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慢性疼痛が、標準用量の非麻酔性鎮痛剤と低用量の三環系抗鬱化

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慢性疼痛が、標準用量の非麻酔性鎮痛剤と低用量の三環系抗鬱化
JP 2007-520560 A 2007.7.26
(57)【 要 約 】
本発明において、慢性疼痛が、標準用量の非麻酔性鎮痛剤と低用量の三環系抗鬱化合物と
の組み合わせを用いて処置される。本発明は、神経障害または線維筋障害に関連する慢性
疼痛の処置において有効であり、そのような疼痛は、非麻酔性鎮痛剤単独に対して応答性
ではなかった。本発明は、慢性疼痛の処置のための方法を提供する。この方法は、低用量
の三環系抗鬱化合物と標準用量の非麻酔性鎮痛剤との組み合わせを経口投与する工程、を
包含する。
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
慢性疼痛の処置のための方法であって、該方法は、
低用量の三環系抗鬱化合物と標準用量の非麻酔性鎮痛剤との組み合わせを経口投与する
工程、
を包含する、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記三環系抗鬱化合物は、1日に約2.5mg∼約25
mgの投与量で投与される、方法。
【請求項3】
10
請求項1に記載の方法であって、前記三環系抗鬱化合物は、ドキセピン、アミトリプチリ
ン、デシプラミン、イミプラミン、およびそれらの生理的に受容可能な酸付加塩からなる
群より選択される、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記生理的に受容可能な酸付加塩は、塩酸塩、臭化水素
酸塩、ヨウ化水素酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、およびオレイン酸塩からなる群より選択され
る、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記非麻酔性鎮痛剤は、1日に約0.50g∼約2.6
gの投与量で投与される、方法。
20
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記非麻酔性鎮痛剤は、アセトアミノフェンおよびNS
AIDからなる群より選択される、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記低用量の三環系抗鬱剤と前記標準用量の非麻酔性鎮
痛剤とは、経口投与のための薬学的に受容可能な賦形剤を含む単一組成物中に存在する、
方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、前記組成物は、錠剤、カプセル剤、カプレット、経口溶
液、および経口懸濁物からなる群より選択される形態で存在する、方法。
30
【請求項9】
慢性疼痛の処置のための組成物であって、該組成物は、低用量の三環系抗鬱化合物と標準
用量の非麻酔性鎮痛剤との組み合わせを、経口投与のための薬学的に受容可能な賦形剤中
に含む、組成物。
【請求項10】
請求項9に記載の組成物であって、前記三環系抗鬱化合物は、1日に約2.5mg∼約2
5mgの投与量で投与される、組成物。
【請求項11】
請求項9に記載の組成物であって、前記三環系抗鬱化合物は、ドキセピン、アミトリプチ
リン、デシプラミン、イミプラミン、およびそれらの生理的に受容可能な酸付加塩からな
40
る群より選択される、組成物。
【請求項12】
請求項9に記載の方法であって、前記生理的に受容可能な酸付加塩は、塩酸塩、臭化水素
酸塩、ヨウ化水素酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、およびオレイン酸塩からなる群より選択され
る、組成物。
【請求項13】
請求項9に記載の組成物であって、前記非麻酔性鎮痛剤は、1日に約0.50g∼約2.
6gの投与量で投与される、組成物。
【請求項14】
請求項9に記載の組成物であって、前記非麻酔性鎮痛剤は、アセトアミノフェンおよびN
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SAIDからなる群より選択される、組成物。
【請求項15】
請求項7に記載の組成物であって、前記三環系抗鬱剤と非麻酔性鎮痛剤との組み合わせ、
および薬学的に受容可能な賦形剤は、錠剤、カプセル剤、カプレット、経口溶液、および
経口懸濁物からなる群より選択される形態で存在する、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本 願 は 、 米 国 特 許 仮 出 願 第 0 9 /9 7 7 , 6 1 9 号 に 関 連 す る 。 こ の 先 願 の 優 先 権 の 利
益は、本明細書においては主張されない。
10
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
疼痛は、関節炎から癌に及ぶ範囲の種々の疾患の最も一般的かつ最も厄介な症状発現で
ある。広範な種類の鎮痛剤が、疼痛を軽減または改善するために使用されている。どの単
一の鎮痛剤も、一様に有効ではなく、これらの薬剤のうちの多くの使用は、副作用または
物質乱用プロフィールによって制限されている。ある種の疼痛障害は、処置に対して特に
抵抗性である。これらの障害としては、慢性神経障害性疼痛症状(例えば、ヘルペス後神
経痛および疼痛性糖尿病性神経障害)ならびに他の慢性疼痛性障害(例えば、疼痛性線維
筋疾患)が挙げられる。
20
【0003】
三環系抗鬱化合物(これは、通常は、精神的鬱病の軽減のために処方される)もまた、
慢性疼痛性神経症および慢性線維筋障害の改善のために、それ程多くはないが投与されて
いる。そのような疼痛軽減効果のために経口投与される場合、その三環系化合物は、比較
的大量の一日投与量(100mg/日∼200mg/日)にて提供され、「極端な」用量
は、25mg/日∼300mg/日の範囲内にある(非特許文献1)。
【0004】
非麻酔性鎮痛剤であるアセトアミノフェンおよび非ステロイド性抗炎症薬(NSAID
)は、多くの型の一般的急性疼痛(例えば、頭痛または背部痛)ならびに変形性関節症に
関連する慢性疼痛を処置する際に非常に有用であると証明されている、異成分化合物群で
30
ある。しかし、これらの化合物は、一般的には、慢性神経障害性疼痛または慢性線維筋疼
痛に対する明確な有益な効果を有さないと見なされており、従って、そのような障害の処
置において広範には利用されていない。
【特許文献1】Hardman JG,Limbird LE編、Goodman & Gilman’s「The Pharmacological Bases of Th
erapeutics」Ninth Edition,McGraw Hill(New
York),1996,p.433
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
40
本発明者は、以下のことを発見した。驚くべきことに、低用量の三環系抗鬱剤の経口投
与を、非麻酔性鎮痛剤(例えば、アセトアミノフェンまたはNSAID(例えば、アスピ
リンもしくはイブプロフェン))の投与と同時に行うと、慢性疼痛性神経障害または慢性
線維筋障害を有する患者において、予測不能なほど劇的な疼痛改善が生じる。本発明のさ
らなる恩恵は、三環式抗鬱化合物を用いると一般的に観察される副作用(例えば、鎮静効
果および抗コリン作用性効果(例えば、ドライマウス))が、このような組み合わせで投
与した場合にはほとんど観察されないということである。
【0006】
本発明は、慢性疼痛性状態(例えば、慢性疼痛性神経障害性疼痛および慢性疼痛性線維
筋障害)を処置するための方法および組成物に関する。本発明の主要目的は、慢性疼痛神
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経障害または慢性線維筋障害に罹患している患者に対して、経口懸濁物、錠剤、またはカ
プセル剤などの形態で経口治療剤を提供することであって、その経口治療剤は、低用量の
三環系抗鬱化合物を、非麻酔性鎮痛剤と組み合わせて含む。そのような組み合わせの使用
は、そのような障害の罹患者について、予測不能なほどの劇的な疼痛症状減少を生じる。
さらに、そのような組み合わせ製品の三環系抗鬱成分を用いた場合に一般的に観察される
副作用は、一般的に減少する。
【0007】
本発明のこの目的および他の目的は、以下の詳細な説明および実施例と組み合わせて考
慮された場合に、より容易に理解され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
10
【0008】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明は、三環系抗鬱剤の「低用量」とは、約25mg/日以下であると定義する。
【0009】
本発明の好ましい実施形態において、慢性疼痛(例えば、神経障害性疼痛または線維筋
性疼痛)を経験している患者は、標準用量の非麻酔性鎮痛剤と低用量の三環系抗鬱化合物
との組み合わせを用いて処理される。
【0010】
上記非麻酔性鎮痛剤は、好ましくは、アセトアミノフェンおよびNSAIDからなる群
より選択される。一般的に使用されるNSAIDとしては、アスピリン、イブプロフェン
20
、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、およびナプロキセンが挙げられる。そのような
非麻酔性鎮痛剤の標準用量は、代表的な成人にとって、1日に約0.50g∼約2.6g
の範囲内にあり得る。その標準投与量は、医学分野において公知であるように、患者の大
きさおよび年齢などの要因に依存して、変化し得る。非麻酔性鎮痛剤の標準用量は、代表
的には、アセトアミノフェンについては約0.50g/日∼約2g/日、アスピリンにつ
いては約0.6g/日∼約2.6g/日、そしてイブプロフェンについては約0.6g/
日∼約1.8g/日の範囲内にある。
【0011】
本発明の実施において使用される三環系抗鬱化合物は、好ましくは、ドキセピン、アミ
トリプチリン、デシプラミン、イミプラミン、およびそれらの生理的に受容可能な酸付加
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塩からなる群より選択される。他の三環系抗鬱化合物およびその生理的に受容可能な酸付
加塩もまた、本発明において有用性が見出され得る。そのような生理的に受容可能な酸付
加塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、およびオレイン酸
塩からなる群より選択され得る。上記三環系抗鬱化合物は、1日に約2.5mg∼約25
mgの範囲で、好ましくは1日に約5mg∼約20mgの範囲で、より好ましくは1日に
約10mg∼約15mgの範囲で投与される。
【0012】
非麻酔性鎮痛剤と三環系抗鬱化合物との組み合わせは、2つの別個の調製物が一方の直
後に他方を摂取する形態で投与され得る。あるいは、上記の組み合わせは、経口投与のた
めの薬学的に受容可能な賦形剤中にて単一組成物中に存在し得る。そのような組成物およ
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び賦形剤は、錠剤、カプセル剤、カプレット、経口溶液、および経口懸濁物からなる群よ
り選択される形態で存在し得る。
【0013】
本発明者は、非麻酔性鎮痛剤と低用量の三環系抗鬱剤との組み合わせが可能な疼痛軽減
効果を研究した。これは、慢性疼痛を有する患者に、低用量の塩酸ドキセピンを、アセト
アミノフェン、アスピリン、またはイブプロフェンのいずれかとともに摂取させることに
よった。そのような組み合わせを摂取する患者は、驚くほど良好な疼痛軽減を感じ取り、
それだけでなく、通常は慢性疼痛の三環系抗鬱剤処置に伴う厄介な副作用は全く知覚しな
かった。
【0014】
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以下の実施例は、本発明をさらに例証する。
【実施例】
【0015】
(実施例1)
頚部、背部、および腕において、アスピリンのみまたはアセトアミノフェンのみに対し
て応答性ではない線維筋痛症に関連する広範囲に及ぶ疼痛を有する56歳の女性に、ドキ
セピン5mgを、アセトアミノフェン500mgと一緒に、就寝前に(すなわち、睡眠前
に)投与した。この女性は、疼痛が顕著に減少したことを翌日に知覚した。この女性は、
5mgのドキセピンと500mgのアセトアミノフェンとの組み合わせを、その後4ヶ月
間摂取し続け、筋膜疼痛の優れた軽減が得られた。
10
【0016】
(実施例2)
四肢の小関節において、単独で摂取した従来の用量の非麻酔性鎮痛剤に対して応答性で
はない慢性変形性関節症性疼痛を有する58歳の男性に、5mgのドキセピンと650m
gのアスピリンとの組み合わせを、1日に2回摂取させた。この患者は、関節において疼
痛および凝りがかなり減ったことを知覚した。この患者は、大用量のドキセピンに関連す
る副作用である嗜眠状態にもドライマウスにも一切悩まされなかった。
【0017】
(実施例3)
頚部、肩部、腕、および脚部において、経口NSAID治療に対して応答性ではない広
範囲に及ぶ疼痛を有し、頻繁な頭痛、回復推進しない睡眠、および疲労を有する60歳の
女性に、ドキセピン10mgを、イブプロフェン600mgと組み合わせて、睡眠前に経
口投与した。この患者の疼痛は、以前にはイブプロフェンに対して非応答性であったが、
この患者は、今や、かなり疼痛軽減し、頭痛の回数が少なく、夜間の睡眠が以前よりも安
らかになった。
【0018】
好ましい実施形態のほんの一部が例示として記載されていること、そして本発明の範囲
内に入る種々の改変が存在することが、当業者にとって明らかである。
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【国際調査報告】
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CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,
CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,L
U,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW
(72)発明者 バーンスタイン, ジョエル イー.
アメリカ合衆国 イリノイ 60015, ディアフィールド, ブライヤーヒル ロード 61
5
Fターム(参考) 4C084 AA20 MA02 MA17 MA23 MA35 MA37 MA52 NA14 ZA08
4C086 AA01 AA02 BA10 MA02 MA04 MA17 MA23 MA35 MA37 MA52
NA05 NA14 ZA08
4C206 AA01 AA02 CB24 GA31 KA01 MA02 MA04 MA13 MA37 MA43
MA55 MA57 MA72 NA14 ZA08
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