター すると、ピロリ菌陽性率は低下傾 の年度別除菌率は横ばいであり低 使 向であるのに対して、 NSAIDs 下傾向にない。また、除菌療法の 副 作 用 を ア ン ケ ー ト(2011 年 用率は増加傾 6 月 以 降 の 144 例)に 基 づ い て 向 に あ る(図 集計すると、下痢などの副作用を 7) 。さらに 一定頻度認めているがいずれも軽 出血性潰瘍例 症で除菌療法中止例はなく、また、 に限って年度 治療を要する合併症を認めていな 別に解析す い(図 6)。 こ れ ら の 当 セ ン タ ー る と、 そ の のピロリ菌除菌成績は全国の専門 傾向はさら 的施設の成績と比較して遜色なく に顕著であ 良好であると言える。 り、 2010 年には両者の 関係が逆転 ピロリ菌と胃十二指腸潰瘍 し 、 NSAIDs 使用率がピロ リ菌陽性率を 上回るに至っ ている(図8) 。 ピロリ菌と はそ NSAIDs れぞれが独立 図4 88 98 胃十二指腸潰瘍はHP除菌療 法によってその再発率が有意に低 下することが確立されており、ピ ロリ菌除菌療法の一番のターゲッ ト と さ れ て き た。 そ の 一 方、 近 年、 ピ ロ リ 菌 と 並 ぶ 二 大 発 症 要 因の一つである非ステロイド性抗 図3 ピロリ菌除菌成功率 当センター(2008年~現在) の除菌成功率は、一次除菌が ・ 78 34 70 1 s s a l c 外来診療担当医表 診療科目 内 科 月 火 水 木 金 総 合 内 科 上田陽子 馬越洋宜 村上哲晋 坂本愛子 藤 﨑 上 田 上 田 芝 真希 岡 田 池 田 糖 尿 病 岡田貴典 松下由美 近藤しおり 馬 越 岡 田 近 藤 近 藤 馬 越 松 下 芝 高 血 圧 福岡富和 福 岡 血 液 藤﨑智明 奥 誠道 上 田 波呂 卓 藤 㟢 池田祐一 (予約のみ) 診療科目 整形外科 上 田 波 呂 肝 胆 膵 セ ンター 午 後 検査部門 佐々木 武 智 新 患 藏原晃一 予 横田智行 上 甲 三宅康之 武 智 大久保智恵 田中孝明 矢野 誠 横 田 忽那 茂 (予約・緊急のみ) (予約・緊急のみ) 上 甲 山 上 忽 那 横 田 上 甲 山 上 川崎啓祐 藏 原 藏 原 藏 原 藏 原 岡本康治 川 崎 尾石義謙 約 永田 豊 炎症性腸疾患 河内修司 新 患 阿部洋文 徳本真矢 永 田 予 約 河 内 川 崎 河 内 河 内 午 後 小腸大腸内視鏡検査および内視鏡治療 堺 浩二 久保俊彦 堀 本 松坂英徳 芦 原 前 堀本拡伸 芦原俊昭 芦 原 小河清寛 久 保 午 後 鎌田和宏 水城 隆 久 保 堺 松 坂 梶 原 兼 松 (再診のみ) 眼 松井完治 呼吸器内科 兼松貴則 梶原浩太郎 濱口直彦 (再診) 濱田千鶴 (再診) 兼 松 濱 田 午前中のみ 伊藤謙作 手 術 横山秀樹 三浦奈央子 気管支ファイバー 手 術 横 山 気管支ファイバー 原田篤実 上村太朗 原 田 神 経 内 科 池添浩二 志田憲彦 池 添 志 田 池 添 志 田 池 添 志 田 池 添 志 田 脳 神 経 外 科 梶原佳則 瀬山 剛 武智昭彦 曽我部貴士 瀬 山 梶 原 曽我部 武 智 小谷信行 片岡京子 近藤陽一 髙岩正典 米澤早知子 小 谷 片岡優子 西㟢眞理 山本浩継 片岡(京) 吉川知伸 米 澤 近 藤 髙 岩 経 眞庭 聡 眞 庭 中野広輔 眞 庭 中 野 循環器 堀川定儀 腎センター 脳卒中・ 脳 神 経 センター 小 児 科 午 前 神 午 後 午 前 産婦人科 午 後 外 科 乳腺外科 血管外科 岡 英明 乳児健診 アレルギー 内分泌 未熟児 発達外来 蜂須賀信孝 南 千尋 妹尾大作 河本裕子 田中麗子 本田直利 河 本 田中義弘 妹 尾 田中 ( 麗 ) 南 横山幹文 横 山 蜂須賀 本 田 本 田 田中 ( 義 ) 妹 尾 妹 尾 手 術 白石 猛 丸山晴司 砂川秀樹 ストーマ外来 高橋郁雄 西田康二郎 午 前 山岡輝年 (再診) 山岡 (新患) 大峰高広 (新患) 大峰 (再診) お 知 ら 野 田 山 本 中城二郎 山本 進(手) 中城 (股) 梶原了治 野田慎之(脊) 小林孝明 小林 (膝) 梶原(手) 岡本賢和 増田哲夫 大前博路(肩) 金光宗一 大 前 ※(手) :手の外科、 (脊) :脊椎外科、 (膝) :膝関節外科、 (肩) :肩関節外科、 (股) :股関節外科 リ ウ マ チ 科 内 科 午 前 田口浩之 田 口 水木伸一 水 木 鎌田一億 手 術 水 木 鎌 田 鎌 田 押領司健介 横田英介 押領司 押領司 横 田 藤井元廣 田丁貴俊 藤 井 田 丁 矢野 明 尾澤 彰 藤 井 尾 澤 藤 井 田 丁 矢 野 矢 野 尾 澤 田 口 第1・3 ストーマ外来 ※月・水・金曜日は手術日につき、上記の診療担当医が変更することがあります。 担当医 担当医 篠 森 有友 宏 篠森裕介 小 川 眞田朋昌 眞 田 午 前 小川日出夫 有 友 小 川 手 術 手 術 手 術 手 術 手 術 午 後 検査(透視) 検査(透視) 後 予約検査 午 前 児玉俊夫 堀内良紀 竹澤由起 午 後 児 玉 堀 内 竹 澤 山本康明 堀 内 予約検査 山西茂喜 吉岡龍治 木村 徹 児 玉 吉 岡 依光明生 山 西 山 本 竹 澤 手 術 山 西 吉 岡 木 村 手 術 山 西 山 本 竹 澤 南 福井眺万 南 南 形成外科 庄野佳孝 庄 野 手 術 庄 野 庄 野 ※水曜日は手術日につき外来診療はありません。 安部俊吾 森田美由紀 安 部 ※当面の間、外来診療については休診いたします。 新 患 村田繁利 村 田 村 田 村 田 村 田 予 約 吉岡真二 吉 岡 吉 岡 吉 岡 吉 岡 放 射 線 治 療 浦島雄介 浦 島 浦 島 浦 島 浦 島 口 腔 外 科 寺門永顕 中川雅博 兵頭正秀 寺 門 中 川 兵 頭 寺 門 中 川 兵 頭 寺 門 中 川 兵 頭 寺 門 中 川 兵 頭 歯 科 午後₃時まで受付可能な診療科(毎日) 内 科 肝胆膵センター 消 化 器 内 科 脳 小 放 神 射 経 児 外 線 科 科 科 循 環 器 内 科 歯 科 口 腔 外 科 腎 臓 内 科 午後₃時まで受付可能な診療科(曜日限定) 血 整 耳 眼 皮 管 外 形 外 鼻 咽 喉 膚 科 科 科 科 科 月 月 月 月 火 火 火 水 木 木 木 木 金 金 泌 尿 器 リ ウ マ チ 呼 吸 器 外 小 児 外 心 臓 血 管 外 科 科 科 科 科 外 月 月 科 火 火 火 水 水 木 木 木 金 金 注:いずれの診療科も緊急を要し地域医療連携室を通した患者に限ります。 緊急を要しない患者の受付は従来通り午前 11 時までです。 午前11時までの診療科 手 術 高 橋 西 田 乳 腺 外 科( 火・水・金 ) 麻 酔 科( 月・水・金 ) 神 経 内 科 外来手術 緩和ケア 白 石 ※緩和ケア外来は、毎週水曜日14:00~17:00(完全予約制:原則として1日最大3名まで) 川口英俊 午 前 川 口 川 口 川 口 (再診) 午 後 金 野 口 紹介状のある患者にかかる診療受付時間(土曜・日曜・祝祭日・創立記念日(5月1日)を除く) 本 田 手 術 西㟢 隆 黒田陽介 白 石 木 南 満芳 歯 科 口腔外科 堀 川 血 液 手 術 藤中良彦 姉川 剛 午 前 上 村 水 野 口 皮 膚 科 放射線科 ※ 呼吸器内科:紹介状をお持ちの患者様のみ診察いたします。(月・水・木 )。 原 田 火 野口伸一 科 麻 酔 科 心療内科 ・精神科 濱口(再診) 呼 吸 器 外 科 検 査 ・ 手 術 耳鼻咽喉科 H24.4.1現在 ※水・金曜日は、新患のみ診察いたします。 患 梅末正芳 後 午 尾 石 午 午 前 泌尿器科 河 内 岡本康治 上部消化管内視鏡および造影検査 新 横 田 田 中 上 甲 大久保 午 前 予 約 循環器内科 心 外 呼 吸 器 センター 外来部門 循 環 器 センター 佐々木由子 武智俊治 上甲康二 山上隆司 後 午 午 前 胃 腸 セ ンター (消化器内科) 前 月 午 リハビリテーション 科 リウ マ チ 膠 原 病 セ ンター 糖 尿 病 教 室 毎週水・金曜日 10:00〜12:00(岡田・近藤) 午 http://w w w .mats uy ama.jr c .o r.jp / 小児外科 福 岡 藤 﨑 奥 最新情報はホームページ上で随時更新しております。 形成外科 (月・火・木・金) リハビリテーション科(火・水・金) 呼吸器内科(月・水・木) 産 婦 人 科 地域医療連携室からのお知らせ ~紹介患者予約受付について~ 当院では、患者のご紹介をFAXで頂いた際、診療科によって確認方法が異 なっております。その中で一部の診療科(消化器内科・循環器内科・呼吸器内 科・外科等)については、スムーズな診察に繋げるため、頂いた診療情報提供 書を担当の医師や看護師が必ず目を通し内容を確認をするため、お返事までに 時間を要することがございます。上記の診療科に限らず、お返事に時間を要す ることが明らかな場合には、一度その旨をご連絡させていただきます。 せ 診療の予約について 松山赤十字病院登録医制度について 平成24年3月1日現在、当院の登録施設は361、登録医は517名です。 今後も随時、受付けておりますので当院地域医療連携室までお問い合わせくだ さい。 TEL (089)926−9516 FAXによる受診予約について 再診の場合:全科予約制となっております。 初診の場合:小児科・産婦人科のみ電話による予約制をとっております。 ※予約受付時間 午後2時〜4時(時間厳守願います。) ・小児科 外来 TEL 089−926−9884 (直通) ・産婦人科 外来 TEL 089−926−9885 (直通) 〜「紹介状」をお持ちください〜 地域医療連携室では、従来より地域のかかりつけ医の先生方からFAXによる紹 介患者の受診予約を承っております。これによって紹介初診患者を、来院日には 待たせることなく、受診される診療科へご案内することが可能になり、好評で す。 是非、FAXによる受診予約をご利用頂きますようお願い申し上げます。 FAX (089)926ー9547(24時間受付) TEL (089)926ー9527(平日8:30〜17:10) 当院では医療の役割分担(病院と診療所の連携)を進めるという国の医療制度 に則り、地域医療の充実に貢献する方針で地域の診療所と緊密に連携し、役割に 応じた質の高い安全な医療をご提供したいと考えております。 この場合、診療所と当院を結ぶのが診療所の先生(かかりつけ医)がお書きく ださる「紹介状」です。この紹介状によって患者に、よりスムーズに当院での検 査や入院治療を受けていただくことができます。 お手数ですが「紹介状」をお持ちください。お持ちいただかない場合でも診療 を受けられますが、その場合は初診にかかる「保険外併用療養費」として診療料 金の他に、別途3,150円(消費税込)をお支払いいただくことになります。 ※各診療日の担当医師につきましては、学会等により代診、休診とさせていただく場合がございますのでご了承ください。 10