...

24 サトウキビ品質取引方法変更に伴う糖度等補正のための換算式の

by user

on
Category: Documents
15

views

Report

Comments

Transcript

24 サトウキビ品質取引方法変更に伴う糖度等補正のための換算式の
サトウキビ品質取引方法変更に伴う糖度等補正のための換算式の作成
○長井純一・藤﨑成博 1)・四藏文夫・馬門克明・樋高二郎 2)・小牧有三
(鹿児島農総セ徳之島・ 1)鹿児島農総セ・ 2)曽於畑かんセ)
換算前の各分析値を平均値で比較した場合,カッ
【目的】
本県のサトウキビ品質取引では,2004~2011年
ターグラインダーの方がシュレッダーよりも,推
度までシュレッダーで細裂した原料(シュレッダ
定甘蔗糖度は0.44%,蔗汁糖度は0.06%,搾汁率
ー原料)を搾汁し,ブリックスと搾汁率から推定
は4.18%高かった(表1)。搾汁率の差は,細裂方
甘蔗糖度を算出していたが,2012年度からカッタ
法により同じ原料から得られる搾汁液の量が異な
ーグラインダーで細裂した原料(カッターグライ
ることを示しており,両者の相関係数もやや低く
ンダー原料)を近赤外分光(NIR)法により直接分
ばらつきが大きいことが考えられ,搾汁率の差が
析する細裂NIR法に変更された。しかし,推定甘蔗
推定甘蔗糖度の差に影響を及ぼしているものと推
糖度の算出にはシュレッダー原料の分析値に基づ
察された。一方,換算後の平均値の差は,推定甘
くバガス糖度推定式が使用されているため,同じ
蔗糖度が0.04%,蔗汁糖度が0.01%,搾汁率が
原料を搾汁して推定甘蔗糖度を算出すると,細裂
0.71%と,何れも換算前より小さくなった(表1)。
程度が細かいカッターグラインダー原料の算出値
標準誤差と相関係数は換算前後で大きな差は認め
は,バガス糖度を実測した場合より高くなること
られず,ばらつきは換算前後で同程度であった。
が知られている。このことは,公正な品質取引を
以上の結果から,これらの換算式を用いること
実施する上で必要な細裂NIR法における検量線の
で,細裂方法変更前後の分析値の差を解消するこ
作成・更新の際に問題となる。また,各製糖工場
とが可能となった。なお,本研究成果を踏まえ,
が製糖期前における粗糖生産見込みを算出する際
細裂NIR法で使用する検量線の作成においては,
も,カッターグラインダーに変更後の算出値は,
2009~2011年度に収集した全199点の調査データ
過去のシュレッダー原料の算出値とそのまま比較
に基づき作成した換算式により算定した換算甘蔗
することができない。そこで,推定甘蔗糖度等の
糖度を用いることとなった(表2)。
カッターグラインダー原料の算出値が,より実測
値に近いシュレッダー原料の算出値と一致するよ
うに換算式を作成した。
【材料および方法】
2009~2011年度に,製糖工場がある県内各島か
ら収集した品種・栽培型・収穫時期・刈り置き程
度等が異なるサトウキビ199点を材料とし,長さ20
~30cmに切断した原料茎を縦に2分割してそれぞ
れシュレッダーおよびカッターグラインダーで細
裂した。各細裂原料は十分に攪拌した後に500gず
つ秤量して常法により蔗汁糖度等を測定し,算出
した分析値を用いて一次回帰式により各換算式を
作成した。
【結果および考察】
2009から2010年度に収集した159点の調査デー
表1 細裂方法の違いによる各分析値の差
シュレッダーとの比較
細裂及び
平均値 平均値
項 目
標準
相関
算定方法
の差
誤差
係数
CG換算前 14.86
0.44 0.2920 0.9747
推定
甘蔗糖度 CG換算後 14.45
0.04 0.2751 0.9746
(%)
—
—
—
Sh
14.42
CG換算前 17.45
0.06 0.2925 0.9819
蔗汁糖度
CG換算後 17.40
0.01 0.2876 0.9818
(%)
—
—
—
Sh
17.39
CG換算前 72.04
4.18 1.2989 0.7681
搾汁率
CG換算後 68.56
0.71 1.0752 0.7678
(%)
—
—
—
Sh
67.86
注1) 推定甘蔗糖度=蔗汁糖度×(搾汁率/100)+(0.4163×蔗汁糖度+0.871)
×{(100-搾汁率)/100}
注2) 蔗汁Bx=屈折計による測定値(レフブリックス)
注3) 蔗汁糖度=(国際糖度×26)/{(1.0077474×蔗汁Bx+0.3209281)
×0.004423+0.9925}/100
注4) 搾汁率=(プレス原料重-プレスバガス重)/プレス原料重×100
注5) CG=カッターグラインダー,Sh=シュレッダー
表2 作成したカッターグラインダー用換算式
タに基づき,カッターグラインダー原料の各分析
項 目
値がシュレッダー原料の各分析値に近い値になる
換算甘蔗糖度 CG細裂原料の推定甘蔗糖度×0.9428+0.450
よう一次回帰式により換算式を作成した。これら
換算蔗汁糖度 CG細裂原料の蔗汁糖度×0.9808+0.279
の換算式を用い,2011年度に収集した40点を未知
換算搾汁率
CG細裂原料の分析値を補正する換算式
CG細裂原料の搾汁率×0.8372+8.102
試料とみなして各換算式の推定精度を検証した。
─ 24 ─
p015-026cs5.indd
24
2013/08/02
13:44:58
Fly UP