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「フード・マイレージ」 と食育

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「フード・マイレージ」 と食育
資料で学ぼう
「フード・マイレージ」
と食育
イギリスに「フード・マイ
したのが次の図である。
ルズ運動」というのがある。
(km)
これは、食料の消費量に、そ
の生産地からの距離を掛け
合わせた数値(フードマイル
ズ)を意識し、なるべく地元で生産された食料を消費
することを心がけ環境負荷を低減させていこうという
欧米各国の
16,000
14,000
輸入量はわが
日本
12,000
国の5∼8割
韓国
平 10,000
均 8,000
輸
送 6,000
アメリカ
距 4,000 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・イ
・・
・ス
・ ・・
ギ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・
・リ
・・・・
・
離 2,000 ・
・・
・・
フランス
・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・
0
もので、わが国における「地産地消」にもつながる取
となっている
のに対し、平
・
・
・
ドイツ
・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・
・・・
・・・
・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
食料輸入量(万t)
り組みである。
図2 各国の食料輸入量と平均輸送距離
6,000
均輸送距離は
2∼4割にと
どまっている。
これにヒントを得て、地球環境への負荷という観点
アメリカはカナダやメキシコ、フランスはベルギーな
を含め、わが国の食料輸入の実態を明らかにするため
ど近隣国からの輸入が多いのに対し、わが国の輸入食
に考案された指標が「フード・マイレージ」である。
料の平均輸送距離は約15,000kmと、東京からケープタ
これは、輸入相手国別の食料輸入量にわが国までの輸
ウンまでの直線距離にほぼ等しい。
送距離を乗じ、その国別の数値を累積した数値であり、
このように、わが国の食料輸入を特徴づけているの
単位はt・ km(トン・キロメートル)で表わされる。
は、その量の大きさもさることながら、諸外国に比べ
農林水産
かなりの長距離を輸送されてきていることにある。
0
政策研究所
1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 9,000
食料輸入と地球環境 次に、フード・マイレージを
日本
では、わが
韓国
国を含む6 アメリカ
か国につい イギリス
て、
フード・ フランス
マイレージ
億 t・km
ドイツ
を計測した。
畜産物
水産物
野菜・果実
穀物
油量種子
砂糖類
コーヒー、茶、
ココア
飲料
大豆ミール等
その他
基に、一定の仮定の下で食料輸送に伴って排出される
CO2の量を試算した。わが国の輸入食料の国際輸送の
過程で排出されるCO2の量は約1700万tと見積もられ
たが、これは、わが国国内の食料輸送に伴うCO2排出
量の倍近い量である。このように、わが国が行ってい
図1 各国のフード・マイレージの比較
る大量かつ長距離の食料輸入は、その輸送の過程で地
わが国のフード・マイレージの特徴 これによると、
球環境に対し相当程度の負荷を与えている状況がうか
わが国のフード・マイレージの総量は約9,000億t・km
がえる。
となり、これは、わが国内における1年間の全貨物輸
わが国のフード・マイレージがこのような大きな数
送量の約1.6倍に相当する。また、諸外国と比べると、
値となっている原因は、実は、私たち自身の食生活に
韓国・アメリカの約3倍、イギリス・ドイツの約5倍、
ある。食生活の急速な変化、すなわち米消費の減少と
フランスの約9倍という大きな水準にある。
畜産物や油脂の大幅な消費拡大は、結果として、栄養
次に、わが国のフード・マイレージの構成をみると、
バランスの崩れと生活習慣病の増加、国内農業の衰退
品目では穀物(51%)
、油糧種子(21%)で全体の7
と食料自給率の低下といった問題のみならず、大量の
割強を占めるとともに、輸入相手国別ではアメリカが
輸入食料の長距離輸送に伴う地球環境への負荷の増大
59%を占めている。これは、大量の飼料用トウモロコ
という問題まで引き起こしているのである。このよう
シや大豆等を遠隔地であるアメリカから輸入している
な状況を認識し、
自分の食のあり方を見直していく
「食
ためであるが、諸外国は、わが国ほど特定の品目や輸
育」が、今、私たちに求められている。
入相手国に集中していない。
出典:http://www.primaff.affrc.go.jp/seika/kankou/seisaku/
このようにわが国のフード・マイレージの大きさは
5/seisakukenkyu2003-5-2.pdf
際立っているが、これを輸入量と平均輸送距離に分割
̶9̶
(農林水産省関東農政局消費生活課長 中田哲也)
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