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介護プリセプター制度導入の意義と仕組みづくり

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介護プリセプター制度導入の意義と仕組みづくり
介護プリセプター制度導入の意義と仕組みづくり
~新入職員育成の進め方~
平成28年3月
社会福祉法人福島県社会福祉協議会
介護プリセプター普及・検討委員会
目
はじめに
次
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1.介護人材をめぐる状況
1
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2
Q.職場研修とはどういう形態があるの? ・・・・・・・・・・・・
3
Q.人材育成は誰が行うの? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3
Q.職場研修推進のポイントは?
・・・・・・・・・・・・・・・・
4
Q.職場研修推進の役割分担は?
・・・・・・・・・・・・・・・・
4
・・・・・・・・・・・・・・・・
5
Q.介護プリセプター制度導入の目的は? ・・・・・・・・・・・・
5
Q.介護プリセプターの運営体制は?
・・・・・・・・・・・・・・
6
Q.介護プリセプターの役割は?
・・・・・・・・・・・・・・・・
6
Q.介護プリセプターの機能は?
・・・・・・・・・・・・・・・・
7
2.職場研修について
3.介護プリセプター制度について
Q.介護プリセプター制度とは?
4.介護プリセプター制度導入の具体的な進め方
Q.まずはどこから取り組めばよいか? ・・・・・・・・・・・・・
8
Q.介護プリセプターの人選(業務経験年数)は?
・・・・・・・・
8
・・・・・・・・・・・・・・
9
Q.介護プリセプターの業務(役割)は? ・・・・・・・・・・・・
9
Q.介護プリセプター以外の職員の役割は? ・・・・・・・・・・・
9
Q.介護プリセプターの配置期間は?
Q.介護プリセプターのフォローの仕組みは? ・・・・・・・・・・10
Q.組織・上司の役割は? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
※介護プリセプター制度
導入・実施の流れ(例)
・・・・・・・・12
※年間スケジュール表(例) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
5.取り組み事例
①社会福祉法人心愛会(特別養護老人ホームハーモニーみどりヶ丘)・・17
②社会福祉法人湖星会(特別養護老人ホームみどりの郷) ・・・・・・34
③社会福祉法人安積福祉会(特別養護老人ホームしらさわ有寿園) ・・39
6.介護プリセプターに関するアンケート調査結果 ・・・・・・・・・・60
あとがき
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・68
介護プリセプター検討・普及委員会委員名簿
・・・・・・・・・・・・69
は
じ
め
に
日本の高齢化は世界に類を見ないほど急速に進み、2000 年には高齢者の介護政策で
ある介護保険制度が見切り発車であわただしく始まりました。介護保険はとにかく始めるこ
とが重要で実践の中でよりよいものへと改善していくことを目指しています。現在、政府は
在宅介護を念頭に「地域包括ケアシステム」の構築へとかじ取りをしているところです。
日本の現状はさらに超少子、超高齢、多死社会へ進んでいます。高齢化の問題は「速
さ」ばかりでなく、2025 年には団塊の世代が後期高齢者となり、高齢化率の「高さ」の問題
も加わり、ますます深刻化してきています。また、地域差も大きく、少子化や多死の影響も
重なっています。地方では高齢化とともに女性や子どももいなくなり、人口減少で自治体
自体が消失するのではないか、都市では一気に高齢化が高まるのではないかとの危惧も
生まれています。
厚生労働省は平成 26 年に「2025 年に向けた介護人材にかかる需給推計」を発表し、
37.7 万人の介護職が不足するとしています。これをどう克服するかが今後の課題と言えま
す。しかし、未だ他産業に比べ離職率は高いという現実があり、職員の処遇改善や雇用
環境の充実が急がれていますが功を奏してはいません。さらに、福島県においては東日
本大震災と震災による原子力発電所の事故が介護人材不足に拍車をかけることとなりまし
た。
その現状に対し、介護職の定着をはかり人材の確保につながるよう、介護プリセプター
検討・普及委員会が始まりました。委員会メンバーは介護分野に入ってきた新人たちが職
業人としてやりがいを持って仕事が続けられる支援としてプリセプター制度は重要であると
考えています。介護は人であり、人を育てることは自分を育てることであり、そのことによっ
て、介護現場が元気になり、働きやすい職場になるのではないかと考えています。さまざま
な施設でとにかく実践してもらいたいとの思いで、実践事例を提供し、わかりやすく、現場
で実践できる研修を実施させていただいてきました。その実践も 3 年が経過しようとしてい
ます。
そこで、今までの活動を振り返りまとめるにあたり、単なる報告書の作成にとどまるので
はなく、成果を各施設、事業所の方々の人材育成のために利用してもらいたいと考えまし
た。そして、新入職員育成の具体的なアドバイスをまとめようという意見が委員会の中でま
とまりました。
今回作成させていただいたこの「介護プリセプター制度導入の意義と仕組みづくり」が皆
様のお手元でプリセプター制度の導入にお役立てできればこの上ない喜びです。
介護プリセプター検討・普及委員会
委員長 芝田郁子
-1-
1.介護人材をめぐる状況
超高齢社会の進展に伴って、福祉・介護のニーズは年々拡大しており、その
担い手である福祉・介護人材への関心や期待は大きくなっています。しかし、
福祉、とりわけ介護の現場で働く人材の不足が社会的な問題となっており、今
後どのように確保していくかが課題となっています。
急速に進む少子高齢化を背景として、満15歳以上65歳未満の生産年齢人
口が減少を続けています。生産年齢人口の減少は、社会の活力の維持や労働力
確保の面において大きな社会問題となっています。
厚生労働省によると、介護保険制度がスタートした平成12年には54.9
万人だった介護職員数は、平成23年には139.9万人と10年間で約2.
5倍になっており、団塊世代が75歳を超える平成37年には、257万人の
介護人材が必要と推測されています。
福島労働局によると、平成27年11月期の介護関連職種の有効求人倍率は
2.98倍となっており、福島県社会福祉協議会福祉人材センターの有効求人
倍率も平成27年11月末で4.37倍となっています。この数値からも、本
県においては、東日本大震災後の影響もあり、福祉・介護人材の確保が一層困
難な状況となっていることが伺えます。
また、介護労働安定センターの介護労働実態調査(平成26年度)をみると、
福島県の介護職員の離職率は14.1%、そのうち1年未満に離職した職員は
38.4%となっています。本県においても早期離職の防止や定着促進が大き
な課題となっていることが伺えます。
このような状況下にあって、介護保険施設等においては、
「育成・定着」に向
けて職員の採用から積極的に取り組んでいく必要があります。職員を雇用する
施設・事業所には、採用した職員が、長く活き活きと職場で働けるような環境
を整えることが求められます。
働きやすい職場環境の整備には、適正な労務管理や待遇改善の他にも「成長
が実感できる教育の仕組み」「円滑な人間関係の仕組み」「目標やキャリアパス
を描きやすい仕組み」「施設・事業所の理念や方針の浸透」「ミドルマネージャ
ーの育成」などが必要となってきます。
-2-
2.職場研修について
ここでは、人材育成を推進する職場研修の考え方を整理します。
Q.職場研修とはどういう形態があるの?
A.人材育成を行うための職場研修は、次の3つの形態で実施します。
① OJT(職務を通じての研修)
職場の上司(先輩)が、職務を通じてまたは職務と関連させながら部下(後
輩)を指導・育成する研修
② OFF-JT(職務を離れての研修)
職務命令により、一定期間日常業務を離れて行う研修。職場内の集合研修
と職場外研修への派遣の2つがある。
③ SDS(自己啓発援助制度)
職員の職場内外での自主的な自己啓発活動を職場として認知し、経済的・
時間的な援助や施設の提供などを行うもの。
新入職員の育成は、主に①のOJTが基本となると考えられますが、上記①
②③を一体的に実施することが望まれます。
Q.人材育成は誰が行うの?
A.職場が人材育成の責任単位となります。
人材育成は、本来、経営管理の重要な柱の1つです。組織の使命・目標を達
成するために、経営資源の1つである「人材」をどのように育成していくかと
いうことは、それぞれの組織が固有に取り組まなければならない課題です。
「人
材育成の責任単位は職場である」という認識に立って人材育成を推進しくこと
が大切です。
-3-
Q.職場研修推進のポイントは?
A.求められる職員像を明確に描くことが大切です。
人材育成を効果的に推進するためには、組織の理念や目標を踏まえて「求め
られる職員像」を明確に描いておく必要があります。そのためには、職員の職
種や階層ごとに職務の「専門性」と「組織性」に着目しながら、
「~を行う」
「~
ができる」というように具体的な実践行動のレベルで表現して描くことが大切
です。求められる職員像を明確にすることで、習得しなければならない価値観
や知識、技術などが具体化され、職員個々の研修課題や到達目標も明らかにな
ってきます。
Q.職場研修推進の役割分担は?
A.職場研修の実施体制を構築する必要があります。
人材育成を行うための職場研修を推進するためには、研修担当者を選任し、
権限や役割を明確にしておくことが大切です。研修担当者の選任は、人材育成
の責任者である経営者が行います。職務適正からみれば、利用者サービスの第
一線を担う職員を効果的に指導できる職員を当てることが望まれます。研修担
当者には、1人ひとりの職員の成長を願う「心」が不可欠です。
「福祉の職場研修マニュアル(全国社会福祉協議会)」より一部抜粋・加筆修正
-4-
3.介護プリセプター制度について
ここでは、介護プリセプター制度の意義や目的について整理します。
Q.介護プリセプター制度とは?
A.ここでは介護プリセプター制度を「介護職として雇用された新入職員に対
し、一定期間、先輩職員がマンツーマン(実践的な実務習得+メンタルケ
ア)で指導する仕組み」と定義します。
また、指導者(先輩職員)を「プリセプター」、新入職員を「プリセプティ
ー」と呼びます。
他にも「エルダー制度」
「チューター制度」など呼称は様々ですが、先輩職員
がマンツーマンのOJTによる業務スキルの習得を現場でより実践的に行うこ
とと、身近な先輩職員が職場生活上の不安や悩み等のメンタルケアを行う制度
です。
Q.介護プリセプター制度導入の目的は?
A.各法人・施設において取り組む介護プリセプター制度は、新入職員の早期
離職の防止と定着促進が大きな目的となります。
新入職員は、就職して初めての体験、新しい環境が一度に押し寄せてきて、
パニックになり、リアリティショックを受けることがあります。また、業務上、
自分自身では表現しにくいこともあり、欲求不満も高まってくるため、自分を
サポートしてくれる人を求めます。
また、介護プリセプター制度に加えて、中堅以上の介護職員も含めた職員個々
が、自分の成長を実感できる組織全体の人材育成の仕組みを構築しなければな
りません。
-5-
Q.介護プリセプターの運営体制は?
A.介護プリセプターのみが担当するのではなく、介護プリセプターをフォロ
ーする役割や進捗状況を管理するなど、職場全体で運営する体制が必要です。
介護プリセプターの仕組みをうまく機能させるためには、現場に任せきりに
してしまうのではなく「何を」「どのレベルまで」「いつまでに」「どのように」
教えるのかということを明確にしておくこと(OJTに活用する指導項目のチ
ェックリスト、スケジュール表、指導マニュアルなどを整備)や先輩職員に対
して「教え方」の教育をすること、さらに、先輩職員の指導状況、進捗状況を
管理する上位者の役割も重要です。
新人教育には、先輩職員の担当する新入職員の人数の問題もあります。一人
の先輩職員が、一人の新入職員を受け持って指導をするという形が一般的です
が、一人の先輩職員が複数の新入職員を受け持って指導するという形もありま
す。後者の場合、一人の先輩職員に負荷がかかり過ぎ、先輩職員と新入職員の
密度が薄くなるなど、当初の制度のねらいがうまく機能しなくなることも想定
できます。そうならないためにも、担当する新入職員の人数、配置、ペアリン
グなどに十分に配慮する必要があります。
Q.介護プリセプターの役割は?
A.介護プリセプター(先輩職員)の役割は、①新入職員が、より早く職場に
適応できるように援助し、②新入職員が介護職員としての自覚と責任をも
って働けるよう支援することです。
介護プリセプターは、主に経験年数が5年以下で日常業務遂行能力のある職
員が担当することが望ましいと考えます。半年から1年間の細かい指導内容が
組織で決められており、新入職員が1人前の介護職として自立できるよう計画
し、実践していきます。
介護プリセプターにとっては、自己の介護を振り返り、あらためて介護に関
心を高める機会となることが大きなメリットとなります。
-6-
Q.介護プリセプターの機能は?
A.介護プリセプターの機能は、以下のように整理することができます。
1.上司補佐としての機能
(1)経営方針・理念と教育目標・方針の関連理解
(2)フロアーリーダーの目標・方針の指示を受け、実施計画に反映
(3)業務・指導マニュアルの改善・整備に関する提案
(4)指導状況を報告し、指導や助言を求め、さらに問題があれば、上司に
よる面接を要望
(5)中間評価をし、上司の評価や指導を仰ぐ
(6)次のステップの計画を出し、調整
(7)上司を通じ、施設内教育委員会へ新人や自己の集合教育の機会を提案
依頼
2.新入職員への役割機能
(1)指導計画を立案・実施
(2)学習への動機づけ
(3)評価と励まし
(4)評価後のフォロー
(5)成長段階で常に精神面で支えとなる
(6)計画のずれの調整
(7)社会人としての手本
3.職場メンバーへの役割機能
(1)代行指導者へ指導依頼
(2)代行指導者へ経過状況や指導内容などを伝達
(3)代行指導者からの報告を受ける
(4)新人の学習テーマをオープンにし、職場メンバーの協力ポイントを
明示
(5)他のプリセプターに助言や支援
(6)新人に状況報告を「私の努力目標」として宣言させ、協力体制づくり
(7)プリセプター会議で報告し、アドバイスや協力を依頼
-7-
4.介護プリセプター制度導入の具体的な進め方
ここでは、より具体的な進め方を整理します。
Q.まずはどこから取り組めばよいか?
A.新入職員に対し何を指導するのかを法人・施設で明確にする必要がありま
す。
職場研修を進めるに当たっては、法人や施設・事業所の理念や方針等組織と
しての考えを各職員に伝えることが重要になります。
そして、介護プリセプター制度を何のために導入するのか、どのような育成
や効果を期待するのか等、求められる人材像を明確にする必要があります。
同時に、介護プリセプターや対象となる新入職員以外の職員にも介護プリセ
プター制度の趣旨などを理解してもらうことが必要です。
このように考えると、介護プリセプター制度の導入は、組織として進めてい
くことになりますので、職場研修計画と一体的な展開が求められます。(P.3
「2.職場研修について」参照)
Q.介護プリセプターの人選(業務経験年数)は?
A.業務経験5年以内で業務遂行能力のある介護職員が目安です。
県内では業務経験が「3~5年」の職員を配置するところが多いです。(P.
62「問4 プリセプターの業務経験年数」参照)
この年数は「中堅職員」にあたり、新入職員の評価を行うことも考慮すると、
ある程度の経験年数と業務遂行能力が必要と考えます。
法人や福祉施設・事業所の職員数や体制によるところもありますが、
「中堅職
員」を配置することが望ましいと言えます。
また、マンツーマン体制とする方法のほか、複数の介護プリセプターを配置
し、チームでの指導体制とする方法もあります。
-8-
Q.介護プリセプターの配置期間は?
A.12ヶ月以内が目安です。
県内では「7~12ヶ月」を配置期間とするところが多く、12ヶ月を超え
る配置は見られません。(P.62「問5 プリセプターの配置期間」参照)
到達目標を設定する上でも、配置期間の目安としては「12ヶ月以内」が望
ましいと言えます。
Q.介護プリセプターの業務(役割)は?
A.以下のような業務(役割)があります。
①新入職員に対しては、基本的な業務指導だけに留まらず、よい相談役として
の役割も必要です。特に新卒職員の場合は社会人としての悩みへのフォロー
も必要です。
②また、新入職員と職場(他職員)とをつなぐ役割もあります。円滑な人間関
係が気づけるようなサポートも大事です。
③そして、介護プリセプター実施について職場(上司)への報告が伴います。
Q.介護プリセプター以外の職員の役割は?
A.職場の介護プリセプター制度の趣旨等を理解し、制度を踏まえた関わり方
が必要です。
介護プリセプターだけに任せるのではなく、介護プリセプターや新入職員を
フォローする姿勢が大事です。
そのためにも、法人・施設は全職員に対し、求められる職員像や介護プリセ
プター制度の理解を促し、職場全体で共有する努力が必要です。
-9-
Q.介護プリセプターのフォローの仕組みは?
A.介護プリセプター制度の進捗状況をチェックする仕組みや介護プリセプタ
ー自身をフォローアップの仕組みが必要です。
県内では育成度を図るために「チェックシート」を作成しているところが多
いです。(P.62「問6 育成度を図るためのチェックシートの作成」参照)
また、介護プリセプターをフォローアップする仕組みを整備しているところ
も多いです。
(P.63「問7 育成度を図るためのチェックシートの作成」参照)
介護プリセプター制度を機能させていくためには、介護プリセプターとなる職
員へのフォローアップの体制が必須です。
県内では常時上司に相談できる形を作っているところが多いです。
(P.63「問
8
フォローアップの具体的な仕組み」参照)
単に常時上司に相談できる体制を作るのではなく、相談できる雰囲気も伴い
ます。上司等との定期的なミーティング等を行うことと併せ、介護プリセプタ
ーに対する精神面でのフォローが欠かせません。
また、介護プリセプター同士のミーティング等も良いでしょう。
Q.組織・上司の役割は?
A. これまで述べてきたように、介護プリセプターとなる職員にすべてを負担
させるのではなく、チェックシートやマニュアル等を作成・活用し、進捗
状況の確認が必要です。
介護プリセプター制度を効果的なものにするためには、組織全体として新入
職員を育成しているという体制を整備しなければなりません。
そして、定期的に見直しを行い、法人や施設、あるいは新入職員の状況に合
わせて柔軟に実施することも大切だと言えます。
-10-
(介護プリセプター導入のポイント)
1.目標管理の視点で進める
(1)求められる課題の共有
新入職員の育成モデル ―
能力指標
期待される職務の目的、成果責任、業務指標、
(2)学習・指導の共同目標設定
介護プリセプターの指導計画を提示
(3)個人目標の設定
年間計画に新入職員自身が1か月ごとの短期目標を作成
(4)進行状況の確認と調整
上司等が週1回のミーティング等を通じてサポート
2.段階的育成計画の立案
仕事の技能特性を踏まえた意図的なもので、段階的に経験をさせ、指導
※作成前に仕事の分類表を作り、仕事を整理する
3.指導実施計画書の作成
全体の進展を調整する実行計画書
4.評価
(1)考え方:習得してきたものを確認するとともにフィードバックを行う
新入職員と一緒に考え、励ます姿勢で評価
(2)時期:到達目標は1年間で到達するもの(到達内容・時期を設定)
就職後1か月、3か月、6か月、1年を目安とする
(3)評価方法:自己評価 + プリセプターや教育担当による他者評価
チェックリストを用いる
総括的評価は各部署の所属長が行う
5.研修手帳(研修ファイル)の活用
自ら目標を持ち、獲得した能力や成果を蓄積するために、研修手帳の利用
が効果的である。
(1)効果:成長記録、経験の蓄積の可視化、他者へ経験を伝える手段
(2)内容:将来目指すもの、今年度目指すもの、そのためのプラン
チェックリストなど
参考文献
○全国社会福祉協議会(2008)
「介護施設・事業所のための戦略的な採用と初期の定着促進の手引き」
○永井則子(1999)
「プリセプターシップの理解と実践:新人ナースの教育法」日本看護協会出版会
○永井則子(2013)
「新・プリセプター制度<改訂2版> パッと見てわかる・チームで支える」
メディカ出版
-11-
☆介護プリセプター制度
導入・実施の流れ(例)
ここでは、
「準備」から「実施」を経て「評価」までの流れの例を紹介します。
Ⅰ.準備
Ⅱ.実施
チェック
Ⅲ.評価(見直し)
次年度の準備
フォローアップ
Ⅰ.準備
(1)新入職員の育成計画を立てる
①介護プリセプター制度によって新入職員に何を習得させるか、どのレベ
ルまで習得させるか等目標を立てる。
ポイント⇒
○法人や施設の理念・方針等を踏まえての目標とする。
○何のために導入するのか等法人・施設の目的を定める。
○他の研修計画等とともに全体の職場研修計画と一体的に。
(2)仕組みづくり
①介護プリセプターの役割(業務)を決める。
ポイント⇒
○基本的な業務の指導と相談役とする等役割を明確にする。
○各種シートの使い方や評価方法、報告方法等を整理する。
②介護プリセプターの配置期間を決める。
ポイント⇒
○法人・施設の体制や目標に応じた必要な配置期間を設け
る。
③業務チェック(達成度確認)シートを作る。
ポイント⇒
○項目一つ一つをチェックできるようなシートを作る。
○業務だけではなく、勤務態度(接し方、意識等)のチェ
ックも含める。
※業務チェックシート→P.36~38 参照
-12-
④評価シートを作る。
ポイント⇒
○指導の評価欄だけではなく、本人の自己評価欄も盛り込
んだシートとする。
※評価シート→P.19、20、55 参照
⑤介護プリセプターの選定基準や体制を整える。
ポイント⇒
○業務経験年数や業務遂行能力等を踏まえての基準を作る。
○マンツーマン方式にするかチーム方式にするか等の体制
を考える。
⑥育成度チェックの仕方、評価の仕方を整える。
ポイント⇒
○3ヶ月後、半年後、1年後等定期的な進捗状況をチェッ
クする仕組みを作る。
○新入職員の評価をどのような形(面談、会議等)で行う
のか、誰が行うのか等を決める。
⑦介護プリセプターの育成やフォローアップの仕方を整える。
ポイント⇒
○研修や会議の実施方法を決める。
○随時報告・相談できる環境を整える。
○介護プリセプターに任せっきりにならないような仕組み
を考える。
⑧新入職員のフォローアップの仕方を整える。
ポイント⇒
○新入職員自身の意見・感想を聞いたり、介護プリセプタ
ーとの相性を図るようなフォローアップの仕組みを考え
る。
(3)周知・選定
①策定した介護プリセプター制度の周知と理解促進を図る。
ポイント⇒
○何のために行うのか、どういう方法で行うのか等、介護
プリセプターだけではなく、全職員に周知し理解促進を
図る。(必要に応じて随時行う)
○当事者に任せっきりにならないよう、他職員に対して介
護プリセプターや新入職員へのフォローアップや他職員
の立場を説明する。
-13-
②介護プリセプターを選定する。
ポイント⇒
○役割や方法等を説明し、選定した理由、フォローアップ
の仕方等しっかりと説明する。
③新入職員への説明を行う。
ポイント⇒
○制度を説明し、目的や目標、フォローアップの仕方等し
っかりと説明する。
Ⅱ.実施~チェック・フォローアップ
(1)育成度チェック
①業務チェック(達成度確認)シートにより進捗状況をチェックする。
ポイント⇒
○定期的なチェックを行い、介護プリセプターと新入職員
に対し、それぞれ必要に応じた指導・助言を行う。
②評価シートによりチェックする。
ポイント⇒
○定期的な評価を行い、介護プリセプターと新入職員に対
し、それぞれ必要に応じた指導・助言を行う。
(2)フォローアップ
①介護プリセプターへのフォローアップを行う。
ポイント⇒
○定期的な面談や会議により介護プリセプター制度の課題
等を聞きとる。
○その課題等に対して一緒に考える機会を設け、取り組む。
○制度上の課題の解決だけではなく、介護プリセプター自
身の精神的なフォローアップも心掛ける。
②新入職員へのフォローアップを行う。
ポイント⇒
○定期的な面談や会議により、特に育成度チェックでは測
れない部分や課題等を聞きとる。
○その課題等に対して一緒に考える機会を設け、取り組ん
で行く。
○制度上の課題の解決だけではなく、新入職員の精神的な
フォローアップも心掛ける。
-14-
(3)見直し
①配置期間内であっても必要な改善を行う。
ポイント⇒
○上がっている課題等については、必要に応じ改善し実行
する。
○介護プリセプターの指導方法や新入職員との相性等で問
題があれば、別の介護プリセプターを配置したりする等
柔軟に対応する。
②他職員へ周知する。
ポイント⇒
○改善等があれば、随時他職員へも周知し、理解促進を促
す。
○職場全体で新入職員を育成していることの意識を持たせ
る。
Ⅲ.評価(見直し)~次年度の準備
(1)評価(見直し)
①新入職員の育成度を評価する。
ポイント⇒
○各シートや介護プリセプターの評価、新入職員の自己評
価等から総合的な評価をする。
②介護プリセプター制度を評価する。
ポイント⇒
○面談や会議等を通じ、チェックシートの内容、評価のあ
り方、フォローアップの仕方等制度自体の評価を行い、
次年度へ向けた改善を図る。
○介護プリセプター制度の効果や課題を明らかにし、職場
研修計画全体の改善や人材育成の方針等へフィードバッ
クする。
③他職員へ周知する。
ポイント⇒
○改善等があれば、随時他職員へも周知し、理解促進を図
る。
-15-
年間スケジュール表(例)
新入職員
(プリセプティー)
介護プリセプター
上司(組織)
・職場の理念や人材育成の方 ・新入職員の育成計画を立てる。
針、介護プリセプター制度
・仕組み作り
を理解する
・他職員への周知、介護プリセ
プターの選定
準備期
開 始
4月
・業務習得と遂行
・各シートの記入、報告
・業務チェック
・評価シートチェック
・指導、助言、相談
・業務チェック
・評価シートチェック
・指導、助言、相談
1 ヶ 月 面 談
5月
・業務習得と遂行
・各シートの記入、報告
・面談結果に基づく改善
・業務チェック
・評価シートチェック
・指導、助言、相談
・面談結果に基づく改善
・業務チェック
・評価シートチェック
・指導、助言、相談
6月
3 ヶ 月 面 談
7月
・業務習得と遂行
・各シートの記入、報告
・面談結果に基づく改善
・業務チェック
・評価シートチェック
・指導、助言、相談
・面談結果に基づく改善
・業務チェック
・評価シートチェック
・指導、助言、相談
8月
9月
6 ヶ 月 面 談
10月
・業務習得と遂行
・各シートの記入、報告
・面談結果に基づく改善
・業務チェック
・評価シートチェック
・指導、助言、相談
・面談結果に基づく改善
・業務チェック
・評価シートチェック
・指導、助言、相談
11月
12月
1月
2月
3月
12 ヶ 月 面 談
・自己評価と振り返り
・介護プリセプター制度
評価期 への評価
・介護プリセプターへの
準備
・新入職員の評価
・新入職員の評価
・自身の評価と振り返り
・介護プリセプターの評価
・介護プリセプター制度への評 ・介護プリセプター制度への評価
価と必要事項の改善
と必要事項の改善
-16-
5.取り組み事例
ここでは、介護プリセプター検討・普及委員会委員となっている社会福祉法人(施
設)の事例を紹介します。各法人・施設における介護プリセプターの導入や見直しの
参考にしていただければ幸いです。
★取り組み事例①
法人名
社会福祉法人
心愛会
施設名
特別養護老人ホーム
ハーモニーみどりヶ丘
1.法人・施設の概要
法人名(施設名)
社会福祉法人
所在地
郡山市緑ヶ丘東六丁目26番地2
事業分野
高齢
心愛会(特別養護老人ホーム ハーモニーみどりヶ丘)
障がい
児童
その他(
法人設立年月日
平成12年10月 5日
利用定員数
70名(特養60名 ショート10名)
72 名【介護職員 46 名
職員数
員1名
ケア 2 名
理念
)
平成28年1月1日現在
看護職員 5 名 介護支援専門員 1 名
生活相談
管理栄養士(栄養士)2 名 機能訓練指導員 1 名 ミュージック
調理員 7 名
事務員 2 名
施設長
副施設長
送迎員 2 名】
一人ひとりが大切にされ、生きる喜びの分かち合える社会を目指します
2.プリセプター制度導入の経緯(背景)
・新規事業開始や離職に伴い、慢性的な人材不足がみられた。
・中堅職員不在。経験年数の浅い職員が多く、ケアの質の低下が見られた。
・他の職種からの中途採用者、新卒学生共に教育するシステムが構築されておらず、それぞれの
リーダー(直属の上司)に教育が一任されていた。
・職員から、もっと質の高いケアをしたい、介護における不安を軽減したい等の訴えがあった。
上記により、教育システムを確立することで、質の高いケアを提供する事と安心して働ける環境
を整備する事により、やりがいが増え職員の定着につながるものと考え導入に至りました。
3.制度の概要・特徴(プリセプターの経験年数、配置期間等)
・職員一人一人に目標管理シートを作成し、年間を通して確認、評価、振り返りを実施。
・各ケアに関しては法人で手順書を作成しており、その手順に基づいて指導している。
・指導担当者は、経験年数 3~4 年程度の職員で、指導期間は、新卒者に関しては 1 年、中途採
用職員に関しては、本人の習得状況に応じてであるが、おおよそ半年程度。
・指導期間中は、指導チェックシートに基づいて習得状況をチェックする。指導担当者、新人と
-17-
もに確認するとともに困りごとなども記入できる様式を使用している。
・必要時には、ユニットリーダーを含めて面談を実施する。
4.プリセプターの役割(業務)
・基本的な業務の指導と新人職員の相談役
・目標シートの目標設定と評価、確認
・新人の業務習得状況を上長へ報告、指導上の相談等
・エルダー(指導担当者)研修を通して、指導担当者間の問題共有、解決策の検討を行う
5.プリセプターのフォローアップの仕組み、育成チェックの仕組み
・フォローアップ…四半期に一回施設内研修への参加を通して、指導担当者としての役割の理解、
根拠あるケアの擦り合せ、指導を通して感じた問題点の共有と解決が図れる
ようにしている。また、外部の関係研修への参加をしている。
・育成チェック…一日の指導を通したチェック表を新人職員が記入し、指導担当者のチェックと
アドバイスを記載する。また、不明な点や不安、悩みなども自由に記載するこ
とが出来、お互いに確認するとともに、リーダー(直属の上長)も確認してい
る。指導の進捗状況をリーダーと確認しながら指導の期間、方法を検討するな
ど、報告・連絡・相談を受ける体制を常時とっている。
必要に応じては、介護主任や施設長との面談の機会を持つこともある。
6.プリセプター制度導入の効果
・新人職員は、業務上の不明な点、不安なことなど相談する者が明確で不安が軽減されたことに
より、安心して働けるようになったと思われます。
・指導担当者が教える責任を感じ、自覚が芽生え指導担当者自身の介護力向上に繋がった。
・職員の定着が促された。
・職場内の先輩後輩間の関係性が良くなった。
7.今後の課題・改善策等
・エルダー(指導担当者)研修を含めた施設内研修の内容の検討、見直し
→新人職員、中堅職員等スキル別の研修体制の整備
・専門職を含めたすべての職員の意識改革
→施設全体で新人を育てる意識を持ち、併せて自分自身の職務姿勢の再確認
8.その他(参考資料・各種様式等)
別紙のとおり
-18-
指導チェック表(周辺業務)
勤務: ( 日目) 年 月 日
評価 ◎:一人でできる ○:まぁまぁできる △:もう少し ×:再指導
項目
本人評価
指導者
感じた事・困った事を記入(新人)
指導が必要な事を記入(指導者)
指導評価
名前と顔の一致
回覧物確認
申し送り確認
食器洗い・食器片付け
リネン交換
居室清掃
洗濯
洗濯後の衣類整理
お客様食器把握
アクシデント対応
日常生活記録記入
【備考欄】
-19-
指導チェック表
勤務:
( 日目)
評価◎:一人でできる
◯:まぁまぁできる
項目
本人評価
年
感じた事・困った事を記入(新人)
指導が必要な事を記入(指導者)
指導評価
回覧物、申し送りの確認
申し送り
起床
準備
配膳
摂取介助
片付け
服薬
確認
介助
排泄
トイレ
オムツ
入浴
日
△:もう少し ×:できない 指導者
名前と顔の一致
食事
月
個浴
機械浴
清拭
バイタル測定
口腔ケア
就寝
リネン交換
居室清掃
洗濯
洗濯物整理
アクシデント発生時対応
記録
【備考欄】
・個別対応のところでどうなのか?
・新人が不安に思っていること
・どういった所が指導が必要なのか?
・課題等
各勤務指導(夜勤以外)
1回目→
指導者実技(注意点の説明)
2回目~3回目
一緒に介助指導(注意点の復習・確認指導)
4回目→
一人で介助し、指導者確認(誤り部分の修正)
5回目→
最終確認(再度注意点・修正点の確認
-20-
エルダー制度
導入の経緯と効果
特別養護老人ホーム ハーモニーみどりヶ丘
副施設長 永嶋 千恵
エルダー制度導入までの経緯
心愛会(郡山方部)沿革
平成18年10月
特別養護老人ホーム
開設
平成19年2月
ディサービス
平成20年4月
認知症対応型共同生活介護
開設
小規模多機能型居宅介護
開設
平成21年6月
同上
開設
平成23年4月
同上
開設
平成25年2月
同上
開設
平成25年11月
地域密着型特別養護老人ホーム
開設
現場からの声
異動で中堅職員が不在…新人で介護するしかない…
↪
成熟したケアが出来ない
即戦力も大事だけど…じっくり育てたい!
↪
最低限の指導だけで、独り立ちさせている
自分たちもしっかりと教育して欲しかった…
↪
不安の中でのケアが辛い
職員の定着に向けて
それまでの新人(新卒者)指導は…
入職前の新人研修(5日間)
+
ユニットでの業務、ケアの伝達
↪
継続的な指導体制の不備
法人全体での取り組み
・ステップアップシートの導入
年間の目標設定と評価・振り返りを行う
上司との面談を行うことで相互理解が進む
・手順書の作成
基本的なケア手順をリスクマネジメントの視点を
含めて作成し、指導時のポイントを絞れると共に
現状の確認ができる
手順書
入浴介助
必要物品
(入浴介助一部抜粋)
入浴とは、身体の清潔を保ち、身体を温め血行を促進し、蓄積された疲労を取り除き
心身機能を高める行為である。また新陳代謝を促進し、老廃物の排出を助け、心身をリラックスさせる効果がある。
椅子、衣類かご、衣類、バスタオル、浴用タオル、補助具(シャワーチェア・バスボードなど)
介助の流れ
健康チェックをする
1
浴室の準備をする
2
手 順
ポイント・想定されるリスク
①バイタル測定
②いつもと違う等の気付き(異常があれば看護師へ報告)
②異常に気付かず入浴をすると更に悪化
③食後1時間位は入浴を避ける
③食後すぐの入浴は消化不十分の為、嘔吐しやすい
①湯温は38~42℃
②浴室・脱衣室の室温:24~26℃位(季節に合わせて)
②温度差があると意識消失、心疾患等の危険あり
③必要物品があるかどうかの確認
3
4
衣服の準備をする
脱衣室まで移動する
脱衣をする
①自己決定を尊重し、お客様と一緒に準備をする
①不足な物を途中で取りに行き、一人にすることで転倒・
(体調や気候に配慮する)
転落・溺水の危険あり
①その人に合わせた移動手段で安全に移動する
①皮膚状態の観察をする
①脱衣の際、表皮剥離や内出血を発生させてしまう
危険あり
5
②麻痺のある場合は、脱健着患の原理原則に沿って行う
②無理に脱衣させると爪の剥離・脱臼・骨折の危険がある
(ご自分でできるところはしていただく)
③不必要な露出を避ける
浴室に移動する
6
①足元に注意
①床が濡れていると滑りやすいため転倒の危険がある
②シャワーチェアを温めておく
③シャワーチェアが動かないよう押さえ、座っていただく
③ シャワーチェアが動いてしまうと、転落・尻もちをつく
危険がある
法人全体での取り組み
・介護技術コンクールの開催
チーム代表者(経験2~3年目)に
よって競われる技術コンクール
チームごとに課題を練習することで
チームワークが養われる
施設での取り組み
・新人教育の見直し
法人主催の新人研修(5日間)
入職後の手順書に基づいた施設内研修(2日間)
指導チェックリストを活用
年間を通しての新人研修の開催
エルダー等によるOJT
外部研修への参加
施設での取り組み
・エルダー研修の実施
指導者としての心構え
指導方法の擦り合わせ
上司(リーダー等)との
連携方法
指導を通しての感じた
想いの共有
エルダー制度導入後の効果
~介護職員アンケートをもとに~
エルダー制度導入前後で変化は感じますか?
無回答
18%
感じない
感じる
3%
40%
どちらともいえない、感じな
い、無回答の内83%はエル
ダー制度導入以前を知らない。
(入職後4年未満)
以前より在籍する職員の8割
は変化を感じている。
どちらともいえな
い
39%
新人として指導を受けた時期に
相談をしていましたか?
していない
3%
していた
97%
新人の時の相談相手は?(複数回答あり)
その日の指導者
同じチームの職員
相談しやすい職員
エルダー(教育担当者)
頼りになる先輩職員
リーダー
年齢が近い、同性の職員
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
仕事に対する疑問や相談は
具体的にどんなことですか?(複数回答あり)
委員会活動
自分が出来ていないところ
提供しているケアの根拠(理由)
さまざまな書類の書き方等
不安に感じていること
お客様の対応
業務のこと
技術よりも仕事の流れ
0
2
4
6
8
10
12
14
新人を指導の際、相談や報告は
していましたか?
していない
11%
していた
89%
16
18
20
新人指導の際の相談相手は?(複数回答あり)
先輩職員
指導についている職員
同じチームのエルダー
介護主任
自分の担当エルダー
リーダー
0
5
10
15
20
25
新人指導時の相談内容は?(複数回答あり)
言葉使いをはじめとする生活態度の指導について
指導するにあたって特別なケース(順調に指導できない)とき
独り立ちできるかの見極め
新人が抱えていた不安や悩み
指導の進捗、新人の様子、指導していく中で迷ったこと
自分の指導方法が間違っていないかなどの擦りあわせ
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
現在のエルダー制度での評価できる点(複数回答あり)
エルダーとリーダーが情報を共有することで問題が解決しやすい
エルダーも責任感がでる
指導チェック表ができ、達成度が目に見えて分かりやすい
しっかりと仕事が覚えられる程度の期間が設けられている
不安な点を遠慮せず聞くことが出来る
指導するに当たり、エルダー自身も確認ができる
細かいことまで教えてもらうことが出来る
指導が一貫している
年齢が近く、相談しやすい
エルダーがよく相談に乗ってくれるなど安心できる
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
現在のエルダー制度の改善が必要な点(複数回答あり)
エルダーの負担感
指導期間が短い
エルダーの責任感に差がある
エルダーと勤務の合わないところがある
年齢が近いため、友達感覚になってしまうエルダーもいる
エルダー以外の中堅職員の教育
新人とエルダーの相性
エルダーのスキルにばらつき
指導に違いが生じることがある
0
1
2
3
4
5
6
7
今後の課題と取り組み
研修体制の見直し
・エルダー研修の見直し
社会人としての姿勢、基本的なマナーの確認
エルダーとしての役割の明確化
介護技術の向上
指導方法の擦り合わせ
研修体制の見直し
・中堅職員研修
中堅職員としての役割の明確化(リーダー補佐)
根拠に基づいたケアの習得
チームを意識したコミュニケーション技術
スキルに応じた外部研修への参加
研修体制の見直し
・新人研修
中途採用職員の研修、指導体制の確立
社会人としての姿勢、基本的なマナー
コミュニケーション技術の習得
人を育てる職場風土づくり
・専門職を含めたすべての職員の意識改革
施設全体で職員を育てる意識を持つ
あいさつや声掛け、励ましを積極的に行う
自分自身の職務に対する姿勢を再確認する
良いところを見出す視点をもつ
おわりに…
★取り組み事例②
法人名
社会福祉法人
湖星会
施設名
特別養護老人ホームみどりの郷
1.法人・施設の概要
法人名(施設名)
社会福祉法人湖星会 特別養護老人ホームみどりの郷
所在地
福島県二本松市木幡字東和代 65-1
高齢
事業分野
障がい
児童
法人設立年月日
平成 17 年 10 月 17 日
利用定員数
100 名(入所
職員数
理念
80 名
短期入所
その他(
)
20 名)
86 名(介護職員 54 名、看護職員 6 名、介護支援専門員 2 名、生活相談
員 2 名、管理栄養士 1 名、栄養士 2 名、その他 19 名)
自らが受けたいと思う医療と福祉の創造
2.プリセプター制度導入の経緯(背景)
① 新規学卒者の入職
② 口頭での指導の限界
③ 大量入社による統一した指導内容の必要性
④ 新社会人としての精神的支援の必要性
⑤ ユニットケアのデメリット(ユニット型は、一人勤務が多い)
以上の課題からマンツーマン指導の必要となる
3.制度の概要・特徴(プリセプターの経験年数、配置期間等)
プリセプターとは、新人(プリセプティ)の職場への適応をサポートする役割を担当する先輩職
員で、当初は、経験4~5年目のユニットリーダーがなっていた。
現在は、ユニットリーダーの責任の下、入職2~3年目の職員が担当している。
配置期間は、3か月間を標準としているが、達成度により、6か月、1年になる場合がある。こ
の場合は、ユニットリーダーが担当となり、きめ細やかな指導に当たり独り立ちを支援する。
4.プリセプターの役割(業務)
① 新入職員への業務指導・・・実践により業務の目的や手順を教える
② 新入職員の職場への適応の援助・・・円滑な人間関係が築けるようサポートする
③ 相談役としての役割・・・新社会人としての悩み・相談にアドバイスを行う
-34-
5.プリセプターのフォローアップの仕組み、育成チェックの仕組み
フォローアップ・・・プリセプターの精神的支援・相談の窓口として、主任・係長がいる
毎月各ユニット会議にて、育成の進捗状況を確認し、上長に報告・相談
外部研修参加及び内部研修実施
育成のチェック・・・「新入職員達成度確認表」を使用し、自己評価する(3か月)
自己評価をもとにリーダーによる評価と3か月ごとに面談を実施
6か月、12か月、24か月にフォローアップ研修を実施
福祉人としてのやりがいを見いだす
6.プリセプター制度導入の効果
新人を指導することにより、自分自身の振り返りができ成長できる
・先輩職員としての自覚
・教えることの喜びを感じる
・後輩の成長をやりがいと感じる
・事業運営する上での人材の重要性を理解する
・初心に帰ることで業務の見直しも図れる
7.今後の課題・改善策等
今後の課題
・新人の育成が、プリセプターの力量に左右される
・早期退職による喪失感
・過重な期待による精神的ストレスの増加
・法人内他事業所への展開が進まない
改善策
・個別の新人育成計画の必要性
・プリセプター育成の研修開催
・ストレスマネジメントの研修・相談窓口の設置
・指導方法を統一するために、法人全体の新人育成計画マニュアルを作成する
8.その他(参考資料・各種様式等)
別紙のとおり
-35-
【別紙5】
新入職員達成度確認表
氏名
入職年月日 年 月 日
1ヶ月目
項 目
3ヶ月目
本
主 本
主 本
主
R
R
R
人
任 人
任 人
任
1) 制服は清潔感があるか
身
だ
し
な
み
2ヶ月目
2) 髪は、整髪されているか
3) 髪の色は適切か
4) 爪は短く衛生的にされているか
5) マニキュアなど不適切な色を使用していないか
6) 化粧は好感が持てるか
1) あいさつは自ら進んで行っているか
2) 利用者・家族に対し敬意を持った言葉使いができているか
処
3) 職員・上司に対し適正な言葉使いはできているか
4) 利用者に対し自己決定の尊重はされているか
遇
5) 利用者のペースに合わせているか
6) 利用者に対し差別なく公平な態度で接しているか
1) 出勤時間は適当か
2) チームワークはとれているか
3) 積極的な態度で取り組んでいるか
4) 責任ある態度で取り組んでいるか
5) 一日の流れが理解できているか
6) 業務分担を理解しているか
7) 勤務時間内での適切な時間配分はできているか
8) 看・介護用品の設置場所・使用方法を理解しているか
9) 申し送り・申し受けは理解しているか
10) 報告は事実を正確・迅速におこなえるか
11) 記録は正確・簡潔にされているか
職 12) 利用者とコミュニケーションがとれているか
務
13) 介護計画に沿ったケアをしているか
意
識 14) ケアプランの様式を理解しているか
15) 期日内の見直し・再プランがおこなわれているか
16) カンファレンスで自分の意見が言えるか
17) 会議・研修は積極的に出席できているか
18) 介護・看護用語を理解しているか
19) 外泊・外出の対応ができるか
20) 外泊・外出の届け出用紙の説明はできるか
21) 食事箋用紙の書き方・処置はできるか
22) 勤務変更・休日届け用紙の理解はできているか
23) 急変時の報告・対応はできているか
24) 感染防止マニュアルを熟知しているか
25) 職務中、私語はつつしんでいるか
-36-
その他
新入職員達成度確認表
氏名
入職年月日 年 月 日
1ヶ月目
項 目
3ヶ月目
本
主 本
主 本
主
R
R
R
人
任 人
任 人
任
1) 衣類・車イスへの食べこぼしなどの対応はできているか
環 2) 施設内の換気に配慮しているか
3) 棟内の清潔に心がけているか
境 4) 汚れたシーツやカバー類はすみやかに交換しているか
5) ベットメーキングはできるか
1) オシボリや手洗いの励行による清潔保持
2) 食前の雰囲気づくりをしているか
3) 食事ができる体位の確認をしているか
4) 配膳・下膳のタイミングは適切か
5) お膳の並びや介護皿の向きは適切か
食
6) 適切な食事介助はできているか
7) 食事の内容など声かけはされているか
事
8) 与薬は利用者の名前と薬袋の名前を確認しているか
9) 食事チェックは行われているか
10) 体調不良などないか利用者の確認をしているか
11) 食後の義歯洗浄・ハミガキ・うがいの励行
12) 口周辺・顎・手指の清潔保持はできているか
1) 麻痺に合ったトイレを選んでいるか
2) 排泄物のチェックをしているか
3) オムツ表の記入は正確に行われているか
4) 手洗いはされているか
排 5) プライバシー保護に心がけているか
6) Pトイレは適切な位置に配置されているか
泄 7) ナースコールは手の届く所に準備されているか
8) 尿器の使用方法は理解されているか
9) 排尿の量・状態のチェックをしているか
10) オムツの使用方法は理解しているか
11) 体交が必要な方へ適切に行えるか
1) 補装具などの使用は理解しているか
2) 無理な姿勢や急激な動作を行っていないか
3) 安心感を与える為、必ず手を添えるなどの配慮はしているか
4) 車イスは身体状況に合った方向につけられているか
移
動
・
移
乗
2ヶ月目
5) 転倒防止の見守り・声かけはしているか
6) 利用者に合わせた介助ができるか
7) 車イスブレーキのかけ忘れはないか
8) 一人介助のトランスファーはできるか
9) 二人介助のトランスファーはできるか
10) 車イスの移動介助はできるか
11) ストレッチャー・ベット移動はできているか
12) 離床時のベットメーキングはできているか
-37-
その他
新入職員達成度確認表
氏名
入職年月日 年 月 日
1ヶ月目
項 目
2ヶ月目
3ヶ月目
本
主 本
主 本
主
R
R
R
人
任 人
任 人
任
その他
1) 全身清拭の手順を理解し実施しているか
2) 臥床時の着脱はできるか
3) 爪切りは実施しているか
4) 入浴必要物品の準備・確認をしているか
5) 入浴できない方・注意事項のある方を理解しているか
6) 利用者の身体状況にあった着脱を実施しているか
7) 着替えの名前を確認しているか
清
拭 8) 着脱者でも浴槽内の安全に目を配っているか
・ 9) 洗い場・浴槽内誘導時の介助は適切に実施されているか
入 10) 洗身の手順、注意点を理解し実施しているか
浴
11) 安心感を与える為の声かけはされているか
12) 浴槽内への声かけ・確認はされているか
13) 整容の配慮はできているか
14) 水分補給に心がけているか
15) 衣類の返却は正確に実施しているか
16) チェアインバスの操作方法を理解しているか
17) 処置者の理解と実施
1) 夜勤業務の流れを把握し遂行しているか
2) 巡視は的確に行なえるか
判
断
・
行
動
3) 検温・脈が正確な位置で測られているか
4) 書類の記録・確認ができているか
5) 不穏者・不眠者への対応は適切か
6) 緊急時の対応は適切か
7) 利用者ごとの洗面介助は理解されているか
8) 服装の配慮(汚れ・厚着・薄着・ほつれ・足元まで)
1) 責任番(リーダー)業務ができる
担 2) 業務の流れの把握と遂行
3) ケアプラン進行確認
当 4) レクリエーションの企画と実行
5) 居室担当の役割と遂行
コメント
確認印
-38-
★取り組み事例③
法人名
社会福祉法人
安積福祉会
施設名
特別養護老人ホーム
しらさわ有寿園
1.法人・施設の概要
法人名(施設名)
特別養護老人ホーム しらさわ有寿園
所在地
福島県本宮市和田字戸ノ内158-3
事業分野
高齢
障がい
法人設立年月日
昭和 52 年 6 月 20 日
利用定員数
70 名(特養 60 名
児童
その他(
)
ショート 10 名)
49 名
特養:施設長 1 名 看護師 3 名 総務 3 名(内 1 名兼務)生活相談員 2
名(内 1 名兼務)管理栄養士 1 名 介護支援専門員4名(内 2 名兼務)
職員数
介護職員 23 名(内 1 名兼務)
デイ:管理者 1 名(内 1 名兼務)相談員 2 名(内兼務 1 名)看護師 2 名
介護職員 5 名 運転手 2 名
居宅:管理者 1 名(内 1 名兼務)
介護支援専門員 3 名(内 1 名兼務)
包括:管理者 1 名
感謝:ご利用者や地域、職場の仲間によって自分が活かされていることに
感謝し、職務にあたる。
信頼:職務を通して人間性を高め、職員同士のチームワークを元にご利用
理念
者やご家族、地域との相互の信頼関係を築くことを支援の基本とす
る。
実行:自らの勇気と向上心をもって、常に冷静に相手の立場を考え、暖か
い思いやりの心を忘れず職務を実行していく。
2.プリセプター制度導入の経緯(背景)
しらさわ有寿園では、慢性的な介護職員不足を背景に平成 17 年度のデイサービスセンターの
開所に向けて、新人職員の教育計画(REP)を作成。マンツーマンによる OJT 指導を中心とし
た育成計画を立案し実践してきた。その後 23 年度に見直しを行い、個別指導に合わせて、グル
ープで育てるという考え方を盛り込んだ、新しい育成計画(新 REP)を構築。その後平成 26 年
に、異業種からの入職者や高卒者へ採用枠を広げたことに対応できるように、新たな育成計画
(EP)として運用を開始。現在も、ただ介護が出来る職員ではなく、「+α」を兼ね備えた職員
を育成し、柔軟な考え方が持てる職員を育てることを目的とし新人教育を行っている。
-39-
3.制度の概要・特徴(プリセプターの経験年数、配置期間等)
しらさわ有寿園の育成計画では、教育期間は原則 1 年とし、過去の職歴や業務の習得度を見て、
期間を決定する。プリセプターも、利用者様にとって何が一番大事かを常に考え、思いを大事に
していく事ができ、それらを満たしながら、仕事の効率を考えていける者、等細かい資質の設定
を行っている。また、年齢層が近く、新人研修を受けた後 2 年以内の職員をなるべくプリセプタ
ーとなるように設定している。
制度の概要としては、
「より良い人材育成のため」、
「組織人としての好ましい考え方」「仕事の効
率的な進め方」
「ビジネスマナー」を持った職員を育てるため、「個別の育成計画を立案」し併せ
て「人を育てる環境つくり」を行っている。
4.プリセプターの役割(業務)
○
根拠に基づいた業務指導
○
目標管理
○
面談
○
評価
○
メンタルケア
○
各研修の調整
※ 詳しい内容は別紙参照
5.プリセプターのフォローアップの仕組み、育成チェックの仕組み
育成チェック
① 目標実行計画シートの作成
毎月目標設定を行い、自己評価・プリセプター評価・コーディネーター評価を行う。毎月達
成可能な目標設定を行うことで、成長を各々が実感することが出来、次のステップへのモチ
ベーションに繋がる。
② 技術習得度チェック表の作成
多くの業務の中で、何ができていてないができていないかを、新人職員が自己評価し、担当
エデュケーターが評価者の目線で評価することで、振り返りを行う。技術は勿論、姿勢等に
ついても、改めて評価し、次回の評価までに改善する努力を行う。
③ 業務習得度評価表の作成
定期的に総合的な評価を行い、所属部署長や施設長への報告書として作成。
フォローアップ
定期的な面談
コーディネーター主導でプリセプター・プリセプティと面談を実施。教える側・教えられる
側双方のできていることは褒めて伸ばし、できていないことは、ただできるように指導するので
はなく「何が原因できないのか?」を一緒に考える機会を設けている。
-40-
6.プリセプター制度導入の効果
新人職員の成長
○
ただ毎日の業務をこなす職員ではなく、日々自己研鑽、新しい介護の可能性を探求するよ
うな職員育成を心掛けている。
(例:事例研究発表会への参加等)
職員の定着化
○
新人研修を通して、有寿園における業務の「適正」を見極めることで、職員個人のキャリ
アプランを作成している。それを、実施していくことで、職員の定着化につなげ、職員の
やる気を導き出し、仕事に対するモチベーションの維持に繋げている。
7.今後の課題・改善策等
定着化から職員育成コストの削減
○
職員の育つスピードは人それぞれ。それぞれのペースを重視し育てていく事で、将来のリ
スク回避能力や後輩の指導等、
「+α」の効果が期待できる。つまり、所定のカリキュラム
に沿って画一的に育成計画を作るのではなく、柔軟にプランを立案することで、時間的コ
ストはかかっても、それに見合った最善の方法で職員を育てることができる。
キャリアパス制度への連動
○
入職時から、何を努力すれば良いのかを明確にすることで、年単位、5 年後、10 年後の目
標を具体的に考えてもらう。
その目標を施設側で把握、段階的な成長を促すことで、入職から、定年まで、働き甲斐を
感じながら、働くことができる環境を作っていく事ができる。
そのため、キャリアパスを全部署の育成計画に盛り込み、継続的に行い、研修会の実施や
資格取得の援助も行っている。
8.その他(参考資料・各種様式等)
別紙のとおり
-41-
しらさわ有寿園
項目
ページ
Ⅰ.プリセプター制度導入の経緯
3~6
Ⅱ.制度の概要・特徴
7~13
Ⅲ.基本手順書
14~23
Ⅳ.プリセプターへのフォローと育成チェック
24~29
Ⅴ.導入の効果
30~32
Ⅵ.未来に向けて
33~35
1
安積福祉会 基本理念
感謝
ご利用者や地域、職場の仲間によって自分が活かされてい
ることに感謝し、職務にあたる。
信頼
職務を通して人間性を高め、職員同士のチーム
ワークを元にご利用者やご家族、地域との相互
の信頼関係を築くことを支援の基本とする。
実行
自らの勇気と向上心をもって、常に冷静に
相手の立場を考え、暖かい思いやりの心を
忘れず職務を実行していく。
感謝
実行
信頼
2
2
Ⅰ.プリセプター制度
導入の経緯
3
プリセプター制度活用年表
平
成
十
六
年
8月
REPの改正について検討
6月
REP作成につい
平
「グループで育てる」事
ての検討
成
に重点を置いた教育計画へ
二
移行
17年度
十
デイサービス
三
開業
年
平
平 4月
成 8月
成
十 しらさわ有寿園 十 新入職員にREP運用開始
三
開所 七
4月入職 3名実施
年
年 8月入職 3名実施
※
※
平
成
二
十
五
年
4月
新REPを元に、中
途採用者向けの指
導要綱を作成
8月入職
平
平
成 4月
成
二 新入職員に対し
二
十 新REP運用開始 十
四
六
年 4月入職 2名実施年
REP(Rookie‘s Education Program)
・・・しらさわ有寿園新人教育計画
1名実施
4月
新入職員に
EP
運用開始
4月入職
5名実施
4
EP(Education Program)
・・・しらさわ有寿園育成計画
4
EP(育成計画)作成の経緯
慢性的な職員不足
震災以降、県内における新卒の介護福祉士数が激
減。新卒での入職がほぼゼロの状態。退職者もいた
為、必要な職員数の維持が難しくなってきた。
入職者の幅を、介護学校卒業の「新卒者」だけに限定
せず、「他業種からの中途採用者」「高卒者」
にも拡大。
5
REP(しらさわ有寿園新人育成計画)の見直しが必要
5
EPの作成について
介護職員処遇改
善加算要件
REP(新人職員育成計画)の充実
キャリアパスの
運用・見直し
社会人未経験
より良い人材の育成
EP
6
ただ、介護が出来る職員ではなく、「+α」を兼ね備えた職員を育成し、柔
軟な考え方が持てる職員を育てることを目的とし新人教育を行っている。
6
Ⅱ.制度の概要・特徴
よりよい人材育成のために・・・
7
【プリセプターに必要な資質】
同年代
礼儀
同性
・・・それに加え、
プリセプ
ター
○
利用者様にとって何が一番大事かを常に
考え、思いを大事にしていく事ができ、
それらを満たしながら、仕事の効率を考
えていける者
○
2年以内に入職した者
業務実
践者
相談役
教師
・・・といった資質も必要。
8
8
【コーディネーターに必要な資質】
プログ
ラム管
理
評価者
相談役
コーディ
ネーター
模範
…しらさわ有寿園では主に配属されたグ
ループの責任者が担当。
指導者
9
9
しらさわ有寿園育成計画(EP)について
より良い人材の育成
のために・・・
効率的な仕
事の進め方
組織人とし
ての好まし
い考え方
ビジネスマ
ナー
10
指導を円滑に進めるためにも重要であ
り、社会人・専門職としての好ましい
行動が取れるよう指導を行う。
10
しらさわ有寿園育成計画(EP)の特徴
11
11
を立案する効果
12
12
人を育てる環境つくり
メ
≪研修にかかわる職員≫ 注
ぐン
【プリセプティ】
○
新人職員
【コーディネーター】
○
所属グループリーダー
よタ
うル
に面
指で
導の
サ
ポ
ー
ト
に
力
を
【プリセプター】
○
新人職員に対する指導者
【エデュケィショナルフィールド】
○
配属されたグループ
連絡ノートを用いて、指導内容や新人職員の悩み
を、グループ内で共有し、多くの職員がかかわるこ
とで生じるズレを減らし、包括的に新人職員を指導
13
していく。
13
Ⅲ.基本手順書
育てる職員の育成
14
指導スキーム
野新
・人
特職
性員
等の
を得
報意
告分
野
・
未
熟
分
グ
職ル
員ー
プ
メンタルケア
目標設定
プ
リ
セ
根拠に基づいた業務指導
プ
テ
ィ 面談
業務習得度評価
プ 達成度評価
リ
せ
プ
タ
ー
コ
ー
デ
ィ
ネ
ー
タ
ー
所
属
長
施
設
長
業務習得度報告
メンタルケア
グ
職ル
員ー
プ
15
多面的にフォローし、新人職
員が学びやすい環境を作って
いく。
15
研修一覧
入
職
時
研
修
研修名
内容
オリエ 施設紹介
1 ンテー 各部署の役割説明
ション 挨拶回り
法人の理念・施設の理念の理解。
福祉施設でのやりがい・楽しさ・
2 理念研
感動を伝える
修
社会人としての自覚
入職時アンケートの実施。
入職時
個人の「介護感」を確認
3
面談
育成計画について説明
部署間の連携についての研修
利用者様への基本姿勢の研修
接遇マ ※『気付き』や『自主的・主体的
4 ナー研 に相手を思いやる心』を持ちそれ
を行動へうつすことができるよう
修
な職員の育成研修
研修名
業務研修
(介護職
業
務 6 員)
研
修
業務研修
(介護職
員外)
ケース記録等、正しい記録法の
習得
食事伝票等、必要書類の記入方
法の習得
各部署毎マニュアルに基づき研
修計画を作成
16
8
9
1
0
専
門
研
修
1
1
1
2
1
3
1
4
1
5
社会人として必要なモラルの習得
各種ハラスメント予防研修等を通して
法人職員として必要なモラルを持て
るよう支援する。
入職時研修
業務研修
専門研修
7
ナースコール・ホットキャビイ
等介護使用物品操作方法習得
報告・連絡・相談の基本を習得
毎月開始時に個人目標を設定。月
月毎の 末に、進捗状況を毎月評価
5 目標設
定※
6 モラル
研修
研修名
内容
各日勤業務の習得
(MK・FA・リネン・F衣類・
SS)
早番・遅番・夜勤業務の習得
1
6
:6項目
:1項目
:11項目
1
7
内容
FAX・コピー機の使用方法の
習得
パソコンの基本的な操作方法
OA研修
(Word・Excel等)の研修
福祉見聞録の操作法習得
PDA操作法の習得
電話応対
マナー研修
来客への挨拶・案内研修
感染対策研 感染予防・拡大予防の研修
修
看護師の役割
医療研修
医療機器の基本的な使い方
認知症研修 認知症ケア研修
利用者理解 現利用者の状況把握
コミュニケーション能力研修
の研修
食事介助体験
利用者体験
入浴体験
リスクマネ 報告書作成研修
ジメント研 連絡体制研修
緊急時の対応研修
修
ケアプラン 施設ケアプランの現状
アセスメント研修
研修
※看護と介 医療行為についての研修
護のケア連
携協働研修
書類作成研 報告書・復命書の記入方法に
修
ついて
16
育成の流れとプリセプターの役割
事前指導
•プリセプティ・プリセプターに対し、研修プログラムについての説明と
各種書類の作成方法について説明を行う。
•プリセプターに対しアンケートを行う。
※入職前
•入職前に一度顔合わせを行い、入職当日からの服装や準備品の説明を行
う。
面談
プリセプターアンケート
介護観等、考え方に明らかな違い
がないか等を確認。
•各種資料を事前に配布し、入職日までに作成をお願いする。
事前課題
面談シート
入職日
新入職員アンケート
職務経歴シート
•各部署へのあいさつ回りを行う。
•入職時研修実施
17
17
①プリセプターアンケート
プリセプターアンケート(項目例)
以下の5点についてお答えください。
1:どうしてこの仕事を選びましたか?
2:利用者さんと話しをする時に、気を付けなければならないことは何だと思いますか?
3:ケガをした利用者さんを見つけた場合、何をすべきだと思いますか? 順を追って書い
てください
4:利用者さんにお茶を出しました。するとその利用者さんから「ここに座ってアンタも飲
みな。」と言われました。あなたならどうしますか?
5:利用差さん同士が口論しています。あなたならどのような対応をとりますか?
※
アンケート内容はその都度変更。介護感や指導方法等も含め、後日新人職員
アンケートと見比べ、考え方の相違がないか確認する。
18
18
②面談シート
年度単位の目標や本人の強み・弱み等も記載することで、自己分析も行
い、今後のキャリア形成に役立てていく。
19
19
③職務経歴シート
過去の職業歴について記入し、今できる事の把握と職歴から今後出来る
可能性のある事を導き出し、書面にて作成し管理する。基本的な業務が
習得できた後に、担当業務の検討や個人のスキルを活かした活動を行え
るように配慮し、職場内での役割を明確にし、モチベーションのアップ
20
に繋げていく。
20
育成の流れとプリセプターの役割
基本業務研修
未経験の職員に対し、介護技術の指導を実施。
指導担当は、介講福祉士実習指導者講習・介護技術指
導者講習修了者が担当。今後は介護キャリア段位制度
21
ともリンクさせ、介護職員の入職と合わせた、レベル
認定の運用も検討中。
21
育成の流れとプリセプターの役割
入職時面談
入職以降
専門研修
定期評価
•教育計画について説明。
•毎月の目標設定の方法などについて説明を行う
•各部署の業務に付き、エデュケーターから指導を受けながら業務に従事
していく。
•入職後、基本的な業務を習得した後に、部署毎に専門的な業務指導を行
う。
•1・3・6・12か月にプリセプター・プリセプティ・コーディネー
ターで面談を実施。面談の中で、できている事、したいこと等を確認す
る。
22
22
専門研修一例
利用者体験
目的…
利用者体験を通して、自分が行うサービスが相手にどのよ
うに思われるかを体験し、その中で実際に良いサービス・悪
いサービスとは何かを考え、自分の業務を見直す機会を設け
る。提供するサービスは、基本に沿って行うだけでなく、普
段は行わないような不適切なケアも行う事で、された方の気
持ちを理解する。
内容…
[入浴介助]
○温度確認せず、いきなりお湯を掛ける。
○臥床浴介助途中で離れる。
○機器の雑な扱い・急に作動させる
等
[食事介助]
○食事のメニューの説明をせずに介助。
23
○トロミが上手く溶けず、だまになった水分を提供する。
23
Ⅳ.プリセプターへのフォロー
アップと育成チェック
具体的目標設定と評価による、「育つ」こ
との実感
24
育成チェックチャート
毎月実施
②技術習得
度チェック
表
①目標実行
計画シート
③業務習得
度評価表
定期的に実施
(1.3.6.12ヶ月) 25
25
育成チェック
①目標実行計画シート
プリセプティ
(自己評価)
(別紙A) 目標実行計画シート
目標項目
一日の業務内容を把握
(日勤)
所
属
氏
名
Aマネジャ
介護職員
【作成年月日】
具体的方策
・職員の方に言われたこと
は忘れずすぐにメモする。
・わからないことは積極的
に聞く
ウェイト
50%
・利用者と方とコミュニ
ケーションを図る
利用者の方とのコミュニ
ケーションを大切にし、
ADLの把握
・疑問に思ったことは職員
の方に聞く
50%
リーダー
H
年
マネジメ
4月 2日
進 度 評 価
第2次チェック
評価者( )
第1次チェック
評価者( )
コーディ
第3次チェック
評価者()
日勤の業務内容を把握す
ることができたと思う。
F衣類の流れも把握する
ことができた。しかし、
SSの受け入れが入る時
もあり、その時は少し
焦ってしまうので、もう
少し落ち着いていこうと
思う。
日勤業務であっても曜日 落ち着いて着実に業務や
によって動きが変わって 利用者さんの事を覚えて
くるときもあるので、今 くれているようで安心し
後も焦らず少しずつ吸収 てます。まだ焦る時期で
して自分のものにして はないと思っていますの
いってもらえればと思い でわからない事を分らな
ます。また、質問や疑問 いままにしない様、先輩
に思ったことなどあれば、
方に何でも聞いてくださ
どんどん聞いてもらえれ い。
ばと感じます。
評価者(
評価者()
)
評価者( )
まずは、利用者さんを
しっかり捉えてくだされ
ばと思います。コミュニ
ケーションが困難な方も
多く大変だとは思います
が、それは他職員も同じ
ように日々悩んでいると
ころです。自然に寄り添
うことができるなと感心
しております。一般棟は
これから頑張りましょう。
プリセプター
利用者の方のADLと氏
名はおぼえることができ
た。また、利用者の方の
少しの変化にも気付ける
ようになりたいと思う。
日勤でMKがあり、一般
棟の時もあるので一般棟
の利用者の方のADLと
氏名を早く覚える。
利用者とのコミュニケー
ション等も積極的に取れ
て良かったと感じます。
早く覚えることも大切で
ありますが、焦らずに、
まずは利用者を確実に覚
えてもらえればと感じま
す。
・利用者状況を見ながら把
握する
毎月目標設定を行い、自己評価・プリセプター評価・コーディ
26
ネーター評価を行う。毎月達成可能な目標設定を行うことで、
成長を各々が実感することが出来、次のステップへのモチベー
ションに繋がる。
コーディネーター
26
育成チェック
②技術習得度チェック表
多くの業務の中で、何ができていてないができていないかを、新人職員が
自己評価し、担当エデュケーターが評価者の目線で評価することで、振り
27
返りを行う。技術は勿論、姿勢等についても、改めて評価し、次回の評価
までに改善する努力を行う。
育成チェック
③業務習得度評価表
27
マネジャ Aマネジャリーダー コーディ マネジメ
(別紙B)
業務習得度評価表
技術
5
評価日
4
業務遂行能力
3
理念
2
1
接遇
感染・安全
1カ月
3か月
6か月
5
月15 日
介護技術
気難しい利用者のトイレ誘導等はまだ、上手くいかない部分がある様ですが、
その他の技術的な部分は問題ありません。
介護理念
接遇マナー
3ヶ月
2
3
2
2
2
3
氏名
1ヶ月
1
2
1
2
1
1
0
機器の扱い
年
技術
理念
接遇マナー
感染・安全
機器の扱い
業務遂行能力
6ヶ月
4
3
4
3
3
3
12ヶ月
5
4
5
4
4
5
まだまだ根拠を持っての介護ができていません。一介助毎にきちんと理由を説
明し取り組んで頂いていますが、身につけて介助に入ることは今後の課題とし
て残っています。利用者さんのADLの把握はできていますが、自分で考え対処
するということのはまだまだ心配な部分があります。
ご家族面会時の挨拶、案内、誘導、最近の様子を伝える事等はまだできていま
せん。機会があったら、やってもらうようにしていきます。
実習が済んで間もないため今回は評価なし。
感染・安全
ケース記録の入力について、あまり積極的に記入していないようですが、記録
を見る限り言葉の使い方・文法に問題はないようです。時々変換のミスがある
ため注意しています。
「自分の業務はこれだ」と決まっていて分かっていると思いますが、他の職員
業務遂行能力 の動きをみて、今自分がすべきこと、フォローすべきこと等機転を利かせた動
きがまだできていません。今後努力が必要な部分です。
若さを持って、フレッシュな風を入れるつもりで仕事に取り組んで頂こうと考
えています。1ヶ月で業務を覚えもらえたので今後1~2週間利用者の生活状
総括
況、介助法を覚えれば、夜勤を務めあげることができると思います。
12か月 機器の扱い
施設マネジメント係
定期的に総合的な評価を行い、所属部署長や施設長への報告書
28
として作成。
28
フォローアップ
定期評価面談
29
コーディネーター主導でプリセプター・プリセプティと面談を実施。
教える側・教えられる側双方のできていることは褒めて伸ばし、でき
ていないことは、ただできるように指導するのではなく「何が原因で
きないのか?」を一緒に考える機会を設けている。
29
Ⅴ.導入の効果
「+α」を持った職員の育成
30
新人職員の成長
ただ毎日の業務をこなす職員ではなく、日々自己研鑽、新しい
介護の可能性を探求するような職員育成を心掛けている。
1つの結果として、施設内で事例研究発表会を実施し、年度単
位で取り組んでいる。有寿園では新卒の職員の業務の習得具合
を見ながら、早い段階で、関わるように指導し、先輩職員か
ら、介護の技術だけではなく、相手に物事を伝える力や情報収
集能力、情報を分析し、まとめ上げる能力も身につけられるよ
うにしている。
31
平成25年度事例研究発表会での様子
31
職員の定着化
新人研修を通して、有寿園
における業務の「適正」を見
極めることで、職員個人の
キャリアプランを作成。それ
を、実施していくことで、定
着化につなげることができて
いる。職員のやる気を導き出
し、仕事に対するモチベー
ションの維持に繋げていく。
新人研修
[適正]
の見極め
介護+αの
職員育成
介護技術だけではなく、事例研究や、それを外
部に発表する力等を持った職員、つまり「介護
+α」を持った職員育成に繋げていく。
32
しらさわ有寿園
現・離職率
5%32
Ⅵ.未来に向けて…
学び・創造・進化
33
職員の定着化
目標
(一人前の職員)
決められた指導手順にはめ込み指導するのではなく、新人
職員のペースにあった指導プランを作成していくことが有
寿園の教育プランの根幹にある。
育つまで時間がかかる…
しかし、中途半端に育てても、
大きな事故やトラブルにつなが
る可能性が高くなる。将来的な
リスク回避にも、手厚く指導す
ることが役に立つ。
つまり、個人のペース
を尊重し定着化を進
めることが重要
スタート
34
時間
34
キャリアパス制度の連動
入職時から、何を努力すれば良いのかを明確にすることで、年
単位、5年後、10年後の目標を具体的に考えてもらう。
その目標を施設側で把握、段階的な成長を促すことで、入職か
ら、定年まで、働き甲斐を感じながら、働くことができる環境を
作っていく事ができる。
そのため、キャリアパスを全部署の育成計画に盛り込み、継続的
に行い、研修会の実施や資格取得の援助も行っている。
35
35
6.介護プリセプターに関するアンケート調査結果
Ⅰ
調査概要
1. 調査目的
県内の社会福祉法人を対象に介護プリセプターに関する取り組み状況を把握し、
より効果的な実施方法の提案や今後の導入をさらに推進し、県内の福祉・介護人
材の育成・定着を図ることを目的とする。
2. 実施主体
社会福祉法人
福島県社会福祉協議会
3. 調査対象
福島県内の社会福祉施設・事業所を経営する社会福祉法人
4. 調査期間
平成27年7月6日(月)~平成27年7月17日(金)
5. 調査方法
FAXにて返送いただく調査。
6. 調査票回収状況
対象法人数:222 法人
有効回収数:155 件
回 収 率:69.8%
7.調査結果のポイント
(1)取り組み状況
・プリセプター制度を導入している法人は 49.0%と約半数であったが、前回調査
対象限定での比較においては、57.6%→61.3%と増えている。
・プリセプターの配置は、前回調査対象限定での比較においては、
「法人内の一部
の施設・事業所での配置」が 41.5%→56.1%と増えている。
・このことから、プリセプター制度の導入は徐々に進んでいるが、通所系の施設・
事業所や児童分野での導入の推進が今後の課題と言える。
(2)今後の導入推進に向けて
・プリセプターの配置に関しては、業務経験年数は「3~5年」、配置期間は「7
~12ヶ月」との回答が最も多く、前回調査対象限定での比較においても同じ
傾向にある。
・プリセプターをフォローする仕組みとしては、「チェックシートの活用」が
61.8%あった。また、その他の仕組みとしては、「常時上司が相談」が 89.5%と
最も高かった。
・このことから、プリセプター制度は、「3~5年の業務経験者を1年程度配置す
る」仕組みとし、同時にプリセプターをフォローする体制を整えてから導入す
ることが望ましいと言える。
-60-
Ⅱ 調査結果
問1 職場研修計画の作成
図表1
YES, 70,
(45.2%)
n=155
件数,(%)
NO, 85,
(54.8%)
職場研修計画の作成については
「YES」が45%となった。
問2 プリセプターの配置
n=155
件数,(%)
図表2
YES, 76,
(49.0%)
NO, 79,
(51.0%)
プリセプターの配置については
「YES」と「NO」が約半数ずつ
となった。
問3 法人内での配置施設・事業所【※問2で「YES」と回答した法人のみ】
無回答, 1,
(1.3%)
一部, 37,
(48.7%)
n=76
件数,(%)
図表3
すべて,
38,
(50.0%)
プリセプターを配置している法
人のうち、法人内での配置状況
は「すべて」と「一部」が約半
数ずつとなった。
-61-
問4 プリセプターの業務経験年数【※問2で「YES」と回答した法人のみ】
無回答, 2,
(2.6%)
6年以上,
15,
(19.7%)
n=76
件数,(%)
図表4
2年以下,
9, (11.8%)
プリセプターを配置している法
人のうち、プリセプターの業務
経験年数は「3~5年」が
65.8%と最も高い比率となっ
3~5年,
50,
(65.8%)
問5 プリセプターの配置期間【※問2で「YES」と回答した法人のみ】
無回答, 4,
(5.3%)
n=76
件数,(%)
図表5
1~3ヶ
月, 26,
(34.2%)
その他, 0,
(0.0%)
7~12ヶ
月, 31,
(40.8%)
プリセプターを配置している法
人のうち、プリセプターの配置
期間は「7~12ヶ月」が
40.8%と最も高い比率となっ
4~6ヶ
月, 15,
(19.7%)
問6 育成度を図るためのチェックシートの作成【※問2で「YES」と回答した法人のみ】
無回答, 1,
(1.3%)
n=76
件数,(%)
図表6
プリセプターを配置している法
人のうち、チェックシートを作
成している法人は61.8%となっ
た。
NO, 28,
(36.8%)
YES,
47,
(61.8%)
-62-
問7 プリセプターをフォローアップする仕組みの整備【※問2で「YES」と回答した法人のみ】
n=76
件数,(%)
図表7
無回答, 4,
(5.3%)
プリセプターを配置している法
人のうち、プリセプターをフォ
ローアップする仕組みの整備に
ついて「YES」が75.0%となっ
NO, 15,
(19.7%)
YES,
57,
(75.0%)
問8 フォローアップの具体的な仕組み(複数回答)【※問7で「YES」と回答した法人のみ】
図表8
50
定期的なミーティング
常時上司が相談
外部研修
その他
100 n=57
件数,(%)
33(57.9%)
プリセプターのフォローアップ
の仕組みを整備している法人の
うち、「常時上司が相談」が
89.5%と最も高かった。
51(89.5%)
37(64.9%)
5(8.8%)
※その他
・ 内部研修実施
・ 毎年、年度初めにプリセプター指導研修を見直している。
・ ステップアップシートで職員全員でフォローアップしている。
・ 3ヶ月、6か月など期間を定めて本人の理解や習得度に合わせ対応している。更に、12か月
を超えた職員に対しても在職者研修として、主任・副主任が担当で振り返りを行ってい
・ 年2回研修を実施している
-63-
Ⅲ 前回調査との比較結果
※前回(平成26年度)の調査対象を「養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、介護老人保健
施設、障害者福祉サービス事業所(入所系)等を運営している社会福祉法人」としたため、今
回(平成27年度)を前回調査対象に限定したうえで比較した。
問1 職場研修計画の作成
図表1
0%
20%
40%
60%
80%
H26回答数
46(50.0%)
46(50.0%)
H27回答数
45(48.4%)
48(51.6%)
YES
100%
NO
件数(%)
対象法人の職場研修計画作成状況については、ほぼ横ばいとなっている。
問2 プリセプターの配置
図表2
0%
H26回答数
20%
40%
60%
80%
53(57.6%)
H27回答数
100%
39(42.4%)
57(61.3%)
36(38.7%)
YES
NO
件数(%)
対象法人のプリセプター配置状況については、微増となっている。
問3 法人内での配置施設・事業所【※問2で「YES」と回答した法人のみ】
図表3
0%
H26回答数
H27回答数
20%
40%
60%
80%
30(56.6%)
1(1.9%)
22(41.5%)
25(43.9%)
すべて
100%
32(56.1%)
一部
無回答
件数(%)
プリセプター配置法人のうち、法人内では一部の施設・事業所での配置が増えている。
-64-
問4 プリセプターの業務経験年数【※問2で「YES」と回答した法人のみ】
図表4
0%
H26回答数
20%
40%
11(20.8%)
60%
80%
30(56.6%)
H27回答数
100%
2(3.8%)
10(18.9%)
40(70.2%)
8(14.0%)
2年以下
3~5年
6年以上
無回答
8(14.0%)
1(1.8%)
件数(%)
プリセプター配置法人のうち、プリセプターの業務経験年数は「3~5年」が増えている。
問5 プリセプターの配置期間【※問2で「YES」と回答した法人のみ】
0%
H26回答数
20%
16(30.2%)
H27回答数
1~3ヶ月
40%
60%
12(22.6%)
15(26.3%)
80%
100%
23(43.4%)
11(19.3%)
4~6ヶ月
1(1.9%)
1(1.9%)
図表5
28(49.1%)
7~12ヶ月
その他
3(5.3%)
無回答
0(0.0%)
件数(%)
プリセプター配置法人のうち、プリセプターの配置期間は「7~12ヶ月」が増えている。
問6 育成度を図るためのチェックシートの作成【※問2で「YES」と回答した法人のみ】
図表6
0%
H26回答数
H27回答数
20%
40%
60%
36(67.9%)
100%
1(1.9%)
16(30.2%)
44(77.2%)
YES
80%
NO
13(22.8%)
無回答
件数(%)
プリセプター配置法人のうち、育成度を図るためにチェックシートを活用する法人が増えている。
-65-
問7 プリセプターをフォローアップする仕組みの整備【※問2で「YES」と回答した法人のみ】
図表7
0%
20%
40%
60%
80%
100%
2(3.8%)
H26回答数
40(75.5%)
H27回答数
11(20.8%)
46(80.7%)
YES
NO
11(19.3%)
無回答
件数(%)
プリセプター配置法人のうち、フォローアップの仕組みを整備する法人が増えている。
問8 フォローアップの具体的な仕組み(複数回答)【※問7で「YES」と回答した法人のみ】
図表8
H26回答数
H27回答数
24(60.0%)
25(54.3%)
6(15.0%)
34(85.0%)
20(15.0%)
41(89.1%)
29(10.9%)
5(10.9%)
定期的なミーティング
常時上司が相談
外部研修
その他
件数(%)
プリセプターのフォローアップの仕組みを整備している法人では、各項目で件数が増えている。
特に、常時上司に相談できる体制を整備している法人が多い。
-66-
Ⅳ「介護プリセプターに関するアンケート」
法人名
問1
貴法人では、職場研修計画(外部研修への派遣計画のみではなく、職員の役職や
職制、経験年数などに応じて OJT、Off-JT、SDS を組み合わせた中長期的な職員
の育成計画)を作成していますか? 当てはまるもの1つに○を付けてください。
①Yes
問2
②No(理由→
)
貴法人では、介護職の新人育成に関し、介護プリセプター(直接育成を担当する職員
『実地指導者』
)を配置していますか?当てはまるもの1つに○を付けてください。
①Yes
問3
記入者名
②No(理由→
)
問2で①と回答した方に伺います。介護プリセプター配置について教えてください。
当てはまるもの1つに○を付けてください。
①法人内すべての施設・事業所で配置している
②法人内の一部の施設・事業所で配置している
問4
問2で①と回答した方に伺います。介護プリセプターの業務経験年数は一般的にどの
くらいですか?
業務経験年数→
問5
年以上の者
問2で①と回答した方に伺います。介護プリセプター配置期間はどのくらいですか?
配置(指導)期間→
問6
問2で①と回答した方に伺います。新人職員の育成度を図るためのチェックシートを
作っていますか?当てはまるもの1つに○を付けてください。
①Yes
問7
②No(理由→
)
問2で①と回答した方に伺います。介護プリセプターをフォローアップする仕組みは
ありますか?当てはまるもの1つに○を付けてください。
①Yes
問8
ヶ月間
②No(理由→
)
問7で①と回答した方に伺います。具体的な仕組みを教えてください。当てはまるも
のすべてに○を付けてください。
①定期的にミーティング等を実施
②実地指導者の上司または職場研修担当者が相談を随時受け付けている
③外部の研修に参加させている
④その他(具体的に→
⑤特に仕組みは設けていない
)
ご協力ありがとうございました。
☆回答先
FAX024-521-5663
-67-
(回答期限:平成 27 年 7 月 17 日)
あ
と
が
き
社会福祉事業に関わる経営のトップ誰もが口にしている「人材育成」という言葉
ですが、実際の現場に入ると目の前の作業に追われ、新入職員も即戦力と見なされ、
指導もそこそこに業務をこなしていくというのが現状です。そこには、教育という
よりも先輩の後ろ姿から技術を盗むといった徒弟社会のような指導が繰り返され
ていきます。
福祉・介護の分野では介護職の地位を高めたいと声を上げ、介護福祉士という国
家資格も生まれました。しかしながら、未だに「誰でもできる仕事」といわれてし
まうはなぜか・・・。専門職としての確立を目指すためには、他の職種と何が違う
のかと考えたとき、私たちは、やはり「教育システム」の確立が必要だということ
に気づきました。
この3年間私たちは、「介護プリセプター」という名前を浸透させること、その
役割、機能を明確にし、介護プリセプター制度を導入することで、新入職員の精神
的な安定につながり、しいては離職を止めることにもつながると研修を通じて伝え
てきました。
人は誰も、今よりも大きな自分になりたいと成長を望みます。介護プリセプター
制度は、教えられる側ばかりではなく、教える側にとっても成長できること、やり
がいを感じることができること等、実際に導入した施設から聞くことができました。
介護プリセプター制度の導入には、法人全体での明確な方針と体制が必要となるこ
とは言うまでもありませんが、職員双方が成長できるという効果が期待でき、導入
する価値はあるということが伺えます。
3年前、介護人材の不足、離職率の高さを大きな問題として発足した委員会です
が、アンケートにもあるように少しずつ介護プリセプター制度を導入する施設が増
えてきました。
手探り状態から始まった本委員会活動ですが、介護プリセプター制度の必要性に
ついては、理解が深まったとここで一区切りとしました。今後は、介護の業界に入
ってきてくれた貴重な人材の手を放すことがないようにしていくための仕組みづ
くりを含め、活動を継続していきたいと思います。
介護プリセプター検討・普及委員会 委員一同
-68-
介護プリセプター検討・普及委員会
委員名簿
氏名
所属等
◎芝田
郁子
福島学院大学短期大学部
福祉専攻第一部 専攻科 科長
○吉田
清一
福島県保健福祉部 福祉監査課
課長
佐藤
隆子
公益社団法人 福島県看護協会
常務理事
樫村
剛
社会福祉法人 安積福祉会
特別養護老人ホーム しらさわ有寿園
稲本
惠子
社会福祉法人 湖星会
事業部長・総合施設長
三瓶
英司
社会福祉法人 心愛会
常務
◎委員長
○副委員長
施設長
(所属等は平成28年3月現在)
-69-
介護プリセプター制度導入の意義と仕組みづくり
~新入職員育成の進め方~
発 行:平成28年3月
発行者:社会福祉法人福島県社会福祉協議会 人材研修課
〒960-8141 福島市渡利字七社宮111
(福島県総合社会福祉センター内)
電話 024-523-1259 Fax 024-521-5663
http://www.fukushimakenshakyo.or.jp
E-mail:[email protected]
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