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食料自給率向上に向けた取組(PDF:1884KB)

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食料自給率向上に向けた取組(PDF:1884KB)
第1章
1
食料の安定供給の確保に向けて
食料自給率向上に向けた取組
(1)食料自給率の現状
(日本の食料自給率)
日本の平成 21(2009)年度の食料自給率(概算値)は、カロリーベースで 40%であり、
主な先進諸国のなかでも最低水準に位置します(図1-1)。
日本は、米や砂糖等を除くほとんどの品目の食料自給率が、昭和 40 年代に比べ著しく
低下し、その分を輸入に頼っているのが現状であり、輸入先の作柄の変動や世界食料需給
等の影響を受けやすい不安定な構造となっています。
図1-1
諸外国の食料自給率(カロリーベース)
%
200
173
168
150
124
111
100
80
78
75
65
63
54
50
44
40
韓
国
日
本
0
豪
州
ア
メ
リ
カ
フ
ラ
ン
ス
ド
イ
ツ
ス
ウ
ェ
ー
カ
ナ
ダ
オ
ラ
ン
ダ
英
国
イ
タ
リ
ア
ス
イ
ス
デ
ン
資料:農林水産省「食料需給表」、FAO「Food Balance Sheets」等を基に農林水産省で試算(アルコール類は含
まない)
注:1)韓国の値は韓国農村経済研究院「食品需給表」、スイスの値はスイス農業庁「農業年次報告書」による。
2)日本は平成 21(2009)年度、それ以外の国は平成 19(2007)年の値
3)カロリーベースの食料自給率は、総供給熱量に占める国産供給熱量の割合。なお、畜産物については、
輸入飼料を考慮している。
(食料自給率向上に向けた戦略)
平成 22(2010)年3月に策定された「食料・農業・農村基本計画」では、我が国の持て
る資源をすべて投入した時に初めて可能となる高い目標として、平成 32(2020)年度まで
に食料自給率をカロリーベースで 50%、生産額ベースで 70%まで引き上げることとして
います。農林水産省では、この目標を達成するため、生産及び消費の両面において、重点
的な取組を展開しています(図1-2)。
- 30 -
図1-2
収益性が悪化し経営が困難
農業者の意欲が低下
需要と生産のミスマッチ
食料自給率 50%に向けた戦略
再生産可能な経営に
意欲ある農業者を育成
需要に応じた生産拡大
戸別所得
補償制度
過疎化・高齢化の進展
産業、雇用の場が減少
多面的機能が弱体化
活力ある農村の再生
付加価値を高めて所得増大
新たな産業の創出
6次産業化
総合的な
安全対策
食品偽装、不信感の拡大
食と農の距離が広がる
安心を実感できる食生活
食と農の結びつき強化
資料:農林水産省作成
(北海道の食料自給率)
平成 21(2009)年度における北海道の食料自給率は、カロリーベースでみると 187%
で、前年に比べ 23 ポイント低下しました。これは、天候不順により北海道の主要作
物である小麦やてんさいの収穫量が大きく減ったこと等によるものです。
また、生産額ベースで見ると 199%で、前年産に比べ 14 ポイント上昇しました。こ
れは、畜産物、魚介類、油脂類及び野菜の輸入量及び輸入単価が減少したこと、乳価
が上昇したこと、急騰した飼料価格が落ち着いたことから国産割合が上昇(畜産物の
国内生産額は、飼料の輸入額を控除して算出)したこと等によるものです。
図1-3
%
都道府県別の食料自給率(平成 21(2009)年度)
(カロリーベース)
(生産額ベース)
%
300
300
250
200
187
250
175
241
216
199
200
134
150
263
121
150
100
100
50
2
50
1
0
北海道 秋田
山形
青森 ・・・ 大阪
東京
5
5
0
宮崎 鹿児島 青森 北海道 ・・・ 大阪
東京
資料:農林水産省調べ
注:都道府県別食料自給率については、データの制約から、各都道府県の生産・消費の実態を十分把握できない
部分があること、各地域の自然・社会・経済的な諸条件が異なっていることから、その水準を各都道府県間
で単純に比較できるものではないことに留意願います。
- 31 -
食料自給率を品目別にみると、いも類、牛乳・乳製品、魚介類や砂糖類は高い水準です
が、肉類や鶏卵等が低くなっています(図1-4)。これは、家畜の飼料のほとんど
を輸入に頼っていることが大きな要因であるため、今後、飼料自給率の向上を図るこ
とが重要です。
図1-4
北海道の品目別食料自給率(平成 21(2009)年度概算値、カロリーベース)
%
700
602
600
529
454
500
352
400
252
300
200
197
143
196
130
100
6
20
10
果実
肉類
鶏卵
0
米
小麦
いも類
でんぷん
豆類
野菜
牛乳
・
乳製品
魚介類
砂糖類
資料:北海道農政事務所
事
例
飼料自給率向上の取組
とうやこちょう
取組主体:レークヒル牧場
洞爺湖町
洞爺湖町のレークヒル牧場は、62 ha の牧場を所有
し、乳牛約 90 頭を飼育するほか、乳製品加工、レス
トランの経営、酪農体験の受け入れなど、消費者との
交流を意識した経営に取り組み、年間 15 万人の来訪
者があります。
同牧場は、平成 11(1999)年から昼夜放牧に取り組
み、放牧草を最大限利用しています。
さらに、草地への施肥に工夫を凝らし、土壌微生物
の活性化による良質な土づくりを進め、放牧草の栄養
価を高め、良質、高乳量の実現を図っています。
放牧場で自由に草を食む牛
日本の飼料自給率が 25%(平成 21(2009)年)と低水準の中、同牧場の粗飼料自給率
は 100%、飼料全体の自給率も 70%と非常に高くなっています。
この取組が評価され、平成 22(2010)年第 14 回全国草地畜産コンクール((社)日本草
地畜産種子協会主催)で農林水産省生産局長賞を受賞しました。
- 32 -
(北海道における食料自給率向上の取組)
食料自給率向上に当たっては、消費者に食料自給率に関して一層の関心をもっても
らい、その意識を実際の消費行動に結びつけることが重要になります。
北海道では、消費者に対して、農産物の生産から収穫、調理や加工までを体感して
もらうことで、食や農への理解促進とともに食料自給率向上の重要性を伝え、地域産
品の消費に繋げる取組が広がっています。
事
例
都市・農村交流を図る複合的な直売所
もり
きたひろしま し
取組主体:食と農のふれあいファームくるるの 杜
北 広 島市
ホクレン農業協同組合連合会は、多くの消費者に生
産から消費までの過程を一体的に体感し食と農のつ
ながりを実感してもらうため、「食と農のふれあいフ
ァームくるるの杜」を平成 22(2010)年に開業しま
した。
くるるの杜では、直売所のほかに、新鮮な農畜産物
を使用した料理を提供するレストランが併設されて
います。
また、来場者に北海道農業の良さを感じてもらうた
め設置された体験農場には、とうもろこしや枝豆な
体験農園
ど 15 種類以上の野菜が作付けされ、種まきや収穫が体験できるほか、収穫した作物を調
理加工するための体験施設も兼ね備えています。ほ場は自由に見学ができ、子ども連れの
家族に人気となっています。
事
例
地域に根ざした食料自給率向上の取組
ま す や しょうてん
おびひろし
取組主体:(株) 満寿屋 商 店
帯広市
十勝地域でパンの製造販売を営む(株)満寿屋商店
は、十勝産の小麦を 100%使用したパンだけを販売す
むぎおとてん
る「麦音店 」を平成 21(2009)年に開店しました。
同店では、原料の小麦にとどまらず、砂糖や卵、バ
ター、小豆、野菜等についても十勝産を取り入れた 80
種類以上のパンやピザを販売しています。
また、消費者に十勝の農業をもっと身近に感じても
らうため、敷地内で小麦や野菜を栽培し、種まきから
収穫までを体験することができます。さらに、石窯を
小麦畑と麦音店
積んだ軽トラックで出張するピザ教室等も開催しています。
このような取組を通じて、十勝の素晴らしさと食材の美味しさを広めるとともに、食
を通して地域に根ざした食料自給率向上の取組を展開しています。
- 33 -
(2)フード・アクション・ニッポンの取組
(フード・アクション・ニッポン)
農林水産省では、「生産」、「流通」、「消費」のそれぞれの現場で食料自給率向
上の問題意識を認識・共有し、全ての国民が一体となり食料自給率向上の取組を進め
るため、平成 20(2008)年から、国民運動「フード・アクション・ニッポン」を推進
しています。
この運動には、食料自給率向上に関心のある多くの企業や団体等が推進パートナー
として登録し、国民運動をより具体的に推進するための協力をいただいています(図
1-5)。
図1-5
ツールを用いた店舗でのフード・アクション・ニッポンの展開例
ラウンドシート
テーブルテント
ミニのぼり
ポスター
スィングポップ
パンフレット
フード・アクション・ニッポンのホームページ
http://syokuryo.jp/
(米粉倶楽部)
「フード・アクション・ニッポン」では、平成 21(2009)年 10 月から、お米を粉末
にした米粉を通じて新しい食の可能性を広げ、食料自給率を向上させることを目的に、
「米
粉倶楽部」の活動を展開しています。
米粉は、製粉技術の進歩により、パンやケーキ、さらには麺類等に幅広く利用され、お
米の新しい食べ方として急速に脚光を浴びています。
米粉倶楽部のホームページ
http://syokuryo.jp/komeko/
- 34 -
(フード・アクション・ニッポン・北海道)
北海道農政事務所では、この国民運動を、日本の食料供給基地である北海道におい
て推進するために、「フード・アクション・ニッポン・北海道」を平成 21(2009)年
12 月に発足させ、北海道に縁のある企業や団体等、これまでに 152 団体にご加入いた
だき、北海道独自のイベント開催やホームページでの情報発信を行っています。
フード・アクション・ニッポン・北海道のホームページ
http://www.maff.go.jp/hokkaido/fanhokkaido
事 事例
例
地場産小麦による「小麦プロジェクト」の取組
えにわし
どうおうのうぎょうきょうどうくみあい
恵庭市
取組主体: 道 央 農 業 協 同 組 合
道央農業協同組合は、新品種小麦「ゆめちから」
のデビューをきっかけに、生産者をはじめ、地元
製粉会社、レストラン、パン屋、小売店等、生産
から流通、加工、販売に至る地域関係者とともに、
平成 21(2009)年5月に「小麦プロジェクト」を
立ち上げ、外国産に代わる地場産小麦を使った商
品開発と、消費拡大に向けた取組を進めています。
現在は、ゆめちから等の地場産小麦を使ったオ
リジナルパスタやパン用粉を開発・商品化し、札
幌圏、地元の直売所、レストラン等を中心に積極
的な販売活動を展開するなど、地産地消を通じた
ゆめちからを使用し開発した製品
食料自給率の向上に貢献しています。
このような取組が評価され、「第2回フード・アクション・ニッポンアワード 2010」
のプロダクト部門で優秀賞を受賞しました。
- 35 -
(3)地産地消の推進
地産地消の取組は、生産者と消費者を結びつけ、食料自給率の向上を図る上で重要
であるほか、直売所や加工等の取組を通じて、農業の6次産業化による地域の活性化
にもつながるものとして、一層の推進が求められています。
そのような中、平成 22(2010)年 12 月、農林漁業者等による農林漁業の6次産業
化と地産地消等に関する施策を総合的に推進するため、「六次産業化法 1」が公布され
ました。
農林水産省では、六次産業化法及び同法に基づき本年3月に策定した「農林漁業者
等による農林漁業及び関連事業の総合化並びに地域の農林水産物の利用の促進に関
する基本方針」において地産地消に関する基本的な事項を規定し、地域の農林水産物
の利用を促進することとしています。
(北のめぐみ愛食運動)
北海道では、生産者団体、経済団体、消費者団体などで構成する「北のめぐみ愛食
運動道民会議」(事務局:北海道庁)を中心に、地産地消や食育、スローフード運動
を総合的に推進する「愛食運動」が展開されています。
愛食運動の取組
愛食の日「どんどん食べよう道産 DAY」
北海道庁では、道内における地産地消を一層推進するため、毎月
第3土曜日・日曜日を「愛食の日『どんどん食べよう道産 DAY』」
と制定し、道産食品の販売促進やロゴマークを使用した普及啓発
活動を行っています。
北のめぐみ愛食レストラン
北海道庁では、宿泊施設・外食店のうち、北海道産食材を使用し
たこだわり(自慢)料理の提供を通じて、北海道産食材の積極的
な利用や食材の素晴らしさを消費者に伝える地産地消(愛食運動)
に取り組む店を「北のめぐみ愛食レストラン」として、316 店
(平成 23(2011)年3月末日現在)を認定しています。
(北海道内における地産地消の動向)
平成 21(2009)年度に北海道庁が道民を対象に実施した意識調査では、「地産地消
を意識して買い物をしている」との回答が約8割を占めるなど、地産地消に対する意
識が非常に高く、近年では産地直売所や農産物加工を自ら行う農業経営者が増えてい
ます(図1-6)。
これらの農業経営者は、農産物の収穫体験や調理加工体験施設を併設するなど、消
費者に農業を理解してもらうため、各地域の特色を活かし工夫を凝らした農業経営を
進めています。
1
地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律
- 36 -
図1-6
農業生産関連事業を行っている事業種類別経営体数(北海道)
単位:経営体
757
産地直売所
854
773
農産物の加工
1087
2005 年
328
観光農園
2010 年
405
79
農家レストラン
116
0
300
600
900
1200
資料:農林水産省「農林業センサス」
事
例
農家レストランと産地直売の取組
な か の のうえん
ながぬまちょう
取組主体:(有)仲野 農 園
長 沼 町
長沼町にある(有)仲野農園は、りんご等の果樹をは
じめ、野菜、米、麦、大豆等を栽培していましたが、直
売や観光部門を伸ばすために、平成7(1995)年に観光
農園の「仲野フルーツガーデン」と「ファームレストラ
ンハーベスト」を開設し、その後、自社農園の加工品を
販売する「ファームショップ」も開設しました。
自社農園で収穫された新鮮な食材を、レストランの材
料として使用するほか、観光農園での直売やジュース、
自社農園産のリンゴジュース等
ジャム等の加工品として販売しています。
また、自ら生産した農産物のほかに、周辺農家や地元商店からも材料を仕入れレストラ
ン等で活用するなど、地域振興にもつながっています。
- 37 -
(地産地消の推進に向けて)
食に対する消費者の関心が高まる中、安全で新鮮な地元食材の需要が高まっており、
北海道内各地で地産地消の取組が展開されています。しかし、個々が大規模経営であ
る道内の生産者は、都市部から遠い地域が多く、自ら生産から販売まで取り組むこと
が困難な場合も多く見られます。
道内で地産地消を推進するには、各地域の特色ある資源を活かし、地域全体が一体
となって消費者にアピールすることが重要と考えられます。
事
例
産地と消費者を繋ぐ地産地消
ハグ
さっぽろし
取組主体:HUG マート
札幌市
たぬき こ う じ
狸 小路 道産食彩協議会は、札幌市の中心部で北
海道産の農畜産物や水産物を集めた常設の直売店
「HUG マート」を平成 20(2008)年に開業しました。
店内には、道内の生産者約 280 人の農畜産物や水
産物、加工品等、約3千品目が並び、商品のほとん
どは生産者の顔写真付きで売られています。
「顔が見える道産の店」として年間 25 万人が商
品を求めて訪れ、生産者と都市住民を繋ぐ都市型マ
ルシェとして定着しています。
事
例
HUGマートの外観
地方自治体が連携して進める地産地消の取組
あさひかわし
あさひかわし
取組主体: 旭 川 市
旭川市
旭川市は、開村 120 年を記念し、平成 22(2010 年)
10 月に旭川と道北各地域の味覚を一堂に会した「開
村 120 年旭川『北の恵み食べマルシェ』」を3日間に
わたり開催しました。
約 200 店が出店し、多彩で豊かな食の供給基地で
ある道北・旭川地域の特色を全国に向けてアピール
しました。
来場者は延べ 79 万人、総売上は1億円を超え、鹿
肉料理や米粉製品等、新しい地場食材も人気を集め
ました。
- 38 -
開会セレモニーの様子
(4)包括的経済連携の推進と北海道の状況
(WTO 農業交渉の状況)
平成 13(2001)年に包括的な貿易交渉である WTO ドーハ・ラウンドが始まり、平成
16(2004)年の「枠組み合意」成立後、関税削減等の方式を決めるモダリティ交渉が
継続されています。各国の市場アクセス分野等の思惑の相違から合意には至っていま
せん。
平成 22(2010)年 11 月に行われた APEC 首脳会議等において、早期妥結への意思確
認がされてきましたが、平成 23(2011)年5月の WTO 貿易交渉委員会では、これまで
目指してきた年内一括合意を事実上断念し、一部の分野に限った部分合意を目指す方
向で議論が進められています。
我が国は、「多様な農業の共存」を基本理念として、各国の農業が発展できるよう
なセンシティビティに配慮した貿易ルールの確立を目指しています。
(我が国の EPA/FTA に関する取組等)
WTO 交渉の一方で、世界的に経済連携協定(EPA)や自由貿易協定(FTA)網が拡大
しており、我が国においても、合計 13 か国・地域と EPA を締結・署名しています。
平成 22(2010)年 11 月には「包括的経済連携に関する基本方針」
(以下「基本方針」
という。)が閣議決定され、高いレベルの経済連携を目指し、そのための適切な国内
改革を推進することとされました。
(食と農林漁業の再生に向けた取組)
また、基本方針に基づき、高いレベルの経済連携の推進と、食料自給率向上や国内
農業・農村の振興とを両立させ、持続可能な力強い農業を育てる対策を講じるため、
「食と農林漁業の再生推進本部」が平成 22(2010)年 11 月に設置されました。
北海道農政事務所では、食と農林漁業の再生の実現に向けた、持続可能な力強い農
業を育てる対策等の検討に当たり、北海道において経営の多角化に取り組む農業生産
法人、農産物の付加価値づくりに取り組む農協等の優良事例や今後の農業・農村にお
ける課題等を分析し、平成 23(2011)年 1 月に「北海道における食と農業の再生に向
けた新たな動き・提言1」として取りまとめ、本省を通じ、食と農林漁業の再生実現会
議幹事会へ報告しました(表1-1)。
1
「北海道における食と農業の再生に向けた新たな動き・提言」は農林水産省のホームページに掲載されてい
ます。http://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/tiho/110119.html
- 39 -
表1-1
「北海道における食と農業の再生に向けた新たな動き・提言」の概要
課 題
提言の概要
協業経営や法人化の促進
(1)持続可能な経 農産物の付加価値づくりや販路開拓に向けたJAの役割が益々重要
営実現のための農
食品残さや飼料用米を最大限活用した、より持続的な畜産経営を推進
業改革のあり方
耕畜連携や再生可能エネルギーの利活用を一層推進
産地段階で生産者と実需者を橋渡しする「中間事業者」を積極的に育成
(2)消費者ニーズ
に対応した食品供 学校給食の場をさらに活用
給システムのあり 加工食品などの統一ブランドづくりを一層推進
方
商品の仕入・販売・在庫管理システムの整備推進等の施設の高度化対策
(3)戸別所得補償
制度のあり方
優良事例取組主体
(有)西神楽夢民村(旭川市)
米、乳製品、麦、てんさい、でん粉原料用ばれいしょについては、引き続き一定の国境措置の維持
が必要 等
地産池消や農商工連携など6次産業化を進める上で地方自治体の役割が重要
(4)農林水産業の 日本の食文化をベースに、優れた日本食を海外にPRし、潜在的需要を開拓
成長産業化のあり
離農跡地などの農地流動化対策と新規就農者の研修・育成対策とを一体的に進め得る体制づくり
方
新規就農者に対する手厚い支援や各種手続のサポート
JA士幌町 (士幌町)
(有)ヴィクトリーポーク (仁木町)
バイオガスプラント (鹿追町)
(株)山本忠信商店(音更町)
旭川市
コープさっぽろ(札幌市)
HUGマート(札幌市)
-
江別経済ネットワーク(江別市)
JA中札内村(中札内村)
(有)浜中町就農者研修牧場(浜中町)
ブルース・ガットラヴ氏(岩見沢市)
資料:北海道農政事務所作成
(東日本大震災を踏まえた対応)
平成 23(2011)年3月に発生した東日本大震災を受け、日本再生に向けた取組を再
スタートするに当たり、その方針を提示した「政策推進指針」が同年5月に閣議決定
されました。このなかで EPA 、FTA については、「基本方針に基づく高いレベルの経
済連携推進や経済安全保障の確立等、国と国との絆の強化に関する基本的考え方を、
震災や原子力災害によって大きな被害を受けている農業者・漁業者の心情、国際交渉
の進捗、産業空洞化の懸念等に配慮しつつ、検討する」、また、環太平洋パートナー
シップ協定 1(以下「TPP 協定」という。)については、「協定交渉参加の判断時期につ
いては総合的に検討する」とされたところです。
また、「食と農林漁業再生」については、「東日本農林漁業の復興、日本の農水産物
の信認回復という新たな課題に応える方策を検討する。基本方針に定める6月基本方
針、10 月行動計画に代わる新たな工程は、日本再生全体のスケジュールや復旧・復
興の進行状況を踏まえ、検討する」とされています。
(包括的経済連携等に対する北海道の状況)
北海道は農業大国であるとともに、農業関連産業や観光等は地域経済に大きく関連
していることから、農業関係者のみならず経済関係者も、包括的経済連携の行方に強
い関心を持っています。
北海道庁においては、平成 23(2011)年 11 月、「TPP(環太平洋パートナーシップ
協定)による北海道への影響試算」を公表しました。
また、北海道の農林水産団体や経済団体、消費者団体等は、我が国の食料安全保障
及び北海道農林水産業や地域経済・雇用等への影響を踏まえ、関税撤廃を原則とする
TPP 協定への参加に反対を表明しています。
1
平成 18(2006)年にシンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイによる経済連携協定が発効し、平成
22(2010)年3月、この4か国に米国、豪州、ペルー、ベトナムを加えた8か国で、新たな「環太平洋パートナ
ーシップ(TPP)協定」の交渉が開始されました。TPP 協定交渉は、すべての品目について即時または 10 年以
内の関税撤廃が原則とされ、さらに、投資、環境、労働等幅広い分野を含む包括的な経済連携です。平成 22( 2010)
年 10 月からマレーシアが新たに交渉に加わり、現在9か国で交渉が行われています。
- 40 -
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